金融政策概観(2010年度上期後半分(2010年07月〜09月))

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2010/09/28「BOEの直面する問題は景気下ぶれとインフレ拡大をどうするのかですな」
2010/09/22「FOMC声明文で物価の水準に関する言及が」
2010/09/17「非不胎化に関する短期金融市場以外と与党の一部のアホウの不毛な話題は更に続く/白川総裁は折角の正論を言っても発言の一部を切り取られるリスクをもっと意識すべきである」
2010/09/16「為替介入炸裂につき相場雑感や非不胎化をめぐる不毛な論議への悪態など」
2010/09/15「民主党代表選雑感/バーナンキジャクソンホール講演(その5:最終回)資産買入のロジックがどう見ても途中から破綻している件について
2010/09/14「バーナンキジャクソンホール講演(その4)資産買入のロジックが苦しい件」
2010/09/08「決定会合声明文に謎の決意表明文が入るも肝心の為替市場は反応せず」
2010/09/07「週明け相場には中期が売られる/バーナンキジャクソンホール講演(その3)」
2010/09/06「流動性供給入札で超長期売られる/8月FOMC議事要旨より、資産買入が量的緩和じゃないと」
2010/09/03「超長期更に売られる/バーナンキジャクソンホール講演(その2)」
2010/09/02「またまた超長期売られる/6か月オペ早速実施/TIBOR金利低下」
2010/09/01「財務副大臣の無責任発言/総裁会見より」
2010/08/31「更に超長期金利など瞬間的に上昇する/臨時決定会合レビュー」
2010/08/30「臨時会合実施へ/超長期金利更に上昇/バーナンキジャクソンホール講演(その1)」
2010/08/27「民主党小沢前幹事長の代表選立候補を受けて・・・かどうか判らんが超長期金利上昇」
2010/08/26「円高進行で短期市場は再び織込み度合いを高める/BOEネタのイントロ」
2010/08/25「野田財務大臣の自爆会見により円高進行/ブラードさんの量的緩和論(その3)」
2010/08/24「何と菅さんと白川さんの会談はただの電話でした/ブラードさんの量的緩和論(その2)」
2010/08/23「金曜の市場はややクールダウン」
2010/08/20「追加緩和ネタでバタバタが続く/短期ゾーンは完全に臨戦態勢に」
2010/08/19「輪番やらTB入札やらで短いゾーン更に注目集まる/会談もしかして手ぶらなの?」
2010/08/18「短いゾーンが更に盛り上がる/菅さんと白川さんの会談が行われるそうで」
2010/08/17「GDPが予想外の下振れで債券相場上昇」
2010/08/16「セントルイス連銀総裁ブラードさんの量的緩和論(その1)」
2010/08/13「為替市場でドタバタ/今積み期間は資金供給が多めです」
2010/08/11「渡辺喜美先生たちの謎のパフォーマンス/FOMC声明文より」
2010/08/10「日銀決定会合プレビュー雑談」
2010/08/09「FOMCプレビュー雑談」
2010/07/28「6月FOMC議事要旨に見る資産圧縮に関する議論」
2010/07/27「当座預金残高が妙に高水準キープ/欧州ストレステスト」
2010/07/26「バーナンキ議会証言から、景気見通しはあまり変えないけれどもリスク認識を」
2010/07/21「FOMC6月議事要旨(その2)良く見るとそんなに無茶苦茶下げている訳でも無いが・・・」
2010/07/16「いつものように間の悪い日銀景気認識/みんなの党の日銀法改正案が意味不明」
2010/07/15「決定会合プレビュー/FOMC6月議事要旨は下振れ意識(その1)」
2010/07/14「BOEフィッシャーさんの英国インフレに関する考察講演」
2010/07/12「選挙結果雑談」
2010/07/07「外山金融市場局長の暴言インタビューの波紋と雑感」
2010/07/06「外山金融市場局長のTIBORに関する暴言に類する信じ難いインタビュー記事」
2010/07/02「TIBOR更に低下/期初の売りが買いに圧倒される需給環境」
2010/07/01「TIBORが低下/短国発行減額/ECBの3か月物LTRO」

上期前半のインデックス(上期前半のページに飛びます)

