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2007/02/28

お題「中期債まで強いとは/内閣府のロジックは訳判らん」

上海株式下げで世界同時株安とは何たる間の悪さ・・・・

#そして、日曜の日経セミナーで「家計の皆さんもリスク取って投資をしましょう」と講演した福井総裁様におかれましては、北浜先生の黄金波動砲もビックリでございます。

しかし逆に考えると、これが切っ掛けで資産価格修正が起きた場合「予期せぬ外部ショックが来たので撤退」と言い訳も出来るのである意味助かってるのかも(何のこっちゃ)。

とは言え、こういう「調子のいい時に何か突如急落の図」って89年(でしたっけ?)のブラックマンデーを思い出す次第で、あの時はその後最高値に向けてもう一発上昇しましたっけな。今回はどうなんでしょ。

#と思ったら武者砲まで・・・・orz

まるで次の日銀のアクションが利下げのような相場をやらかしている相場に関しての雑談あるいは悪態をつく積りだったのですが、これじゃあ昨日までの相場が正当化されかねないので悪態は止めにしときます(苦笑)。


○日銀に喧嘩を売るような相場付きですが(苦笑)

利上げ以降長期債やら超長期債が確りするのは一応「早めの利上げによって将来の利上げが抑制される」という理屈が成り立つのでわかるのですが、昨日の2年国債入札も強くなってしまい(一応足切りがオファーサイドだったからこの前のジャンピング入札よりはマシですが)、引けに掛けても強く相成りました。

で、2年の0.8%台前半とか5年の1.2%割れってそれは一体全体どういうことよという感じがする訳でして、コールの誘導目標が0.5%で、おまけに足元のGCレートは昨日は下がったとは言え0.57〜0.58%レベルでして(一昨日は0.62%とかやらかしてました)、3か月FBは0.59%近辺(この足元GCとの思いっきり鞘のない状態も頭が痛くなりますがそれは兎も角)となっておりますんで、その足元近辺からのスプレッドがあなたちょっと無さ過ぎと直感的に思うのですけど。

一応日銀様のロジックによりますと、「経済物価情勢に合わせた金利調整を行う」ということで、まだその部分ご紹介してませんが、総裁も記者会見で「まだまだ低い水準」と言っておられる状況ということですから、日銀のスタンスを順当に考えたら利上げが今後もちんたら行われていく筈なんですけど、もう何か「利上げ終了」のような勢いで足元の金利だけしか上らないというのは実に香ばしい。

まあ期末モードで需給が良いとか、レポの問題もあるので向う人もあんまりいないとか、色々とそっち方面の要因もあるんですけど、それにしてもこの中期ゾーンの強さはまさに日銀に喧嘩を売るような動きで実に心温まるものがございます。

・・・・ところが世界株安でさてどうなるのやら



○議決延期請求をしないロジックが全く判りません(内閣府)

昨日話をしてた大田担当大臣の記者会見キタコレ。
http://www.cao.go.jp/kaiken/0609ota/2007/0221kaiken.html

で、まあ当たり前のように「何で議決延期請求をしないのか」というツッコミが延々と繰り広げられておりますが、大田大臣のロジックが全くわかりません。これじゃあどう見てもアリバイ反対です。本当にありがとうございました。

質疑応答の2番目の質問から延々と続くのですが、最初の時点で何じゃこりゃですよ先生。

『(問)今回、こちらの内閣府の出席者が、利上げを急ぐ局面ではないと考えていると指摘する一方で議決延期請求は行っていないわけですが、ここはどういう理由でされなかったのか、お伺いできますか。』

『(答)内閣府の出席者からは、今申し上げたような意見を強く申し上げました。その上で日本銀行が判断されたということです。 議決延期請求を行わなかったのは政府の決定であり、日本銀行の判断を尊重しているということですね。政府としての決定プロセスについては、詳しくコメントすることは控えたいと思います。政府としては、現在の景気に対する認識については、明確に意見を申し上げたということです。』

この説明だとさっぱり判らんですなということで、1つ質問を置いた後にまたまた質疑応答がこのネタで続くのでした。

『(問)議決延期請求の関係ですが、先ほどのお話では、内閣府としては利上げを急ぐ局面ではないと。議決延期請求を行使すべきである、あるいはすることもあり得べしという判断だったけれども、政府として調整をした結果、議決延期請求は行うべきではないという判断だと理解してよろしいですか。』

『(答)違います。内閣府としては、現在の景気についてはお配りしたような出席者の発言にあるような認識を持っております。ただ、そのことと議決延期請求をするかどうかという判断はまた別のものだと考えております。』

益々訳判らん。そしてひたすら苦しい質疑応答が続く。

『(問)そうすると、この場合でも内閣府としては、議決延期請求権ではなくて、意見表明に止めるというやり方が……。』

『(答)意見表明は明確にいたしました。その上で議決延期請求をするかどうかは、政府の判断としていたしました。』

『(問)どうして政府の判断として議決延期請求をしないということにしたのでしょうか。』

『(答)日本銀行が責任を持って金融政策運営の判断をされたということですね。その日銀の判断を尊重するということです。』

そして別の質疑を受けたあとに、またまた本件が蒸し返されるのでした。

『(問)蒸し返すようで恐縮ですけれども、どうして議決延期請求を行使しなかったのですか。日銀の判断を尊重するというのはわかるのですけれども、それは結果ですからね。結果をもって結果の説明をされても困るので、どうして行使しなかったのかですね。恐らく程度問題だと思うのですけれども、議決延期請求権と意見表明との間というのは。その程度の違いがそこまでは及んでいなかったという理解でいいのでしょうか。』

『(答)意見は表明いたしましたが、金融政策運営は、9名の日銀の審議委員がご判断なされることです。その御判断を尊重するということですね。』

これでは埒があかないと思ったのかこれ以降は本件の質問はございませんでした。しかしこの「意見は強く表明したが、判断を尊重して議決延期請求をしない」というのは全く訳判らん。ただのアリバイ工作としか思えんし、岩田副総裁見殺しでキングカワイソスと言ったところでございますけど。


ちなみに、7月の利上げの時には財務省出席者から『ゼロ金利の解除については、必ずしも急ぐ必要はないものと考えている』という意見が表明されましたが、このときはどういう話になっていたかというのは7月会合の議事要旨にこのように記載されています。

『しかし、仮にゼロ金利が解除される場合には、実体経済との関係では、景気回復を持続的なものとするため、ゼロ金利解除後も、引き続き十分に緩和的な金融環境を維持することにより、経済をしっかりと支えることが重要と考えている。また、市場の安定の確保も重要である。具体的には、市場は憶測で動いて不安定になることもあるので、金融政策の先行きの考え方や道筋について、丁寧に説明して頂く必要があり、特に、今後の利上げが連続的なものとなるわけではないというメッセージをきちんと発信して頂きたいと考えている。加えて、長期金利を含めた金利全般に目配りして頂き、長期国債の買入れ額については、現状を維持することが必要であると考えている。』

ということで、具体的にこれらの条件を満たしていることから財務省としては日本銀行の判断を尊重するという事で、これは話の筋が通っておりますわな。今回の内閣府出席者の表明した意見が記者会見でペーパーとして配布されてるようなのですが、ちょっと見つからなかったので、まあ来月の議事要旨公表で読んで見ますかといった所です。


○忘れる前にネタメモを

・レポ指標レートに関する検討ワーキング・グループ第1回会合(2月23日)資料
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/tanki0702f.htm

この資料を見ると今後に大いに期待できますな。まあメンバー見た時にこれならちゃん実務に即した話になるなと思いましたよ。


・「イエコノミー・シンポジウム」における福井総裁基調講演要旨
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0702c.pdf

株式などに投資しましょうというのなら量的緩(ry


・有担保コール取引の担保掛け目見直しについて
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/tanki0702e.pdf

バーゼルU対応


・「独立性尊重すべき」 自民内に利上げ容認論
http://www.sankei.co.jp/keizai/kinyu/070226/kny070226001.htm

何か両論併記みたいな会合だったと仄聞しておりますが、何か党内の主導権争いが微妙に絡んでいるような気もするので、どうなんでしょうかねえと思うのでした。





2007/02/27

お題「1月決定会合議事要旨」

本題の前に昨日の補足を。

○昨日の補足ですが

中川幹事長のWebで内閣府からの意見表明があったという話が出てたのをネタにしましたが、金融政策の変更があった場合などのように政府としても説明責任を果たすべく、対外説明をする旨決定会合の席上で説明するんですな。具体的には例によって昨年7月14日の議事要旨ですけど。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060714.pdf

こちらの14ページ(ファイルでは15ページ目)にある採決結果の後に政府の出席者から『なお、政府からの出席者は、本日の政府の対応については、本日中に公表する予定であると付け加えた。』とございますな。このときの政府出席者からの見解についても改めて読んで見ると味わいがございますな。

で、財務省の対応については当日に田中和徳財務副大臣が会見をして「これは確かに仰せの通り」と思った(財務省のサイトに会見要旨があります)のですが、内閣府の大田担当大臣の会見要旨は何故かまだ出ておりません(財務省や日銀を標準だと思ってるあたくしとしては内閣府(金融庁もそうだな)ってこの手の情報公開が遅いって思うんですが)ので、まあどういうロジックで議決延期請求を提出しなかったのかを楽しみに待ちたいと思います。ちなみに大田大臣の会見要旨一覧はこちらです。
http://www.cao.go.jp/kaiken/0609ota/ota_kaiken.html



ということで1月の決定会合議事要旨。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g070118.pdf

○一人の委員の発言ではございますが・・・・

『U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要』というコーナーがございまして、まあここの部分を12月と比較して色々と読むとか、来月になって出るであろう今回の議事要旨と比較して5名様のご意見がどういうロジックで変化したのかを読むのも面白いのですが、あたくし真っ先に目が行ったのは本文7ページ目(ファイルでは8ページ目)の最後に3行しらっとある部分です。

『資産価格の動向に関連して、一人の委員は、都心の一部ではややバブル的な取引もみられるが、全体としてみれば、実勢に見合った価格形成が行われていると述べた。』(原文では「資産価格」が下線付きです)

この資産価格に関してですが、10月13日の決定会合では「地価」、11月16日の決定会合では「資産価格」に下線付きで言及がございますが(12月は言及無し)、例えば11月の会合では『ある委員は、金融機関の不動産融資に対する姿勢は慎重化する方向にあること、金利上昇にもかかわらず住宅を買い急ぐ動きは乏しく、値上がりは高額物件に限定されていることを挙げ、現在の商業用不動産および住宅に対する需要回復の動きは底打ち後の自然な過程であり、今後も不動産投資が過熱する可能性は低いと述べた。』とございまして、今回は「ややバブル的」という表現になったのは「ほほー」と思いました。

ま、どう見てもそこに値上がりを含めないと収益還元的に話に無理があるだろというのが散見される今日この頃ではございますというのは同意ですが、それを金融政策でどうこうするのはちょっと。あえて言えばブルーデンスの方で個別対応する話でしょうかねえ。。。。。


○展望レポートの中間評価

『一人の委員は、わが国の景気は、昨年10月の展望レポートで示した「見通し」に概ね沿って推移していると考えられると述べた。』

理由に関してはその直後にありますが、要するに過年度のGDP改定で発射台が上っているだけですから無問題とのこと。

『これに対し、ほとんどの委員は、景気は、昨年10月の展望レポートで示した「経済・物価情勢の見通し」に比べて、これまでのところ、天候要因等一時的な下押し要因もあって個人消費を中心に幾分下振れていると考えられると述べた。』

でも発射台が上ってることも考慮しないとね、とのこと。

『一人の委員は、「見通し」に沿った景気の拡大や物価の上昇が実現する時期が後ずれしており、先行きの経済・物価の展開については不確実性が依然存在していると付け加えた。』

途中をめんどいので端折りましたからこの「一人の委員」(たぶん岩田副総裁)が景気弱気みたいな引用になっちゃいましたが、中身をもうちょっと読みますと、不確実性についての言及であって、先行き弱気というまでではなさそうです。

ここを読むと、景気にやたら強気の人が1名いて、慎重な人が1名(岩田さん)いるというのは把握した。


○利上げ提案をした人のロジック

本文9ページ目から。

『次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、何人かの委員は、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標をこれまでの0 . 2 5 % 前後から、0 .5 % 前後へ引き上げることが適当であるとの見解を示した。』

『これらの委員は、最近の経済指標の動きが経済のメカニズムについての評価を変えるものではないことを踏まえると、今後とも経済・物価が望ましい姿で推移していくためには、ここで政策金利の調整を行うことが適当であり、こうした措置は長い目でみて物価の安定と持続的な成長に資するものであるとの考え方を示した。』

『これら委員は、現行の政策金利水準を維持した場合のリスクとして、金融政策面からの刺激効果が強まり過ぎる可能性や、低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が強まる可能性を指摘した。』

ということで、まあ今までの「緩和的な環境を保ちながら、経済・物価情勢にあう金利水準まで政策金利を徐々に調整する」というロジックに則ってまして、リスクとしての第2の柱を見ているという理屈ですわな。

あたしゃ別にそんなに急いで利上げしなくてもいいんじゃねえのかという気はする(どっちかというと引っ張ってからドカドカ上げるというスタンスの方が長期金利が経済情勢を反映して上りやすくなるようにも思えますし)のですが、まあこれはこれで一つの理屈なんでしょうなあとは思うのでした。要するに正常化路線(会見要旨見てると福井総裁が無茶苦茶嫌っている表現のようですが^^)ですわな。


○利上げを見送った人のスタンス

『これに対し、多くの委員は、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.25%前後で推移するよう促す」という現在の金融市場調節方針を維持することが適当であるとの見解を示した。』

『これらの委員は、海外経済の拡大を背景とした輸出の増加を起点とする生産・所得・支出の好循環のメカニズムに変化はないと判断されるものの、このところ強弱様々な指標が出ていることから、今後公表される指標や様々な情報を引き続き丹念に点検し、経済・物価情勢をさらに見極めることが適当であるという考え方を示した。』

『これら委員は、フォワード・ルッキングな金融政策運営を行っていく上では、先行きの見通しに十分な確信を得ることが重要であり、現時点においては、そうした確認作業を行う時間的な余裕があるとの考え方を示した。』

うーむ、そして1月会合後に出た経済指標でそんなに強い先行指標ありましたっけというツッコミをしたくなるのはあたくしだけではありますまい。ってか1月時点で確認作業を行う時間的余裕があるのでしたら2月もあったような気がするんですけどね。

『このうち複数の委員は、こうした確認作業を経て経済・物価の先行きが見通しに沿って展開していくことについて十分な確信が得られた段階では、遅滞なく政策金利の調整を行い、低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着しないようにする必要があると付け加えた。何人かの委員は、今後のチェックポイントとして、米国をはじめとする海外経済の状況、家計部門の動向、物価を巡る環境などを挙げ、これらの分析を通じて、将来の経済のトレンドを的確に判断していくことが重要であるとの考え方を示した。』

ほうほうさようでございますか。このあたり2月にどのようになっているのか興味深いでございますよ。ワクワク。


○情報発信問題

『この間、金融政策運営に関する情報発信について議論が行われた。多くの委員は、このところ政策変更タイミングに関する市場の予想が大きく変動したことを踏まえ、市場との対話のあり方について問題を提起した。』

案の定キタコレ。

『何人かの委員は、フォワード・ルッキングな金融政策運営という表現が、一定のスケジュールに基づく政策運営と誤解されているのではないかと指摘した。この点に関して、委員は、金融政策運営は、あくまで毎回の金融政策決定会合において経済・物価情勢に関する議論を尽くした上で判断すべきものであり、一定のスケジュールやインターバルに基づくものではないという認識で一致した。』

そうではなくて「経済物価情勢に応じて徐々に金利水準の調整を行う」というロジックとフォワードルッキングのコンボが原因だと思うのですけど、それを言い出すと現行の政策ロジックの修正になりますからねえ。と思ったらその次にこんな話が。

『また、何人かの委員は、フォワード・ルッキングな金融政策運営を行う上では、それまで得られた指標や情報を丹念に分析し、先行きの経済・物価情勢を適切に判断することが前提となると述べた。これらの委員は、展望レポートで記述した「経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行うことになる」という金融政策運営方針について、より一層の理解を求めていく必要があると述べた。』

ですからそれを説明していただきたく・・・・

『こうした議論を経て、委員は、1.日本銀行としては、金融政策運営に当たって、時期を予め特定化する考え方は採っていないこと、2.金融政策運営に当たっては、足もとまでの指標や情報を丹念に分析し、それをもとに先行きの経済・物価情勢を展望していくべきであること、3.その意味で「フォワード・ルッキング」と「データ・ディペンデント」は矛盾する概念ではないこと、4.これらの点について丁寧に説明していくことが重要であること、を確認した。』(原文は○数字です)

うーん、判ったようで判らん話ですな。

『あわせて、情報発信に当たって留意すべき点についても意見が述べられた。複数の委員は、市場との対話を行っていく上で、市場参加者等から、日本銀行の金融経済情勢の判断や金融政策運営の基本的な考え方に関する理解を得られるよう努めていくことが重要であり、その際、決定会合での議論を経て政策委員間で共通の認識になっている内容を基本とすべきであると付け加えた。』

うん、この点は重要ですな。まあカラーが全然出ないのも困りますけど、あまり突拍子もない話をされても困るので。


ということで、例によって金融政策の部分を中心に読んでみました。







2007/02/26

お題「総裁記者会見(続き)/その他」

「即ち安倍総理は民意」という発言だけ切り取られて報道されると「どんな個人崇拝だよ」と言いたくなっちゃいますが、前後の文脈を読まないと何とも言えませんな(苦笑)。

ということで記者会見以外の話を先に。

○GCレート下がらずもFBやCP等には買いですか

先週末の市場ですが、レポのGCレートは妙に下がらずの巻で0.60%を超える水準での推移になっておりましたが、その一方で不透明感払拭でCPは大発行祭りとなったようです。特に金曜は事業会社系の発行もかなり多くなったようですが、大量発行(ブルームバーグニュースが市場推定として報じたのは6000億円超とのこと)に対しましての買い意欲もまた強く、期内償還(=1か月)ものの最上位格で0.58%〜0.59%の水準になっていたようで、何と足元のGCレートよりも低い水準。

これはまあ「皆さん随分と待機してたんですね」という感想に加えまして、現在の足元GCレートの高止まりはまあ一時的だという認識なんでしょうねという事(積みがエラク進捗してるので、3月前半になったらどこかで足元金利が下がるのではという意識はあるでしょう)なんだと思いますが、単に何も考えてないだけのような可能性もあるので注意(苦笑)。

3か月ものFBも0.60%までは中々上昇せずに小確りという感じのようので、まあ何だかんだと言いましても、目先の不透明感が払拭され、ついでにまあ暫く利上げが無いでしょうってなもんで、買いが絶賛大復活ということなんですかな。本日はスポット渡しが月末になるのでCP発行祭りが継続するものと思いますが、この調子なら極めて順調に消化されるでしょうな。


○議決延期請求をしなかったのは何でなんざんしょ?

