金融政策概観(2009年度上期前半分(4月〜6月)

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2009年上期前半

2009/06/30「末初レート上昇ですが他のレートは低かったりする」
2009/06/29「GC上昇を受けて供給/日銀の流動性リスク管理/FRB各種措置延長と減額」
2009/06/26「久々のお笑い調節で4半期末のGCに異変が発生/変な記者がいます」
2009/06/25「短国入札で金余り/FOMC案外中立的/ECBの1年オペ」
2009/06/23「市場雑感/国債投資家懇談会より」
2009/06/17「決定会合声明文で日銀文学が登場しました」
2009/06/16「PD懇議事要旨から/その他雑談」
2009/06/15「アトランタ連銀ブログより/決定会合ですな」
2009/06/10「随分ご都合主義な公的資金返済」
2009/06/09「バーナンキ議長議会証言から/米国2年金利1.4%とな」
2009/06/04「米国市場雑感」
2009/06/03「米国長期金利上昇/ロジックのねじれをどう立て直す」
2009/06/02「コーン副議長の講演から(その2)」
2009/06/01「コーン副議長の講演から(その1)」
2009/05/29「出口論議に関して雑談」
2009/05/22「金余り雑感/英国格下げアクション/FOMC議事要旨続き」
2009/05/21「FOMC議事要旨/短期国債0.2%割れ/格付け雑談」
2009/05/14「民主党の謎理屈/潤沢供給で短国安定/次世代RTGS」
2009/05/13「米国市場雑談と言うか悪態」
2009/05/12「BOEの説明を読んでみる/日銀の資本増強/短国は順調消化」
2009/05/11「茶番のストレステスト/日銀の長期国債銘柄別残高、相変わらず半分が2年以内」
2009/05/08「米国長期金利上昇/ECB理事会結果より」
2009/04/30「豚インフル続報その他/FOMC声明文より」
2009/04/28「国債増発は結局PD懇寄りの結果に/豚インフルエンザで金融緩和はいかが?」
2009/04/22「国債投資家懇談会から」
2009/04/21「国債PD懇から(その2)」
2009/04/20「国債PD懇から(その1)」
2009/04/17「中期で中途半端な発行量の新規年限は止めて/銀行券ルール雑談」」
2009/04/16「FRBとBOEの長期国債買入ロジックを講演と議事録で比較してみる」
2009/04/15「社債買入オペ雑感/3年債とか7年債が出るとな?」
2009/04/14「日銀の資本強化策/その他雑談」
2009/04/13「米国と日本の長期国債購入ロジックを比較」
2009/04/10「輪番の話続き/3月FOMC議事要旨より」
2009/04/09「総裁会見から輪番の話を」
2009/04/08「決定会合結果、担保範囲の拡大」
2009/04/07「米国10年国債が2.9%に上昇しています」
2009/04/06「今日から決定会合/フェイル関連の雑談」
2009/04/01「フェイル関連の雑談」

2009/06/30

○末初レート上昇しましたな

金曜には末初のGC資金取りが当然のように残っていたようでして、末初のGCレートは強含みで推移。昼から共通担保オペで6000億円末初の供給を実施しましたが、0.189/0.18(51.7%)の結果。まー結局のところ金曜にオペ打ってもまだ足りなかったようで、共通担保での取り残し組が0.20%とかちょっと上とかの水準まで取る破目になったようで(最後は20割れたみたいですけど)、まあこりゃご苦労様でございましたですなあという所で。

まー期末ですので瞬間上昇するのはしょーがない面は多々あるのですけれども、今回に関しては期末接近した所で急にタームの資金供給オペをロールしない攻撃(&減額攻撃)でタームの供給をいきなり絞ったという現象がございまして、オペを淡々とロールしておけばここまでややこしい事になら無かったと思われます。ということで、正直言って今回の期末直前の調節スタンスは意味判らんという結論になるのでありました。

金曜と昨日は共通担保の資金供給が実施されていますけど、金曜にウィーク物一本実施している以外は1日に落ちる短い物でありまして、結果としてショートファンディングが溜まる格好になっておりまして、足元が重いってえ感じになってます。資金需給上は金がある筈なのですが、資金が偏在していて偏在している金がGC市場に出てこない金となっていたり、まあそうやって資金の回りが悪いという認識が広がると、念のためちょっと安全を期して資金を抱えるかという人が増えたりするとこれまた予備的需要が増大しちゃうでしょうし、まー変な話になりますわなという所かと思います。

そういや3月にも直前にタームの末越え供給を絞ってGCレート上昇でござるというのをやらかしたのですが、このときはスポ末の26日の引け辺りからレートが低下(って元が0.30とかだったので位置的にはだいぶ違いますが)してトム末の27日には0.15レベルに金利低下となったので、トム末までレート上昇した今回とはちと動きが違いますなってえ所で。

微妙に抱え込み状態になっている資金が6月末および末日を抜けてGCあたりに出てくるのかどうかは注目したいですが、何と申しますか今回のレート上昇にはイマイチ釈然としないものがあるのでございました。別に上がらんでもええじゃろと思うのですが、どうも何ちゃって量的緩和状態であっても四半期末の国債大量償還に対応して資金供給を期末前に絞るという仕様になっているのが今の調節スタンスのようで、それってどうなんじゃろという気はするのでありました。


一方、短い債券とかはやたら確りしてまして、先週入札をやった2年カレントは更に金利低下して0.30%とロンバート水準まで低下するでござるの巻となっておりますし、短期国債の方も堅調。普通こんな感じでショートファンディング溜まって足元重いとなりますと、短期国債に業者の外しが出てレート上昇してもおかしくは無いのですが、まるでビクともしないとは何ぞやという感じです。まー普通に考えれればGCには資金は回らないけれども債券には資金が回るというのが現状の抱え込み(?)資金の状況ですよというのと、そもそも投資家の買い意欲が強くて、業者の在庫がスッカラカンになっているとなっているんでしょうなと想像される次第でありまして、このGCとの微妙なミスマッチが何か味わいの深いものを感じます(てか単に市場間裁定が効かないだけのような気がしますが、苦笑)。

以上マニア向け市場雑談でした。

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2009/06/29

○金曜は資金供給実施とな

金曜に申し上げた不思議オペによりましていきなりGCレートが上昇した四半期末でございますが、金曜はスポットウィークの国債買現先は同じように8000億円に減額になりましたが、スポネの国債買現先を2兆円に増額し、全店オペ2本で1兆4000億円のショートタームの供給を実施。

金曜に1兆4000億円打ち込むなら木曜に共通担保ロールしておけよとか思うのですが、案の定結果は高めでして、末初の国債買現先の0.170/0.16はまあ良いとして、共通担保の末跨ぎ2日物も0.170/0.06となり、共通担保の9日物は0.154/0.15とこりゃまたちょっとお高めですねという感じ。

いやまあ0.2とかになってないので高くないと言われてしまえばそれまでなのですが、暫く前までのオペレーション姿勢は「潤沢にオペ実施してコールもさることながら、GCレートも0.1台前半の低い水準で安定させる」という感じだったので、4半期末前に急に資金供給を絞ってレート上昇っていうのはちょっとギャップがあって、今までの供給スタンスに何かあったんですかという思惑を呼びやすいですなという所で。

共通担保のロールを落としたり国債買現先を減額したりで金曜に来るまでに供給を3兆円以上減らしてまして、いやまあ減らした分に関して資金需給要因上金がちゃんと市中に出てくれば良いのですが、今回の余剰は国債償還要因が大きく、その資金余剰分がマーケットにきちんと回っていないという状況ですんなり供給絞るとGCが重くなりますわなという所かと思います。

何かこう暫くやってなかった微妙な不思議調節がまた炸裂という感じで。

○その他少々

・これはオモロイレポート

金融機関の流動性リスク管理に関する日本銀行の取り組み
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/fss0906a.htm

本文はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/data/fss0906a.pdf

まー何ですな。金融政策というと金利上げ下げだの国債買うの買わないのという話がとにかくクローズアップされるのですが、現場労務者的にはこういう話もまた非常に面白いので、そーゆーのに興味のある方や現場労務者の皆様におかれましてはご一読を。じゃあこのレポートのどこをどう紹介しますかと言われましてもちょっと引用がムツカシヤなので(汗)、気が向いたら紹介します。


・FRB各種措置の延長・・・・というかとりあえず現状追認の減額がメイン??

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090625a.htm

お題は『Federal Reserve announces extensions of and modifications to a number of its liquidity programs 』でして、冒頭もこうなっているのですが・・・・

『The Federal Reserve on Thursday announced extensions of and modifications to a number of its liquidity programs.』

でも、この延長って12月末だったのが2月1日になってるという程度の延長で、それよりも後の方に延々と書いてある各種措置の減額や一時停止の方がメインのような気がするんですが。ただまあ今回の減額または停止に関しては、必要になったら復活しますし増額しますよって説明を入れています(当然ちゃあ当然ですけれども)ので、まー今回は微調整は微調整。

ただし、方向性として従来は「質的緩和どんどんやりますよ」だったのが、中立から出口模索になっているという点では、ここもと地均しが行われているからサプライズにならないとは言え、まー方向性としては一旦中立にという感じでしょうか。

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2009/06/26

お題「中村審議委員講演・・・・の前にネタが幾つかあるもんで」

順番がひっくり返ってどうもすいません。

○無風の筈だったのに不思議調節が久々に炸裂でござるの巻

小見出しが長いですが(笑)。

2年国債入札とか増発なのにオファーサイドの向こう側で落札になってその後も踏み踏みさんとか、3か月TBは堂々の0.155%ビット(前日の入札日は0.158%オファーの0.16%ビットだったので貫禄のレート低下でございます)となるわと債券市場に流入すべき金がとっても余っているんですねえという状況は昨日も継続していたのですが、足元のGC市場では変調が。

えーっとですね、昨日は3か月TB入札の話しばっかしておりまして、オペの話をだいぶスルーしちゃってましてどうもすいませんなのですけれども、超無風の筈だった6月末のところで急に久々のワケワカメ調節が登場しておりまして、昨日はその影響がモロに出て来ましたという結果になりました。

と申しますのは、水曜の調節からの話になりますが、水曜に何故かスポットスタートの1wの国債買現先を従来の1兆円から8000億円へと減額ロールを実施。ついでに午後イチ恒例の共通担保オペ実施が無しとなりまして、手前の資金供給が急に絞られたので、T/NとかS/Nとかのレポレートが上昇して手前からレート上昇となったんですな。

で、昨日も昨日でスポットウィークの国債買現先を同じく減額してきまして、共通担保オペも無しという不思議調節を打ち込んでまいりまして、結果どうなったかと言えば、T/NやS/Nのレポレートが15水準に上昇して、レギュラーの30日スタートは17水準までレート上昇しちゃいましたという展開に。ちなみにCP買現先オペは火曜日が0.124/0.12(89.3%)だったのに対して、昨日は0.144/0.13(18.7%)という上昇。国債買現先オペもレート上昇となっております。

いやまあこれが調節スタンス変わらない中で6月末の資金放出を絞る動きでレート上昇っていうのであれば、まあ自然体の中なので「そんなもんですね」という感じなのですが、6月末という四半期末直前のタイミングでいきなり足元の資金供給を絞るという攻撃を打ち込んでレートが上昇というのは、久々に見るワケワカメ調節。


背景なんですけどね。22日の国債大量償還に伴いまして、資金需給的には当座預金残高とか大積み上がり状態になっているのですが、どうもその資金は債券市場に向かってもレポ市場に向かわない資金なんじゃネーノかっていうような感じ(実際のところは本人じゃないから知る由も無いですが)でして、即ち、資金余剰になっている人が偏在した上に、その人が資金を抱え込んでいるんじゃネーノっていうところなのですけれども、どうも当座預金残高の積み上がりと、超足元の資金の回り方がリンクしていない状況があるんですな。

そんな状況なんですが、その中で何故か6月末を前にいきなり足元の資金供給をシーボル先生な調節を実施するでござるの巻となりまして、レポレートが華麗に上昇という展開になりましたというのがこの2日の展開。


・・・・えーっと、昨年6月末に「四半期末につき」レポ市場が結構ドタバタと大変だったという事はよもやお忘れ無いと思うのですが、別に供給減らしたかったら7月に入ってから絞れば良いのではって気がする中で何も四半期末直前にこの調節とは何か意図でもあるんですかと言いたくなってしまう久々の不思議調節がご登場。多分意図があるんじゃなくて単に22日の所で当座預金残高が積み上がりすぎているのを調節しているだけだと思うのですけれども、同じ国債買現先でもスポネじゃなくてタームを減らしてくるのもげげって感じですし、(確かに2000億×5で1兆円減らしたいところでスポネで対応したらスポネ5000億円とかになっちゃうのでやり難いってのは判らんでもないですが)何かここ暫く安定的に何となく量的緩和(ただし金利付き)っぽい資金供給スタンスだったのを何もこんなタイミングで変えなくても・・・・という所でしょうか。

ついこの前「6月末って何でしたっけ」とこちらで申し上げたような気もするのですけれども(汗)、さすがにこの調節は前提にしておりませんでして、ってゆーか水曜の朝まで誰もこうなるとは予想してませんでしたでしょうから、まあ外れになったの勘弁してちょ(と言い訳)。

まー、四半期末の所抜ければ落ち着くとは思うのですが、積み上がった当座預金の資金が妙に偏在している状況がある程度シャッフルされないと、数字上の資金余剰と実際の資金余剰が変なアンマッチ状態というのが続くんでしょうね。


○国債買入にやたら拘る面白い人がいるようなのですが

順番が逆なのですが一昨日の中村審議委員の講演(挨拶)後の会見から。

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0906c.pdf

2ページ目でこんな質問をしている面白い人がいます。誤解の起きないように質問を全文引用といういつもとは真逆の展開になります(笑)。

『(問) 2点お聞きします。日銀の政策委員の方は、白川総裁を含め何度も講演されていますが、本日の講演録を拝見すると、今までの講演と比べてユニークな点が1つあったと思います。冒頭の「1.はじめに」の後、「2.日本銀行の業務」で随分紙幅を割いています。経済の話に入る前に、銀行券ルールについてかなりご説明されています。これまでは、海外経済などから始めるのが講演の常だったと思いますが、今回、いきなり銀行券ルールが最初にきています。』

まだ中村審議委員講演要旨のご紹介してませんので恐縮ですが、これはその通りで、最初にいきなり銀行券ルールの話を始めているのは「へ〜」と思いました。で、質問は当然ながらまだ続きます。

『先般の定例会見で銀行券ルールについて総裁に聞いた際、何度も同じことを聞くなと言わんばかりだったのですが、なぜ銀行券ルールを初めに持ってこられたのか、その意図をお聞きしたいというのが、1点目です。』

多分貴殿のような人がいるんで、尚のこと説明しなけりゃ行けないという事になったんじゃないでしょうか??しかし「何度も同じことを聞くなと言わんばかりだったのですが」にはワロタです。ちなみに今月18日にこちらで書きましたように、会見要旨ではマイルドに編集(要旨ですから^^)されてますが、時事メインの報道によれば『この席で何度ももう話したので、わたし自身は「またか」という感じで、あまり気乗りはしないが』と大変に素敵な回答を貰っています。


『2点目は、それに関連しますが、銀行券ルールを守る理由として2点挙げられています。総裁も同様ですが、日銀のバランスシートにおいて長期の資産が長期の負債を上回らないように持たないと、調節が非常に難しくなるということを第一の理由に挙げています。ただ、FRB をみると、日銀でいう銀行券を1.5 倍ぐらい上回るほどの長期資産を抱えており、時間が経つとともにもっと大きくなってくると言われています。白川総裁は前回の定例会見で、出口政策を考えていない中央銀行はない、どの中央銀行もしっかり出口政策を考えているとおっしゃっていました。FRB は銀行券を1.5 倍も上回る長期資産を抱えて金融政策運営を行っていて、出口政策をしっかり考えているのであれば、なぜ日銀も同じことができないのか、というのが2点目の質問です。』

・・・・この質問、先日の総裁会見でも同じこと聞いているのですが、そもそも論としてFRBの長短アンマッチに関しては出口政策に関して色々と「大丈夫か?」的な議論がある訳でして、そりゃまあこの質問者の言うように「FRBは出口政策をちゃんと考えている」でしょうけれども「考えている」というのと「スムーズな出口政策が対応可能」というのは話のレベルが全然違いますわな。

先般ご紹介した水野審議委員のスピーチ(6月8日にこちらでネタにしました)では今般の金融危機対応で主要各国が実施した金融政策が出口という話になった時に「バランスシートのコントロール力の高さがポイント」という趣旨の話をしておりまして、FRBの出口政策だってそう簡単な話じゃない(危機対応の出口は兎も角として、インフレ高進となって引き締めモードに入る時に長短ミスマッチが巨大だと、ボルカー的な荒療治モードになる可能性が)ですわな。


というような前提をまず勉強した上で質問に臨んだ方が宜しいのではないかと思うのですけれども、新潟まで出かけて熱心に同じネタに絡むのは見苦しいにも程があるのでございますけどねえ。

と、質問をネタにしたので質問の引用および質問への突っ込みで終了してしまいましたが、中村審議委員の答えも引用しますね(^^)。

『(答) まず、最初の点ですが、一般の方に、日本銀行が金融政策を行っていることは理解していただいていると思いますが、日本銀行のそれ以外の業務については、意外に理解されていないということを踏まえて、今回、業務についてお話しようと思いました。5月末に決算を公表したので、バランスシートについて説明をしようと思ったのです。』

ほっほー(^^)。

『バランスシートにおける長期国債の保有残高は、古くて新しい話題になっていますが、銀行券ルールが理解されてない面もあるほか、一般の方々にとっても分かりにくい面があるため、決算について説明する機会を捉えて、長期国債について説明してみたらどうかと考えました。そうした流れの中で、講演の最初に出てきたのであり、これが最重要課題だから最初にお話したということではございません。』

>銀行券ルールが理解されてない面もある
>銀行券ルールが理解されてない面もある
>銀行券ルールが理解されてない面もある

・・・・・(^^)。

『それから2点目については、海外の中央銀行の金融政策についてコメントするのは差し控えさせて頂きたいと思います。中央銀行は、それぞれ長年の色々な伝統などがあると思います。各国の中央銀行の政策のやり方などは同じではないと思います。FRB の政策はともかく、日銀券ルールがあるから必要な資金がマーケットに出ていない状態でもありませんし、日銀は日銀のやり方でやるということかと思います。』

これはその通りですわな。


ということで、中村審議委員の講演と会見ネタが週末積み残しになってしまいました。気が向いたら週末書くかもしれませんが、基本的に週末は頭がホリデーモードになるので期待しないで下さいませm(__)m

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2009/06/25

○やはり金余りでした

国庫短期証券(第35回)の入札結果
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul210624.htm

>募入平均価格 99円96銭0厘1毛
> (募入平均利回り ) (0.1583%)

まあ0.16%割れですわ奥様困っちゃいますわねえ♪ってことでございますが、いやまあ引け値ベースだと0.165%とかですけど、実際問題としての実力は0.16%ってえのはある(BBの引け値が投票形式になってから引け値が業者の総意を反映した格好になってしまい、今の環境ですと強いので打ち込まれるのが嫌なのか弱い値付けになってて引け強でしか買えないような値付けになっているのよね〜)のですが、5.75兆円を一発入札してるのに堂々の平均0.16%割れとはナンデスカという感じで。

まーよーするに金が余っていますってえ話なのですけれども、オペの資金供給自体は微妙に引いてきてますけど、何かそれはそれとして運用資金というよりも潰しキャッシュがあるのですかねえという事で。

しかしまあ何ですな、ここへ来てちょっとCP発行が多く(賞与対応とかもあるんでしょうかね)しかもショートタームが多い(もうちょっと言うと、決算資金対応と思われる1か月以内のショートターム物の他に、より期間が長い3か月〜9月中間期末越えの発行という感じで、ダンベル状態になっていますね^^)せいか、ちょっと足元では短いCPのレートがやや上昇って話を昨日も申し上げましたが、こーやって短国のレートが低下しますと何となく官民逆転現象が緩和されてきたような気がするのでありました(^^)、って官のレートが民に収斂されるという流れなので何か違う気がするんですけどね(爆)。

ま、昨日は長いところも良い感じで、狸が穴から燻し出されるような感じになって来ておりますというイメージっすかね。踏まれた投資家が悲鳴を上げるの図って感じにはまだまだ(^^)。よー知らんが。



○時間軸も長国買入拡大も無しですかそうですか(FOMC声明文斜め読み)

思ったより回復に自信モードになっているような感じを受けたのですけれども・・・・・

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090624a.htm(今回の声明)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090429a.htm(前回の声明)

冒頭から。

『Information received since the Federal Open Market Committee met in April suggests that the pace of economic contraction is slowing. Conditions in financial markets have generally improved in recent months』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in March indicates that the economy has continued to contract, though the pace of contraction appears to be somewhat slower. 』(4月)

4月のeconomy has continued to contract(手元のデイリーコンサイス英和辞書^^だと「病気などにかかる」です)が、今回economic contraction is slowingになってまして、その上、「金融環境が最近数ヶ月で全体として改善している」という文言がこれは今回新たに加わっていまして(後の方まで見ましたけど、これは(あたくしが読み落としていなければ)新しく入った文言かと)、微妙な日銀文学を見慣れてしまった(笑)あたくし何かが見ますと「おお!」とか思っちゃいます(^^)。

『Household spending has shown further signs of stabilizing but remains constrained by ongoing job losses, lower housing wealth, and tight credit. Businesses are cutting back on fixed investment and staffing but appear to be making progress in bringing inventory stocks into better alignment with sales. 』(今回)

『Household spending has shown signs of stabilizing but remains constrained by ongoing job losses, lower housing wealth, and tight credit. Weak sales prospects and difficulties in obtaining credit have led businesses to cut back on inventories, fixed investment, and staffing. 』(4月)

住宅投資の判断は変わっておらず、企業の設備投資や雇用に関してもまだ削減中という話になっているけれども、消費に関してはやや改善傾向みたいな話なんですかね。

『Although economic activity is likely to remain weak for a time, the Committee continues to anticipate that policy actions to stabilize financial markets and institutions, fiscal and monetary stimulus, and market forces will contribute to a gradual resumption of sustainable economic growth in a context of price stability. 』(今回)

『Although the economic outlook has improved modestly since the March meeting, partly reflecting some easing of financial market conditions, economic activity is likely to remain weak for a time. Nonetheless, the Committee continues to anticipate that policy actions to stabilize financial markets and institutions, fiscal and monetary stimulus, and market forces will contribute to a gradual resumption of sustainable economic growth in a context of price stability.』(4月)

economic activity is likely to remain weak for a timeってことで、この辺り、先行き見通しに関する部分はそんなに変えてないという事なんでしょう。

で、次のパラグラフが物価関連ですが、こちらも改善。

『The prices of energy and other commodities have risen of late. However, substantial resource slack is likely to dampen cost pressures, and the Committee expects that inflation will remain subdued for some time.』(今回)

『In light of increasing economic slack here and abroad, the Committee expects that inflation will remain subdued. Moreover, the Committee sees some risk that inflation could persist for a time below rates that best foster economic growth and price stability in the longer term.』(4月)

increasing economic slack here and abroadってのが外れて、slackに関してはsubstantial resource slackが物価上昇圧力を抑制って話になっていまして、inflation will remain subdued for some timeという見通しには変わりは無いのですが、ご覧の通りで「物価上昇率が望ましい水準を下回って推移(して長期的な経済成長と物価安定を阻害)するリスク」に関する言及が外れておりまして、「下振れリスクを外しましたかそうですか」って感じではないかと。

ということで、まあ日銀がやたら下振れリスクを意識して先行き不透明要因に懸念しているのと比較すると随分と威勢が良いですねって感じがします。一応先行きの基本観はあんまり変わってませんけどね。

んで最後のパラグラフは金融政策に関する部分なのですが・・・・・・

『In these circumstances, the Federal Reserve will employ all available tools to promote economic recovery and to preserve price stability. The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period.』(今回)

前回との違いはanticipatesがcontinues to anticipateになっただけなので4月分の引用は割愛します。時間軸に関する何らかの言及があるかという話も結構あったと思いますけれども、基本的に言っている事は同じでfor an extended periodのまんまですかそうですか。

ってまー普通に考えて、上段部分で景気現状認識を引き上げて下振れリスクへの言及を減らしているのに時間軸強化はねえわなという所でありまして、従いまして当然ながら資産買入プログラムに関しても同じとな。

『As previously announced, to provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets, the Federal Reserve will purchase a total of up to $1.25 trillion of agency mortgage-backed securities and up to $200 billion of agency debt by the end of the year. In addition, the Federal Reserve will buy up to $300 billion of Treasury securities by autumn.』(今回)

これまた前回と同じですので前回分引用割愛。即ちロジックもご覧の通りで相変わらずの謎というか鵺のような買入理屈が継続。

『The Committee will continue to evaluate the timing and overall amounts of its purchases of securities in light of the evolving economic outlook and conditions in financial markets. The Federal Reserve is monitoring the size and composition of its balance sheet and will make adjustments to its credit and liquidity programs as warranted.』(今回)

『The Federal Reserve is facilitating the extension of credit to households and businesses and supporting the functioning of financial markets through a range of liquidity programs. The Committee will continue to carefully monitor the size and composition of the Federal Reserve's balance sheet in light of financial and economic developments.』(4月)

これはあたくしの気にしすぎというかFRBの出口バイアスを意識しすぎなのかもしれませんけど、monitoring the size and composition云々の部分が前回はin light of financial and economic developmentsって言い方してて、将来の増額や期間延長に含みを持たせるような感じを受けたのですが、今回はmake adjustmentsってなっていて、どっちとも取れるような言い方になったのではないかとか思ってしまった次第で、今後の増額というニュアンスが弱くなったように見えるのですが、まあこーゆーニュアンスはnon-nativeのあたくしが変に勘ぐっても全然違うかもしれませんので判断は留保しておきますけど、あたくしとしてはこの最後の部分もちょっと気になりました。

#斜め読みとか言いつつ声明文全文引用になってしまってどうもすいません


○中村審議委員講演(メモだけ)

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0906c.pdf

えーっと、FOMC声明文で時間と量を食ってしまったので詳しくは明日。基本的には企業金融関連の時限措置に関しては一応短観で示される企業金融環境に関する数値に注目って話になっていましたが、先行きの企業金融環境の悪化を懸念している部分もありますので、どっちかといえば延長って事になるんですかねえ。その辺だけ引用するだよ。

『もっとも、世界経済回復に関する不透明感が強い中、今後、企業業績の悪化によるキャッシュフローの減少も見込まれ、合理化等に伴う資金需要の増加も予想されるだけに、先行きの企業金融の環境は全体としてはなお厳しい状況が続く可能性があります。また、金融市場も改善傾向にはありますが、未だ正常な状態に復したといえる状況ではありません。』

『一方、これまでの政策対応は、中央銀行の政策手段としては異例の措置も含まれており、必要な期間に限り、必要な規模で実施することも肝要です。このため、実施期限を9 月末と定めている措置の今後の取り扱いについては、金融経済情勢の推移をしっかり点検しながら、予断を持たずに検討していく必要があると思います。そして、各措置に関する判断については、日本銀行の政策意図が正確に伝わるように、国民や市場参加者との対話に当たって、慎重な対応が必要だと思います。』

ということで詳しくは明日(すいません)。


○1年オペ実施でござる(ECB)

#ただの俺様メモです。

1年オペ実施したでござるの巻。
http://www.ecb.int/mopo/implement/omo/html/20090055_all.en.html

Longer Term Refinancing Op.-Allotment
Reference Number: 20090055
Transaction Type: REVERSE_TRANSACTION
Operation Type: LIQUIDITY_PROVIDING
Procedure: STANDARD_TENDER
Tender Date: 24/06/2009
Start Date: 25/06/2009
Maturity Date: 01/07/2010
Duration (days): 371
Auction Type: FIXED_RATE

371日オペですかそうですか(^^)。で、結果は右の方にありますけど。

Fixed Rate: 1 %
% of All. at Fixed Rate: 100
Tot Amount Allotted: 442240.5 mn
Tot Bid Amount: 442240.5 mn
Tot Number of Bidders: 1121

1121社が応札して4422億ユーロ供給ですかそうですか(^^;

なお、本件のニュースを某モーサテも報じていましたが、何故か背景の画面がロンドンのBOEの周囲だったので盛大に茶を噴いてしまいました。謝罪と賠償をお願いします(嘘)。

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2009/06/23

お題「ネタ無し相場なので雑談でございます」

○ネタが無い市場ですねえというネタ

いやーもう最近ネタが無いですなあというのが超短い所の市場でございまして、とにかく良く言えば低位安定なのですが、まー相場的な展開皆無の状況になっておりまして、あたくし的には工夫のしようが無くてコマッタモンダ状態でございまする(−−)。

まー背景がどうなのよとか言われても良く判らんのですが、先日ご紹介したPD懇議事要旨にもありましたように「30兆円時代よりも資金余剰感が強い」という状態になっておりまして、金利付き量的緩和恐るべしという感じです。

ま、一応それでも足元と短国とかのスプレッドが存在する(30兆円時代は短国100円落札とかいう無茶苦茶な話が大手を振って歩いていたのですから)のでマシとでも思わないといけませんなあという所なのでしょうが(ヤケクソ)、やはりゼロ金利なのとゼロ金利じゃないのでは、ターム金利のプレミアムの付き方が違うということなのか、単にまだ時間が経っていないのでタームプレミアムが潰れないのかは良く判りませんな。

ただまあタームプレミアムに関してもうちょっと前の事を考えますと、「低め誘導」という上限金利付き政策をやっていた時代(10年以上前の話ですよん)には、無担保コール翌日物レートが0.50%をちょっと割り込む水準となる中でCDレート(当時CPはそんなに市場が大きくなく、短期国債は需給と日銀オペの関係でコールよりも低い水準で取引されていて、現物ターム物の指標金利はCDでした)は1〜3か月で0.50〜0.53とか(期末越え要因とかで上がると3か月が0.55)いう感じでタームプレミアムがあんまり無かった感じでしたな。

とか何とか考えますと、タームプレミアムってえのは要するに足元のファンディングレートに上限があるかどうかってえ話に依存するという冷静に考えれば当たり前の話に帰着する訳でございまして、これが足元GCレートが全然上がらないですぅというような感じになってくるともうちょっとタームプレミアムが無くなるんでしょうが、この辺りはGC市場の資金出し手と取り手の構造がかつてのコールのような資金取引市場とはちょっと違うという点とか考える必要があるのかなあと思いましたが、頭が整理されていないので追々考えるとしましょう。


ところで何ですな、昨日の長いところは素敵にスティープニングしてたんですが、何か日中の動き見てると昨日なんかだと午後に超長期ヘニャヘニャモードが拡大した感じでして、まあ実際にどういう売りが出てたのかは知りませんが、何かこうちょっとした動きで直ぐにカーブがぐにゃぐにゃ動くようで、大きな動きって入札直前直後位しか無いんじゃねえのかという感じでこちらも何かネタ無いですねえという感じです。

超長期絡みだと、入札直後から10年売りの超長期買いみたいな動きでカーブが動いて、金曜あたりからは10年以降超長期が全部フニャフニャという動きで、まあいずれカーブポジションとかやってる人がいるんでしょうけれども、そんなに派手な大口売買があったと思えない(いやまあ本当はこっそり大口売買してるのかもしれないけど)中でちょっと動かすとカーブがこうホイホイ動かれるとカーブポジションをアクティブにガンガン動かすのも難しいのでしょうかね。よー知らんが。


てな訳で、よーするに相場が熱気を持って動きませんなあというのが最近の動きなのですが、そのネタ書きながら「さてタームプレミアムってどうなるの」というあまり考えたくない(これ以上タームが潰れたらその辺の市場関係者は毎日もやしとパンの耳ですわ)ネタも思いついてしまいましたが、そちらの推移がどうなっていくかは追々ご報告できるのでは無いかと思います。ここへ来てCPのレートとかもさすがに下げ止まってきた感じもしますし、本格的にタームプレミアムをもう一段潰さないとって話になるんでしょうかね。