2010/06/30「米国長期債金利が勢いをつけて低下中/国債決済期間短縮関連」
2010/06/29「末初のGCレート上昇/フェイルチャージ導入雑感」
2010/06/28「BOE6月議事要旨より、物価上昇に悩むBOE」
2010/06/25「連日の派手派手上昇相場ですが、さて海外要因ってどうなんでしょう」
2010/06/24「FOMC声明文:そんなに激しく買いで反応するないようでもないと思うのだが・・・」
2010/06/23「ECBスマギ委員の講演から:市場機能強化の話が金融規制につながるとな」
2010/06/22「ECBのスマギ委員の講演から:金融政策には市場安定化が必要という話」
2010/06/16「決定会合レビュー」
2010/06/15「金融調節雑談」
2010/06/14「ECBトリシェ総裁のMPC終了後の会見がオモシロイ」
2010/06/11「決定会合プレビュー/バーナンキ議会証言から」
2010/06/10「米国でも国債買入の話がグダグダの中では輪番の拡大は難しいのかもしれません」
2010/06/08「コールレートが覆面利下げ状態/トリシェ総裁のルモンド紙のインタビューが中々オモシロス」
2010/06/03「菅さんが次期首相有力とな/成長基盤強化関連の記事が出ています」
2010/06/01「BOEの議事要旨から、下振れリスク意識しまくり&国債買入の意味不明状態」
2010/05/31「パニックは一旦落ち着く/バーナンキ講演から、長期国債買入の位置づけが訳判らん」
2010/05/28「要するに欧州市場次第という所ですが」
2010/05/27「バーナンキ議長の東京での講演から」
2010/05/26「スペインの小さな金融機関のネタで欧州市場が大揺れ」
2010/05/24「決定会合レビュー」
2010/05/21「決定会合プレビュー/FOMC議事要旨より資産売却に関して、基本は慎重対応」
2010/05/20「ドイツ謎の空売り規制/短国が強い/FOMC議事要旨は基本的に景気に慎重」
2010/05/19「ECBの吸収オペ/日銀ドルオペは札僅少/コーン副議長講演から(その3)」
2010/05/18「ECBの吸収オペ/田谷さんのフリーダム解説/コーン副議長講演から(その2)」
2010/05/17「コーン副議長の講演からまたまた(その1)」
2010/05/14「今回の積み期間のコールが思いっきり0.09%になっている件」
2010/05/13「3か月TB入札は0.11%台前半/ドルオペはとりあえず1本実施/バーナンキ議会証言」
2010/05/12「短国がやたらと強くなっているようです」
2010/05/11「ECBの信用緩和炸裂ですな」
2010/05/10「ギリシャ危機を受けて即日オペ実施」
2010/05/07「展望レポートの内容は循環と構造のバランスを取っています」
2010/05/06「不思議な指示が出た決定会合」
2010/04/30「FOMC声明文は循環と構造のバランスを取っています/では日銀展望レポートは?」
2010/04/28「3月BOE議事要旨からメモ:量的緩和の効果については華麗にスルー」
2010/04/27「コーン副議長の講演から(その6)プライスレベルターゲットについては否定的」
2010/04/21「オペのバランスに関する雑感/コーン副議長の講演から(その5)物価目標に関して」
2010/04/20「展望レポートで構造的な話をしてくれるかな/当預残17兆円/コーン副議長講演から(その4)通常の金利操作を資産価格の変化に割り当てるべきかという問題について」
2010/04/19「3月FOMC議事要旨に特にホーキッシュな場所は無く」
2010/04/16「コーン副議長の講演で敢えてスルーしている財務省証券買入の効果について」
2010/04/15「コーン副議長の講演から(その3)超過準備の意義と効果」
2010/04/14「コーン副議長の講演から(その2)資産買入プログラムの意義と効果」
2010/04/12「コーン副議長の講演から(その1)流動性供給プログラムの必要性と監督の重要性」
2010/04/09「金融経済月報と総裁会見の強気度が全然違う件について」
2010/04/08「声明文と総裁会見のあいだに妙なギャップがございます」
2010/04/07「短観のCP参考系列は使える/新型オペはもう増やせない件/FOMC議事要旨斜め読み」
2010/04/06「2月と3月の間で話にギャップの大きいBOE議事要旨」
2010/04/05「決定会合プレビューと言うより雑談/オペ買入ペースは平常運転」
2010/04/02「短観&生活意識アンケート、景況感は改善も物価見通しにやや暗雲が/共同通信が謎の金融緩和観測記事」
2010/04/01「イエレン講演ネタの続き」


2010/09/28

お題「久々にBOEネタでどうでしょ」

何か期末の帳尻合わせのように総裁の講演だのペーパーだのがうじゃうじゃ出てきて期末のクソ忙しい中勘弁して欲しいのですけれども(苦笑)。

という事で(どういうことだ)BOE関連で9月のMPC議事要旨あたりから少々。なお期末なのに相場雑談が無い件は気にしないように(汗)。

BOE議事要旨9月8〜9日分はこちら。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2010/mpc1009.pdf

ちなみに8月4〜5日分はこちらですが、あたしゃ何となく読んだのですがネタにしなかったような気がする(汗)。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2010/mpc1008.pdf

主に9月Minuteをネタにするので以下引用は断りがなければ9月Minuteでござる。


○インフレに対するリスク判断

第23パラグラフ以降の『The immediate policy decision』以下の所をまずは最初に読む訳ですが、8月には割とサラサラと流していたインフレに関する部分がいきなり出てくるでござるの巻(ちなみに「Inflation, Inflation, Inflation」ってお題のスピーチが9月22日にSpencer Daleさんから出てるのですが中身はまだ読んでいない)。

『The Committee reviewed how the key risks to the medium-term outlook for inflation had changed over the month.』

ちなみに8月はインフレに関して「5月のインフレレポートよりも一時的に上昇」という評価をしていましたが、そんなに長いスペースを取っているわけではない。

『The first key risk was that the prolonged period of above-target inflation would lead inflation expectations to drift up, making it more costly to bring inflation back to target.』

足元のインフレ率が高い状態を継続することによってインフレ期待が高まってしまうリスクでございますわな。

『The second key risk was that private demand would not grow sufficiently quickly to replace the waning boost from the working out of the stock cycle and public spending, thus increasing the margin of spare capacity in the economy and causing inflation to fall materially below the target in the medium term.』

民間需要へのバトンタッチが出来ずに、生産力の余剰がインフレ率を押し下げてしまうリスクという下方のリスクですわな。

で、このリスクに対する評価ですが、最初のリスクに関しては「給与の伸びが抑制されている」「サーベイなどによると一般のインフレ期待は安定している」ということで、「この1か月でリスクに変化は無い」という結論になってますな。第24パラグラフです。

『In relation to the first risk, CPI inflation had remained unchanged at 3.1% during August, although pay growth measures had remained subdued. Most indicators of inflation expectations were broadly unchanged. Overall, the Committee judged that the upside risk to inflation expectations, and so the inflation outlook, remained but had not changed materially over the month.』

で、2番目のほうのリスクに関しては年後半の民間需要の見通しは概ねバランスしているという話のようですな。ということで第25パラグラフ。

『With regard to the second risk, developments over the month were on balance consistent with a reduction in growth prospects for the second half of 2010. In the latest vintage of ONS data, private sector final demand had been broadly flat during the first half of the year as a whole. Instead, growth had been accounted for by contributions from stockbuilding and public expenditure, both of which would fall back in due course. Some indicators also suggested that service sector output growth could weaken during the second half of the year. There had, however, been more promising information about the strength of consumption in the third quarter.』

ということで結論はリスクはバランスと言う事なのですが、んじゃあ何でこんな話がいきなり出てくるかといいマスト、物価に関する委員会の検討部分に該当する第19パラグラフの所にこんなのがあるんですよ。

『Near-term prospects for inflation remained unusually uncertain and sensitive to the impact of a number of factors whose impact was difficult to evaluate accurately.』

unusually uncertainってどっかで聞いた台詞ですが(^^)、この要因はその後に書いてありますけれども、VATの引き上げとか、小麦価格の上昇とか、ここまでのポンド安の影響とかエネルギー価格の影響とかを並べています。ちなみに8月MPC議事要旨でもまあこの辺に関してはああでもないこうでもないという話がありまして。