中川秀直自民党幹事長のサイトの22日付けの記事ですが。
http://www.nakagawahidenao.jp/pc/modules/wordpress0/index.php?p=458

ま、結果責任がどうのこうのという話に関しては会見でも言及してまして、まあ左様でございますなと思います。とは申しましても、個人消費が弱いとか言ってるのに定率減税を廃止するような政府の施策もある訳でして、個人消費が弱いから利上げすんなというのはその通りにしても、それなら定率減税廃止(および社会保険等の負担増)と法人の実質減税をセットにする政府の経済政策は華麗にスルーというのは如何なものかと思いますけれども。

で、その話ではなくて、気になったのは『―中川の眼―』の冒頭部分でございます。

『昨日の政策決定会合で政府の代表者は「デフレから脱却するかどうかの正念場で利上げを急ぐ局面ではない」といったにもかかわらず、利上げをした理由について、日銀はよく国民に説明してほしい。それこそが政府・日銀の認識の共有化をさらに深めることになる。』

で、疑問なのですが、「利上げを急ぐ局面ではない」という認識なのなら何で議決延期請求をしなかったんでしょうか。あたくしには全く理解致しかねるのですが・・・・・・

上記の言い回しも微妙でして、一読すると「決定会合での席上で政府出席者が利上げを急ぐ局面ではない」と言及し、政府の反対を突っぱねて利上げたように読めちゃいますが、よくよく読みますと「代表者」が言ったのは必ずしも席上では無いのかも知れません(というかそもそも決定会合の席上での発言要旨に関しては議事要旨公開まで非公開なんですが)し、まあそれならそもそも論として議決延期請求を出すはずでしょって感じですが。

(翌日に追記の補足をしています)

以下総裁記者会見の続きです。

○市場との対話ねえ・・・・

市場との対話に関する質問に対する総裁のお答え(3ページ)より。

『(前半割愛)こうした枠組み(注:合議制での決定)において、具体的な政策のタイミングを予め示唆することはあり得ないし、そうしたことをすると、市場の持つ経済・物価観を読み取ることができなくなってしまいます。つまり、私どもとして、双方向のコミュニケーションをしようとした場合、私どもからみて市場はもはや鏡ではなくなってしまうわけです。市場との対話を双方向の有意義なものとするためにも、是非こうした仕組みであることの理解が一層浸透して欲しいと思います。』

ほほうなるほど。確かに政策の「タイミング」につきましては決め打ち発言はしていないかも知れませんが、どう見ても過去の実績においては「地均し」のような発言などあったと存じますが、そのあたりはまあ相変わらず都合よく話しますなあという感じです。

『私の個人的な感想をあえて一言付け加えさせて頂くと、本日の決定に至るまでの直前の状況まで市場は、憶測に振り回されることなく、懸命に織り込むべきところは織り込んでこられたと感じています。』

織り込みようが無かったので(0.25%+0.5%)÷2とかやっていたんですけど。そもそも政策決定のロジック構成が明快なら憶測もへったくれもございませんですけどねえ。

『政策措置の決定以降、まだ時間的経過が非常に短いのでよくわかりませんが、市場の不規則なリアクションは今のところまだ出ていないということからも、そのことが窺えると思います。』

債券先物の21日の日中足でもご覧になられたほうが吉かと。


16ページ目の最後の方でまた質問がありまして、それに対する総裁の答があるのですが、質問が中々ふるっているの質問から引用します(^^)。

『(問) 市場との対話についてお伺いします。総裁は先程、「経済指標を受けて市場が金利形成をしていくことが日本銀行にとって鏡となる」というお話をされましたが、今回の金利形成をみていますと、今回やるかやらないか五分五分という程度であったと思います。出てきた経済指標が決め手を欠くものであったからだと思いますが、実際にフタを開けてみると、金融政策決定会合の多数決は8対1と圧倒的な多数で利上げに賛成されました。このところ、日本銀行と市場との間で、経済・物価情勢に対する見方にズレが生じてきているのではないかという印象を受けますが、総裁のご意見を教えて下さい。』

『(答) 私も市場のすべてを知り尽くしているわけではありませんので、正確性を欠くことを惧れますが、重ねて申し上げると、それぞれの市場参加者が持っておられる経済・物価情勢の判断と私どもがお示しする判断との擦り合わせの中で、願わくば市場金利の形成を進めてもらいたいと思います。(この段落部分以下割愛)』

『(前の部分割愛)しかし、経済指標が強弱入り乱れる中で市場参加者の判断が全く欠けていたかというと、やはりそれぞれお持ちであったのではないでしょうか。その証拠に、私どもが本日結論を出した後、市場が非常にサプライズしたかというと、おそらくそうはなっていないのではないかというところにも、もしかしたら現れているという気がします。先程も申し上げました通り、措置を発表してからまだ時間の経過が短いものですから、そこまで私が踏み込んで良いかどうかわかりませんが、とりあえずそのような感じを持っています。』

いやあのそうじゃなくて全く読みようが無かったから短い所の金利は織り込みが半々だったんですし、長いところの金利はどっちかというと「利上げしたらその次上げられないからプギャー」って感じになってたと思うのですけど。


ということで、どうも「市場との対話」に関しては我田引水の香りが物凄い勢いで漂って来るのが福井総裁クオリティ。相変わらずでございますなあという感じです。

#で、他の話をしそこないました。記者会見での発言その他とか、有担コールの掛け目変更とか日経だかの講演会で総裁リップサービスしてますなとか、何か幾つかあるんですけど





2007/02/23

お題「総裁記者会見その他」

○会見の前にNHKリーク関連の訂正&補足

NHKが議長提案のリーク報道をしたという話を昨日しましたが、ちと勘違いしている事がありましたので訂正&補足をば。

昨日は決定会合の公表文に書いてある政府出席者の出席時間(の空白時間)を議事中断時間ではないかと申し上げましたが、よくよく考えたらこの時間帯は採決のお時間でした(採決の時には政府出席者が退席する)。政策委員の出席時間がシームレスになっていて、政府出席者の出席時間に中断時間があるのはそのせいでした。誤解してたので訂正致します。

んじゃあいつ議事が中断してたかと言いますと、これは決定会合議事要旨が出れば正確に判るのですが、7月の実績から勘案すると採決の30分程度前と勝手に類推しておきましょう。

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g060714.pdf
の本文10ページ(PDFファイルでは11ページ目)の最後のあたりから記述がございます。

『議長が金融市場調節方針の変更についての議案を取りまとめたことを受け、財務省および内閣府の出席者より、議案への対応について政府部内の意見を調整し、また、必要に応じて財務大臣および経済財政政策担当大臣と連絡を取るため、会議の一時中断の申し出があった。議長はこれを承諾した(午後0時39 分中断、午後1時00分再開)。』

ちなみに、決定会合の結果公表文書では
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/k060714.pdf
の2ページ目にありますように政府出席者の出席時間は『9:00〜13:06、13:14〜13:30』となっております。


まあいずれにせよ、量的緩和解除、ゼロ金利解除、追加利上げと3回連続でNHKがリーク報道してるわけでして、どこのおしゃべりが漏らしてるのか存じませんが、いい加減にして頂きたいものです。漏らす方も漏らす方だし、報道する方も報道する方だと。特に今回に関しては前2回と違って「やるかやらんか判らん」状態だったんで尚の事血圧上昇ですよ。

どうも記者会見で突っ込む人はいなかったように見えますが、是非次回の定例記者会見で突っ込んで頂きたいものです。



という訳でやたら長い総裁記者会見に参ります。

会見要旨はPDFで23ページの大量物件でして、全部読んだのですが、紹介箇所大杉ですがな(悩)。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0702c.pdf


○一応第1の柱で政策変更したことになっております

昨日ご紹介したように、公表文を読みますとどうもこう第2の柱の説明の方が利上げの理屈として話が通っているように見えるのですけれども、さすがに会見を読みますと第1の柱で政策変更したことになっております、そりゃまあ当然ですわな。4ページ目の質問で「1月と2月にどういう変化があったんですか」という趣旨のツッコミに対して。

『1月と2月の間に出てきた新しいデータだけで判断したのではありません。決定会合の都度、その時点で入手可能なすべてのデータ、情報をもとに判断を積み重ねていくと申し上げています。(中間割愛)これまでの丹念な分析、検討の積み重ねの結果としての本日の判断ということであり、1月と2月の間の新しいデータだけで大きく判断が左右される度合いは相対的に小さいと思います。』

『ただそうは言っても、新しいデータについて申し上げると、海外経済の面では、米国経済がソフト・ランディングに向かう可能性が幾ばくか高まったことは、おそらく世界共通の認識だろうと思います。(以下内訳部分割愛)』

『国内については、2006 年第4四半期の主な指標が出揃いました。(これまた内訳部分割愛)なお、物価面について申し上げると、消費者物価、特に生鮮食品を除く消費者物価は、原油価格の動向などによっては目先前年比ゼロ近傍で推移する可能性がありますが、より長い目で消費者物価の動きをみると、設備や労働といった資源の稼動状況は高まっており、今後も景気拡大が続くと考えられることから、基調として上昇していくと判断しました。あくまでも、こうした判断は、それ以前のデータとつなぎ合わせて先行きの経済を描き直してみる、そういう判断のプロセスを経て本日の結論に至っているということです。』

ということで、冒頭の説明でもそうでしたが(そこまで引用すると長くなりすぎなので割愛します)、会見のテキストを読みますと第1の柱にもとづいて利上げをしましたという風になっておりますわな。


○でもホンネはどうなんでしょ?

素晴らしいツッコミが12ページ目にございます。

『(問) 今の質問とも多少関係しますが、2つの柱についての質問です。ゼロ金利を解除した7月の場合は、2つの柱のうち、主に第1の柱にもとづいて行われたものと理解しています。(長いので途中割愛)今回の2度目の利上げについて、今回は第1の柱なのか、あるいは第2の柱なのか、どちらにもとづいてなされたのかというのが質問です。(また割愛)今回については第1の柱なのか、第2の柱なのか、明確にお答えするのは難しいかもしれませんが、仮に第2の柱だとすると、今後の金融政策についても市場の関係者は「次からはこういう考え方をするのか」という参考になると思います。』

『(答) 今の質問には、ややフェアでない部分があると思いますが、先程のお尋ねは市場の歪み、ないしは円キャリー・トレードに関連した質問でしたから、第2の柱の範囲内で答えたまでで、第2の柱に絞って今回判断したということを申し上げたわけではありません。今回の政策変更は、あくまで2つの柱による点検を踏まえたものです。(以下割愛)』

『(問) 確認ですが、2つの柱の両方とも踏まえたということでよろしいでしょうか。』

『(答) その通りです。本日の公表文「金融市場調節方針の変更について」において、基本的に第1の柱、つまり「先行きを展望すると、生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、緩やかな拡大を続ける蓋然性が高い」と述べています。そしてまた、「仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、行き過ぎた金融・経済活動を通じて資金の流れや資金配分に歪みが生じ、息の長い成長が阻害される可能性がある」と、この2つのことを述べています。そして日銀としては「2つの『柱』による点検を踏まえた上で」と明記しておりますので、この公表文でも明確にさせて頂いたつもりであります。』

ということで、まあ一応原則論に話を引き戻しておりますが、やっぱ「第2の柱」ですかそうですかと申し上げたくなるのはあたくしの意地が悪いからですよきっと。


○正常化路線というのを物凄い勢いで否定

いやあのあたくし思うに中立金利水準への正常化路線(かつてのFRB方式)でメジャードペースの利上げって方がこの際すっきりすると思うんですけどねえ(ただしその理屈だと何でこのタイミングで正常化開始するのと言われるから出せないというのも判らんではないのですけど)・・・・

6ページ目の最後からしつこく正常化について質問するあたくしのような人がいます。

『(問) 昨年の量的緩和政策の解除の際には、消費者物価(除く生鮮食品)でプラスが維持されるといったわかりやすい目途があったのですが、今回はそのようなわかりやすい指標がありません。本日の利上げは、いわゆる金利の正常化を優先したための判断と考えてよろしいのでしょうか。』

『(答) おっしゃった金利の正常化が一体何を意図されておられるのかわかりませんので、直接的にはお答えしにくいのですが、(途中の大部分を割愛しちゃいます)。やはり、フォワード・ルッキングに先々の経済の展望は何かということを明確につかみながら、より望ましい金利水準を遅からず早からず設定していくという、量的緩和政策を続けている時よりも、はるかにダイナミックな判断が必要な状況になったということではないかと思います。』

『(問) 望ましい金利水準の設定というのは、正常化を模索するプロセスと考えてよろしいですか。』

『(答) 正常化という言葉で何を言っておられるかよくわかりません。』

『(問) 中立金利と想定される水準まで引き上げる過程とした場合です。』

『(答) 経済は日々変わっておりますので、何か固定的に計算式をもって事前に中立的な水準を想定し、それを目指して一定のスケジュール感をもって金利を引き上げるというようなお尋ねであれば、そういうことはないということです。』

何かここのやり取りを見てますと、正常化路線ってロジックは日銀総裁が福井さんのうちは出てこないように見えますな。


えーっと、他にも読むところあるんですが、時間(すいません昨日呑み過ぎて寝坊しました)と量の都合上ちょっと本日はこのあたりでご勘弁ありたし(ネタの温存という説もありますが^^)。






2007/02/22

お題「利上げしちゃいましたね」

まあ今回の利上げが「失敗にならない」ことを「日本経済」の為に祈りたいと存じます。

で、総裁記者会見に関しては今日テキストが出ると思いますので、それを読んでから書くということで、というか本日は月報および昨日起きた出来事に関する雑感です。まずは決定会合の結果&月報を。


○どう見ても第2の柱です。本当に(略

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/k070221.pdf

今回の政策判断の理由が出たわけですが・・・・

『3.会合までに明らかになった内外の指標や情報をもとに、日本経済の先行きを展望すると、生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、緩やかな拡大を続ける蓋然性が高いと判断した。すなわち、米国経済など海外経済についての不透明感は和らいでいる。そのもとで、企業収益の好調と設備投資の増加が続くとみられる。個人消費については、昨年夏場の落ち込みは一時的であり、緩やかな増加基調にあると判断される。』

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)は、小幅の前年比プラスとなっており、原油価格の動向などによっては目先ゼロ近傍で推移する可能性がある。もっとも、より長い目で消費者物価の動きを見通すと、設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、今後も景気拡大が続くと考えられることから、基調として上昇していくと考えられる。』

目先消費者物価ゼロ近傍の可能性ありますが、将来的には上昇するのでというのもちょっとアレな理屈だと思う訳ですけれども・・・・・

『4.経済・物価情勢の改善が展望できることから、現在の政策金利水準を維持した場合、金融政策面からの刺激効果は次第に強まっていくと考えられる。このような状況のもとで、仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、行き過ぎた金融・経済活動を通じて資金の流れや資源配分に歪みが生じ、息の長い成長が阻害される可能性がある。』