なお、ここまで書いて申し上げるのも何ですが、タームのプレミアムがどうのこうのと言ってますが、足元GCが0.12平均くらいで推移する中で3か月の短国が0.16−17%位で1年の短国が0.20%位というような感じでして、実は3か月から後ろのプレミアムの方が先に潰れているので(最近3か月が下がってまた形の上では復活した格好になっている)、タームと言いましても本当に超短いところの話をしている事を念のため申し上げますです、どうもすいません。


○国債投資家懇談会からちょっとだけ

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b210615.htm

先週月曜に実施されたもんでして、まあ今更の虫干しネタで恐縮なのですけれども、PD懇の話と同じお題に関してですから、物価連動国債とか15年変動利付国債に関する残念なお話が続きます。残念なのであまり引用しませんけど、いつも指摘されている事ながら、問題はこの一言に集約されるのでしょう。

『物価連動債や15年変動債は、ALMの観点から必要な資産ではなく、コアの投資対象としていないため、』

結局のところ、普通に機関投資家が持つ場合、コアCPI連動となる負債というものが別にある訳ではなく、インフレ対応がどうのこうのという話であれば、株式でも商品でも不動産でも他に色々とアロケーションするものがあり、債券というアセットクラスで敢えて突っ込む必要があるのですかというそもそも論があって中々ニーズが拡大せんのじゃろうなあと思うのであります。

では海外だとどうなのという話に関しては、あたくしそこまで勉強してないのでわからんのですが(いきなり開き直り)、投資家懇談会の発言から見ますと、

『インフレ見通しといった外部環境や元本保証の有無といった商品性の違いはあるものの、世界的に物価連動債のBEIが相当回復する中で、我が国の市場では新たに購入に向かう投資家がおらず、価格も回復しない状況となっている。』

という事らしいので、それなりに物価連動債への投資家ニーズがある(日本で見られたようにBEIトレードをするようなアクティブファンドみたいなのがいるのが効いているんじゃないのかという直感もするのだが)のかなあとか思うのでありますが、この辺はどういう状況なんでしょうかね。

なお、日本ではどうかというと、上記の発言の続きにこういう話が。

『こうした状況の背景には、インフレに対する過度に過小な評価や、フロアがないこと、そしてインフレ等の見通しに関係なく価格が変動していくような状況が続いているため、割安とは思いながらも、積極的に投資する市場関係者がいないことが挙げられるのではないか。』

なお、この論議の最後に微妙に異彩を放つ発言が。

『物価連動債については、内閣は、増税をやらなければ財政がもたないといっており、それが財政プレミアムを抑制し、名目金利の長期的な上昇を抑制している。また、消費税を7%引き上げるという話もあり、物価連動債は正常化するであろうと予想していた。このような議論がなされている中で、なぜ物価連動債が買われないのか。フロア等も関係ないはずであり、インフレ期待にしても消費税により7%上昇するということであれば、仮に2011年度から7年間で1%ずつ上げるということを考えても買いであると思われる。』

市中残存額も絶賛減少中ですので、そんな力強い発言をわざわざ表でせんでも、黙ってせっせと買いを入れたら如何でしょうか、ニヤニヤ。


で、市場の見通しに関する話がPD懇よりも色々と出ていて中々結構でございましたけれども、基本的にはレンジ内という話ですけれども、じゃあどっちの方向があるかという話になると、7月以降の国債増発が実際に行われた後の動きとか、米国の動向とか、世界的な金融緩和環境の長期化観測とか、今後の日本の更なる財政拡大または歳入不足とか、まあ金利上昇の可能性に言及している人の方がだいぶ多目という感じですな。願望も入っているんでしょうけれども(^^)。

という見通し表明と足元の資金余剰感というののコンボからすると、金利が下がる時にはヒャッホーって下がり方するんですかねえ。よー知らんが。


○一応確認メモ

殆ど自分用で恐縮ですが。

これがFOMCの前回声明文。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090429a.htm

4月30日の駄文で何となく前回比較をしましたけれども、このときは長期国債買入のロジックを「provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets」としてまして、実はこの時点で既に米国10年国債金利はその前のFOMC(3月18日)声明文公表前のレベル(3.0%)に上昇してまして、現在はそこから70bpとか上昇したレベル。

ということで、この長期国債買入ロジックどうするのか。ロジック継続だったら長期国債かモーゲージ債を強力購入という話になるのですが、その辺りは良い意味でも悪い意味でもロジック崩壊状態になっておりますので、今回どういう理屈を捏ねてどういう結論を出してくるのかよー判らんですわなという感じです。今回特に増額のアナウンスしなくても別に長期金利が跳ねる感じでもなさそうだったら、アナウンスは避ける方向じゃないのかなあとは思いますけどね。

後はインフレ認識と経済状況の認識がどうなるのかですわな。

#って誰でもご存知の話で正直スマンカッタ

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2009/06/17

お題「上方修正?出口政策?またまたご冗談を・・・・と声明文は言ってます(と思います)」

お題が長いですかそうですか(^^)。ということで、何も無かった割に色々と見所のあった今回の決定会合でした。

で、今回の声明文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090616.pdf
前回はこちら
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090522.pdf

見た瞬間に前回対比で書きっぷりが妙に変わっていることに気が付くかと思います。で・・・・・

○本石町日記さんが指摘しています(^^)

http://hongokucho.exblog.jp/11278464/
日銀って本当に面白いことするね(苦笑)=日銀ヘッジ文学の妙?

というお題でエントリーがございまして、まあ背景などはそちらをご参考にされると吉かと存じますが(また人のふんどし)、あたくしも今回の声明文見て「おお!これはまた芸が細かい」と感心した口でございまする。

で、本石町日記さんがご指摘の通りで、今回の声明文から一番強烈に伝わるのはあたくしがお題に書いた通りのメッセージ(?)でございまして、とにかく「上方修正」というのに対して火消しをしたいというのが判る書きっぷりであります。

でも政府の見通しが妙に威勢が良くなっているので、それに対して「まだ偽りの回復かもしれんじゃろ、政府の早とちりにも困るわな」とか冷やすのも微妙にアレな所があって、あまり暗い一辺倒の話もできないという所で、まあそんな辺りも配慮せにゃならんというヤヤコシヤな所なのでしょという感じかと思います。

ただまあ本石町日記さんが懸念する日経辺りが鉦や太鼓で出口政策炸裂で債券市場のショート筋歓喜の展開ですけれども、さすがに債券市場はそこまではやらない(現状では金利がちんたらと上昇する分には困る人が少ない(爆発的に急じゃ困るが)のもありますし)でしょとは思いますです、はい。

と申しますのも、今般「上方修正」とかメディアが踊っていますが、日銀から出てくる情報発信からは「出口模索」みたいなものは殆ど感じられない訳でございまして、白川総裁の会見(今日要旨が出ますが、内容見たら結構色々なインプリケーションがありそうです)や最近の講演などから見ても、前任者の量的緩和解除への一連の流れ時に見られたような「隙あらば出口政策」というような雰囲気は全然感じられませんし熱気もなさそうという所でして、まー金利市場におきましてもその辺りのニュアンスはきっちり伝わっているかと思います。

まーそんな訳で、「上方修正」報道が連発してもそっちには全然市場が反応しないのであります。

しかしまあ何ですな。会見でも(時事メインの会見詳報とか見た感じでは)白川総裁は「今回は別に上方修正では無い」って言ってるのに、その発言が出た後でも相変わらず「上方修正」とか報道するのはどういう了見なんでしょうかって感じです。

さて、中身に参りましょ。


○わざわざ「大幅に悪化」を遡及して入れるでござるの巻

『わが国の景気は、大幅に悪化したあと、下げ止まりつつある。』(今回)
『わが国の景気は悪化を続けているが、』(5月)

はてわざわざ大幅に悪化を入れてますがという話は先ほどの本石町日記さんの指摘の通りでございますが(^^)、ではこの大幅に悪化というのはいつの話かと申し上げますと、4月7日会合の声明文にはこんなのがございました次第で。

『わが国の経済情勢をみると(途中割愛)わが国の景気は大幅に悪化している。』(4月7日会合声明文)

ということで、5月に引っ込めた大幅に悪化をわざわざ突っ込んでおりますし、そもそも方向性に関しても下げ止まり「つつある」であって下げ止まりを明言している訳でもないということで、実は先行き慎重かつ警戒モードなのは全然変わっていませんがなというのが判る筈なんですが、大手メディアにおきましては(以下悪態につき自粛)。

で、項目別展開ですが、項目別には上げてるものもあります。一応先行指標らしきものが上がってますが、基本的に厳しいものも多いですから、これまた従来の流れどおりかと思います。

・現状判断、輸出、生産、公共投資は引き上げ

『輸出・生産は持ち直しに転じつつあるほか、公共投資も増加している。』(今回)
『内外の在庫調整の進捗を背景に、輸出や生産は下げ止まりつつある。』(5月)

・現状判断、雇用、消費、企業収益を今回挿入とな

『企業収益や雇用・所得環境が厳しさを増す中で、国内民間需要は弱まっている』(今回)

これは前回の声明文に対応する部分が無くて、金融経済月報(概要)から該当する部分を引っ張ってくるとこうなります。

『企業収益が大幅に悪化するもとで、設備投資は大幅に減少している。また、雇用・所得環境が厳しさを増す中で、個人消費は弱まっており』(5月金融経済月報)

ということですので、まあ基本的な所は前回同様の判断という事になるのでしょうが、今回この部分をわざわざ声明文の方に打ち込んだ事に意味があるのでしょう、即ちさっきの「大幅に悪化した後」を挿入したのと同じ理屈で、「判断上方修正」とされるのはミスリードだよって事を言いたいんでしょうねという所かと。

・先行きの総括判断

『当面は、こうした景気下げ止まりの動きが次第に明確になっていく可能性が高い。』(今回)
『このため、わが国の景気は、悪化のテンポが徐々に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高い。』(5月)

まあここだけ切り取れば上方修正なんですけど、元々の展望レポートの見通し通りであるという点には留意が必要。


・金融環境は全体として厳しいとな

『この間、金融環境をみると、改善の動きがみられるものの、全体としては、なお厳しい状態が続いている。』(今回)
『金融環境をみると、ひところに比べて緊張感が後退しているものの、なお厳しい状態が続いている。』(5月)

ということで厳しいという判断が継続していますので、所謂企業金融に関る時限措置の出口がどうのこうのという話はまー普通に考えたら出てこないですねという話になるかと思います。

市場の中の人的にはCP市場がびっくりするほど阿片窟になってしまって、そこだけは激しく改善しているのですけれども、逆に言えばそこで信用スプレッドを無茶苦茶潰されてしまったので、一般的な企業金融環境に対する市場からのインプリケーションが得られませんですがなという状態になっているので、全体感という話は短観の数字でも見るしかございませんなというところであります。


・物価は相変わらず

会見では「マイナス」見通しをより強調していたようなヘッドラインが出ていましたが。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して足もと低下しており、今後は、需給バランスの悪化も加わって、マイナスになっていくとみられる。』(今回)

5月の引用は割愛します。何故なら一言一句全部同じですので(^^)。


○もうちょっと先行きの見通しにも日銀ヘッジ文学(by本石町日記さん)が見られます

『2010 年度までの中心的な見通しとしては』から始まるより長い期間での見通しですけれども、こちらの部分には最初にこんな文言が挿入されました。

『先行きのわが国の景気は、内外の在庫調整が進捗したもとで、最終需要の動向に大きく依存する。』(今回)

前回までこの文言はございませんでして、まあこれもわざわざ「先行きも最終需要の動向に大きく依存する」というのを強調(で、肝心の最終需要のうち国内民間部分に関しては先行き見通しを厳しいとしているのですよね!)してまして、変に「偽りの夜明け」的な回復期待が盛り上がるのを避けようとしているのが良く判ります(^^)。

なお、標準シナリオどおりで推移しているので、前月とまるっきり同じ話になっています。一応引用しますね。

『2010 年度までの中心的な見通しとしては、中長期的な成長期待やインフレ予想が大きく変化しないもとで、本年度後半以降、海外経済や国際金融資本市場の回復に加え、金融システム面での対策や財政・金融政策の効果もあって、わが国経済は持ち直し、物価の下落幅も縮小していく姿が想定される。』(今回)

『こうした動きが持続すれば、わが国経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けるとみられる。もっとも、海外経済や国際金融資本市場の動向など、見通しを巡る不確実性は大きい。』(今回)

前月と一言一句変わりありません。


○リスク要因も全然変化無し

で、リスク要因も一言一句変化無しというところがチャーミング(^^)。

『リスク要因をみると、景気については、国際的な金融経済情勢、中長期的な成長期待の動向、わが国の金融環境など、景気の下振れリスクが高い状況が続いていることに注意する必要がある。物価面では、景気の下振れリスクの顕在化、中長期的なインフレ予想の下振れなど、物価上昇率が想定以上に低下する可能性がある。』(今回)

下振れリスクしかねえええええええええ!!!


○ところで特別措置の延長関連ですが

一応ヘッドラインではとりあえず9月末までに判断って話にはなっていますが。

16:12 16Jun09 RTRS-市場参加者から見て予測可能性ある形で9月末までに判断=出口論議で白川日銀総裁
16:12 16Jun09 RTRS-時限措置ごとに対応検討する必要ある=出口論議で白川日銀総裁

と、こちらは日本語版ロイターからですけれども、まー先ほど申し上げましたように、現状の判断は「金融環境は厳しい状態が続いている」ということですので、現状判断が継続するようでしたら普通に延長でしょという話になるんでしょ。ということで今度の短観での金融環境関連の数値に注目なのと、結局は株価水準次第という所が多分にあるのが金融環境クオリティでもありますので、やっぱ株価注目という話になるんでしょ。

しかし企業金融の中でも銀行貸出ルートに関しては金融政策だけでどうこうするのは難しい話で、政策金融ルートもそうですけれどもやはりこれは最終兵器金融庁様の活躍(?)が待たれる所では無いかと思いますが(^^)。

ところで、どこだか忘れましたが、このあたりの発言を受けて何故か「CPや社債買入の解除の方向性のアナウンスが企業金融支援特別オペより先に出る」というコメントをしている人がいたような気がするのですが、CPや社債買入はバックストップとして必要な措置であって、現状は利用率(?)が低下していますが、また何らかの事情で短期金融環境が悪化した場合に必要なモノ。一方で企業金融特別支援オペは手形貸付や証書貸付などの市場性の無い債権に対して0.10%でのファンディング催行確約という点で貸出に対するフォローになるのですけど、まあこれらのモノって共通担保でも使える訳ですから、共通担保オペでもファンディングは可能な話でありまして、あくまでも特オペはその名の通りで企業金融向け債権に特別優遇措置を行うものであります。

と考えますと、もし企業金融関連措置におけるCP、社債買入と企業金融支援特別オペを分離して考えるのであれば(これって一連のセット措置であって分離して考えるのが正しいのかどうかという議論もあるような気がするのだがここでは措く)、普通に考えれば特オペ見直しの方が先に来るんじゃないですかと思います。どうも「今現在残高があること」と「必要なセーフティーネットであるか否か」という事に関して判ってないのか判っていてポジショントークするのか存じませんが、何だかとーっても???なコメントがあったので一応あたくしの愚意見を申し上げた次第でございます。

まーこの辺りの論点はもうちょっとあって、順序が逆にも程がありますが、企業金融支援特別オペがCP金利の絶賛低下をもたらして官民逆転状態になった結果、従来CPを購入していた最終投資家の資金が短期国債に流れて(逆転してるのだから当たり前)実は絶賛増発中の短期国債(国庫短期証券ね)市場の需給を大いに支えているのではないか(というか多分結構な支えになっている)という思わぬオペの効用(企業金融優遇措置が国債市場の金利低下に繋がるとはオシャレですな^^)もあって(って市場規模の差から言ってそれだけで説明するのは少々無茶なのは念のため申し添えますが)、中々一筋縄ではいかない絶賛金利優遇措置でもあったりするのですが、その辺の話はまた追々。

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2009/06/16

お題「国債市場参加者特別会合議事要旨でも読んでみる」

どうもこう相場そのものが盛り上がらないもんで本日はPD懇議事要旨をまったり読んでみるでござるの巻で勘弁。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c210612.htm

○物価連動国債の受難は続く

今回のお題の最初は買入消却に関するお話で、財務省の説明が最初に。

『平成21年度の買入消却の具体的な配分は、四半期毎に市場の状況を見ながら決定することとしており、資料1-1のとおり、本年4-6月については、15年変動債を計3,400億円、物価連動債を計6,600億円配分した。今回の会合では、本年7-9月の買入消却の実施額についてご意見を頂きたい。なお、3月の会合資料と同じく、参考までに同じ期間の日本銀行の長期国債買入予定額を括弧内に示した。』

と言うわけで、物価連動国債の発行は依然として停止中の中で買入消却はこの4半期で6600億円実施(6月分はこれからですけど)した訳ですが。

『資料1-2は、物価連動債の市況を示しているが、依然として実質利回りは3%を超えており、最近をみても5月後半など大きく振れる場面もあった。資料1-3では、15年変動債の市況を示している。15年変動債については、銘柄間で値動きに違いもあるが、カレント銘柄をみると実勢アルファーは徐々に上昇している。』

5月って買入消却が一瞬強かったり、どっかの閉店セールっぽい売りがあったかのような動きがありましたが、まーちょっとした需給で振れるというのは変わらないようですし、もっと悲しいのはこれだけ買っているのにろくすっぽ戻らないところですわな。

でまあ参加者の意見からですが。

『4-6月の市場環境等を踏まえ、第1四半期の買入額を継続することが望ましい。』

っていうのはまあ大方一致(あとでちょっと申し上げます)の話でして、その中身なんですけど、悲しい話が続きます。

『現在の市況については、商品市況の回復やインフレ期待等を背景に、米国のBEIが上昇してきているが、日本の物価連動債については未だ需給バランスが崩れた状態が継続しているため、米国の物価連動債と歩調を合わせる形にはならないと見ている。カレント銘柄では80円から90円近辺のレンジ相場となっているが、現在各月2回の買入消却入札を織り込む形での相場形成がなされており、本価格帯にとどまっている間は細かい値動きまで過度に警戒せず、市場参加者に不要な思惑を作らせないよう、淡々と買入れを実施していけばよい。ただし、物価連動債の市況は相対的には不安定であるため、15年変動債に影響が出ない範囲で物価連動債を7,000億円程度、15年変動債を3,000億円程度という形で若干物価連動債に比重を置いてもよいと考えている。』

というのが最初の人の意見ですが、まあ皆様同じような話が続きます。で、まあ実態がそうなのですから仕方ないのですが・・・・・

>現在各月2回の買入消却入札を織り込む形での相場形成がなされており
>現在各月2回の買入消却入札を織り込む形での相場形成がなされており
>現在各月2回の買入消却入札を織り込む形での相場形成がなされており

・・・・・これはこれはもう何と申し上げればよいのやら。市場の壊れっぷりをよく反映しているこの議事要旨、落涙無しに読む訳には参りませんな。

『物価連動債については、買入消却増額後も今のところ改善が見られず、BEIが▲100bp台後半で推移しており、引き続き集中治療が必要な状況と考えている。ただし、BEIが▲200bp程度では押し目買いも出てきており、逆に言えばこういった手当てによって、大きく崩れるリスクも多少減少している。』

『物価連動債については、買入消却入札のタイミングを狙ったような売買しかなかったところから、足元では水準によっては店頭での売買も少し見えるような状況となったが、価格のボラティリティは相変わらず落ち着いていない。不安定要素の一つとして、将来に対する継続性の期待が非常にぶれていることが要因ではないかと考えているが、今後これを安定させていくことで、ひいては、物価連動債の価格のボラティリティをある程度下げることに寄与していくのではないか。』

この「将来に対する継続性の期待」ってのは(この先を読めば書いてありますが)別に物価動向のパスの話でも何でもなくて、買入消却の継続性とか発行計画とかの話である所が残念感が漂う話ですな。いやはや何とも(実際にそうだから仕方ないけどね)。

『現状のマーケットでは、物価連動債・15年変動債ともに、ある程度は業者間で取引はされているものの、1日の売買高は数億円から数十億円と少額にとどまっている。こうした中で、1回の買入消却入札に対する応札倍率は3〜4倍という状況が続いており、多少価格が上昇してきたからといってマーケットでの安定性が元に戻ったとは思っていない。』

業者間の1日当たり売買額と買入消却の応札倍率のギャップに落涙。

『また、最近国内投資家からはこの商品を将来的にどのようにしていくのかといった質問も出ており、買入消却の継続ということではなく、例えば、フロアの付与などを含めて、発行当局がどのように考えているのかを投資家は絶えず懸念として頭の中に描いているのかもしれない。ただし、フロアを付与してほしいという意見はあるものの、実際にフロアが付与されれば買うかというと必ずしもそうではないと思われる。』

ということなんでしょうな。で、物価連動に関するこの意見はふ〜んと思いましたですよ。

『今後の日本の経常収支の黒字は縮小していき、ある程度海外投資家に国債の消化を依存せざるを得なくなる時期がいずれ来ると思われる。現状では、物価連動債の評判が悪く、結果的に日本国債全体に対する海外のイメージがなかなかよくならないという面もあるため、国の一つの施策として対応していく必要があるのではないか。』

なるほど、そういう発想はあるのかもね。

ということで、まあ相変わらず受難の続く物価連動国債でありまして、市場の素敵な崩壊ぶりは全然変わらないというのはどーゆー事やという感じでございまする。


○変動利付国債のこともよろしくとな

物価連動国債買入に関する大合唱の中、一人変動利付国債買入消却増額を主張する意見があったのは目だって中々宜しい。

『15年変動債の買入消却に厚めに配分していただきたい。国内の銀行等、長く苦しんで保有している投資家がいるため、こちらを優先して買入消却するのが筋ではないか。』

『物価連動債の方へ配分を厚くするとの意見が多いが、物価連動債の商品上、ある程度CPIの動きに準じた動きがあって当然であり、将来的に発行再開を考えているならば、足元のCPIのマイナス幅が大きくなり価格が下がってしまうため早めに買い入れる、ということではなく、ある程度の動きは許容してもよいのではないか。』

まー何ですな、確かにそういう発想もあるんですが、15年変動に関しては市場が増やせ増やせと大合唱して財務省としてはその市場の意見を反映した形で大増発をしていったという経緯もある訳でして、お気持ちは判りますが、筋論で言うと変動利付はてめえらのチョンボ色が強いんじゃねえのって感じがしますが。

ただまあその変動利付国債に関する妙なニーズが盛り上がった経緯まで考えますと、これがまた「金利上昇に向けたヘッジ商品」とか「バーゼルUにおけるアウトライヤー規制での「標準的金利ショック」に対応する商品」(確かにそうなんですがね)とかいうことで、まあ無駄に余計なニーズを発生させたのが金(以下激しく自主規制^^)。

まー物価連動国債の方を今後も育成したいって話だから集中治療が先にこっちになるのは仕方ないのかなあとは思いまする。いやまあ変動利付国債の方も涙なんですけど、まーその代わりっちゃあ何ですが、理論値採用おっけーになったのですから、市場そのものはちょっと落ち着いてきた、というか単にフリーズドライ状態になっているだけのような気もしますが。上記の人と別の意見ですけど。

『15年変動債に関しては、会計上の評価に理論価格を採用する投資家が増えておりマーケットの安定に資している。一方で、それが流動性を低下させているといった面もあるが、地合いがよくなってきているため、理論値を採用していない地方投資家から買いも出てきている。個人的意見ではあるがキャピタルゲインを目的とするならば、興味深い債券になってきたのではないかと思う。理論値を採用している投資家は出てこないため、相場全体として復活するわけではないが、相場が少しずつよくなるというような兆しがあると感じている。』

にゃるほど。


○市場環境に関して

3名の意見だったのでちと一人ひとりが長くてアレなんですが、2番目の人の指摘が一番しっくりきますな。特に短期市場の余資積み上がり状況に関する感覚は激しく同意。

『アノマリーを信じたくはないが、今年も6月が最も金利の高い月になるのではないかと考えている。7月から増発となるが、既に額はわかっている。市場参加者が懸念するのは常のことである。実際に増発が開始される前が最も金利が上昇しやすいのではないか。ただ、7月からの増発懸念が払拭されても、市場では2次補正や来年度当初予算などを話題にし、年末に向けて需給懸念を引きずるかもしれないので、引きつづきうまくコントロールできればよいと思う。』

ここの所6月安値(金利が高い)を連発しているせいか、このアノマリーを意識している人が多いので、あたくしは逆張りの発想で「7月22日の皆既日食(本土では部分日食ですけど)で相場トレンド反転して金利低下」(根拠が無茶苦茶というツッコミは認める^^)という珍説を提案たいのですが(^^)、ここもとの米債を見ていますと今年もアノマリー大当たりなのかなあ・・・・・(−−;)

『一方で、2003年に長期金利が0.4%まで低下した頃よりも短期金融市場での余剰資金は多いような感覚もある。4月時点で国内銀行の公社債残高が過去最高の148兆円という統計などは、その裏付けといえるかもしれない。今後、銀行貸出が伸び悩み、更に余資が積み上がることが見込まれる中、国債の需給懸念が払拭される局面が来ると、市場は景気減速を織り込み始めるだろう。円債市場では、来年も景気は低迷し、米国の金利上昇も続かないといった点が意識されるだろう。』

『したがって、今後の金利上昇をあまり心配する必要はなく、国債発行については年末まで市場は増発懸念を持ち続けると思われるので、それに対してうまく対応できればよいのではないか。』

昨日とか早速税収不足のニュースとか出てましたような気がしますが、特に債券市場が反応していた気配も無く、まあ増発懸念の話は出てきますが、余資の積み上がり状況が短期国債あたりの市場に見事に反映されておりますので、目先は「買い手が様子見をする」理由になる程度なんでしょうかね、と思います。ここの所金利が下がる日が勢い強いのは「様子見ている買い手」が多くて、市場の気分がショートになっているからなんじゃネーノかなって何となく思うのですが・・・・間違ってたらゴメンナサイ。


んでもって最後の人の意見ですが、この論点は確かにそうですな。市場の話と国債管理政策の話があるのですが、国債管理政策に関する部分だけ引用します。

『米国債金利の急上昇については、米国の国債管理政策やFRBによる市場との対話が機能していないことに伴う需給バランス悪化の結果であり、仮に米国10年債金利が4%を超えたとしても、それが直ちに日本国債の金利上昇圧力にはならないであろう。』

『先に、海外投資家の日本国債のイメージがなかなかよくならないといった話があったが、米国債の値動きの激しさを考えると、日本国債の安定感というのは際立っていると思う。これは財務省を中心とした国債管理政策が適切に運営されているということであり、日本銀行も各種のオペを通じて金融市場の安定化に尽力している成果が出ているということではないか。こういった面は、本会合などを通じて十分に機能しているということを積極的に言っていった方がよい。』

『特に、当局の対応が後手に回っているというような誤解がマーケットにあるならば、むしろ、足元のボラティリティが多少なりとも減ってきたのはこうした政策が先手を打ってうまく行われているということの表れだということや、今回の17兆円という非常に大規模な増発を結果的にサプライズなく消化したということなどをアピールすることにより、ひいてはアナウンスメント効果により市場の安定化に繋がるのではないか。』

まーちょっとヨイショヨイショって感じもしますが(^^)、これに関してはその通りの話でありますわな。米国様におかれましては、ご案内の通り長期国債買入アナウンスして10年国債2.5%まで下げておいてその後は大増発攻撃で4%近くまで上昇というのを3か月もしないうちにやらかす(当の米国ではモーサテ出演の株式市場の人のコメントによれば「これは金融危機脱却で正常化したから問題ない」とか不思議理論を持ち出しているみたいですが・・・・ホンマカイナ)とかオシャレな展開になっておりますが、それに対して日本の国債の安定消化っぷりは大変なもんでございます。あ、そこの人、単に期待成長率が低いからとか悪態つかないように。

ただまあ戦術がいくら巧緻になっても、大戦略(ゲームではない^^)で失敗しちゃうとど〜しよ〜も無いので、そっちの方はもっと上のほうで色々頑張ってねという感じです。


#以下何となくひとりごと

○決定会合ですが

えーっと今回は事前報道もまるっきり盛り上がりませんが、あの「景気判断を上方修正」っていう言い方何とかならんのかという気はします。これって要するに「急激な落ち込みが止まりましたよ」っていう話で、「急激な落ち込みが止まって徐々にチョー緩やかな回復へ向けて進んでいくでしょう」っていうのは4月展望レポートにおけるメインシナリオなのでして、単に「メインシナリオ通り」なだけの話なんですけど・・・・・・

まーメディア的には何か煽りネタが無いと記事にならんというのも判らんでは無いですが、何でもかんでもキャッチーな話で煽るという姿勢ってどうにかならんのかと思いますです。本当に大事なのは「話を聞いていると退屈だけどきちんとした話」をすることではないかと思うのですけど、それじゃあ商売として成立しないってのが残念な話ですわな。

で、CP市場の阿片窟状態に関する議論を是非お願いしたいとは思いますけど(^^)。


○またリスクシナリオ書き直しですなあ

千葉市長選挙結果を見てまた政治リスクシナリオを書き直さないといかんじゃねえのと思う今日この頃でございますが、どうもあちらの政党さんの金融財政政策論議(しか見てませんけど)を見てると、それが党の主張なのか個人の主張なのか訳判らん上に、ネクスト財務大臣あたりから電波成分の強い発言が出てくるのが実に不透明要素でありまして困ったもんです。

「官僚主導から政治主導に」とか言い出して金融政策に一々口出ししてくるのではないかといういやーな予感はするんですけど、その予感は外れて頂きたく存じます。

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2009/06/15

○人のふんどしでベースマネーの話

本石町日記さんの所から。
http://hongokucho.exblog.jp/11244689/

記事にあるアトランタ連銀ブログをちょっと見たのですが。
http://macroblog.typepad.com/macroblog/2009/06/price-stability-and-the-monetary-base.html

まあ要するに本石町日記さんのエントリーの説明にあるような話をしているのですけれども、ラッファー氏が「FRBは従来のインフレ抑制政策(それによって緩和が遅れたとも批判してます)を180度転換してデフレ抑制政策に立場を過激に転換した」という批判に対する説明を読んでると微妙にアレな気も。

『To begin with, the notion that the Federal Reserve signaled a 180-degree shift in focus to move "from an anti-inflation position to an anti-deflation position" is about equivalent to saying that the temperature control system in your house has a fundamentally different objective when the heater kicks off in June and the air conditioning kicks on.』

というのは本石町日記さんの所にあったとおり。

『The essence of an inflation objective?even an implicit one?is that a central bank will lean against price-level changes substantially below the desired rate, as well as changes substantially above the desired rate.』

『You can certainly argue with the policymakers' forecasts and diagnoses of risks at any given time, but it serves the debate well to not muddle tactics (focusing on inflation or deflation as the economic weather requires) and objectives (the control of the inflation rate that is Mr. Laffer's true concern).』

やろうとしているのは物価安定であって、経済の見通しおよびリスク要因が変化してるのだから変化したのでありますがと言ってるように見えます。

ま、そりゃそうでしょうと思いますけど、確かにこの論点は「期待形成が上手く行くのかどうか」という点で考えないといかんのかなとも思われるところであります。FRBの基本的な目的は変化していない筈であっても、期待形成に失敗しちゃうと政策の動きが増幅されて期待形成に繋がったり、逆に全然意図した期待が形成されないとか、色々と弊害が生じてくる訳で、そーゆー意味ではFRBの政策ロジックに関してはいい感じで複雑骨折状態なので、今後の運営難しくなるんじゃないかと思われる次第なのれす。

で、ラッファー氏のもう一つの論点、ベースマネー回収する段になった時に大丈夫か(1兆ドルベースマネー減らせるのか)という指摘に対しては、アトランタ連銀のロックハート総裁のスピーチを引用しています。

『"The concerns about our economic path are crystallized in doubts expressed in some quarters about the Federal Reserve's ability to fulfill its obligation to deliver low and stable inflation in the face of very large current and prospective federal deficits. In a word, the concerns are about monetization of the resulting federal debt.』