『The Committee could not be sure of the extent to which inflation would moderate. Businesses’costs and prices depended on the degree of spare capacity, both within companies and in the labour market, and therefore in part on the strength of demand.』(これは8月MPC議事要旨第28パラグラフ)

この後要因に関してああでもないこうでもないと書いてあるのですが、それに関しての議論がさっきの部分という感じになっています。


○海外景気とか金利動向とか

第26パラグラフは海外経済の話ですが、手抜きで引用を割愛しますが、海外経済に関しては米国が弱いけどユーロは予想より強く、先行き見通しは上下共に不確実という話をしています。

で、第27パラグラフですが、世界的な金利低下に関して言及(これは最初の部分の金融市場の状況に関する委員会の検討部分でああでもないこうでもないという話をしていますが、欧州や米国の成長及びインフレの下方見直しによるものと、将来の政策金利パスの下方シフトという話をしています)してまして、また、足元で英国の金融機関のファンディング状況が改善している事が、英国におけるクレジット市場環境の改善に繋がるという「ほほー」な指摘も。

『International short and medium-term interest rates had declined substantially over the month. Those falls, insofar as they had reflected revised views about the future course of monetary policy, would be likely to stimulate activity at home and overseas. Moreover, the external financing raised by UK banks during August, and over the year as a whole, would contribute to the necessary restructuring of their balance sheets. That restructuring, which would take a long time to complete, was a pre-condition for an eventual normalisation in credit conditions.』


○景気に関するリスクは若干下方&量的緩和の「量」の話はいずこへ

第28パラグラフから。

『Committee members differed in their interpretation of these developments for the balance of risks to activity and so inflation in the medium term.』

ということですが、次にあるように多くのメンバー(なのかな)はリスクはあまり変化ないという話なのですが。

『A number of members thought there had been either a slight reduction or little change to this risk, with weaker news about the prospects for activity during 2010 H2 and the boost from lower market interest rates acting in opposite directions.』

ここでお洒落なのは、金融面からの景気への効果というパスに関連して「市場金利の低下」が景気押し上げに働くという話をしているのですが、えーっとBOE様の量的緩和で景気の押し上げってえ話を元々してませんでしたっけというのが味わいがあると思うのですよね。「我々の実施している政策は量的緩和政策で米国や日本のやっている政策と違うんですよ(キリッ)」としてわざわざ「Quantitative Easing Explained」なんてコーナーまで作ってQuantitativeの話をしていたはずなんですが、結局マネタリーの話ではなくて金利パスによる政策効果の話になっているのはもう何と申しますか大変に味わいのある話で、昨今ではFRBも市場金利の低下効果でどうのこうのという話をしていますが、結局そういうことになるんですよねというのは実にお洒落。

でですな、金利低下の要因が(一々引用しませんが)先ほどのように成長や物価の期待に関する部分に加えて「政策金利の将来のパスの下方シフト」によるものという話であれば、実は時間軸効果が一番効いているのではないかという話にもなるのでありまして、そうなると実は日銀のかつての量的緩和+時間軸が一番無難に効く政策だったんじゃねえのというような気がしてくるのですが気のせいでしょうかねえ(^^)。

で、話を戻して他のメンバー(複数だから数人?)は下方リスク拡大とな。

『Other members thought that recent developments indicated that the headwinds to a recovery in private sector demand in the United Kingdom and overseas were somewhat stronger than previously thought, and that the downside risks to activity had increased.』

おまけにそのうちの1名はこの下方リスク顕在化局面において足元の生産復元の反動が出るリスクを指摘と。

『One member was also concerned that the risk of an adverse hit to the supply capacity of the economy had increased in recent months. That would occur if a decline in growth during the second half of the year prompted companies, which had been holding on to underutilised resources in anticipation of a faster recovery in activity, to shed more labour and scrap more capital.』


○今後の金融政策のアクションに関連する部分をどう読むのか教えてエロイ人

ということで、インフレのリスクは上下あるという話(でも目先は上の方が現実的にありそうなリスク(VAT上げとか商品価格上昇とかポンド安の影響とか見えている話ですからね)で、生産余剰がインフレを抑制ってのは前からずーっと話をしていて全然そうならないという気がするんですが)なのですが、一方で上記にあるように景気に関しては下振れリスクの方が増えている感じになっていますが第29パラグラフの結論部分が微妙に謎なので英語とセントラルバンキングが得意な本石町日記先生教えて下さいませ(図々しいですかそうですか)。

『On balance, most members thought that the current level of Bank Rate and stock of asset purchases financed by the issuance of central bank reserves remained appropriate to balance the risks to the inflation outlook in the medium term.』

ということで金融政策は現状維持(1名(Andrew Sentanceさん)がいつものように反対してますが)という話で殆どのメンバーが一致しているのですが。

『But both key risks were substantial, and these members stood ready to respond in either direction as the balance of risks evolved.』

上下のリスクはかなり大きく、そのリスクが顕在化した場合には適切な行動をどちらの方向にもとる必要があるという話ですわな。

『For some of those members, the probability that further action would become necessary to stimulate the economy and keep inflation on track to hit the target in the medium term had increased.』

ということで、委員の中では「将来の政策アクションは景気を刺激しつつインフレを中期的にターゲット水準に持っていく必要がある可能性が高まっている」とか何とか読めるのですが、さてこの「keep inflation on track to hit the target in the medium term」って所が、ここまでの議論の流れを見ると、「景気を刺激しながら物価上昇は抑制するという政策が必要になってきている」という風にあたくし的には読めてしまうのですが、そんな器用な政策をとるとなるとこれまた大変だなあとか思うのですが、これは本当はどう訳せばよいのか教えてエロイ人!!