『日本銀行としては、2つの「柱」による点検を踏まえた上で、経済・物価が今後とも望ましい経路を辿っていくためには、この際金利水準の調整を行うことが適当と判断した。この措置の後も、極めて緩和的な金融環境は維持され、中長期的に、物価安定を確保し持続的な成長を実現していくことに貢献するものと考えている。』

という文言を読んでおりますと、どう見ても「第2の柱」による利上げですなあって感じです。これなら正常化路線を前面に出した方がまだ話がすっきりするというものです。本来的には第1の柱(引用の3.以下の部分ですね)で利上げするもんじゃないんですかねえと思うのですが。

ま、4月の金融経済月報あるいは今後の議事要旨の中でロジックの立て直しが模索されるんでしょうけど。物価安定の理解+第1の柱+第2の柱というセットは理屈的に混乱しやすいように思えるのでした。


○判断が前進してない金融経済月報

えーっとですな、昨年7月にゼロ金利解除をした時の金融経済月報はそれはもうノリノリでして、何か物凄い勢いで威勢の良い内容に判断が大前進してたんですよね。で、今回はどうなのかと申しますと、何かこうしょんぼりしちゃいますなって感じがするのは気のせいであろうか・・・・

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0702.htm
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/gp/gp0701.htm

例によって上が今回、下が前回の金融経済月報。で、前回と表現が変った箇所は5点ございます。

・景気の現状判断部分の要因部分

公共投資
『公共投資は、足もと幾分増加しているが、基調としては減少している。』(2月)
『公共投資は減少傾向にあるが、』(1月)

個人消費
『個人消費は、底堅く推移している。』(2月)
『個人消費は、やや伸び悩みつつも増加基調にある。』(1月)

何かどー見ましても判断が上向いてる感じがしないのですが・・・

・物価の現状判断部分

『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスで推移している。』(2月)
『消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、プラス基調で推移している。』(1月)

まあここはそうなりますわな。

・物価の先行き部分

国内企業物価
『国内企業物価は、国際商品市況の反落の影響から、目先、弱含みで推移するとみられる。』(2月)
『国内企業物価は、国際商品市況の反落の影響から、目先、弱含みないし横ばいで推移するとみられる。』(1月)

消費者物価
『消費者物価の前年比は、目先、原油価格反落の影響などからゼロ近傍となる可能性があるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』(2月)
『消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想される。』(1月)

いやー、どう見ても先行き見通しが下方修正されてるんですよね。まあそういう見通しになるのは衆目の一致するところではあるのですが、先行きの見通しが強くなってないのに利上げするってのも何だかな〜って感じ。いやまあ利上げをすることによって景気拡大のスピード調整が行われるから先行きを見通しが少し弱くなりますって理屈なら兎も角、今回はそういう感じでもないしなあ・・・・

ということで、やはりどう見ても第2の柱がメインの利上げです。本当にありがとうございました。



さて、昨日起きたことのクリップや雑感などを以下に。

○またNHKのリーク

NHKが「議長提案で利上げが提案された」というようなテロップを打ったのが多分(というのはNHK見てなくて他のベンダー情報を見たからでして、債券先物の歩み値を見て想像するのですが)12時42分か43分のようでして、当初は「また中断時間か」と思ったのですが、先ほどご紹介した決定会合の決定事項公表文書の最後の方にある時間を見ますと政府からの出席者の出席時間が(9:00〜13:30、13:38〜14:15)となっている所を見ると(追記:この部分ですけれどもちょっと勘違いしてた部分があり、翌日に補足説明と訂正を入れていますのでそれもご確認されたし)その前のニュースですわな。よって会議場で何か動きがあったから決め打ち報道したって訳でもなさそうな感じ。

まあ中断時間かなとか思ってた人は多かったので、何でこんなに結果が出るのに時間が掛かる(実際はその45分後に中断になってたんですので勘違いするのは当然)のかと不思議に思っていた向きもあったんじゃないかと思いますがそれは兎も角。

えー何でNHKはこの情報を入手したんでしょ。情報源に関して調査していただきたい訳でして、今回はNHKの報道があってから駆け込みロンバートで信用機構局の皆さんヘロヘロになったんではないかと思います(今回で最後ですが)。ってそれが問題なのではなく(追記:ロンバート駆け込みを可能にしたのは銀行に対する事実上の便宜供与に当たるのではないかとの指摘があり、確かにその点はその通りです。この部分かいてるときは単に「信用機構局の仕事が爆発して大変でしたなあ」程度の感想しかなく、それよりもリークで債券先物とかが派手に動いた方の記憶が生々しかったもんで)、今回みたいに「やるのかやらないのかさっぱり判りましぇん」という状態でのこの記事は如何なものかと思いますわな。所謂一つのサイダー(法令上厳密に言えばこれはいわゆるサイダーにはならないんですが、道義的にはどう見てもサイダーですなあ)じゃないんですかねえ(怒)

まったく血圧が上昇するというものです。


○アリバイ発言をする閣僚はいかがなものか

決定会合の結果を受けての閣僚コメントを見ておったのですが、その中で大変に血圧の上昇するコメントが2本見つかりました。

渡辺行革担当相:日銀総裁の説明責任は極めて重大だ
2月21日(ブルームバーグ):渡辺喜美内閣府特命大臣は21日午後、国会内でブルームバーグニュースの取材に対し、日銀が追加利上げに踏み切ったことについて「福井日銀総裁の説明責任は極めて重大だ」と語った。
(ブルームバーグニュース21日14時36分)

大田経財相:「決定内容咀嚼しておらずコメント控える」−日銀利上げ
2月21日(ブルームバーグ):大田弘子経済財政担当相は21日午後、日本銀行が追加利上げに踏み切ったことについて、「先ほど報告を受けたので咀嚼(そしゃく)していないのでコメントは控えたい」と言及を避けた。その上で「後ほど記者会見でお話しする」と語った。(ブルームバーグニュース21日15時51分)


えー渡辺大臣様、「説明責任が極めて重大」っていうことは説明が足りませんってご認識だと思うんですが、説明が足りないのであれば、国務大臣として議決延期請求を提出するように働きかけるべきではなかったんでしょうか。主務大臣じゃないってのは言い訳にならないでしょ。行政権の行使は内閣(=内閣総理大臣+国務大臣)の連帯責任ですがな。

いやこれで政府が議決延期請求を提出した結果としてこういうコメントが出てくるなら判るんですが、まるでこれではやることやらず、出るとこに出ずに、人の背中越しに勝手な事言ってる連中(サラリーマンやっておりますとよくそういう輩に出くわしますなあ)と変らんじゃねえのと思う訳です。

大田さんの方はもっとビックリなんですけど、大田さん主務大臣ですよね。あなた様が「咀嚼してない」利上げだったらそれこそ議決延期(以下同文)。ま、「後で記者会見やるから今はコメントできない」って言いたくてそういう発言になってしまったと思うんですが、何かこの発言からは当事者意識を感じ取れない訳で、正直激しく絶望いたしました。何かこう閣僚の発言が軽いんですよね。困ったもんだ。。。

ちなみに自民党方面からも当然声は上っておりますが、中川幹事長は「日銀は説明責任だけでなく結果責任を負うものと考えている」と結果責任について言及したのは(今までの発言からして当然出てくると思いましたが)さすがですなあという感じです。

#あたしゃね、責任や権限のある人が本来やることやらないで安全地帯からアリバイみたいなこと言うってのを見ると血圧急上昇なんですよ


○しかし2年0.8%は如何なものか

昨日の市場では何故か(前日の為替市場で利上げ無しという話になっていたためとの話もありますが)前場に威勢良く債券先物+金先が上昇して変に上昇した為に利上げフライングで急落し、岩田副総裁の反対票(これは筋を通したと思うのであたくし的には評価高い)ということでなのか「噂で売って事実で買う」だったのか知りませんがまた上昇と。まあ振り回されたファンド系プギャーと言った所ですが、終わってみると2年0.8%に5年1.215%ですかそうですか(驚)。

あのですな、足元金利がこれから0.5%になって、ロンバートが0.75%になりまして、GCのレートが大体通常日で0.55%になると思うんですが、2年が0.8%でいいのかの水準と言いたくなるんですけど、それはどうなのかと思うのでした。確かに普通預金金利は0.1%しか上げない(出来上がり0.2%)ですからコア預金見合いという話だとそんなに上らないのかもしれないんですけど、やっぱその金利には首を傾げざるを得ませんな。

そして5年の1.2%というのもかなり驚き桃の木でして、あの事前に全部織り込んでなかったはずなのに利上げしたその日に中期債の引けが前日比変らずってのはそれはどんな需給要因だよと、買ってなかった人のパワーに感心するやら呆れるやら。

ま、これからゆっくりと調整するんでしょうが、当日に入札やった3か月FBが0.56%の引け(引け後もうちょっと弱くなっていたようですが)なんですからちょっとどうなのよって思うのでありました。


#と書いてたらエラク時間が過ぎてしまった(超大汗)




2007/02/21

お題「今日も決定会合に関する雑感で」

材料待ちで超様子見のためネタが(汗)。

○結局織り込みは50%のままで推移と

昨日も国債買現先での資金供給が実施されました。で、この期間が22日〜3月7日で平均落札利回りが0.387%で最低落札利回りが0.38%(按分34.4%)ということで前日から0.01%位上昇したような感じ。まあきっとこのレートは(0.25%+0.50%)÷2あたりを意識してるんでしょうなあということで、その意味で言えば利上げ織り込み50%と言ったところですか(^^)。

まあ実際問題としては、何も無い時の国債買現先でこの位の期間のレートは0.30%をちょっと切る位になるものと想定されますので、利上げがあった場合のレートを考えると0.55%をちょっと切るくらいの水準になるのかなあと思うので、その点で言えば利上げ織り込み確率50%をちょっと切るのかもしれませんが(^^)、まあそのあたりに関しては大体50%ですなあということでケンチャナヨ。

共通担保オペは銀行主体で、国債買現先オペは証券主体という違いがありまして、まあ総じて証券の方がレートに関しては厳しいというかしっかりしてるというか(この部署をやってる人たちって証券の方が経験豊富なベテランを揃えてるというのもあると思いますが^^)、まあレートを見て「ほっほー」と思ったあたくしなのでした。

昨日も申し上げましたが、これに対してCPとかのレートの方が利上げ織り込み度合いが高くなっています(1か月弱の上位格付でも0.5%に急接近してるらしい)し、共通担保オペのレートがやや高めに出てるのは、銀行の方が警戒感強いっちゅうか、特に長めの資金の放出を控えているという感じなんでしょうな。



まあそんな訳で、結局今日になっても何も出ません、というか本来何も出ないのがアタリマエなのでして、今までの騒動はありゃ一体全体何だったんでしょうと小一時間問い詰めたい所なのですが、どっちに転ぶかさっぱり判らない→参加者としてはどっちにもポジションを傾けられない→結果として皆さんのポジションが軽くなる→結果がどっちになっても相場に対してショック的な影響を与えない→ウマーとなるのでした。あれ?

まあ金曜にもそんな悪態をつきましたが(^^)、「政策の予見性を高めると市場が安定する」というのがまあ一般的な見解であり、普通に考えるとそーなる筈なのですが、今回のように「全くワカランです完全サイコロ博打状態」となった場合も何故か市場が安定するという画期的事例(笑)が発生した訳でして、まさに天才現るとしか言いようがございません。え、短期的に目先の市場が安定しても意味ないですかそうですか(爆)。


ま、これまた金曜に申し上げましたが、事前に市場に織り込ませようとして政策変更って事例は海外ではあります(というか現にやってますわな)し、そうなるのが美しいんでしょうけれども、まだまだ日本では難しいと割り切って、市場との対話路線として情報発信しまくる(しかもノイズ付き)前に、政策のトラックレコードを積み上げていくことに注力すべきではないかと。いやまあ注力してますと言われそうですが、どうも市場サイドから見ておりますと、市場の期待を誘導しようとしてノイズを撒いてしまうという図になっとりゃあせんかと思うのでした(特に誰とはあえて申しませんが)。


とまあつらつらと雑感を並べましたが、では決定会合関連の当たらない予想を。


○決定会合後の展開予想

現状維持の場合

票決が6対3またはそれより賛成票が多い場合は、まあ素直に債券市場ブルスティープして、擬似的CPI時間軸が復活するの巻になるんでしょう。ただまあその時間軸がどこで外れるのかというのは非常に悩ましい所で、まあCPIの前年同月比プラス幅が3か月くらい拡大続けば正常化の続きをおっぱじめると思いますけれども。ある意味リスクシナリオとしては最初ブルスティープなんでしょうが、利上げが有ったら買おうとしている投資家の皆様沢山いますので、利上げ無しで相場が持ち上げられたまま値持ちしちゃうと「降参の買い」が出てブルフラットしちゃったりするかも。まあここまで我慢してるんだから我慢するんでしょうが。


で、票決が5対4になるとこれが中々香ばしい展開になると思うのですが、「3月利上げですかそうですか」となるので、まあ超短期の3月決定会合までの金利は下がるでしょうが、その余の金利はそのまま様子見モード継続と。でも正直様子見になるかどうかもよめましぇん。色々とあちこちで香ばしい展開が見れそうな。


利上げの場合

まあ利上げでも全員一致は無いと思うのですが、いずれにせよ「利上げして相場が下がったらそこで買い」とやる気満々で待ち構えている投資家様がわさわさおいでですし、「目先の不透明感が払拭」ということで買いが来るんですが、さて売る人はどこにいるのかと思うとこれがまた謎だったりします(まあ現実に短期金利が上昇するんで、少なくともその分現物のベーシスが剥がれると思うんですが)。需給的に言えばそんなに金利が上るとも思えませんし、今回は皆さんのポジションが特に利上げ無しで傾いている訳でも無いので、影響は徐々に出てくるんでしょう。

ここから先は益々妄想モードになるのですけど、まあ「利上げしても、その次はかなり先で、下手したら年内の追加は無いでしょう」というのが市場的コンセンサスだと思いますし、日銀もまあ利上げ後の金利急騰というのは(本来は別に困ることでも無いのですが、変に騒動になると困るでしょうから)好ましくはないでしょうから、その市場コンセンサスに乗っかるようなメッセージが出てくるんじゃないかなあと思っとるんですよ。

でも、量的緩和解除の時を思い出しますと、あの時点でも何となく「ゼロ金利が当分の間続くんじゃないか」というような市場の理解というか誤解があって、金融政策の枠組みに関しても当初は時間軸っぽく理解されたりしてた節がございましたわな。結局4ヵ月後にゼロ金利はあっさり解除された訳ですが。

つーことでですな、今回も利上げした場合当初は「当面次の利上げはないでしょ」ということでベアフラット(下手したら中期以降がブルフラットしちゃったりして)しそうなんですが、どこか(5月を想定^^)で梯子を外されるんじゃねえのと思うあたくしなのでした。だってこの前から言ってますけど、「経済情勢に見合った金利水準への調整」のステージ途上なのに、「利上げしたら目先の利上げ一旦打ち止め」は有り得ない訳でして、そんな利上げだったらしない方が気が利いてるでしょ。となると利上げというのは結局近い将来の利上げも展望できてるからやるって事だと思うんですが・・・・・

#ま、何はともあれ今日は昼から腕まくりと




2007/02/20

お題「さて決定会合ですと言いながら今日も雑談」

訳判らんものの予想をする暇があったら、「こうなったらこう」という絵を描いて構える方が吉ですので、まあ皆さんそんなことをつらつら考えながらの閑散モードではないかと思われ。

#公共放送様も今回はさっぱり判らないようで(^^)

○GCレートなどなおも上昇

昨日のT+3のGCレポですが、金曜に無担保コール翌日物で0.50%などという出合い(そこそこのロット)をやらかした事も効いて、0.45−0.50とかいうような雰囲気からスタートしたようですな。まあ22日スタートだと利上げがあった場合に「じゃあ寝転んでロンバート逝きますか」攻撃が効かないから資金を出し惜しみされるとレート上昇するのかも知れません(21日スタートならとりあえず朝一でロンバートに駆け込めば0.40%で資金を取れます)が、それでいいのかという気も。

と思っていたら、0.45%で出合った後にレートはさすがに低下したようで、そのあとは0.4%台前半に低下したようなのですけれども、それに引っ張られてなのか現先方面の資金の出も悪くなったのか現先利回りとかも結構高めのようでした。まあ例えば0.45%としますと、利上げがあった場合の想定されるGCや現先利回りが0.55%−0.60%(これはあたくしの勝手読みですので念の為)でして、現在のGCや現先の利回りが0.28%−0.33%(利上げ警戒じゃないのを前提で、中心は0.30%)あたりになってますんで、まあそーゆー意味で言えば0.4%台前半で半々、後半だとやや織り込み度合いが高いかなとも言えますな(この水準を想定レポレートから見るのか、コールから見るのかでまた話変りますが)。

