決定会合議事要旨や金融経済月報などについて(2005年度上期に書いた分)

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2005年上期

2005/09/14「7月27日、8月8−9日の決定会合議事要旨」
2005/09/09「景気回復宣言キターの金融経済月報」
2005/08/15「7月12、13日の金融政策決定会合議事要旨」
2005/08/11「踊り場脱却宣言キターの総裁記者会見」
2005/08/10「景気の現状判断を更に前進させた8月の月報」
2005/07/20「6月14、15日の決定会合議事要旨」
2005/07/15「景気に強気、政策に関しては慎重な総裁記者会見(続き)」
2005/07/14「景気判断強気の金融経済月報と総裁記者会見」
2005/07/07「日銀地域経済報告(さくらリポート)」
2005/07/04「日銀短観のドラめもん的考察」
2005/06/23「議事要旨を見て小まとめメモ」
2005/06/22「議論迷走の決定会合(その2)」
2005/06/21「4月28日、5月19、20日の決定会合議事要旨を読む(その1)」
2005/06/16「決定会合雑感と雇用面の判断を前進させた金融経済月報」
2005/06/09「当預目標引き下げの票読み」
2005/06/03「アリバイオペは実施せず(6月2日当預30兆円割れ)」
2005/06/02「30兆円割れ目前」
2005/06/01「やる気の無い供給オペと量的緩和のデメリットをことさら強調する日銀レポート」
2005/05/31「今日の資金供給もやる気なさげ」
2005/05/30「相変わらずやる気の無さげな資金供給/総裁は市場機能がお好き」
2005/05/27「議事要旨補足/相変わらず自然体の日銀供給/FB発行取りやめ」
2005/05/26「どうも引っ掛かる日銀の資金供給/ありゃりゃの議事要旨」
2005/05/23「なお書き追加に関してあれこれ/判断を前進させた月報」
2005/05/10「3月15日、16日の決定会合議事要旨より」
2005/05/02「強気な展望レポート2005年04月版」
2005/04/28「金融政策決定会合ですが」
2005/04/18「また展望レポートの観測記事が出ていますが」
2005/04/07「金融政策決定会合あれこれ」
2005/04/06「相対性緩和論の落とし穴」
2005/04/04「4月短観に関するエエカゲンな感想」


2005/09/14

○金融政策決定会合議事要旨

昨日は7月27日分、8月8〜9日分の金融政策決定会合議事要旨が公表されましたが、ちょうどむりむりに強くなった5年国債入札をやった後で、中期ゾーン反発モードにあたっておりまして、そっちの方が相場の原動力になっていまして反応する向きもあまりございませんでしたな。

ま、その前に岩田副総裁講演に関する報道で朝っぱらから下げ下げでスタートしていましたし、昨日も例によって派手派手に動いた2年国債の安値が0.185%と直近安値に面あわせしていたように、どちらかというと昨日の前場時点までの動きは「日銀の強気」を織り込んでいる状態であったので、議事要旨に少々の事があっても「新味なし」となったのだと思います。

http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/g050727.htm(7月分)
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/g050809.htm(8月分)

本日はちょっと気が付いたところを少々簡単に。

・踊り場脱却ですかそうですか(8月分)

8月の金融経済月報では景気の現状判断を7月の月報対比大いに強気にして、福井総裁の記者会見でも『前回、「踊り場局面から脱却しつつある」と言ったが、今回も同じかというと同じではなく、少し前進している。』と発言がありましたが、決定会合の議事要旨でも同じ話になっていましたという事を念の為確認。

(8月分)『以上のような議論を踏まえて、多くの委員は、(1) 個人消費や設備投資といった内需がしっかりとした状況が続いているほか、輸出の伸びも回復しつつあること、(2) IT関連分野の在庫調整も着実に進展しているとみられることから、わが国の景気は「踊り場」を脱却したとの見方を示した。』

ということです。ちなみに先週の金融政策決定会合後に示された金融経済月報では上記の(2)に相当するIT関連分野の在庫調整も終了という認識になっていますので、益々景気に関して強気になっていると言えます罠。

・だからあまり仮定の話で盛り上がらない方が良いと思うんですが(7月分)

時々話題にでてくるネタとして「量的緩和政策の解除のステップはどのようになるか」ってぇのがございます。今週号の日経公社債情報あたりにも同じような話があったりしたのですが、量的緩和政策を終了させた後にゼロ金利政策に移行する(その代わり着手が早めになるので、当座預金残高目標の段階的な引下げが先に来る)のか、それとも一気に金利政策に移行する(その代わり着手が遅くなる)のかというようなお話で盛り上がるのは思考実験としては楽しめます。

ただ、最近あたくしが何度も申し上げてますからドラめもん読者の皆様は耳タコかもしれませんが、んなものはその時の経済物価情勢次第でして、その時に物価上昇の角度が急になっていてインフレ期待が盛り上がり、かつ景気が良いというのであれば一気に金利引き上げですし、ゼロ近傍でちんたら動いているのであれば慌てる必要無しですわな。かつて植田前審議委員がインタビューか何かで「出口は市場が連れて行ってくれる」という名言を残したそうですが、まぁそういうものであって、日銀が意識的に引っ張っていくのは日銀の景気判断が正しければ無問題ですけどそうで無い場合は逆噴射。

という事でして、シナリオとして本職のストラテジストの先生方が予想するのは予想屋(失敬)として当然のお仕事ではありますが、政策委員の皆様が仮定の状況を設定してその時の政策がどうのこうのという話を金融政策決定会合やら講演やらで盛り上がるのは、それが「仮定の状況を置いた思考実験である」と市場にちゃんと認知されないで行われた場合に、一昨年の6月〜9月のような「超先走った早期引き締め警戒モード」を呼び起こす一因となり得ると思いますがどうなんでしょう。政策委員会のご機嫌モードが変な思惑を生んだことが「コミットメント3条件の明文化」などという事をする破目になった一因でもあるという事を忘れてはいけません。

引用する前に延々と毎度お馴染みのごたくを並べましたが、7月分の議事要旨でまたまたこんな話をしている人がいるのにはちょっと困りますわな。

『この間、このうちひとりの委員は、「約束」を守ることは当然として、物価の先行きに関する第2の条件は、民需主導の自律的回復が展望できるとすれば自ずと満たされる面があり、ある程度柔軟に解釈しても市場の理解は得られるのではないかとコメントした。』

この件、市場のなんちゃらという話をしている所を見ると「マーケット代表」ということになっているお方の発言っぽい(のであまり反応しなかったのかもしれませんが、笑)ですが、コミットメント3条件を柔軟に解釈というのはコミットメントの形骸化をしましょうという話に通じる訳でして、こんなことを例えば福井総裁が言い出したら金融政策のコミットメントもへったくれも無くなるんですがそんな事で良いのでしょうか?と思いますが、予想が正しければこのお方は「金融政策をゼロベースで見直す」という主張をしているので、それからすればご本人的に斯くあるべしって話をしているのでまぁ本人としては筋通ってますな。

ま、「市場の対話」の一環の積りなのかもしれませんが、日銀がシナリオを作って市場を引っ張っていくという発想は、その日銀の判断が常に100%正しい訳ではないという事を考えますと、あたしゃー(言い方きつくなりますが)傲慢な発想ではないかと思いますがね。引っ張った挙句間違いだったらどうしようも無い訳で、あまり「乃公出でずんば蒼世を如何にせん」みたいな感じでやっていくのはどうかと思いますがね。もちろん市場は年がら年中行き過ぎますからその行き過ぎを「どうどう」と宥めるという「対話」までを否定する訳ではございませんが、為念。


・どうも因果関係が逆のような気がする(8月分)

資金供給オペレーションの札割れ問題に関して。

『ある委員は、金融機関の応札インセンティブとしては、(1) 流動性需要と(2) 金利観に基づく長めの資金確保ニーズがあり、前者が減少する中でも、長めの資金供給オペレーションで無理に金利をつぶさなければ、後者のニーズはある程度残るのではないかと指摘し、資金供給オペレーションを無理のない範囲で短期化しつつ、当座預金残高を維持することが可能なのではないかと述べた。』

最初の要因分解までは良いのですが、その後にある話が因果関係が逆です。当座預金残高を維持するために長めの資金供給オペレーションを行った訳でありまして、それは金利の長期低位安定期待によって短い資金供給オペレーションに対するニーズが乏しくなった為に長めの資金供給オペレーションを行うことになったのであって、日銀が能動的に長めの資金供給オペレーションを行って金利を無理に潰しに行った訳ではありません。

同じ理由で金利の先高感が生じてくれば、短い資金供給オペレーションでもニーズが発生してくる(極端に言えば5分後にコールレート誘導水準が上ると思えば1日ものの資金供給オペレーションにだって札は集まりますわな。そりゃより長いほうがもっと集まるけど)訳であって、その金利先高感は日銀が無理矢理作りにいくものではなく、物価や景気動向を勘案して早期デフレ脱却が展望できるかもしれないって金融市場の中の人たちが思いだしたから発生している訳ですわな。

ということで、仮に先行き景気失速懸念が出てくればまたぞろ金利低位安定感がでてくるのであって、オペレーションでどうのこうのという上記のコメントはどうも因果関係を取り違えているでしょ。勿論オペレーションを行うことによって長めの短期金利に低下圧力がかかるのも正しいのですが、順序として話が逆の香りが致しますわな。

どうもそういうところにボタンの掛け違いがあると後々どうなんでしょって懸念しちゃいますけどね。

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2005/09/09

○景気回復宣言ですよ先生

昨日の金融政策決定会合で発表された手形オペの電子化と適格担保の掛け目云々というのはわざわざ金融政策決定会合で議決するような話なのかイマイチ判らん話なので割愛。で、材料投下なのは金融経済月報でして、先日あたくしがドラめもんで「今月はそんなに判断動かさないだろう」などとテキトーに考えていたら判断が結構前進状態で個人的にはちと驚き。もうちょっと経済指標を見て来月の展望レポート中間評価のタイミングでやるのかなぁと思ってたんですが。


今回は景気の基調判断を思いっきり強くしてきたのと、物価の先行きにプラス転換という見通しをぶち込んできたのがとにかく目立ちます。これじゃあ量的緩和政策のコミットメント3条件のうち、何故か2番目と3番目が先に達成とも取れてしまう訳でして、正直日銀落ち着けと思うのですが。

例によって前月と比較。
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0509_f.htm

・総合判断

(9月)『わが国の景気は、回復を続けている。』
(8月)『わが国の景気は、IT関連分野における調整が進むもとで、回復を続けている。』

既に本石町日記さんがご指摘のように、ヘッジクローズが抜けて直球ストレートで景気は回復を続けているという事ですので、これはインパクトございますな。福井総裁の会見でも「回復しているとシンプルに言える」と発言しておられたようです。


・景気の現状判断

総じて言えるのは、総合判断の変化に見られるようにヘッジクローズが抜けているという点でしょう。

輸出と生産
(9月)『輸出は緩やかながら増加を続けており、生産も振れを伴いつつ増加傾向にある。』
(8月)『輸出は緩やかながらも増加しており、生産も、IT関連分野の在庫調整が進むもとで、振れを伴いつつ増加傾向にある。』

輸出は「増加しており」が「増加を続けており」と変化。生産はヘッジクローズが抜けました。


設備投資と企業収益
(9月)『設備投資は、高水準の企業収益を背景として、引き続き増加している。』
(8月)『設備投資は、高水準の企業収益を背景として、増加を続けている。』

この「増加を続けている」が「引き続き増加している」になったのもは表現的には強調と思われますが。


雇用者所得と個人消費
(9月)『雇用者所得も、雇用と賃金の改善を反映して、緩やかな増加を続けており、そのもとで個人消費は底堅く推移している。』
(8月)『また、雇用面の改善や賃金の持ち直しから、雇用者所得は緩やかに増加しており、そのもとで個人消費は底堅く推移している。』

雇用と賃金の状況が「持ち直し」→「改善」と判断を前進、雇用者所得も増加を続けておりという上昇トレンドを連想する表現になってます。


住宅投資と公共投資は毎度同じなので割愛。


・先行き見通しについて

先行き見通しの文で一箇所変化がございます。

(9月)『IT関連分野の調整一巡』
(8月)『IT関連分野の調整進展』

総合判断の部分でIT関連文分野の云々という箇所がなくなったのと同じ話でして、以前「先行きの懸念材料」とされていたIT関連分野の調整が一巡したというのは誠に結構なお話でございます。


・物価について

(9月)『消費者物価の前年比は、需給環境の緩やかな改善が続く中、米価格のマイナス寄与が剥落していくことや、電気・電話料金引き下げの影響が弱まることなどから、年末頃にかけてゼロ%ないし若干のプラスに転じていくと予想される。』

(8月)『消費者物価の前年比は、需給環境の緩やかな改善が続くとみられるものの、電気・電話料金引き下げの影響もあって、当面は小幅のマイナスで推移すると予想される。』

プラス予想キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!!

ということですが、まぁ今のところ過去のマイナス要因が剥落するからプラスになるっちゅう言い方にして微妙にヘッジを入れている気がしますが、プラス予想はプラス予想。ま、実際にコアCPIがどのようなトレンドを辿って推移するかという問題で先行きのインフレ期待がどうのこうのって話になってきますので、今から大騒ぎする話でもないかなって気もしますが。


・おまけ

その他の表現は前月比変らずなのですが、量的緩和政策の継続への確信が少々剥落している今日この頃のため、札割れ現象もだいぶ緩和されてきた(ご紹介省略しましたが、先日の武藤副総裁のインタビューでもその点の言及がありました)事もあり、資金供給オペレーションにおける札割れ云々という話は無くなっております。


なお、記者会見の方では割と抑え気味のトーンでお話をしていたように(ヘッドラインや会見関連記事をざっと見ただけの印象ですが)感じられました。

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2005/08/15

○決定会合議事要旨

7月12、13日に実施された金融政策決定会合の議事要旨が公開されましたが、金曜日は上記のように「行って来い」相場できゃあきゃあ言ってましたので、あまり材料視されませんでしたが(笑)。

http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/g050713.htm

・景気の踊り場脱却に関して

この決定会合後の福井総裁記者会見で、やたらと景気に強気な発言をしていたのはご案内の通りでございます。

『踊り場脱却に関するお尋ねであるが、わが国の景気は踊り場を脱却したとまで明確に言い切れないものの、脱却しつつあると判断して良いのではないかと思う。IT関連分野の調整は、なお若干尾を引いているが、企業部門の状況の良さが家計部門に次第に浸透してきており、景気回復が当初のシナリオよりは少し広がりを持って動いて来ている。そこまで含めて私どもは踊り場を脱却しつつあると判断している。』

で、議事要旨を読みますと、この総裁発言と平仄を合わせるような内容となっておりました。「U.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要」の部分になりますが、引用していると長くなる(というか要約すると上記総裁発言になる)ので最初の所だけ引用しておきましょう。

『経済情勢について、委員は、わが国の景気は「踊り場」を脱却したとまでは言い切れないものの、「踊り場」を脱却しつつある、との認識を共有した。』


・当座預金残高目標に関して

「V.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」より。

毎度のように2名様が当預残高目標の引下げの提案をしてましたが、この提案に対してどういう議論があったかと申しますと・・・・・

『ある委員は、当座預金残高目標の減額は、「引き締め」と受け止められる可能性があり、こうした点を踏まえ、金融経済環境を丁寧に点検していくことが必要との認識を示した。』

そうですな。引き締めと受け止められないのであれば下げても良いという話なのかどうかはここのくだりだけ読んでいても良く判りませんが。

『別の委員は、慎重に当座預金残高目標を減額していくことは将来の選択肢の一つと指摘しつつも、景気や物価の現状を踏まえると、現状の金融市場調節方針の継続が適当であると述べた。』

こちらの委員は、景気や物価に当座預金残高目標を連動させるという事のようですけれども、そもそも当座預金残高目標を最後に引き上げた時には「景気見通しを上方修正しながら当座預金残高目標を引き上げる」という表面上の理屈として訳の判らん事をやっていたという事実はスルーですかそうですか。


ご案内のように7月末に当座預金残高が(ヤラセじゃなくて^^)目標割れをしましたが、当然ながらこの会合時点で「月末の目標維持がヤバイかも」って話をしていたようで、目標割れに関する議論も行われています。

『何人かの委員は、5月の消費者物価指数の前年比がゼロ%となるなど、物価を巡る環境に変化がみられる中で、残高目標の下限を下回った場合、金融市場に一段と思惑が強まる可能性もあると指摘した。』

えー、この後に起きた現象によって判明したかと存じますが、実は金利先高感が市場に発生しますと長めの期間のオペに対する応札意欲が高まるので、資金供給に関してはそんなに苦労する必要がなくなるんですな。よって上記の可能性というのは考える必要があまり無かったりします。

『その上で、「なお書き」の趣旨が量的緩和政策を円滑に運営していくためのものであることを丁寧に説明するとともに、現在の物価情勢を踏まえれば、(1)当面、金融政策運営の基本スタンスに変化がないこと、(2)量的緩和政策からの「出口」については、「約束」の3つの基準に即して適切に判断していくこと、(3)経済・物価情勢の変化に対しては、機動的かつ柔軟に対応していく方針であること、を情報発信していくことが重要であると述べた。』

で、まぁそれに即した発言が総裁記者会見で行われたという事で宜しいのかと思いますが、景気の先行きに自信満々だから「余裕を持った対応」をしているだけなのでは無いかという気もややしますが(笑)、まぁ景気が回復して困る人もいませんので何とかこのまま余裕を持った落ち着いた対応を望みたいものであります。あまり自信が無い時には逆に念願の量的緩和解除をやりたいという意思が表に出てきて困るのよね。

ま、いずれにせよ「なお書き修正は金融政策の正常化への一歩」というような、過激派の見解はマイナーなる意見ということになっているのは確実(審議委員の皆さんのホンネは兎も角として)だということのようで。

『この間、別の委員は、情報発信に当たっては、経済・物価の見方等を丁寧に説明することが大事であり、先行きの政策運営への思惑を生まないよう努める必要があるとの考えを述べた。』

いやまぁそうですけどオマエガナーって感じはしますけどね。ま、いっか。


・財務省と内閣府からはまたも注文

もう殆どお約束の世界ですが、財務省からは「デフレ脱却が重要なので、デフレ脱却前に金融政策をいじらないで」というご注文、内閣府からは「マネーサプライを増やしましょうね」というご注文がでております。

(財務省)『民間需要主導の景気回復を持続的なものとするとともに、デフレから脱却することが、引き続き重要な政策課題である。従って、日本銀行におかれては、現在の政策内容を継続するとともに、現状の量的緩和政策を堅持する姿勢に変更がないことを、市場や国民に引き続き示して頂きたいと考えている。』

(内閣府)『日本銀行におかれては、実体経済が緩やかに回復している一方、デフレ克服には結果としてマネーサプライが増加することが不可欠であることから、政府のデフレ脱却への取り組みや経済の展望と整合的なものとなるよう、市場の動向や期待を踏まえつつ、実効性のある金融政策運営を行って頂くよう期待する。』