で、後は余談ですけれども。

○資産価格の相互関連が高まっているという指摘

金融市場に関する検討部分の第6パラグラフに面白い指摘が。

『The Committee noted that asset price movements remained more highly correlated than usual, suggesting that market participants viewed individual asset returns as remaining unusually dependent upon global economic developments.』

資産価格が通常よりも相関していて、それは個別資産の価格が世界的な経済の状況に通常より影響されやすいという市場参加者の見方をしめしている事を示唆するとな。

『This heightened correlation had been associated with an increased incidence of short-lived, generalised asset price rallies and declines. The transitory nature of some of these changes provided grounds for being cautious about drawing firm signals from monthly financial market developments.』

ほほー。


○マネタリーと成長の関連は不確かとな

第13パラグラフから。前半は2Qの名目GDPが+1.7%とかGDPのレベルが金融危機前のピーク水準に回復したとかいう話がありますが、その後半部分が味わいがございまして。

『It remained unusually difficult to identify trends in nominal demand from the latest monetary aggregates, given higher-than-normal uncertainty about the seasonal pattern of some financial companies’ money holdings. Household money balances had continued to grow slowly, although there had been some pickup in the growth of private non-financial companies’ money balances.』

まあそもそも足元のマネー拡大に季節要因があったり一時的な要因らしきものがあったりするので計測しにくいっちゅうのもあるけれどもという話はしてますが、今回のMPCでも成長とか景気刺激に関連してマネーの量的な部分に関する効果という話はすっかりスルー(まあ実は8月MPCでも華麗にスルーしているのですけれども)しているのが中々こう味わいの深いものを感じる次第であります。

#と言う訳で完全にあたくしの趣味でBOEのネタでございましたとさ

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2010/09/22

お題「FOMC声明文とかその他関連雑談」

ということで寝起きにヘロヘロとFOMCを読んでみたのでその辺から。

今回声明文
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20100921a.htm

前回声明文
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20100810a.htm

○物価の判断を下げてきたのがニュースだと思うのだが

正直モーサテの解説も怪しげで本当に米国市場の反応を正しく報道しているのかよー判らん(ってモーサテがアホとか言う気も若干ありますけれども、そもそも市場の中の人だって「自分の反応」は判っても本当に市場全体が何考えて反応しているのかとか判らないですからね)所でございますが、「追加緩和無し」とか「量的緩和の示唆」というよりも物価に関する文言を大きくいじってきたのがニュースじゃないのかなあと思ったら、さすがにモーサテの解説者も物価に関する部分がサプライズと言ってますな、あたくしと同じじゃの(^^)。

いやね、声明文でいじってくるとしたらあたしゃ労働市場の回復が遅れているというような感じで、景気判断の中で労働市場データの部分をクローズアップして来るのかなあと漠然と予想していたので、物価という直球ストレートを放り投げて来たのは「へ〜」という感じでございますわな。

では第1パラグラフから比較比較。


○景気判断は実はほとんど変わらず、企業投資行動を若干下げて銀行貸出を若干上げる

『Information received since the Federal Open Market Committee met in August indicates that the pace of recovery in output and employment has slowed in recent months. Household spending is increasing gradually, but remains constrained by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit.』(今回)

と言うところは前回と同じ。次の企業投資行動部分が若干判断下げ。

『Business spending on equipment and software is rising, though less rapidly than earlier in the year, while investment in nonresidential structures continues to be weak. Employers remain reluctant to add to payrolls.』(今回)

『Business spending on equipment and software is rising; however, investment in nonresidential structures continues to be weak and employers remain reluctant to add to payrolls. 』(前回)

設備とソフトウェアへの投資が拡大しているという部分の現状判断が若干下がっていますな。企業投資行動の他の部分には変化無し。

『Housing starts are at a depressed level. 』(今回)

ここは前回と同じ。

『Bank lending has continued to contract, but at a reduced rate in recent months. 』(今回)
『Bank lending has continued to contract. 』(前回)

銀行貸出の判断は引き上げています。

『The Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability, although the pace of economic recovery is likely to be modest in the near term.』(今回)

『Nonetheless, the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability, although the pace of economic recovery is likely to be more modest in the near term than had been anticipated.』(前回)

基本的に言ってる事は変わらんのですが、冒頭にあるNonethelessが抜けた意味とは何ぞやという話になるとネイティブじゃないあたくしはさっぱりワカランチ会長でございまする。今回は前回「予想よりも回復ペースが緩やかに」というのが抜けて、単に「緩やかに」という話になった部分だけが違うので、これは特に前回対比で判断をいじっている訳ではないという感じではないかと。


○景気判断は変わらないけれども物価判断を下げてくるとは直球投げてきたでござる

物価に関する第2パラグラフが問題でして、ここの部分って毎度毎度同じような話をしていたのに今回変えたというのはポイントだと思うのだけどね。

『Measures of underlying inflation are currently at levels somewhat below those the Committee judges most consistent, over the longer run, with its mandate to promote maximum employment and price stability. 』(今回)

「currently at levels somewhat below」キターーーー(・∀・)っと。

『With substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to remain subdued for some time before rising to levels the Committee considers consistent with its mandate.』(今回)

ということで、「before rising to levels the Committee considers consistent with its mandate」って文言が入ると文章のニュアンスが微妙になる気がするのですけれども、これって「適正と考える水準へ物価上昇率が戻るまでの間少々お時間が掛かります」とか何とかいう話になるのかいな。ただまあ先行きに関してはまだ「デフレ懸念」みたいな話には一応なっていないけれども、ニュアンスはニュアンスとして物価下落懸念という事になるんでしょうかねえ。

前回のはこんな感じです。

『Measures of underlying inflation have trended lower in recent quarters and, with substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to be subdued for some time. 』(前回)

つーことで、景気判断を変えない一方で物価判断を下げてくるという器用な事をやっておりますのが今回のまずは思いっきり目についたポイントではございます。


○FEDの保有証券の額をどうのこうのというのがまた復活ですな

第3パラグラフも読んでいて「ふーん」とおもったあたくし。

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate for an extended period. 』(今回)

というのは前回と同じというか毎回同じと言うか(^^)。

『The Committee also will maintain its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings.』(今回)

前回決定したMBS償還再投資に関するスタンスを維持して、FEDの保有証券の額を維持しますというのを今回入れました。まあ前回はその決定をしたから兎も角としまして、資産買入プログラムにおける買入が終了してから暫くの間この資産買入関連の文言がスルーされていたのですが、今回より保有証券に関する話が復活ということで、MBSの償還再投資をしたから入ったんですよっちゃあそれまでかも知れませんけれども、ふーんと思ったのでありまする。