まーどっちに転ぶかさっぱり判らないのでこういうレートになるのは妥当っちゃあ妥当なのかも知れませんが、今日のT+3は23日スタートで3日分あるのでこりゃまたややこしい話になりそうですわな。資金出す方も悩ましいから出し渋りたくなるのは判らんでもないですが、要はレート次第(当たり前)。

あたくし勝手に思いまするに、資金出し渋ってる方も利上げを確信してる訳じゃなくて、まあのうのうと資金を出しちまったら利上げになり、爆安レートで放出してましたって結果だと目も当てられないから、「利上げ半々」レートまで上昇しねえと出さねえよと、絞ってるという事なんでしょうな。まあ出し手が少数の大口に偏ってるので、こういう時に力関係がどうしても出てしまうという所でしょう。


○その割には資金供給オペ金利が上らない訳でして

そんな中で行われた昨日の国債買現先オペですが、21日スタートの3月6日エンドで平均利回り0.380%で足切りが0.37%でしたが、この期間は21日は兎も角としてそれ以降全部決定会合後に当たるんですが、これまた低い利回りに見えてしまいます。何も利上げを織り込みまくったレートで取るこたあねえだろうと言うことなのか、単に21日スタートの玉がそんなに無いのか(利上げへの準備しすぎで)よー判りませんけど、このレートには???感が、というか結局参加者って数字に出てくるほど警戒してねえのかな。

まあこのレートもあったからちょっとGCとかが冷静になったのかもしれませんが、このレートを見ると、やっぱりGCの0.5%近い気配とかは過剰反応というか出し渋りのやり過ぎの反映だったんでしょうなあという所で。


○CPレートはだいぶ織り込みになってるようですが

まあお日柄がお日柄ですのであまり月曜はCPの発行無かったのですけれども、上位格付けの3か月物で0.6%近傍まで金利が上昇しており(まあ元々0.55%近くだったので、上昇したと言ってもまあそんなもんですかって感じですが)、ここまで来ると利上げを結構織り込んだ水準に見えて参ります(利上げ後の現先金利水準と3月末期越え+大型連休越えを勘案していい勝負でしょう。勿論2回目の利上げは考えてませんが)。それから1か月物が結構また上昇しているようでして、こちらも0.4%台後半から0.5%近くの水準と、まあ結構利上げを織り込んだ水準(と言いましても、現先金利水準との勝負だと利上げあったら負けですが、利上げ無ければそこそこオイチイ)になってます。

CPに関しては買い手が短期国債と違う(重なる部分も多いですが)ので、まあこれは買い手の違いと、そもそも短期国債のようにジャンジャン流通したり、オペで吸い上げたりという流動性が低いという特徴があるので、最終的な資金出し手の腰が引けると金利も上るし、逆に途中までは金利感応度が低いという特徴もありますな。

まあこの辺りの人たちはちょっと様子見のようですなあ。


#などと短期市場雑談書いてるうちに時間が無くなって来ましたのであとはメモメモ程度で勘弁


○中川幹事長の発言が微妙に前回と違う気が

昨日の国会内での会見のヘッドラインからですので、まあヘッドラインに踊らされてるかもしれませんが(ソースはブルームバーグニュース)、中川幹事長曰く、

−政府・日銀は政策目標共有していると思う
−政府はしっかり与党の景気認識を共有していると思う

以前は「政府・日銀は景気認識を共有すべしって」話をしてたような気がしまして、景気認識を共有する主体が「政府・与党」って何かニュアンスが微妙に違くね?とも思うのですが、単にそれはあたくしの勘違いかもしれません。

#まあ利上げの気配が無いから余裕をかましているという解釈も可能なのですが、ちょっと引っ掛かるのでメモメモ


○ところで票決に関して

まあ明日になってまた考えれば良いのですが、利上げするにしろしないにしろ、その票決が何対何というのでも市場的にはひと悶着あるでしょうな。

6対3で利上げ見送り(前回と同じ)またはそれよりも少ない反対票ならば市場的にはブルスティープ商状になるんでしょうし、利上げの場合でも反対票が幾ら出てくるかによってまた話が違うかもしれないし、あまり気にされないかも知れません。

5対4で利上げ見送りになった場合は結構反応に困るでしょうな。それは「3月に利上げします」というのをかなりの確率で示唆する票決ですが、結構香ばしい光景があちこちで展開されるんでしょうね。


#とおまけ雑談クリップでした。元々が雑談ですが(汗






2007/02/19

お題「金曜の相場から世間話」

○短い所は利上げ警戒して長い所は強いとは

先週末の市場では短い所では利上げ確率50%ですかという動きをしておりまして、長い所はカーブ上では先物が一番強い形で買われたの巻と相成りました。短い所と長いところの反応が思いっきり違うようにも見えますし、実は利上げになったら長いところは材料出尽くしになる(利上げをした場合はその次の利上げを当分しないとのセットになると参加者が信じ込んでおりますんで^^)のでこうなりますよってのを実演してるのかも知れませんが、どっちにしても「いやあ何か対照的ですねえ」という感じ。

ま、実は1月も似たような話をしてまして、1月の場合は利上げ100%織り込みモードになった日に5年国債の入札があって、結構入札は確りだったりしてまして、まあそういう点では似たようなアクションではあるのですが、金曜は何かそういう動きというよりはただの需給っぽい感じでもありますが、まあ兎に角不思議な対照ぶりでございました。

しかし「金利の正常化路線」モードでの利上げをするかもしれませんっていうのを市場が織り込むのであれば、正常化路線即ち連続的な利上げであるので、利上げ懸念で中長期債が強いとかフラットニングするとかいうのはそこだけ見るとどう見ても間違ってる反応なのですけれども、まるで「利上げ最終局面」の如く反応するのは景気に対する市場の見方と政策委員会の見方にギャップがありますよって話なんじゃないかと思うんですけど、そのあたりどう議論がされるのかを見てやりたいですわな。


○しかしあの今月も同じパターンってどうよと思うのですが

先ほども申し上げたように金曜日の短期市場では超短い所の金利が絶賛上昇。準備預金の積み初日で週末挟みの無担保コールレートの加重平均金利は0.362%となりました。3日分の準備預金積みがありますので、お金持ってて準備預金を積まないといけない人が資金を出し渋って、資金取りサイドの人たちが取り上がったという図が目に浮かぶ次第なのですが・・・・・

あのですな、先月の事を思い出して頂きたい訳ですが、先月もGCレートが新しい積み期間入りから上昇して、利上げ100%織り込みモードになった積み初日(1月16日)はコールの加重平均が0.343%でしたわな。確かに利上げ警戒度合いは全然低いですけど、利上げの可能性があると思う人が多ければ(今回の場合は全員が「半々というか丁半博打モードで読みようが無い」と思ってて決め打ち全くしてないだけですけど)、そりゃまあ先月と似たようなパターンになるのは仕方ないと思うんですが、何でこう2か月連続でコール取り上がりになるんだかとオジサンはちょっと呆れてしまうのでした。

と申しますのは、今回に関しては1月と違いまして事前の盛り上がりパワーが乏しく、事前準備をする暇はあったでしょうとあたしゃ思うのですよ。日銀オペのレートで言えば、大盛り上がり前の1月9日の時点で1か月位の期間の共通担保オペとか国債買現先のレートが0.43%レベルまで上昇してまして、そりゃまあ利上げを相当織り込んでおりましたから、そんならまあ無理して資金取らなくても良いかなって思う人が出てくるのは当然でしょうなと思うんですが、今月の場合は先週水曜の国債買現先1か月ものでも平均落札利回り0.325%にしかなってなかった訳でして、事前の利上げ織り込み度合いが1月よりも低いレート形成されてたのに何でお前ら準備しないとその何も考えてないっぷりに対して小一時間問い詰めたいとしか言いようが無いです(まあオペ担保無くてコールしか取れないのなら仕方ないですが、それでもタームとか取っとけよと思いますけどね)。

もちろんきちんと準備をしている人もいまして、「いやー小商いしてまっせウッシッシ」という話も聞こえて来ますし、「別にうちらはそんなところに手間隙掛ける気は無いもんね」というのがお家の事情かも知れませんのでアホバカ言うのは筋違いなのかも知れませんけど、2か月連続で同じように新しい積み期間に入った所の資金取りでハマリコフというのは正直如何なものかと思うんですけどねえ。お前らちょっとその席どけと言いたくなりますが、まあそうやって突撃してくださる鴨大先生がいないとオイチイ思いができませんので、今後ともハマリコフでお願い致したく存じますということで(笑)。


○ところで何で2週連続で金曜の後場からほりゃほりゃと上るの?

って小見出しのまんま何ですが、先週と先々週は金曜に特に何か出たわけでもない(強いて言えば米国の長期金利低下というのは共通項ですが)のに急にほりゃほりゃと債券相場上昇で、どっちも締めてみるとカーブ上一番強いのは先物になっているというまるっきり同じようなパターン。

思いっきり同じような動きというのが実にこう意味不明なんですが、恐らくパターンがこれだけ似てると言うことは同じような手口が原因なんじゃネーノかと勝手に想像するんですけど、いずれにせよ何だかなあって感じではあります。

さっきの「積み期間変った途端にコール取り上がりさせられるの巻」シリーズもそうなんですが、何かこう「短期間でまるっきり同じような現象が起きる」っていうのを見てると、アノマリーを感じるというよりは「もしかしておまいら何も考えてないんじゃネーノ」と申し上げたくなる次第なのでした。特に短期でポジションのでかい人の中でそういう人がいそうな感じなんですが、債券見てても何か妙な感じが漂ってまいりますわな。


○唐突ですが読書室

・戦国時代の大誤解(鈴木眞哉著、PHP新書)

本屋で立ち読みして購入したあと1時間で読了してしまいました。最近の某公共放送大河ドラマで勝手に歴史上の話を作りまくるのにお気づきでない(あたしゃ呆れて最近は全然見てませんが)人たちへの入門書として宜しいのではないかと存じます。まあ逆流の歴史で戦国シミュレーションゲームから戦国歴史に興味を持ったあたくしとしては、最後の戦場における「誤った常識」部分あたりにしか新鮮味は無かったんですが、こういうのコンパクトにまとめているのも良いなあって思います。

ただし、こういうのを読んでから大河ドラマを見ると興醒めになる事は請け合います(歴史を元ネタにしたただの虚構劇場だと思って見れば良いんですけどね)ので諸刃の剣。

なお、本書でも紹介されてますが、より突っ込んだものを読みたい人には以前ご紹介しました「信長の戦争(藤本正行著、講談社学術文庫)」税別1,000円也をお勧め致します。

ISBN978-4-569-65940-4 C0221 \700E


・日米開戦の真実 大川周明著「米英東亜侵略史」を読み解く(佐藤優著、小学館)

日米開戦直後にNHKラジオ放送で大川周明氏が12回にわたって行った講演を出版した「米英東亜侵略史」(第一書房、昭和17年1月出版)のテキストと、佐藤優氏の解説という形式になっております。

まあこちらもアレでございまして、いわゆる東京裁判的史観とは違う歴史について勉強していただきたいと思う人に読んでもらうための本だなあと思う次第でして、あたくし的には大川周明氏の書いている部分は歴史的な部分よりは最近(当時の最近)の事例に関する説明とかで「この話は具体的にはしらなんだ」ってのが幾つかあってほほうと思ったのと、実は大川周明氏の著作って読んだこと無かったので、その点でもほほうと思いながら。平明な書き方するのは頭が相当に切れるからなんでしょうな。

ただまあ佐藤さんの解説部分に関してはある程度の予備知識がある人には若干退屈かなあと思います。

ISBN4-09-389731-X C0031 \1600E








2007/02/16

お題「GDPが出たわけですが」

ご案内の通りGDPはヘッドラインは前回分下方修正を含めても強い数字で、内容に関しては正直あたくし本職じゃないので人の書いたものを幾つか並べて読んだのですが、まあ強かったようですが、さて・・・・

#公共放送様におかれましては「追加利上げ 見方分かれる」というお題になってますね


○これは見事な半信半疑

GDP出た後最初にオファーされたオペは9時半オファーの国債買現先で、期間が2月19日から28日の9日間。この結果をマニアの皆さん注目しておった訳ですが、平均落札レートが0.371%で足切りが0.36%という結果。この時点でGCレート幾らでしたかって言いますとまあ大体0.37%とか0.38%とかって感じだったので、物の見事に足元のGCと同じレート。

で、足元のGCと同じだから利上げを織り込んでないかというとさにあらず(ってか数字みりゃ判りますわな)で、そもそも一昨日の時点から利上げのリスクを見たレートになってまして、仮に21日に利上げがあればこのレートでのファンディングはウハウハですが、なければどう見ても割高です、本当にありがとうございましたレートな訳でして、チョー中途半端な水準なのが中々結構。

#てか(0.25+0.50)÷2=0.375ですかそうですか

午後には16日スタート3月8日エンドの共通担保オペがオファーされてましたが、こっちは平均0.394%の足切り0.39%で、こっちの方がちょっと高いですが、まあこれも中途半端でして、「利上げなんかネーヨ」状態に近かったのが「まあとりあえず半信半疑モード」という水準になったという所ではないかと思います。


で、市場の片隅に棲息するあたくしが見ますと、今月は利上げ云々に関する参加者のポジションが12月、1月と比べて軽くなってるように思えます(一部のオフバランス振り回し組は別^^)。まあ「買わないといけない人は買うし、売らないといけない人は売るけど、そうじゃない人はどっちに転んでも困らないように手当てして様子見」って奴でございますな。べき論の話は別にして(というか理屈で考えれば利上げするとは思えんのだが)市場的には「まあやるならどうぞ、あ、やらなくても別に良いですよ」ってなもんでしょう。


○フォワードルッキングなのにGDPで利上げ観測拡大とは

いやまあ小見出しで終了なんですが(笑)、そもそも過去の実績数字だわ、後から修正される事も多いわという経済指標の内容が良いって言いましてもそれは「過去の実績が強かったですねえというのを確認しました」って事ですんで、対外的な説明としては「ほらこんなに景気が強いんだから金利調整をしてもいいでしょ」って言い易いというのは判るんですが、それはまさにバックワードルッキング(^^)。

結局のところ、複数の本職アナリストの方々が指摘していますように「政策ロジック的にはやれなくても結局利上げするかどうかは気合の問題ですから」ってのが市場的な読み筋になってしまってるんで、「フォワードルッキングな金融政策という枠組みなのにGDP見て利上げ観測が拡大」という実に香ばしい状態になるのでありました。

ということで、12月や1月のときと違って今回は市場自体は一応利上げ観測での動きはあるものの、正直言ってドッチラケムードが漂う中でしらーっと動いてる感じを強く受けるのは、まああたくしの心理的要因で物を見る目にバイアスが掛かっているのはありますけれども(爆)、12月や1月と違って「政策ロジックとして考えても意味ねーじゃん」って雰囲気が漂っているので「気合の問題なんてワケワカランからそれで相場を張るのもアホクサ」という所なんではないかと思うのですが。あと、特に短期のキャッシュ(オフバランスの人たちは知らん)をやってる人からすると、「もう一々動くの疲れたよパトラッシュ」となってるのもあると思いますが(^^)。



○市場との関係で言えばフリーハンドになっている珍現象

という訳で、今回に関しては物の見事に金融政策に関する事前の市場の織り込みが中途半端という実に素晴らしい状態ですわな。12月以降の動きと言いますと毎回毎回「利上げ方向に火が付く」→「火消し」→「火消ししすぎで利上げ無し方向に火付け」→「またまた利上げ方向に火が付く」のドタバタ無限ループだったのですが、今回はどう見ても織り込みが半々、てか織り込みようがないのでどっちに転んでもいいような状態(というか半分困る状態ですか)になっておりますというのはここまで申し上げたとおり。

ということはアレですよ先生、政策ロジックとか市場との対話とかを超越した結果として、市場との関係で言えば今回は見事なフリーハンド状態な訳で(べき論は別ですが^^)、これはこれで金融政策変更(するかどうか知りませんが)によって生じる市場の混乱が起きませんなあという事ですな(苦笑)。何せどっちに転んでも「半分サプライズだけど、半分そうですか」状態ですから同じことという画期的なフリーハンド確保手法(-_-メ)

ま、もうひとつのファクターとして「ど〜せ利上げやってもその次の連続利上げなんぞ出来ないっていうセットになるのは経済物価情勢から言って間違いないでしょ」ってのがあって、その先の金利引上げはど〜せございませんがって考えが大勢だからというのもあるんでしょうけれども・・・・・

あたくし的には「利上げするなら先行き中立水準に向けてメジャードペースでサクサク金利調整をしていきますよ」(暫く前のFRB状態)って言い切れるような経済物価情勢(つーか物価情勢ですか)になるまで今の状態を引っ張って別に何が困るのよという気はするんですけどね。今の「金利調整」ってステージでは「利上げしたらまた次の利上げが展望できますよ」って状態じゃないとそもそも金利調整って利上げする意味ねえんジャマイカって希ガス。