・しかしまぁ今回も・・・・・

議事要旨の最後は採決に関してですが、今回もまた福間委員は「27〜32兆円」の提案を行い、水野委員は「25〜30兆円」の提案を行い、おまけにお互いの提案に関しては反対票を投じるという端から見てると意味不明なこと夥しい結果になっておりました(笑)。

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2005/08/11

○というわけでやっと総裁記者会見(^^)

もう進軍ラッパなりまくりですよ先生。

http://www.boj.or.jp/press/05/kk0508a.htm

・踊り場脱却キター

長いので改行入れます。

『(答)日本経済は、実体経済面を見ても物価面を見ても、じわじわと良くなっている。じわじわだが確実に良い方向に進んでいる。従って、前回、「踊り場局面から脱却しつつある」と言ったが、今回も同じかというと同じではなく、少し前進している。』

『なかなか難しいのは、じわじわと良い方向に進む経済がいつ明確に踊り場から脱却したのかということについて、その瞬間を正確にとらえて完了形できちんと判断するのは非常に難しい。少し過ぎてから振り返ってみて、「もう脱却していました」となりかねないのが今の経済の実態の姿だと思う。おそらく今の瞬間はそんなに正確にはわからない。特にIT関連の在庫調整は着実に進展しているが、生産・在庫などの統計で、特に電子部品とかデバイス関連の在庫循環の絵を描いてみると、在庫調整が終了したかあるいは終了するごく直前という感じになり、明確に終了したと断定できるぎりぎりのところにあり、大変微妙な状況になっている。』

『そうしたことも含めて考えると、今の時点で写真判定すれば、少しぼやけた写真判定において、大方踊り場的な局面から脱却したと言えないこともないという感じである。私は文学者ではないので、これ以上うまく言えない。』

いやまぁ強気というか自信満々というか。ところで文学者云々のくだりで茶を噴いてしまいましたが、言葉尻を一々チェックする人が鬱陶しいわけですかそうですか。


・当預残の下限割れ話も結構ありました

結構下限割れ問題も突っ込まれていましたが、「なお書きでの下限割れの程度問題」に関しては定義づけのようなことを極力しないようにという感じを受けました。まぁそりゃ当たり前と申しますか、そもそも「30〜35兆円程度」という「程度」の言葉で済ませる事も出来たところをわざわざ「なお書き」を入れた訳ですから、なお書きの程度問題を明確化しちゃうと自分で自分の首を絞める結果になりますわな(笑)。そんな中で、あたくしもすっかり忘れていた件に関して突っ込みをする人がいたのには受けました。

『(問)当座預金残高目標30〜35兆円程度の中心線は33兆円程度であるという考え方は、変わっていないのかどうか。(後半はのちほど)』

そういやそうでしたすっかり忘れてました(滝汗)。意地の悪い質問ですけど、中心が33兆円だとか言ったのはそもそもが福井総裁な訳ですからね(笑)。

『(答)最初の質問であるが、その点については「なお書き」を今のように修正した5月の金融政策決定会合後の記者会見でご説明した通り、下限割れをしているごく短い期間を除き、通常の状況においては、従来通り33兆円程度を中心に市場調節を行えるであろう、また行っていこうということであり、従来と変わっていない。』

全然33兆円中心じゃありませんが、前に余計な事を言ったツケがこういう所でも回ってきておりますな。この後続けての突っ込みが無かったのは惜しい所ですが、恐らくまた総裁が売り言葉に買い言葉モードになってしまうので矛を収めたんでしょうな。身から出た錆とは言え苦しい答弁だこと。


・市場機能の回復?

同じ人がもう一つ鋭い質問をしております。さっきの質問の続き。

『(問)(前半は上記)また、7月27日の全店手形オペの金利が0.002%となり、最近では0.005%まで上昇しているほか、TBのレートも上がっているが、これは多少なりとも市場機能の正常化に向けて動き出したと見てよいのか、それとも一時的な弾みでなったものと見るべきなのか、あるいは何らかのリスクが出てきていると見るべきなのか、伺いたい。』

『(答)それからごく最近の動きとして、ご指摘のように全店手形オペについて応札が少し増えてきており、応札倍率も上がっている。また応札される方の金利の面での札の入れ方も変わってきている。私どももその変化に十分注目している。』

その通りでございます。ご存知なのは当然とは言えさすが細かいですな。

『今のところ私どもの受け止め方は、経済・物価情勢に関する私どもの基本的シナリオと、世間一般の方々、そして市場参加者の方々の情勢判断について、従来いくらかあったかもしれないギャップが段々と縮まってきており、情勢判断を共有しうる範囲が少し広くなってきている。それに伴って市場参加者の行動が変わり、イールド・カーブの形成のされ方が少し変わり、それが次のオペの機会における応札の態度にも微妙な変化を与えてきている。』

市場がやっと日銀の強気に反応してきたかとご機嫌のようでございます(苦笑)。

『これは、経済・物価情勢の変化、それに対する認識の変化、そして市場参加者の行動の変化、市場のコンディションの変化、それがまた市場関係者の次の行動を促す、というような新しい循環を生み出し始めている可能性があると見ている。まだ始まったばかりのことであるので明確なことは言えないが、そのような循環の走りと受け取れるものではないかと見ている。(以下割愛)』

金利先高感が起きれば「市場機能」とやらはちゃんと復活するんですよ(^^)。


・その他

今回の記者会見では政局の質問と、行財政改革に関する質問が多くでていまして、行財政改革の話が色々と出ていましたが、今日のところは割愛いたします。

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2005/08/10

○いやまぁ強気ですなぁという金融経済月報

8月分はこちら→http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0508.htm

例によって7月と比較しますと、現状判断をより強気に修正しまくっているのが目立つ所でございます。

・総括判断

(8月)『わが国の景気は、IT関連分野における調整が進むもとで、回復を続けている。』
(7月)『わが国の景気は、IT関連分野における調整の動きを伴いつつも、回復を続けている。』

その後の記者会見で「景気が踊り場を脱却したとほぼ判断しうる」という話を福井総裁がしておりまして、情報ベンダーのヘッドラインを見た記憶ベースで恐縮ですが、IT関連分野の調整に関しても調整がかなり進んできているというコメントをしていた筈でして、懸念材料の一つ(7月の月報から文言は削除されてましたが)が片付いたという点では「また強気になりましたなぁ」という感じです。

・現状判断は輸出、生産と雇用者所得に関して上方修正

(8月)『輸出は緩やかながらも増加しており』
(7月)『輸出は伸び悩んでいるが』

(8月)『生産も、IT関連分野の在庫調整が進むもとで、振れを伴いつつ増加傾向にある』
(7月)『IT関連分野の在庫調整が進むもとで、生産は緩やかな増加傾向にある』

(8月)『雇用面の改善や賃金の持ち直しから、雇用者所得は緩やかに増加しており』
(7月)『雇用面の改善や賃金の下げ止まりから、雇用者所得は緩やかながら増加しており』

ということで、生産に関してはまぁ書き方が微妙ではございますが、輸出と雇用に関しては上方修正。何だかんだと言っても輸出と個人消費(に影響する雇用者所得)は経済の牽引役ですんで、この2点に対して現状判断を前進させているのは大きいと思います。

まぁ最近の市場はこのあたりの判断前進をある程度織り込みに行ってるとは思いますが、例えば去年日経平均が12000円になって日銀の景況判断がガンガンの強気になった頃に中長期金利はいくらでしたっけって考えると、どうなのかな〜って気も致します。需給面で言えば昨年4月〜6月の相場よりもより「金利上昇に向けた警戒感」がある分だけ投資家の皆さん買い余力残しながら臨んでいるようで、「警戒感があると逆に相場は下がりにくい」というのを絵に描いたような展開ではございますが。


・先行き見通しに関して

先行き見通しに関しては7月と8月の文言に変化はございません。要するに『先行きについても、景気は回復を続けていくとみられる。』ということで(^^)。


・物価に関して

こちらも文言に変化なし。現状判断も先行き見通しも変化なく、『国内企業物価は、上昇基調を続ける可能性が高いが、当面の上昇テンポは鈍化するとみられる。一方、消費者物価の前年比は、需給環境の緩やかな改善が続くとみられるものの、電気・電話料金引き下げの影響もあって、当面は小幅のマイナスで推移すると予想される。』となっております。

・金融面に関して

正直あまり見て無いのですが、こちらも変化なし


○で、踊り場脱却なわけですが

総裁記者会見に関しては今日日銀Webにアップされますので詳しくはそちらでとなりますが、踊り場脱却の話は内閣府の方面からも出るようでして誠に結構なのですが、日経平均12000円と踊り場脱却宣言の組み合わせというのは過去に2度ほど天井高値掴みのサインとなってしまったという非常に縁起のよろしくない記憶がございますので、ここは一つ12000円が完全に定着したと見られるまでは我慢して欲しい所でございますが(笑)、言ってしまったものは仕方ないので、その通りに踊り場脱却をしていただきたいものだと切に願う次第です。

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2005/07/20

お題「会議は踊りっぱなしのようですが」

昨日は知人に久々に会い、今朝は少々マーライオン(にはなってませんけど^^)。よって今朝はちと簡単にさせていただきまして、明日までネタを引っ張ると言う作戦(でもなんでもない)に出る訳ですが。

6月14日〜15日の金融政策決定会合議事要旨が昨日公表されました。

http://www.boj.or.jp/seisaku/pb/g050615.htm

場中に発表された割には相場にインパクトが無かったのは、そもそも昨日の債券市場そのものが動意が碌に無かった(上る時も下がるときも先物がフラフラ動いただけで現物債の売買を伴っていたとは思えない動きでした)こともありますが、この頃絶賛話題沸騰だった「当座預金残高目標引下げ論」がその後の武藤副総裁や福井総裁の発言で一旦冷やされた(先日の決定会合での福井総裁記者会見でなお強調)ために、「まぁ決着済みでしょ」という認識になっている事も大きいのでしょうな。

でも、こ〜ゆ〜ノーケアーの時も注意してみておくのがBOJストーじゃなかったヲチャーのあたくしクオリティなのでありました(^^)。とりあえず相変わらず論議が続く「量的緩和政策の弊害論」について審議委員の皆様どうお考えかという所を今朝はチェックしておきませう。


○政策効果を弊害として捉える人3名也

『また、量的緩和政策のもとでの資金供給が市場機能へ及ぼす影響についても議論があった。』

例によって『IV.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』の部分から引用しますが、本日は何故かこのコーナーの一番最後のあたりからスタートします。

『ある委員は、資金供給オペレーション期間の長期化により、例えば短期国債の金利がほぼ一様にゼロに貼り付くなど、タイム・バリューのない異常な金利形成になっていると述べた。』

タイムバリューなどという小難しい言葉が出てきているところを見ると水野審議委員のご発言ではないかと推測されますな。こちらの先生は何せ「今までの政策は政策として、ゼロベースで新たに政策のあるべき姿を考える」というちゃぶ台ひっくり返しモードも辞さず的なお方なんで、金融政策の継続性に関してきゃあきゃあ言うあたくしのような者とは話が根本的にずれちゃいますけど・・・・・。この先にご紹介されているように「そりゃ量的緩和政策の政策効果じゃねぇの」って話ではありますが、ゼロベースで考えりゃ弊害と見えても仕方なしと言ったところですか。

『また、一人の委員は、2006年度にかけて量的緩和政策の枠組みを変更する可能性が徐々に高まると想定されるもとで、長めの資金供給オペレーションにより金利を無理に押し下げてしまうと、金利に関する市場の情報発信機能を損なうことになるため、オペレーション期間の長期化は避けるべきであると指摘した。別の委員は、同様の観点から、オペレーション期間の短期化を進めるべきとの見解を示した。』

同じような理屈。サラリーマン効果(勝手に考えた造語じゃが読者様には意味通じますよね^^)のせいか年がら年中オーバーシュートしまくる市場の情報発信機能ってそんなにエライ物なのか甚だ疑問を感じたりるのでございますが、まぁそんなに短期金融市場の市場機能がどうのこうのって大騒ぎするんかいなとも思いますな。

で、上記引用にもありますように、この「市場機能封殺論」というのを唱えているのが合計で3名いるというお話になりますして、9名中3名って言いましても正副総裁はあまり積極的に会議をリードする訳にも行かないでしょうから、よくよく考えてみると6名中3名という見方も出来る訳でして、目先何となく当預目標引下げ話は封印された格好ですが、このあたりの展開を見ると「札割れ」が続いた場合に技術論で蠢動が起きるリスクは考えておいた方が良いでしょうな。


○市場機能封殺論に対する他の意見

で、この続き。

『これに対して、複数の委員は、市場機能の尊重は中央銀行にとって極めて重要なテーマであるが、潤沢な資金供給がイールドカーブを押し下げる効果を持ち得ることは量的緩和政策の宿命でもあると指摘した。』

ま、宿命ってのも大げさですが、本来の政策効果でしょ。

『別の一人の委員は、量的緩和政策は、当初から市場機能への影響と政策目的達成との間のバランスを保ちつつ進められてきた政策であるとした上で、経済金融情勢が変化してきている中で、当座預金残高目標が自己目的化し、市場機能に過度の悪影響を及ぼすことは出来る限り避けるべきであると述べた。』

これが微妙な発言でして、技術論というよりは相対性緩和論の香りもしてくるものでございますわな。「当座預金残高目標が自己目的化」っていうフレーズはどこかで見た気がするのですが、アーカイブ調べを手抜きの介により明日にでも追加しておきます。上記の発言は先ほどからご紹介している流れでの表現なので「別の一人」っていうのは「市場機能封殺論」を唱える3名とは違うような気もしますし、単に水野審議委員あるいは福間審議委員の発言を「別の一人」って言ってるのかも。少々謎ですが、これが4人目だとすると、どうも当預目標引下げは予断を許さずって所かも。


○当預目標引下げ提案に対する意見

当預目標引下げはご案内のように福間委員(27〜32兆円)と水野委員(25〜30兆円)から提案があったわけですが、この辺りに関して。

福間委員と水野委員の意見はこんな感じです。

福間さん:『一人の委員は、金融環境が変化しているにもかかわらず巨額の当座預金残高を維持することは市場機能の回復を妨げるほか、金融規律の低下に繋がるリスクがあるなどデメリットの方が大きいとして、当座預金残高目標を「27〜32兆円程度」に減額し、「なお書き」を前回決定会合での修正前の文言に戻すことが適当であるとの見解を示した。』

水野さん:『また、もう一人の委員は、当座預金残高をある程度引き下げていかないと短期金融市場の機能は回復しないと主張し、当座預金残高目標を「25〜30兆円程度」に減額することが適当であると述べた。』

はぁはぁそうですか。で、他の人の意見。

『多くの委員は、景気が「踊り場」にある中で、金融市場調節方針の変更を行うと、日本銀行の金融緩和スタンスが後退したと誤解されるリスクがあるとの認識を示した。』

ということで、どんなことを言ってるのかと思えばこんな感じ。

『一人の委員は、デフレ克服にマイナスの影響が出ないことへの理解を得ながら、慎重に当座預金残高目標を減額していくことは将来の選択肢の一つと指摘しつつも、景気が「踊り場」にある中では、現状の金融市場調節方針の継続が適当であると述べた。』

こりゃ須田さんっぽいですな。

『ある委員は、量的緩和政策の効果の中には家計・企業の期待に働きかける効果があると思うが、金融市場調節方針の修正にあたっては、こうした期待に働きかける効果を損なうことのないよう、極めて慎重な配慮が必要であるとの認識を示した。』

『別の一人の委員は、当座預金残高目標を減額することは、量的緩和政策の時間軸効果を減殺してしまうリスクがあり、現在の目標水準を維持することは、デフレ克服を確かなものとし、市場機能の回復を可能とする最短の途であると述べた。』

まぁ最後の意見が現在の金融政策の枠組みから行くと最も正論ですわなぁって思いますが、植田審議委員の残した遺産は継承されているようで(本当は全員継承して欲しいものですが)誠に結構でございます。


○なお書きの扱いについて、そして水野審議委員少数意見認定の件

何故か議論をしています。

『前回決定会合で修正した「なお書き」の扱いについて、一人の委員は、金融機関の流動性需要の減少やそのもとでの「札割れ」の頻発といった基本的な構図に変化がないもとで、今後様々な要因によって、金融機関の資金需要が減少するような場合には、市場機能への影響に配慮しつつ、最大限の資金供給努力を行っても、当座預金残高目標の維持が難しくなる場合も考えられることから、「なお書き」を維持することが適当であると述べた。』

『また、何人かの委員も、「なお書き」を修正した趣旨については、市場でほぼ正確に理解されてきており、「なお書き」を変更する必要はないとの見解を述べた。』

『この間、一人の委員は、前回修正した「なお書き」を維持することには敢えて反対するものではないが、発動基準や配慮すべき市場機能の内容について、必ずしも明確でない面もあることから、今後とも議論を行いつつ、残高目標達成に向けてのオペレーション上の努力を一貫して続けていくことが重要であると述べた。』

この「一人の委員」が誰なのかは判りませんが、オペレーション上の努力をしろってのはあたくしも同意でございます。この議論の中で微苦笑したのはこの先にあるくだり。

『複数の委員は、金利の正常化に向けた第一歩というような今後の政策と結びつけた形で解釈されることがないよう、対外的な情報発信には正確を期す必要があると付け加えた。』

水野審議委員の意見は少数意見ですよってメッセージが発信された(まぁ票決見れば既に確定の赤ランプですけど)ということでございまして、まぁやっと正式(?)に晴れて少数意見認定されましたので、後は何言っても「ふ〜ん」としか市場は反応しなくなるでしょうなぁという感じ。他の審議委員が水野審議委員に同調するようになってくれば話は別ですが、目先は水野さんの発言で無駄に相場が撹乱される事も無いでしょうな。

ちなみに財務省さまにおかれましてはこんな事を仰せでございました。

『また、前回会合においては、技術的な観点から「なお書き」を付記することが決定されたが、これについてもその趣旨に沿った適切な運用を図って頂きたいと考えている。』

若干こめかみのあたりがピクピクいってる感じもしますが(^^)。


○やや余談ですが:なぜ「8対1」??