しかし何度か書いてますけど(しつこいので)元々資産買入プログラムって市場機能がどうのこうのという話をしていて、最近だと対象商品の信用スプレッドや金利の低下を図るって話をしているのですが、MBSの償還再投資を財務省証券で行うってえのは対象商品の信用スプレッドや金利に関してどう作用するのかねと思いますとこの措置って何ざんしょという気はするざますがまあいっか。


○そんな訳で必要ならば追加緩和とな

第4パラグラフですが、前回の第4パラグラフは「景気サポートと物価安定に資するためにFOMCはMBS償還金を財務省証券に再投資します云々」という話になっていますので、前回分だと第5パラグラフに該当します。

『The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and is prepared to provide additional accommodation if needed to support the economic recovery and to return inflation, over time, to levels consistent with its mandate. 』(今回)

『The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and will employ its policy tools as necessary to promote economic recovery and price stability. 』(前回)

ということで、前回はまあ普通の文言でしたが、今回は「prepared to provide additional accommodation if needed 」キタコレというところでございます。で、何をするのかは当たり前ですが書いてありませんですが、まあ一般的に考えられるのはFEDの資産サイドを拡大するという話(つまり国債買入)でしょうかねえとは思いますけどよー判らん。


○ホーニッグ先生の反対理由が今回微妙に違うでござるの巻

どうでも良いっちゃあどうでも良いですけどマニア的には興味があるので(^^)。

『Voting against the policy was Thomas M. Hoenig, who judged that the economy continues to recover at a moderate pace. 』(今回)
『Voting against the policy was Thomas M. Hoenig, who judges that the economy is recovering modestly, as projected. 』(前回)

何となく今回の方が判断下げている気がするけど、これってどっちのほうが景気判断は上なのか教えて英語圏で生活した事のある人!!!

『Accordingly, he believed that continuing to express the expectation of exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period was no longer warranted and will lead to future imbalances that undermine stable long-run growth. 』(今回)

『Accordingly, he believed that continuing to express the expectation of exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period was no longer warranted and limits the Committee's ability to adjust policy when needed. 』(前回)

毎度おなじみの「for an extended period 」に対して、前回は「必要な時の政策手段を阻害する惧れ」という反対理由でしたが、今回は「将来における経済不均衡をもたらす」という反対理由になっています。じゃあそれがどういう事かと言いますとまあ良く判らんですけれども(おいおい)前回までは利上げを視野に入れた理由だったのが、今回は「将来の不均衡」という理由になっているので理由としては一歩後退(何のこっちゃ^^)ということでしょう。出口政策云々がああだこうだ言う前のホーニッグ先生の反対理由が「将来の不均衡」でしたので、そーゆー意味では多分反対理由が弱くなっていると思います(^^)。

『In addition, given economic and financial conditions, Mr. Hoenig did not believe that continuing to reinvest principal payments from its securities holdings was required to support the Committee’s policy objectives.』(今回)

『In addition, given economic and financial conditions, Mr. Hoenig did not believe that keeping constant the size of the Federal Reserve's holdings of longer-term securities at their current level was required to support a return to the Committee's policy objectives. 』(前回)

MBSの償還再投資でFEDのバランスシートを維持する事についても引き続き反対を継続していますな。ここの部分は文言的にはちょっと違いますが意味は同じと思われますです。


○ということでFOMC雑感と言うことですが

と引用しているだけで時間がなくなってきましたので(だったらもっと早く起きろというツッコミはしないのがオトナの対応というもんです^^)あとは雑感なんですけれども、今回のFOMC声明文でありゃーと思ったのは先ほども書いたように物価に関する判断を下げてきたところでして、おまけに言えば景気見通しは下げていないという割と器用な事をやっている事ですな。

従来は労働市場の回復の遅れが消費などに影響を与えて景気回復やら物価に悪影響みたいな話をしていたと思うのですが、労働市場に関する判断は特に下げず(と言っても元々あまり強くないのだが)ということで、こうなりますと今後は雇用関連指標よりも物価指標に注目という話になるんでしょうかね、よー判らんが。

でまあ景気判断じゃなくて物価というあるネタで突っ込んでくるので、先行きの追加緩和に関するオプションはやっぱり長期国債の買入拡大という話になるのでしょうかねえとは思いますし、逆に金利引下げ(まあここから下げるには準備預金の付利を下げるという事実上の下げみたいな話をするしかないですけど)に関してはブラードさんのペーパー(そういえば途中まで紹介してその後放置プレイでしたねすいません)じゃないですけれども、「物価上昇しない均衡状態」に嵌ってしまうというような感じでやりにくいような気もせんでもないけれども、気のせいだったらどうもすいません。

ただまあいずれにせよ、FRBは「やるやる詐欺」状態で期待を引っ張って(変に出尽くし感をだしちゃうと長期金利が上がってしまう可能性もありますし)何となく追加緩和期待で株式市場とかを支えて長期金利も上げさせないで、ドルも強くしませんよってなもんでしょうから、まあそれに対してドル円市場の円高を阻止しましょっていう日本はお付き合い大変ですなあという所で。

ま、介入はやりましたので、次は日銀に球があるという感じでしょうし、そらまあ介入と金融緩和をセットにした方が効果はあるでしょう(それを不胎化だの非不胎化だのという用語を持ち出すと日々の金融調節話とゴッチャになって、先般のように無駄に日々の誤差範囲内のオペに注目するという意味不明の話になるので、不胎化という用語を使うのは議論が無駄にループする元ということで使わんで欲しいと存じますがどうでしょうかねえ)というのはござんすが、何せ打つタマが僅少なところでございますので(米国が期待で引っ張っている間にタマを切らしたら試合終了ですから)、演技でもイカサマでもいいから日銀もちったあバーナンキを見習って狸芝居をして期待を引っ張って欲しいもんですが、何せ白川さんですからそれは無理でしょうというのが実に残念無念な所でございます。山口さんの方が狸成分が高そうな気がしますけどね(^^)。