『"I do not dismiss these concerns out of hand. I also recognize that the task of pursuing the Fed's dual mandate of price stability and sustainable growth will be greatly complicated should deliberate and timely action to address our fiscal imbalances fail to materialize. But I have full confidence in the Federal Reserve's ability and resolve to meet its inflation objectives in whatever environment presents itself. Of the many risks the U.S. and global economies still confront, I firmly believe the Fed losing sight of its inflation objectives is not among them."』

・・・・・えーっとこれって単に「大丈夫」って言ってるだけじゃねえのかよと。

まー長期債買い捲りんぐ(トレジャリーにMBS)なのは事実でして、これを引くという話をした時に、米国の政策当局のエライ人は普通に売り切りとか言い出しそうでオソロシスなのですが、まあ売出手形みたいな機動性の高い吸収手段を設けるしかないでしょという話になるかと思います。

で、その売手発行なんですが、長短ミスマッチという点で言えば、売手でもFRB債でもそうなんですが、短期市場に対する強烈な資金吸収になるので、政策金利のコントロールが難しくなるのではないかという気が思いっきりするのがこれまた寒い話ではございまする。なお、日銀方式で売出手形吸収をすると、事実上の無担保吸収になるので、リスクマネーが減って(相手が中銀だから資本制約的な意味でのリスクマネーは食わないけど)レポ市場などの金利が跳ねないかって懸念があったりするんすが、そのあたりの件に関してはもうちょっと考えないといけませんな。


○今日から決定会合

時間が無いのでメモ箇条書き。

・景気判断上方修正するかも

・・・・って大騒ぎしてますが、もともとの見通しどおりに推移しているって話だと思うのだが、どーしてそう報道ってのは上にも下にも煽る話ばっかするんだか。

・企業金融特別オペとか

8月あたりが一旦の見直し時期だと思うのですが、CPレートの銘柄間格差の異様なまでの無さとか、相変わらずの短国との逆転現象とか、サービスレートオペ効果にも程があると思うのですが、この状況に関する論議はやるのかねという感じです。まあ議論でてもその概要が読めるの来月会合後ですけどね。

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2009/06/10

○公的資金返済ですかそうですか

よく判らないけど米国財務省のURLを置いときますね。
http://www.ustreas.gov/press/releases/tg162.htm

『Following consultation with the primary banking supervisor of each institution, Treasury has notified the institutions that they are now eligible to complete the repayment process. If these firms choose to do so, Treasury will receive $68 billion in repayment proceeds.』

さいですか。

『These repayments follow a period in which many banks have successfully raised equity capital from private investors. Also, for the first time in many months, these banks have issued long-term debt that is not guaranteed by the government.』

・・・・・いやまあ良いんですけど、政府が全面バックアップして大手は何か色々フォローして突然潰すようなことはしませんよ(中小は絶賛潰してますが)っていうセーフティーネットを引いたから「not guaranteed by the government」な長期借入ができるようになったんだし、民間からの資本増強ができるようになったんでしょとかツッコムのはオトナの態度では無いということですかそうですか。

まーそこまでは良いのですが、ズッコケになったのはモーサテで紹介されていたWSJだか何だかの記事でして(書き物しながら聞きながらだったので当該記事が見つかりませんが)、「ガイトナーが欧州の銀行への厳格なストレステストとその結果公表を求める」みたいな記事があったようですが、もう何だか「またまたご冗談を」(AA略)としか申し上げようが無いですな。

ストレステストの前提条件よりも悪化した経済指標の下で公的資金返済おっけーとかどんなペテンだよと思うのに、欧州に対して厳格なストレステストの実施を求めるとか頭沸いているんじゃないのという感じですが、強欲プリオン脳の脳味噌の回路がどう構成されているのかとても興味がございます次第です。

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2009/06/09

お題「だいたいバーナンキ議会証言」

まずは先週水曜に行われた議会証言から少々メモ。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20090603a.htm

○景気に関連して

最初は『Economic Developments and Outlook』ということで、経済物価動向に関して説明していますが、そこをざっくり読みますと・・・・

雇用に関しては目先数ヶ月は厳しく、消費に関しては戦地面との改善で悪化傾向から横ばい(底ばい)傾向に(ただし家計のバランスシート調整が終了していないのはリスク)なり、住宅関連はやや改善中。企業活動は低調だが在庫調整の進行で生産の回復の動きが、という事で、『We continue to expect overall economic activity to bottom out, and then to turn up later this year.』と年後半の底打ちから上昇に対する期待を示しています。また、最近の海外経済に関しては安定化しつつあるような指標が出ていますが、これが正しければ輸出も景気に好影響と、何か先進各国どこもかしこも「海外頼み」状態なのねって話です。

ただし、金融システムの安定化と信用市場の改善が継続することが条件で、その状況がコケるとエライコッチャという話をしてます。まあそうなんでしょうけれども、議会証言なだけに、「FRBが今後出してくる施策に議会がウダウダ文句垂れると景気回復への水差し野郎になるんでよろしく」という釘挿しモードなんでしょうなと。

『An important caveat is that our forecast also assumes continuing gradual repair of the financial system and an associated improvement in credit conditions; a relapse in the financial sector would be a significant drag on economic activity and could cause the incipient recovery to stall. I will provide a brief update on financial markets in a moment. 』

それから、インフレ懸念に関しては経済見通しの最後の所で。

『In this environment, we anticipate that inflation will remain low.』

原油やら商品市況が望ましくない上昇をしてるけど特に物価上昇圧力は無く、おまけに経済状況の改善とインフレ期待の安定に言及してて、デフレ懸念に関してもスルーになってますな。

『As a consequence, inflation is likely to move down some over the next year relative to its pace in 2008. That said, improving economic conditions and stable inflation expectations should limit further declines in inflation.』


○金融市場に関してですが、相変わらず長期国債の買入が・・・・・

『Conditions in Financial Markets』の所から始まります(パラグラフは第8から)

金融市場は改善してきているが、低水準の資産価格や信用市場のタイトさがあるので、まだストレスがある状態におかれているというのが、最初に示されていまして、現在の市場環境について説明しています。

『Among the markets where functioning has improved recently are those for short-term funding, including the interbank lending markets and the commercial paper market. Risk spreads in those markets appear to have moderated, and more lending is taking place at longer maturities.』

つーことで短期市場のファンディング機能が改善し、信用市場におけるリスクスプレッドの改善によって長期貸出も伸びているという状況ですと。

『The better performance of short-term funding markets in part reflects the support afforded by Federal Reserve lending programs. It is encouraging that the private sector’s reliance on the Fed’s programs has declined as market stresses have eased, an outcome that was one of our key objectives when we designed our interventions.』

『The issuance of asset-backed securities (ABS) backed by credit card, auto, and student loans has also picked up this spring, and ABS funding rates have declined, developments supported by the availability of the Federal Reserve’s Term Asset-Backed Securities Loan Facility as a market backstop.』

ということで、ABS買取策が市場の安全弁として働き、市場に掛かっていたストレスが軽減されて、ABSのもとになってる各種ローンの状況が改善ということですな。で、次は長期市場のお話。

『In markets for longer-term credit, bond issuance by nonfinancial firms has been relatively strong recently, and spreads between Treasury yields and rates paid by corporate borrowers have narrowed some, though they remain wide.』

こちらでもやはり信用スプレッドの改善について言及しています(まだスプレッドが大きいとは言ってますが)。

『Mortgage rates and spreads have also been reduced by the Federal Reserve's program of purchasing agency debt and agency mortgage-backed securities. However, in recent weeks, yields on longer-term Treasury securities and fixed-rate mortgages have risen.』

さて金利上昇の話がキタキタ。

『These increases appear to reflect concerns about large federal deficits but also other causes, including greater optimism about the economic outlook, a reversal of flight-to-quality flows, and technical factors related to the hedging of mortgage holdings.』

ちゅうことで、真っ先に財政赤字拡大の話をしておりますが、その他にも景気楽観、質への逃避の巻戻し、MBSのヘッジによる動きという指摘をしています。

・・・・・で、この先は金融機関のストレステストとか資本増強という話になっちゃうのですよ。ということで、資産買入プログラムの効果に関する説明はしているのですが、今回もまたまた長期国債買入に関する説明は微妙にスルーされるでござるの巻。強いて言えば、さっき引用した「モーゲージ金利の低下」という部分になるのかもしれませんが、ABS買取プログラムのように政策目的および効果を強調するような言及を今回もさっくり避けましたな。いやーあっはっはっは。

金融機関の資本増強の話はスルーします。


○財政に関して

最後の『Fiscal Policy in the Current Economic and Financial Environment』がそこそこ長いのが今回の特徴ですかね。よー知らんが。

で、そちらでは今般の財政措置に関する効果に関する考察とかをしたあと、その財政赤字の規模に関してこんな事を。

『As a consequence of this elevated level of borrowing, the ratio of federal debt held by the public to nominal GDP is likely to move up from about 40 percent before the onset of the financial crisis to about 70 percent in 2011. These developments would leave the debt-to-GDP ratio at its highest level since the early 1950s, the years following the massive debt buildup during World War II.』

そんな話しだしたら日本なんてと思いますが(笑)、その後で今後のベビーブーマーの年金問題やら医療費増大などの問題もあるので、現状ではリセッション回避だの金融安定化だので財政支出を増やしていますが、財政バランスに関しても今から考えていく必要があるという話をしています。そこ引用しますとこんな感じ。

『Certainly, our economy and financial markets face extraordinary near-term challenges, and strong and timely actions to respond to those challenges are necessary and appropriate. Nevertheless, even as we take steps to address the recession and threats to financial stability, maintaining the confidence of the financial markets requires that we, as a nation, begin planning now for the restoration of fiscal balance. Prompt attention to questions of fiscal sustainability is particularly critical because of the coming budgetary and economic challenges associated with the retirement of the baby-boom generation and continued increases in medical costs.』

で、これら財政問題に関しては、今後政府がどこまで負担するかという政府の大きさに関する議論を避けて通れないし、政府の大きさに応分した納税者の負担が必要になるという話をしてましてこの部分最後の所。

『Clearly, the Congress and the Administration face formidable near-term challenges that must be addressed. But those near-term challenges must not be allowed to hinder timely consideration of the steps needed to address fiscal imbalances.』

『Unless we demonstrate a strong commitment to fiscal sustainability in the longer term, we will have neither financial stability nor healthy economic growth.』

ということで最後の締めは、財政の維持可能性に対する我々の強力なコミットメントなくして金融市場の安定も経済の健全な成長も無いという話でございました。


○これはレポートを読めという事かにゃ

『Federal Reserve Transparency』って所なんですが、先月に話しましたけど、またもう直ぐ出るのでよろしゅうにと言ってるのですかこいつは。

『That group has made significant progress, and we expect to begin publishing soon a monthly report on the Fed's balance sheet and lending programs that will summarize and discuss recent developments and provide considerable new information concerning the number of borrowers at our various facilities, the concentration of borrowing, and the collateral pledged.』

ということで議会証言でございました。簡単メモの積りが結構長くなってどうもすいません。


○米国2年債1.42%とかもう何が何だか

雇用統計を受けまして利上げ観測とか何のギャグだと思っていたのですが、米国市場では益々2年金利上昇するでござるの巻らしくて、さっきテレビが米国2年物財務省証券利回りが1.42%近辺に上昇と仰せです。雇用統計前の先週木曜の引けレベルが0.91%あたりだったので2日で50毛の金利上昇。

・・・・えーっと、抜き打ち利上げでもありましたっけ?????

まー何と申しますか、外野的に申し上げますとナンジャソリャ状態なのですが、市場が暴れだすと手に負えないでござるの巻ですわな。まあ景気回復期待とか色々と要因はあるかも知れませんが、一方の問題としては「長期国債買入で長期金利を下げる」と言わんばかりの説明をして長期国債の大量買入実施を表明して変な期待を持たせた為に、その期待が剥げて逆の動きが起きたちゅう面もあるんじゃねえのと正直思うのであります。

で、国内市場でも2年とか3年とか5年とかが弱めだったみたいで、何も日本が律儀に反応しなくてよかろうにと思いますけれども、まーこーゆー時に律儀に反応するのがニッポンクオリティだったりするんですな。金先MAR10が6毛甘とかナンナンデスカというところですが。

あと、景気ウォッチャー調査がまた改善というのも何だか良いのかその雰囲気の転換って感じですけど、まあ日本に関して言えば株価上昇に関してイチャモンつけてるコメントが経済メディアに多いうちは「買いたい弱気」の集団がいるということですから、そう簡単に下がらんでしょという所で(^^)。

#市場ネタを他に書く積りだったのですが、前半書いているうちに話したい事を忘れてしまいました(苦笑)忘れるくらいだからあんまり大した話じゃないですが

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2009/06/04

○各種余談

・雇用統計が楽しみな訳だが

今週は米国雇用統計がございます。情報ベンダー見て各社の予想サーベイを見たら失業率の市場予想が9.2%くらいのようでございます。

・・・・・はて、ストレステストの前提って今年の失業率8.9%でしたよね。

という話になるのかならんのか。何かこう大本営発表にも程がある昨今の米国様の動きからすると、「ストレステストの結果はともかくとして、金融機関の増資も進んでおり何の問題も無い」とか言い出しそうな気がするのが強欲プリオン脳恐るべしという所なのですが、まあ生暖かく週末を待ちたいと思います。


・さて長期金利上昇懸念

最初に申し上げたバーナンキ先生の議会証言。本ちゃんの中身まだ見てないので何とも申し上げようがございませんが、そもそも「クレジット市場の支援」という無理筋のロジックで長期国債買入をどどーんとアナウンスした時点でこーゆー話になるタネは撒かれている(ついでに言えば、長期国債買入決定したFOMCの議事要旨を見ると施策の狙いや波及効果についてまともに議論した形跡が無いというのは、もう何か慌てて実施した感が見え見え)次第でして、まあ市場介入みたいなもんをする時には市場規模を良く考えてから行ってねという感じですわな。

#そもそも最初に市場介入してたときは「機能不全になっている市場への市場機能補完」だった筈で、米国債市場は機能不全じゃ無かった時点で話がねじれてますな

そしてまあ長期金利上昇に懸念を示した上で、財政健全化の話をするのがちょっと苦心の口先介入っぽくて泣けますな。財政せっせと出している中で先行きの話をしないといけないというのも残念感がしますが、6月FOMCで長期国債買入に関する追加アナウンスをするのかどうか、微妙な気もしてきましたなあというところです。

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2009/06/03

○どこぞの新聞が長期金利上昇とか言い出したので懸念なさそうですが

どこぞの経済ニュース番組(笑)を見ておりますと、あたくしが購読していないどこぞの経済クオリティーペーパー様の朝刊ご紹介とかをやってくれるので、中々便利なのですけれども、そちら様で米国の長期金利上昇を大々的にネタにしておられたようで(日本のもネタになってたのかね)、そろそろ長期金利上昇も一服ですかという感じですかね。まあそれは兎も角。

まあ週初ご紹介したコーン副議長の講演で色々と分裂気味に説明していましたけれども、FRBが「金利上昇抑制」という話を全面に押し出している結果として、金利上昇するとさあドウスルドウスル状態になる次第でありまして、今日の経済ニュース番組で為替のコメントしていた人が思いっきりこんな話をしていました。曰く、

「インフレ懸念で長期金利が上昇してドル安になっているので、長期国債の買入増額がドル安を止めるのに期待されています」

・・・・長期国債の買入増額ってマネー供給拡大なんだから期待インフレ率に対しては上昇要因じゃねえのかよというのが従来の金融政策論から出てくる話になる筈ですし、そもそも実際問題としてマネー拡大はマネー拡大なのでござんすからそりゃあーたインフレ懸念で仮に金利が上昇しているなら長期国債買入増額行なってもそっちには効かないでしょとかツッコミをしたくなるのでありますが、まあ金利市場以外からコメントするとこんなもんでしょうなと思う次第。

と申しますか、メリケン様の債券市場でも似たような感じになっているような気がせんでもない(実際に市場の中の人じゃないから知らんが)次第でありまして、ここもとの米債相場特に長期の部分ってえのは単に国債需給に関する思惑でホイホイと大ぶれしているだけに見えてしまいます。入札ウィークになると徐々に売られて行って、入札を通過すると戻るのですが、直ぐに次の入札が来るのでまたまた値を崩すという感じで、その間に金利が徐々に上昇して行ってFRBに対して政策(長期国債買入増額)を催促するという流れになっている印象ですわな。BEIが拡大してるらしいので(あんまり細かく見てないからよー知らんが)一応物価に関する思惑もあるんでしょうが、マジメにインフレ懸念って考えてるのかは疑問。

まーそーゆー事でありまして、下手に「金利を下げるために」とか言い出して長期国債の大規模買入を実施してしまった為に、市場から買入増額を催促される展開になってしまったでござるの巻となってしまいまして、個人的感情論だけでは「FRBプギャー」としか言いようがございませんが、今このタイミングで長期金利上昇は世界景気に宜しくございませんので、早急にロジックの建て直しをして頂きたく存じます次第。6月のFOMCで長期国債の買入プログラムに関して買入額の増加に関する何らかのアクションをしないとまた長期金利上昇するんでしょ。

では買入を増額したら長期金利の上昇が止まるのかというと、市場に催促されて買入増額ってそりゃ正しくかつての日本政府の絶賛為替介入状態でございまして、これまたナポレオンのロシア遠征状態になるでしょという事で誠に遺憾の限りでございます。


○ロジックがねじれていると大変ですなあ

引き続きコーン副議長講演絡みの雑談(やや悪態成分入り)が続きますが。

ご紹介したコーン副議長講演では「イールドカーブがスティープしているのでFRBの資産購入プログラムで買った証券は期間収益が上がります」ってえ話をしてましたが、どこで見たか忘れましたが(スイマセン)イールドカーブのスティープに関しては銀行セクターの期間収益の向上になるってえ指摘をしている(コーンさんじゃないけど)紙を見たような気が。

いやまあ色々とモノは言い様だというのはございますけどね、長期国債買入プログラムを実施する時に「金利引き下げ」の話をしているのに、実際に長期国債の金利が上昇しても「各種買入を実施してなかったら100bpは金利が高かった」(先日のコーンさんの講演)でオトボケしちゃうとか、何かこうロジックの良いとこ取り的な論理ねじれモードで乗り切ろうというのはちょっと大丈夫かなあという所です。

まー正直申し上げて、国債などの発行額が大したことなくて中央銀行の買入で需給を強力にコントロールできるって時代(米国で言えばかつてのFRBと財務省のアコードとか、日本で言えば新発国債を1年経ったら全部日銀が買入していた国債不流通時代とか)では無いのに安易に「長期金利コントロール」みたいな市場を舐めくさったスタンスを出すからこうなるのでありましてですな、直接コントロールが困難なものを「コントロールする」とか言い出して、まあ結果オーライで上手く行けば良いですけれども、今回のように必ずしも上手く行かなくなって市場が催促モードとかになると、政策運営に対する信認の低下にも繋がり兼ねないんじゃネーノと思う次第なのでありまする。

まーここは出来る所から波及効果を出すということで、MBSとかスプレッドの方は市場規模対比で買入効果が出るので良いとして、長期金利コントロールの話は上手いこと撤収して、コントロールしやすい短期ゾーン(2年位まで)の金利を抑えてイールドカーブのアンカーにする方策が宜しいんじゃないのかねえと思う次第でありまする。つまり時間軸のコミットメントですな。買入は勿論続けるけれども金利抑制は全面から撤退ということで。

・・・・ただ、時間軸のコミットメントと言われましても、米国の場合はじゃあ何の数値にコミットするかというのが難しくて、ヤケクソで遅行指標様であります所の失業率にでのコミットするかという話にでもしないと強力コミットメントにならないですなあとか思うところで思考が止まるのですけどね。


悪態成分の入ったあたくしの雑談ばっかでどうもすいません。


○FXのレバレッジ規制雑感(人のふんどし)

厭債害債さんの所から。
http://ensaigaisai.at.webry.info/200906/article_1.html

そもそもあたくしは職業柄FXなどのようなモノへの投資は出来ませんので(レバレッジ効いてない外貨預金とか外貨MMFなどの円投なら出来ますが)よー知らなかったのですが、コメント欄のところで指摘されていました『くりっく365でも100倍まで許容していることには驚きました』というのを見た時にはあたくしも驚愕のあまり椅子から落ちそうになりました。東京金融取引所恐るべし。

・・・・えーっと、金融庁様におかれましては、まずくりっく365のレバレッジ制限を早急に実施させるようご指導された方が宜しいのではないでしょうかと思うのでありますが、やはり東京金融取引所相手にご指導(以下諸般の事情により自粛)。

ちなみに、東京金融取引所の会社概要を置いときますが他意はありません(棒読み)。
http://www.tfx.co.jp/about_tfx/profile.shtml

・・・・というのは兎も角として、まーFXのレバレッジ制限とかやっても、ど〜せ今度はCFD取引でレバレッジ掛けた取引しませんかってキャンペーンになっていくのではないかと思ったりもするんですけどね。なおCFD取引って何ぞやというのは、あたくしも最近マネー雑誌みたいなの見て「最近は個人相手にこんなのもあるのか」と思ったりした程度なので詳しくないけど、ヤフー先生やグーグル先生に聞いて味噌。

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2009/06/02

お題「コーン副議長の講演(続き)」

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/kohn20090523a.htm

という事で昨日の続きです。非伝統的政策に関する話の続きから最後は出口政策の話がおっぱじまるという素敵なものでございます。

○市場の仲介機能に中銀が入る意味は

第11パラグラフではCP買入などのクレジットファシリティの担保範囲および参加者の拡大を行いましたという指摘をしまして、その意味をこのように説明しています。

『And we have intervened more directly in severely impaired markets, such as those for commercial paper and securitized consumer and mortgage debt. We believe these interventions have been successful in supporting economic growth by bringing down interest rates on the instruments involved, preventing fire sales of assets by intermediaries that would otherwise not have access to liquidity, and facilitating new lending.』

この理屈っていうのは最初に色々な資産購入/担保プログラムを実施して行く中で推し進めたロジックでして、「機能不全になっていた市場に対して中央銀行が市場の仲介機能を代替して機能回復を図る」というものでありますが、その仲介に突っ込む目的として、「中央銀行が流動性を付与する事によって、そのままだとファンディングが付かない参加者が投げ売りをするのを防止して、これらの商品の金利を引き下げる事によって経済への効果を狙う」というような話になっているのは何かちと微妙な気がするのですがね。そんなに金利引き下げに拘らなくても良いと思うのですが。


○FRBのクレジットリスクの問題

昨日ご紹介した第10パラグラフでは「金利が上昇した時にFRBが抱える潜在的な損失」に対する考察でしたが、ここから先はクレジットリスクの話になりますが、ここから先もまた「一つ一つ仰っている事はご尤もなのですが、何かロジックがねじれてませんかねえ」という話になってまいります。まずは第12パラグラフから。

『These unusual extensions of our lending facilities have raised concerns about the Federal Reserve taking on credit risk. 』

てなわけで話がスタート。

『While those concerns are understandable, I want to emphasize that we have taken a variety of steps to minimize credit risk in setting up the various nontraditional and temporary credit facilities that we have made available to a number of new borrowers.』

ということで、各種プログラムの実施によってFRBが負うであろうクレジットリスクを減らすように色々な手を打ってますという説明がその後に続きます。借入者の返済能力を精査するとか、担保に関してはきちんとヘアカット(担保掛目)を取っているとか、ノンリコースローンを担保に取る時はローン裏付け資産の価値も精査するとか、そんな説明をした結果こういう事になります。

『In these instances, we typically have taken only the highest-quality collateral, and, in many cases, we have coordinated with the Treasury to have other sources available to absorb any losses that might nonetheless occur. An example of a program that relies importantly on monetary-fiscal coordination is the Term Asset-Backed Securities Loan Facility, whereby protection against credit risk takes the form of capital provided by the Treasury, using funds appropriated by the Congress for the Troubled Asset Relief Program.』

損失が出たときには財務省のTARP資金での補填があるという後半の話は兎も角として、前半の「我々は最も高い質の担保のみを取っている」というのは確かに現象としてそうなっているのですけれども、そこを強調するとそれって本当に「Credit Easing」なんでしょうかという話になって来る訳でございまして、ここら辺でもロジックの複雑骨折が垣間見れるというものです。

とは言え、それだけ強調するのも何なので、次のパラグラフでは「そうは言っても通常よりもクレジットリスクを取っている」という話をしているのですが・・・・・

『To be sure, loans or credit protection offered in association with government help to stabilize individual systemically important institutions likely have higher credit risk than our more general liquidity facilities.』

というのが今言ったことですが、その先での説明では緊急対応で取ることになったクレジットリスクを中銀のバランスシートから外して財務省つまり政府部門に移す話を妙に強調してますが、これは次のパラグラフから始まる「中銀の財政政策」に関する話の前振りでもあります。

『But even in these few cases, which occurred under emergency conditions, we have taken steps to protect the Federal Reserve from credit losses and have asked the Treasury to take these loans off our balance sheet. To reduce the risk of future problems here, a new regulatory regime should be developed that will allow the U.S. government to address effectively at an early stage the potential failure of any systemically critical financial institution.』


○中央銀行が財政政策の領域に踏み込むのは慎重に

ということで第14パラグラフに参ります。

『Finally, there is the question of whether the Federal Reserve has become involved in the inherently fiscal function of allocating credit to specific sectors of the economy. 』

経済の特定セクターに対するクレジットのアロケーションを行うという行為は財政固有の機能であって、それを中央銀行が行うのが良いのかという論点であります。

で、ちょっとだけ脱線するとですね、コーン副議長がこういう話しても何も言われないのに(言われてるのかもしれないけど)、日本でクレジット物買う施策を始めた時に考え方みたいなのを出すと「積極的じゃない」とか言われたり、社債買入でBBBまで買えとか言い出す市場関係者がいたりとか、何だかなあって感じがするのですけど。

という悪態はともかく、ではそのようなクレジット市場への介入をどういう狙いで実施するのかという話ですが。

『Because of the lack of liquidity, risk-taking, and arbitrage in markets, we have been forced to counter tight financial conditions through interventions in particular markets, which can have differential effects.』

市場機能の崩壊によって金融環境がタイトになることによって様々な弊害が起きるという、まさにその通りであります現象面に言及して、市場に突っ込む狙いをこのように説明。だいたいさっきと同じロジックですが。

『But our actions have been aimed at increasing credit flows for the entire economy, and they have been effective in that regard.』

クレジットのフローを復活させるという話で、レートを下げると言ったりフローの回復と言ってみたりご苦労なこったと思いましたが、この先でまた金利を下げる話をしているのでありました。

『For example, our large-scale asset purchases of agency securities and agency-guaranteed MBS have helped mortgage markets, but they also appear to have put downward pressure on other long-term interest rates, as we expected.』

ということで、金利下げの話をした後、市場への流動性付与という観点から、これらの市場への流動性供与を行うことによって、銀行や投資銀行、MMFなどが再び金融仲介機能を回復させるようにするという話をして次の第15パラグラフになります。

『Both the Treasury and the Federal Reserve understand, and have acknowledged in the joint statement released on March 23, that it is important for theFederal Reserve to avoid credit risk and credit allocation.』

ということで、中央銀行はクレジットリスクを持ったりやクレジットのアロケーションをするのを避けるべきであるという話が始まります。その理由がその先に。

『Our lender-of-last-resort responsibilities should only involve lending that is appropriately secured.』

『Actions taken by the Federal Reserve should also aim to improve financial and credit conditions broadly and not to allocate credit to narrowly defined sectors or classes of borrowers, as any decisions to influence the allocation of credit is the role of fiscal policy. Moreover, I believe the essential role for an independent monetary policy authority pursuing financial stability, economic growth, and price stability remains widely appreciated.』

ということで、中央銀行は特定企業あるいは特定産業セクターの救済を行うべきではなく、あくまでもマクロ的な流動性供与であるという指摘と、金融政策が政治から独立して達成すべき目標は金融安定化、経済成長、物価の安定であるという話を。

で、最後の章は出口政策の話になります。


○出口政策キタコレ

『Transition Back to More Traditional Monetary Policy』という小見出しで話が始まります。

第16パラグラフでは景気が回復したら非伝統的政策からの脱却して通常の金利操作による製作に戻る必要がありますが、非伝統的政策によって巨大になったFRBのバランスシートを持った状態からの出口政策というのが論点ですというマクラです。

ただ、そこで次の第17パラグラフで念を押しているのですが、現在はまだ正常化の全くのスタート段階であり、金融や家計のバランスシート調整をゆっくりと行っている最中であって、『As a consequence, it probably will be some time before the FOMC will need to begin to raise its target for the federal funds rate.』とは釘を差しておりますが、将来の為に出口政策の枠組みを作ることが重要という話を。

で、第18パラグラフですけれども。

『Our expanded liquidity facilities have been explicitly designed to wind down as conditions in financial markets return to normal, because the costs of using these facilities are set higher than would typically prevail in private markets during more usual times. Indeed, some of our emergency facilities--the Term Securities Lending Facility and the Primary Dealer Credit Facility--have already seen reduced use as funding markets have returned to more normal functioning. 』

TSLFとかPDCFとかのプログラムの場合、これらの適用金利が市場が混乱している状態を前提にした一種のペナルティー金利になっておりまして、普通の市場状況だと市場調達した方がお得になるという建て付けになっているので、市場が回復したら残高が減る事によって自然に出口に向かうという話で、まあ実際問題としてこっちは最近残高が減ってきています。ではMBSやら財務省証券やらの買入の方についてはどうなるのでしょう。

『Managing the assets acquired under our large-scale asset purchase program will require a different set of techniques.』

ほうほう。

『As I have already noted, some portion of these assets will run off on their own. 』

昨日ご紹介した部分にございましたが、短いものは償還まで持ちきりでよろしいとな。

『In addition, we can actively manage the asset levels down by selling the assets outright or on a temporary basis through reverse-repurchase transactions. 』

物凄くさらっと書いてあるのですが、残高減らすのに『selling the assets outright』ってそりゃ無理です。やっぱりこの人たち日本の事例を勉強してねえなあと思う次第でありまして、ファンディングが国内投資家で完結できている日本であってもいざ国債売却という話が出たら物凄い勢いで大騒ぎになったのに、世界からファンディングしないといけない米国が「中央銀行がこれから保有する長期国債を売却しますよ」ってやったらアセットの圧縮はできるかもしれませんが、長期金利が破壊的に上昇してオーバーキルになっちゃいますって。

売現先(リバースレポ、所謂マッチド・セールっていう名前のオペですよね)で資金吸収してアセット減らすと言ってますが、それは長短ミスマッチの問題とアセットの問題は解決されません(資産は相変わらす長期で吸収する資金は短期、そもそも売現先なので支配残高は変わらない)。まあ売り切り打つよりはマシですけれども。

『Moreover, we could run off these holdings slowly while still raising the federal funds rate if we increased the rate paid on excess reserves held at the Federal Reserve. In principle, the rate paid on excess reserves should act as a floor on the federal funds rate; although recent experience suggests that it may not establish a hard floor, that experience has been influenced by the unwillingness of banks to arbitrage in size in the current circumstances when they are worried about their capital.』

金利正常化局面においてFRBへの超過準備付利金利を引き上げるという話をしてますが、これも単に両建ての話なので、バランスシートそのものは減らないんじゃないかと思うのですが。上記の話の後半は超過準備付利金利は本来は市場金利のフロアーとして働くという話でして、要するに利上げをしていく中で超過準備付利金利を引き上げて行けば、金利付きの超過準備保有へのインセンティブが起きるために、超過準備の存在という形で市場の流動性資金を引くことが出来るというお話ですな。

『Finally, as I've already noted, the Administration has said it will work with us and the Congress to get us an additional tool for absorbing reserves. 』

さっき申し上げたようにの部分は引用割愛しましたが、まあ要するにこれは日本で言う売出手形オペ(またはFRBが短期債券を発行とかですかね)のような機動的な資金吸収手段を新たに導入することを検討中という話です。つまり、超過準備付利だとあくまでも超過準備持つか持たないかの話は受動的になってしまいますので、(超過準備付利金利を無茶苦茶高く設定すれば別ですが、そうなると何のための金利操作なのか訳判らなくなる)より積極的な資金吸収手段が必要という話が最後の所でした。