話はやや余談ですが、お笑いだなぁと思うのは当座預金残高目標引下げを提案した2名のそれぞれの議案が何故か両方とも「8対1」で否決されていること。あたくしの同僚なんぞはそのフラッシュを見た瞬間に爆笑の発作を起こしていましたが(^^)、そもそもこの引下げの数字そのものに科学的根拠(笑)があるとも思えず、別に二人でわざわざ別の提案をしておまけに相手の意見に反対票を投じる事もあるまいと思うのはあたくし達だけではありますまいて(^^)。

という訳で本日の議事要旨ウォッチは例によって金融政策運営に関する部分だけご紹介致しました。景気に関する部分も見たほうがよさげではありますが、まぁその部分を見るなら判断内容を前進させて月報の表現を随所でいじってきた7月の議事要旨のほうが注目でしょうな。

#結局途中で復活していつものペースになっていました(汗)

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2005/07/15

お題「総裁記者会見(続き)」

会見要旨が日銀Webにアップされましたので昨日の続きをば。

http://www.boj.or.jp/press/05/kk0507a.htm

○景気に関する質問が目立つ会見でした

今回の記者会見要旨を読みますと、(昨日ご紹介した)金融経済月報において景気に関る部分の文章構成を組み替えて、強気っぽい書き方が増えたり、先行きの懸念材料の部分を削除したりと「強気トーン」が目立つものだった事もありまして、景気に関する質問がうじゃうじゃ。全部引用していると例によって記者会見要旨の3分の2くらいを使ってしまいますんで。

会見の冒頭で述べた景気に関する現状認識と先行き見通し&踊り場脱却云々の部分。

『若干敷衍すると、日本の景気は、IT関連分野における調整の動きを伴いつつも、回復を続けている。今申し上げた通り、輸出は伸び悩んでいるが、IT関連分野の在庫調整が進むもとで、生産は緩やかな増加傾向にある。企業収益が高水準を続ける中、企業の景況感にも再び改善がみられ──これは短観が示している通りである──、設備投資は増加し続けている。そして、雇用面の改善や賃金の下げ止まりから雇用者所得は緩やかながらも増加しており、そのもとで個人消費は底堅く推移している。』

『先行きについても、海外経済の拡大が続くもと、輸出の伸びが次第に高まっていくとみられるほか、国内民間需要も、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に引き続き増加していく可能性が高い。こうしたことから、緩やかながらも息の長い景気回復が続くと判断している。』

『踊り場脱却に関するお尋ねであるが、わが国の景気は踊り場を脱却したとまで明確に言い切れないものの、脱却しつつあると判断して良いのではないかと思う。IT関連分野の調整は、なお若干尾を引いているが、企業部門の状況の良さが家計部門に次第に浸透してきており、景気回復が当初のシナリオよりは少し広がりを持って動いて来ている。そこまで含めて私どもは踊り場を脱却しつつあると判断している。』

ということで、景気に関しては昨日ご紹介したように「内需が予想より好調で、外需の伸び悩みをカバーという好循環」になっているというお話で、その結果として好調な企業業績が家計部門に浸透するという昔の「ダム論」的な表現に自信を深めているという所でしょう。


○物価に関して

『消費者物価指数については、本日の中間評価においても、2005年度中は前年比ゼロ近傍、2006年度は前年比プラスに転じるとの見通しであり、前回の展望レポートの見通しに概ね沿って推移すると予想している。私どもは、本年末から来年初にかけて、米価格の下落や電気・電話料金引き下げといった特殊要因の影響が順次消えていく過程で、消費者物価指数の前年比がプラスに転じる可能性が少しずつ見えて来ていると思っている。』

『もっとも、こうした見通しには、原油価格の動向をはじめとして、様々な不確定要因、上振れ・下振れ要因があり、今の段階では幅をもって見ていく必要がある。なお、物価情勢の基本的な判断については、消費者物価指数の動きだけでなく、他の物価指標の動き、その背後にある経済の動向等を総合的に検討していく必要があるという点は、これまでも繰り返し申し上げている通りである。今後ともそうした立場に立って、物価動向を丹念に点検して行きたいと思っている。』

で、原油価格が高止まりしてCPIがプラス転換した場合の「経済と物価の関係」に関する質問に関してはこういう風に答えております。

『いずれにせよ、仮に原油価格が比較的高い水準に止まり、人々の事前の予想よりも高止まりするという動きをする場合には、程度の差はあれ、物価には上昇要因、そして経済にとってはマイナス要因となる。従って、その場合には、いわゆるデフレ経済からの脱却についての判断は非常に複雑なことになってくると思う。』

CPIプラス転換に関しても自信を持っているということのようですが、原油価格要因で物価が上昇した時点での景気動向に関しても注意しておきますよって言っており、CPIの先行き見通し強気発言が過度にマーケットに思惑を呼ばないように気を使っていると見ました。


○やはり家計部門への波及を重視していますな

先ほどと同じ質疑応答で家計部門への景気回復効果波及が物価に及ぼす影響との関係を述べてます。

『一方、景気については「踊り場を脱却しつつある」というように申し上げたが、景気が踊り場を脱却しそれが順調に推移していく中で、家計部門への好影響が順調に進むということであれば、それはユニット・レーバー・コスト(単位当りの労働コスト)の上昇というかたちで、物価面に徐々に浸透してくる可能性がある。この場合は、景気の堅調さと物価の上昇とが両立してくるケースであるから、デフレ経済からの脱却という点では、原油価格の場合よりは方向性が揃っているので判断がしやすいと思う。』

『しかし、今後は原油価格の要因、ユニット・レーバー・コストを通ずる要因、両方が複雑に絡み合って出てくると思うので、良く噛み分けながら正確な判断が必要だということである。』

強気コメントをしながらも、余裕綽々といった雰囲気が感じられますわな。


○「余裕を持った対応」の大切さ

てな訳で、昨日も申しあげたように「余裕」が見られる総裁記者会見。

景気の先行きに関して自信がより強くなったので「余裕をもって対応」できるようになったという事のようで、誠に結構なお話ではございますが、裏を返せばちょっと減速するとまた「余裕が無くなる」のではないかという悪寒もする訳ですが、まぁこの調子で落ち着いて欲しいものです。

つーかこうやって総裁が景気の先行きに自信をもって落ち着いた対応をしていれば、マーケットも「なるほど景気回復ですかそうですか」という反応を示すというもの(あまりにも根拠レスな自信だったらダメでしょうが^^)でございます。ここもとの当座預金残高目標引下げ論議大迷走状態の時は「今の機会に当座預金残高目標を引き下げて置かないと、目標引下げのチャンスを失うかもしれない」というような日銀の「焦り」のようなものが感じ取られるというものでして、その辺の微妙な焦りを感じた市場が、10年金利1.2%割れを演出したなどというのはちょっとマーケットを褒めすぎのような気もしますが(苦笑)。

勝手な推測になりますが、景気が回復傾向→財務省の財政再建路線が炸裂→景気が頭打ち→量的緩和継続→日銀マズーという流れになる前に当預目標を下げておきたいっていう思惑も頭をかすめたのかも知れませんが、まぁ兎も角4月くらいからおっぱじまった「当座預金残高目標引下げ騒動」が日銀の「余裕の復活」で収まったというのは結構なことであります。


○ということで、もう一つのポイントだった今後の金融政策に関る総裁コメント

昨日引用した部分の再掲になりますが、ここの質疑はポイントですんで質問も含めて引用します。

『(問)総裁が景気認識で踊り場を脱却しつつあるとおっしゃった一方で、当座預金残高目標を変更しなかったことは、景気が踊り場から完全に脱却したことを確認しないと当座預金残高の目標を引き下げないという理解で良いのか、あるいは違うのかを伺いたい。』

『(答)これも繰り返しお答えしてきたことをもう一度きちんと申し上げる。量的緩和の枠組みの修正という意味において、当座預金残高の目標額を日本銀行として積極的に切り込んでいくというアプローチは、消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になるまでは行わない。つまり、3条件を満たしたと政策委員会が判断するまでは行わない。』

質問では「景気認識の上方修正と当座預金残高目標減額をリンクさせるか否か」という意味も込められていると思いますが、この答えによりますと、景気認識そのものだけでの当座預金残高目標減額は行わない(量的緩和政策解除の条件が整えば話は別)ということになる訳ですわな。つまり「解除する時に金利ターゲットに切り替えます」って話でして、まぁ一気に当預残を30兆円減らすのは技術的に問題があるでしょうから半月とか1ヶ月とかかけて減らすんでしょうが、とりあえずそういう対応を取る所存ってことでしょ。その続き。

『もう1つは、先般「なお書き」をつけたように、枠組み修正ということとは全然別に、金融市場の状況の変化に即して現実的な金融政策としての何がしかの調整が必要かどうか。この点については前々回「なお書き」を修正することによって、この金融市場における流動性需要の大きな波という厳しい局面に対応し得るようになった。今後の市場状況の変化と照らし合わせながら、よく観察していけば良い。今のところ、ここで何らかの予定的行動を隠し持っているということはない。今後、全くオープンに判断していけば良いと思っている。』

別の質疑ではこういう話も。

『(問)先程の質問で当座預金残高目標を切り込んでいくといったお答えがあったが、流動性の需要が非常に厳しい状況には、現実的な政策で対応すると言われたということで良いか。』

『(答)対処していくと申し上げたわけではない。そこは全くオープンである。金融システムの安定度合いが強まるにつれて、金融市場の中の反応がどのように変わるか、それは今までのところ「なお書き」措置で十分だということで対処したわけである。今後、市場がどのような反応をさらに示してくるかということによって判断していかなければならない。今のところ「そうしなければならない」という感じで見ているわけではない。 なお、量的緩和の枠組みそのものを修正するということとは別の話としてお答えしたところである。』

つー事で、「技術的対応」に関してはなお書き修正を行ったので当面の対応は済んでいますという立場。まぁ確かに先々の「更なる技術的対応」は排除してませんので、また「やらせ割り込み」でもやらかす可能性は否定できませんが、まぁとりあえず余計な騒ぎを起こさないようにしましょうって事かと。



○「市場との対話」を阻害するもの

えーっとですな。そんな記者会見を受けて某恐怖金融新聞さまにおかれましてはその1面トップ記事の見出しに「秋にも当預残高目標引下げ議論再燃も」というものを掲載して、「次回の展望レポートで景気に関してより判断を前進させて、当座預金残高目標の引下げ議論が再燃するでしょう」みたいな見通し記事を書いておられたりする訳ですが、あんたアフォですかと小一時間ですわな。

だいたい金融政策に関して折角日銀が色々アナウンスしているのに、何故か予断をもって解釈してるんだか何だか知りませんが、素直じゃない珍解釈をおっぱじめて電波な解説を流しだすというのが時折見られるこの新聞社。困ったことに経済のクォリティペーパーなもんで、偉い人とかが見ちゃいまして、ここの言説に思いっきり世の中が誘導されやすいのは悲しいかな現実としてある訳
でございます。

てな訳で、どうも折角の「市場の対話」に関してノイズ発生あるいは増幅装置としての役割を果たしているのではないかと思われるこの新聞社はもうちょっと勉強して欲しいものです。

あ、そうしたらドラめもんの存在意義(んなもんあるかどうか知らんが)無くなるか(爆)

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2005/07/14

お題「景気判断強気の金融経済月報と総裁記者会見」

まずは金融経済月報から。

http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0507.htm

○月報を見たあたくしの総体的印象

景気に関して強気のトーンになっております。今回は「基調判断」を堂々上方修正しているのと、IT分野の在庫調整と原油価格に関する「先行き懸念」部分が削除されたのが目立ちます。

また、読者様におかれましてはご存知の通り、あたしゃ毎回毎回ドキュメントチェックのように月報の前月比較をおこなって行っておりますが、今月の月報は景気に関する書き方が前月までと言い回しと言いますか、書き方の順序と申しますか、まぁそのあたりを変えている箇所が多くなってます。表現の仕方を変えたというのを勝手に深読みしますと、景気認識と景気先行き見通しについてより強気に設定してきた(うーん、何か上手く表現できないけど言いたいこと伝わりますかねぇ・・・)となるのですが、どうでしょ?


○景気判断を前進、IT調整の先行きに楽観的

上で申しあげたように、いつもの前月比較をしようとすると基本的見解の3分の2位を全部引用する事になってしまいますので、あたくしの勝手な判断でポイントと思われる部分のみ前月比較。

・現状の景気判断(最初の一文)

(7月)『わが国の景気は、IT関連分野における調整の動きを伴いつつも、回復を続けている。』
(6月)『わが国の景気は、IT関連分野における調整の動きを伴いつつも、基調としては回復を続けている。』

「基調としては」というヘッジクローズが外れていますな。


・IT調整と原油価格の「なお書き」削除(^^)

今まで入っていた「景気先行きの懸念材料」に関してIT調整と原油価格動向について言及していた「なお書き」が今月削除されました。前月まで入っていた「なお書き」を念の為。

(6月まで、7月に削除)『なお、IT関連需要や原油価格の動向と、その内外経済への影響については、引き続き留意する必要がある。』

先行き懸念材料としてみていた部分を削除。何か鉱工業生産統計とか原油市況とか見てると今この文言を敢えて外す意味がイマイチ判らんのですが、まぁ日銀としては総裁記者会見で言及されていましたが、個人消費や設備投資などの好調さがあるので、こっちの悪影響は薄れてきましたってイメージなんでしょうかね。


・なぜか「札割れ」話

あんまり読まない金融面の現状判断部分に何故かこの一節。

(7月新規登場)『金融市場の動きをみると、日本銀行による潤沢な資金供給のもとで、資金供給オペレーションに対する「札割れ」が続くなど、短期金融市場ではきわめて緩和的な状況が続いている。』

総裁記者会見によりますと(ソースは時事メイン昨日17:58のニュース)『「なお書き」を付け加えて(中略)金融調節をしているのだからその後の市場状況を述べる場合に札割れ現象に全く触れないでいくということはあまり正直ではないだろう』というコメントで深読み無用だそうで。

記者会見で総裁が同時に「コミットメント3条件達成前の当預目標引下げを否定」しましたので、変な憶測は発生しないと思います。つーかその言及が無い状態でこの一節を入れるとちょっとややこしいことになったかも知れませんな。


ま、総じて強気のトーンという事で。


○総裁記者会見:景気には強気、政策スタンスは緩和維持の腰が強くなる

以下のソースは昨日18時22分のブルームバーグニュース。会見要旨は本日日銀Webにアップされると存じます。

・景気は踊り場を脱したんでしょうなぁという認識

『まだ景気が踊り場を脱却したとまで明確に言い切れないところが残っているが、脱却しつつあると判断できるのではないか。IT関連分野の調整がなお若干尾を引いているが、企業部門の状況の良さが家計部門に次第に浸透して、景気回復が当初のシナリオより少し幅を持って動いている、広がりを持って動いている。そこまで含めて、われわれは踊り場を脱却しつつあると判断している。』

コメント付け加える必要もない強気トーン。


・コミットメント3条件達成前の当座預金残高目標引下げ否定

『これまで繰り返してお答えしたことをもう1度きちんと申しあげると、量的緩和の枠組みの修正という意味で、当座預金残高の目標額を日銀として積極的に切り込んでいく、というふうなアプローチは、消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になるまではしない、つまり、3条件を満たしたと政策委員会が判断するまではしない、ということだ』

『もう1つは、先般、なお書きを付けたように、枠組み修正ということとは全然別に、金融市場の状況の変化に即して、現実的な金融政策としては何がしかのアジャストメントがいるかどうか、この点については、なお書きを修正することによって、金融市場における流動性需要の大きな波という厳しい局面には対応し得るようになったので、この状況で、今後の市場の動向、推移というか、市場状況の変化と照らし合わせながら、よく観察していけばよい。』

『今のところ、ここで何らかの予定的行動を隠し持っているということはない。まったくオープンに今後判断していけばよい。こういうふうに思っている。』

じゃぁ「技術的に」目標を下げないのかという点は巧みに回避してますが、まぁこの部分を市場参加者がフツーに読みますと、上記小見出しのような解釈になるのではないかと思いますんで、市場は「やっと落ち着きましたか」とホッとしている(除く短資会社)かと存じます。


景気判断を前進させるとこれまでの場合は大はしゃぎモードになって当預目標引下げがどうのこうのとかもっと昔は緩和解除をどうするのか何て話で盛り上がるという悪癖がありましたが、今般のなお書き修正騒動が相当堪えた(かどうかは知りませんが)のか、今回はヒジョーに「落ち着いた対応」になっておりまして、誠に結構でございます(^^)。というか本来こうあるべきであって(だいたいまた書きだって本来当預残高目標に「程度」って入っていたんだからイラネェ筈だったんですけれども)、やっと本来の落ち着きを取り戻したというのが正しい。

まぁそれだけ先行きの景気に対して強気なんで、「果報(=量的緩和解除の条件が満たされる)は寝て待て」モードになってきたんだと見るのが妥当な所でしょう。

記者会見はもうちょっと見るところがありそうなのでまた明日。


○おまけ:また「関係者」か!

今回の決定会合でも総裁記者会見前に「票決が7対2」というのが「関係者」のコメントとして流れておりました。今回は仕方が無いので総裁も記者会見で票決について答えていたようですが、今の枠組みでは議事要旨発表時点でないと票決が何対何だったか公表しないことになっていたはずでして、まぁ相変わらず意識の低い「関係者」だなぁと思う訳です。ちなみに出席者はここの下の方に書いてあります。→http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/k050713_f.htm

ま、言いそうな人は一人しかいませんわな。お前は黙ってろと。

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2005/07/07

○日銀の地域経済報告

今回が第2回だと思いましたが、モノはこのあたりに概要と本文(ただし表紙含め47ページ)へのリンクがございます。

http://www.boj.or.jp/ronbun/05/chiiki0507_f.htm

『各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、多くの地域で緩やかな回復基調にあり、弱めの動きも解消しつつある。すなわち、全9地域のうち、7地域の景気判断は「緩やかな回復基調」となっており、景気回復の「一服感」が弱まりつつあることを指摘している。一方、北海道、東北では、引き続き横ばい圏内で推移している。なお、4月支店長会議時と比べると、3地域(北海道、東北、九州・沖縄)は前回判断を維持しているが、残り6地域が設備投資計画の上積み、雇用情勢の改善、IT関連分野の調整進捗などを背景に、総括判断をやや上方修正した。』

ということでして、地域経済報告は「設備投資」「雇用情勢」「アイテー関連の調整進捗」という日銀の月報などで景気の先行き判断で今一番注目している分野について判断上方修正となっていることは気にしておく必要はあるでしょう。

日銀的には景気判断に関して「踊り場脱出」への見方を益々強めているということになろうかと思います。そうするとまた「隠れタカ派」(じゃなくてまんまタカ派だと思いますが)の福井総裁の腰も(せっかく武藤副総裁が据付けたのに)またウキウキしだす懸念も無きにしも非ずという訳でして、まぁ当預目標引下げ問題に関する過度の楽観視(というか引下げが遠のいたという見方)はあまりイクナイと存じます。今すぐどうこうという話ではないでしょうが。

ちなみにこの報告は『なお、記述内容は支店等地域経済担当部署からの報告を集約したものであり、必ずしも日本銀行全体の統一した見解ではない。』となっております。米国の地区連銀報告を意識して作ってるんでしょうな。本石町日記さんによりますと日銀はこの報告を「さくらリポート」と命名したそうですな。

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2005/07/04

○短観のあたくし的な楽しみ方

日銀短観(概要)を毎度毎度ぼーっと眺めるのですが、何せ本職ではございませんのできちんと分析する訳でもなく個人的にネタとして見るわけでございます。

・業況判断DIの達成度合い

で、あたくしがネタとして見る場合一番最初にチェックするのが、「前回調査時点での先行き見通しが今回どのくらい達成されているか」というところでして、3月時点での「先行き(=6月予想)業況判断D」Iを見ますとこんな感じになります。

製造業
・大企業:+14→+18
・中堅企業:+2→+8
・中小企業:▲2→+2

非製造業
・大企業:+10→+15
・中堅企業:▲4→+1
・中小企業:▲15→▲12

ということで、物の見事に全セクターで3月時点で思っていたより業況判断が宜しいと。ちなみに3月時点では先行き予想の数値が基本的に足元の数値よりも悪く、「先行きの業況判断が悪化」というお話になっていた(ので債券買い材料だったんですが)ので、この結果は「企業業績判断は悪化するかと思っていたのに実は悪化してない(どころか3月の数字から好転してます)」というものでございますわな。

で、まぁ今回の先行き業況判断DIは横ばいないし若干下向き(1ポイント位)となっておりますが、毎度毎度短観を見ていまして、この「先行き業況判断DI」ほど当てにならないものはございませんなぁという印象があるんですが。

・今回は雇用人員判断DIも見てみましょう

最近の景気見通しの話では必ず「雇用情勢の好転」というお話になってくるので、雇用人員判断DIを見ようかと。ちなみに短観(概要)の6ページ目になりますわな。

雇用人員判断DIは「過剰」−「不足」で出すので、マイナスがでかいほど人員不足(=景気が良い)となるのでちょっと妙な数字ですが、こちらに関してさっきと同様に3月時点での先行き雇用人員判断DIと今回の数字を比較してみます。

製造業
・大企業:+4→+4
・中堅企業:+1→+0
・中小企業:+1→+2

非製造業
・大企業:▲4→▲4
・中堅企業:▲6→▲4
・中小企業:▲3→+1

まーモノが「雇用」なんでそんなにぶれないのかも知れませんが、それにしてもこの辺の数字見てますと3月時点で予想している状況からそんなに改善してはいませんねって事で、業況判断DIの改善ほどは好調ではないかと。まぁ3月時点での予想そのものは全般的には改善傾向でしたので、3月の足元の数字よりは今回は改善しているのは確かですけど。念の為。


・余談:金融機関の業況判断等

7ページ目に「金融機関の業況判断等」ってのがございまして、業況判断などのDIが出ております。まぁおまけのようなコーナーではありますが、業況判断DIを見ますと相変わらず結構な数字でございますわな。金融機関合計で+38ということで、大企業製造業もビックリの数字。ちなみに+38を越える数字が出ているのは大企業では鉄鋼(+60)と一般機械(+39)なんですが、そりゃ金融市場で「景気回復ムード」が盛り上がるわけですなぁと思う次第でございます(^^)。

今回笑ってしまったのは「証券業」の業況判断DIでして、3月時点での足元DI数値が+34でして、3月の先行き予想DIが何と+50となっていたのですが、いざ今回蓋を開けて見ると6月の業況判断DIが+19ってそりゃあんたあまりにも予想との乖離が凄すぎ(^^)。その時の雰囲気に影響されやすい数字が出てくるというのは証券業界の仕様ですか??