あ、そうそう話は全然違いますが、副大臣人事を見ると菅さんは小沢さんと同じくで政策じゃなくて政局の人ですなあと思うのでして、菅さんで財政再建路線継続とか考えるのはちょっと甘い気がするんですけどね。それに野党だの小沢支持グループが補正大型組めと言っている訳ですから、経済コケた時のてめえの責任回避というポイントから考えた場合、当然ながら補正は大型になりやすくなる(それでコケたら「皆様の意見を取り入れた補正でしたが残念でしたねえ」で済むから)でしょうし、日銀だの財務省なんぞは当然のように売られるでしょと思いますし、特に日銀はまー叩かれ放題ジャマイカと思うんですけど、白川さんあの調子で大丈夫っすかねえというのは懸念するところでございまする。

ということで最後はどうでもいい雑感ですいませんでした。

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2010/09/17

○不胎化どうのこうのでオペがどうのこうのというのは不毛なんだって

昨日ああでもないこうでもないと書いているうちにすっかり悪態を飛ばしまくってしまいましたが、まあ昨日も引き続き不胎化どうのこうのの話が連発されていまして、シロートさんが言うのは仕方ねえなあと思うのですが、まあ何と申しますかという感じです。

何かどこぞの経済クオリティペーパーに(アホらしいので記事のURLは付けない)は「17日に即日吸収を行うかも注目されている」とかいうニュースがあってアホジャナイデスカと思うのですけれども、まあ昨日に関しても「共通担保の期落ち分をロールするか」という話が出てまして、いやまあオペの調整ってその介入分だけじゃなくて、他の銀行券要因とか財政要因(まあ振れが大きいのは財政要因)とかの事情によって変わる話でありまして、例えば21日なんて国債償還要因で3兆円以上の財政余剰が見込まれる訳で、その分でオペの期落ちを入れている分をロールするかしないかとかは最早介入資金どうのこうのとはまったく別の問題な訳でして、これ為替介入が16日に実施されていたら話がエライヤヤコシイことになっていましたなあと思います。

まあ積み最終日前後の関係とか、期末がそろそろですなあとか、まあその他諸々まで考えて為替介入のタイミングを図ったんですねえと考えると、まあ民主党代表選のタイミングも丁度良かったんですけど、事前作戦をかなり良く練ったタイミングでの介入投入という感じですわなあという所でございます。その辺あんまり細かく説明するのは野暮なので質問は御社の短期デスクまでどうぞ(^^)。

一昨日はまあそこそこデカイ介入をしたようですが、そう毎日兆円単位で介入する訳でもないでしょうから、日々の介入分って通常の資金需給の誤差範囲内に収まるんですけど、一々注目するんでちゅかねえ為替市場の皆様は。そんなにオペに注目したいのであれば、6月末なんて当座預金残高が20兆円近くに拡大して(198900億円)まして、その次の日であります所の7月1日は当座預金残高が前日比2兆円落ちていました(179700億円)ですけれども、それに一々注目しておられましたっけ?という感じではございますわな。

つまり、その回収するのしないのとかいう日々の調節の部分はどうでも良い話であって、例えば利下げしろだの国債買入拡大しろだのという話をするならまだ話としてはマシでございますので、早いところ日々のオペがどうのこうのという不毛な話は止まって頂きたいものだと存じますです。



○相変わらず何を言ってるんだこの人たちは

でまあそれはそれとして、大変にこうアレだったのはいつもの人たち。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aOtQkOihQHhc
民主・大久保氏:介入の非不胎化の機関決定していない−日銀関係者

・・・・機関決定とかする訳無いでしょ。為替介入以外にも色々な財政要因があって資金需給がぶれるのに、その分だけ取り上げてどうこうするとか全く意味が無いし、そんな事を機関決定するのも意味が無いし出来ませんわなということで。

てかね、この人確かどこぞの外資系証券会社出身だったと思うのですが、昨今の介入に関する発言とかちょっと不勉強ぶりが酷すぎるんですが。まあ不勉強というよりは生兵法は怪我の元状態だとは思うのですが、てめえ一人で怪我する分には別にどうなろうとどうでも良いのですが、政権与党の金融ナントカ部会とかにいる人がこれというのは余りと言えば余りでして、てめえの生兵法で自爆する時に日本国を巻き込まないで頂きたいものだと切に願うのでございます。

まあ大久保さんもそうなんですが、もっとアレなのは財務副大臣でして。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aHOgyzAHjzuA
池田財務副大臣:日銀には非不胎化介入してもらっている(Update1)

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aXsd5nx.CV8A
池田財務副大臣:日銀は次の緩和策を鋭意検討−為替介入(Update1)

えーっと、「財金分離」の観点から武藤さんの総裁就任を拒否した政党のお方ですよねえ池田財務副大臣様は。まあ日銀人事を政争の道具に使った挙句に自分たちは露骨に中央銀行に政治干渉とか大変に首尾一貫しない素晴らしい政治姿勢でございまして、このような輩を国の舵取りを預ける信用に値する連中かと心の底から甚だ疑問に思うのでございますが、まあ池田副大臣の発言のヘッドラインも中々面白うございましたですわよ。ブルームバーグニュースからヘッドラインの一部を引用。

JBN 17:46 *池田氏:日銀は市場に出た資金を回収しないものと思っている

そら回収せんですがな。回収するの誰だか判ってないでしょこのバカチンは。

JBN 17:49 *池田財務副大臣:日銀も協力すると思っている−非不胎化介入
JBN 17:55 *池田財務副大臣:日銀は次の緩和策を鋭意検討されると思う

何かもっと引用しようと思ったのですが、いい加減血圧が上昇してきたので終了。


○極めてよい話をしているのだが結局こうなるのだからもう少し考えるべき

そういえば野田審議委員講演ネタをスルーしていますが、しょうがないので連休中に(たぶん)書きますよええということにしておいてくんなまし。

http://www.asahi.com/business/update/0916/TKY201009160143.html
「超低金利、将来バブル発生の恐れ」 日銀総裁が講演

この講演ってこちら↓なんですけど
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko1009c.pdf

本当はこれも内容に関して読みますと中々のもんでして、特に『3.バブル崩壊後の経済情勢と政策対応に関する4つの類似点』のあたりとか非常に良い論点整理になっているのですけれども、悪態書いているうちに時間が無くなったので今日はパス。