#と、個人的雑感で恐縮至極でございますが、まあそんな感じであたしゃ見ておるのでございますがどうでしょう





2007/02/15

お題「GCレート上昇/尾身財務大臣の会見に良い味わいが」

という話の前に昨日の続き。

レポ指標レートがイラネって事はねえだろうというツッコミを頂戴しましたので少々。

GCレポの翌日物取引ではざっくり言ってスタート日T+0からT+3までの取引というか気配というかがあって(その他にもターム物がありますが)、現在だとT+3のポジションが確定しだした時間帯から取引される(というか気配が出るというか、少々アレな表現で恐縮ですが)T+3のレポGCが一番というか、かなりボリュームが厚いんですが、そーゆー先日付の翌日物取引が何本か動いてる中で指標レートを「一本化」するのはどうでしょうかねえってのが書いてるときの意識(つまりレポ先物を意識してたわけですな^^)でして、冷静に考えればまあ別に1本で指標レートを出す必要も無いわけでして、実態に即した公表をすればそれは問題ない話(というかそれでお願いします)ではないかと思います。

#意味の無いレートが出ても困りますが、ちゃんとしたレートなら出ないよりは出る方が良いに決まってますし、実務担当集めて議論するようですので、ちゃんとしたものが出てくる方策を立ててくれるでしょうと大いに期待

ま、そうなった場合にTIFEEが「レポ先物」として何をリファレンスにするんでしょうねえというのは気になりますが、まあそもそもレポ先物にニーズが集まるとも思えませんので(笑)そんな事などケンチャナヨですわな(爆)。


さて、GCレポレートが急に上昇しやがったのでその辺から。

○今月も出し渋りですかそうですか

てな訳で昨日だと午後から19日スタートのレポ取引が行われるのですが、資金の出し惜しみ攻撃によって0.3%台後半にレート上昇しやがったようで、現先レートなども当然上昇の巻と相成りました。16日スタートの取引(というのは火曜日の午後ですな)ではGCレート0.32−33%くらいだったと思うのですが、まあ確かにやや上昇してたんですが、どっちかというと「新しい積み期間になりましたがまあ普通にGCやってますなあ」という感じだったので、昨日になって急に出し惜しみ攻撃になるのがイマイチ訳判らん(やるなら16日スタートを出し渋った方が3日間積めるからオイチイんじゃネーノ?と思うのだが)のでした。

ここのレートが上昇しやがったので、FBの短い所に影響が出たということになっていまして、2月償還のFBとかが0.35%レベルまで甘くされておりました(当たり前ですけど)。そんな時にFBの入札もありましたので、ちと間が悪いですなあという感じですが、3か月で0.49%の引けはさすがに0.50%を背に買いを集めるでしょ。

そんな訳で、何故か一日ずれたタイミングで今月もまた「決定会合まで準備預金積んでおこう」攻撃が発生してまして、これを見てまたどこぞの経済クオリティーペーパー様あたりが「市場は2月利上げを警戒してる」と妙な盛り上げ記事を書くのではないかという悪寒が致しますが、まあGDPの内容(ヘッドラインの数字が強いというのは織り込んでるので、問題は内容ですよ内容)次第なんでしょうね。

ただ、12月や1月のような「利上げ警戒」というよりは「とは言っても間違って利上げがあった時に準備預金積んでなかったとなるとマズーですわなあ」くらいの感じで誰かが資金出し渋ったらあっという間に横並びって奴だと思うので、あまりそれで外野が騒ぐ必要はない(足元の超短期をいじってる人には大問題ですが)と思いますけど、まー瓢箪から駒が出まくる自己実現性が市場クオリティですので、少々気になるところではあります。

#頼むから今月こそは静かに決定会合を迎えて欲しいです



○最近尾身財務大臣の会見に良い感じの味わいが出ています

就任当初は何か不規則発言の香ばしいものがあった尾身財務大臣でございます(経済企画庁長官時代の「桜の咲く頃に景気回復」発言を武勇伝扱いした国会発言には仰天しましたなあ)が、最近の会見には中々宜しい味わいが出てきております。例えば2月6日の会見。
http://www.mof.go.jp/kaiken/my20070206.htm

『(問)週末にテレビ東京の方で世論調査をちょっと行ったんですが、(途中割愛)7割近くの方が景気の現状が悪いという認識を持っているという結果が出たんですけれども、このような結果に対して、大臣はどのような見解を…。』
『(答)私は、日本経済の状況は、物価が非常に安定している中で順調な発展過程を遂げていると思っておりまして、多分、私の意見はその3割の方に入るだろうと思います。』
『(問)今の関連ですけれども、ただ、今の調査によると7割近い人がまだ景気は良くないと思っているというのが、非常に、経済運営をする側としては厳しい数字だと思うんですけれども、そこまで多くの人が景気が良いということを受け止めていないということについてはどう感じられますか。』
『(答)さっき言ったように、物価安定の下で順調な回復過程にあるというふうに私は考えておりまして、先程の調査の方から言えば3割の方に入るだろうと。』
『(問)7割の人はそういうことがよく分かってないということですか。』
『(答)いやいや、分かってないとか分かってるとか、それぞれの人の調査だし、どういう人を調査対象にしたのかも分からないわけですから、調査の内容については、結果については、それが妥当であるとか妥当でないとかいうことをコメントする立場にはありません。』

・・・・・(^^)

『(問)同じような関連なんですが、昨年の9月のG7の時には、谷垣大臣が出られて、G7の声明の中に、日本の経済について、日本はゼロ金利を解除し景気回復は広がりを見せているという表現を使ったんですけれども、それを受けて谷垣さんが為替相場もそういった経済の状況を反映すべきだということで、ヨーロッパの懸念を緩和させたというような、そういった経緯があったわけですけども、大臣がおっしゃる先程の景気認識と、去年のいわゆる景気が回復を示しているというところから、変化というのはないんでしょうか。』
『(答)いや、今ね、あなたがおっしゃった、谷垣前大臣がどういうふうに言ったかということ、私、聞いていません。従って、それについて、聞いてないことを自分で確認しない上にコメントするというのは極めて危険だから、特別、コメントすることは良くない、今。聞いてませんから、私自身が。』

まー閣僚の不規則発言とかがネタにされてるから慎重になってるというのもあると思いますが、これは良い慎重対応だと思います。


G7後の尾身財務大臣、福井日銀総裁共同記者会見に関しては財務省のサイトに掲載されているものの方が中身が多いので、ご参考にされるのが宜しいのではないかと存じます。
http://www.mof.go.jp/kaiken/my20070210.htm

冒頭の説明部分で尾身さんはこのように言ってます。

『それともう1つ、為替レートにつきまして、「我々は為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認した。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。我々は、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」と、こういう表現になっておりまして、為替レートの表現は、前回のシンガポールの時の表現と変わっておりません。経済サーベイランスの方では、為替レートの問題につきまして、円が安過ぎるのではないかという意見がございました。私から、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映したものであるべきであるし、我が国経済は経済活性化と財政構造改革を両立させるとの経済運営の下で、物価安定下で持続的な回復を続けているということを説明をいたしまして、各国の理解を得たわけでございます。従いまして、コミュニケは前回と変わらないというふうになりました。』

この先にもうちょっと細かい説明が続きますが、まあそんな議論になっていたんですねということで。終わってみればあの騒ぎというか思惑満載モードは一体全体何だったんでしょう(ポジショントークのネタに使われただけだったんじゃねえのかと)という感じですわなあ。


#ま、何はともあれ本日はGDPの「内容」に注目ということで




2007/02/14

お題「小ネタシリーズです」

春審議委員の講演や記者会見の話をしているうちに週末の債券市場ではあらあらと上昇して週初にはほりゃほりゃと下落しておりましたが、正直訳判らんので華麗にスルーしつつ小ネタ雑談の類で恐縮至極。

○「短期金融市場の機能向上への取組み」について

昨日の夕方近くにしらっとこんなものが↓
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji07/tanki0702a.htm

『日本銀行は、短期金融市場の機能向上に貢献していく観点から、半年間程度を目途として、標題の「取組み」を行っていくこととしました。概要は、以下のとおりです。』

ということで、具体的施策として取組み内容が書いてありますが、まあこーゆーのは昔は市場の中の人たちというか日証協とか全銀協とかがか取りまとめる(実際の議論を回すのは昔だったら4社とか都銀+興銀とかだったりするのですが)ものだったような気もしますが、今や日銀が取りまとめないと話が進まない(で、何かおっぱじめる奴は勝手におっぱじめる)という所でしょう。

まあ出来ましたらフロントで業務回したり受渡実務をやってる人たちが参加するような方向(まーそういう人たちは日頃の仕事が忙しいのでマンドクセでしょうが)かつ、今参加してないけど将来参加しそうな人(業態)にも入りやすい(参加者を余りにも絞ると、自分達以外の業態の都合をあまり考えない議論になりがちな気がするんで)議論を期待しております。

で、その別紙とやらを見ると、『レポ指標レートに関する検討ワーキング・グループ』を作るようで、もしかしてTIFFEがやると言って市場の100人中99人から「アホス」と言われている「レポ金利先物」をマジでやるんでしょうかねえと呆れるのでした。そういや2月からTIFFE様におかれましてはユーロ円金先の夜間取引を毎日夜8時まで絶賛営業延長してまして、ユーザーの声を聞いての措置らしいのですが、何か国内ドメドメの目から見ると「ハァ?」って施策を連発するのがTIFFEクオリティ。

といつの間にか話があらぬ方向に逸れましたが(笑)、レポ指標レートって要るのかなあというのはちょっとこう???なのですが、まあレポ先物がどうのこうのとかいう話があるのでその辺の大人の事情もあるんでしょ?ね?ね?
(当日夜間追記:指標レートがイラネって事はねえだろうというツッコミを多数頂戴しましたので言い訳を少々。T+0からT+3までの取引があって、現在だとT+3のポジションが確定しだした時間帯から取引されるT+3のレポGCが一番取引多いというか殆どなのですが、そーゆー先日付取引が何本か動いてる中で指標レートを一本化するのはどうでしょうかねえってのが書いてるときの意識でして、まあ公表する方法を工夫すればそれは問題ない話ではないかと思います。ただ、そうなった場合にTIFEEが「レポ先物」として何をリファレンスにするんでしょうねえというのは気になりますが、まあ東京金先の事などシラネーヨということでレポレート公表を推進していただきたく存じます。明日の駄文で同じ事書いときますが、決して褒め殺しではありませんので一つヨロシク^^)

まあ実りのある議論が行われますように有力市場参加者の皆様におかれましては、てめえの都合だけではなくて市場全体として使いやすくなるような観点で参加されたいと存じます、と無力参加者のあたくしは思うのでありました。


・・・・そしてネタクリップの為にNIKKEI NETを見たら相変わらずミスリードなお題にさすがニッケイクオリティと感心。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070213AT2C1303V13022007.html

『日銀、短期金融市場の機能向上策を発表』ってありますが、日銀が公表してるのはお題も中身も「これから機能向上の具体的施策を検討しますよ」という話であって、「向上策の発表」じゃないと思うんですが・・・・本文では『短期金融市場の機能を向上するための取り組みを発表した。』ってあって、最後の方に『来月1日に市場関係者を集めたフォーラムを開き、課題を整理して必要な対応についての意見をまとめる。』と書いてますが、日銀公表文書を読まないと何か具体的な向上策があって後は実行するだけって読めそうなんですが。

新聞(ネット版でもそうですが)って一々記事の中身見ないでヘッドラインだけ見る場合も多いですし、こーゆー細かいところを正確に報道してこそ経済クオリティーペーパーなんじゃないんでしょうかね。「日銀の市場との対話がナットラン」とか言う前にてめえが正確な報道をしやがれと小一時間問い詰めたいですな。

#と話が最後に大いに脱線しまして恐縮至極


○G7の総裁記者会見追記

昨日もご紹介しましたが。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0702b.htm

質疑応答の最後は今月の決定会合で意見の収斂(要するに利上げ方向での意見一致って意味で聞いてるんでしょうが)があるかという質問に対してのコメント。

『合議制本来の性格を良く理解して頂きたいと思います。そこであらゆるデータを全て新しく点検し、きちんと議論をして結論を出すので、その合議制の議論の結果として出てくる結論を、前もって私が読むということ自体弊害があるわけです。そういう読みをしないで、丹念に冷静に議論し、分析し、討論し結論を出していく。この創造的なプロセスをそういう事前の憶測で乱したくないと、これは私の強い気持ちです。』

一説にはこの「丹念に冷静に議論し、分析し、討論し結論を出していく。この創造的なプロセス」という辺りを捕まえて「総裁の利上げに対する強い意志」という解釈をする人もいた(というか債券市場が売られたので後付けで言ってるだけだと思いますが、笑)のですが、これはまあ最後の部分「事前の憶測で乱したくないと、これは私の強い気持ちです」ってのが「事前報道があれこれ出るんじゃねー」という意思ということで宜しいんじゃないでしょうか。

まあそもそも将来の金融政策を予想するのに選挙がどうのこうのとかいうファクターが堂々と出てくるような本邦の状況下で欧米と同列のレベルでの「市場との対話」を模索すること自体が時期尚早であって、まずはだんまりの方が宜しいんじゃないでしょうか(オイシイネタがなくなるのである意味困りますけど、苦笑)と思うあたくしなのでした。何か自虐的ですが。


○これはオモロイ

日銀から「企業物価指数の明治以来の基準改定ごとの改廃品目一覧の掲載について」というのが出てました。
http://www.boj.or.jp/type/release/nt_cr07/ntcgpi13.htm

『毎回の基準改定では、基準時点における産業・貿易構造に合致するよう、取引額が一定の金額に達した品目を新たに採用する一方で、取引額が減少した品目を廃止することを、原則としています。従って、基準改定ごとの品目改廃を過去に遡って眺めることにより、わが国における産業構造の長期的な変化の一端をみることができるものと考えられます。』

ということで、 その改廃品目一覧は
http://www.boj.or.jp/type/exp/stat/pi/index.htm#hinmoku
のあたりにありまして、経済分析を本職にしている人にとっては最近の改廃品目とかを見るのが重要なのですが、興味本位の野次馬であります所のあたくしが最初に見るのは当然ながらそのリストの一番下にある「改廃品目一覧(1900年基準〜1980年基準)」でございますな。明治33年とか昭和8年とかもうあたくしメロメロでございます(^^)。PDFファイルで20ページありますが、まあそーゆーの好きな方は是非ご一読を。
http://www.boj.or.jp/type/exp/stat/pi/18871980r.pdf

昭和8年基準が昭和23年基準に変った時の食用農産物品目の変化に思いっきり歴史を感じてしまいましたが。。。。。。

#ということで小ネタ雑談で恐縮至極(本当はもうちょっと小ネタあったんですが時間の都合で終了)






2007/02/13

お題「ハトっぽさが目立つ春審議委員会見」

えーっと、目の前のブラウン管テレビの箱の中でモーサテのゲスト解説様が「市場は2月利上げの可能性を若干低く見てる」と言ってるのですが、少なくともマネーマーケットを見れば若干低いどころか全く見てないと思うのですけど・・・・・

まずは春審議委員の会見から。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0702a.pdf

○為替と金融政策

ご案内の通り、G7で円安の話がクローズアップされたわけでも無く(会議声明で名指しされていたのは中国でした^^)一般論に留まったのでちったあこの話も盛り下がるかとは思うのですが。

ユーロ方面からの為替是正論を受けて利上げするのではないかと金融市場で見ている向きもある(それは為替市場ではないでしょうかと思うのですが^^)との質問に対して。

『利上げとの関係ですが、金融政策を決定するうえでは、先行きの経済・物価に与える影響を総合的にみていくということからも、為替相場の状況は、重要というか、一つの要素であることは間違いありませんが、基本的に利上げをするかどうかは、先行き物価の安定を維持しながら持続的な経済の成長を図るという点を政策目標として、総合的に判断していくことだと思っています。』

まあそういう事なのですが、どうせなら「為替是正を主目的として金融政策を操作することは無い」位言って欲しかったんですが。引用しませんが、この前段に為替市場を良くモニターしていきたいという話をしてまして、まあ確かに為替相場が経済に影響を与えるのでヲチするのは当然ですけど、そんなに丁寧に話す必要あるのかねえと思うのでした。まるで気にしてませんというのもアレですが、あまり丁寧に話をしてるといつまでも為替と金融政策を結びつけるネタを書かれると思いますんで。

この後にも為替に関する質問が出てまして、現在の為替水準についてどう思うかというような無駄な質問がありましてそれはまあスルーですが、円安を評価する発言があったのでクリップ。

『先ほど、懇談会でのご報告の中でも申し上げましたが、今の為替水準というのは、主として金利差によって、どちらかといえば円安の方向に動いた結果、今の水準になっており、これは、輸出を含む日本経済の安定的な成長という意味では、もちろん輸入価格の問題などはありますが、全体として、プラスの影響を持っているものだと思います。』