というか、金融機関では短観の回答をまさか三下が勝手に書いているとは思えませんので、それなりの部門のそれなりのお方がチェックしていると想像しますと、この豪快な乖離っぷりはうわなにをするlkjんhふじkmj

ちなみに、金融機関の雇用人員判断DIも中々。「貸金業・投資業等」では3月時点での足元数値が▲14で先行き見通しが±0だったのが、6月の数値が▲27とこれまた豪快な上方修正になってますが、まぁ金融機関全体で調査対象になっているのが207社と母集団が小さいので、このカテゴリーに何社入っているのよっていうお話もございますが。

「証券業」の雇用人員判断DIが今回も▲38と相変わらず絶賛人手不足との事ですが、その割にはあたくしにおしごとの口が掛からないのはあたくしが役立たずだからですかそうですか、とほほのほ。

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2005/06/23

○ま〜突っ込みどころはいくらでもありますが

金融政策決定会合議事要旨に関しては色々と「それはどうよ」って話をしだすと延々と出来ることは出来るのですけれども、物凄くざっくりと集約しちゃうと・・・・

1.自分たちが実施した政策の結果として生じた事象を殊更「弊害」呼ばわりするのは如何なものか。
2.金融政策を「ゼロベースから見直す」のは一つの考え方だけど、「期待に働きかける政策」である「時間軸」を実施してる時にそりゃねぇんじゃないかね。
3.量的緩和政策における当座預金の「量」の効果で意見が全然集約できてないのに「量」を減らすという方向に走るのは、景気がシナリオ通りにいかなかった場合のリスクがでかかろう。

てなことですかね。日銀が景気に対して強気なのは良く判るんですけど、別に今「インフレ警戒」をする必要はなかろうって思う訳で。

どうも不動産証券化絡みで証券化商品の価格が美しく上昇したり、関連貸出が素晴らしく伸びたりというような香ばしい動きは確かにありまして、その辺を日銀が懸念しているというのは何となく判るのですが、そーゆー局地的な問題に関して経済活動全般に網をかける結果になる金融政策で対応しようとするのはちと問題があるのでは無かろうかと存じますが。局地的問題に関しては局地的対応で・・・・

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2005/06/22

お題「突っ込みどころに困る決定会合議事要旨」

政府税調様見事な開き直りですが、またリーマン増税なんですかそうですか。所得の確実なる捕捉とか公益法人などへの課税を検討しててから実施いただきたく大増税大直撃確実のあたくしとしては存じますが。「とりあえず確実に取れる所から取っちまえ」という発想は勘弁していただきたいですな。あ、当然ですが、増税大検討をしているエライ人たちの中で個人事務所を作って節税なんぞしている人なんていませんよね。

と軽く悪態をついて、本題は昨日の続き。


○4月28日の量的緩和政策の効果に関る議論

『何人かの委員は、量的緩和政策の効果について、それぞれの見解を披瀝した。』

ということで「金融経済情勢に関する委員会の検討の概要」から。

『ある委員は、量的緩和政策は、金融システムの安定確保と共にデフレ克服にも効果があると考えていると述べた。』

『この点について、一人の委員は、確かに、量的緩和政策はデフレ・スパイラルの回避に効果があったと思うが、これは、潤沢な資金供給が金融システム不安によるクレジット・クランチの発生を防ぐことに貢献することを通じて達成されたものと考えていると述べた。』

『また、別の複数の委員は、量的緩和政策は、経済・物価情勢の局面に応じて、その効果の出方には違いがあり、例えば、金融システム不安が後退した段階では、量的緩和政策の「約束」を通じた金利の効果がより強くなると指摘した上で、「約束」の強さと「量」の多寡は関係ないことを明確に説明していくことが大事であるとの認識を示した。』

最初のは「まぁそうですね」で終了。2番目に関しては一見ご尤もな話ですが、この議論もどうなのよって言うのが実はありますわな。

と申しますのは、日銀の資金供給って言っても所詮は有担保での資金供給になっているわけでして、本当にクレジットクランチが起きている場合にはなんぼ資金供給していても短期資金繰りに問題が生じてしまえば話にならんのが事実としてありますわな。

その辺が何とかなったのは金融庁の銀行シバキアゲ路線がいきなり転換(りそな絶賛救済スキーム発動)したことやら、その前の大手銀行渾身の増資とかという面が第一にあって、もう一つとしては量的緩和政策の長期化というよりは資金の全体的な流れとして政府部門が絶賛資金不足になっていて、民間(企業)が資金余剰になり、大手銀行のオーバーローン状態が解消した(ために短期資金繰りが改善している)ことなのではないかなぁと漠然としたイメージで裏をちゃんと取っている訳では無いのですが思うわけでございます。

量的緩和政策の「量」を増やしたからどうのこうのっていうのもあるとは思いますが、そんなに流動性問題に寄与しているとも思えず。つーかそもそも事後的には円高阻止介入のファイナンスじゃありませんでしたっけ???

どうもこのあたりを有耶無耶にして増額しておいて減額も有耶無耶かつ増額時と減額時の理屈が違うというのは「??????」でございます。

3番目は「相対性緩和論」と申しますか、量的緩和政策と称して当座預金残高目標ターゲットを置いてやっていたのにいきなり「時間軸付きのゼロ金利政策」に話をすりかえるというお話で誠にふざけたお話でございますと思いますが、金融市場ではこの理屈に理解を示すお方も多いようですな。


○4月28日の当預減額論

『大勢意見に対しては、一人の委員が、金融機関の資金需要が後退していることや巨額の当座預金残高維持のデメリットが相対的に強まっていること等を理由に、量的緩和政策の枠組みは堅持し引き続きデフレからの脱却を図りつつ、当座預金残高目標を減額し、「27〜32兆円程度」とすることが適当であるとの見解を示した。』

この人は後で議事提案しているから福間審議委員。基本的には技術論での対応説って感じですわな。

『また、別の委員は、資金需要が後退する中で、潤沢な資金供給の景気刺激効果が乏しいこと等を理由に、当座預金残高目標を減額することが適当であると述べた。』

これは水野審議委員。水野さんの場合は「人が変われば政策が変わるのは不思議ではない」という「ゼロベース見直し論」という理屈を先日の講演やら記者会見で披瀝していまして、あたくしとしては何ちゅうか一国の金融政策がそうコロコロ変られてもどうよって思うのですが、まぁそんな理屈に則ってますので、「ゼロ金利を維持するために必要な量を超える部分(というのは状況によって可変ですが)に相当する当座預金残高には効果が乏しく、デメリットが大きい」という理屈ですわな。以前にも指摘しましたが、この理屈によりますと今後景気が何らかの理由で悪化した場合に打つ手が無くなるという裸単騎待ちの勇者としか言いようの無い素晴らしい理屈。

これに対して「当預減額は適当ではないが、将来的には理解を示す」って人のご意見(5月における議論)を昨日はご紹介しましたが、だいたい4月時点でも「先行きの金融政策はどうよ」って所で同じような話が展開されていました。そんな中で量的緩和政策の元々のロジックを重視した意見を述べた委員がいるのは救われますわな。

『一人の委員は、金融市場の状況について、金融機関が必要とする以上の流動性を供給することを通じて金融機関行動に働きかけるという意味での量的緩和政策の効果がより強まってきているとみることができると述べ、特に、景気が踊り場局面にあることを考慮すれば、当座預金残高目標を維持することに積極的な意義があるとの見解を示した。』

既に引き下げの旗幟鮮明な人と、どうも引き下げに理解のありそうな人を勘定していきますと、消去法で中原審議委員か岩田副総裁か西村審議委員ということになりそうですな(福井総裁と武藤副総裁はあまりこの辺りに関して意見言わないと思いますし、総裁は引き下げに傾いている感じですし)。まぁこれが大勢意見じゃなさそうなのがトホホ感を強めます。


○5月の「なお書き修正」容認に関する同床異夢あるいは呉越同舟

『こうしたもとで、多くの委員は、現在の金融市場調節方針を維持した上で、目標値の一時的な下限割れがありうるという新たな「なお書き」を付け加える対応が適当であるとの意見を述べた。』

5月19、20日の「なお書き修正」容認に関してですな。

『何人かの委員は、通常は、市場動向を十分に見極めつつ、きめ細かな金融市場調節運営を行うことにより、「30〜35兆円程度」という当座預金残高目標を維持することができると指摘した。ただ、税揚げなど財政資金の動きに伴う極めて大幅な資金不足が見込まれる時期には、当座預金残高目標を常に維持できるか明確ではないと付け加えた。』

で、そのために「程度」という文言が金融調節方針にあったと存じますが・・・

『ある委員は、財政要因の季節的・制度的変動の大きさなどを踏まえると、現行の当座預金残高目標のレンジは十分に広いものとは言えないとの見方を示した。』

そうかぁぁぁ??つーかこれ以上広くしてどうするんだ??

『別の委員は、6月上旬の資金不足が一定期間続くことを踏まえると、下限割れを「程度」で読み込むことが難しくなる惧れがあり、「なお書き」として金融市場調節方針に書き込むことが必要であるとした。』

どういう状況報告になっているのか物凄く気になる所なんですが、どっちかといいますと6月の資金不足はオペバンバン打てば全然大丈夫でしょって見方の方が市場(の現場)としては強かったと思いますが。何かもう大幅不足でこのままでは30兆円維持が大変ですって宣伝してる人もいたかも知れんが。

『その際、ある委員は、上下双方向の「なお書き」が付されることで当座預金残高目標の意義が不明確とならないよう、発動条件については十分に明確なものとする必要があると述べた。』

それはご尤もですけど、結果として出てきた発動条件は「また、資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合」という条件でして、正直量的緩和やっている中ではオペの打ち方次第で「資金需要が極めて弱いと判断される場合」の演出は可能ですわな。わざとニーズの無いオペを打てば良い訳ですから。ということで、この委員の意見は取り上げられたように見えて思いっきり骨抜きというか却って裁量の余地を増す結果となってます。

『別の一人の委員は、目標達成の努力が十分に行われるのであれば、当座預金残高目標の一時的な下限割れを許容することには反対しないとした。』

目標達成の努力を十分に行ったかどうかは5月後半に連日悪態をついていたあたくしの過去ログでもご参照頂ければ誠に幸いでございます。おほほほほほ。


何と言うか、議論が迷走していて情け無い限りでございます。

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2005/06/21

お題「金融政策決定会合議事要旨を読むわけだが」

6月2日、3日の当座預金残高30兆円割れとかやりましたが、ここの所は当座預金残高はちゃっかり34兆円だとか堂々の30兆円超過。そんなに市場機能の低下が嫌なら今まさに絶賛100円入札で困っている短期国債の買入を暫くスキップしたら如何でしょうかと思うんですが、と軽く悪態をつきまして。


昨日はあたくし的には注目の金融政策決定会合議事要旨が公表されましたが、読むのが七面倒くさいということで内容についてはじぇんじぇん反応した雰囲気は無し。まぁ読み込んだ後に反応するのかしないのかって所でしょうか。

昨日公表されたのは、4月28日の議事要旨と5月19、20日の議事要旨です。特に5月分に関しては当座預金残高目標に関して「なお書き」修正を行った回にあたりますので、物凄い勢いで読み込んでみたのですが、正直量が多い。

(4月)http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/g050428.htm
(5月)http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/g050520.htm


○なお書き修正に関る解釈

色々と突っ込みを入れる前にまぁとりあえずまとめと言うか。

4月の時点でも当座預金残高目標引き下げに関する論議はそれなりに行われたようだというのが4月の「金融情勢に関する委員会の検討の概要」の最後の方から読み取る事ができます。で、その中で『また、何人かの委員は、量的緩和政策の効果について、それぞれの見解を披瀝した。』って言う事で色んな「見解」が披瀝されているという大変にアレな状態でございました。突っ込みをしてると長くなるのでとりあえず該当箇所ご参照下さい。


で、5月の「なお書き修正」に繋がる訳ですが、このなお書き修正に関連しても委員によってその解釈が微妙に違っているという状態。そりゃまぁ意見が違うのは良いのですが、景気の先行き見通しがどうのこうのとか、政策の枠組みとして(例えば)インタゲを導入すべきか否かとかというような大枠の話で意見が分かれて議論になってるってお話でも何でも無い所が実に情けない次第。

以下5月分の議事要旨の「当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」より。

『こうした「なお書き」の修正について、何人かの委員は、金融緩和の後退を意味するものではなく、現行の政策を副作用の少ないかたちで長く続けていくために必要な措置であるとの見解を示した。』

ということで、相変わらず政策委員会では「量的緩和の副作用論」が幅を利かせているようで誠に遺憾なものでございます。確かに「市場機能の低下」といわれてしまうと市場関係者以外の人にとっては「そりゃケシカラン」って反応しそうなネタですが、所詮コール取引が不活性とか短期国債が100円入札とかそんな世界の話だし、まぁあまり効果が期待できないとは言え、そこまで金利がゼロに張り付けば資金が金融市場から実物経済に流れるという理屈もあるんでそんなに大騒ぎすることでしょうかねぇなどと書くと短期金融市場の人の90%(推定)から怒られますので注意しましょう。

『複数の委員は、資金需要が極めて弱い場合に当座預金残高目標を維持し続けると、資金供給オペレーションの長期化により、日本銀行のバランスシートの固定化が進み、機動的な金融調節が阻害されると同時に、市場のリスクプレミアムの極端な縮小など市場機能に一層悪影響が及ぶと指摘した。』

「資金供給オペレーションの長期化でバランスシートの固定化」って話に関しては「日銀のバランスシート」に関して福井総裁がよくコメントしていますんで、この理屈に乗っかっていると思うんですが、「資金供給オペレーションの長期化」って言ったって精々期間1年以内で行っている話でございまして、それでバランスシートの固定化云々って言うのはどうなのよって思うのですが、まぁなんちゃらも方便だの武将のつくなんちゃらは武略と言うなどというありがたい言葉がございますからねぇ。


と、ここまで涙無しに読めない議事要旨が続きましたが、ようやっと一人今までの政策論理を踏まえた発言が出てくるのでした。

『もっとも、これに対して、一人の委員は、市場機能を低下させるまで金利を低下させることによりデフレ脱却までの距離を縮めている面もあるので、市場機能への悪影響を強調しすぎることは適当ではないという考え方を示した。』

しかしこの一人しかいなかったのでしょうか?????(涙)


○なお書き修正後の先行き運営に関して

同じく5月の議事要旨から、というか上記の続き部分。

『何人かの委員は、先行きの金融市場調節運営について見解を示した。これらの委員は、今後、金融機関の流動性需要が一段と減少する可能性もあると指摘した。このうち複数の委員は、景気が「踊り場」を脱し、明確な回復に転じた後に、現行の当座預金残高目標の維持が難しくなった場合には、日本銀行のデフレ克服に向けてのスタンスに悪影響が生じないことを確認しながら、残高目標を減額することも一つの選択肢として考えられるとの認識を示した。』

「減額するのが選択肢」だと言った人が複数名いまして、それが「金融機関の流動性需要が一段と減少する可能性もある」と指摘した「何人かの委員」に含まれるわけですから、3人以上の委員が「流動性需要の減退対応」という視点でものを見ているって話になりますんで、ここをどう解釈するのかはやや微妙ではありますが、当座預金残高目標の将来の引き下げに関しては少なくとも福間、水野の両委員の他にも状況によっては賛同者が出そうな感じですなぁと思わせてくれます。

で、その次にまた解釈に悩む部分が。

『こうした議論を受けて、一人の委員は、今回の対応は、当座預金残高目標の引き下げなど、今後の政策運営の方向とは切り離して理解する必要があると述べた。』

これだけ読むと「ああこの委員は基本的に引き下げ反対でなお書きも消極的なのね」と思うのですが、この人の発言の続きはこうなっています。

『その上で、現時点で先行きの金融機関の流動性需要を予見することは難しく、市場機能を毀損することなく「30〜35兆円程度」という現状の目標値の達成が可能かどうかは、その時々の金融政策決定会合で判断していくことになると述べた。』

これがイマイチ良く判らん。何か目標値が達成かどうかに関して毎回毎回政策決定会合で議論しだすことなのかよって突っ込みを入れたくなりますが、はてさて何なんでしょう。それに「その時々に判断」ってなら前回の決定会合で「なお書き下限割れ容認」を外す提案でも出ているかというと、それも出てない雰囲気ですし何のこっちゃですな。



まぁ山のように突っ込みたい事があるのですが、頭の中で整理できてないので本日は「なお書き修正と今後の政策運営」部分に関してというとりあえずポイント部分のみご紹介しました。続きは明日。

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2005/06/16

お題「金融政策決定会合と金融経済月報」

総裁記者会見の要旨はまだ日銀Webにアップされてません(いつものパターンですが)。金融政策のディレクティブを下限割れ容認のなお書き修正して、お約束どおり(一応日銀的には「意図的に30兆円割れをやった訳ではない」となりますが^^)に当座預金残高30兆円割れを実施したことによって一旦作戦成功なので、今回はあまり刺激しない方が吉だという感じなのか、ヘッドラインにはそれほど刺激的な話はなかったよう(突っ込みたくなる件は少々)ですな。


○当預減額提案が何故か2本出ていたようですが

(たぶん)総裁記者会見で明らかにされてましたが(6月17日追記:総裁記者会見では言ってませんでした。当たり前ですわな。やはり関係者コメントでした)、今回の「現状維持」の票決は7対2と前回と同じ。で、その2票なんですが、当座預金残高目標引き下げの提案が出ていたようなのですが、その提案が「25−30兆円への引き下げ」と「27−32兆円への引き下げ」との事。

何も別々の引き下げ幅で提案するこたぁねぇだろうなどと思ってしまいましたが、まぁどうせ「腰だめの数字」って奴なんでしょうなぁと思う次第。「27−32兆円」の方は福間審議委員が以前も提案していたので今回も福間さんだとして、いきなり5兆下げるというのはここもとの言動からすれば水野審議委員なんでしょうな。まぁ政策委員会の外で金融政策の現状方針を変えようっていう話をするんなら金融政策決定会合で議事提案と投票をして下さいなって文句が聞こえたようですな。

しかし引き下げ派2名いて提案する引き下げ幅が違うってのもそこはかとなく香ばしいものを感じない訳でもありません。どういう根拠でその数字を出したんでしょう(ってそもそも引き上げの時も数字の根拠は良く判らんでしたんですが。実質ドル買い介入支援だったんでしょうが)かねぇ。


○決定会合の内容をペラペラしゃべる「関係筋」は誰??