で、ちょっと脱線しますけど、こんな話を日本でやった日には、どんな原則論の話をしてもメディアが揃って物凄い勢いで大騒ぎするわなと思うわけですよ。それからこの部分の最初の所で説明があった「市場機能が回復したら残高が減る」という理屈ですけれども、日本だと「残高が増えないからもっと低格付けのものを買え」と言いだす市場の中の人これありという状況な訳でして、そういう意味で言えば米国ウラヤマシスともいえるのであります。


○最後に中央銀行の独立性の話が

『Conclusion』ということで最終の第19パラグラフです。

『Experiences studied over a range of countries and periods of history tell us that central banks need a degree of insulation from short-term political pressures if they are to consistently foster the achievement of their medium-term macroeconomic objectives of price stability and high employment.』

というのは仰せの通りで。

『This independence in the conduct of monetary policy has been supported by minimizing the fiscal implications of monetary policy operations. 』

金融政策が財政政策的な意味合いを極力持たないようにすることが金融政策の独立性をサポートするってのはなるほどと思いましたです。

『The Federal Reserve has attempted to maintain this separation while extending the range of our open market operations and discount window lending. But changing policy interaction and greater cooperation between fiscal and monetary authorities have been an inevitable aspect of effective policy initiatives to meet our macroeconomic objectives in the current financial and economic crises. 』

とは言え、金融危機や経済危機においては政府当局とのより緊密な協力と政策の協調が必要だという指摘も勿論しています。では最後です。

『As the economic recovery takes hold, we will need to return to more normal modes of operation--a circumstance this central banker is very much looking forward to.』

#2日に渡って延々と引用大会で大変恐縮でございましたm(__)m

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2009/06/01

お題「FRBコーン副議長の講演が中々良いネタでした」

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/kohn20090523a.htm

23日に行われたコーン副議長の講演(スピーチ)ですが、これが中々良い感じのネタだったので一読推奨です。ちなみにA4の紙に打ち出すと実質4ページちょっと(脚注があるので6ページになる)になりますが、現在のFRBの政策ロジックおよび各種施策の意図と波及効果に関してコンパクトに説明しているので、FRBの論点整理にはちょうど良いと思いますです、はい。

○まず勝手にあたくしが感想

構成としては最初にゼロ金利制約のある中での金融政策と財政政策の話、次に所謂非伝統的政策の説明とその効果、最後に非伝統的政策部分の出口政策に関してという話です。で、その説明なんですけど、まあ一つ一つのお話はさよですかという所なのですが、各種の狙いや効果に関して「それはさっきの説明と整合性が取れているのか」とか「それはちょっと違うような気がするが」というツッコミ所が微妙に転がっておりまして、まあFRBは政策とりあえず色々やってみたけど、ロジックよりとりあえず何かやる事優先でやってきたのでしんどくなってきたのかなあという感じでございます。

ということで順にご紹介して参ります。


○まずは論点をサラサラと

これ実は全部引用しながらお話するのが一番宜しいのですが、それをやってしまうと3日くらい掛かってしまいますので(汗)、かなり端折っちゃうと思いますけど、さっきも申し上げたように上記URL先は一読推奨。

冒頭の3つのパラグラフではこの後に出てくる各種論点について話をしていますのでベタ引用します。

『Our current economic situation has altered some of the usual interactions between monetary and fiscal policy. One change regards the relative effects of monetary and fiscal policy. The depth and persistence of economic weakness has meant that traditional monetary policy--the target for the federal funds rate--has become constrained from easing as much as might be desirable under the circumstances, and, as a consequence, the target federal funds rate is anticipated to remain near zero for some time. But as a result, fiscal stimulus has potentially become more effective in boosting economic activity than it usually would be. 』

後で説明が出てくるのですが、ゼロ金利政策を継続する中、つまり時間軸政策のようなものをとる中で財政政策による刺激効果がより有効になるという論点がございます。で、次のパラグラフ(第2パラグラフ)。

『Another change involves the potential for monetary policy actions to have greater fiscal implications than usual. The Federal Reserve has extended both its open market operations and lending programs in unprecedented ways to ease financial conditions and to help revive economic activity. In our open market operations, we have embarked on large-scale purchases of intermediate- and long-term Treasury securities, agency debt, and agency-guaranteed mortgage-backed securities (MBS) in order to put further downward pressure on borrowing costs, greatly increasing the degree of maturity transformation on our balance sheet. In addition, our traditional liquidity operations have been extended to include new borrowers and new markets, with the potential for greater credit risk than usual.』

ということで、ベタ引用しちゃいましたが、この中で現在の資産購入プログラムに関して『in order to put further downward pressure on borrowing costs』と例によって例の如く借入コストの引き下げを政策の効果として認識しているというお話になります。で、これはこれで従来のFRBの声明文などにもあった説明なのでその通りなのですが、実はその後の説明で「あらら?」というロジックが出てくるのでお楽しみに。

『In my view, our nontraditional policy actions have been necessary to avert a far worse economic outcome, and they remain consistent with the traditional goals and principles of monetary policy. Moreover, as I will be discussing, we have structured these policies with the aim of accomplishing our objectives with few, if any, fiscal consequences. I will conclude with some thoughts about the transition back toward more typical monetary policy as the economy and financial markets improve.』

非伝統的政策は更なる経済悪化を食い止めるために必要な政策であり、これは従来の金融政策によって目的としていることを達成することと矛盾しませんよってことと、FRBのバランスシート毀損問題とかの話と、最後に出口政策の話をしますということで、さて各論に参ります。


○ゼロ金利および時間軸の下における財政政策の効果に関して

『Fiscal Policy When Monetary Policy Is at the Zero Lower Bound』って小見出しの所から参ります。

こちらの最初になります第4パラグラフ(以下パラグラフは全部通しで書きます)はいわゆるマンデル・フレミングモデルと言われている話の説明でして、通常の経済状況の下で、財政支出による需要の拡大を行っても、金利上昇と金利上昇に伴うドル高の双方による経済への悪影響によって中長期的に見れば効果が殆どないというお話をしています。ではそうでは無い状況でどうなるかという事が次のパラグラフに。

『But in the current weak economic environment, a fiscal expansion may be much more effective in providing a sustained boost to economic activity.』

ほほう。

『With traditional monetary policy currently constrained from further reductions in the target policy rate, and with many analysts forecasting lower-than-desired inflation and a persistent, large output gap, agents may anticipate that the target federal funds rate will remain near zero for an extended period. 』

期待インフレ率がFRBが望ましいと考えるレベルよりも低い水準で当面の間推移し、生産ギャップが大きく、政策金利がゼロ近傍で長期間に渡って維持されるという期待の下という条件だそうですな。

『In this situation, fiscal stimulus could lead to a considerably smaller increase in long-term interest rates and the foreign exchange value of the dollar, and to smaller decreases in asset prices, than under more normal circumstances. Indeed, if market participants anticipate the expansionary fiscal policy to be relatively temporary, and the period of weak economic activity and constrained traditional monetary policy to be relatively extended, they may not expect any increase in short-term interest rates for quite some time, thus damping any rise in long-term interest rates. 』

そういう条件下では政策金利のゼロ近傍据え置き期待がアンカーになるので、財政支出による金利上昇やドル安は限定的ですと。

『Moreover, if the initial boost to aggregate spending from fiscal stimulus raises inflation expectations, then real short-term interest rates would tend to decline, given that the nominal short-term interest rate is constrained at the zero lower bound. All told, the result is likely to be considerably less of the usual crowding out of fiscal stimulus in these circumstances, thereby increasing the effectiveness of fiscal policy to boost the level of aggregate economic activity in the short to medium term.』

その上、財政支出によってインフレ期待を引き上げることが出来た場合は、実質金利の引き下げが出来るという話もしておりまして、そんなことで財政支出の効果が通常の経済状況よりも高いという話なんですが・・・・・ついさっきは大体ゼロ金利の時間軸効果の下での財政支出効果の話をしていたのに、同じ口で実質金利の引き下げの話をするのはちと虫が良くないか?という気がする。

『This scenario is supported by simulations using the Federal Reserve staff's FRB/US model, assuming all agents have rational expectations.』

だそうなのですが、先般バーナンキ議長がボストンカレッジの卒業式で・・・いやまあいいです(笑)。ちなみにその説明が第6パラグラフと脚注にあるのですが割愛。

なお、その次のパラグラフで上記した効果には不確実性があるという話をしていまして、貸出姿勢が慎重化する中では財政刺激効果が予期するほどにならないケースとか、財政支出の規模が長期的に不確かな時、って言うのですから要は財政に対する懸念が出るときという事でしょうが、この時にはタームプレミアムが発生するという説明をしていますが引用割愛。


○非伝統的政策に関して:実施した政策の目的と効果

『Nontraditional Monetary Policies 』って小見出しから

でまあ前の部分では財政の話をしていますが、次が金融政策の役割の話になっております。で、ゼロ金利制約の下でも金融政策によって経済への刺激を与える事ができるということで、非伝統的政策の登場という話になります。経済の不確実性が高まり、金融仲介機能に対するプレッシャーが掛かり、通常の信用仲介機能が阻害されている時に何をするかという話で、第8パラグラフの途中から。

『 In these circumstances, the Federal Reserve has provided additional monetary stimulus by easing financial conditions more directly through its interventions in a variety of financial markets. In effect, we have stepped up our intermediation by making large volumes of asset purchases and loans, which have been associated with a very substantial increase in bank reserves on the liability side of our balance sheet.』

ということで、FEDのバランスシートを使った政策といういつもの説明になりますが、その政策としてこんなんやりましたというお話をして、その目的と効果について。

『This program is intended to stimulate real economic activity by holding down intermediate- and long-term interest rates by bringing down the term premium on these securities--a mechanism that is distinct from the traditional channel whereby a shift in the stance of monetary policy affects longer-term yields by changing the expected path of short-term interest rates.』

ここでも『by bringing down the term premium on these securities』ということで資産購入による金利引き下げの意図を明示していまして、また『a shift in the stance of monetary policy affects longer-term yields by changing the expected path of short-term interest rates』ということで、政策金利のパスに対する期待を変化させることによって長期金利に影響を与えるという時間軸っぽい話をしています。

『The preliminary evidence suggests that our program so far has worked; for example, our announcements regarding the large-scale asset purchase program coincided with cumulative restraint on the average level of longer-term interest rates, perhaps by as much as 100 basis points by some estimates.』

資産購入プログラムの実施アナウンスによって1%は金利下がりましたという話ですがホンマカイナという気はするけどまあいっか。

と言うところでちょっとあたくしの雑感を申し上げますけど、この時間軸の話って現在のFRBは明示的なコミットメントは特に無く、FOMCの声明文でインフレの見通しを低位においてみたりというような形で時間軸っぽい動きをしているのですけれども、日本での例を見ると、03年に長期金利がアホほど上昇した時って(まあその前に変にバブった反動の面も大きいのですが)足元CPIが全然上昇しない中で勝手に長期金利が上昇した訳でして(結果として量的緩和政策の継続に関する明示的なコミットメントを出す破目になった)、何となく時間軸みたいな政策を実施している場合って、市場が勝手に景気回復期待や正常化期待で突っ走りだすと、コーン副議長の言うような状況にはなってくれない可能性が高いと思います。当然ながら理論的背景は無いけど。


○非伝統的政策:FEDの損失発生の懸念に対して、金利面から

実はさっきの所で大体前半の部という感じでして、作っているあたくし的に時間と量がお腹一杯になってきたので明日に続くにしようと思ったのですが、やはりこの部分は引用しないとということで第10パラグラフ。

金融危機の前にも実は財務省証券とかの購入をしてましたよってのが話のマクラになってますが、そうは言って今の買入規模は大きいですねという話をしています。で、その買い入れによる中央銀行の損失可能性に関連して。

『Holding such a large portfolio of long-term assets does expose the Federal Reserve, and thus the taxpayer, to potential losses as short-term interest rates rise. We could end up financing our holdings of some low-yielding long-term assets with more expensive short-term liabilities or, we might have to sell some of these assets at a loss as long-term rates rise. 』

短期金利が上昇した時の保有証券とファンディングコストのギャップによる損失、および長期金利が上昇した時に保有証券を売却する必要になった時の損失という金利面からの問題について説明しています。

『First, some of the Treasury and GSE debt that we are acquiring will run off over the next few years without any need for outright sales, as will some of the MBS as individuals sell or refinance their homes. 』

償還まで短いのに関しては持ちきりとな。

『Second, the yield curve currently has a steep upward slope. Accordingly, we are now earning an abnormally high net rate of return by funding our acquisition of long-term assets with almost zero-cost excess reserves--and this relative yield relationship is likely to last for some time. Thus, in judging the potential budget cost over time, any possible future interest-rate-related losses need to be balanced against the current elevated level of our net interest income. 』

えーっと、長短金利差が大きく、買った証券の利回りが短期金利対比結構高いし、当面は低金利政策を持続するのだから、その間の期間収益があって長い目で見れば損失にならないという話です。いやまあそりゃその通りなのですが、それって「金利を押し下げる」という政策効果の話をする中ではちと変じゃネーノと。

『Third, our purchases of long-term securities are boosting economic activity and, in the process, increasing government tax receipts relative to what they would have been in the absence of such purchases.』

これらの政策が効果を発揮すれば景気が回復するから税収の増大によって政府収入が増えますという論点。いやまあそれもそうなのですし、政策目的が達成されて経済が回復するのはまさに良い話なのですけれども、それってさっきの「期間収益がどうのこうの」みたいな話とこれまた整合性の取れない話でありまして、何かちょっとこの辺グダグダになってますなあという感じです。

・・・・・というところで時間が無くなったし量も大杉なので明日に続く(予定)なのでした。

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2009/05/29

○出口政策と言っても違いがあるのですけどね

昨日ご紹介した決定会合議事要旨。出口がどうしたこうしたという指摘をしていた委員がいたとご紹介しましたが、当然の如くその時に債券市場は1ミリも反応せず。

何故当然かと言いますと、ここで言う出口というのは「危機対応で思い切って実施した政策の出口」であって「低金利政策の出口」では無いというのはさすがに市場の中の人は理解している訳でありまして、何かどこぞの経済クオリティーペーパー様におかれましてはまたぞろその辺を混同した記事を書いておられるようで(中身はマジメに見てない)、そうでしたらばまたルンバ新聞かというところですが。

一方で昨日もちょっと書きましたが、出口という意味で深刻にも程があるのが米国様でございまして、「信用市場の改善の為」という無理やりロジックで長期国債買うわ、しかもエライ勢いで買う上に、そのロジック自体市場からは「モーゲージ金利を下げる為」と見られる中で肝心の長期国債金利は上昇するわですから、まー次のFOMCで買入増やさないとマズイでしょと思われる次第。

ところが、FRBは売出手形みたいな手段持ってないので、物価上昇とかがおっぱじまったらどうやってマネーを吸収するのやらと思う次第ですし、そもそも長期債券アホウのように買った分の見合いで短期吸収をジャンジャン実施すると短期市場金利だけ上昇して基本的にショートファンディングになる金融機関涙目の展開になってしまう訳でして、マジメな話どうやるのよっていうのはヒジョーに気になります。

まーこの話はもっと考えてみたいと思います。

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2009/05/22

○連日の市場雑談で誠に申し訳ございませんえんですが

昨日もまたまた超短い所の金利が素敵に低下、つーかもうそんなに数字的にジャンジャン下がる余地は無い(と思う)のですが、それでも昨日もまた1年以内のレートは進んでおりまして、2年利付国債の残存1年どころで0.21%なんぞに低下するわ、3か月TBは0.19%に低下しているわと、誠にビューテホーなカーブの潰れ方。で、CPレートも相変わらずの低位安定っぷりを発揮していまして、まーこりゃ潰さないといけないキャッシュが沢山おいでのようでってのは先日来申し上げております通り。

でまあ金余りという話をしとる訳ですが、んじゃあ何で金余ってるかとか考えつつちょっと思いついたのは2000年問題。このときはコンピュータがどうのこうのだから予備的な流動性需要が高まるでしょという事になって、国内もそうですけれども世界的に流動性供給をジャンジャン実施。で、予備的につみ上がった流動性が何となく流動性相場を作ってイットバブルがどうしたこうしたとか(あの時は小渕政権の財政政策もありましたっけ)ございましたが、肝心の2000年問題の方はまあそういう時にありがちな話ですが、事前に大騒ぎして準備した結果特に大きな問題も起きず・・・みたいなイイカゲンな理解をしておりますけれども、そんな感じでしたっけ??

勿論今回は全然背景も状況も違うのですけれども、日本の国内市場が金余りって状態を見ておりますと、んじゃあ何で金余りとか言ってるかという流れになったかと言えば、リーマン破綻以来の金融市場混乱の影響によって、「利下げしてるのにTIBOR上昇」に見られるように、金融機関および企業の予備的資金需要が急速に高まったことと、企業の売上急減に伴う資金需要の高まりがぶつかって世の中に資金需要がどどーんと高まったという状況が昨年の10月以降(特に11月から12月)これ有りと言ったところでして、各種安定化策(日本も海外も)による予備的資金需要の低下および企業の売上サイクル一巡による所要運転資金の充足による資金需要の後退がぶつかって、それまでに積みあがった資金が一気に余って来ましたでござるの巻となったという現象なのかなあとか勝手に理解してみるのです。

#かなりエエカゲンな理解なので本当は違うだろというツッコミはある(^^)

ということで、何となく流動性相場っていうのもこれから更にやるのかねとか思ったりもするのですけれども、それではその流動性を今引く時期かといえばど〜見たってこの時期に流動性引くとかわざわざ景気を突き落としに行くようなもんでしょって話になるので、話はヤヤコシヤなんでしょうなあと思うのでした。結局また結論無しの雑感かよというツッコミは勘弁。


ところで、全然話は違うのですが、最近債券市場が後場になるとミョーに動く事が多々あるような気がすんですよ。しかも急に超長期ゾーンが暴れるとか先物が暴れるとかで、その暴れ方も今一歩わけの判らん動きでして、普通に場況を見ながら入っている感じじゃなくて、「何でこのタイミングでこういう動き方するかな」って印象。で、こーゆーイミフな動きを後場にするという場合に一番説明付けやすいのは毎度お馴染みの「海外筋」という奴でして(^^)、まー何でもかんでも訳判らんとガイジン扱いというのもあんまり良くないのですけど、もしそんなガイジンさんたちが復帰してまた訳判らん動きで市場に金を落として頂けるのであれば誠に慶賀の極みでございますので、ちょっとだけ動向留意してたりするのであります。


○英国ソブリン格下げ方向アクションキタコレ

http://mainichi.jp/select/world/news/20090522k0000m020149000c.html

英国債:格下げも 公的債務の急増で S&P
【ロンドン藤好陽太郎】米格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は21日、英国債の長期信用格付けの中期的な見通しについて、「安定的」から格下げの可能性がある「ネガティブ」に引き下げた。
(上記の毎日jp記事より、以下割愛)

・・・・・このニュースを最初に聞いた(見た)市場の中の人たちで「米国をいきなりネガティブだの格下げだのにすると大変なので最初に英国で試しにやってみたんでしょ」と思ったのは100人中(ry

で、ポンドが昨日は素敵に暴落しておりましたが、一晩経ってみると米国でも格下げ懸念がどうしたこうしたで債券が売られてドルも売られるという大変に華麗な展開になっておりますが、Moody'sが日本の自国通貨建て格付けを引き上げた直後にS&Pがこのアクションというところが実に楽しそうな展開でありまして、S&Pが他のソブリンにどういうアクションをしてくるのかは生暖かく見守りとう存じます。

あたしゃイマイチ良く判ってないので英国の話はスルーしますけれども、米国に関して言えば、格下げ懸念の上に最近では早速インフレ懸念とか言い出している始末(インフレじゃなくてスタグフレーションだろと思いますけれども)でありまして、確かにクレジットスプレッドや流動性リスクプレミアムの剥落によって民間クレジット市場は改善しているという話になるのは判りますけれども、財務省証券の買い入れプログラムの政策的な位置付けとか効果とかが益々ロジック複雑骨折状態になってきてませんかねえと思うのであります。

何せ「長期国債買入で民間クレジット市場の改善を図る」がお題目になっているのですが、実際に買入実施する前から比較して長期金利は低下どころか上昇している訳ですからねえ。いやまあ「このプログラムがあったから長期金利の上昇がこんなもんで済んだ」という理屈を捏ねるのは可能ですけれども、かつて「長期国債買入で長期金利に働き掛ける政策」って話をしておられたどこぞの顔が逆さ絵状態のオッサンとしてはどうなんですかねえってまた悪態を。いやまあそんな事言わんとなんか手を打ってみるって状態なので悪態言われてもってことなんでしょうけれどもね。



○FOMC議事要旨(ただしただの引用)

昨日に引き続いてもうちょっとだけ斜め読みしてみた。

・Staff Review of the Financial Situationのところから

この部分の説明、中々いい感じで纏まってて良いですね。本当はもうちょっと長くて、前回(3月)FOMCの後の相場状況の話もあるのですが、市場の流動性がどうなったという話をしている部分が良かったのでベタ引用。

『Conditions in short-term funding markets improved somewhat over the intermeeting period. In unsecured bank funding markets, spreads of dollar London interbank offered rates (Libor) over comparable-maturity overnight index swap (OIS) rates edged down, although Libor fixings beyond the one-month maturity stayed elevated. Spreads on A2/P2-rated commercial paper and AA-rated asset backed commercial paper narrowed a bit, on net, staying at the low end of their respective ranges over the past year.』

『Functioning in the repurchase agreement (repo) market showed additional improvement, as bid-asked spreads and "haircuts" on most collateral either narrowed or held steady, although repo volumes were still low. Consistent with modestly better conditions in the term repo market, all seven auctions under the Term Securities Lending Facility were undersubscribed over the intermeeting period, including two auctions that garnered no bids.』

『Trading conditions in the secondary market for nominal Treasury securities also showed some signs of improvement. Premiums paid for on-the-run Treasury securities fell, and average bid asked spreads for Treasury notes were relatively stable near their pre-crisis levels. Still, daily trading volumes for Treasury securities remained low.』

ask-bidスプレッドの状況とか、レポ市場のヘアカット状況とかもフォローしているのが中々。まあこういうところが延々と出てくるというのは、逆に言えば金融市場の価格自体は回復しても、肝心の市場流動性の回復に関してはまだまだ途上だという認識を持ちつつ対処してるって話なんでしょう。一応上に引用した所では回復の傾向にあるという結論にはなっておりますが、為念。

民間信用市場という点ではこんな指摘も。

『The debt of the domestic private nonfinancial sector appeared to have contracted in the first quarter at about the same pace as in the fourth quarter of 2008. Activity in the mortgage market reflected mainly refinancing, and staff estimates indicated that residential mortgage debt contracted again in the first quarter, depressed by the very low pace of home sales, falling house prices, and write-downs of nonperforming loans.』

モーゲージも相場水準としての数値は改善しているけれども中身はまだまだという話ですな。

『Consumer credit was essentially flat in January and February. Expansion of nonfinancial business debt was tepid, as robust bond issuance was partly offset by declines in commercial paper and bank loans. Federal debt rose briskly in the first quarter.』

全部引用してると長くなりすぎなので一部だけ引用しましたが、まあこの辺も読んでて面白いですのでお暇な方にはお勧め。


・Participants' Views and Committee Policy Actionのところから

これまた本当は全部読むのが吉なのでしょうけれども、同じく金融環境の所をベタ引用。

『Financial market developments over the intermeeting period were mainly seen as positive.』

ほほー。

『Equity prices increased, money markets were functioning better, and corporate issuance of bonds and convertible securities was relatively brisk. Measures of volatility and financial stress moved down and risk spreads narrowed in many markets, perhaps partly because of investors' perceptions of diminished downside tail risks. Even so, risk spreads remained unusually wide and markets continued to be fragile.』

でも改善は途上も途上と。

『Despite the improvement in financial markets, credit conditions stayed quite restrictive for many households and businesses. The April Senior Loan Officer Opinion Survey showed that a large net fraction of banks had tightened their terms and standards for credit during the previous three months, albeit a modestly smaller fraction than indicated by the January survey. Moreover, meeting participants noted that the volume of credit extended to households and businesses was still contracting as a result of shrinking demand, declining credit quality, capital constraints on financial institutions, and the limited availability of financing through securitization markets.』

ということで、結構ダメじゃん的な話ですが、こっちのコーナーは割とそういう感じのトーンが多い感じだったかなあって所です。なお、昨日申し上げた長期国債買入プログラムのロジックに関しては他でも特にそれらしき議論が見当たらなかったような気がします(見落としはあるかもですので断言しませんが、汗)。

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2009/05/21

○再び3か月短国0.2%割れ

昨日は3か月もの短期国債の入札が行われました。一昨日には2か月ものの入札ありまして順当に0.20割っておりましたが、昨日も前場引けで一応0.20%の最終気配とかやってましたけれども買いニーズ強いでござるの巻で、応札は華麗に21兆7590億円もあるわ、平均落札は0.1982%と0.20%割れるわと、またまた潰さないといけないキャッシュが沢山いますねえという状況になっとるようで誠にアレでございまする。

入札で0.20%割ったのもさることながら、セカンダリーの販売も好調で、0.195%の引けとかにしてますけれども、多分まともに買おうとすると0.195%で買えるのかどうか怪しげ(持ちになっていない業者だと195出すのか怪しいんじゃネーノ)という有様になっておりまして、入札堅調だわセカンダリー好調だわという大変に美しい展開になっております。

んでもって、3か月TBが0.2%割れるのは4月とかにもまーあったのですけれども、今回中々ビューテホーなのは後ろのレートが潰れていることでありまして、先週入札が行われた6か月TBは引けベースで0.21%とかで1年TBは0.215%とかになっているようでございまして、この辺のレートが低下しているのが特徴的な所でありまする。

つまりですな、以前だとその辺の金利ってもうちょっとありまして、利付国債の残存1年で0.30%割れ位とかで短期国債で0.25%に毛が生えたくらいのレートだったりして、一応イールドカーブみたいなものがあったのですが、ここのカーブが潰れて来たというのは、運用というか潰すべきキャッシュが寄り潤沢になって来たという事と、まあ冷静に考えれば時間軸状態なのですから別にここのカーブをつけている必要もなかろうという発想っちゅう所なのでしょうかね。その動きが2年とかにも波及してるようで、5月に入る頃から妙に2年の金利が上がらない(後ろの金利が上がっているのに)なあとか思っていたら徐々にレート低下してきたでござるの巻ですしね。

んでもってCPレートは相変わらず素敵なレートでして、こちらはまたメーカー系でも短期国債よりレート低いとかの阿片窟市場になっておりますし、その他金融系でも3か月で0.3%割れとかになって来たようで、4月にちょっと上昇して0.4%に乗ったのはナンダッタンダというこれまたスプレッドを潰す(というか潰し過ぎで逆転なのですが)動きという華麗な展開になっておりますわな。

ま、政策効果が現れたとか、売上減による企業の資金需要が販売の資金サイクルが一巡した結果落ちた為に資金需要が落ちてきたとか、諸々の要因が重なっているのでしょうけれども、まー潰す資金がありますわなあっていう流動性相場状態という事なんでしょ、と思いまする。

○FOMC議事要旨(メモ)

4月のFOMC議事要旨
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20090429.htm

内容は時間を見てマジメに読むのですが、金融政策の検討に関する部分というのは最後の票決の前のパラグラフにあるのでとりあえずそこでも。

『In their discussion of monetary policy for the intermeeting period, Committee members agreed that the Federal Reserve's large-scale securities purchases were providing financial stimulus that would contribute to the gradual resumption of sustainable economic growth in a context of price stability.』

ということで、FRBの資産購入プログラムの効果について確認しているのですが、クレジット市場の改善という具体論がここには無くて抽象的な言い方になっていますな。ただし、もうちょっと前の金融市場の状況とかの認識部分もちゃんと読まないといけませんで、ここだけ読んで即断するのは早計。

『Members also agreed that it would be appropriate to continue making purchases in accordance with the amounts that had previously been announced--that is, up to $1.25 trillion of agency MBS and up to $200 billion of agency debt by the end of this year, and up to $300 billion of Treasury securities by autumn.』

『Some members noted that a further increase in the total amount of purchases might well be warranted at some point to spur a more rapid pace of recovery; all members concurred with waiting to see how the economy and financial conditions respond to the policy actions already in train before deciding whether to adjust the size or timing of asset purchases.』

複数の委員からは更なる買い入れ拡大の論議がって所ですか。

『The Committee reaffirmed the need to monitor carefully the size and composition of the Federal Reserve's balance sheet in light of economic and financial developments. The Committee also discussed its strategy for communicating the anticipated path of its asset purchases and the circumstances under which adjustments to that path would be appropriate. All members agreed that the statement should note that the timing and overall amounts of the Committee's asset purchases would continue to be evaluated in light of the evolving economic outlook and conditions in financial markets.』

市場との対話の議論もあるようで、その結果としてこの前の声明文に「経済および金融市場の状況次第では買い入れプログラムの増額も」ってのが出ましたという所なんでしょうか。

正直あたくしも寝起き斜め読みでございまして、とりあえずここのパラグラフだけ引用してみましたでござるの巻というメモで勘弁でありまする。詳しくは後日ご紹介するかも知れないですが、スルーするかも知れません。



○今更国債格付け雑談

えーっと、出遅れましたがムーディーズが日本国債を格上げしたり格下げしたりしてましたな。まあ正直どうでもよいとしか申し上げようがないのですが、格下げした時のロジックを援用するとどう考えてもこの時期に行う格付けアクションは格下げの筈。

よーするに「今まで間違えていましたゴメンナサイ」という事なのでしょうが、そこを間違えといわずに訳のわからん理屈を捏ね繰り回して変な話を展開するのがお勉強のとーっても良くできる人たちのクオリティのようでありますので、今更ねえって感じです。

というか、格上げのニュースを聞いて100人中150人くらいが最初に感じたのと同じように、あたくしも「ああ要するに米国を格下げできないから日本を格上げするんですね」と思いましたですよ、うひゃひゃのひゃ。

・・・・それはそれとして、ちょっと気になったのは同じようなタイミングでMDYが東京都アレンジのCLOをクレジットウォッチにしてたこと(記事自体は出てたのですけどネットでは拾えませんでしたすいません)で、その理由が「CLOの対象ローンがデフォルトになった時には東京都信用保証協会がケツを拭く(そういうローン対象)ので、東京都および日本政策金融公庫(かつての中小企業保険公庫が日本政策金融公庫に統合されてます)の格付け見直しに伴いこちらも格付けを見直す」というロジック。

いやまあそれはそれで判るんですが、要するにおめーらローンプールの分析結果よりも保証先の信用で格付けしとるんかいと思わず突っ込みをPC画面に向かって行っていたとある昼下がりのあたくしなのでありました(^^)。



○「戦後最悪」を宣伝するのは戦前戦中世代に失礼では(ただの与太話ですので^^)

昨日はGDPの発表がありまして、落ち込みの率が第1次石油ショックの時の下げを上回ったということで「戦後最悪」というヘッドラインがニュースでもレポートでも飛び回っております。

・・・・・・えーっと学童疎開経験者の親を持つあたくしと致しましては、「戦後最悪の落ち込み」というのは当然ながら全国各地に空襲を食らった上に朝鮮や台湾などを放棄した昭和20年とかの方が落ち込みでかい(昭和21年だと復興での拡大と領土縮小での落ちのどっちが効くのでしょうか)のではないか!とか思い内閣府のページを見に逝った訳ですよ。

・・・・・あ、国民所得計算って昭和30年以降しかないんですね。

データが無いのであれば比較もへったくれも無いですから仕方ないですわなあと思ったのですが、「戦後最大(最悪)のナンチャラ」というのであれば、復金インフレとか預金封鎖とかドッジラインデフレとか朝鮮戦争特需による成長とかも考慮に入れるべきではないかと存じます次第で(^^)。あーた東証平均株価なんか「スターリン重態で株式重態」とかもフォローしている訳でして、「戦後の株価指数下落率比較」とかやると堂々とその上位にスターリン暴落が出てくるのでありまして、株屋恐るべしということでございます(どこが)。

昭和30年以降しか無い統計で「戦後最悪」とか言われましても、あたくしのようなメタボおじさんとしてはまだ小さい頃にはそこらに普通に戦前戦中のオトナがいたもんで、一瞬「????」と思ってしまうのは頭の仕様がちょっとずれていますかそうですか(汗)。

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2009/05/14

お題「ドル安雑感/潤沢供給で短国市場安定(か?)/次世代RTGSとか」

などと並べましたが全部雑感シリーズでどうもすいません。

○ドルは信用ならんが米国債は買えるという謎理論

最初はBBCじゃなくてブルームバーグのヘッドラインで見たのれすが。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/8046599.stm

お題とヘッドラインがこんなんでして・・・・

Japan 'would avoid dollar bonds'

Japan's opposition party says it would refuse to buy American government bonds denominated in US dollars, if elected.