○消費について

このあたりの発言を見るとちょっと慎重派ですなあと思うのですが。

『最初のご質問の消費について、表われてきているデータほどには実態は悪くないのではないかと申し上げたのは、天候要因や携帯電話などの新製品の発売といった一時的な要因との関係などもあり、消費関係も色々な指標がやや入り混じっているような面があります。したがって、特に7〜9 月のGDPの結果として出てきた前期比マイナス0.9%、これは非常に大きな落ち込みだろうと思いますが、これが全部実態を表わしているのかという意味では必ずしもそうではないのではないか、ということを申し上げましたわけで、決して、悪化していないということではありません。』

『今後の消費の先行きについて私どもなりに点検したうえで、金利を調整していく、あるいは、しないという場合には、それなりの根拠をきちっと説明する必要があると思います。』

別の質問ですが、端的な質問がありまして、その答えもシンプル。

『(問)要するに今の経済をみた時に、企業は非常に良い、海外もまあ良いのだろう、国内の家計部門をみた時に、足もとは個人消費の面ではやや冴えないのだけれども、先行きをみた時には今の標準シナリオ通りに、つまり順調に上向いていくという認識で、春審議委員も全く変わっていないということでよろしいですね。』

『(答)おっしゃる通り、基本シナリオは変える必要はないが、もう少し時間が必要だと思った人達は、それを確認するうえで、引き続き指標や情報をみていきたいという判断をしたのだと思っています。』

という訳で、このあたりを見ますと利上げの際には消費の先行きが強いという見込みが持てないとやりにくいんじゃないでしょうかという点で慎重派っぽいものを感じる次第。


○物価に関して

講演要旨の中で「先行きインフレリスクは認められない」とあったことに関して質問がありまして、それに対する答え。

『基本的に、先行きは、徐々に企業部門から家計部門への波及メカニズムが働いて緩やかな回復を続けていくだろうという見通しを持っていますが、先行きインフレリスクをそう大きく意識するような状況ではないと思います。これ一つの理由でということは特にありませんが、今の企業部門から家計部門への波及メカニズムの働き方、あるいは物価の状況からみて、先行きインフレリスクはそう大きく意識する必要はないのではないかと考えています。』

実はこの質問の前半では色々説明してるのですが、講演要旨と同じ話ですのでその部分ぶった切ってしまいました。で、同じ質問の中で2月に利上げした後にCPIがマイナスになった場合、利上げの根拠の説明苦しいんじゃネーノという質問に対してこんな話を。

『2 月の追加利上げをした後、コアCPIがマイナスになると、利上げの理由の説明が困難になるのではないか、という質問でしたが、勿論、2 月に利上げをするかどうかは、これまで出てきた指標・情報に、今後出てくる指標・情報を加えて、総合的に判断していくことに尽きるわけであります。その場合に、コアCPIの先行きの動きというものも重要な要素としてみていく必要があると思います。』

と、実はこの続きがあるのですが、あえてここでぶった切ると、先行きコアCPIがマイナスが展望される場合は利上げできませんなあと言ってるように見えるのですが・・・・

『コアCPIについて、先行き緩やかにプラス幅を拡大していくということが基本シナリオであろうかと思いますが、原油価格の動向などもあって、若干振れを伴う可能性があると認識しています。』

ということで、一時的な要因でぶれる分には別ですよという言い方をして、コアCPIの時間軸が復活されても困りますなあと言ってるように思えます。

とは言いましても、実を言えば物価安定に関する理解の枠組みにおけるCPIというのはコアCPIじゃなくて総合CPIになっておりまして、質問する方も答える方も何の疑いも無くコアCPIの話をしてるのは、なんかこうオモロイですなって感じです。まあ市場の中の人たちもあたくしも含めてコアCPIをまず最初に見るのですが(^^)。


○須田審議委員とのスタンスの違い

こんな質問が(^^)。

『もう1 つは、今のお話やスピーチの原稿を読むと、大体、お考えになられているスタンスが分かってきますが、例えば、須田審議委員がはっきりと、「ある程度、展望が開けたらリスクをとってでも政策を打つべき」というように言われていますが、春審議委員ご自身はそのことに関して、リスクはとるべきなのかそうではないのか、それをもう1 度はっきりお伺いします。』

『それから、金融政策を決定するうえでリスクをとるということについて、どう考えるかというご質問かと思いますが、前々から金融政策はフォワード・ルッキングであるということを申し上げております。(略)したがって、足もとの指標を基にすることではありますが、基本的に、先行きをどうみて、それがどの程度の確かさなのか、ということをみていくことだと思っています。リスクをとるか、とらないか、という言葉は必ずしも適切ではないと思っています。』

と、ここまで言ってちょっと須田さんとの見解相違が明快になるのもいかがなものかと思ったのでしょうか、その続きがマイルドに(笑)。

『判断する根拠は、足もとの指標や情報ではありますが、先行きについてそれをどうみるか、それがどの程度の確かさなのか、それがどういうリスクを含んでいるのか、それを十分検討したうえでしっかりご説明していくということで、須田審議委員のおっしゃったこととそんなに違ったことを申し上げているのではないと思っています。』


別の質問ではこんなのがありました。

『2 点目は、須田審議委員などは、利上げが遅れるリスクを意識されているようですが、次の利上げの持つ意味は、いわゆる「金利の正常化」という観点からの利上げなのか、それとも将来の物価上昇などへの備えとして必要な利上げと位置付けられるのか、このあたりをどのようにみているのか教えて下さい。』

まあ予想通りの答ではあるのですが、こんな感じで。

『2 つ目のご質問についてですが、今日の段階では言うまでもないと思いますが、「正常化」という言葉を使う場合、私共として、今の日本にとっての中立金利はどのくらいで、いつ頃までにその金利を実現する、といったスケジュール感を持って、調整しようとしていることではありません。あくまでも、経済・物価の状況に応じて徐々に調整をしていく、ということであります。その場合に、経済・物価の状況をみながら、利上げをすることによる影響、あるいは利上げをしないことによる影響を総合的に判断して、徐々に調整していく、ということではないかと思っています。』

で、まあこのあたりが金融政策を判りにくくしてる面があるとあたくし的には思う次第でして、ど〜せなら今の金利水準を引っ張っておいてから「正常化」路線で動けるタイミングになった所でスケジュール感を持ってメジャードペースの利上げをしていった方がやりやすいんじゃねえかとは思うのですが、ただまあそういう米国流が日本で通用するのかというのがこれまた難しい問題ですけど。何かそう上手く行く気は実はあまりしなかったりするので。


総じて言えば慎重派という評価で宜しいんじゃないでしょうか。

以下おまけ。

○G7後の尾身財務大臣と福井総裁の記者会見

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0702b.htm

『【問】昨日のぶら下がり会見で、G7で説明したいという内容について、日本経済について世界経済の安定的な成長により良く貢献できるような方法を強く意識しながら金融政策運営をしたいとおっしゃいました。これは具体的にはどのような金融政策運営を指すのか、どういう方向性を念頭においておっしゃったのかということをお聞きします。』

というのはまあ良いとして、その続きを見て「あらま」と思ったあたくし。

『G7の議論が2月の金融政策決定会合に影響するのかという質問に対して、密接に関連してくるというふうにもおっしゃいました。G7の議論自体が2月あるいは2月以降の金融政策決定会合にどのような影響を及ぼすのかというのが質問の趣旨です。』

いやあこのぶら下がりが市場が開いてる時間帯じゃなくて(開いてる時間だったのかもしれないが報道は見なかった)よかったですねえとしか申し上げようがございません。まさに「為替是正で金融政策をいじるかもしれません」と受け止められかねない発言ですなあ。

『【答】昨日のぶら下がり会見のときに、私はG7の会合が2月の金融政策決定会合の帰趨に直接影響するというお話は一切致しておりません。もしそう受けとられたとしたら、そのような受けとり方はなさらないで下さいと申し上げざるを得ないと思います。(後半略)』

ですからもう百万回くらい悪態ついてますが、会見とか国会答弁なんかで「判りやすいように」ってサービス精神を持って発言をすると却って誤解を招くというのが何で治らないんでしょうこの人はと思ったのでした。

#尾身さんの記者会見が最近不規則発言モードから脱却してきてるようでして、今回の会見でも中々いい感じですが、その話はまた後日。






2007/02/09

お題「春審議委員講演」

正確には挨拶なのですが、まあそれは兎も角としまして。
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0702a.htm

春審議委員は基本的にはあまり強烈なスタンスが出るお方ではないのですが、タカかハトかという分類ではハトにやや近い感じというのが今までの(あまり講演本数が多くないですけど)傾向です。まー大勢順応タイプだと思うのですが。

○景気の先行きリスクはとしてIT関連に注目

前半は景気に関する見立てについて、後半は金融政策に関するお話ですが、ここで春さんが言及しているのは基本的に金融経済月報や展望レポートの内容を敷衍したものになっておりますので、論点を整理するのには丁度良いのかなあと思うのでした。

で、その景気現状と先行きなのですが・・・・

・海外経済

『海外経済は、足許、着実に拡大を続けており、先行きも拡大を続ける可能性が高いと考えています。』

『世界経済の拡大による原油需要の増加や産油国の生産余力不足、地政学リスクといった、かつて原油高騰をもたらした諸要因はなお根強く残っているため、先行き反騰するリスクには注意が必要ですが、原油価格の下落は、当面の世界経済の安定成長にとってプラスと考えてよいと思います。』

下振れリスクの話はちょっとだけしか触れてませんが、特に具体的な話をしてる感じじゃありません。


・国内企業部門

『まず、輸出・生産は増加傾向が続いています。先行きも、海外経済の拡大等を背景に、増加を続ける可能性が高いと想定しています。』

『また、企業収益も高水準となっており、設備投資も堅調に推移しています。(中間割愛)先行き2007年度にかけては、収益、設備投資とも増加テンポは鈍化していくとみられますが、引き続き高水準を維持していく可能性が高いと想定しています。』

『この間、好調な業績を反映して、設備や雇用の不足感も強まっています。』

と、まあ基本的に強気の話が並ぶのですが、IT部門をリスク要因としております。

『このように好調な企業部門ですが、昨年半ばから、鉱工業全体の出荷在庫バランスが良好に推移する中、電子部品・デバイスの在庫が急速に増加しています。』

『これには、パソコンやゲーム機等の各種新製品に向けた在庫積み上げなどが影響する一方で、国内メーカーの一部新商品向けの部品については、受注が予想比下振れ、在庫積み上がりが発生した模様です。11月には新製品の出荷が進む中で在庫は一旦減少しましたが、12月は再び増加しました。現時点では調整が広範化する可能性は低いと考えられますが、この分野では能力の増強ペースがかなり速いこともあり、注目しています。』

ということで、基本的に可能性は低いとしながらも、IT部門の在庫調整リスクにわざわざ言及している点がちょっと新しいなあってところです。


・家計部門

もうひとつの注目の家計部門

『国内の家計部門の動向ですが、企業部門の堅調さとは対照的に、昨年夏以降の賃金、個人消費関連の経済指標は、回復感に乏しいものとなっています。雇用者所得の動きをみると、労働者数の増加や所定外・特別給与の伸びによって、全体としては前年比僅かにプラス基調で推移していますが、基本給を中心とする所定内給与については、前年比ゼロ%近傍の動きとなっています。また、個人消費も、7〜9月のGDP統計で大きく落ち込み、全体の足を引っ張りました。』

というのは現状認識ですが、これはまあ普通というか当然。その原因について春さんはこのような見立てとしております。

『有効求人倍率が上昇し、失業率が低下するなど、労働需給がタイト化しているにも拘らず、所定内給与が伸び悩んでいる背景としては、賃金の高い高齢層の退職によって、雇用者一人あたりの平均賃金が低下していることが影響しているかもしれませんが、基本的には、厳しいグローバル競争を背景に、企業が、固定費増加に繋がる所定内給与の増加に慎重なスタンスで臨んでいることが大きいと考えられます。』

このあたりの話は総裁記者会見や金融政策決定会合議事要旨などでも似たような言い回しをご覧になられたという記憶があると思います。まあそういう意味では政策委員会の大勢通りかと。

『一方、7〜9月に大きく落ち込んだ個人消費関連の統計については、天候要因や、携帯電話・パソコン等の新製品投入前の買い控えなど、一時的要因が影響している面が大きく、消費の実態は、若干の伸び悩みはあるとしても、統計に表れているほど悪くないと考えています。』

だそうです。その内訳に関しては講演テキストにあたっていただければと思いますが、これまた決定会合議事要旨などで既視感のある要因分解になっております。で、先行きに関してですが。

『このように、足許は改善が遅れ気味の家計部門ですが、先行きは緩やかに改善していく可能性が高いと考えています。すなわち、所定内給与については、企業の慎重なスタンスは続くとみられますが、一方で、雇用不足感は次第に強まっており、賃金の上昇圧力は着実に高まっています。実際に、今年の春闘では、一部業種で数年ぶりの賃上げを決定するといった動きもみられています。』

『先行きについては、雇用不足感が強まる方向にあり、企業収益も高水準を続けるとみられることなどから、雇用者所得は緩やかな増加を続ける可能性が高いと考えられます。また、個人消費も、雇用者所得や株式配当の増加などから家計の収入は改善していくとみられ、先行き緩やかに増加基調を辿っていくものと考えられます。』


・物価について

『先行きの物価変動に影響を与える基本的な要因とされている需給ギャップ(設備や労働といった資源の稼動状況を示す)とユニットレーバーコスト(生産一単位あたりに要する人件費)の動きをみると、推計方法によって幅があるようですが、日本銀行の推計によれば需要超過状態に入っていると考えられる需給ギャップは、設備や労働力の稼働率が高まる中で、緩やかにプラス幅を拡大していくとみられます。』

『また、ユニットレーバーコストも、賃金が増加基調を辿っていく中、プラスに転じていくものと考えられます。こうしたことから、先行きのコアCPIは、石油製品などの動きによる振れを伴いつつも、基調としては緩やかに上昇していく可能性が高いと考えています。』

とまあこれまた政策委員会大勢見通しと同じかと思います。要は「日本経済の需給ギャップは需要超過」「ULCは今後プラス転化し、賃金も増加基調」ということで「CPIは緩やかだが上昇傾向」というお話になるのでした。


・地価について

『この間、資産価格の代表的な指標である地価の動きをみると、六大都市の商業地などでの地価高騰が著しく、資産バブルの再来を懸念する向きもあるようですが、全国的にみればまだ地価は全体として下げ止まりつつあるところで、価格形成もかつてのバブルの時期とは異なり、総じて収益還元法に基づく合理的なものとなっているようです。』

上場REITのお値段見てると収益還元法に基づく合理的なものとはちょっと思えなかったりするのですが(そのうちネタにする予定)、2極化の一方がそーゆー状態になっている場合はまー金融政策でどうのこうのという話では無いでしょうし、どうするんでしょうなあ。

『今後も、緩和的な金融政策の刺激効果が地価に代表される資産価格にどのように現れていくか、引き続きみていきたいと思っています。』


○金融政策運営に関して

『今後の金融政策運営』って部分で、春さんの個人的見解としてこのようなお話が。

『私としては、当面の金融政策として、物価の安定を維持しつつわが国経済を持続的な成長軌道に着実に乗せていくことが最重要の課題であり、そのために緩和的な金融環境をしっかりと維持することは不可欠と考えます。』

と、ここだけ見るとハト派全開のようですが、続きがあるのですよ。

『同時に、10月の展望レポートにおいて第2の柱による点検の結果としてとりあげた、政策の対応が遅れ、経済・物価の振幅を大きくしてしまうリスクにも目配りが必要であり、先行き特にインフレリスクが認められない中で急ぐ必要はないものの、現在なお異例の超低金利に止まっている金利水準を、緩和的効果を維持しつつ、経済・物価情勢の改善状況に応じて、徐々に調整していくことも必要と考えています。』

ということで、これまた政策委員会多数派意見のお話だと思います。

春審議委員の話からちと脱線しますが、この「現状の金利は緩和的水準」「少々利上げしても緩和的水準」「金利の調整は必要」という基本的スタンスに対して、現実には足元の指標を見ながら現状を維持するという動きが甚だ判り難いという事はよく指摘されてますが、このように話にされるとロジックがやや分裂気味だというのが判りますなあ何て思いましたですよ。

先日の決定会合の意見相違に関してはこんな事を。

『経済・物価については、先ほど述べたように、生産・所得・支出の前向きのメカニズムは変わっておらず、先行き10月時点の見通しに概ね沿って推移する可能性が高いという点では各委員の意見が一致した一方で、金融政策についての判断は分かれたことになります。現状維持の案に賛成した6名の委員は、金利水準の調整については、先行きの経済・物価の見通しやリスクについてさらに追加的な情報を加えて判断することが適切との意見であり、金利水準の調整を進める案を提案した3名の委員は、その時点で金利水準の調整を行う条件は整っているとの意見であったと私は理解しています。』

決定会合後の福井総裁会見における説明とおんなじですなあというところであります。


ということで、総じて執行部見解と同じ話だと思いますが、タカかハトかと言われますとハトに分類されるのでしょうなと思います。ちょっと引用が多くなってしまいましたな。講演そのものはそんなに量多くないです。






2007/02/08

お題「短い所がパッとしませんが」

柳沢発言への突っ込みがただの難癖状態になって辟易している向きが増えてきて、てめえらの支持を落とすんじゃねえのかと思うのは多分あたくしだけではありますまい。経済政策とか論議すべき話は幾らでもあると思うんだが・・・・絶望した!民主党のあまりの屑っぷりに絶望した!