金融政策決定会合結果が出てから暫くして各情報ベンダーが「関係筋」の話として決定会合の議事についてヘッドラインを打っておりました。「決定会合の票決は7対2」だの「議論が白熱したが皆納得している」だのというようなお話なんですが・・・・・

決定会合の票決については「全員一致」か「賛成(あるいは反対)多数」という発表をしてますんで、何対何だったかというのは議事要旨の公表を待つことになっている筈でして、まぁここの所福井総裁が記者会見で「反対が何票」とか言うのも趣旨としては余計なお話ではありますわな。ただまぁ総裁としては変な思惑を出したくないから総裁の判断で何対何というのを公表しているんだと思います。

などと考えますと、決定会合の内容に関して総裁記者会見の前にペラペラ喋っている「関係筋」の行動は政策決定会合が現在行っている対外公表のやり方を無視とは言わんが軽視しているものでして、そのようなお方は可及的速やかに豆腐の角に頭をぶつけていただきたいものだと思うあたくしは原理主義者ですかそうですか。

誰が関係筋なのかと思って昨日の決定会合結果発表文を見て参加者をチェック(http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/k050615_f.htm)すると、まさか審議委員でそんな不見識なおしゃべりさんはいないと思います(つーかいたら嘆かわしい)し、日銀事務方やら政府官僚でそんなことする人はいないと考えると消去法で1名浮上しちゃいますが、まぁその方かもしれませんしその方じゃ無いのかも知れませんが、なんちゅうかもうちょっと何とかならんのかと思います。

っていうか、そもそも結果発表の際に「票決が何票だった」とか「否定された議案が何だったか」ってのを発表しない理由が良く判らんので改善キボンヌでありますわな。ただ今の枠組みでは票決だの反対議案だのは議事要旨発表時のお楽しみになっているんで、そのあたりを形骸化するおしゃべりは如何なものかと思いますがね。


○金融経済月報は雇用の改善についてコメント

今月の月報はこちら→http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0506.htm

小見出しにありますように、今回の月報は雇用状況に関る部分の現状判断、先行き見通しが前進しております。「ダム論」というとアレですが、「企業収益の改善が雇用情勢の改善につながり景気回復の裾野が広がる」という理屈が現出してますよってお話ですんで、日銀としては「景気回復シナリオ」に自信って所でしょうか。5月分と比較。

・基調判断と先行き見通しは変わらず

『わが国の景気は、IT関連分野における調整の動きを伴いつつも、基調としては回復を続けている。』
『先行きについても、景気は回復を続けていくとみられる。』

これらは5月分と同じです。

・雇用に関る部分

現状判断で「雇用者所得の増加」について言及しています。

(6月)『雇用面の改善や賃金の下げ止まりから、雇用者所得は緩やかながら増加しており』
(5月)『雇用面での改善傾向が続き、雇用者所得もはっきりと下げ止まる中で、』

先行きに関しては企業の人件費抑制姿勢が改善するような説明ですな。

(6月)『企業は人件費を抑制するよう慎重な姿勢を続けていくとみられるが、』
(5月)『企業の人件費抑制姿勢は引き続き根強いとみられるが、』

・設備投資

設備投資が製造業中心から非製造業にも広がり、はっきり増加してると言いたいようですな。

(6月)『設備投資は、高水準の企業収益を背景として、増加している。』
(5月)『設備投資は、高水準の企業収益を背景として、製造業を中心に増加傾向にある。』

あとは「輸出か持ち直し→伸び悩み」って微妙な変化がありましたが、今回は雇用と設備投資の判断を微妙に前進させているのが目につくところです。景気回復の足取りは確りしているって判断なんでしょうね。


ではでは〜♪

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2005/06/09

まぁ何と申しますか、当預目標下げましょうってのは金融市場の輿論(金利が上らないと困る人たちが多いので)という雰囲気になっているようで、当預目標下げに関しては思いっきり「理解ありあり」状態のようになってますな。という訳であまりうじうじ粘着していても空しいあたくしなのでありました。

○当預目標下げの票読みまとめ

・目標引き下げ今すぐやれやゴルァ!派
→福間さん、水野さん

・目標引き下げ積極容認派
→須田さん、春さん(春さんは4月の決定会合議事要旨から類推)

・目標引き下げ理解ありあり派
→西村さん、いちおう福井総裁(総裁の場合本音は積極派と思われ)

既にこの時点で6票。福井さんは立場上に多数派に賛成となるので5票とも言えますが、どっちにしろ9人中5人ですわな。

・目標引き下げ消極派
→武藤副総裁

・目標引き下げ反対派
→中原さん、岩田副総裁

ということで、あとは上手い「言い訳」さえあれば当預目標引き下げって話になるんでしょうな。「債券市場を崩さなければ当預引き下げ成功(by水野審議委員)」などという意見もあるくらいですから、そーゆー意味ではとっととやったら如何でしょうかねぇ(棒読み)。というか、景気が本格的に好調って経済指標が連発して、株式市場が上昇してきたら債券市場も反応しちゃうでしょう。その時にCPIがマイナスなのに当預目標を下げだすと(プラス転換してるならそもそも市場が量的緩和解除を織り込んでくれますので無問題)時間軸が思いっきり短くなりますから、当預引き下げは債券相場崩しますわな。

・・・でもそれで良いんでしょうかね??その理屈から逝くと、景気の先行きが不透明だと思っている人が多くて債券市場が買い優勢の時には当預残高引き下げが出来るって不思議な話になるんですけど・・・・・

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2005/06/03

燃料投下し過ぎです。何と申しますか言いたいことが山のようにあってこっちも整理しきれないというのが正直な所です。さてどこから書きましょうか・・・・・

○アリバイオペは実施せず

昨日の即日オペ時間ですが、オペ実施せずとアリバイオペ(一番有力な線は15日の年金定時払いの資金余剰にエンドを合わせた2週間の即日オペ1兆円。以前のように即日オペで300日以上の期間のものが実施されるとはさすがに誰も予想してませんでした)実施の意見がありました。ど〜せならアリバイオペを実施した所に神ディーラーが降臨してオペ札割れせずに30兆円維持って図が一番笑えたのですが。どうもその雰囲気を察知したのか(爆笑)、オペ実施せずで堂々の30兆円割れを達成しました。

で、まぁつい2週間前に記者会見で総裁の言った「オペはとことんやる」というのは一体全体何の発言だったのかという話になる訳ですが、もともとこのお方のご発言はその場の勢いで調子の良い事を言うという極めて悪質な問題点(恐らく悪意で言ってるのではなくて、勢いで言ってるんだと信じたいですが)がございまして、この人の発言を公式資料や報道から就任以来チェックしているあたくしとしては、「またいつもの食言か」って所ですわな。

当座預金残高目標を引き下げたいというのであれば、今までの政策を政策委員会としてきっちりレビュー(効果が分からないという部分があっても然るべきですわな)して、今後はどういう政策の枠組みで当座預金残高目標というものを捉えていくのかというような話を政策委員会として機関決定すべきものでしょう。それを行わないで、「政策の枠組みは変っていない」「技術的対応」と説明し、その上「オペはとことん実施する」と言いながら全然とことん実施しないで、「当座預金残高は市場が決めること(昨日ご紹介した総裁発言)」などという発言までしちゃうという「政策の欺瞞性」に対して物凄い勢いで血圧が上昇しております。

水野審議委員驚愕の講演+記者会見はこちら

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2005/06/02

お題「結局30兆円割れですな」

○昨日の金融調節と債券市場

昨日もしかしたら翌日スタートの資金供給があるかもしれないという期待がかすかにあったのですが、まぁ案の定昨日のオペもは6月3日スタートでおまけにエンドが10月4日で本店オペとまぁ相変わらずの自然体オペレーション。結局本日の当座預金残高見通しは1日残高速報31.36兆円から現時点では2.21兆円マイナスで29.15兆円となる見込み。本日即日供給オペが実施されないとそのまま無事に(?)30兆円割れがスルーとなる見込みでございます。詳しくはこの辺をご覧下さい。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jp050602.htm
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jx050601.htm


ところで、債券市場は相変わらずの状況で、火曜日に米国10年もの国債が4%割れ(今朝はもう一発金利低下してますが)となり、こっちの10年国債入札が翌日に控えているのにまぁ見事な上昇と相成りました。昨日は一応押し戻しましたけど、まぁこの買い方は久々に見る「踏み上げ相場」の様相でしたわな。

どうもここ2年ほど6月になると株高債券安ってのが記憶にあったこともあって「6月暴落説」ってのが結構信じられていたようですが、この手の話は皆が信じると逆に行くというお約束通りにまず最初にショートの踏み上げをやる破目になったようですな。ナムナム。

本日は10年国債入札なのですが、余計な事に米国債が大幅続伸しておりますので、1.2%クーポンでも無問題くらいの勢いになってしまいましたわな。昨日の高値近辺では戻り売り(カバードコールも含め)がそこそこ出たようですが、昨日の高値をあっさり抜いちゃうと益々踏み上げという実に涙無しでは見られない展開の悪寒も。

いやはや驚きましたが、31日のドラめもんで生保決算での偉い人コメントを捕まえて「結局買えてないんでしょうなぁ」などとやや本人半分軽めのタッチで書いた通りの動きですか。もっと前に日経公社債情報での大手銀行運用計画アンケート結果が揃いも揃って本年度10年金利下限1.3%になっていて、その記事が出た時に既に1.3%割れていてその後も全然金利上らないという香ばしい現象の再来となってしまいましたな。

まぁどうでもいい話かも知れませんが、金融機関のメガ化によって大手運用機関の一挙手一投足がそのまま相場のファンダメンタルズを形成しちゃうようになっている昨今ですし、一々この手の運用計画に関して具体的な金利水準とか投資予定額とかを開示する必要があるのか、質問されたからといってホイホイ答える必要があるのかという点については考え直した方が良いのではないかと思いますがね。そりゃまぁ開示してくれた方が局外者にとってはウッシッシではありますが(^^)。


○総裁、その発言はどうかと思うぞ

時事通信の報じる所によりますと、福井総裁は経済財政諮問会議終了後に当座預金残高の目標下限割れが起きるとの見方について、「あすになってみないと分からない。市場の中で自ずと決まる」と答えたそうです(ソースは1日19時11分配信の時事メイン)。

まぁお馴染みのその場での当意即妙なるご発言だと存じますが、今現在まさしく当座預金残高の誘導を政策として行っている筈なのですが、「市場の中で自ずと決まる」ってそりゃ何よという感じでございますな(-_-メ)。まぁ要するにその辺が福井総裁の本音ってことで今まで良くもまぁ猫をかぶり続けたとそっちのほうに感心するやら呆れるやらと言ったところです。

ちなみに、そのニュースでは調節方針について「(現場に指示は)しない。現場の責任でやらなければうまくいかない」とも仰せでして、「市場機能を封殺しないでとことん供給」という訳の判らん方針にのっとってオペレーションをしなければいけない現場の中の人に対しては激しくご同情申しあげたいところです。

昔々あたくしがとあるところ(今いる所ではないので念の為^^)でディーラーをやっていた時に、一日終わってから日中のチャートを見ながら「ここで売ってからこのあたりで買い戻しをしていくんだ」と得々と解説したり、「良い所で買っとけ」などという発言をする素晴らしい上役がいましたなあそういえばあのひと元気でやってるかなあなどと懐かしく思い出してしまうような福井総裁様の「現場の責任」発言でありました。あっはっは。



○で、本日の予想

資金供給オペレーションに関しては、一応30兆円維持の茶番もとい努力の姿勢はお見せしないとアレでしょうから、本日は9時20分に即日供給オペ8000億円とか1兆円とかやってくるのかと思います。即日オペの場合は事務作業の都合上だと思うのですが、基本的に本店オペ形式で実施する筈ですんで、そもそも札が集まりにくいのですが、念には念を入れて(笑)期間2週間とかで益々札の集まりにくいオペレーションを実施するものと勝手に大予想。

これでノーオペだったらもうやる気無し無しもいいところなんで、中々根性の入った姿勢だという感じですが、はてどうなるんでしょう。結構楽しみではございます。


○債券市場は当預目標下げを織り込みに逝ってるの鴨・・

まぁ与太話ですが・・・・

ここもとの債券市場上昇。需給関係とか米国の長期金利低下に引っ張られているとか色々要因はあるのですが、以前ちょっとギャグで申しあげたように「景気先行き不透明な中での日銀逆噴射の悪寒」というのがメインシナリオだという事になりますと、米国債券市場でまさに起きている長期金利低下&短期金利はあんまり下がらない、(つーか米国だと政策金利は上るので上る)というセットが発生しても何らおかしくはないとなりますか。日本の場合は日銀逆噴射でオーバーキル懸念ってことになるかと思いますが。おーおそろし。

まぁ短期金融市場と債券市場だけ見てる分には、明日いきなり当座預金残高目標を引き下げても何ら問題ないって相場の様相でございますんで、中央銀行の皆様に置かれましてはウハウハなのかも知れませんが、ちょっと落ち着いて欲しいなぁとあたしゃー思うのでありました。いちトレーダーとしては相場が暴れた方が楽しいというのはありますけどねぇ。。。。。

という訳で10年入札に関してコメントする気力が起きませんでしたが、どうせ踏み上げ入札になるんでしょとしか言いようがありませんな、とほほ。

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2005/06/01

お題「当預残目標下げたいのでしょうか???」

日銀方面から連日大量のネタが投下されておりまして、フォローが全然追いつきません(涙)。

○昨日の資金供給オペも自然体?

昨日の資金供給オペは通常6月2日スタートになりますので、最も注目を集める所なのですが、実施されたオペレーションは手形オペ1兆円。このオペ実施まで織り込んで6月2日の当座預金残高を推測すると28.5兆円〜29.5兆円程度と想定される(予想する人によって少々違うが大体29兆円くらい)ようで、いよいよ30兆円割れが眼前に迫って参りました。

しかも今回はどう見ても総裁の言う「とことん」でも何でもないオペレーションでして、当座預金残高目標の30兆円を何としてでも維持しようという姿勢に著しく欠けるオペレーションですわな。

その割には某経済新聞あたりからはあまり「30兆円割れを意識的にやってるだろうゴルァ!」という声が聞こえないのは、日銀の宣伝が効いているのか、それとも目先の損得勘定が得意な金融市場と致しましては金利が上昇してくれた方が利益に繋がるので敢えて余計な事を騒ぎ立てないうわなにをするkmjhgぃjr。


・・・・以前もちょいと書きましたが、これは金融市場が誤解されている面なのですが、債券市場って確かに暴落されると困る人は多いのですが、少々の下げあるいはペースのちんたらとした下げであれば「運用環境の改善(債券は持ってるポートフォリオが時間の経過と共に利払いあんど償還されていくので再投資リスクというものがある)」と歓迎される傾向にございます。

ということで、今のところ債券市場は当預30兆円割れとその先にあるものに関して織り込んでいるのか織り込んでいないのかよく判らんといったところでしょうか。まぁ昨日ご紹介した生保決算での生保の偉い人コメントなんか見てると運用圧力は相変わらずですんで、下がっても限定的でしょっていう目先の需給問題が大きいのだとは思いますが。


○2004年度の金融調節

26日に「2004年度の金融調節」というお題で本文20ページに図表つきまくりで40枚分くらいの大作が日本銀行金融市場局のお名前で出ておりました。40枚あるので読むの後回しにしていたら早速各所でネタになっておりまして、某マーケットエコノミスト様におかれましては「日銀が行っている資金供給オペが、短期金融市場の機能を破壊していることに明確に言及している」「金融市場局は常日頃、市場と直接対話しているだけに、量的緩和策が市場機能にダメージを与えていることに対する問題意識は強い」などとわが意を得たりと意気軒昂の図と言ったところですな。

で、まぁ量が多いのでとりあえず話題になっている「金融調節に関する留意点」ってところを読むと、確かに「???」な記述が。

http://www.boj.or.jp/ronbun/05/data/ron0505b.pdf
の18ページから始まる部分です。

『一方で、これまで上述のような金融調節を行なってきた結果として、次のような現象が生じている点にも留意が必要である。』

『第一は、短期金融市場の機能についてである。高水準の当座預金目標を達成するために、資金供給期間の長期化や需要が見込めるオペ手段の機動的な実施が必要となり、結果として、関連する市場のリスク・プレミアムを、需給を通じて直接的に縮小させる面があった。』

いやあのそれは量的緩和政策の企図した所の筈なんですが。

『こうしたプレミアムは、民間経済主体の将来に対する予測に基づいて変動するものである。日本銀行がオペを積極的に活用することは、自らこのような市場機能を代替することとなるため、市場取引を減少させる面がある。』

総裁様は就任記者会見(http://www.boj.or.jp/press/03/kk0303c.htm)でこんなことを仰せでしたが、そのご発言の目的が達成されているのであれば、例えば資産担保証券の買入は廃止するとかアクションは無いのでしょうか。どうもこう整合性の取れないというか広げてる大風呂敷の右と左でやってる事が違いませんかねぇと思います。

『従って、デリバリー・チャネルというか、お金を末端にきちんと届けるという「出前持ち」のような仕事は、大変地味に見えるが、そこを愚直にやっていきたい。そのためには、銀行貸出のルート、あるいは銀行貸出のルートを通じない場合には、債券市場その他のマーケットの機能の活用を通じて、お金が広く伝播することを考えていかなければならない。』(2003年3月20日の就任記者会見)

つーかそれ以前の問題として、銀行貸出って伸びてるんですか?不動産向けは絶賛大拡大でしょうけど。

『例えば、コール市場取引をみると、金融機関の信用力の改善に伴ってある程度回復しているが、(以下馬鹿馬鹿しいので引用略)』

で、また金融機関の信用力の改善によってコール取引が活発化(この時点で変だが)する時に資金供給をしまくるのはけしからんという無茶苦茶な理屈が爆裂しております。そんなに短資会(自主規制)。次に参ります。


『第二は、日本銀行の資産の流動性についてである。』

ってな事でオペ期間が長い事と保有国債が多いことを問題視しているという誠に意味の判らん話が延々と書いてあるのですが、そもそも短期市場金利がゼロになっておらず、金利操作をやっている国の金融調節とわが国の金融調節を比較して論じる時点で訳判らんのですが、これはいわゆるひとつの我田引水ってやつですかそうですか。

『また、短期資金供給オペについては、2000 年度末時点のオペ残高は、3 か月以内に満期を迎えるものが全てであったのに対し、2004 年度末時点でのオペ残高の残存期間をみると、半分近くが3 か月以上となり、2 割程度が半年以上となるなど、かなり長期化している。』

2000年度末は量的緩和政策導入直後で当座預金残高目標は5兆円でしたが、その時点と今を比較してオペの期間が長くなったって当たり前のような気がしますが、どこがどう問題と仰せで??