で、その超低金利がどうのこうのって最後のほうの『5.今後の研究課題』って所にあるんですけどね。

『まず、伝統的金融政策についてですが、この面ではバブル崩壊後の積極的な金利引下げの有効性について、より深い研究が必要だと考えています。今回のバブル発生前は、積極的な金利引下げを行えば深刻な景気後退は回避できるという考えが支配的であったように思います。しかしながら、今回のグローバルな金融危機後の経済情勢の厳しい展開を前に、そうした楽観論は疑問を投げ掛けられています。』

『もちろん、積極的な利下げは、景気の落ち込みを緩和するために必要な政策措置です。そのうえで、以下のような超低金利環境に関する事実についても認識しておく必要があります。』

『第 1 に、短期金利水準が極端に縮小すると、インターバンク資金市場の円滑な機能が低下したり、金融機関の利鞘が低下したりします。その結果、金融機関における貸出インセンティブが低下し、金融緩和効果が減殺されることにつながります。』(ちなみにここの脚注がバーナンキ講演およびBOEとなっているのがチャーミング)

『第 2 に、低金利の持続は、景気の落ち込みを防ぐと同時に、バブル期に積み上がった過剰な債務の削減を遅らせる面も持ち合わせています。また、その過程で、経済全体の新陳代謝を遅らせる面があることも指摘しておきたいと思います。』(ここの脚注はBISとRajanね)

『第 3 は、低金利が将来にわたって継続するとの予想は、バブル発生の必要条件であることです。バブルは緩和的な金融政策だけで起きるものではありませんが、緩和的な金融政策が持続するという予想なしに発生することがないことも、同様に真実です。』

『いずれにせよ、バブル崩壊後の経済の生産性の動向は経済のパフォーマンスを規定する重要な要素です。経済を襲ったショックが大きくても一時的であり、従って自然利子率があまり低下していない場合には、低金利継続の政策コミットメントは異時点間の代替効果から一定の有効性を発揮します。しかし、そうでない場合には、政策コミットメントは、十分効果的なものとなりえません。』

『以上の留意点は、バブル崩壊後の積極的な金利引き下げの必要性を否定するものではもちろんありません。ここでの議論のポイントは、金融市場の行動経済学的なダイナミックスや実物要因によって生じる潜在成長率の動向にも十分な注意が必要であるということです。』

ということで、別に今の超低金利がバブルの発生を呼ぶとかいう話をしている訳でも何でもないのですが、ものには言い方ちゅうもんがありまして、特に日銀の場合はこういう話をすると当然のお約束として前半部分の「低金利の長期化がバブル発生をもたらす」部分だけを切り取られて報道されてしまう訳でありましてですな、これ市場が反応しなかったから良い様なもんですが、うっかり為替市場が反応とかしちゃったら為替介入をしている現場を後ろから砲撃しているのと同じような話になるのでありまして、もうちょっと白川総裁様におかれましては講演なりの内容での言い回しを考えたほうが良いのではないかと思われます。

上記の話だったら第2第3の論点は細かく書かないでおくとか、第1の論点の脚注部分をちゃんと「バーナンキ議長も言ってるように」とか書くとかの配慮が求められる訳でして、いやまあ全部通して読めば仰る話はその通りなのですけれども、一般的に報道されて市場が反応するのはその片言隻句であることが極めて多いという事に関する想像をもっと働かせるべきであり、麿大先生様に置かれましては慎重な配慮をお願いしたい所でございます。

#講演の詳しい話とかその他いろいろとネタがあるので連休はせっせと読みますかね

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2010/09/16

お題「介入来ましたねえということで関連雑談(途中から悪態^^)を少々」

政権継続確定の翌日に介入というのは中々お洒落でしたね♪

#自画自賛しておくと、昨日一応あたくし「代表選終わったから介入を代表選に利用したと言われないので介入のハードル下がったんじゃネーノ」ってな趣旨のことを書いたんですけどあんまり褒めてくれないので臆面も無く自己申告しておきます(^^)


○市場俺様メモ

まあご案内の通り昨日は為替介入があったのですが、俺様メモということで時系列で整理しておきますと、10時半頃「中尾国際金融局長がユーロマネーのフォーラムでの講演を急遽取りやめ」とかいうヘッドラインが出て(ブルームバーグだと10時28分とかだったようで)その前後あたりからドル円が一気にドル高になって株は上昇して債券は急速に朝からの上昇を下げました。

で、後場の寄り直後に先物に成行の売りとかあって下がったのですけれども、その後は何か知らんけど相場切り返し。ドル円は85円近辺になるわ平均株価は9500円近辺になるわという素敵な相場の中で債券市場だけは介入に全く敬意を表しないというか財務省様の努力を嘲笑するかのようなブルフラットで終了の巻。

でね、まあ介入後の動きもそうなんですが、あたくし的に昨日情け無いというか悲しい思いをしたのは介入が入る前の寄り直後の動きでありまして、菅政権継続を受けて債券買いになるのはまあ良いんですけれども、超長期がアホのようにブルフラットして、前日に入札が行われた20年債が平均落札1.955%の足切り1.969%でやっておったのですが、その超長期新発は寄りから強くて1.8%割れ水準とか堂々の出合いになる次第でしたんですが・・・・・

えーっとね、お縄懸念は判らんでも無いのですが、絶対水準から言って1.9%台後半ってレベルから仮にお縄内閣が発足して超長期が幾ら売られるのよという風に思うのですよ。20年債のクーポン推移見りゃ判るように、やはり財政リスクがどうのこうのとか言いながら10年金利が1.4%だの1.5%だのとかやっているときでも20年って精々2.2%とかだった訳ですし、1.9%台後半の超長期がお縄内閣になって売られて何ぼなのよと。これがまあ火曜の入札が1.8%台とかでやっているんだったらお縄ネタで2%位まで売られても仕方ないから様子見ってえのは判るんですが、菅内閣継続になったからというネタで前日比10毛以上強い所を買ってくる意味が判らんというか何と言うか。買わなきゃいけない額の全部とは言わないですけれども、菅内閣発足受けて10毛上を慌てて買う位なら、1.95%よりも安くなってしまった(正直火曜の朝の段階で新発の止まり所は1.95%とか思ってたので入札前にせっせと調整しているのがビックリだったんですが)入札でちったあ必要分の半分でも入れて置かないのかねえと。