#前から絶望してるでしょという話は兎も角として。

○FB入札もイマイチ

昨日は3か月FBの入札がございました。で、あたくし珍しく予想なんぞをしてましたが、このFBは償還が前回債と2日しか違わないという(事を昨日申し上げませんでしたすいませんすいません)代物でして、まあ償還がイレギュラーでもちゃんと償還折り返しで発行してくれる筈だから無問題ではあるのですが、償還バランス的にもちとどうよ感漂う(つーか前回債の足がGW越え入札を避けるために長くなったのが原因ですが)ものでしたな。

まあそれが原因だとは思わないのですが、前場からTB/FBゾーンはヘロヘロの巻となっておりまして、入札もあっさり平均0.465%の足切り0.470%と、先週の勢いはどこへやらという結果。おまけに落札後もパッとしないようで、引けは0.47%ですがどうもオファーサイドのようで。

でまあ昨日申し上げましたが、3か月が0.47%となりますと、比較からして6か月の0.50%はねえだろという話になる訳でして、6か月の引値は0.51%に置いてますが、後半3か月0.55%を低いと思うか妥当と思うかは参加者次第ですな。


で、月の頭からこの時期まではCPの発行市場が閑散になるのが仕様なのですが(企業の資金ニーズが月後半以降に多いのだから当たり前)、ちらほら発行されるCPのレートを見ますと、2月償還ものは相変わらず絶賛低金利で、最上位格付けで0.3%台前半とかのようですし、3月の決定会合前に足の来るものも「2月利上げ無し」→「持ちきって無問題」→「ではキャッシュを置いときますか」ということでこの辺のレートも相変わらず低水準のようですな。

3月末もの位になると金利がやや上昇して、4月ものとか5月ものになるとレートが上昇するのですが、こっちの金利は今月に入ってからやや上昇気味という感じでして、9日スタートになるので少々発行が多くなる昨日は、この3か月ゾーンの金利がやや上昇しまして、上位格付ものでも0.5%台前半まで突っ込んでいたのが0.55%を超える水準に上昇してきまして、まあ期末越えに大型連休越えなんだからそんくらいレートついてあたりめーだろと思うのですが、長い所には手控えモードになってきたようですな。


で、今週は何故か知らんのですが、短国買入が月曜に実施されてしまいまして、その前に実施したのが先週木曜でしたので、順当に考えると今週短国買入をやるともあまり思えず、入札2発で重くなる上で一応材料が出る週末を迎えるというのはちょっと荷物が重い感じでございます。


○2年とかのゾーンもパッとしませんな

昨日は輪番が実施されたのですが、平均2毛甘ということはまた短いゾーンを叩き込みましたですかという感じですが、この2年の引けは0.775%でまあどうせオファーサイドでしょうなあという所ですが、入札から1週間で3毛強くなったと思ったら6毛甘くなるとはご苦労なことでございます。

まあ所詮は利上げ前提でも0.8%台が妥当なところだと思うので、そろそろ下げ止まりだとは思うのですが、何もまあこんなに動くことはねえという感じであります。


という訳で、本日は5年の入札なのですが、カーブ的にも絶対水準的にも中途半端で叩くに叩けず買うに買えずと見たのですけれども、まあ入札までに水準をいじってくるのではないかと思います。中短期の現物の重さから言って、前場から嫌がらせの買いを入れるようなアホウはいないと思うのですが、下手に先回り買いとか入って入札が強くなられるのが最も困るパターンでございますわな。ここまでの流れからしてそうはならんと思うのですけどね。


○その他雑談等

・日銀は円を買えですか

モーサテでFTの記事だかコラムだかを紹介してたのですが、本石町日記さんが盛大にツッコミを入れておりますので熟知すべし。「日銀は」という時点で不勉強爆発ですなFT(追記:当初はBOJと書いてあったのですが、どうもツッコミを食らったらしくBOJがJapanに変ってたのは笑いました)

と申しますか、FTといえば本邦金融不安時代に好き放題のヨタ記事を書き並べて不安を随分煽ってくれましたなあという印象が今でも強く、日本(というかアジア?)関連記事に関しては今でも金融界の東スポ認定しているあたくしなのでした。


・割引国債の残存日数計算

時々ちらちらとツッコムのですが、財務省様ご発表の割引短期国債と政府短期証券の落札結果で参考表示される利回り。

以前は利付国債の利息が両端入りで計算されていたので、割引国債に関しても残存日数を両端入りで計算して、売買の利回りを単価に引きなおして(呼び値は利回りなんで)取引してましたが、現在は片端入れで残存日数計算をして利回りと単価の換算を行っております。

ところが、財務省様発表の落札結果で利回りを()書きで表示しているのは相変わらず残存日数計算が両端になっておりまして、特に短くなると市場の呼び値との乖離がでかくなって瞬間的に「えーっと幾らでしたっけ」となりますわな、というのは大げさで、実際は参加者はそんなの先刻ご承知なので換算用のツールなりシートなりを手控えで持ってますので気にしてませんが、よく見てない人に説明するのがめんどい。

#まあ価格競争入札なので利回り自体はご参考なのですが

まあ何か理由があるんでしょうけれども、利付国債の利息計算も実質片端になっているのですし、表示の利回り換算を片端にして欲しいなあとちょっと書いてみるテスト。





2007/02/07

お題「材料引き続き無いので相場雑談」

今週は材料が乏しいので一休み相場ではございます。このまま無風なのか嵐の前の静けさなのかは来週になってみないと判りませんなあ。

#しかし122円になって円安円安と騒いで、120円割れて円高円高って為替の人も相当な低ボラティリティ脳に陥っているんですなあと思う。人の事は言えんが。


○6か月TB入札と3か月FB入札

昨日は6か月TB入札。毎度お馴染みの如くあたくしが順当なら0.50%などと申し上げたら入札は0.50%を割れてしまいましたよorz

まあ発行が2兆円ということですんで、今回のように「まあ0.50%あったら捌けるでしょう」と思う人が多いとそこは買わせてくれないというのをまたやらかしてくれたという事なのですが、そのあとに続く買いはパッとしなかったようでして、結局0.50%オファー(引けは0.505%らしいのですが)としょんぼりしちゃいますなという結果になりました。先週の3か月FBも入札は景気良かったのですが、その後伸びないというか頭打ちというのをやってくれましたが、今回も同じパターンなのが遺憾でございます。

ここもと明日の5年債入札も影響してるのかも知れませんが、中短期ゾーンの現物債が妙に重そうにしておりまして、別に利上げ懸念で売ってるというような感じではないのですが、そのパッとしません振りが6か月TBゾーンにも波及しましたかなあという所ではございます。昨日も申し上げましたが、1年の0.54%から見たら6か月の0.50%はお買い得っぽい(1年TBの金利を分解した時に後半6か月の金利が0.58%はいかにも低いと思うんだが、本当は11か月ものだから云々というちゃんとした話はここでは措く)ですが、3か月の0.45%(昨日の430回の引け)から見ると特にお買い得感も漂わず(後半3か月が0.55%ですから利上げあったら若干負け程度か)ということで、それなら3か月とか、年度内物とか要はもっと短いので対応するって話なんでしょうね。相変わらずFB423回(3月28日償還)とFB424回(4月6日償還)の間は利回りジャンプしてますので(この引けが正しいのかどうかという問題はありますが)、とりあえず年度内でって事なんでしょうね。


そんな訳で、本日の3か月FBですが、先週の入札からここまで「入札強いけどその後がどよよんとなってしまう」のパターンになってますし、大型連休越えで足も長いので何ぼなんでもさすがに0.46%からご相談という入札にはなって下さるものかと存じます。ただそうなると6か月がやや割高に見えてくるのが(というか1年がもっと高いのですけど)遺憾なところですけどね。

当たらない大予想は平均0.46%前半で足切りは0.47%に届くか届かないか、とただの順当な意見でスイマセン。


○もうちょっと相場雑感

・2年よく動きますなあ

先週に入札が行われた2年新発ですが、入札の時はオファーサイドの向こう側をジャンピングキャッチしてつよつよモードになり、翌日には0.715%の引け(実はこの時点で売りが出てて、実力0.72%でしたが)と入札から3毛強くなったと思えばその後失速モードになり、昨日の引けは0.760%と相成りました。いやまあ2年カレントって発行量も流通量も多いですし、おまけに受渡が来るまで時間が長く、その間資金繰りがぶれないので尚の事振り回しやすいというのは判るんですが、それにしても良く動く事よと少々呆れるのでした。

今なんか短期金利が動くようになったって言ったって別に利上げのペースはゆっくりだし、上げか下げかで悩むような状況でもないのにこのぶん回しモードだと、将来どうなるのかある意味ワクワクしてしまいますな。振り回されるほうはたまったもんじゃありませんが。


・引け後になると妙に失速する今日この頃

と申しましても、あたくしが今日この頃とかいうのは2、3日のタームでございますが(笑)。

いやあのですな、金曜からこの方引け後になると妙に失速してることがあるようで、はてそれは何なんでしょと思う訳なのですが、中短期の現物債にそこそこ物が出てて、引け値を頑張って強くしてしまうので引け後にさっくりと値を消してるとか、引け後になると利上げネタで反応する海外投資家さんが下にもっていこうとしてるのか、まあ何だかよく判らんのですけど、引け後になると妙にヘロヘロというのの背景が興味深かったりします。ま、複合要因なんでしょうが。


#というわけで本日も雑談でございました





2007/02/06

お題「今週は材料難ですが」

昨日は改めて北ハマー先生の偉大さを見ちゃいましたな。

○引け後に中短期売られたようで

昨日はまあ物の見事にウゴカンチ会長な相場で、何となく現物が重め(というか先物が確りめというか)の推移だったのですが、引け後になって2年だの5年だのが弱くなるの巻でございました。材料が特に出た訳でもないのですが、先週木曜の引け後と同じような展開でして、先週木曜だと「海外の有力レポートで2月利上げの話が云々」という話題が出て、おまけに中期ゾーンに巨大なスワップの払いが出てましたって感じでしたけど、さて今回は何なんでしょうかねえ。まあどうせ海外発の2月利上げ観測で、ネタとしてはG7で円安是正って話しか思いつきませんけど。

で、円安是正の為に利上げをするという発想は本邦においては根本的に間違いという話は何度もしてますので割愛するのですが、お馴染みの本石町日記さんが為替と金融政策に絡んだエントリーを最近2本上げているので、
http://hongokucho.exblog.jp/6437940/
http://hongokucho.exblog.jp/6419556/
を熟知すべし。

ちなみに、2本目のエントリーで引用されている「為替相場と金融政策に関する日銀の公式見解」の1999年9月21日の文書のURLはこちらですので熟知すべし。
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/k990921a.htm


ということで、まあ常識的に考えると為替を金融政策に絡める論議は「あなたはアフォですか?」で終了なのですが、このまえまで内閣府副大臣だった現閣僚様が(副大臣当時に)「今利上げをすると円高になるから反対」などと言う話をしてたりするのがちとオソロシスなところでもあります(その反対論の裏を返せば「為替是正のための金融政策はアリ」ということになる)し、そもそも日銀の「金融政策正常化路線」があるのでそちらも少々オソロシスなのですが、コアCPIがトレンドとして明確に上向きになっていないのに利上げするのは正常化路線と言えどもちょっと無理あるんじゃネーノとは思いますが。

海外レポートとかで一応盛り上げておりますが、さすがに笛吹いて踊る人も国内勢には乏しくなってきてますな。今月は正直ドッチラケモードだと思われ。


#まー5年に関しては木曜の入札に備えて1.3%に近いところに持って行きたいというのは判らんでもない。


○物価連動国債と6か月TBの入札がある訳だが

今日は物価連動国債と6か月TBの入札。物価連動国債というのもこれまた盛り上がらない商品のようで、BEIベースでのトレードをする主として海外系の人たちで勝手に盛り上がっている(というか盛り下がっているというか・・・・)ようなのですが、ふと引値表のBEIを見ると銘柄間でのスプレッドが単に需給を反映しているだけではないかというのが実に香ばしい債券ではございます。

まあかつては「消費税増税論議に絡めて買いが入る」というような事もあった商品だったり、相変わらずの流動性の無さでは定評のある商品(発展途上だから仕方ないけど)だったりしますので、「このBEIが幾らだから債券市場のインフレ予想がこうなってる」というお話は一見判りやすいのでつい使いたくなりますが、参加者層の薄さと市場の流動性を勘案すると、債券市場的には「あっそう」で終了するお話でもあります。まあ適当に入札こなすんじゃないですかとやる気のない意見。

#まあ市場が出来てくるまであと2年くらい掛かるんじゃないですかね

ところで6か月TBの入札。今年に入ってから6か月TBの2回に1回がFBに振り替わったので、回号と年限の関係がややこしくなって敵わんのですが(苦笑)それは兎も角。

引値を一応信用すると(板がまばらでよく判らん)前月の6か月FBが0.480%で、10日ほど足が長い8月償還の既発1年TBが0.505%ですので、0.50%あたりの入札になるんでしょう。昨日の相場でも2年あたりは重いのに、3か月とか1か月とかチョー短い所は確りしておりまして、チョー短期化しよういう動きがあるのかなあと思わせる値付けにもなっておりまして、短い所のニーズは高そう。

で、その6か月がどっちなのよというのは少々微妙ではありますが、絶対水準で0.5%あれば心理的なサポートになるのではないかと存じますが。どうせ向こう半年で利上げやって1回でしょうから、利上げ後に足元金利対比でチャラで、手前では勝てると考えれば行く人は行くでしょうな。1年TBの0.54%辺りから見ると6か月で0.5%というのはお買い得の香りがしますが、3か月の0.445%から見るとはてどうなのという実にビミョーな話でもあります。2兆しか発行無い(いつものことですが)ので波乱もないでしょう。

GCレポレートがまだ0.30%割れで推移しているようです(さすがに0.28%は勢い余った感じのようですが)ので、その点からもTB/FBは持ちやすい状態になっているかなあとは思いますし。

#てな訳で本日は昨日の相場と同様にネタも閑散で恐縮至極






2007/02/05

お題「レポーレート低下/その他雑談」

1勝1敗ですけど、楽勝の筈の愛知で超接戦。これだと柳沢大臣辞めさせる訳にも行かず、ある意味困った結果になりましたなあ。

○レポレート0.28%レベルに

先週金曜もまた買現先だの共通担保オペなどが実施されておりましたが、ショートタームの共通担保オペが(6日〜16日)平均レート0.288%に足切りレートが0.28%と、先週前半の足切り0.29%から見事に低下となりました。これまた例によって例の如くで木曜の最後の方で金利が下がりそうな感じだったので、結果自体はある程度覚悟(?)というところでしたが、ちょっとレート低下に弾みがついたという感じです。

という訳で、このオペ結果に示されるように急に足元の金イラネ状態になってしまった昨日のGCレポレートは0.30%を割り込み0.28%レベルまで低下。昨年10月以来久々の0.28%台近辺への低下でして、SCレポレートとのスプレッドは絶賛縮小して在庫ファイナンスのコストが下がるのは実に結構な話ですな。


で、この「足元金イラネ」攻撃なんですが、つい先週前半までは、どっちかというと「3か月とか2年とかの金利にやたら下げ圧力がかかる中で、足元の資金取りニーズが強い」という展開だったのですが、木曜の終盤あたりから今申し上げたような動きに一転しております。日銀がバシバシオペを打つことによってショートタームの資金が潤沢に回るようになったというのと、準備預金の積みが進捗してきた向きが増えてきたので、進捗してきたところから金イラネ状態になってくるという所なんでしょうけれども、(そもそも今回は16日以降決定会合までに積みを進捗させた人が多いですから)まー2年だのFBだののレート反転とタイミングが一緒なので、実弾売りが出て(または償還が来て再投資せず)足元に金が出てきた代わりにタームが上昇とか講釈することも可能ですな。多分それでは無いと思いますが(^^)。


○毎月出てる物ですが丁度輪番の話をしてましたので

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/ac07/ac070131.htm
1月末の営業毎旬報告です。まあ毎月出てるもので特にネタにしたことはございませんが、先週後半に輪番の話をしていたので少々。

総資産が114兆円あるのですが、その中で発行銀行券が75兆円ということでして、この発行銀行券ってのは負債となってますけど、まあ永久債みたいなもんですから、日本銀行の負債って長期負債がやたら多いという話になるんでしょうな。