『主要国中央銀行は、オペの期間を短期に設定するなど、資産の流動性確保に努めているが、日本銀行にとっても、金融政策の遂行能力に対する信認を確保するために資産の流動性を維持することは重要な課題のひとつである。』

あまりそういう意味での流動性は意味あるのかねって思う(以前申しあげた理由ですな)のですが、百歩譲って流動性を維持するのが重要な課題だというのであれば、流動性を維持することによって量的緩和の量を削減する場合のデメリット(デメリットは無いと言うのであれば、今までの金融政策は全部茶番だったと言う事になりますが・・・・)と比較論評して然るべきではないでしょうかと思うのですが、当座預金残高目標の維持に問題ありありという論理展開は中々豪快で頭の下がる思いであります。


○備忘録:福井総裁のソウルでの発言

ブルームバーグニュースに発言内容が載ってましたな。5月27日13時55分配信のニュースでした。しかし日高記者@ブルームバーグってソウルにもお出かけだったんですね。まさに東奔西走(^^)。

「市場のなかで、従来の(景気が)悪いとき、日銀という一種の散水車が水を撒いても何も芽が生えてこなかったのと比べると、今は、散水車が同じように水を撒き続けているわけだが、地面は水浸しになっている。しかし、その中から『取引は自分たちでできる、少しは金利機能を生かしながらできる』という新芽が出てきている」

「そんなに新芽が一夜空け(原文ママ)たら出揃うわけではないにしても、ポツポツと新芽が出てきたとき、散水車がそれを全部踏みにじったり、それで根腐れを起こしても平気だ、というのは、やはり将来のことまで考えて良い結果を出そうとする金融政策の姿勢からすれば、無責任になる。引き続き、散水車は水を撒き散らして走るが、新芽には注意深くいかなければならないのではないか」

以上自分の備忘録のために引用しておきました。まぁこれら状況証拠を並べると当座預金残高目標引き下げはもう目前ですな。なんちゅうか人から聞いたゼロ金利解除前の日銀驀進モードに似ている気が・・・・(-_-メ)。

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2005/05/31

○昨日の金融調節

昨日の資金供給もまたちと「とことん」的な雰囲気の無いものでございました。10時10分に国債買現先がオファーされましたが、期間が6月1日〜7月28日ということでまぁそんなに応札の少なさそうな設定になっておりました。案の定4000億の予定額に対して落札3100億円と見事に札割れ。おまけに13時の手形買入オペはちゃっかり見送りとなりまして、さて税揚げの6月2日の資金不足での当預目標維持は出来るんでしょうかって所ですわな。まぁ今日はそこそこオペを打ってくるとは思いますが。

昨日も申しあげましたが、今回の資金不足に対応するオペの打ち方は今までのパターンとは違う「自然体」という感じです。基本的に今までですと「とにかくこれでもかと資金供給をしておいてから、後で調整を行うために吸収をしてくる」というパターンでした。ところが調整吸収が3月末の時は4月を待たずして実施されたので、慌てた人たちの取り上がり攻撃で期末のレポ金利が上昇しちゃったりしたのですが、まぁその時点から深慮遠謀があったのかもしれませんな。好き勝手な推測ですが。

恐らく「市場機能を封殺しないオペレーション」という何かわかったような分からないような総裁の宣言(?)に対する現場のお答えがこのオペレーションなのかなぁという感じです。「とりあえずこれでもかと供給してから後で考える」ってパターンが「まぁ不足分を大人しく埋めていきましょ」ってのに変っておりまして、先日の総裁記者会見における総裁の「とことん」の方は例によってお為ごかしのリップサービスというか売り言葉に買い言葉発言だったようですにゃ。いい加減その「売り言葉に買い言葉」は止めた方がよいのでは。

ちなみに総裁の謎発言再掲します(5月20日記者会見)

『今回「なお書き」を設けて対応する場合にも、オペはとことんまでやるということであり、「とことん」という意味は、市場の中で市場機能を封殺する度合いがあまりに行き過ぎないかということを、現実にオペレーションをしつつ感じながら、ぎりぎりまで限界を追求する。』

こんなこと言わなきゃいいのにと思うのはあたくしだけでしょうか??

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2005/05/30

○金曜日の金融調節

金曜日は10時10分のオペで短期国債買入を実施したものの、13時のオペでの手形オペの実施は無し。ということで、先週と同じく短期国債買入は週に1回という形になりましたんで、暫くはこのペースになるのでしょう。

それにしても金曜日の金融調節も「とことん」とは言い難いオペレーションでして、そんなに30兆円維持が楽勝なのか、それとも総裁の口は「とことん」と言いながらも「とことん」じゃないのか難しいところです。まぁ今週後半になれば嫌でも結果は判明しますがどうなんでしょう??

「資金供給オペはとことん実施」「市場機能を封殺しないようにオペを行う」などの総裁語録によって苦労させられているのは現場の方々ですわなぁと存じます。あたくしの勝手な想像の世界になりますが、恐らく「市場機能を封殺しない」って言葉によって今までの資金不足期に毎度行われていた「先に大量供給しておいて後から余計な分を吸収する」というツイストオペ攻撃がやりにくくなったのではないかと想像しております。そのためにどんどん供給オペを打たずに何となくオペが小出しの印象を与えるのではないかと。

ま、実は「6月は30兆円割れなさい」なんて施策が出ているのであればそれはそれで笑える(笑えないけど)話ではありますが、さすがにそこまでは無いでしょって思いたいです。


○福井総裁の「市場機能」発言またも

金曜日の福井総裁はソウルでの国際金融セミナーのようなものにご出席。そこで「On Stabilization Politics: A Centaral Banker's Reflaction」ってお題で講演をしております。で、本当はこの講演を訳出しておかないとと思っていたのですが、例によってナマケモノモードになってしまい斜め読みしただけだったりします(汗)。ちなみに本文は英語なので、英文ページだけにしか掲載されておりません。(http://www.boj.or.jp/en/press/05/ko0505b.htm)

英語のスピーチと言えば昨年の6月には武藤副総裁がロンドンで行った英文スピーチを誤訳してレポートを作ったどこぞの証券会社のレポートをネタにして債券大いに下落という事件がありましたな。その時の学習効果で今回は日銀Webのトップページの新着情報で「英文スピーチはこちらを読め」というのが出ておりまして誠に結構ですな。で、さっき「誤訳」と言いましたが、どう考えてもそりゃ意図的なインチキ訳出だし捏造じゃねぇのかというレポート書いた張本人は別にお咎めも無かったんですかねぇ。何だかなぁ。

余談はともかく、昼休み時間に情報ベンダーからフラッシュで流れていた福井総裁発言で、「市場機能の新芽が出てきている」という趣旨のものがありました。どうも講演後でのぶら下がりで先般のなお書き追加についてコメントしたことのようです。

先日ご紹介した金融政策決定会合後の記者会見でもそうでしたが、ここの所総裁の口から出てくるのは「市場機能」って言葉でありますな。この「市場機能」って何のこっちゃというのに関しては金曜日の時事メインコラム「金融観測」でも『もっともこの「市場機能」が何を意味するのかは、市場関係者には「分からない」し日銀内にも分かる向きはいない(27日17:09配信記事より)』といわれておりますし、あたくしも実の所よー判らん。

よーわからんのですが、市場機能と言われますとやはり短期金融市場ということになるとおもいますんで、あたくしの解釈は「短期金融市場におけるタームもの取引の活性化」って事になりますんで、必然的に「長めの短期金利が上昇」って発想になりますが、まぁそれも正しいのかどうかは神の味噌汁でして、市場でも解釈に苦慮しているというのが現状ですわな。

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2005/05/27

○昨日の補足:結局執行部以外で6分の4な訳だが

昨日ご紹介した4月5、6日の金融政策決定会合議事要旨。福間審議委員の当座預金残高目標引き下げ提案は否決されましたが、「今後の政策について」って事で当預引き下げに賛意を示したのが3人いますがこりゃ誰よ?って話をしてましたが、須田さんと水野さん以外の1名は春審議委員(どうでもいい話ですが、情報ベンダーのフラッシュで「春日銀審議委員」ってのが出てくるとついつい「かすが・ぎん」と読んでしまうのはあたくしだけですかそうですか)だということでファイナルアンサーらしいですな。

となりますと、近いうちに当預目標下げろっていうのが執行部以外の政策委員会審議委員6名中4名になっている訳でして、こりゃまぁちとどうなのよって感じですな。当預目標維持を強調しそうなのは岩田副総裁と中原審議委員くらいでしょうし。



○昨日の当座預金動向:日銀VS財務省????

昨日のドラめもんであまり「とことん」さが見えてきませんなぁと悪態をついたのが聞こえた訳でもないでしょうが、昨日オファーされた手形買入は本店じゃなくて全店オペでして、しかも期間が3月15日エンドなので中間期末と年末越えというオペで、一昨日に実施した10月14日エンドの本店オペと比べるとまぁ札が入りますなぁというオペでした(事実、応札倍率も2倍台後半となっておりました)ので、少々やる気が見えたかなって感じではあります。

しかしながら、短期国債買入は実施されず。一昨日に行われた13週間ものFBの入札が毎度お馴染みの平均落札価格100円となっているので、短期国債買入を「市場に配慮して」行わなかったのかもしれませんが、昨日時点で当座預金残高が31兆円切っている状態で短期国債買入を実施しないで放置プレイとなると30兆円維持がしんどくなるんで、上述した手形オペを「ちゃんと札が入るように」実施したと言う事でしょうね。

本日はさすがに短期国債買入実施するんでしょうが、それだけ「市場に配慮」してくださるのであれば、馬鹿入札合戦が横行する短期国債市場を冷やす意味で本日も短国買入見送る根性を見せていただけると誠に恐悦至極に存じます。ちなみに、国債系のオペレーションは証券会社の落札も結構ございますが、手形オペは準備預金対象の人たちの参加となっておりますので、昔の常識では「日銀貸出>手形オペ>国債系オペ(当時は短期国債の買現先が基本)」の順で準備預金に対して効きがよろしいので、同じ供給金額でも左ほど「緩め調節」というのがありました。まぁ手形オペ頑張って打って下さいね(はぁと)って感じです。


で、もう一つ笑ってしまったのは昨日財務省から発表された「国債等の入札予定の変更について」でした。6月10日ですんで再来週の金曜日に入札をおこなう予定だった政府短期証券(FB)2ヶ月程度ものの入札を行わないことにしたそうで。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/yotei/1706a.htm

まぁここのところ政府短期証券の発行は3ヶ月というか13週ものをメインにするようになっていて、2ヶ月ものの発行を減らして実質的に3ヶ月ものに一本化しましょうって動きの一環のようではあるのですが、公表されたタイミングがちょうど「おいおい日銀当預残維持する気あるのかよ」って懸念を一部のマニアが抱く「短国買入見送り」の直後だったので、なお笑ってしまいました。

と申しますのは、この対比って「資金供給をとことん・・・じゃなくて自然体で実施している(ように見える)日銀」に対して、「すぐに発行額をいじれる政府短期証券の発行を減らす(ことにより当座預金残高維持に協力しようとするように見える)財務省」って対立構図を思わず想像しちゃうわけですな。え、そんなことを考えてしまうあたくしは考えすぎですかそうですか。

まぁそこまで狙ったわけでは無いと思いますがね。

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2005/05/26

お題「どうも引っ掛かる日銀の資金供給/ありゃりゃの議事要旨」

おお!5時36分のNHKニュースで「4月5、6日の金融政策決定会合で当預目標引き下げが初めて提案され、28日には票決が8対2になり、先日一時的目標割れを容認と議論が進んでいます」って報道しとる!!別に解説も何も無い報道ではあったが。

・・・ということで、どうもこう金融政策の変調ぶりは気になるのですが、債券市場はとりあえず「将来の当預目標引き下げ懸念よりは目先の需給要因」って感じで順調に踏み上げモードとなっております。上りだすと上る攻撃恐るべし。

○どうも引っ掛かりますな

何せウン年ぶりにチョー真面目に資金需給のチェックをしだしたので、色々と人に教わりつつ再勉強モードでありまして、少々雑な話になるかも知れないことを予めお断りしておきます。

昨日の資金供給オペは本店手形買入オペの新規実行。一瞬「こりゃ悪態でも聞こえましたかね」などと思ったのですが、蓋を開けてみると絶賛札割れ。「??」と思って短期市場の人に聞いてみるとそもそも手形オペにおいて応札の入りやすいのは「全店オペ」>>「本店オペ」であり、ついでに昨日のオペ期間もそんなに札の入りやすい期間ではないので札割れ当然とのこと。まだまだ勉強不足です>自分

と言う事は、昨日の資金供給姿勢もどこがどう「とことん」供給なのかさっぱり判らんという状況であったという事のようでして、何だか当座預金残高30兆円割れを放置する方向でやっているように見えて来る調節姿勢でございます。本日以降(昨日はこの「いこう」がタイポしまくりでしたな)は短国買入がある筈なのですが、先週1回しかやらなかった訳ですがさて今週はどうなんでしょうという感じです。

もう一つ気になるのは昨日の日経金融記事。2面の「BOJウォッチャー」といういつものコラムがあるのですが、そこを見ると「日銀の積極的な資金供給姿勢は変っておらず、市場は安堵感」みたいな記事がありまして、これまた「????」な訳です。本来資金不足になると長めの期間の資金供給オペをガンガン打っておいて、後から短めの期間吸収オペを打つというのが恒例行事だったのに、このチョー自然体オペはどうも怪しいと思うのだが。日経が妙に日銀の提灯もとい日銀の意向を受けたかのような報道してるのが気になるというか、もしかしてこれは「大本営発(以下自主規制^^)。

引き続き資金供給オペに関して注目していきたいと存じます。


○せいさくいいんかいのゆかいななかまたち(小見出しから棒読みか!)

4月5、6日の金融政策決定会合議事要旨が公表されました。
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/g050406.htm

本当は経済情勢の分析とか先行き見通しの話も読まないといけないのですが、あまりにもあまりな内容ですので、紙に打ち出すと6ページ目の後半あたりから始まります「III.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」ってところをば。

・当預引き下げ提案に賛同した人が3人??

『こうした大勢意見に対して、ひとりの委員は、当座預金残高目標を減額し、「27〜32兆円程度」とすることが適当であるとの見解を示した。』

で、まぁプルーデンスと市場機能復活を理由にしての引き下げ提案(結論読めば福間審議委員の提案である事が確定)でして、まぁこの理屈に関するケチは散々つけておりますので突っ込み割愛。もちろんこれは否定されたのですが(理由の部分がちと引っ掛かるのですが、本日はご紹介割愛とします。議事要旨読んでくださいませ)、問題はこの先にあります。

『何人かの委員は、先行きの調節運営について見解を示した。』

『ある委員は、今後、金融機関の流動性需要が一段と減少する可能性があるが、こうした状況において市場機能を毀損することなく「30〜35兆円程度」という現状の目標値の達成が可能かどうかを検証したうえで、必要に応じて当座預金残高引き下げを含めた対応を考える必要があると述べた。』

『別の委員も、現行の当座預金残高目標の維持が難しくなる場合には、デフレ克服にマイナスの影響が生じないことを確認しながら、残高目標を減額することも一つの選択肢として考えられるとの認識を示した。』

『さらに別の委員は、金融システムが危機管理モードから平常モードに移行したもとでは、短期金融市場の機能を回復し、政策対応能力を確保する観点から、量的緩和政策の枠組みを維持しながら当座預金残高目標を段階的に引き下げることも、将来的には検討課題となり得るとの見方を示した。この委員は、債券市場においては、当座預金残高目標が早晩引き下げられることを織り込みつつあるように見受けられると付け加えた。』

理屈が随分無茶苦茶ですなあという話は繰り返しになるので割愛(とほほ)。

最後の「別の委員」の論旨と「債券市場云々」のくだりからこれは水野審議委員で間違いなかろう。で、従来から当預引き下げの怪電波もとい情報発信をしていたお方は須田委員ですので、前の2名のうち1名が須田さんでしょうなってのは分かるのですが、残りの一人は福間さんじゃない可能性も否定できません。というか、市場機能がどうのこうのってのに記者会見でやたらと強調していた人がいたのですがまさか・・・・・・・

で、こりゃ誰だって読み筋披露大会が一部で盛り上がっているようですが、既に4月に入ったばかりの段階で近い将来の当預目標減額賛同者が3名乃至4名いるという状況には腰を抜かすとしか言いようがございませんです。


しかし「債券市場においては、当座預金残高目標が早晩引き下げられることを織り込みつつある」って何か「???」なんですけど。どうも審議委員の「マーケット枠」は今回で終了になりそうな悪寒を感じさせる水野審議委員の意見でありました。債券市場のイールドカーブについてコメントするとその途端に逆に行くという相場神認定なお方でもありますし・・・・・

作戦参謀会議に戦場の状況が伝わらず、報道機関は大本営発表ってどうよ?