・・・いやはやというニュースでございますけれども、この民主党中川正春氏による「ドルはダメだが米国債はおっけー」という理屈は正直よー判らん。しかしさすがにこの書かれっぷりではちとマズイと思ったのかどうか知りませんけれども、中川さんは13日のブルームバーグでのインタビューでは若干火消し気味。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aNXfWoVcSzeI

そりゃ個人的提案じゃなかったら(=民主党の正式な政策だったら)エライコッチャでございますので当たり前ですがなという感じですが、政権取る気があるんでしたら、財務大臣を予定されているような人の発言にはそれなりに意味があると見做される訳でして、日本国内相手だったら少々やんちゃな発言しても「また民主党の書生論か」でスルーされるかもしれないけど、国際的にはもうちょっとお考えになられた方がよろしいかと。まさしく「猿にマシンガン」状態ですなあ。

でね、ブルームバーグの方にあるのですが、中川さんドルについて「中長期的に見て価値が今以上に上がっていくということは考えられない」というコメントもしてるのですけど、基本的に「その国の通貨が買えない」って言い出すのならその国の政府の相対的な信用度合いも良くないって話になるんですから、政府の債権である国債も買えないって理屈になると思うのですが、「ドルは買えないが米国債は円建てなら買える」ちゅーのは何だかなと。いやこれがGEみたいな企業で「ドル建て社債だと買えないけど円建て社債なら買える」っていう話なら大いにアリなんですが・・・・・

というかね、それ以前の問題として、日本が持ってる米国債って一応名目は外貨準備なんで、円建てで外貨準備保有ってその時点で自己矛盾にも程があるのですけれども、民主党様におかれましては外貨準備に関して何か物凄く変な理解をしておられませんでしょうかと。


で、この発言に対する市場の反応ですが、正直よー判らんけどドル安の流れが続く中での報道だったからサポートにはなったのかもしれないしスルーだったのかもしれない。ただ、米国債があまり動かなかったですけど債券先物が何故か先物だけ妙に叩かれていた時間とブルームバーグで本件が話題になったタイミングが重なるので、誰か反応したのかもしれませんね(^^)。ただの偶然かもしれないけど。

それはそれとして昨日はこんなニュースもあって、そっちの方が朝はネタになっていたと思います。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090513-00000729-reu-bus_all
米国の「トリプルA」格付けにリスク─元米会計検査院長=FT

『[東京 12日 ロイター] 米会計検査院(GAO)院長を務め、現在はピーター・G・ピーターソン財団の最高経営責任者(CEO)であるデビッド・ウォーカー氏は、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙に寄稿し、米国の「トリプルA」格付けがリスクにさらされていると指摘した。』

よく見ると12日のニュースみたいですけど(汗)、これ最初にヘッドラインだか報道だかを見たか聞いた時にあたしゃー「FTは米国債の格下げを心配する前に自分の国の心配をすべきである」と思ったのですが、米国人が寄稿した話なのね(^^)。まー米国債を格下げしたらついでに世界中のソブリンをフルスライドで格下げしそうな気がしますが、って予想する判断根拠は(自主規制^^)。


まーしかし何ですな、結局の所よーするに「米国がストレステストで金融安定化進展とか言ってるけどあの茶番ストレステストで大丈夫かよ」ってえのが根底にあるような気が思いっきりするのですけれども、それこそモーサテコメントとか聞いていると、その点に関しては見事に回避したコメントが米国市場方面から聞こえて来るように思える次第でございまして、何か日本の不良債権処理が毎年毎年「不良債権処理は峠を越えた」って言ってるのに翌年もまた峠が続くという奥羽山脈状態(以下自粛)。

あんまり書いてると洒落にならない気がしてきたのでまーこんな感じで(^^)。


○短国は(今のところ)増発に負けない子

昨日は3か月TBの入札が実施されました。何か前日にちょっと売りが出てたらしいのも効いて入札の前場引けに向けて0.215/0.22の気配から0.22を叩いてオファーにして入札を迎えたのですが、足きりレートは0.22%に丁度乗った程度の水準で平均は0.219%台となっておりましたです。

でもまあ連休前に0.20割れだのやったり、一昨日の6か月が0.23%水準で投資家にスパッと嵌ったっぽい雰囲気(3.5兆の入札に対して2兆が不明札)だのということを勘案すると0.22%なんてお買い得感が出てしまうというおそロシアな状態になっているようでセカンダリーで売れ売れとなって引けは0.205%でござるの巻。ええもう需給良好にも程がありますわな。

ここもとの短期国債は大変に需給良好って感じで増発も平気で吸収しているのですが、まー背景としていくつか考えられまして、長いところの金利が中々下がらないという相場動向に見えますように、長いところへの買いを抑制気味にしてその分キャッシュを短期で潰しに来ているとか、展望レポートを読めば実質時間軸みたいな状態なのですから、足元からスプレッドを潰しに行く動きがあるのではないかとか、企業特別オペなどの影響で相変わらずCPレートがアホのように低い(3か月の長期AA格メーカーさんで軒並み短期国債利回りを切る素敵な阿片窟状態継続)とかありますが・・・・・

まー資金供給が潤沢に推移していて、足元のGCレートが0.1%台前半で超安定推移していることはでかいかなと思われる次第。別に短国買入を増やさなくても、債券ディーラーのファンディングコストのボラティリティが下がってレートが低位安定すれば、短期国債ゾーンも安心して持ちやすくなるので短国市場も安定するって事なんでしょ。冷静に考えれば12月の決定会合で誘導目標=超過準備付利金利になった時点でこういう市場になる流れだった筈なのですが、まー本来の姿(?)になったんじゃないですかね。



○次世代RTGS(メモだけ)

上記ネタ書いてたら時間がなくなったのでメモだけ。明日に続くかどうかは判らん。

次世代RTGS第1期対応実施後の決済動向
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev09j04.htm
本文はこちら
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev09j04.pdf

日銀レビューの本文6ページの所にまとめがございますので引用。

『まず、安全性の指標として平均決済時刻をみると、第1 期対応実施前では12 時過ぎとなっていたが、同実施後においては、従来14 時半に時点ネット決済により処理されていた外為円決済取引のRTGS 化を主因に11 時過ぎにまで約1 時間の前倒しが実現しており、決済の安全性向上が図られたことを示している。』

『次に、効率性の指標として決済のための流動性をみると、第1 期対応実施前における流動性(各利用先の仕向超過額の日中ピーク額の全先合計額として試算)は約14 兆円であった一方、同実施後における流動性(各利用先が同時決済口に資金振替を行った金額のピーク額として試算)は約12兆円となっている。流動性の計算方法が第1 期対応実施前後で異なるため、単純な比較は難しい面はあるが、上記の試算によれば、2 兆円程度の流動性の節約効果が得られているとみること
ができる。』

ほっほー。導入が物凄いタイミングに当たって(去年の10月14日ね)えーって感じでしたけど、まあ順調なようで何より。債券屋さん的には国債決済のモノの部分が特に変更無い(と思いましたが間違ってたら誰か教えて直すから)筈ですので、やはりこの際国債の時点決済復活とは言いませんが(^^)、ハイブリッドみたいなのを導入してループ取引上等みたいにしてくれると嬉しいなと思うのでありました。

#次世代RTGSの話じゃなくてただのポジショントークに見えるのは仕様です(笑)

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2009/05/13

○市場雑感というか米国雑感(雑談というか単なる悪態ですが)

ここもとドル安が進行。

いやね、あたくし的に申し上げますと、あの予定調和丸出しのストレステスト結果を受けてドルから資金逃避してるんじゃないかとゆーとーってもいやーな予感がするんですが、「リスク回避で買われていたドル買いの流れが反転ですよあっはっは」とかポジティブ思考になるモーサテの解説(それが雨公様の見解なんでしょ)が極東のひねくれ者のあたくしから致しますとさっぱりイミフでありまする。別のコメント氏は米国長期金利上昇を「インフレ懸念」で片付けてますが、これまたあたくしと致しましては、国債大量発行に市場が耐えられないとか、逆算のストレステストによって米国政策当局への信認低下で長期債を忌避するとか、そーゆーのを考えたくなるのですけれども・・・・・

#ええすいませんねえネガティブ思考で(-_-メ)

それから10年財務省証券利回り3%台定着といえば、また毎度の悪態になりますけど、確かかつてバーナンキ大先生は「長期国債の買入による価格支持政策」というのを提唱して、日銀が長期金利コントロールに否定的なことに対して批判して、しかもご丁寧にも「歴史的に見て中央銀行が断固とした決意で実施すれば長期金利の利回り支持政策は有効に機能する」っつーような話をしておられたと記憶しておりますけれども、市場規模の拡大およびグローバル化(特に米国なんて海外の金入りまくり)の中で本当にそれって出来るのかよって感じはする次第。

そりゃまあ歴史的に言えば日本だって戦後の国債発行復活当初は日銀による超強力な価格支持(というかそもそも国債の流通市場が無かった筈、昔の長期金利指標は10年物加入者利付電電債の流通利回りというのは債券市場豆知識の一つですにゃ)政策を実施していたりしてましたけどね〜(^^)。

というような話はもうちょっと練らないとちゃんとした話が出来ませんので月初進行を成敗したらまた考えてみるとしませう。

#それから西村副総裁の講演があったのですが、英文読んでる暇が微妙に無かったので今日はスルーです→http://www.boj.or.jp/en/type/press/koen07/ko0905a.pdf

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2009/05/12

○たまにはBOEの説明をちょっと見てみましょう

FRBは一連の金融政策に関して色々と理屈こねてますが、基本的には「連銀が市場機能の代替を行って各種リスクプレミアムを縮小させる」というモロに市場介入な動きを行っているのは皆様ご案内の通り。

一方でBOEは量的緩和とは何ぞやというページを用意して、
http://www.bankofengland.co.uk/monetarypolicy/assetpurchases.htm
その中で資産購入はどう機能するのかってお題の中で市中にマネーを供給するんですよって話を例を出して説明してるというのもこの前ご紹介したと思いますが、まーご案内の通りちゅうことで。

で、先週のBOEの決定はこちら。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2009/037.htm
Bank of England Maintains Bank Rate at 0.5% and Increases Size of Asset Purchase Programme by £50 Billion to £125 Billion

ということで、資産購入プログラムを更に増額と相成ったのですけれども、冒頭の所では経済の現状に関してやためったら暗い話をしております。

『The world economy remains in deep recession. Output has continued to contract and international trade has fallen precipitously. The global banking and financial system remains fragile despite further significant intervention by the authorities.』

世界経済は深いリセッションだわ国際金融システム脆弱だわということですかそうですか。

『In the United Kingdom, GDP fell sharply in the first quarter of 2009. But surveys at home and abroad show promising signs that the pace of decline has begun to moderate.』

個人関連の経済指標にちょっと下げ止まりの兆しとな。で、物価の話。

『CPI inflation was 2.9% in March, significantly higher than the 2% inflation target.』

インフレーションターゲットの数値を華麗に上振れてるのですよね。つまりどう見てもスタグフレーションです本当にありがとうございましたという話なのですが(-_-メ)。

『Past falls in sterling have continued to put upwards pressure on inflation. But the degree of spare capacity in the economy has increased and the loosening in the labour market has contributed to a sharp easing in pay pressures. CPI inflation is likely to drop below the 2% target later this year, driven in part by diminishing contributions from food and energy prices. The substantial margin of spare capacity in the economy should continue to bear down on inflation thereafter.』

ポンドの下落によってインフレ圧力が掛かっているが、生産が過剰になっていることによる労働市場の緩和圧力と、食品やエネルギー価格の下落によってCPIは今年の終わりごろには2%に低下するでしょうとな。

んでまあ英国景気見通しに関してですが。

『The Committee noted that the outlook for economic activity was dominated by two countervailing forces.』

ほうほう。

『The process of adjustment in train in the UK economy, as private saving rises and banks restructure their balance sheets, combined with weak global demand, will continue to act as a significant drag on economic activity.』

家計の貯蓄上昇傾向と銀行のバランスシート調整と世界的な需要の弱さが経済活動の足を引っ張ると仰せです。

『But pushing in the opposite direction, there is considerable economic stimulus stemming from the easing in monetary and fiscal policy, at home and abroad, the substantial depreciation in sterling, past falls in commodity prices, and actions by authorities internationally to improve the availability of credit. That stimulus should in due course lead to a recovery in economic growth, bringing inflation back towards the 2% target.』

金融緩和の効果がどうのこうのと言っておりますが、金融緩和の効果が出て経済活動が回復基調に向かうのと、現在2.9%あるインフレ数値が2%に戻ることが両立するというロジックが良く判らなかったです><;

『But the timing and strength of that recovery is highly uncertain.』

しかし最後はこういう結論で、まあいつかは戻るでしょうがどのように回復するのかよーわかりませんなあという話。

『In the light of that outlook and in order to keep CPI inflation on track to meet the 2% inflation target over the medium term, the Committee judged that maintaining Bank Rate at 0.5% was appropriate.』

『The Committee also agreed to continue with its programme of purchases of government and corporate debt financed by the issuance of central bank reserves and to increase its size by £50 billion to a total of £125 billion.』

『The Committee expected that it would take another three months to complete that programme, and it will keep the scale of the programme under review.』

ということで、資産購入プログラム増額と金利据え置きを決定という話です。まあインフレーションターゲットがあるのでこういう説明せにゃならんのですが、緩和効果で景気は好転して物価は下落ってナンジャソリャという気はする次第で(^^)、いやまあご苦労なこったという所です。


○日銀の剰余金組み入れ増額

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/zai0905a.htm
第124回事業年度(平成20年度)決算における剰余金の積立てについて

『日本銀行は、第124回事業年度(平成20年度)決算において、財務の健全性確保の観点から、当期剰余金の5%相当額を超える15%相当額を法定準備金として積み立てる方針を決定し、本日、財務大臣に対して日本銀行法第53条第2項に基づく認可申請を行いましたので、お知らせします。』

今朝この話題を報道した公共放送様のニュースによりますと、日銀の自己資本比率が7.47%まで低下する見込みで、メドとしている8%から12%を割り込むんだそうで。

米国ではFRBの各種資産購入プログラムに関する損失負担に関して連邦政府がケツを持つスキームがあったりするような中で、日本の場合は日銀は日銀、政府は政府って格好になっているのでせめて剰余金組み入れでもってお話なのかなあとは思ったのですけれども、まーいずれにしてもど〜せまた「日銀は自分の財務健全性だけ云々」という釣り針になるんだろうなあと思うのでありました。

別に通貨の信認がどうのこうのという話題になりもしない現状において日銀が自分の財務健全性のアピールをせっせとするのも何と言うかやり過ぎ感はとーってもあるのですけれども、財政当局による一定のサポート措置を付けながら各種資産を購入している米国様と比較して考えたら剰余金組み入れ増やす事に関してそうボコボコ叩く(人が多分出る事を前提に^^)のもどうかなって思う(その行為がそんなにケシカランならFRBだってケシカランって理屈になるでしょということ)のですがね。


○とりあえず短期国債は増発吸収ですか

これまた先週ネタなんですけど。

金曜日に3か月ものTBの入札が行われましたです。で、今回から1回の発行額が5.7兆円になりました次第で、前回から3000億円の増発ですが、償還される3か月ものが5.1兆円だったので、折り返し額としては6000億円の増発だったりします。

結果ですが、あっさり味で0.20%台での決着。昨日の引け時点でも0.205%となっていますので、まあ引き続き平均落札近辺での推移が継続しているという感じで、増発は見事に吸収されているでござるの巻。長期ゾーンとか微妙に金利がサガランチ会長ではございますが、短国ゾーンは増発何のそのという華麗な推移となっております。

まー何ですな、ここもとの資金供給オペが比較的安定(連休前に当座預金残高をちょっと崩したらGCレートやオペレートが上昇したのはアレでしたが、その後さっくりと戻しましたんで)しているので、GCレートが0.12%あたりで安定推移(昨日は0.11%とかみたいですな)して、足元のファンディングコストが安定してて変な期間プレミアムみたいなのを意識しないで済むという状況が短期国債の増発に対して良いサポートになっているんでしょという所かと思います。

で、それはそれで良いのですが、金曜に入札された3か月TBって、国庫短期証券「第1回債」の折り返しなんですよね。そりゃまあ3か月ものだからホイホイ償還が来るのはあたり前なのでございますが、「ありゃもう償還なのね」って感じでございます(^^)。

今月は連休によって入札日程が立て込みますので、まー勝負はここからなのですけどね♪

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2009/05/11

○どう見ても茶番です本当にありがとうございました

確か正式発表まで情報管理を厳格に行うとか言ってた筈のストレステスト結果は事前にボロボロ報道された通りだわ、おまけに今回の「ストレステスト」の前提条件ですけど「景気悪化シナリオ」の前提条件が2009年の失業率8.9%という数字だったのですが(金曜の朝はそこまでチェックしてる暇がなかったです)、そりゃ週末の雇用統計で抜けるんじゃねえのかって数値(どこだか忘れましたが9.0%の予想出している向きもあったですし)でしたが、金曜の朝(東京時間の夜)出た雇用統計の数値は失業率8.9%でござるの巻。

・・・・・えーっと、ストレステストっていうのは「ストレス」に対するシミュレーションをするものだと理解しておりましたけれども、飴公様におかれましてはいつの間に「普通の楽観シナリオのシミュレーション」になったのでございましょうかと不思議な思いなのでありますが、週末のNYダウが8500台で引けている(木曜の引けから164ドル高!)所を見ると、「でもそんなの関係ねえ」と海パン一丁で踊る米国市場恐るべしという所ですわな。

いやー官民総出で粉飾して官製相場作りましょってお話でしょうから、まー下手に逆らうよりは市場の片隅で悪態でもつきながらポジションはポジションってえ感じになるんでしょうが(苦笑)、シバキアゲ大会の挙句不良債権処理と称して勤めている/経営している企業をぶっ潰されたり無理矢理業界再編されてしまった結果、人生が変わっちゃった人とか日本には山ほどいる訳でして、そーゆー事を思いますと「官民総出のインチキ粉飾相場で良いんだよ」とは申し上げる気分にはならないですなあと思うのでありまする。

大体ですな、日本の銀行の貸出資産査定だって物凄い時間とマンパワー使っていた訳で、ローンプールの内容とか調べるのにもっと手間掛かりそうなものの査定がそんなに簡単に終わるという時点で茶の香りが素晴らしく漂ってくるのでありますからして、まー今回のストレステストはどう見ても茶番です本当にありがとうございましたっちゅうことですわな。



○日銀の長期国債買入残高

月初のお約束。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/mei/mei0904.htm

4月末現在の残高ですけど、前月との増分が18430億円と大体月の買入と同じくらいになってますにゃという所でして、そのうち残存2年以内が幾ら増えましたかとあたくしがやっつけで手計算しました所、8600億円ちょいという数字になってました。

先月集計した時も増分(3月は償還もあるのでちとややこしいのですが、償還の所は面倒なので無視してます)14624億円の増分に対して7300億円ちょいという事で、まあ目の子で打ち込まれる半分が2年以内という感じになっているんですねというイメージになるんでしょうか。

とは言いましても、ここもとは延々と相場そのものが安定的っちゅーか揉みあいみたいな推移になっているのでこーゆー買入になっているという所もあるかと思いまして、相場のトレンドが違ってきた時には長期債ばかりの打ち込みという時もあるんでしょうかねえ。でもまあ(当分先の話でしょうが)利上げ観測で金利上昇って時は中短期の方が金利上がりやすいので、まー普通に考えると今のペースが続くような気もする。

で、「5年後にいわゆる銀行券ルールに引っ掛かる」といわれる長期国債買入のシミュレーションってどういう前提になっているのかなあとかちょっとだけ興味がありますね。

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2009/05/08

米債3.33%(東京朝6時になる前、6時過ぎてもレート上昇中みたいですが)とはありゃりゃのりゃという楽しい展開になっております。

#ストレステストの結果って金融安定化資金の残額から逆算しt(自粛^^)。

○ということで米国長期金利上昇雑談

今週は都合700億ドルちょっとの入札があるようなんですが、まあ案の定需給懸念で今朝は素敵に米国10年国債利回り3.33%に上昇。しかも長期国債買入プログラムは既に850億ドル程消化しておりまして、この前ぶち上げた3000億ドルの4分の1を使ってこの有様というのが実にお洒落な展開となっております。

まー毎度毎度申し上げてますので皆様におかれましてはまたかと言われそうですけれども、FRB様におかれましては長期国債購入に関して3月18日のFOMCミーティングの声明文でこのように仰せでございますわな。

『Moreover, to help improve conditions in private credit markets, the Committee decided to purchase up to $300 billion of longer-term Treasury securities over the next six months.』

この時の10年国債金利は3.1%くらいだったのですが、買うと言って2.5%近辺まで低下して米国10年国債金利はその後1か月半掛けて3.3%まで上昇という華麗な展開になっておりまして、長期国債購入は何の意図を持って実施してるのですか(本当に金利介入する気があるなら連日物凄い勢いで購入した挙句に臨時会合でも実施しないと^^)という話ですわな。まーロジックもクソも無いということなのでしょうが、そーゆー事をやっていると将来的にFRBがやろうとする政策の意図がちゃんと伝わらずって話になるんじゃネーノとは思いますけど。

などといつもの悪態をついておりましたら、本石町日記さん(いつも人のふんどしで誠に恐縮です)「B/S膨張の副作用に反論する米連銀ブログについての考察」というエントリーを→http://hongokucho.exblog.jp/10900394/

・・・・なるほど。FRBのバランスシートポリシーは流動性需要対策ですというロジックを持ち出してるようでして、まーこれは連銀の中の人であっても公式見解ではありませんという話ですからそーっすかという感じでもありますけど、それこそリッチモンド連銀のラッカー総裁が聞いたら文句言いそうな(2月のFOMCでラッカー総裁は長期国債買入をマネタリーベース拡大を目的として実施すべしという議案を提出しました)ロジックでありますが、まーここにも見られるようにロジックもクソもないという素敵な展開はどうなのよという所でございましょうな。

いやまあ結果オーライならロジックもクソも無いのですけれども、無理筋ロジックでゴリゴリやって行った場合っていうのは、結果が思わしくない(失敗じゃない場合であっても)時にロジックが迷走して話がややこしくなりますってのはイラク戦争の後処理のグダグダ振りなんぞが反面教師としての事案(って経済の例じゃなくてどうもすいませんが)の例でしょうかね。

ま、飴公様におかれましては、訳わからなくなると無理矢理ロジックでゴリゴリ突っ込んでいくのが得意みたいですのでシャーナイナイなのかも知れませんが・・・・


○さてECB

さっき見たときに新着情報にあったのはこのあたり。

http://www.ecb.int/press/pr/date/2009/html/pr090507.en.html

『At today’s meeting the Governing Council of the ECB took the following monetary policy decisions:

1.The interest rate on the main refinancing operations of the Eurosystem will be decreased by 25 basis points to 1.00%, starting from the operation to be settled on 13 May 2009.

2.The interest rate on the marginal lending facility will be decreased by 50 basis points to 1.75%, with effect from 13 May 2009.

3.The interest rate on the deposit facility will remain unchanged at 0.25%.

The President of the ECB will comment on the considerations underlying these decisions at a press conference starting at 2.30 p.m. CET today.』

えーっと、政策金利(オペ金利)を25bp下げて、貸出ファシリティの金利を50bp下げて、預金ファシリティの金利は0.25%のまま変更無しということで、コリドアが50bp詰まりましたということですが、ベースレート低いんですからコリドアが詰まるのはまー当然ちゃあ当然ですわな。

http://www.ecb.int/press/pr/date/2009/html/pr090507_2.en.html

『The Governing Council of the European Central Bank has today decided to conduct liquidity-providing longer-term refinancing operations (LTROs) with a maturity of one year.

The operations will be conducted as fixed rate tender procedures with full allotment, and the rate in the first of these operations will be the rate in the main refinancing operations at that time. In subsequent longer-term refinancing operations with full allotment, the fixed rate may include a spread in addition to the rate in the main refinancing operations, depending on the circumstances at the time.』

最初の1年オペ(6月23日に実施予定)は金利1.00%の指値で実行して、その後はスプレッドが乗るとか書いてあるように見えるのだがよー判らん(あほです)。まーしかし1年物のオペを実施するとは(とりあえず3発しかやらないけど)これはターム物金利引き下げの話・・・なのかな???

この声明文の後半では現在の各種オペを2010年末!まで延長という豪気な延長の話も出ています。


http://www.ecb.int/press/pr/date/2009/html/pr090507_1.en.html

EIB(European Investment Bank)をオペ対象にしたという話みたいです。


http://www.ecb.int/press/pressconf/2009/html/is090507.en.html

トリシェおじさんの会見。利下げをした話と共に新たなオペ導入の予告を。

『The Governing Council has decided in principle that the Eurosystem will purchase euro-denominated covered bonds issued in the euro area. The detailed modalities will be announced after the Governing Council meeting of 4 June 2009』

次回会合で詳細を決めるとかどこの日本銀行だよという感じですが(^^)、決定内容に関してはこのような効果を意図しているようで。

『These decisions have been taken to promote the ongoing decline in money market term rates, to encourage banks to maintain and expand their lending to clients, to help to improve market liquidity in important segments of the private debt security market, and to ease funding conditions for banks and enterprises.』

ターム物金利下げるのは利下げと1年オペおよび各種オペ延長措置の合わせ技、貸出の増加は新しいオペの実施の効果という所なんでしょうか。本当は会見の中身ってとっても長いのですが、朝起きて斜め読みなので最初の所だけで勘弁。

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2009/04/30

米国10年国債3.1%ってそれで良いのかバーナンキ。それから豚インフル絶賛拡大中なのに米国株式市場気にせず上昇とはさすが能天気というか強欲というか・・・・・


○豚の影響ででブタ積み拡大ということで(・θ・)

とりあえず豚インフルエンザってネーミング、「メキシコ風邪」とかにならないのでしょうかねえ・・・・・豚インフルエンザの感染拡大で今朝の警戒レベル引き上げはまあ来ましたなという感じ。まーあちこちで感染者確認ですから致し方無しでしょう。

火曜日の相場を思い出しますと、疫病の経済活動に与える悪影響懸念で何となく株安債券高だった所に、ストレステストに関するWSJの報道(シティとバンカメが資本不足云々の話ね)で債券市場は見事に踏み踏み状態になってしまいました。先物だけじゃなくて現物も強くなりましていやはや参りましたという所で。

まーしかし普通に考えてこれは貿易とか人の動きに対する阻害要因にも程がある状態になる訳ですし、スペイン風邪の事例によりますと若い衆が発病しやすい(ウィルスは1年くらいのスパンで見たら殆どの人が感染するでしょうが、有効なワクチンが大量生産されるまでに発病しないようにという事らしいですね、よー知らんが)そうですから、まともに大流行となったら益々経済活動によろしくないでしょと思う訳でして、本日金融政策決定会合もございますことですし、やはりここは豚インフルエンザ拡大への経済活動への懸念ということで長期国債買入拡大というのはどうでしょう(^^)。ちなみに今日の決定会合はあまりそういう類の織込みはしてないと思いますので念の為付け加えておきます。展望レポートがとてもゲロゲロになるというのは既に織込みですし。


で、その当座預金残高ですけど、今週月曜に当座預金残高を13兆円台に落としてGCレートは跳ねましたが、月曜にトムスタートの共通担保オペを8000億円2本立てで打ち込みまして当座預金残高を14兆円台に戻しまして、火曜日もトムスタートの共通担保オペを8000億円打って当座預金残高14兆円を維持の見込みとなりまして、債券のレギュラー受渡が7日になって7日スタートのGCはというと普通にレート低下の巻で落ち着いて良かったですねという感じです。

ということで、当座預金残高13兆円台に削減→GCレートやオペレート上昇→当座預金残高を14兆円台に戻すオペ実施という一連の動きによって、ここへ来て1月や2月の積み期間(3月積み期間は期末対策でさすがに積みが多くなってました)と比較して当座預金残高を多めに積んでいる状況が継続してるというのが確認できたのかな?という所でしょうか。ただまあ今月(3月積み期間)は積み最終に向けて当座預金残高をじゃんじゃん削減し、積み最終週はGCレートちゃっかり上昇してましたので、さて今回はどうするのでしょうかという感じではございます。


ついでに相場雑談をしますと、火曜日は何かよー知らんのですがCPレートが微妙に低下してたりというのがこれまた謎だったりします。またディーラ買いが入ったんでしょとは思うのですけれども、企業業績発表もなんのそのというその力強さにはちょっとおじちゃん「???」でございます。オペ効果おそロシアとしか申し上げようがございませんが、短期の運用難を見越した動きなのか、オペやら政策投資銀行の買入へにぶつける狙いの買いなのかは良くわかりませんけどちょっとこのタイミングでの動きはワケワカメであります。

あと、地味に補完供給の発動条件緩和が継続されてましたですな。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0904c.pdf



○そういえばこんなページができてました

先週木曜の夜かなんかに出てたのですけど・・・・・

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/un0904c.htm
「今次金融危機局面において日本銀行が講じてきた政策」ページの新設等について

『本日、本ホームページに、昨年秋以降の金融危機局面において日本銀行が講じてきた政策をまとめた「今次金融危機局面において日本銀行が講じてきた政策」ページを新設しましたので、お知らせします。』

『また、オペレーション等の各金融政策手段について整理したコンテンツも同時に開設しました。』

ということで、その政策のページがこちら。
http://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku_cfc/index.htm

今般の金融緩和政策の3つの柱に沿って政策の説明をしておりますが、その後半は図表の集合体になっておりまして、はてさてこりゃ何のグラフかと申しますと、日銀のバランスシート拡大の状況とかのグラフになっているのが中々チャーミングでございます。FRBのバランスシート政策というのを意識して日銀もアピールって所でしょうか。


○ところでFOMC声明文の超斜め読み

斜め読みなので多分抜けがありますのはご容赦ありたし。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090429a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090318a.htm(前回)

・第1パラグラフ

まずは冒頭。

『Information received since the Federal Open Market Committee met in March indicates that the economy has continued to contract, though the pace of contraction appears to be somewhat slower. 』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in January indicates that the economy continues to contract. 』(前回)

・・・・・底打ちということで米国債券市場が下落したということですね、わかります。で、その底打ちですけど、経済活動に関しては『Household spending has shown signs of stabilizing』と言ってますわな。

『Although the economic outlook has improved modestly since the March meeting, partly reflecting some easing of financial market conditions, economic activity is likely to remain weak for a time. 』(今回)

ということで、金融市場の状況が一部緩和されている事を反映してちょっとだけ経済見通しも改善ということで、今般散々打ち込んだ政策の効果が出てきてますよというお話になるんでしょ。


・第2パラグラフ

で、物価上昇率が望ましい水準を下回るリスクに関しても引き続き言及。

『In light of increasing economic slack here and abroad, the Committee expects that inflation will remain subdued. Moreover, the Committee sees some risk that inflation could persist for a time below rates that best foster economic growth and price stability in the longer term.』(今回ですが前回と同文)


・第3パラグラフ

金利は当然据え置きで、例のインチキ時間軸もどきの表現も前回と同じ。

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and anticipates that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period.』(今回ですが前回と同文)

でもって、その他政策に関しては追加措置はございませんでして、従来の政策を説明。

『As previously announced, to provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets, the Federal Reserve will purchase a total of up to $1.25 trillion of agency mortgage-backed securities and up to $200 billion of agency debt by the end of the year. In addition, the Federal Reserve will buy up to $300 billion of Treasury securities by autumn. 』(今回)

しかしですな、相変わらず「buy up to $300 billion of Treasury securities」が「provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets」になっているのですが、米国10年国債の金利は前回FOMCアナウンスやったときの水準に戻っちゃいましたよって所でして、はてさてこれどうするのでしょうかねえとニヤニヤしながら無理筋ロジック(まあFOMC的にはロジックもへったくれもあるもんかいなという火事場モードなんでしょうけど)の行方を眺めたく存じます。

一応今回は「今後額を増やすかもしれませんし、買入商品構成を改善するかもしれませんよ」というアナウンスを打ち込んだのですが、株式上昇とか金融不安解消ネタとかの方に反応して米国長期国債利回りが上昇しているのがチャーミング。

『The Federal Reserve is facilitating the extension of credit to households and businesses and supporting the functioning of financial markets through a range of liquidity programs. The Committee will continue to carefully monitor the size and composition of the Federal Reserve's balance sheet in light of financial and economic developments.』

んでまあ今回は全員一致での決定でありました。

#超斜め読みで恐縮至極



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2009/04/28

○国債増発雑談

ブルームバーグのヘッドラインを読みますと、今回の国債増発に伴う1回あたりの入札増額は以下の通りみたいですね(ソースは昨日のブルームバーグニュース9時01分のヘッドラインです)。

1年短国:4000億円
2年債:4000億円
5年債:3000億円
10年債:2000億円
20年債:2000億円
30年債:1000億円
40年債:1000億円
流動性供給入札:1回3000億円に(従来1500億円)
物価連動と15年変動は今年度3000億円ずつの発行

ということで、どちらかというとPD懇寄りの結論になった次第で、ちょっとこれまた意外感があったのですけど、今後予想される税収不足などに伴う国債発行増加に対して温存しているのは超長期なのか6か月なのかがイマイチわからん次第。

あたくし的には先般来申し上げておりますように、こーゆー低金利のうちにもっと超長期に振って借り換えが早くこないようにした方がエエンデナイノと思うのですけれども、まー発行当局様がこう考えたので、では今後実際に発行されたときにどういう展開になるのかを見ていきたいと思います。とか言いましても、実際に増発されるのは予算通ってからの話ですからもうちょっと先っすね。

それはそれとして、3年債は今後導入可能性もってヘッドラインもあってちょっとあのそのそれはどうなのよと思うのですけど。2年に3年に5年ってあーた中期大杉勝男ですがにゃという印象なのでござんして、ふと思ったのですが、どうせ3年出すなら毎月発行毎月償還形式にして、2年債から全部振ったら如何でございましょうかという気がしたんですが。そうなると1年短国、3年、5年と並んで何となく並びが良いじゃないですか(無責任)、償還年限延びますし。

なお、今の状況で中期3年とかで新発出すなら流通市場で変なスクイーズとか掛けられておもちゃ状態になるのを避けるために最低でも1.5兆円、普通に考えると2兆円の発行額が必要でしょと1年や2年のプライスアクションを見てて思いますですというのをしつこく付け加えます。


○金融緩和の名目が出来ました!(不謹慎でどうもすいません)

明日じゃなかった明後日は金融政策決定会合でして、絶賛下方修正の展望レポートが出るのはまあ予定通りだと思いますが、ここへ来てあたくしを含みますメタボの皆様におかれましてはニュースで連呼される度に微妙に気分がよろしくありません某新型インフルエンザがエライコッチャになってまいりました。

・・・・・そこでこれですよ!!