で、これに対する資産を見ますと、長期国債と短期国債を合わせると77兆円になってるんですが、長期国債が51兆円で短期国債が25兆円。長期国債のデュレーションは実を言えば同時に公表されている銘柄別保有残高を見れば判るのですが、普段から真面目にチェックしていませんのでちょっとそれはパスしますが、今のオペ方式だとそんなに長くなるとは思えず。短期国債は基本的に来年になると現金償還されてしまいますので、資産サイドの「国債」は一瞬見ると長期資産のように見えますが、実は資産サイドの足はすげえ短くて(資産中で長い資産といえるのは金地金4400億円ってところですな)、金貸し的な発想をすると「負債が固定性になっている一方で、資産は流動性が高く、返済の懸念無し」っていう奴ですなこりゃ。

よく「長期国債を沢山買うと日銀のバランスシートが云々」って議論が起きるのですが、そもそも負債サイドの足が長いのに資産サイドの足が短いという支払い面に関してはチョー健全なバランスになっており(普通の企業だと金利が順イールドの下では金利収入部分で逆鞘になるのですが、銀行券は無利子負債なので無問題)ますんで、あまり気にするこたあねえという感じですわな。まあ長期国債の残高が多くなりすぎたところで銀行券が何らかの事情で急減したらオペレーションが技術的にやりにくくなるというのは有りますけど。


○どう見ても煽り記事です。本当に(略

先日来日経金融新聞の1面で「大学 資産運用調査」って記事を連載してました(31日〜2日の3日間)のですが、連日お題に並ぶのは「仕組債投資で利回り確保」とか「代替投資に熱い視線」だとかもう大学たるもの資金運用を一生懸命やりましょうって内容になっておりまして実に香ばしかったです。

特に強烈だったのは1日木曜のネタで、東北福祉大学が積極的な資金運用で得た収益によってJR仙山線に駅を10億円全額拠出して作りましたよというのがマクラになっておりました。運用対象を拡大するのが時代の流れでございますかそうですか。まあさすが「リスク管理が重要です」って話はしてるのですが、もう運用をやらない人はナットランみたいなトーンが全体に流れているのは心温まるお話でして、東北福祉大学のような事例紹介も交えながらの連載でしたな。

いやね、別に運用頑張っても結構なのですが、仕組債を購入する記事のあたりとか見てたら、「最近は元本確保型の仕組債が流行で云々」って話がでてまして、元本確保の上利回りも狙えるという仕組債など結構そうな話なんですけど、だいたいそういう仕組債はノックインすると10年間無利息確定で途中解約しようとしたらトンでもないペナルティが掛かって元本絶賛割り込みとかいうのが常識でありまして(そうじゃなかったら発行しない)、そーゆー影の部分を華麗にスルーして仕組債だの代替投資だのという話をするのはどう見ても煽り記事です。本当にありがとうございました。

資金運用も大事かもしれませんが、それよりも将来のキャッシュフローを考えて、それに対してどういう資金計画を練るのかとか、その場合にどのようなリスクがあるので、運用面でどのようなヘッジをすべきなのかとか、要するに本業に掛かる部分を真面目に考えるのが一番大事なのではないかなどと思いますがね。


#次の大ネタはG7かなあ。GDPの数字が良いというのは既に皆が予想しているので・・・・それまでに色々と思惑が飛ぶ週になるんでしょうかねえ






2007/02/02

お題「えー今月もですかあ?」

10年入札は順調だったのですが・・・・

○2年確りとか書いたら弱くなるのがドラめもんクオリティ

どこぞの禿先生のようで誠に遺憾でございますが(><;

いやまあ一昨日の引けあたりから怪しげではあったのですが、昨日は終わってみると引け値ベースでは2年だの5年が1.5毛甘で、20年が0.5毛強で30年は1.5毛強と相変わらずのイールドカーブツイスト攻撃になっておりました。で、引け後になると先物とかも売られてたんですが、2年253回債は引けの2毛甘(0.75%)とか叩かれたようで、金先も下落となるの巻でございます。ナンノコッチャ。

何か経済指標が出た訳でもないですし、福井総裁の国会答弁で別に新しい話が出た訳でもない(経済に強気の見通しを言うのは福井総裁の仕様なので材料にならん)のにどーしたのやらと思うのですが、どーも2月利上げがどうのこうのというのをまたやらかそうとしているような動きもあるような感じで、「また外野で騒ぐのか」とちょっとげんなり。

まー今回のネタとしてGDPが出てくるのは判らんでもないのですが、最近は為替動向で云々というネタも時々聞かれるようになってまいりまして甚だ遺憾なことでございます(-_-メ)。それはさすがにやらないと思うが。

とは申しましても、3か月FBなんぞは相変わらず確りとしているようで、一昨日入札が行われたFB430回債が引けの0.44%テイクンとかやってますんで、まさしくリアルマネーの人たちが絶賛参加しているゾーンでは引き続き「2月利上げって何でしたっけそれ」状態となっているようです。何と申しますか、参加者層が微妙に違っているせいがあると思うのですけどゾーンによって利上げに関する温度差があるのが興味深いです。


チョー短い所に関しては、12月と1月に振り回されて正直もうエエカゲンニセエと呆れ果ててるという面もございまして(苦笑)、直前になるとまたドタバタするのかもしれませんが、CPIの伸びが前月よりも鈍化してるのに利上げはねえだろうというのがまあベースにあるとは思います。でも何か2年とかの妙な叩かれ方(実際に実弾売りが出たのは別のゾーンかもしれないけど、ヘッジでとりあえず叩きやすいのはカレントですから)を見てると、叩きあるいは実弾が正当化されるような利上げ観測攻撃をまた今月もやるのかもしれませんな。(利上げは無いと思ってますが、あたしゃー)

#まあポジション振り回す人にとっては動いた方がオモシロイのでしょうが、金融政策絡みの思惑出ると途端にターム物の取引が止まる(当たり前ですが)のでマネー系の人はやり難くて敵わんですがな


まーやるとしたら金先、OISという先物というかデリバティブ市場の方から動くんでしょうけど、中長期債市場と違ってデリバティブ市場とリアルマネーの現物市場が分断されているのが短期クオリティでして、どーせ現物市場と先物市場の温度差が素晴らしく出てくるでしょうなあと暫くはニヤニヤしながら動向を注視したいと存じます。

ちなみに債券市場の場合は先物が受渡最割安現物国債の金利(今の金利状況だと当分は残存7年)に裁定される(最終決済が現物国債だから)ので、7年金利の位置など気にしないで値段だけ見る人でも現物市場のイールドカーブ形成に貢献しちゃいますが、金先市場だと最終決済がTIBORなんですが、どー見てもそっちよりも短期国債市場とかの方がしっかりと値段がついてまして、まあお互い影響は与えますけど、債券先物と現物のようにきっちり裁定する訳ではございません(というか全然裁定しませんが)というのが「分断」の意味でございます。

#だから「市場の金利観を見るのに先物金利が一番適している」といういつぞやのBOJレポートには噛み付いた訳なのですが、最近は上記のようなご認識もおありなようで誠に喜ばしいことでございます


○ところで昨日の補足(日銀の償還乗り換え)

昨日書きました「償還乗換えが現金償還されたときの話」ですが、仕訳もどきの説明が我ながら雑だったので補足。とは言え、勘定科目に関しては多分正確じゃないと思うので(こら)、アドバイスプリーズ。

長期国債の買入を行った場合には
(長期国債)/(日銀当座預金)
となって、買入に応じた金融機関の当座預金が増えてその中から銀行券として出て行くものがあるでしょうということで、成長通貨の供給が行われますっちゅうお話。

で、この長期国債は一応理屈としてはB/S上では
(長期国債)/(銀行券)
という形で(日銀のバランスを見れば判りますが、別にヒモ付きで長期国債と銀行券がバランスしてる訳ではないです)、長期国債の保有が銀行券残高を上回らないという所謂「銀行券ルール」がありますよというお話。

で、この長期国債が(短期国債を経由して)現金償還となった場合何事が起こるかと申しますと
償還乗り換え時:(短期国債)/(長期国債)
と、資産サイドの長期国債が短期国債に変り(だから償還乗り換え)
現金償還時:(現金)/(短期国債)
と、今度は短期国債が現金に変るという話ですな。

そして、実際問題としては国債の償還金が現金でやってくる訳ではないので、どうなるのかといいますと、政府預金の減少となるので、
(政府預金)/(短期国債)
となりますわな。

で、このままだと政府預金の減少分の穴をどう埋めますかという話になるわけで、資金繰りのFB発行すりゃあ埋まりますが、それを放置すると民間が資金不足になりますので資金供給を何らかの形で行う必要がありますよという話な訳ですわな。現状で償還と買入がバランスしているので、今後買入を減らすということになると、その分を短期の資金供給オペで穴埋めしないといけませんので、買入は減らせませんですわなあというのが「輪番は減らせない、というか増額余地あり」というお話ですな。

ってこの話、本職のストラテジストでちゃんとしたレポート書いている人がいるんで、市場の人だったらそれをご参照されるのが吉かと存じますが、まああたくしの頭の整理にここまでつき合わせて正直スマンカッタ。


で、ちと話は変りますが、そもそも論として日銀の公開市場操作(オペ)は現在は「無担保コール翌日物金利は誘導するけど、他に関しては基本的にマーケットニュートラル」というのが原則だと理解しておりまして、その論点から言えば、本当は輪番オペを月1兆2000億とかやって債券市場に入るよりは、長期国債(まあ短期国債でもいいですけど)を償還乗り換えで直接引受やったほうがオペを減らせる上にマーケットニュートラルに近づくと思うのですが、そんなことやったら「輪番減額」と大騒ぎになるので中々難しいでしょうね。

何か昨日の蒸し返しのようなお話で恐縮でした。本当は日銀の金融市場レポートとか色々出てるので、そっちもクリップしておきたかったんですが。。。






2007/02/01

お題「相場雑談」

2年とかFBとか確りですねえ。10年入札はどうなんでしょ?

○FB入札がありました

おとといちょっと書きましたが、昨日実施されたFB3か月ものの入札は償還が5月14日と前回債からいきなり2週間と3日伸びておりましたが、入札結果は平均が0.435%レベルで最低が0.440%レベルとなりました。前回債が0.43%ビットとかの状態だったので(引けは0.425%)一応スプレッド乗ってるのですけど「うーむ」という感じ。

その前の日に2年国債入札が実施されてまして、こちらは前場の引けの気配を上に突き抜けたつよつよ入札になりその後もショートカバーだの買いだので確りしておりましたんで、昨日の前場引けで新発FB430回債は0.435%−0.440%で何とか0.440%を叩いて迎えた入札で事前には(前日の2年国債ジャンピング入札の恐怖から)0.43%から札を入れるのかよという見方もあったんですが、思ったというか事前に危惧されていたほどの入札にならずにまあ前場引けの気配なりの結果。

で、その後さっくり0.44%が叩かれてしまったようでして、さすがにGW越えの5月償還で4月エンドの既発とろくすっぽ金利差が無いのは如何なものかという動きにはなってくれたようですけど、それにしても強いですな。現状でのGCレベルが0.31−32%あたりで何故か中々下がらずとなっておりますので、3か月の0.4%台前半というのはGCやら現先と見合いで考えると(つまりコール見合いで考えると話は別ということで、そういう人はホイホイ買えるんでしょ)利上げに対するバッファーがちと足りないと思う(コールが0.5%の時のGCやら現先レートは0.55%〜0.60%位でしょ)次第。

まあ期末越えに関してはCPだと上位格付ものでも0.5%台に乗るケースも散見されますので、持ち切らーとしてはそのレベルにはなってくれよという感じなんじゃないかと思います。FBとの温度差は必ずしも利回りだけでは無い人の買いがあるかないかの差じゃねえのという所です。


○期内物強くて2月利上げ?何ですかそれ??状態

で、すげえええと思うのは期内物というかショートタームが強いことでして、FBの引けを見れば2月償還が0.305%で綺麗に並んでて、3月償還に入った所から0.325%〜0.35%とレートが徐々に上昇するんですが、この利回り水準だと2月利上げの可能性を全然見てない数字になりますわな。というか3月利上げも怪しいんじゃネーノという価格形成でございます。

で、これはFBだけの現象かと申しますとそうでもなくて、昨日のCP発行利回りなんかみてますと3月上旬償還(なのでまあ要するに1か月もの)の上位格付銘柄で0.35%を割ってるものまであるようでしたが、まあ概ね0.36%だの0.37%だのと言った所のようでして、足元のGCレートの堅調さの影響でCP現先レートが0.33%〜0.34%近傍で推移していることを勘案するとこれもまた2月利上げを全然織り込まないという素晴らしいレートです。

昨日も書いた気がしますが、正直申し上げてこの辺のレートを見てますと明らかに2月利上げ絶賛無視モードになっているのですけれども、情報ベンダーのマーケットコメントを見ると「2月利上げの織り込みがどうのこうの」と出てきて物凄い勢いで違和感があるのですが、確かによくよく見たらOIS市場の気配を見ると昨日の数字で2月利上げの織り込み具合が3分の1とかになってますわ。現物金利から伝わる市場の温度と全然イメージ合わないのはまあ今のところ参加者が限定されているから仕方ないのかも知れんが、数字として出てて判りやすいからと言って安易にそこの数字だけで金利観を読もうとするのは如何なものかと思いますが。

金先もそうなんですが、何か先物市場と現物市場の間に超え難い壁のようなものを感じる(まあそもそも現物同士でも変な壁があって裁定が効かなかったりしますが)のが短期市場クオリティなのでございます。まあ「総合判断」していただくのが吉と存じますが、「総合判断」ほどワケワカランものは無いというのは市場も金融政策も同じでございます(笑)。


○国債買入の償還乗り換えに関する件

人のふんどしかつちょっと前のネタですが、本石町日記さんのところから→http://hongokucho.exblog.jp/6405980/

数年前に日銀保有の長期国債の償還乗り換えルールが変更になった時に、「成長通貨見合いで国債保有してるのに、これを現金償還したら償還分の手当てで資金供給しないといけないんじゃないの?」と疑問に思った事がありまして(自分の過去の書き物をサルベージすると見つかるかもしれないのですが、ここんとこ多忙に付きサルベージしてません)、その辺の資金繰りどうなってるんだろうと思ったんですよ。その頃は明快な解説に出会えなくて「?????」感を持ったままだったのですけど。


えーっと、あたくしが下手なりに説明すると、国債買入が名目としては銀行券見合いという話になっておりまして、この銀行券というのは「成長通貨」と言われるように、一時的な出入りの部分は別にして、経済成長に伴い通貨残高も成長する(つまり基本的に減らん)という理屈になっておりますんで、買った国債というのは基本的に根雪のように溜まっていく類のモノでございます。

よって、以前は日銀が保有する長期国債は償還が来るとその分新発長期国債の日銀引受(これは財政法で禁止されてる引受の除外条項)をしてまして、俗に償還乗り換えとか言ってたんですが、償還乗り換えの方式変更に伴い、本石町日記さんのエントリーにあるように長期国債から短期国債に乗り換えた後現金償還(なので1年で償還になる)となった次第。

と、書きますと何となく判っていただけるかと存じますが、本来の理屈から言えば根雪になる筈のモノが、償還乗り換え方式の変更に伴いまして、その根雪ちゃんが気が付けば底の方からドカドカ溶けてしまう訳ですな。簿記で理解していただければ吉なのですが、資産サイド(国債)/負債サイド(銀行券)の資産部分が現金になっちゃうと相殺になる(激しくイイカゲンな説明ですが)訳ですから、その分何かの供給をしないと話が合わなくなるんですな。

で、それを短期のオペでやろうとすると大繁忙資金供給祭りになってしまうのはお判りになると思いますが、現状で日銀保有の国債償還額とオペでの買入額がほぼマッチングしていると本石町さんのエントリーにもありますように推移しとりますので、輪番オペをここから減らすのは短期オペに無駄に負担がかかることになるのでできまへんなあという話になる訳ですな。

でも、長期国債買入に何か深い意味があるかのように金融政策決定会合での議決事項状態になってますし、本石町さんご指摘のように債券市場は需給に関する話に異常にナーバスになる傾向があるので、この額を技術的な理由でいじるときにはその意味するところをかなり詳細に説明しないと物凄い誤解が発生して(というのが面倒なので技術的にいじるのは中々難しいと思う)しまいそうですな。

その実態的な意味は何であれ、世の中(というか市場というか)がそのアクションをどう理解するのかという事が金融政策(だけに限定されないと思いますが)をいじるときに考慮に入れるべき重要な点(でありますので、訳の判らん解説をする不勉強なメディアは罪万死に値するのですけど)だと存じますので、この問題も(別に目先で不具合は発生しませんが)今後どうやって着地させるのかは難しい話でございますなあという感は致します。


#などと本石町さんのエントリーにコバンザメのような話で汗顔至極なのであります。