・植田委員最後の意見表明(涙)

これが任期最後の決定会合となる植田審議委員のご意見としか思えない内容がそのあとにございます。涙無しには読めませんなこりゃ。

『この間、ある委員は、強力な金融緩和策を維持することによって将来インフレや資産価格の過度な上昇が生じる可能性は否定できないが、現時点では、依然として物価下落率が拡大した場合のコストの方が大きい、と述べた。さらに、この委員は、資金余剰感の強まりを背景に金融機関が余剰資金の運用に苦慮していることは事実であるが、こうした状況は、金融機関が必要とする以上の流動性を供給することを通じて金融機関行動に働きかけるという観点からは、量的緩和政策の本来の効果が発揮されてきたものとみることも可能であるとして、当座預金残高目標の削減に対して否定的な見方を示した。』

特に後半部分ですなぁ。量的緩和政策の本来の効果が発揮されて行くって時にいきなり量を削減というのであれば、いままでの政策ロジックに関してきちんとレビューをしていただきたい。有耶無耶のうちに話を誤魔化すのはいかんでしょ。

まぁ植田委員退任後2度目の決定会合で決定された「なお書き追加」が当預引き下げを意味しないとかいうのはこの議事要旨を見るとそうは思えませんなぁとしか言いようがありませんね。まさしく「人の切れ目が政策の切れ目(by本石町日記さん)」とはこの事ですな。


・CPIペッグを外そうといいだす人(-_-メ)

『この間、ひとりの委員は、量的緩和政策の解除に関するいわゆる3条件について、金融政策運営の重要な中間目標ではあるが、物価の安定と経済の持続的な成長という最終目的の達成という観点に照らして、将来的に見直す可能性も否定できないとの意見を示した。』

先日(4月21日)ご紹介した共同通信インタビューの内容からしてこれは水野審議委員ではなかろうかと思うわけですが、まぁ「将来的に見直し」って内容はこの後に出てくる反論「現在の3条件は、金融政策の最終目標と十分整合的なものであり、これを堅持していくことが重要」ってのを読むと、恐らくCPIペッグを外す方向に見直すって話でしょう。そんなのありかよっていうか、そういう事を安易に行った場合、将来日銀が行う政策について「ど〜せ適当な時期に反故にするんでしょ」って見方をされちゃうという物凄い問題が多い話だと存じますが、市場参加者は選択的健忘症患者が多くて都合の悪い事はすぐ忘れるから大丈夫だということですかそうですか。


かなり腰の砕ける議事要旨でございました。議事要旨そのものは長いですが、今後の金融政策に関する部分はそれほど長くないので是非ご覧下さい。



2005/05/23

お題「なお書き追加に関してあれこれ/判断を前進させた月報」

いやまぁ新聞辞令通りに決定会合の結果がでてしまいましたな。
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/k050520.htm
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/mok0505b.htm

○なお書き追加に関する各種分析ご紹介

金融政策決定会合の結果を受けて情報ベンダーでは早速市場関係者へのインタビューが色々と報道されておりました。あたくしがざっと見た限りでは、債券市場関係者と申しますか、所謂債券系のストラテジスト・アナリストの方々が一番「日銀に対する理解」があるようでして、「技術的問題で影響なし」という見解が大勢。「技術的だとか言うけどやはり政策の転換点である事に違いない」という人も少々いらっしゃいましたが。債券市場の現場から一歩引いている人と思われる立ち位置にいる人では「まずは地均しで早ければ7月には目標削減に動く」という見解もありまして、まぁ面白いなぁなどと思ってしまいました。

既に経済系のブログでは今回の決定に関する興味深い考察が出ておりますので、ご参考までにURLをご紹介致します。ただしあたくしがご紹介するので批判的なものだけだったりするのですが(笑)。

・「期待に働きかける政策」という点を重視(リフレ派の先生です)

田中秀臣先生:http://reflation.bblog.jp/entry/185674/
中村宗悦先生:http://chronicle.air-nifty.com/historical_amnesia/2005/05/post_7f20.html

・新聞各紙の社説紹介とリフレ派の立ち位置からの解説

bewaadさん:http://bewaad.com/20050522.html
(前日にも決定会合に関するエントリーあります)

・日銀内部の政策ラインと政策委員会の関係に関する興味深い考察

本石町日記さん:http://hongokucho.exblog.jp/2771368

・・・・・いやまぁまたお前は人のふんどしかと言われそうですが、既に色々と考察を加えておられるのでまぁ良かろうかなどと思う安易なあたくしでありました。


○で、今回の決定に関するあたくしの愚意見

1.事前リークは何のため?

いちトレーダーとして最もケシカランと思うのは「水曜日に日経新聞でスクープされた通りの結果になった」と言うこと。なお書き追加だけならともかく、長期国債と短期国債の売買オペの対象先拡大策までが同じというのは誰がやったのかはともかくとして事前リークの疑いが物凄く濃厚でしょ?

先日もとりあえず最初に出てくる数字はサプライズだったGDP発表の前日に妙に債券先物を売る動きがありましたが、どうも日本市場の伝統芸能として各種経済指標が事前にリークされているのではないかという疑念を持ちたくなるような相場の動きが時に起きる(我ながら微妙な言い回しですなぁ)というのがあります。正直気分の良いものではないし、大体インサイダー規制がどうのこうのとかやるんだからこの手の事前リークだって徹底検証してふんじばるようにしないと(つーか米国ってこの手のリークは厳罰でしょ)、日本の金融マーケットではいつまでたっても権力への距離が収益うわなにをするyhkdfjkふkjh(自主規制)。

ええ勿論事前リークなどというふざけたものはおこなわれていないものだとしんじてますが(棒読み)。

・・・・ちと話は逸れましたが、政策決定会合の結果も事前リークかよってなもんでして、んじゃあ何のために政策決定会合実施しているんだよと思う次第。アホクサ。


2.炸裂する「日銀政策変更に関する中原三原則」

でですな、恐らく事前リークした(と勝手に決め付けてますが、そうじゃなかったらゴメンナサイ)のは良くあるパターンの「事前に新聞辞令を出しておいて世間の反応を見る」って奴だと思うのですが、今回は政府が思ったほど厳しい対応をせず、「お手並み拝見モード」になったことで無事になお書き追加ができたという事でしょう。

でも本来は政策決定に関して従来の流れを継続してロジカルに判断を実施しているのであれば、「事前にリークしての反応を見る」などという行為は不必要な筈でして、今回の政策決定に関して今までの政策からの論理的な無理があるという自覚があるからこその「事前リーク」であり、まぁ何だかんだと言っても自信が無かったんでしょうなと思う次第。先日ご紹介した中原伸之さんご指摘の「三原則」が炸裂しているんでしょうな。


3.オペ対象先拡大をセットにするのは如何なものか

某ブログのコメント欄でちと話題になったのですが、今回のオペ対象先拡大に関してあたくしは「目くらましですか」と思うのですが、まぁ元々この「オペ対象先拡大」は既定路線の実施の一環だというお話もあるようです。

で、今回のなお書き追加にわざわざこのオペ対象先拡大をぶつけてくるのは如何にも「セット販売」のような印象を与える訳でして、何も今回わざわざ実施することは無いと思うのですが。オペ対象先拡大に努力してます=資金供給に努力してますって事だとは思いますが、要綱をざっと見たところ、目先そんなにオペ応募が増えるとも思えませんし。


もちろん、今までの政策ロジックがどうよとか上限突破に下限突破ってそりゃギャグですかとかいう話もありますが、その辺は散々申しあげて来たので省略。


○却って調節に注目が集まりますなぁ

まぁ金曜日は10時10分のオペ時刻に資金不足期間だと週に2回のペースで実施される短期国債買入が無かった時点で「ああこりゃはなから6月の税揚げ不足埋める気が無いですなぁ」って見方が流れていたりしていたのですが、金融政策決定会合の結果はご存知の通り。

ってな訳で、お前ら30兆円割れを早速6月にやるつもりだろうゴルァなどという意見がどうせあたくしが言わなくても早速今日あたり出てくると思うのですが、これからもそんな感じでオペの一挙手一投足に注目が集まる事になるでしょう。事務方の皆様は大変ですなぁとしか申しあげようがありませんが、まぁ昔の「営業局時代のシグナリングオペ復活」になるのかもしれませんからそうなればそうなったで事務方の腕の見せ所だと今から腕まくりしてるのかもしれませんな、いや冗談ですが。

で、このあとご紹介する金融経済月報の内容と、金曜のあまりやる気のなさそうな資金供給オペと、申し訳モードのオペ対象先拡大とをセットで考えるとあたしゃーやはり本石町日記氏の指摘する「小さな修正、大きな下心」という見方に与したいと思います。今のところ債券市場はそう思ってないようですが。



○判断の前進と妙に文学的表現が目に付く金融経済月報

毎度お馴染みの前月分との比較です。

http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0505.htm(5月)
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0504.htm(4月)

ますは景気の現状判断部分

・生産
『生産は緩やかに増加している。』(5月)
『生産は横ばい圏内の動きとなっており』(4月)

・企業収益
『設備投資は、高水準の企業収益を背景として』(5月)
『設備投資をみると、企業収益が改善基調を維持するもとで』(4月)

・所得
『雇用者所得もはっきりと下げ止まる中で』(5月)
『雇用者所得も下げ止まりが明確になる中で』(4月)

ほっほーってなもんでしょ。次に景気の先行き部分

・経済先行きリスクとしているIT分野の調整問題
『IT関連分野の調整の影響も薄れていき』(5月)
『IT関連分野の調整の影響が弱まるにつれて』(4月)

・輸出と生産の見通し
『輸出や生産は増加基調をたどるとみられる。』(5月)
『輸出や生産は増加していくとみられる。』(4月)

・企業収益に関して
『企業収益の好調も維持されるもとで』(5月)
『企業収益が増加し』(4月)

最後の2つは微妙なのですが、5月の表現はトレンドとして増加とか好調って言い方に変化していると読めると存じますのでこれまた判断を好転させていると解釈しましたが、どうでしょ?

物価に関して、と言ってもいつものように国内企業物価。現状判断は足もと大幅上昇と指摘してますが、まぁこれは現象を書いているだけなので良いとして先行きに関しては・・・

『物価の先行きについて、国内企業物価は、そのテンポを鈍化させつつも、当面、上昇を続ける可能性が高い。』(5月)

『国内企業物価は、内外商品市況の上昇を受けて、強含んでいく可能性が高い。』(4月)

5月の「そのテンポを鈍化」ってのは現状の足もとの数字が原油価格上昇効果で大幅上昇していることを踏まえた表現となっております。


まぁ基調判断部分は変えて無いのですが、細々と判断を前進させて、ついでに微妙に表現をいじってるなぁという感じです。この判断前進となお書き追加をセットにするとちょっと日銀の下心を感じてしまいますわなって所でしょうか。

まぁ金曜日はまだ消化しきれていない面もある債券市場ですが、今週は20年国債と2年国債の入札がある訳でして、どちらも投資家の今回の政策決定に関する見方が読めるかなぁと存じます。

ではでは。

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2005/05/10

お題「3月15〜16日の金融政策決定会合議事要旨」

というお題でして、10年国債入札の話はスルーです(^^)。
http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/g050316.htm

○先行き強気な見方を強調する景気見通し

「III.金融経済情勢に関する委員会の検討の概要」以降が基本的に「今後ってどうよ」って話ですんで、まぁ前半は読み飛ばす事と致しまして(^^)、ここで述べられている先行き見通し(ただし3月時点)はどうなっていますかというお話。

米国経済から始まって、生産、設備投資、雇用、個人消費、物価と続くのですが、だいたいこんな感じの記録が続いております。例えば個人消費。

『個人消費について、委員は、雇用者所得の下げ止まりが明確になる中で、1月の百貨店、スーパーの販売額が冬物衣料を中心に好調となるなど、底堅く推移しているとの見方を共有した。1月の個人消費関連指標に良いものが目立った点に関連して、ある委員は、10〜12月にみられた弱めの動きが天候や天災など一時的な要因によるものであったという見方をある程度裏付けるものであると指摘した。また、別の委員は、消費は底堅いが、改善が続くかどうかの確認にはなお時間を要すると述べた。』

先行き見通しは強気です。あ、そうそう慎重な見方をしている人もいましたよってなもんでして、強気見通しを強調しつつ最後にちょっと別の見方もあります状態。印象としては先行きの見方は強気継続。そりゃ当座預金残高目標引下げ論が出るわな。


○当座預金残高目標引下げ論に関して

『また、多くの委員は、先行きの調節運営について見解を述べた。』

「IV.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」はいつ読んでも中々楽しいのですが、3月16日というペイオフ全面解禁(尻抜けの茶番解禁という話は別にして)を前にした段階で既に随分と盛り上がっていたようで、大変フォワードルッキングでございますなぁ(棒読み)と感心する次第でございます。

『ある委員は、「約束」に従って量的緩和政策の枠組みを堅持した上で当座預金残高目標の見直しを行うことに関しては、市場や国民の理解は得られつつあるとの見方を示した。その上で、金融システムの健全化を背景に金融機関の流動性需要が一段と減少する場合には、量的緩和政策の枠組み、すなわち、潤沢な資金供給の結果としてのゼロ金利と、量的緩和政策継続のコミットメントに伴う時間軸効果を堅持していくことにより、引き続きデフレからの脱却を図りつつ、金融市場の地合い等を見極めながら慎重にゆっくりと残高目標を減額していくことが適当であるとの意見を述べた。』

「市場は理解している」っつーより、短期金融市場の実務問題として、「別に超過準備が10兆でも20兆でも同じでしょ」というのがありまして、「当座預金残高目標の量はある時点を越えたところで意味無いんじゃねーの」っていうそもそも論の世界に入っております。ところでこの「国民の理解」って何??

『また、別の委員は、金融市場の動向によっては、現在の当座預金残高目標の維持が難しくなる可能性があるとした上で、その場合には、デフレ克服にマイナスの影響が生じないことに理解を得ながら、残高目標を減額することも一つの選択肢として考えられるとの認識を示した。』

テクニカル引下げ論ですな。こうしてみると既に3月の時点で2名が当座預金残高目標引下げ論をぶっていたという事になりますな。さすがにペイオフ解禁前なので当座預金残高目標維持はこの時点では全員一致の票決でしたが。テクニカル引下げ論に関しては、この後の部分でもこんな意見がございます。

『もう一人の委員は、この問題は、政策というよりは技術的な問題と捉え、市場に根気強く説明していくことが必要であると述べた。』

で、この2名の意見に対しての反論。

反論その1:当座預金残高の量には意味があるでしょって意見
『ある委員は、量的緩和政策の効果について、その継続のコミットメントがゼロ金利のもとで物価安定のアンカーを提供する効果を有しているほか、当座預金残高の大きさはゼロ金利の効果をさらに補強するものであると述べた。』

反論その2:「期待に働きかける政策」の本旨に反するでしょって意見
『別の委員は、現在の時間軸効果は、景気が回復し、コミットメントのない状況では「出口」が近いと市場が判断するような局面になるにしたがって強まっていくと考えられるが、残高目標の減額は市場の期待形成を撹乱する要因となり、こうした効果を減殺してしまうおそれがあるとの考えを示した。』

反論その3:技術的引下げ論で本当に世間が納得するのかよって意見
『この点(引用者注:技術的引下げ論)について、別の委員は、技術的な残高目標の修正であっても、対外的に誤解が生じないようにするには困難が伴う面があると付け加えた。』

反論その4:財務省の出席者から(^^)
『日本銀行においても、このような基本スタンスのもと、平成13年3月以降、量的緩和政策を開始され、これまで順次日銀当座預金残高目標を引き上げ、これを維持することを通じて、こうした政策スタンスを対外的に示されてきたものと理解している。』(「V.政府からの出席者の発言」から)

あたくしのあてずっぽうによりますと、その1は岩田さん、その2は植田さんでその3は良く判らんけど中原さんあたりかなと思います。財務省の出席者はあくまでもオブザーバーなんでまぁ反論ってのでも無いですが、このように書いてあるということは財務省は当座預金残高目標引下げを快くは思ってない(当たり前だが)って理解でよかろうかと(^^)。

まぁこの点に関しては今後の議論を注目していきたいというところですが、既に3月時点でやる気満々状態だったという(だから国会での福井総裁発言もあった訳ですが)ことが裏付けられる論議ですが、「おしえて!にちぎん」にもあります「量的緩和政策の狙い」である「期待に働きかける」という部分を引下げ論を展開する人たちはちと軽視してませんかねぇという気はしますわな。


○植田審議委員最後の置き土産(涙)

上記の「当座預金残高目標引き下げは期待形成を撹乱する要因」という意見を述べた審議委員は同時に2月末の「福井ショック」に関して中々手厳しい意見を述べておられます。きっと植田審議委員の置き土産なんでしょう。

『また、この委員は、金融政策運営に関する最近の対外情報発信に関して、市場の一部には混乱を招いたとの評価もみられるとした上で、今後は細心の注意と節度をもって臨む必要があると述べた。』

良く言えば鋭く切れる当意即妙の応答なんですが、まぁ正直言ってその場その場で反射的に不規則発言をするわ、記者会見は売り言葉に買い言葉状態になるわという総裁さまに対して苦々しく思っていた所へ直近の「福井ショック」なので、まぁこの機会に釘をさしておこうという事ですね。残念ながら「糠に釘」になりそうな悪寒もしますが。

当座預金残高目標の「理由なき引き上げ」に関して反対したと言われております植田審議委員ですので、今回の「理由無き引下げ論」に関しても政策の意義付けという観点から反対するのは当然でしょうが、植田審議委員が退任された現在となっては政策委員会に「政策の筋論」があるのか不安になってしまいますな。

まぁ折角の置き土産ですので、現在の政策委員会というか総裁さまにおかれましてはちったぁ「対外情報発信に関して細心の注意と節度」をもって欲しいものです。

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2005/05/02

お題「4月の展望レポート」

というネタを書く予定でいたら、既にbewaad氏本石町日記氏がそれぞれ鋭い突っ込みをしておられる事に気が付いてしまいました。休日にうっかりネットを見るもんじゃぁありませんな(汗)。後出しじゃんけんだけどあたくしも。

その前に決定会合結果に関してひとこと。

会合後の総裁記者会見(まだ会見要旨は出てません)によりますと、今回は「票決は7対2」という事のようです。前回は8対1でしたので反対票が2票に増加。まぁ(前回反対票を唯一入れたと言われる)福間さん以外にも当座預金残高目標引き下げを提唱している人が増えているので当たり前と言えば当たり前の結果ではありますが。

展望レポートの内容と相まって考えますと、あたくしには「益々当座預金残高目標引き下げやる気満々モード」と思える今回の「反対2票」でした。

一部では「なお書き」部分が今回から削除されるという観測もあったやに聞いておりますが、こちらもそのまま変らずでした。


で、展望レポートはこちら→http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gor0504.htm

○このCPI大勢見通しは結構アレなんですが

まず最初に見るのが最後の部分(^^)。既に市場では「今年度見通しがマイナスで来年度がプラスなんでしょ」ということでコンセンサスが出来ているせいか、全然気にも留めなかった節がございますが、よくよく見るとこの見通しって結構どころじゃない強気見通しでございます。