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako03/k030430.htm
(2003年4月30日の当座預金残高目標引き上げ時の声明文)

ネタ振りが不謹慎でどうもすいませんm(__)m

ただまあここから更に話が大きくなって、渡航制限だの輸出入制限だのという話になると、マジメな話悪影響になります(昨日はGLOBEXのSP500指数先物が東京時間でも下がっておりましたですな)ので、あまりギャグをかましている場合ではなかったりするのでこりゃまた新しいリスクシナリオ。SARSの時よりも感染力が強そうですからねえ・・・・

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2009/04/22

お題「まあのんびり投資家懇でも」

ガイトナー発言で株価堅調とか楽観的でいいですねえ(棒読み)。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/b210420.htm

投資家懇談会は増発年限に関する各社の見解がメインというか延々と述べられていまして、これまた要点引用するのがムツカシヤなのでありますが・・・・・まあ今回はさすがに超長期増発の話が多いのでちと安心しました。ちとここもと本業が忙しいので読んだ感想とダダ引用だけで勘弁してつかわせ。


○まあこの手の論点があってヨスヨス

4番目の人。

『本年や来年は税収が低調にならざるを得ない環境であり、また将来の追加経済対策の実施も否定できない中、財源手当は容易ではない状況であることを踏まえると、財政政策として超長期債へのシフトを高め、発行年限を長期化すべきタイミングであると考えている。』

とあたくしも思うのですけど。中短期を厚めにするとリファイナンスの時にどうなるのよという論点の前に「とりあえず目先の消化」みたいになってしまうのも如何な物かと。

『超長期債への投資ニーズは生損保や年金を中心に根強くあり、超低金利政策を実施する諸外国と比較しても金利は際立って安定かつ低位に推移している我が国では、今回予想される17兆円程度の増発を超長期債中心に割り振ることが適当と考えている。』

ま、投資家懇談会で超長期増やせという話が多いのはポジショントークでもありますけどね(苦笑)。最後から2番目の人もこんなコメントを。

『当社では、今回の増発規模を16〜17兆円近くというイメージを持っているが、今後の税収減や借換債の増加を考慮すると短い年限への集中配分は避けるべきと考える。超長期ゾーンについては、当社の主な投資対象ではないが、本懇談会等の議論を踏まえてニーズが確認できれば増額しても構わないだろう。』

この発言の先を読みますと、預金金融機関さんなので3年債希望とか結構短い所の話が多かったりするのが微妙に分裂気味ですが(^^)、まあそれは兎も角としてまともにポジショントークだけじゃないところにちょっと萌えた。


○まあ基本的にはこんな感じなんでしょ

投資家懇談会ということでトータルすれば長めの所にニーズがある人が多いっすから平均するとこんな感じになるざんしょ。

3番目の人。

『当社ではベンチマークに従って運用しているため、どの年限が増額されるかについて強い希望はなく、基本的にニュートラルという立場である。追加発行総額は16〜17兆円程度の規模を予想しており、基本的には超長期ゾーンと短期もしくは中期ゾーンに厚めに配分した方がよいと考えている。』

6番目の人。

『今回の増額は全体で約16兆円を予想している。発行規模とタイミング、イールドカーブに与える影響や極力ショックを避けるという観点では、各年限に均して増額するのが適当であると考えている。その中でも、金融政策の効果で水準は安定する短期ゾーンと、水準調整は必要になるが投資家のニーズの強い超長期のゾーンに、相対的な増発余地があると考えている。』

まあダンベルで増発って話になるのが妥当な所になるんでしょうなとは思いますけれども、PD懇では中短期が厚めの印象でしたが、投資家懇談会では超長期+中短期って感じのようですわな。

で、ここで話が逸れて雑感になるのですが、では業者(PD懇の中の人)は中短期増発の話が多かったのは何でですねんという事なんですけど、これはあたくしの超個人的印象なので合っているかどうかは超無保証なのですけど(と先にヘッジクローズ)、いざ入札をしますよという当事者的に言いますと、超長期よりは中短期の方が入札時のリスクコントロールがやり易い(のではないかと思う・・・)というのがありまして、応札落札義務のある側に立ってみた場合にそうそうリスクコントロールしにくいものをホイホイ増やされましても困るんですけど・・・・って感覚があるんじゃないかなあと。

即ち、投資家懇談会的にニーズあるニーズあると言われてホイホイ増発した場合に、入札前後のリスクコントロールという観点から入札時の調整がやや深くなるかもねという点は(当然発行体様におかれましては認識されていると思いますが^^)あるでしょうかねという所なんでしょ。


○不思議な理屈もありますけどね

後ろから3番目の人の理屈がよー判らん。

『増発額は全体で16兆円を想定している。各年限に幅広く分散して増発を行うのがよいと思うが、特に中短期債を厚めに増額したほうがよいと考えている。政策金利の見通しがある程度安定しているため、中短期債であれば償還見合いで幅広い投資家が再投資可能と考えるためである。一方、投資家が限定される超長期ゾーンを大幅に増発すると、例えば市場環境が大きく変化した場合などにリスクが高まることが想定されるのではないか。』

えーっと、おじちゃん頭が悪いので良くわからないのですけど、何か論点に目先の話と将来の話がごっちゃになっているような気がするのですが。市場環境が大きく変化した場合にリスクが高まらないようにするなら今超長期を増やして置く方が良いという結論にならんかその理屈だとという気がする。

いやね、中短期増やす方が目先の消化で金利上昇しにくいとは思うのですけど、主要投資家という意味では金利が上がってくると売って来る人が多い中短期こそが将来の市場環境変化に弱かろうと思うのですが・・・・・


で、話は別になりますが3年債の話しで最後の人がこんな発言を。

『現在、3年セクターとしては、5年債や10年債の残存期間が短くなった銘柄しかないが、金利リスクへの対応のほかにも担保繰りの関係でも3年セクターへの需要は強く、新発債が発行されることになれば非常に使い勝手がよい。ただ、今回の増発のための3年債導入ということであれば、結局は市場が拡大しない懸念があるので、導入する場合には発行当局として市場育成へのコミットメントを示さなければ、かえって混乱の要因にもなろう。また、流動性の観点からは1回当たりの発行額は最低でも5,000億円程度、場合によっては兆円単位が必要になるだろう。』

と、こういう話をするなら3年買ったら持ちきるんだなと思わせますが、ど〜せおまいらロールダウンしたら売って来るでしょと思います。「市場育成へのコミットメント」を要望する時点で売る気満々でしょ(^^)。しかし5000億円って全然足りないと思いますけど、どういう算出根拠なのか良く判らん。


○やはりこちらでもプレッシャープレッシャー(^^)

後半(というか殆ど最後)に最近の市場に関する話がありましてですな、4番目の人からこんなコメントが(^^)。

『今年度は大きな金利上昇はないと考えている。ここもと、日本銀行の金融政策により、短期金利のターム物が落ち着いていることがアンカーとなり、自然と長期金利の上昇幅も限界があるのではないかと見ている。』

短期金利のターム物とご指名が来ておりますな(^^)。


○で、最後の発言には同感

長いのですが最後の方を引用しますね。

『ただし、中央銀行がゼロ金利政策を実施している状況が続く中で、増発によりイールドカーブがある程度の水準まで上昇したとしても、そこでは投資家からの買いニーズは出てくるものであり、今の状況なら全体的に増発したとしても、そう悪い環境となることはないと考えている。そういった意味からも、なるべくこういう時期に超長期に大きくシフトして発行することは決して悪いタイミングではないと思われ、10〜20兆円規模の増発であっても十分凌げると考えている。』

『一方、アメリカやイギリスの中央銀行が行っている巨額な長期国債のバイバック等の出口政策の行方によっては、昔の運用部ショックのようなことが起こる可能性も否めず、この1年の間に起こるとは思わないものの、その時にどう発行当局や中央銀行が調整するのかは注目しているところである。日本においては、財務省や日本銀行は市場参加者とコミュニケートを取る場所を意識的に持とうとする意図が感じられ、こういった中ではクラウディング・アウトのようなことは起きにくいのではないかと考えているが、他国の発行当局や中央銀行等はそこまで丁寧なマーケットコミュニケートを取っていないため、場合によってはパニック的な状況が発生するというリスクがあるのではないかとも考えている。』

というのは同感だったり致しますです、はい。

#引用大会でどうもすいません

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2009/04/21

お題「PD懇ですが結局中身は雑談(汗)」

先週に続いて月曜の先物売買高1兆割れですかそうですか。で、PD懇の議事要旨が出たのでその辺りの雑感から。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c210417.htm

○新年限とか割り振りの話とか

最初の所では思った以上に中短期増発の話が多いのがふ〜んという感じだったのですけど、各社意見の中で最後から3番目に出てきた人の意見に個人的には同意。額の話としては30年40年を大方の意見より多目、中短期がやや少なめになっていますが引用すると長いので割愛。

『新年限について、3年債や7年債という声が聞かれるが、7年債に関しては日銀のシステムが未対応のため、早急な対応は困難と思われる。また、先物に連動するゾーンであるため市場が振れる要因を作る可能性があり、導入は難しいのではないか。』

『3年債については投資家の需要次第だが、数千億円の規模の発行ではショートスクイーズの発生が予想され、流動性に問題が出る可能性がある。実際に6年債で同様の現象が見られたと記憶しており、短期債で新しい銘柄を発行するのは困難ではないか。』

いやもう思いっきり同意でございます。まあさすがに新年限の3年に関しては反対(7年は論外)全体的にも圧勝でしたので安心しましたが(^^)。

『いずれにしても導入に際しては一定量を発行することになると思われるが、2年債や5年債とのトレードオフになりかねず、投資家の意見を吸い上げながら議論を継続していくことが肝要である。』

たぶんそうなりますわな。何も中期をこれ以上増やさんでもと思うのですが。

『この他の要望としては、第T非価格競争入札の比率を上げることにより、ヘッジ等が容易になるため、5%程度の引き上げを検討していただきたい。』

確かにこれは仰るとおりですな。第T非価格で入る分を増やしてヘッジをやりやすくすれば(普通に応札する分って落札結果出るまでガンマショートみたいなもんですからね)入札やりやすくなりますと。

まあ今回は増発規模がでかいので結局全部の年限に割り振る話になっていまして、そう極端な意見の違いが無いのが残念ですけど、3年債の発行について微妙な意見を見たので引用。さっきの人の前の人の発言なんですが。

『基本的には中短期ゾーンを増額の中心に考えているため、3年債の新規発行についても検討はしたが、当該年限の主要な買い手である銀行の需要が顕在化していない段階では時期尚早だと考えており、金融政策を含めた短期市場が安定してからでよいのではないか。』

・・・・・短期市場の何をこれ以上安定させろと????????


○日銀にプレッシャープレッシャー(^^)

昨日引用した記事では「日銀への国債買入増額への具体的な要望は無かった」というコメントが財務省幹部からなされたという話でしたがさ、最近の国債市場に関する話ではやはり・・・・・(^^)

『(2)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて』の2番目の人から。

『日本の場合、多額の国債が発行されても、まだ長期金利は1.4%台半ばであり、米国などとは異なり、サプライズのない形で国債増発に対応してきたと思う。これは本会合をはじめ、発行当局と市場との対話が機能しているためである。今後も厳しい局面があると思われるが、ある程度自信を持って対応していけばよい。日本銀行も、金融市場の安定に向けて最大限の努力をしており、短期マーケットはかなり落ち着いている。今日の会合でも短い年限を中心とした国債増発が予想されているが、財政ファイナンスという観点でなく、あくまで金融市場の安定という視点から支援して欲しい。』

どう見ても短国買入増額要望です本当にありがとうございました。

・・・・・てかね、短国の発行を増やしたら資金需給バランス上資金供給オペレーションを増やさないといけませんので、それが共通担保オペになるのか現先オペになるのか短国買入になるのかは兎も角として、資金供給自体は増えざるを得ませんから安心しておけば宜しいのでは無いでしょうか(^^)。

しかしまあ国債増発を短い年限を中心にして日銀は国債の買入をってのはどう見ても財政ファイナンス要望です本当にありがとうございましたって感じですわな。もはや端から日銀の買入増額ありきという状態で増発可能額を計算してるだろー(^^)。

んでまあこのコーナーの最後の方も期待してますな(^^)。

『先月、日銀が長期国債買入れを1.4兆円から1.8兆円まで増額したが、マーケットでは今後も増額してくれるという期待感が多少あるように感じる。仮にその期待感が否定された場合にマーケットがどのような反応を示すのかは少し気にしている。』

ということで、白川総裁におかれましては全否定するのは(以下同文)。というか12月の時点で「当分増やさない」と言っておきながら3月という舌の根も乾かぬうちに増額したという時点で市場参加者的には表立っては堂々と言い出さないけど、腹の中では「ああ要するに追い込まれると増額するのね」という印象を与えた時点でヘボにも程がある次第ですわな。「当分増やさない」みたいは話をしないで3月に増額したら印象が「おお!日銀積極的に増額したじゃないの」となる訳で、白川総裁におかれましてはバーナンキの狸振りを参考にすべきではないかと思われます。あ、話がPD懇じゃなくなってしまった(笑)。


○物価連動国債・・・・・(涙)

その他の話題として物価連動国債が。

最初の人の意見から。

『物価連動債については、一時期の投げ売りは収まってきているが、引き続き換金売りを行い得る投資家もいることは事実であり、依然として、薄商いという状況は変わっておらず注視する必要はある。価格は安定しているように見えるが、証券会社は買入消却があるという前提でマーケットメイクしている。』

『極論ではあるが、発行価格よりも安く買い入れられる限りは、全て買い入れる姿勢で臨むのも一案ではないか。そうすることで潜在的な売り物がないという状況になれば元本保証の付与等の商品性の議論が可能になる。但し、1回当たりの買入額が大きくなると、札が流れて価格の振れ幅が大きくなってしまうため、金額は現状程度にとどめて、買入消却を継続して実施して頂きたい。』

いや多分それは極論ではないかもしれません・・・・・で、一人飛ばして3人目の人から。

『一方、物価連動債については、買入消却によるサポートはあっても(引用者注記:15年変動利付国債と)全く状況は異なり、次に繋がるか否かという点は極めて難しい。国内のニーズを顕在化できるか、既発債を全て買入消却してから商品性を変えて再スタートするのがよいのか分からない。物価連動債の市場は非常に小さいので、大胆に買入消却することも必要ではあるが、逆にその買入消却のタイミングでしか市場で売買が発生しない状況になっているのも事実である。市場規模対比でやや大きな買入額になっている印象で、価格の安定という観点では買入消却を長期的に継続するという安心感を与えつつも一回の買入額を減額する、例えば、昨年度末に増額した分を若干減らすなどの対応も考えられるのではないか。物価連動債がマーケットに対して非常に悪い印象を与えていることは確かで、投資家も含めてマーケット全体で議論していかなければならない。』

・・・・・涙。で次の人。

『当社店頭でも、物価連動債は買入消却狙いの売買しかみられない。海外で量的緩和政策の実施等により一時的に期待インフレ率が上昇し、物価連動債の市況が堅調となった際には、国内でも物価連動債の気配値が上昇することがあったが、買入消却狙いでしか国内の売買が起こらない状況であった。今後そう遠くない将来には一気に売買が細ることも想定され、買入消却の入札も札割れしてしまう状況になるのではないか。その時には買入消却を減額すればいいという考えもあろうが、一方で市場が消滅することにもなるので、そこから新しい商品を出していくのでは遅すぎるのではないか。』

いやもう残念感が強いですが、物価連動国債自体に潜在的需要が無い訳では無い筈だと思いますので、何とかならんもんかねえとは思います。


○目先の消化という話だけですと・・・・・・・

とまあそれはそれで良いんですけどね、今回増発しますって時には「足元の短期金利が安定してるから中短期出す」って論点もなんかどうなのよという気はするのよ。

『20年債は今月から毎月0.9兆円に増額したばかりなので、暫くは様子を見た方がよい。超長期債で増額余地があるのは30年債で、0.7兆円×4回の規模を考えている。30年債の現在の発行規模では、カレントセクターの需給がタイトな状況もあるので、流動性を高める観点からも増発してはどうか。40年債は、来年度以降も年間1銘柄で0.5兆円程度を考え、半期に1回0.25兆円ずつリオープンで発行するのがよい。』

『30年債は、投資家のニーズが強く、市場での引き合いの回数も増えているが、発行頻度が四半期に1回と少ない。このため、在庫手当に対する不安感があるが、発行頻度を増やせば解消できる。場合によっては発行額も更に増やす余地がある。40年債も、今まで発行額が少ないため、投資家の注目を集められていないのが現状であることから、発行頻度も発行額も増やすことが必要だと考えている。』

・・・・と、いきなり引用しましたが、こちらは昨年11月14日の国債市場特別参加者会合議事要旨でございましてですな、このときって今回ほど中期を厚くという話じゃ無かったのよね。http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c201114.htm

いやまあ実際増やしてみたらイマイチなのでやっぱり中期って話であるといえばそれまでなのですが、このときと現在だと短期金利の状況が違いまして、要するに中短期に厚い話が大勢なのって、現在の短期市場状況に思いっきり依存した話じゃねえのとか思ってしまう訳ですよ。

利上げ局面とかになるともっと素敵な話になるのですが、引用するのめんどいので2年半前のコレでも(^^)。http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/gijiyosi/c181117.htm

いやまあ今回は増発がでかいので目先の消化が気になるのは仕方ないのですけど、一部ちゃんとした話をしている人はいる(誰が何言ってるのかは列記方式だから判らないですけれども、発言内容を毎回見てると長期的視野で話をしている人が何人かいると思われます)のですが、目先の消化の話になると本当に超目先の話が目立つのがPD懇クオリティっぽいのでして、市場との対話も程々にという感じですわな。

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2009/04/20

○国債市場特別参加者会合のメモ

議事要旨は恐らく朝イチには出る(いつも思うのですが、夕方にやった会合の議事要旨を翌営業日の寄り前に出すというのは中の人大変ですねえ)ので、楽しいポジショントーク大会の様子はそちらが出てからという所ですが、とりあえず報道ベースのお話で。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aSTMnAq2Ksic
財務省:3年など新年限の国債発行に慎重意見−特別参加者会合(2)

『4月17日(ブルームバーグ):財務省は17日午後、証券会社や銀行の関係者で構成する国債市場特別参加者会合を開催し、追加経済対策に伴う国債増発などに関して意見交換した。3年など新たな年限の発行に対しては、投資家層や需要を見極める必要があり、「拙速にやるべきではない」との意見が多かった。同省幹部が会合後の会見で明らかした。 』

ということで、とりあえずこの感じですと金曜に危惧した「中途半端な発行量での中短期ゾーンでの新規発行」は回避されるようで誠に結構であります。で、増発可能な年限別の割り振りとしてはこんな感じだそうで。

『既発債増発の年限別の割り振りでは、10年債と20年債は月2000 億円程度の増発が可能との意見が多かった。また、30年債と40年債は発行頻度を変えずに、各1000億円程度の増発が可能とか、3月と9月に30年債を発行できるなどの声が聞かれた。』

『1年物割引短期国債(TB)、2年債、5年債は、月3000−4000 億円程度の増発が可能との意見が多く、日銀の金融政策がアンカーとなるとの声が聞かれた。流動性供給入札に対しても、倍増できるとの意見が多かった。』

日銀の金融政策がアンカーっていうことは経済が正常化したらアンカーなくなるのでその時はエライコッチャになると思いますが、何かまた目先の消化の話(いやまあ勿論目先消化するのが大事なのはわかりますが)になってますなあと。

『一方で、10年物価連動債と15年変動利付債に対しては、新たに増発を求める声は全く出なかったという。』

予想通りですが物国変国アワレ。

『6カ月物割引短期国債(TB)は、年度が始まったばかりでもあり、緊急避難的に増額しやすいセクターのため、今回の発行増額対象に入れない方が良いとの見方が強かった。』

なるほど。で、3か月の話が無いですが、さすがに6兆円は勘弁ということで(^^)。

『国債増発で、安定消化に不安があるという人はいなかった半面、10年債利回りは1.4%台半ばで安定しているが、いくらでも増発できるというわけではないとの指摘があった。もっとも、日銀の国債買い入れについて、増額して欲しいという強い意見はなかったようだ。』

今の所は捌けるでしょ。という点は全く同意。ただあたくし的には中期を増やすのは目先は無問題としても将来の経済正常化が見えてきた所で消化が厳しくなるというか中期のイールドが膨らみやすくなり、借入金利などのレート形成全般に上昇圧力が掛かり易くなるのではないかという懸念がございますです。

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2009/04/17

今週は何だかんだと言ってPD懇待ちだったような気がする。

○中期で新年限出すなら中途半端は止めてねと思う

先日も3年債とか7年債が出るの??という話をしましたが、まあその続きというか補足の話から。

えーっと、昨日の朝どこぞのレポートで国債発行年限割り振りの想定シミュレーションを見たら「3年債5000億円」というのがあって「えー」と思ったので、流通市場的観点から中期ゾーンの新年限発行に対して愚考。

かつて4年中期利付国債、6年長期利付国債というのがあってだな、発行量が4000億円とか5000億円とかいう代物だったのですが、当時は「カレントプレミアム」だの「非上場プレミアム」だの今の人たちからしから訳判らん理由で同残存の上場国債(10年利付国債の成れの果て)対比で10bpくらい強かったのが、金融危機発生で今度は「流動性リスクプレミアム」とか言い出して10bpくらい甘くなってみたりとかいう素敵な国債でもありました。

で、発行量が少ないので入札時点で一部の投資家がアホウのように買い占めてしまい、上場国債から50bpだか70bpだか忘れましたが発狂したようなレート水準になってしまい、レポも出来ないので「オファーですか?ありません><」「ビットは強いて言えば50毛甘ですけど」状態になるという流動性皆無になった6年17回(だったと思ったが違ったらごめんなさい)というムチャクチャ債券もございました。

・・・・えーっとですね、当時はRTGS導入前で時点決済をしていた時ですので、国債決済に関しては「売り手も買い手も残高無い状態からスタートして売買を行った時に売り手が買い手からレポをすること」が可能であったという素敵なループ取引おっけー状態でありまして、かつ国債の発行額および参加者の資金量が現在よりも圧倒的に少ない状態(割引短期国債の発行額なんて3か月と6か月が月に1回ずつ各1兆円ちょっととかだったんですよ!)だったのですが、その時でも「急にレポが締め上げられたので」というような事態が良く発生していたのですな。

つまり、今の市場状況を考えると、中期ゾーンで新規年限の国債を公募入札で発行するのであれば、5000億円程度の小規模ロットで発行したらスクイーズ掛け放題の債券になりますので、当然ながら業者が誰もショートを振れない債券になってしまい、ショート振れないから当然在庫も持ちたくないとなり、結果流動性皆無の債券が発生することになって誰も得をしないというスカポンタンな結果になるのは自明かと思われます。大体からして5000億円なんて1社で落札できるレベルでして、すぐ考えられる悪知恵としては、1社で寡占状態にしておいて常にビットを入れて気配を強くしておいて輪番オペに突っ込んで利食って終了でござるの巻というのがございますなあという感じ。

1年物国庫短期証券がこの前まで1兆円半ばの発行でしたけど、その発行量の時って恒常的にショート銘柄になっているものが多く、同残存の利付債から10bpくらいプレミアムが乗っていたり(しかも尚タチの悪い事に、たまに売りが出ると一気にゲロゲロになる)してた状況を勘案すると、目の子の話になりますけど、中短期で新規年限発行して普通にロングショート振れる流動性を確保するとなりますと1回の発行額で2兆円って所じゃないのかなと思いますがどうでしょ。

いずれにせよ、変に僅少な発行額で流動性がなくなるような債券を追加する(しかもプライマリーディーラーには応札および落札義務があるのが厳しい)のはご勘弁頂きたく存じます。と思いますけどね。


それから話はちょっとずれますけど、昨日も申し上げましたが、発行年限の割り振りはやはり長期超長期に厚めに振るべきじゃないかなあと思います。昨日申し上げたように「中期は順張り投資家が主体で長期以降は金利が上がれば買いが来る逆張り投資家が結構いるので最終的には長いほうを安定消化させるほうが良いのでは」というのもありますけれども、昨日国債発行年限の振り方についてお友達と与太話してたらお友達さんが指摘していたのは「今までの国債管理政策の成果をここで使わずしていつ使うのよ」という論点です。

まあ国債管理政策だけじゃなくてそもそも期待インフレ率や期待成長率が低いという残念な要因もあるんでしょうが、それにしてもこれだけの国債発行をしながらイールドカーブはそんなに立っていない(長期国債30兆円買うとか言って買いだしている米国と比較しましょうね^^)のは、ここ数年来に渡って行われている国債管理政策の成果でもある訳でして、こういう国債大量発行しなきゃいかんですよという時に従来の成果を使って発行年限長期化して将来にわたる利払い負担を軽くしておくのが宜しいのではないか何て思うのですけど。中短期に厚く振ると償還が直ぐ来ちゃいますからねえ。


・・・・などとエラソーにべき論みたいな話をしてますが、別にそれを言ったからどうこうなるような有力参加者でも何でもない無力参加者のあたくしが申し上げるのは単なるわんわんおのオーボエなのですけどね。アヒャヒャヒャヒャ。


中期で5000億円程度だすのなら(年限的に言えば3年というのにはニーズが無い訳では無いと思いますので)、非市場性国債(特別会計等の借入金を3年ものにするのも良いかも)にして投資家に直接引受してもらって満期保有してもらうとか(流動性プレミアムがないと引受ないでしょうから条件が難しいと思いますし、本当にその年限に引受余力ある人僅少な気がしますけど)いうようにしないとやりにくいんじゃないでしょうか。それから、超個人的に何も考えてない発言になりますが、15年の固定利付債って発行したらニーズ有るのではないかと勝手にドタ勘で想像するのですが。。。。。



○銀行券ルールをごまかすもっと無茶な方法(人のふんどし)

http://hongokucho.exblog.jp/10728410/
本石町日記さんのふんどしで悪ノリ勘弁。

・・・・・えーっとですね、法定準備預金もコア預金みたいな長期負債ということでございますというのを更に拡張しますと、「預金準備率を引き上げれば長期国債買入の糊代ができる」という楽しい事態に(^^)。

それから、この前申し上げましたが(9日の駄文をご参照くださいませ)、白川総裁この前の定例会見で

『例えば、日本の量的緩和の時のように、金融システム不安が非常に高く、その結果、金融機関が当座預金を無利子でもたくさん持っているという状況では、それに見合って国債を多く持つということは理屈のうえでは有り得ると思います。そのような状況でなければ、銀行券を上回って国債を保有するという状態というのは、中央銀行自身が自ら金利を払って債券を発行し、それに見合う分だけ国債を買うという形でしかバランスシートは成り立たないのです。』

って話をしてましたが、これに対してあたくし「現在は日銀当座預金における超過準備に付利を行っておりますので、実はこの「中央銀行自身が自ら金利を払って債券を発行し、それに見合う分だけ国債を買うという形でしかバランスシートは成り立たないのです」という状況が自動的に達成できるという素敵な状態になっている」とイヤミを書いた訳でして、これを更に拡大すると、

「当座預金または準備預金に付利する金利=誘導目標金利にしておけば仮に利上げをしても長期国債の買入を増やせます」(=インチキ量的緩和)

という金利付きインチキ量的緩和で長期国債の買入が増やせます(^^)。

・・・・いやまあそれって要するに政府が長期債務発行している側から日銀が発行年限の実質短期化を行っているのと同じことでして、イールドカーブがフラット化する(狂ったように購入したらインバート^^)というイミフな事態になるだけなんですけどね(苦笑)。

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2009/04/16

お題「先日のバーナンキスピーチとかBOEの「量的緩和」の説明とか」

バーナンキの狸ぶりに感心感心。

○長期国債買入は住宅市場の回復に資するという話なのかね??