本年度のコアCPIの大勢見通し(上下1人をカットした7人の予想レンジ)が▲0.1%〜+0.1%となっております。と言うことは、上限である+0.1%の予想をした審議委員が少なくとも2名いた事を示す訳ですわな。同じ日の朝に発表された3月全国コアCPIが前年同月比▲0.3%となっている事を踏まえて考えますと、+0.1%予想ってのは「まじっすか?」と申しあげたくなるような強気数字ですな。まぁ企業物価が今年度には消費者物価にも波及してくると読んでいるのかと存じますが、中々強気ですなぁと思う次第。

9人全員の見通しレンジは▲0.1%〜+0.1%でして、全員集めても予想レンジの下限は▲0.1%でして、3月(は昨年度だが)実績から考えますとまぁ皆さん「この先はCPI上昇傾向」と見ているというお話になりそうですな。

今年度の見通しの中央値はさすがに10月時点の+0.1%から▲0.1%になっておりますが、市場予想通りに2006年度の見通しは+0.2%〜+0.4%となっておりまして、中央値+0.3%で「2006年度にはデフレ脱却(なので量的緩和政策は終了ですよウッシッシ、というシグナルを送っている積りなんでしょうが)」という予想を出してますって話になっております。

今年度の予想で+予想が2票あるのもいやまぁ超強気ですなぁという感じでありますが、予想レンジの下限も▲0.1%と少なくとも「昨年度実績よりもマイナス幅縮小」という状況でして、いわゆる公共料金等の引き下げの影響がある事が予想されているのにもかかわらず強気ですなぁと基本的に景気にあまり強気じゃないあたくしなんかは思います。どっちかというと自分が弱気なので、「もしかして政策委員会の景気認識は台湾沖航空戦状態なのではないか」などとも思ってしまう訳ですが、それは弱気すぎですかそうですか。


○相対性緩和論が正式見解になりましたが

というのは先ほど申しあげたbewaad氏が既に指摘しているので思いっきりネタかぶりの2番煎じになりますが、俺様メモとしては書かないわけには参りません。

展望レポートの最終部分(今日は後ろから見ていく感じですな)の「金融政策運営」を読みますと、「相対性緩和論」と「危機対応の流動性供給部分」というのが見事に掲載されておりまして、益々当座預金残高目標引き下げやる気マンマンですなぁと思う次第。


相対性緩和論の部分

『消費者物価に基づく量的緩和政策継続の「約束」は、景気回復が続くもとでも企業が低い金利で資金調達することを可能としており、先行き、企業の将来に対する自信が強まっていくにつれ、金利を通じてより強い緩和効果を発揮していくと考えられる。』

という話は福井総裁が折に触れて発言してましたが、景気が回復傾向にある時は同じ緩和政策でも景気押し上げ効果があるという理屈で、まぁ例えて見れば為替市場への介入にも円高阻止の円売り介入とドル高誘導の押し上げ介入の場合がありますわなってことなんでしょう。

そうなりますと、景気動向によって同じ30兆〜35兆円の当座預金残高も一々緩和度合いが違いますなぁというお話しになる訳ですが、んなもん一々計測して当座預金残高目標をファインチューニングするって事なんでしょうかねぇと思いますが。で、この理屈によりますと循環的に景気が悪化した場合は当座預金残高目標を引き上げる破目になりますが、目標引き下げをするのにうだうだとやっている間に景気腰折れになったらど〜するんでしょうかねぇというのは以前も書きましたな。

何もわざわざ相対性緩和論を正式見解にするこたぁねぇと思うのですが、景気回復にそれだけ自信というか確信があるのでしょう。まさに麻雀でいう裸単騎状態で、オープンリーチ掛けられたらどうするのでしょうかと心配してしまいますが、その勇気には頭が下がる思いです(-_-メ)。


流動性供給は危機対応部分がございましたがという部分

『潤沢な資金供給は、金融システムに対する不安感が強かった時期において、金融機関の流動性需要に応えることによって、金融市場の安定や緩和的な金融環境を維持し、物価下落が企業収益の下落などを通じて経済活動の収縮を招くリスクを回避することに大きな効果を発揮した。』

ここまではよろしい。

『現在、金融システムに対する不安感は後退してきている。このため、日本銀行の資金供給オペレーションに対する応札額が資金供給予定額に満たない「札割れ」が頻繁に生じていることにも現れているように、金融機関の流動性に対する需要も減少している。』

どうしてもそっちに話を持って行きたいようですが、そもそも金融機関の流動性に対する需要を大きく超えるような資金を供給するのが量的緩和政策であって、その量を増やすことによって緩和効果を大きくするというのが当座預金残高という量を誘導目標にした政策ロジックじゃあありませんでしたかねというのはあたくしもう百万回くらい申しあげていますので皆様には耳タコですかそうですか(^^)。


ここの二つのくだりを読みますと、日銀さま当座預金残高目標下げたいんですなぁと思う訳です。


○景気見通し

そもそもこの展望レポートは展望レポートなだけに最初にあります「経済・物価情勢の見通し」と「上振れ・下振れ要因」というのがメインなのですが、まぁ基本的に金融経済月報の基本的見解を丁寧に説明しているという感じですので、細々とご紹介するのは割愛致します。まぁ半年前のレポート、4月の金融経済月報の基本的見解と比較していただければ(どっちも日銀Webにあります)と存じます。先行き見通しについては強気です。


○総裁はやる気満々

総裁記者会見要旨は恐らく本日日銀Webにアップされると思いますが、ブルームバーグニュースで報道された質疑応答で福井総裁は今回もこんな発言を。

『私自身、将来物事を判断していく場合、少数意見のなかに価値ある部分は必ず含まれているはずだという目で、少数意見が悪いという見方はせず、将来価値あるものはきちんと――政策委員会の議論は創造的な過程なので、そこにうまくつながる部分は生かしていくという、議長としての責任は感じている』

前回は少数意見に関して『少数意見については、私は議長として、その中で将来につながる価値ある部分が含まれているかどうかということを、今後よく考えたい。』と答え、「少数意見の中に将来につながる価値があるかどうかについて、総裁は今どのようにお考えか」という質問に対しては『将来にまだ即断を許さないと思う。これから真剣に考えたいと思っている。』と言ってました。

と言うことは、深読みしすぎかも知れませんが、「価値があるかどうか」が「将来価値あるものは生かしていく」と昇格しているように見えますな。偶然かもしれませんけど、あたくし的には「本音が出てしまいましたかねぇ」という感じであります。

ではでは。

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2005/04/28

○金融政策決定会合ですが

当然ながら何も変更は無いでしょう。というかあったら大騒ぎなのですが、まぁそれよりも来月に発表される今回の会合の議事要旨の方が面白かろうとは思います。景気の先行きが何となく怪しげというか平均株価見てるといつまでたっても踊り場な訳ですが、そんな状況下で当座預金残高目標をどうしましょうかって議論は相変わらず行われると思いますんで、そちらを見ておきたいものであります。

本件に関してはどうも流れとして「当座預金残高目標の引き下げ」方向になっているようですわな。引き下げに際して今までの「量の増加は金融緩和」という理屈は放置して「技術的緩和論」を持ち出すのか「相対性緩和論」を持ち出すのか判りませんが、とりあえず論理破綻モードで突撃の悪寒。まぁ勝手にすればって感じですが。

展望レポートに関してはどう考えても今年度のCPI見通しを下方修正して来年度のそれをプラスにするって話しになるでしょうとしか申しあげようがないです。景気見通しに関しては結構強気なものが出てくるでしょう。

あとは現状維持の表決(追記:票決の誤記ですな、あっはっは)ですか。前回1票反対がありましたが、これが3票くらいまで増えるとそれはそれでインパクトあるかもしれませんが、そもそも債券市場の現状では当座預金残高目標引き下げは材料にならないという扱いになっている(単に外部環境がよいから無視しているだけの可能性も否定できない)ので影響は限定的でしょう。

しかし短期金融市場関係者には申し訳ないが「短期金融市場の市場機能低下という量的緩和政策の副作用がケシカラン」という一部政策委員の理論は相変わらず理解不能である。既にデフレ脱却している状況ならその理論は判るが。。。。。

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2005/04/18

○そういえばまた展望レポートの見通し記事が出ているわけだが

http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt37/20050414AS1F1401714042005.html
先週木曜の時事通信ニュースやら金曜の日経新聞やらに今月末発表予定の展望レポートの「見通し記事」が出ていますな。

展望レポートの予想自体は各審議委員の発言やら物価指標やらを見ればある程度予測できるのでしょうが、『日銀は・・・・消費者物価指数の見通しを下方修正する方向。』(上記URL先の記事)とか如何にも確定事項というかリーク記事のように書くのは如何なものかと思うわけですな。

つまらん話ではありますが、リーク記事っぽく書かれちゃいますと、世の中的には「ああ日銀は公表前にリークされちゃうんですね」って印象を与えかねない訳でして、(そういう細かい事に拘るのはあたくしだけかもしれませんが)日銀の政策運営に関する信頼性に関してほんのちょっとかもしれませんが悪影響を与えているのではないかと思うのですよ。企業決算の内容が事前リークされたら大変なことでしょ?

「見通し記事なら見通し記事と書かないと風雪のルルですがな」と日銀さまが一言いえば済むんじゃネーノとも思いますが、あまり気にして無いのかなぁと思う次第。

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2005/04/07

お題「金融政策決定会合」

昨日まで実施された金融政策決定会合に関してあれこれ。

○「現状維持に反対票」でしたが

決定会合の結果が毎度おなじみの「全会一致」じゃなくて「賛成多数」だったんですが、債券先物はちょっとだけ売られる結果になりました。昨日の場合はやたらめったら中期債の4年〜5年ゾーンが重い(前日の相場下落の時に下げが少なかったのが影響しているんでしょうが)ため、何となく債券先物を売りたい人もいたので格好の言い訳になったという感じだとは思います。もちろん「当座預金残高目標引き下げ」で反対があったという発想です。

あたくし的には短観を受けて目標引き上げるべしって意見が出てきたら滅茶苦茶面白いなぁと思ったんですが(^^)、惜しくもその後の福井総裁記者会見で「反対票は当座預金残高目標引き下げ方向の反対」というコメントがでておりましたんでまぁ世の中の想定どおりの結果でした(^^)。

ここで反対票が植田さん(今回が最後ですな)だとオモロイのですが、情報ベンダー経由での総裁記者会見を見たところでは、反対理由が「金融市場の(ペイオフ全面解禁実施ってことでしょうな)変化の中で流動性需要がどう後退しているか、その流動性需要の変化に対して最低限、受身で、ある程度の調整がいるのではないか」(時事メインより、カッコ内はあっしのつけたし)って物なんで、まぁ福間審議委員あたり(または須田審議委員)が反対したんでしょうなってところですね。

まぁ講演なんかであれだけ散々当座預金残高目標のテクニカルな引き下げを提唱しているんですから、反対するのが筋というものでしょう、って声が聞こえましたかねぇ。なお、短観の結果があの状態のときに引き下げ方向で反対とは一体全体何を考えているんだヴォケなどという突っ込みはしてはいけません(^^)。ま、反対が一票あっても相場には影響ないでしょうな。


○時間軸効果が出過ぎないようにしてますか??

昨日の金融政策決定会合では所謂「展望レポート」における将来の経済見通しに関して今まで当該年度が対象だったのを翌年度まで対象になるようにしたって発表がありました。(http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/k050406b.htm)

昨日も早速債券強気派であります某有名ストラテジスト様がこの発表に関してコメントしている訳ですが、まぁあたくしだけでなく市場関係者の多くが思ったのは「今年度のCPI見通しはどう頑張って予想しても前回から下方修正になるから、量的緩和解除に望みを持たせる意味でも来年度見通しも加えるようにしたんでしょ」って所ではないかと。

記者会見で「なぜこの時期に対象範囲を広げるのか?」と質問されたんですが、福井総裁は「なぜこの時期にと聞かれると返事に窮するが、この時期に特別の大きな理由があったわけではない」(時事メインより)と言ってから延々とその言い訳をしておりまして実に微笑ましいというか「この正直者!」って感じですな、あっはっは。

先日のドラめもんで日経金融新聞が「日銀陰謀論」みたいな記事を書いてケシカランと申しあげましたが、その記事どおりに「量的緩和解除の期待(笑)を繋ぐような作戦発動」を日銀が行っておりまして、呆れてしまうとともに当日の日経金融新聞「ポジション」面執筆者様の慧眼(っつーのか?)に敬服する次第であります。

まぁ確かにイールドカーブがある程度立ってないと金融政策もしんどいのは判りますが、そのやり方はどうよって感じですな。時間軸設定の意味はなんなんでしょ??


○「企業業績の改善が家計部門に及ぶ」を継続している金融経済月報

昨日の金融政策決定会合では金融経済月報の基本的見解が決定されて公表されてます。(http://www.boj.or.jp/seisaku/05/pb/gp0504.htm)

内容的には「3月時点の基本的見解+4月短観」ってところです。まずは景気の現状認識部分に関して3月と違っている点。

(4月)『生産は横ばい圏内の動きとなっており、企業の業況感にはやや慎重さがうかがわれる。』
(3月)『生産は横ばい圏内の動きとなっている。』

個人消費に関する『雇用面での改善傾向が続き、雇用者所得も下げ止まりが明確になる』って記述は持続しております。次に景気の先行き見通しに関する部分に関して3月と違っている点。

(4月)『IT関連分野の調整の影響が弱まるにつれて、輸出や生産は増加していくとみられる。』『企業の人件費抑制姿勢は引き続き根強いとみられるが、企業収益が増加し雇用過剰感も払拭されていくもとで、雇用者所得は緩やかに増加していく可能性が高い。』
(3月)『IT関連分野の調整の影響が徐々に弱まるにつれて、輸出や生産は増加していくとみられる。』『企業の人件費抑制姿勢は引き続き根強いとみられるが、企業収益の増加や雇用過剰感の緩和が続くもとで、雇用者所得は緩やかな増加に向かう可能性が高い。』

どうも「雇用面における改善傾向」に関して強調したいようでして、「企業業績の改善が家計に波及する」というお馴染みのダム論的なお話を絶賛継続中って所のようで、景況感や先行き見通しに関してはどうも相変わらず強めに見ているって所のようですな。まさか陰謀(略)。


○不規則発言は出ませんでしたな(^^)

だいたい「総裁記者会見に注目」などと事前に言われるときはそんなに楽しい事にはならないというのが世の常ですが、情報ベンダーに出てきたフラッシュもすぐに終わってしまいましたし、珍しく火だるまでもなく不規則発言もない大人しい記者会見になったようですな。めでたしめでたし。


○記者会見で指摘さた「ペイオフ全面解禁の抜け穴」的な問題(次回予告)

この問題を調べたり書き出すとすんげぇ長くなるので本日は予告編(^^)。

日本語版ロイターの報道によりますと、総裁記者会見の席上ペイオフ全面解禁の抜け穴的(微妙に「的」を入れてヘッジしていることを念のため申し添えます^^)な問題がある話について総裁に見解を求める場面がありました。抜け穴というのは「銀行間での決済未了部分がペイオフ全面解禁後でも保護される」って所でして、もうちょっと調べてから詳しく書きますが、どうも内国為替決済における全銀システム利用部分(いわゆる「銀行振込」ですな)が全額保護されちゃいますってお話です。全銀システムへ決済指図を出した後に金融機関が支払不能になっても決済はしますよって事のようですが、最近局地的にではありますが本件に関して「どうなのよ」って話になっております。

と予告編だけ書いて調べ物はこれからだったりするんですが。上記した話も生かじり状態で書いてますんでその辺宜しくです。

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2005/04/06

○金融政策決定会合ですが

現状維持はまぁ良いと致しまして、またまた会合終了後の日銀総裁記者会見が注目というかネタ投下となるのかと言いますか、まぁ引け後なんで今日の相場には関係ないですが楽しみではあります。

昨日の日経金融新聞2面の「ポジション」欄では「当座預金残高目標維持が技術的に難しくなっている中での日銀短観結果で大変ですな〜」というお話(先週時事メインコラム「金融観測」で同じようネタで話をしていたんですが・・・)がありまして、その中で「日銀としては当座預金残高目標を維持しやすくするためには金利先高感があると結構(資金供給オペへの応札意欲が高くなり札割れが起き難くなるから)だと思っているので、次回の総裁記者会見では景気への強気やら金利先高感を起こさせるような発言が出るかもしれませんね」などという趣旨(脳内メモリーから書き出しておりますので念の為申し添えます)の結論になっておりました。相変わらず妙な話のもって行き方というか陰謀論みたいな書き方が好きな新聞社ですなぁと苦笑しちゃいます。


先週の時事メインコラム「金融観測」で指摘されていましたんですけれども、今回の日銀短観結果は先に「相対性緩和論」のようなお話を展開していた福井総裁としては、頭の痛いところでしょう。「景気回復局面になると同じ緩和でもその緩和の景気に対する効果は高まる」という理屈に即しますと、景況感が悪化すると益々量的緩和の強化=当座預金残高目標の引き上げをしないといけないという理屈になりますわな。どうも福井総裁がおいでのうちは長期国債買入増額はしないようですけれども、このままで大丈夫なんでしょうかねぇ。

ま、よく言えば当意即妙なんですが、咄嗟に気の効いたことを口にしてしまい、前後の論理的整合性をあまり深く考慮していないと思われる不規則発言がお得意の福井総裁の自業自得ではあるのですが、経済指標が好転してくれりゃぁ良いとしてもしこの調子で経済情勢が益々足踏みモードになってきたらどうしちゃうんでしょうかと懸念される所でございます。

金融政策は政治じゃないんですから、あまり反射的に不規則発言をなさらない方が吉だと思うんですが、今日も何かやらかしてくれそうな予感(^^)。

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2005/04/04

○短観:前回の先行き通りでもあり通りでもなし

金曜日の短観。主要企業の業況判断DIが前回の+22から+14と悪化したのですが、実は前回12月の業況判断DI3月見通しは+15になっておりまして、そ〜ゆ〜意味では12月時点での「先行き悪化見通し」が的中した形になっているというものでもあります。

今までの回復局面では「先行きの慎重な見方が良いほうに裏切られる」というパターンが多かったのですが、今回は悪化方向に予想通りという形。じゃあ今回の先行き見通しはどうよって話になりますと、大企業製造業に関しては先行き見通しが変らずとなっておりまして、まぁ景気先行き見通しがこれからドンドン悪くなるというような予想になっておりませんな。

大企業のDIを業種別に展開しているの(短観概要)を見ると、12月時点での3月予想が全然違う方向に出ている業種が散見されるのがちょっと気にかかる所であります。製造業では「造船・重機等」で12月±0→3月予想▲7(3月DI+4)ですが、非製造業は中々凄くて「不動産」の12月+14→3月予想+10(実績+20)とか「通信」12月+2→3月予想▲3(実績+22)とか中々派手なのがあってオモロイ。

で、これらのデコボコがあるんですが、トータルすると大体12月時点での先行き見通しが達成されているっていうのですから、相変わらず個別に展開した場合に景気回復なのか景気腰折れなのかは個別事情によって全然違うって事なんでしょうな。いかにも今の景気回復局面って感じでよろしいのかと。


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