昨日(というか現地時間だと一昨日)のバーナンキ講演から。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20090414a.htm

お題は『Four Questions about the Financial Crisis』であります。で、その2番目の小見出しの『What Is the Fed Doing to Address the Situation?』って中にFEDが何やっててどういう効果ありますかという説明をしています。

まず最初は利下げです。

『The Fed's basic policy tool for influencing economic activity and inflation is its ability to control very short-term interest rates--specifically, the federal funds rate, which is the rate that banks pay each other for overnight loans. Lower interest rates can be used to stimulate private-sector borrowing and spending at times like the present when the economy is suffering from a lack of demand.』

いやまあその通りですなという話なのですが、利下げによって借り入れコストを下げて需要の減退する経済に対して刺激を与えますよということですな。レートをゼロ近くまで下げたので、『In addition, the FOMC has made clear that it expects economic conditions to warrant holding the federal funds rate low for an extended period.』と時間軸みたいなものを入れたとも説明してますが、たぶんあんまり時間軸になっていない気がする。

利下げしたけど金利がゼロ近くになってもう下げられないので何をしたかというのが次の話になります。

『However, given the ongoing problems in credit markets, conventional monetary policy alone is not adequate to provide all the support that the economy needs. The Fed has therefore taken a number of steps to help the economy by unclogging the flow of credit to households and businesses. In doing so, we have demonstrated that the Fed's toolkit remains potent, even though the federal funds rate is close to zero and thus cannot be reduced further.』

で、『We have taken a wide range of actions to help restore the flow of credit, of which I will only mention a few of the most important.』ということで行動したのでありますが、そこに3つの施策を並べておりまして。

『One set of actions involves making short-term loans to banks and other financial institutions. 』ということで最初に挙げているのは単純に言ってしまうと「資金供給オペの強化」になります。金融機関に対する資金供給オペの強化によって資金繰り問題での短期金融市場の緊張を緩和するのですが、その効果は、

『The Fed's lending to financial institutions has helped to ease conditions in a number of key financial markets, reduced important benchmark interest rates (such as the London interbank offered rate, or Libor, to which payments on some mortgages and other types of loans are tied), and increased the willingness of banks to make credit available.』

ということで、金融市場の緊張緩和、ターム物レートの低下によって銀行が信用供与をしやすくしますよという話ですわな。

で、2番目は『A second strategy the Fed has employed is to use targeted lending to help free up critical credit markets outside of the banking system.』という事で金融システムの外側に対する施策ということですが、これはCP市場と、CPを買うMMFへの支援策およびモーゲージ証券に対する支援策で、これは急激なキャッシュフローの悪化を緩和する効果と、CP市場におけるファンディングコストとアベイラビリティの顕著な改善があったという説明になっているようですにゃ。

『Through a series of lending programs, and in coordination with steps taken by the Treasury, the Federal Reserve helped restore confidence in both money market mutual funds and the commercial paper market. Over time, withdrawals from money market mutual funds have been replaced by modest net inflows, and borrowers in the commercial paper market have seen significant improvements in the cost and availability of funding. 』

で、3番目には『To address this problem, the Fed has employed a third type of policy tool--namely, buying securities in the open market.』ということで各種資産の買い切りプログラムになるのですな。

『The FOMC has approved purchases of well over $1 trillion this year of mortgage-related securities guaranteed by the government-sponsored mortgage companies, Fannie Mae and Freddie Mac.』

えーっと長期国債買入は???

『Buying mortgage-related securities helps to drive down the interest rates that consumers pay on mortgages, and, indeed, the rate on a traditional 30-year fixed-rate mortgage has recently fallen to less than 5 percent, the lowest level since the 1940s. Certainly, the housing market remains depressed, but lower interest rates and house prices are making houses more affordable. 』

なるほどモーゲージ関連借入コストが下がって住宅価格の支援になったのは判りますけれども長期国債買入は???

『For example, two years ago, when mortgage rates were higher than 6percent, payments on a mortgage covering 80 percent of the cost of a $215,000 home would have been more than $1,000 per month; today, the price of that same house may have fallen to $170,000, and, at today's mortgage interest rates, the monthly payment would be about $700. Lower mortgage rates are also helping some homeowners refinance their mortgages to reduce their monthly payments. 』

ということで、そりゃまあ始まったばかりの政策だから効果がどうのこうのという話は出来ないというのも判るのですが、長期国債買入に関して華麗にスルーしているのが相変わらずの狸というか何というか。一応この項の最後の部分まで引用しときますね。

『The Federal Reserve will continue to take the necessary steps to unclog the credit markets and strengthen the economy. We will also continue to work closely with other agencies, such as the Treasury and the Federal Deposit Insurance Corporation (FDIC), each of which has also taken a variety of actions to help stabilize financial markets, as well as with other central banks around the world.』

・・・・ということで、長期国債の買入がマネタリー政策なのか長期金利介入政策なのか財政ファイナンス政策(とは明言しないか^^)なのか華麗にスルーした状態で敢えて曖昧にしているというか、状況が切迫(当時はAIGのボーナス問題でエライコッチャになっていた)したので勢いでヤケクソで実施したので理屈もクソも無いのか知りませんが、引き続き謎のままで推移という感じになっておりますわな。


○一方BOEは量的緩和の説明コーナーがある訳で(^^)

というのは別に今に始まった話ではないのですが、この際丁度良いので引用(^^)。

http://www.bankofengland.co.uk/

右の下の方に堂々『What is Quantitative Easing?  Asset purchases and the inflation target』というコーナーへのリンクがございます。

http://www.bankofengland.co.uk/monetarypolicy/assetpurchases.htm

『The Monetary Policy Committee announced on 5 March 2009 that, in addition to setting Bank Rate at 0.5%, it would start to inject money directly into the economy in order to meet the inflation target.』

『This means that the instrument of monetary policy shifts towards the quantity of money provided rather than its price (Bank Rate). But the objective of policy is unchanged ? to meet the inflation target of 2 per cent on the CPI measure of consumer prices. Influencing the quantity of money directly is essentially a different means of reaching the same end.』

インフレ目標達成の為の政策ツールを金利操作から資金供給量になりましたと。

『Significant reductions in Bank Rate to date have provided a large stimulus to the economy but as Bank Rate approaches zero, further reductions are likely to be less effective in terms of the transmission to market interest rates and the impact on demand and inflation. And interest rates cannot be less than zero. 』

ゼロに近いところまで金利を下げましたが、ここから先は金利操作による波及効果が少ないですし、そもそも名目金利はゼロより下にはできませんがなと。

『The MPC therefore needs to provide further stimulus to support demand in the wider economy. It boosts the supply of money by purchasing assets like Government and corporate bonds ? a policy sometimes known as 'Quantitative Easing'. Instead of lowering Bank Rate to increase the amount of money in the economy, the Bank supplies extra money directly.』

ということで、国債や社債(なんですけど、基本的には国債中心になるかと)の購入によって資金供給を行う「量的緩和」として知られる政策を実施しますよという話で思いっきりマネタリー政策なのを明確に示してますな。

『This does not involve printing more banknotes but rather the Bank pays for these assets by creating money electronically and crediting the accounts of the companies it bought the assets from.』

そういえば日本のどこかでは『日銀は日銀券を刷って市場に流し込む。この上限を大幅に引き上げるのが量的緩和』という説明をする大新聞の論説委員様がいましたが、英国でもそんな言い方する人がいるのかもしれませんですなあ(ニヤニヤ)。

『This extra money supports more spending in the economy to bring future inflation back to the target.』

ということで、インフレ目標達成の為にマネーの供給を多く行いますという話で、政策の説明としては仰る通りとしか言いようが無い明快な話になっています。

・・・・・ということでFRBとBOEを比較してみましたでござるの巻でした(^^)。

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2009/04/15

○そういや社債買入

えーっと超今更の話なのですけど、4月6日にオファーされた社債買入オペは1500億円の買入オファーに対して応札586億円の落札586億円という豪華絢爛札割れでござるの巻。今回は平均落札利回り較差が0.118%で最低落札利回り較差が0.000%と相成りました。

前回の買入は3月4日に実施でして、これはまあ実施要綱のオファーが来てから間も無かったので札が集まらないかなあとは思ったのですけれども、今回も絢爛札割れっていうのはちょっと何だかなあという感じでございました。

応札の事務上の問題で参加者あたり出せる札が10本までとかいう事情があり、その一方で社債って一本一本のロットがそんなに多くないという要因はあるのですが、セカンダリー市場のレートを勘案すると、もうちょっと普通に札入っても良いんジャマイカと思う次第でありまして、業者様におかれましては在庫持つリスクに対して相変わらず慎重で社債買入に備えて在庫仕込むというような行動にはでにくいのかなあと思う結果になりました。

・・・・と丁寧な言い方しましたが、まーあの札割れ見て正直ガッカリだったのですけどね、あたくし的には(以下悪態割愛^^)。

事務的な問題としては、社債買入におきましては業者の一回の応札をもっと沢山できるようにするか、1回の入札額を500億円に減らして頻度を3倍にするとか、実施面での改善が求められると思います。



○3年債とか7年債とかマジで出すの????

今週金曜にPD懇があって月曜に投資家懇がありますが、それに向けて先日は金融ファクシミリ新聞で記事があって、昨日はブルームバーグでも記事があったのですが、既存の年限に振るだけではなくて、どうも3年債とか7年債とか発行して1回の入札額をあまり増やさないようにという話もあるんですかね。

#ま、有力参加者の皆様におかれましてはヒアリングとかが行われているんでしょうなとは思いますが、あたくしのように市場の片隅に棲息する無力参加者は関係ないので

たぶん今回は純粋にどどーんと増発という心温まる話になりますので、中期を厚めに増やすのか長期以降を厚めに増やすのかという話(結局全年限を増やすしかないのですよね^^)をする場合、目先まず消化を円滑に行わないといけませんよねという論点と、それはそれとして、先々の安定消化しやすい年限に振って金利のある程度の上昇で調整するしかないでしょという論点がありそうなので話がヤヤコシヤという所かと思います。

で、再三申し上げているような気がしますが、確かにまあ当面は利上げどころの騒ぎでは無いのですから、目先は中期ゾーンの方が消化しやすいのかもしれませんけど、大手銀行さんは結構ポジションを派手に振らしてくるのが仕様になっていますので金利上昇局面で買いが急に減るという問題があります。おまけに、何だか良く判りませんが既に2年債の金利が足元金利やら3か月TB金利の足し算をしてみた場合にちょっと1年ゾーンから見てイールド立ってねえかと思う状況にある次第でありますので、現実問題としても短い所あまり増やせないのではないかと思うのですが(3か月TB増発とかもう勘弁)。

まあ将来中期が重くなった時に3年とか7年とか発行したものをサクサク発行中止にできるのなら別に問題は無いのかもしれませんけど、年限をあまり散らしすぎると将来減らす話になった時に各年限の流動性が全部まとめて低下する恐れもありますし(って減らす日が来るのか知らんが)、金利上昇局面になると中短期の買いが極端に減りますので、中短期に厚い増発をするとこの前の金利上昇局面以上にイールドカーブの手前が不安定化しそうな気がするです(それに発行年限増やすと益々レポとか面倒なんですけどね)。

とは言え、そう極端に発行平均年限を長期化する訳にも行かないからバランス取るんでしょうけれども、3年債とか7年債とか出すのはどうかなあとは思います。2年のレートが(後ろから見た場合は別問題ですが)手前のレートから見て事実上の時間軸状態なのを無視状態になっている中で3年出したら益々その辺のイールドが上昇するんじゃないのという風に思いますし、7年は先物ゾーンでもあるのでここを増発するのはこれまたちょっとデリケートな問題がありそうですし。どうせ金利上昇させるなら中期の金利立てるよりも長期以降の金利を立てた方が長い目で見れば困る人が少ないと思いますけどね。

・・・・というような話は当然のことながら市場懇談会などの有力参加者の皆様におかれましては通常よりヒアリング等行われていますし、まあもっとちゃんとした話をしてると思いますから、別に無力参加者のあたくしがどうのこうの言う話ではないのですが、さすがにこの上中期で新規年限ってのは勘弁して欲しいなと思ったので言わずもがなの雑談でした。

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2009/04/14

○日銀の資本準備金だか何だかの繰り入れ拡大とな

というニュースが昨日出ておりましたが、まあこれって要するに「CPやら社債やら株式やらの購入を行った件に関して政府の保証措置とか無いですし、予算措置するのも時間掛かるから、準備金繰り入れを増やす=国庫納付金を減らすのをその代替措置にしますよん」という話だとは思います。他の中銀の買い取りプログラムって基本的に政府にケツを回すスキームになってますもんね。

でも実はあたくしはこのニュース最初に聞いた時に「また何か買うのか(--)」と最初に思ってしまったのはここだけの話(^^)。とか書こうと思っていたら、昨日の日刊ゲンダイには早速『日銀 「自己資本増強」は赤字国債買い取りの布石か』という記事があって苦笑。

まー普通に考えると先ほど申し上げたように、「とりあえず今まで実施した措置への政府サポートはしませんのでよろしく」という話だと思いますけれども、タイミングが丁度大型経済対策が出て国債絶賛大増発が確定的という直後なのが実に香ばしい次第であります。ま、単に決算時期だからだとは思うのですが・・・・・・

余談ですが、間が良いかどうかという点では先般の輪番増額は政府の補正予算案構想が具体化する前だったので良かったですねという話でして、これが後に来たら、どうせ増発全部を輪番で対応するのは無理というか無茶なので、下手したら「財政ファイナンスだよーん」とうっかり市場が見てしまい、好感しないで長期金利グダグダになるかも知れませんでしたねという感じ(実際にやったらどう市場が取るのかはやってみないと判らないすけどね)ですわな。

なお余談&日刊ゲンダイですからどうでも良いのですけれども、その記事見たら「日銀は財務省にせっつかれて色々な買い取りを行って云々」というような書き方になっておりましてなお苦笑。まあ正直者(かどうか知らんが^^)の白川総裁におかれましては、会見で「やりたくないけど渋々やりました」感を出すのは極力控えて頂きますと誠に宜しいかと存じますが如何なもんでしょ。こういう火事場モードの時にはオトボケの狸さんというのも(白川総裁的には本意じゃなさそうですけど)必要では??



○なお余談

・山口副総裁の国会答弁

情報ベンダーで見ただけなのですけど、昨日は国会で山口副総裁が「需要不足への対応は金融政策では限界があって財政政策が必要」みたいな答弁をしたみたいで中々結構なお話かと思いました。まーこういうのってヘッドラインの出方の問題で、政府が経済対策をどどーんと出した所で財政政策が必要云々の話をするのは援護射撃っぽく見えるので良いと思うのか、日銀は金融政策の対応を出し渋っていてケシカランと見えるのかって本当に印象だけの話だと思うのですよね。

ということで、さっきの蒸し返しになりますが、白川総裁におかれましては(以下同文)。


・米国金融機関はもう少し空気を読むべきだと思います(苦笑)

ウェルスファーゴに続きゴールドマンも大幅な利益計上という話が出ている訳ですが、日本の不良債権処理問題における流れからしますと、「そんなに儲かっているのなら不良債権買い取りプログラムとかTARPとかイラネエんじゃないでしょうか」とか言い出す人が出てきて議会がまた揉めるに1バーツ。

公的資金が直接入っていない場合でも、基本的に税金突っ込んで金融システム何とかしましょとやっている中なのですから、精々金融機関は頭を低くしているべきであろうと思いますし、まあ米国は全然違う風土なのかも知れませんけど、このあたりの機微は万国共通なのではって気がするんだが(苦笑)。


・金曜に国債市場特別参加者会合

というのが先週アナウンスされていまして、こりゃ参加者会合まで様子見になったらどうしようと思っていたら本当に月曜は様子見になったのは泣けましたが、まー何だかんだと言いましても、債券市場はそれなりに増発を織り込んでいる筈で、市場予想以上の増発になってもいわゆる運用部ショックみたいなことには成らないでしょとは思っているのですが、あたくしが勝手に思っているだけに内容無保証(^^)。

どのゾーンを増発するのかという議論で、投資家会合も含めてポジショントーク大会になるのをワクワクテカテカしながら楽しみにしております。ただまあ短期国債に関しては3か月TB6兆円とかにするのは勘弁ですなあとは思いますけど・・・・・・

#なんか雑談大会でどうもすいませんでした

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2009/04/13

お題「米国と日本の長期国債買入に関する議論を議事要旨から」

前半は金曜の続きというか焼き直しです(汗))。

○米国の長期国債買入にやっぱりロジック無しとな(昨日の焼き直し)

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20090318.htm

金曜にご紹介したFOMC議事要旨を改めて読んでみたのですが、後半3分の1くらいの所に『Meeting Participants' Views and Committee Policy Action』っていう見出しの所があって、その辺から金融政策どうしましょという話になるのですけど、全部引用してると終わらないので経済部分を箇条書きにすると、あたくしの理解するのはこんな感じ。

・1月会合時点より景気は悪化で全員一致
・一番の注目は海外経済の悪化による輸出低迷であると数名が指摘
・景気悪化が農業部門やエネルギー部門などにも波及している
・逆資産効果(株価や住宅価格)による消費の減退が継続している
・経済には引き続きダウンサイドリスクが大きいと多くの委員が指摘
・物価上昇率が望ましいレベルを下回るリスクを指摘
・一部の委員はデフレリスクを指摘

という経済状況のもと、最近実施した各種金融政策に関してはこんな指摘をしています、って以下金曜の焼き直し(改訂版)で、あたくしの備忘メモなので適当にスルーしたって下され。

『Looking beyond the very near term, a number of market forces and policies now in place were seen as eventually leading to economic recovery. Notably, the low level of mortgage interest rates, reduced house prices, and the Administration's new programs to encourage mortgage refinancing and mitigate foreclosures ultimately could bring about a lower cost of homeownership, a sustained increase in home sales, and a stabilization of house prices.』

モーゲージ金利の低下と、モーゲージ証券に対するリファイナンスおよび担保処分の緩和の支援策が住宅価格の安定化(一層の下落回避ですか)に寄与しているというような話になっているようで。

で、また話を飛ばしまして(その間に金融市場の話がありまして、CDSのスプレッドが拡大しているのは良くないというのと、投資適格クラスの社債が大量に発行されるようになったのは最も良いニュースという指摘がありました)、金曜に引用した最後の部分になります。同じもの引用で恐縮。

『In the discussion of monetary policy for the intermeeting period, Committee members agreed that substantial additional purchases of longer-term assets eligible for open market operations would be appropriate. Such purchases would provide further monetary stimulus to help address the very weak economic outlook and reduce the risk that inflation could persist for a time below rates that best foster longer-term economic growth and price stability.』

『One member preferred to focus additional purchases on longer-term Treasury securities, whereas another member preferred to focus on agency MBS. However, both could support expanded purchases across a range of assets, and several members noted that working across a range of assets and instruments was appropriate when the effects of any one tactic were uncertain.』

ということで、長期国債買入とMBS買入が同列に論じられている感じです。つまり、さっき引用した住宅価格に関する話で言えば、モーゲージ金利を下げますって話になるのでしょうが、それって(毎度申し上げてますが)市場介入で長期金利を下げるという結構無理筋のロジックなのですが良いのでしょうかという感じですが、長期国債買入に関する目的および効果に関する議論は敢えてスルーして、MBS買入と同列に並べるだけで話を済ませている観がございますな。

『Members agreed that the monetary base was likely to grow significantly as a consequence of additional asset purchases; one, in particular, stressed that sustained increases in the monetary base were important to ensure that policy was consistently expansionary.』

ここでは買入の拡大がマネタリーベースの顕著な拡大に寄与したという話をしていまして、マネタリー的な話も入っているのがまた不思議ちゃんです。

『Members expressed a range of views as to the preferred size of the increase in purchases. Several members felt that the significant deterioration in the economic outlook merited a very substantial increase in purchases of longer-term assets. In contrast, the potential for a large increase over time in the size of the balance sheet from the TALF program was seen as supporting a more modest, though still substantial, increase in asset purchases.』

で、この次は何を幾ら買います増やしますという話なのですが、どう見ても今回の論議で長期国債買入に関する意義とか目的とかを詰めて実施していませんとしか読めない状況。ロジック不在で特攻とはさすがメリケン様という所ですが、バーナンキって学者だった筈なのですけど、やはりメリケン魂とはこういうもんなんでしょという所かと。出口もへったくれもなく勢いというかエイヤってな感じで導入するこれらの政策はどうなるんでしょうかね。

ということで、金曜にご紹介した分の改訂版で恐縮至極ですが、結論としては「長期国債買入にロジック無し」で何かもう勢いで突っ込んだ感じであるというところですわな。ちゃんと議論した形跡が議事要旨からは見られませんでした。


○3月決定会合議事要旨、長期国債買入に関連して

http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/giji/g090318.pdf

本文8ページの『当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要』から。

『委員は、年度明け後の金融市場の動向を踏まえた政策対応について議論を行った。多くの委員は、年度末越え資金の調達は概ね目処がつきつつあるが、年度明け以降も、厳しい金融経済情勢を背景に、市場の緊張が続く可能性が高いとの見方で一致した。このため、委員は、金融市場の安定を確保していくため、引き続き、積極的な資金供給を行っていくことが重要であるとの認識を共有した。』

ということで長期国債買入の増額という話になります。

『こうした点を踏まえ、委員は、長期国債の買入れについて議論を行った。多くの委員は、長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行っていくために、長期国債の買入れを増額することが適当ではないかとの意見を述べた。』

ほほう。

『何人かの委員は、増額する場合には、年度明け以降の市場安定に向けた日本銀行の強い意志を示すためにも、銀行券ルールのもとで、出来る限り大幅な増額を行うことが適当であると述べた。』

えーっと、長期国債買入は調節上の問題じゃなくて「日本銀行の強い意思」ですかそうですか。つまり「意図のある金融調節」ですね(違)。

・・・まーぶっちゃけちゃえば長期国債買入はやたらめったら意味付けがされていますので、この会合時点で2000億円増額とか言われている中で4000億円増額したのはメッセージとしては効いたのですが、これもまた諸刃の剣で、あまり意味ある意味あるとしちゃいますと、何かの事情で買入減らさないといけないという時に負のフィードバックがやってきますので、あまり「日本銀行の強い意思」とか持ち出さない方が無難な気がするんですけど。

#逆方向の強い意志を示す総裁も如何なものかと思いますが、苦笑

『ある委員は、そうしたルールのもとでのラフな試算では、年間5 兆円程度の増額が可能ではないか、と述べた。その上で、委員は、これらの点について、執行部の見解を求めた。』

ほうほうそれで?

『執行部からは以下の説明が行われた。1 月に導入した残存期間別買入れによって、長期国債の満期構成を、厳密ではないにせよ、ある程度コントロールすることができるようになった。このため、銀行券ルールのもとで、従来の増額幅以上に買入れ額を増やすことが可能となっている。』

えーっと、従来は買入の半分くらい(下手したらそれ以上)が残存1年切るようなセクターに集中していたのが、輪番ゾーニングでその辺が緩和されたというのが現実なので、「ゾーニングで買入を増やせる」という話にいきなりズッコケてしまいました。

ま、この理屈って「ゾーニングすると何が入ってくるか判らない(確かに場合によっては超長期ゾーンばっかり入るという回だってありますからね)ので、買入シミュレーションをする際には超長期ばかり入って来るケースを考慮に入れないといけませんから」ってお話なのでしょうけれども、この部分を読んでいて一瞬「ナンジャソリャ」と思った市場関係者は多いに違いない。

『具体的には、ある時期は長期国債を買入れ、次の時期には売却するといった振れの大きい対応を回避しながら、先行きの銀行券発行高と長期国債保有残高のギャップをフルに利用する金額として、現在の年16.8 兆円ペースから、年21.6 兆円に年4.8 兆円増額することが可能である。もっとも、このペースで国債買入れを行っていくと、先行きの銀行券の伸び次第ではあるが、数年間のうちに銀行券発行高に近接していく可能性は高く、追加的な買入れ余地は自ずとかなり限定されてくるとみられる。』

これは白川総裁も会見で説明してまして、やたらと「買入を増やせません」という話になっていましたが、所詮「数年間のうち」の話でしょと思いますし、1年から10年って残存の所の買入だってここもとの結果みてると残存2年以内のものがそこそこ入っているようですから、シミュレーションよりも保有長期国債の残存が短くなるかもしれませんですよね。何か白川さんの話を聞いていると直ぐにでも銀行券残高に到達しそうな勢いで言いますけど、まー「数年間のうち」という話なら極端に言えばFRB流に時限切って買入増額したって良いじゃないのと思いますけどねえ。

で、結論。

『こうした執行部の見解に対し、大方の委員は、年21.6 兆円のペースに増額するという方針に違和感は無いと述べた。その上で、多くの委員は、長期国債の買入れに関する対外的な説明は、従来以上に丁寧に行っていく必要があるとの認識を示した。』

『委員は、銀行券ルールは、第1 に、円滑な金融市場調節を確保するという目的を示す、第2 に、長期国債の買入れが、国債価格の買い支えや財政ファイナンスを目的とするものではないということを明確にする、という点で重要であるとの認識で一致した。』

あれ日銀の強い意志は??ということで、白川総裁が丁寧に説明したら残念な説明になってしまったという事でしょう。

『複数の委員は、円滑な金融市場調節を確保するという点について、日本銀行のバランスシート上、長期的な負債である銀行券に対しては、長期資産である長期国債を割り当て、準備預金など短期的に変動する負債に対しては短期の資金供給手段を割り当てる、という原則であると敷衍した。』

しらっと流していますがここもトンマな話でして、準備預金って準備預金制度が存在して法定準備率を大きく変化させないのであれば、積まないといけないものであるという点で一種の「コア預金」みたいなもんで、長期負債みたいな見方をするのが妥当だと思いますけどね。5兆円位の話ですけどね。

『その上で、こうした点は、金融政策の機動性・弾力性を維持する上で極めて重要であり、あらゆる機会を捉えて、丁寧に説明していくことが大切であると述べた。』

で、丁寧に説明したら白川総裁(以下同文^^)。

ということで、他の部分はまた別途。

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2009/04/10

○総裁会見の続き

昨日は銀行券ルールに関する話で終了しちゃったので、もう少々引用します。

・展望レポート下方修正確実と

展望レポートは下方修正ですよねという質問に対しては素直に下方修正と答えていますな。

『日本銀行は、決定会合で金融経済情勢の点検を毎回行っています。1月に中間評価を発表した後、2月、3月の決定会合では、いずれも1月時点の評価に比べて不確実性が高まっており、厳しい方向に変化しているという認識でした。このように、日本銀行は毎回連続的に見通しを修正してきましたが、それらを文章にまとめ、参考計数と併せて発表するのが年2回の展望レポートになります。景気判断は、4月の展望レポート公表に向けて非連続的に変化するのではなく、2月、3月の決定会合において連続的に変化しており、それとの比較ではほぼ予想通りの展開であると感じています。1月の決定会合における中間評価と比較しますと、下振れてきている可能性があると思いますが、現在4月の展望レポート公表に向けて作業を行っている段階であり、今後入念に点検を行ったうえで発表したいと思っています。』

まあどう見ても下方修正なのですが、では政策金利は引き下げないのかという話になる気がするんですけど、そっちに対してはどういう説明するのか今月末の決定会合で見せてくれるかなあと楽しみ(?)にしておりまする。


・政府との連携について

という質問に対する答えがありまして、やたらめったら長いのですが、段落分けしつつ引用してみますね。

『(冒頭部分割愛)そのうえで、今のご質問は個別の信用リスクを負担する政策を中央銀行としてどこまで行うべきかというご質問だと思います。いつも申し上げていることですが、損失発生を通じて納税者負担が発生する、あるいは個別企業に対するミクロ的な資源配分への関与の度合いを強めるとなると、これは財政政策に近い施策になってきます。特に、買入れ対象とするものの期間が長くなったり格付け基準を下げたりするほど、より財政政策に近くなってきます。』

これは従来より指摘されている説明どおりで皆様もご案内の通りですね。で、米国がどのようにしているかという説明がありまして、まあ普段だと引用端折る所ですが、丁度整理されているので各国の状況説明部分も引用します。まずは米国。

『これは、どの中央銀行も等しく直面している課題です。米国では、CPについてはFRBが買入れる、ABSについては最初の10%の損失を政府が負担するとした上でFRBが買入れる、ということを行っていますが、今のご質問にもあったように、中央銀行が信用リスクを負担することが金融政策遂行の制約となることを回避するという点について財務省が理解をするという趣旨の声明を先だって発表しました。』

では日本はどうかと言いますと・・・・

『日本銀行もCPの買入れを始めるにあたり、政策委員会で議論し、企業金融に係る金融商品の買入れについての基本的な考え方を公表しました。そこでは、企業金融全体の円滑化に照らして、必要な場合には、異例の措置ではあるがこれを行うということを明らかにしました。また、個別企業への恣意的な資源配分を回避し、信用リスクの適切な管理を通じて通貨への信認を確保するということも発表しました。こうした考え方は1月の金融政策決定会合で議論し、政府の代表の方から日本銀行の考え方を理解するという趣旨のご発言がありました。これは議事要旨にも出ています。』

という事になっています。まあ既にご案内の通りという感じですが、丁度説明になっているので引用しました。で、今後の展開なのですが・・・・・

『この先、金融経済が更に厳しくなったときに、例えばより期間の長い社債の購入、あるいは格付け基準の引き下げなどについて、より踏み込んだ対応を公的部門が行うことが適切かどうか、その場合政府の財政政策で行うべきかあるいは中央銀行が行うべきか、といった点について、先ほど申し上げた基本的な考え方に照らして議論していく必要があると思います。政府と中央銀行の関係をしっかり意識したうえで、現在のわが国において最適な方法を実行していると考えています。』

昨日引用した銀行券ルールに対する拘りの姿勢に対しまして、社債購入だのCP購入だのに関してはしらっと「より踏み込んだ対応」とか言うのが正直あたくしには不可解というか理解不能というか。

つまり、あれだけ物凄い勢いで拘る銀行券ルールの話をするなかでは中央銀行のバランスシートについて拘って「長期資産をあまり増やしたくないですぅ」と主張しているのに、その一方で元本が飛ぶリスクがある社債やCPに関しては「より踏み込んだ対応」という発言がしらっと出てくるバランス感はどうなっているのかよ!と思う次第でございます。あたくし思いまするに、社債やCP購入で踏み込む位なら長期国債の買入を増やすほうが(長期国債は償還リスクは無いですし、資金吸収で売りオペだって最終的には選択肢として使えるし)遥かに筋の良い政策だと思うのですけど、この辺りのイメージが良く判らんです、正直言って。

とまあそんな事を思った白川総裁会見でした。


○何か政策ロジックがグダグダになってなってるような気がするんですけど

昨日の夜出ていたFOMCの議事要旨(長期国債大量買入決定の回)なんですけどね。

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20090318.htm

最後の決定事項提案の前がいわゆる「金融政策に関する検討」にあたるのですが、読んでて何か微妙にワケワカラン状態になったのですよ。

『In the discussion of monetary policy for the intermeeting period, Committee members agreed that substantial additional purchases of longer-term assets eligible for open market operations would be appropriate.』

から始まる所なんですけどね。

『Such purchases would provide further monetary stimulus to help address the very weak economic outlook and reduce the risk that inflation could persist for a time below rates that best foster longer-term economic growth and price stability.』

マネタリーの刺激で景気へのサポートおよび物価上昇水準の望ましくない低下(デフレ懸念とは書いてませんが、まあそれに近い話となるかと)リスクを減らしますという話。

『One member preferred to focus additional purchases on longer-term Treasury securities, whereas another member preferred to focus on agency MBS. However, both could support expanded purchases across a range of assets, and several members noted that working across a range of assets and instruments was appropriate when the effects of any one tactic were uncertain.』

長期国債買えという人と、MBS買入増やせという人がいましたと。

『Members agreed that the monetary base was likely to grow significantly as a consequence of additional asset purchases; one, in particular, stressed that sustained increases in the monetary base were important to ensure that policy was consistently expansionary. Members expressed a range of views as to the preferred size of the increase in purchases. Several members felt that the significant deterioration in the economic outlook merited a very substantial increase in purchases of longer-term assets. In contrast, the potential for a large increase over time in the size of the balance sheet from the TALF program was seen as supporting a more modest, though still substantial, increase in asset purchases. 』

ということで、以下割愛しますけど、この結果として前回の決定(長期国債は買うわエージェンシー債およびMBSの買入は拡大するわ)になりましたという話になっています。


・・・・いやまあこれはこれで成程としか言いようが無い話なんですが、では従来長期国債の買入に対して「to help improve conditions in private credit markets」という理屈を出していた件に関してはどのような話になっているのかってのが、ここの部分では(というのは、もしかしたら他の部分でちゃんと議論されているのかもしれないので断定はしません。週末に精読します)見えてこないのでありまして、それって政策ロジック的にどうよという話。即ち、こういう議論してるのに声明文ベースではご案内の通り、

『Moreover, to help improve conditions in private credit markets, the Committee decided to purchase up to $300 billion of longer-term Treasury securities over the next six months. 』

ってロジックにしているのは何ですねんという所ですな。

・・・・いやまあロジックもクソも言ってられま千円という話なんでしょうけれども、あまりにもロジックをテキトーにコロコロ変えていると、政策実施している時はそれはそれで良いのですが、いざその政策を引いて通常の金利操作に戻ろうという時になってグダグダになってしまう懸念というのがある次第です。まあすっかりバーナンキ議長も狸になってしまったという感じですが、これが米国及び世界にとって幸福なのか不幸なのかは、目先だけではなくあと何年か経ってみないと判らないのかもしれませんね。

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2009/04/09

お題「総裁会見から、また輪番の話で」

ヘッドラインで見た印象と実際に出てきた会見要旨に微妙な差がある気がするんですが・・・・・・

http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0904a.pdf

○またも輪番の質問がやたら多く

で、それに対して会見当日の情報ベンダーのヘッドラインを見てましたら「また今回も長期国債買入増額を思いっきり否定してますなあ」という印象だったのですが、会見要旨そのものを見るととりあえず説明に終始している感じで少々「???」感が。何回同じ説明させてるんだかという気もしますけど、もういい加減同じ説明するの止めちゃえばとか思っちゃいます。

ただまあ情報ベンダーのヘッドライン見てると、説明を淡々としているというよりは「だから輪番増額はしないんです」みたいなニュアンスが聞き手の方に伝わってくる説明をしてるんだろうなあと想像できる(だから各社のヘッドラインがそういう感じになるんでしょ)次第でして、別に輪番増額に関して自分からテーブルの賭け金吊り上げてどうするんだ(最終的に増額することになった時に総裁の発言に対する信認問題になる、というか既に市場は「そうは言ってもこの総裁追い込まれるとやるんでしょ」というイメージになってるもんね〜♪)という感じです。

それは兎も角。

まず銀行券ルールに関する質問がありましてその答え。

『銀行券ルールと通常言われているものについてですが、金融調節という仕事に普段から関わっていないとなかなか理解されにくい事ですので、少し丁寧に説明したいと思います。銀行券ルールそれ自体を説明するというより、銀行券ルールを撤廃してもっと長期国債を買った方がいいのではないかという質問に答えることによって、今のご質問に答えることにした方がよいかと思います。』

『所謂銀行券ルールを撤廃した方がいいのではないかということを議論する際に意識されている目的は2つあると思います。』

で、まず最初の目的ですが、要は資金を供給しろという話。


○銀行券ルール、調節上のでは・・・・

『1つは、金融経済情勢の悪化に対応して日本銀行が潤沢に資金供給を行えるようにするという目的です。ただし、そうした目的であれば、現在、銀行券ルールを撤廃する必要はないと考えています。資金供給を行う手段としては長期国債を買入れる長期オペと短期の資金供給オペの両方がありますが、現在のところ、長期オペを増額しないと潤沢に資金供給できないという状況ではないからです。むしろ、長期的な負債つまり銀行券に対応させた長期国債オペと、準備預金など短期的に変動する負債に対応させた短期オペの両方を活用した方が、円滑かつ潤沢に資金を供給できると考えています。』

『日本の場合、銀行券や財政資金に起因する当座預金の振れが非常に大きく、そうした短期の振れの調整を全て長期国債オペで行うとすると、その都度長期国債を売買することになり、長期国債市場に攪乱的な影響を与えてしまうことになります。』

ということで、通常の調節だけ考えると実務上はその通りなのですけれども、「日銀が能動的に長期国債の買入を増やすことによってマネーを増やすという発想はないのか」という点については別の質問(FRBが大量に長期国債買っているようですがそれとの整合性は??)に対して白川さんがこのように説明しています。

『中央銀行の政策を議論する際には、バランスシートに則して考えなければなりません。つまり、何らかの資産を買うにはそれに対応する負債が必ずなければならないということです。中央銀行の負債は圧倒的に銀行券であり、無利子である銀行券を国民の皆さんが保有することによって、中央銀行はそれに見合う分だけ国債を買えるのです。それを超えて資産を持つためには、それに対応する負債がなければなりません。』

というと「じゃあ日銀が銀行券を発行すれば良いじゃないか」とか某産経新聞の電波成分入りオジサンあたりが言いそうですが、銀行券に関しては発行、還流に関しては日銀は受身(市中銀行だって実質受身みたいなもんです)なのですけれども、まずそこで議論が成立しないんですよね。つまり、極端な話をすれば日銀が買いオペやって見合いに日銀当座預金残高を増やす代わりに銀行券を金融機関に渡したとしても、その銀行券って即座に還流してくるだけの事ですわなという話じゃないかと。(財政政策とセットになると話は別ですがそれは別の議論)

『例えば、日本の量的緩和の時のように、金融システム不安が非常に高く、その結果、金融機関が当座預金を無利子でもたくさん持っているという状況では、それに見合って国債を多く持つということは理屈のうえでは有り得ると思います。そのような状況でなければ、銀行券を上回って国債を保有するという状態というのは、中央銀行自身が自ら金利を払って債券を発行し、それに見合う分だけ国債を買うという形でしかバランスシートは成り立たないのです。つまり、政府が国債を発行し難い時に中央銀行のような公的セクターが債券を発行すれば、それに見合う分だけ国債を買えるという議論です。』

ほほー。

『以上のように、中央銀行のバランスシートに即してどのような状況を意味しているのかを考える必要があります。所謂銀行券ルールは、日本銀行が勝手に設けたものではなく、こうしたメカニズムを踏まえたものと言えると思います。』

ということなのですが、そういう話をしますと、現在は日銀当座預金における超過準備に付利を行っておりますので、実はこの「中央銀行自身が自ら金利を払って債券を発行し、それに見合う分だけ国債を買うという形でしかバランスシートは成り立たないのです」という状況が自動的に達成できるという素敵な状態になっているのでは無いでしょうかと突っ込まれたらどう答える積りだったのでしょうか(ちなみにそんな質問はたぶん咄嗟に思いつかないですわな^^)。

とは言え、超過準備付利は臨時措置という事になっておりますので、将来もうちょっと普通の金利操作の世界に戻った時に日銀が保有する長期国債の残高がやたら多くなったらどうなるのかという話が主眼だと思うのですよ。そうなりますと、先ほど引用したように、「長期国債買入ばかりやっていると、金融調節のテクニカルな理由で長期国債のアウトライトの売り切り、買い切りが連発される状況になった時に困る(長期金利が乱高下してボラティリティーが高くなるすると一般向けの金利とかも高くならざるを得ないから)という話なんでしょうと。

でも、そういう観点であれば、短期オペの世界に含まれる部分に関しては(どうせ短期で償還されるのだからテクニカルに足を引っ張る話ではないという意味で)銀行券ルールを厳密に適用する必要あるのかいなという気は(毎度申し上げておりますように)するのでありますよ。輪番のゾーニングする前で国債の元利金取扱手数料引き下げ前だと、うっかりしたら短国買入で1年近いものが入る側から長期国債買入で残存1か月ものが打ち込まれていたような状況があった訳でして、そういう場合に「調節上のテクニカルな銀行券ルール」を意識する意味が実質的にどうなのよというお話になりますわな。

ということで、今回銀行券ルールについては大演説をしているのですが、先ほども申し上げたようにあまりテーブルの賭け金を自分から上げていくのはどうなのかと思いますし、折角色々な施策やっているのに総裁会見のニュアンスが「嫌なんですけど渋々やりました」的なものがプンプン伝わってくるのは如何な物かと思われます。そりゃまあ白川さん個人的にはやりたくないんでしょうけれども、そこは前任のインチキ力を見習って、「はらわた煮えくり返っていてもニコニコ笑顔でやる気満々会見」(福井さんがそうだったのかどうかは知らんが多分そういうキャラでしょ)というのをやるべきではないかと。


○銀行券ルール、財政ファイナンスの問題

最初に引用した話の続きから。

『一方、銀行券ルールを撤廃した方がいいのではないかということを議論する第2の目的としては、財政拡大と国債増発が行われる際に財政ファイナンスを容易化する、あるいは長期金利を安定化させるということが考えられます。』

『しかしそのような目的であれば、銀行券ルールの撤廃はむしろ逆の効果を及ぼし、財政ファイナンスの面にも長期金利の面にも悪影響が出てくると思います。つまり、金融政策が、物価安定の下での持続的な経済成長の実現という本来の目的から離れ、財政ファイナンスに焦点が絞られてくると、将来の金融政策に対する不確実性が増大し、長期金利が上昇してしまいます。このことは、特に日本のように財政のバランスが悪い国においては非常に大事なことだと思います。』

財政が発散しない中であれば問題ない話だとは思いますが、まあ日本の場合はねえという話はそうですねという感じです。まあそもそも論を持ち出しますと、財政拡大懸念による長期金利上昇を抑制するために「放置したら経済に悪影響を与えるので緩和する」というのを「あくまでも一時的に」実施するのはアリなのではないかと思いますけど(FRBの長期国債買入だって期限6か月ですわな)、日本の場合はその「一時的措置」が一時的措置で終わらないというのが仕様になっておりますし、日銀と政府がちゃんとアコード結べるかと言えば、アコード結んでも「そんなの知らん」とか言い出しそうな2大政党のもう一方がありますので難しいわなとは思います。

#そういや国債大量発行ネタでドリームショートをしている人がいそうな雰囲気が思いっきり漂ってくるんですけど最近の債券先物は・・・・



ということで、銀行券ルールの所だけ引用して雑感かいてたら長くなりすぎましたので残りは明日にでも。というか金融経済月報もありますわな(大汗)。景気に関してはさすがに下ぶれリスク意識全開で、展望レポートの絶賛大下方修正は必至ではないかという所です。

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2009/04/08

お題「決定会合結果、担保範囲の拡大」

まあ予想通りという感じでしたが・・・・・

○景気認識は基本的には変化ないですけれども・・・・

今回の決定会合声明文
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090407.pdf

今回は適格担保の拡大を行いまして、地方公共団体向けと政府に対する証書貸付債権を適格担保に新たに加えたという結果になったのですけど、まあそっちに関しては後ほど書くとして、まずは経済情勢に関する部分を前回と比較してみます。3.の所ね。

『わが国の経済情勢をみると、海外経済の悪化により輸出が大幅に減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。』(今回、前回と同じ)

『金融環境をみると、CP・社債市場の発行環境は改善しているものの、全体としては厳しい状態が続いている。これらを背景に、わが国の景気は大幅に悪化している。』(今回、前回と同じ)

という調子で、前回と同じ文章が続くの巻でありまして、まあ厳しい見方は変わりませんということで。

『今後は、内外の在庫調整の進捗を背景に、輸出・生産の減少テンポは緩やかになっていくと予想されるが、国内民間需要は更に弱まっていくとみられるため、わが国の景気は、当面、悪化を続ける可能性が高い。』(今回)

『これらを背景に、わが国の景気は大幅に悪化しており、当面、悪化を続ける可能性が高い。』(前回)

当面の話に関して、結論の「悪化を続ける可能性が高い」というのは変化ないのですけれども、ここもとの経済統計などを受けたのか要因分解をして見通しを述べています。まあしかし国内民間需要が更に弱まっていくというのは見方としては厳しいのではないかと思料。

物価の見方、先行き景気の見方に関しては前回と同じですので一応引用だけ。

『物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して足もと低下しており、今後は、需給バランスの悪化も加わって、マイナスになっていくとみられる。』(今回)

『景気・物価の先行きについては、2010 年度までの中心的な見通しとしては、中長期的な成長期待やインフレ予想が大きく変化しないもとで、2009 年度後半以降、国際金融資本市場が落ち着きを取り戻し、海外経済が減速局面を脱するにつれ、わが国経済も持ち直し、物価の下落幅も縮小していく姿が想定される。』(今回)

『こうした下で、見通し期間の後半には、物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けるとみられるものの、このような見通しを巡る不確実性は高い。』(今回)

で、リスク要因も同じ話をしておりますが、引用するのも芸が無いので引用割愛。


○今回の措置は「金融調節の一層の円滑化」だそうで

んでまあ今回は適格担保の拡大を行ったのですけれども、声明文では導入の意図をこのように説明しています。

『日本銀行では、金融調節の一層の円滑化を図るため、以下のとおり、適格担保の範囲を拡大することを決定した。』(今回)

では輪番増額の時にはどういう話をしていたかと見ますと。

『日本銀行は、金融市場の安定を確保するため、引き続き、積極的な資金供給を行っていくことが重要であると判断した。こうした観点から、長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行っていくため、長期国債の買入れを以下の通り増額することとした。』(前回)

ということで、輪番増額は「長期の資金供給手段の活用」で「円滑な金融調節を行う」という理屈で実施しましたが、今回の担保拡大は「金融調節の一層の円滑化を図る」ということで根っ子の部分は同じ理屈になっています。ほっほーという感じですけどね。

従いまして、今回の声明文でもこのようになっています。

『日本銀行は、金融政策面からわが国経済を支えるため、昨年秋以降これまでの間、政策金利の引き下げ、金融市場の安定確保、企業金融円滑化の支援という3つの柱を中心に、様々な措置を実施してきた。本日の適格担保範囲の拡大措置も、金融市場の安定確保の観点から、決定したものである。』(今回)

ということで、まあ政府や地方公共団体向けの証書貸付債権の適格担保化を企業金融に絡めて話をするのは無茶なので「金融市場の安定確保」という話になったのでしょう。


○で、内容ですけれども

具体的な内容はこちら。
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0904a.pdf

従来は政府向け貸出で適格担保になっていたのは、上記URLの2ページ目にある変更内容ご案内の部分で斜線が引いてある「交付税及び譲与税配付金特別会計に対する証書貸付債権」「預金保険機構に対する政府保証付証書貸付債権」「銀行等保有株式取得機構に対する政府保証付証書貸付債権」だったのですけれども、今回はそれ以外(国有林野会計などだと思いますが)にも拡大という話。

それから、地方公共団体向けに関してですが、公募地方債は従来より適格担保になっていますが、非公募地方債に関しては日銀から適格判定を受けたものに関しては従来より担保として使えていると認識しておりまして、そういう意味では「縁故債も対象になりました」というのは微妙にミスリードな気がする報道だと思うのですが。

#証書貸付債権まで縁故債というカテゴリーで扱う場合もあるので全然違う訳でもないけど

今回は地方公共団体向け(地方公共団体の公社とかは含まれない)の「証書貸付」を新たに適格対象に加えますという話になりますので、普通に解釈すると「債券」形式じゃない「証書貸付」という譲渡性が一段落ちるモノを日銀が担保に取りますよという話で宜しいかと思います。

時期的に言えばこれから出納整理期間になって地方債やらローンやらが出る時なので、まあ一応そういう意味では美しいタイミングなのですけれども、どっちかといえばこういう担保拡大は担保繰りが逼迫気味だった昨年の10月以降の早い時期に実施して欲しかったなあという感じです。現状ではそんなに担保繰りが大変になっているような話は聞こえて来ませんので・・・・・

で、これって日銀が適格判定するのですが、日銀がダメというラインってどの辺になるのでしょうかねえ。

『(1)入札等の貸付条件の決定方法、債務者における公募地方債の発行実績等を勘案して、本行が適格と認めるものであること。』

一応補足しておきますと、非公募地方債の場合、基本的には公募地方債に準ずる流動性がある(要するに債券市場で普通に売買されるような非公募地方債)ものだと普通は適格になる筈ですし、そもそも手間隙の点からして、そういうモノしか担保に入れにいかないと思われますので、まー実務上は従来の適格担保になっている地方債を発行している地方公共団体向けの証書貸付を担保に出すって話になるんでしょうけどね。

もうちょっと早く実施する、というか措置として確かに世間アピールイマイチなのですけれども、10月から12月に掛けての金融環境の元では特にこの措置て地味ながら効くし、それこそ社債を買うとかいうような話と比較して別に筋の悪い話でもない(と思う)ので、順番逆だったですねとは思いますが、やらないよりはやる方が良い話なので、良い話だったのではないでしょうか。

#会見に関しては明日

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2009/04/07

○米国10年国債が2.9%まで押し込んでいる件について

先週末の米国債券市場ではまたまた金利上昇の巻でして、昨日はあまり上がらなかったみたいですけど、2.92%とかでござるの巻。で、米債って何で売られてる(月曜のモーサテでは米国債券市場の数値も出さないというのは如何なものか)のと思ったら「バーナンキ議長が講演で出口政策に言及」ってあったので慌てて(あほです)先週末の議長講演を見たのです。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20090403a.htm

『The Federal Reserve's Balance Sheet』ってお題の講演で、中々中身は面白そうなのですが、例によって全部読んでいない(どうもすいません)ので詳しくはもうちょっと読んでからですが、最初の部分になります(紙に打ち出すと1ページ目)『Some Principles for Balance Sheet Policy』ってことですから「バランスシート政策」の原則みたいな話をしてるのですが、第4パラグラフに件の出口政策云々が。

『In pursuing our strategy, which I have called "credit easing," we have also taken care to design our programs so that they can be unwound as markets and the economy revive. In particular, these activities must not constrain the exercise of monetary policy as needed to meet our congressional mandate to foster maximum sustainable employment and stable prices.』

このパラグラフの最初の文が「市場や経済の回復に伴い質的緩和というか信用緩和というかまあその政策を巻き戻す(アンワインド)ことができるように考慮」みたいな話になっておりますので、まあ従来からFRBが言ってます「市場機能がおかしくなっている所に中央銀行が介入して市場機能を回復させる」というロジックに対しては整合的な話なのですけれども、出口政策に言及して長期金利が徐々に「長期国債絶賛大量買付け決定」時点のレート水準にあと10bpまで戻って参りまして、はてさてここからどうなるのやら。

まー米国市場のことはよー知らんのですが、市場ならここで当局のスタンス試しに金利上昇でスタンスチェックと逝って貰いたいものです(まあそんなことしなくても国債発行増でレート上昇しちゃうかもしれませんが)。10年3%乗せ水準になったところで、FRBがどう出るのか是非見たいです。まあ適当に考えますと・・・・

(1)長期国債買入実施を決定した時の理由として「信用市場の緩和」というロジックを出しているので、「信用市場の緩和が進んでいる」と言ってスルー。
(2)長期金利上昇は信用市場の緩和に反するので再度買入拡大。
(3)長期国債買入実施を決定した時に同時にデフレ突入懸念にもより強く言及してますので、正攻法で「デフレ回避の為にマネーの拡大を行う」と言って長期国債買入を拡大する(リッチモンド連銀ラッカー総裁のロジックですわな)。
(4)「デフレ懸念の後退に伴い長期金利が上昇するのは無問題」とスルー。

うーむ、どうなるのかはさっぱり判らない(その時の他市場の環境や不良債権問題の進捗状況にもよるでしょうし)のですけど、まあ是非見てみたいので(だいぶひとごとモード^^)米国債券市場におかれましては何卒10年3%を可及的速やかにやらかして頂きたく(^^)。

・・・・・とか何とか書いておりましたら、本石町日記さんが既にエントリーを上げておられました。何と言う人のふんどし(涙)。

http://hongokucho.exblog.jp/10669266/

期待インフレ率を上げる政策を実施して、それが市場に「効果あり」と認知されれば長期金利が上昇する訳でして、長期債市場に「市場介入」と言いながら突っ込んでいったFRBのロジックは何かまあ微妙なヌエのようなロジックではございまして(BOEはその点直球ストレートにマネーの拡大を標榜してます)、長期金利が上昇しだすとそのロジックのヌエ部分に効いて参りますのですが、それがあっという間に来るのが中々香ばしい展開ではございます。


・・・・・えー、まあそういう米債を受けてるのか何だか知らないですけど、長期金利がズルズル上昇して日本の10年は1.4どころか1.4台後半でござるの巻になりやがりまして、正直皆さんの今月の想定レンジでメインで見ている所を抜けちゃっているんじゃねえのという状態になっておりますわな。大体皆が意識している節目ではとりあえず買いがジャンジャン入るのですけれども、その節目というかレンジを抜けて勢い良く下がると投資家の皆様に置かれましては様子見地蔵になってしまうのが人間としての仕様でございますので、まあさすがにソロソロ止まらないかと思うのですが、止まるまで地蔵モードになるんでしょうな。

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2009/04/06

○そういえば今日から決定会合

4月は決定会合が2発あります(2回目は月末で展望レポート)ので、今週は決定会合ウィークなのですが、今の所とりあえず何か出るという話が無いので今回は久々に何も無いのでしょう。

#実際問題としては、日銀短観も出た今回は何かアクションするならまあ理屈的には整合性が取れるのですけどね

・・・・というよりも、「今度の決定会合で何があります」と毎度毎度どこかのメディアに出てくるというのは甚だ如何な物かと思われる次第でして、こういうの続くとマジメに分析(あたくしのがマジメかと言われるとかなり怪しいですが)するのがアホラシカになるので勘弁して頂きたく存じます。

それは兎も角。

とりあえず株価とか為替が良い方向に進んでいるので「決定会合の前になると市場の催促が始まる」というここ数ヶ月のパターンにはならずで市場の方でも今回に関しては「何かクレクレ」状態にはなっていないようです。で、まあそういう状況ですけど次にやる緩和見たいな施策は何でしょうと考えますと・・・・・・

(1)量的緩和みたいなのをする、(2)ゼロ金利政策、(3)輪番拡大、(4)ターム物誘導みたいなのをする、(5)クレジット物買入の拡大、(6)株などの購入、などなど思いつくのですけれども、このうち1は何となく今の調節がそんな感じになっています(以前はは無担保コールが中々0.10%を切りませんでしたが、最近は割と簡単にコールの加重平均が0.10%を切っていますわな)ので、ターゲットは設けていませんけれども結果としては量的緩和(ただし付利金利あり)みたいなもんですわな。で、2番目以降についてどうなのかを愚考。

ゼロ金利政策ですけれども、海外の中央銀行も(この前はBOEの議事要旨をご紹介しましたが)ゼロ金利みたいな状態にすることの弊害がどうしたこうしたというような話をしている昨今なので、まあどう見てもゼロ金利にはしたくないんでしょうなあと思われる日銀執行部がそうそうゼロ金利にしてくるとは思えませんわな。予想としてはそんな感じですけど、日銀だって物価が当面マイナスで推移と想定しているのですから現在の政策金利水準は下げるという話になるんじゃネーノと思うのですけどね。あたしゃ。

輪番(長期国債買入)拡大はそんなにややこしい話にならないと思うのであたくし的にはお勧めなのですけれども、先日の会見でわざわざ白川総裁がいわゆる銀行券ルールを盾にハードルを上げてしまったので、増額するには理屈(ある意味屁理屈の世界だが)を作らないといけませんですわな。

でまー理屈を考えますと、「そうは言っても銀行券ルールに引っ掛かるまであと数年あるのですからちょっと増額しても目先は無問題」と言うのが一案ですがちと無理気味。もう一案としては(以前も書いた気がしますが)「残存1年以下の長期国債買入は短期国債買入と実質的な差が小さい(厳密に言うと償還乗換の問題とかがあってちょっと違う)ので、残存1年以下の長期国債買入を短期国債買入に含める」という形にして実質的に残存を長くする理屈。

残存1年以下の長期国債買入を短期国債買入に含めると買入の額面総額ベースは同じですけれども、購入銘柄が長期化されますので、実質的には結構効果のある話なのですが、問題はそれを一般的にアピールできるのかという点ですかね。マーケット的には受けると思いますけどね。あたくし的には推奨スキームなんですが・・・・・

ターム物誘導に関しては、まあ今やってる施策以上に何かやるという話になるとかなり無茶なこと(ターム物の指値オペ実施とか)しか思い浮かばないです(いやまあ口で言うだけ攻撃はありますけど、それは多用するものではないと思います)。ターム抑えておきたければ今の何となく量的緩和(ただし金利付き)を継続しておけば良いのではないかと存じます。

クレジット物の購入拡大とか株式購入とかですが、それはまあ中央銀行がやるというより政策金融の世界でローンを出すとか保証制度を活用するとかまあそういう世界の話ではないかと思われますので、補正予算でやってくれる話になるんでしょう。株式を市場から購入するのは何だか「ハァ?」って感じですけれどもね。

ということで頭の体操をしてみましたが、どうせあたくしの書いている事ですから発想に抜けがあると思いますので、思考の叩き台にでもなれば幸いでございます。


○決済制度に関する小ネタだが以降延々と続きそうなネタ

この前フェイルに関する話をしたのですが、それに関連してもう少し色々とネタが膨らんで参りましたので全然まとまってないけどつらつら書くのだ。

えーっとですね、フェイルに関してですが、実際問題としてはRTGS導入の時点でフェイルに関する覚書というのが日銀ネットで国債決済をしている人たちの間で締結されておりますので、そもそも論として「フェイルを認めない」というのが有り得ない(覚書結んだのを知らんというのは覚書になってないでしょというあまりにも直球の正論)のではないかというのが話の発端。

・・・・いやまあそうなんですけど、たぶんバイサイドの人間でちゃんとそういう認識持ってないでしょうなあという情けない状態になっているとか、覚書締結したのはいいけど投資家サイドの方で各種手続き(色々と考えていたのですが、何が必要かを整理するのがややこしい。事務上の問題とか計理上の問題とか)が全然改善されていないとか、日銀ネットに直接参加していない投資家(事務は信託銀行が行っている投資家)だとそもそもそこまで覚書入っているのか良く判らん(それは調べます)とか、まあ色々しょうもない実務的な事情があるようで、突っついて行くと結構根っ子に色々と改善しないといかん点があるようです。

#もっと言えば委託者は「そんなの知らん」と言い出しそうですし(汗)


元々国債の決済が普通に受渡されて受渡遅延が存在しないという前提のもとに各種の流れが出来ているので妙な事態になっているのかなあとも思ったのですが、そこでふと思い出したのは一般債(^^)。

えー、ある年齢以上の人じゃないと全く判らんと思いますが、かつては一般債では登録機関が発行する「登録済証」(業界は「ズミショウ」と呼んでいた)というのがあって、所有者が移転した場合は売り方と買い方の判子をついた「移転登録請求書」と「登録済証」を登録機関に持っていくと登録機関で登録するという人力制度があったんですな。

詳しい説明しだすとこの話だけで延々続くので端折ります(詳しくは職場の年寄りに聞いてください)が、これやっている時は今よりもディーリングが活発でしたので、登録機関での移転登録手続きが間に合わないうちに転々と玉が流通し、債券売買契約そのものは要物契約ではないので売買はどんどん成立しているのですが、登録機関ベースでの債券保有者は現状の真正な保有者の何人も前の状態だったというような素敵な決済遅延をしていたのですよ。

これって今の常識からしたらとんでもないフェイル状態なのですが、当時は金融機関などはコケないという前提だったので、「そのうちモノがやってくるでしょう」という感じで月末になると「まだ来ていない登録済証のトレース」というのがお仕事になってまして、「今何人前の所まで来てます」というようなのを管理帳票に書いていた気がする(というのは業者の受渡部門であたくしがやっていたことなので、投資家がどういう処理してたのかは詳しくない)ので、このときって計理上どういう処理してたのでしょうね(これも調べます)。

#この制度が変更になったのが証券危機の直前

その話はおいとくとして、国債決済ってRTGS導入前は発行量が今よりも圧倒的に少なかったのに思いっきり普通に流通してたのは、何といっても「ループ取引オッケー」というのがでかかったですわなと思います。それこそ4年とか6年国債だと恐らく「投資家のロングが8000億円VS業者のショートが3000億円」みたいな状況になっていたんじゃないかという状態でして、どうせ記番号管理とかしないで総額残高管理してるんだから、せめて「ループ決済を認める」ようにすれば、特にカレント物の決済って良く回るようになると思うのですけど・・・・やっぱダメなんですかね。

#まあフェイルフェイル言いますけど、日常のようにフェイルがある外債と比較してフェイル率がとにかく低いのは大変なもんですよ

・・・・結局何が言いたいのか判らん文章になってしまいましたが、まあ今後も色々と妄想を膨らましてみますです。それから日銀はフェイル慣行を定着させたいのであれば、国債売買系のオペレーションにおけるフェイルを事務ミス扱いすべきではなく、普通のこととして受け入れるべきではないかと思いますけれどもどうっすか(^^)。

以下このネタは整理できないまま無駄に長い話が続く(予定)。

#雑談大会でどうもすいません

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2009/04/01

○補完供給とかフェイルの話とか

昨日もまたまた補完供給オペが実施となりました。銘柄は10年249回ということで、これで249回が23日、25日〜31日(24日は10年267回だけでした)の補完供給実施、267回が23日〜30日の実施となりましたが、まあ結局期末まで随分引っ張りましたなあという感じでございます。局地的な現象だとは思いますけど、ここまで延々と補完供給が引っ張られるとはやりますなあという感じでした。昨日は落札275億円で、前日から100億円減っていましたので、玉手当ての方は進んでいるのでしょうかね。まあいいけど。

#ところで、時事メインのフラッシュが毎度毎度「補完供給オペ、札割れ」になっているのですが、他のオペと違って札割れにインプリケーションありません、というか札割れじゃない方がおそロシアなのでして、「札割れ」っての何か変えた方が吉かと思われ。

あとまあ昨日書かなかったのですが、相場が下がりながら迎える決算期末特有の10年カレント買い攻撃(四半期毎の償還の山と残高積みと益出し入れ替えのニーズ対応です)によって10年新発299回のレポが逼迫、というかおまいらジャンジャン買うのは良いけどレポ出さんかゴルァとも思いますが、レポの出が悪くてレート的には3か月手前の償還と同じ水準というロールダウンとかマル無視の展開になっていまして、末のレポ大丈夫かねとか思ってましたが、こちらは最後の方で末初のレポ1日分で結構なマイナスレートがついたものの、とりあえずバッドフェイルとかは無かったようで何より。

#今日の短観で相場水準がうっかり2毛ほど下がると10年新発がリオープンじゃなくなるというおそロシアな展開になりますのでレポ&キャッシュ対顧的にはちょっと気になりますな

世間話を続けますと、金利水準がこの有様になりましたので、フェイルに関してはそれなりのペナルティつけるとかいう話にしないと、ただでなくさえ投資家がフェイル認めねえという話なのが中々進まないのではないかとも愚考します。米国では確か5月からフェイルに対してペナルティー金利をチャージするとかいう話になりまして、元々海外ではフェイル慣行が定着しており云々って話はやはり金利水準に依存したものがあったんですねえという感じではないかと思います。

とは申しましても、実際問題としてフェイルがあって投資家何が困るかという話ですが、未決済取引が積み上がるとカウンターパーティーに関する与信が積み上がる(確かバーゼルUでも未決済取引はカウンターパーティーへの与信としてチャージされていたし、フェイル状態が続いているとチャージ料が高くなると記憶してます。違ってたらゴメンナサイ)というのと、フェイル食らった状態のままだと約定ベースで残高になっていても売れない(受渡までにフェイル解消しないとこっちがフェイルになってしまうから)というのと、手元に残ったキャッシュに関して扱いに困る人も投資家の種類によっては居そうな気がしますが(キャッシュ比率何%以下とか制限している場合に建付上困るのかなあとか)、後は「計理処理が面倒だから勘弁」的な話だとは思います。

#外債もそうですが、最近では株式でもフェイルってありますから、全くダメダメだという話ではないと思うんですよ。よー知らんが。

まあこの金利水準で決済関連の投資って「収益にロクに貢献しない話なのにナンデヤネン」という感じで中々進んでくれないというのが前回の量的緩和時代の経験則かとは思うのですが、リーマンショック以降色々と大変だった時の関係者一同が揃っているうちに決済関連がより良い方向に進化して欲しいものでございます。

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