いやまあ何か昨日に関しましては、結局誰が買っているのか謎(10毛も強くするような威勢の良い買い主体っているのかよという意味で)らしいのでありますが、これが「恐怖のサラリーマン相場」のなす動きだったりしたらもうおじさんは情けないとしか申し上げようが無いんですけど、何つーかこう昨日の前場(の介入前)はブルフラット振りを見ておりまして大変に悲しい(別に自分の損益がどうのこうのではなく^^)思いをする朝のひとときでございました。

ま、介入後の後場の買いもさっぱりワカランチンでございますけれども、為替介入+金融緩和とかいう連想だったらイールドカーブってどっちかと言うとブルスティープとかツイストスティープするもんだと思うのですが、債券市場は華麗にブルフラット。

株式市場も為替市場(は介入されているのだから当たり前だが)も為替介入に敬意を表してちゃんと株高ドル高で推移しているというのに債券市場ってもう何と言うかチャーミングというか当局の努力をあざ笑って動くと言うか何ともこう誠に申し訳ございません(誰に??)という動きでございまして、落涙を禁じえないというものです。

いやあさすがにブルフラットはちょっと喧嘩売り過ぎじゃないのと思うのですけれどもねえ・・・・・・


○日銀が吸収オペをするかどうかを注目とか何を不毛な話を・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aGrCEUeHg50I
日銀:介入資金を吸収せず、非不胎化へ−日経英語ニュース

?????とか思って見ておりましたら、何か債券の何とかストさんたちのレポートが色々と出てきまして、「日銀が吸収オペを行うかどうか注目」とかいう話のものが来てたりしてたんですよね。

「ああインターバンク市場(というか短期金融市場)の実務知らないコメントですなあ」という感じで読んでおったのですが、どうもブルームバーグのニュースを見ると同じ金利系でも短期市場じゃない人はこういうコメントになるんだなあと甚だ残念感が漂うのでございます。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=abLTh3t2HJAc
債券は大幅高、日銀非不胎化介入の観測で−長期金利2週間ぶり低水準

まあそこにある債券市場関係者さんのコメントを見ると介入資金の吸収がどうのこうのとかいう話が連発しておりまして、まあ相変わらず短期金融市場ってえのは他の市場の人たちから理解されてませんわなあと残念感が漂うのでありますけれども、せめて金利系の何とかストの皆様は、何とかストという肩書きでメシを食っているんですから、同じ金利物であり、かつイールドカーブの起点を構成する短期金融市場に関する理解をしたコメントをして欲しいもんだというかお前らその席俺様に空けろ(^^)というところでございますな。

ま、昨日は総裁談話ということで
http://www.boj.or.jp/type/press/danwa/dan1009b.htm

『米国経済を中心に先行きを巡る不確実性が高まっており、為替相場や株価の不安定な動きが続くもとで、わが国経済の下振れリスクに注意が必要な情勢にある。

日本銀行は、為替市場における財務省の行動が、為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している。

日本銀行としては、強力な金融緩和を推進する中で、今後とも金融市場に潤沢な資金供給を行っていく方針である。』

ってな話をしてたりするので、まあ非不胎化がどうのこうのという市場(除く短期金融市場。なお短期市場の人間で非不胎化かどうかが焦点とか言ってる人間は不勉強にも程があるので配置転換する事をお勧めします)の皆様の勝手な誤解を利用しちゃいましょという雰囲気もございますので、あまりその辺を丁寧に説明するのも野暮なのかもしれませんのでヒントだけ書いておきますね。わからん人は身近にいる短期のデスクの人間に聞いてくんなまし(^^)。

ヒント1:短期金融市場における金融調節で一定以上(資金繰りバッファーのために必要な超過準備額)を上回る超過準備の発生を恒常的に放置した場合、翌日物金利(コールとかFFとか)は預金ファシリティ金利まで低下する(預金ファシリティが無ければゼロに低下)。

ヒント2:現在の預金ファシリティ金利は誘導目標と同水準

#そもそものヒント1のメカニズムが判らない人は白川さんの書いた金融政策本の中に図で説明があるからそこを百万回読んでね♪

んーっとですね、昨日は短期のデスクの皆様に置かれましては、非不胎化がどうのこうのとか(英語で言うとスタビライズがどうのこうのとか言うそうですな17日追記:介入資金の不胎化は sterilize(スティリライズ)が正解です)のお問い合わせが来て答えるのが大変に七面倒だったようで誠にお疲れ様なのでありますが、「吸収オペをするのか注目」とかレポートを出すのは「私は現在の日銀の金融調節の実務を判っていません」と首から札をぶらさげているような物でありまして、上記のヒント1とヒント2から「吸収オペする訳無いんですけどねえ」という結論に達するのですよね。

まあ元々為替市場の人とかは金融政策がどうのこうのとか調節姿勢がどうのこうのとかエラソーに言う癖に肝心の実務面に関しては素晴らしく不勉強なので驚きませんけど、2日後のオペがどうのこうのとかコメントが出るのを短期市場の人は「いやあ相変わらずですなあ」と思っていたに違いないです。

http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPnTK043963520100915
〔金利ウオッチャー〕為替介入で不胎化めぐり気迷い、日銀調節スタンスを注視

『短期金融市場で、日銀の金融調節スタンスに関心が集まっている。政府・日銀が6年半ぶりとなる為替介入に踏み切ったことを受け、増加する円を相殺するかどうかの「不胎化」をめぐる気迷いがくすぶっている。』(上記URLより)

えーっと、短期市場では「吸収オペする訳ないじゃん」で結論は一致しておりまして、調節スタンスに全然関心集まってないのですが、ロイターの取材ソースが相当にクオリティが低いようで大変に残念な事でございます。もしかして脳内ソースから取材でもされているんじゃないですかって言いたくもなりますなあっはっは。

ヒントに更にヒントを加えるなら、日々の資金需給の振れが幾らあるのか理解していれば介入による需給のぶれなんぞ誤差の範囲内なんですがねえかとか、上記のロイターの記事だと「短国の発行額が増えて需給懸念」みたいな事言ってるけど、そもそも今年度入ってから短国の発行額が減った話はスルーですかそうですかとか、まあツッコミどころは多いのですが、いちいち説明するのは野暮なようですので(^^)自分で調べてくんなまし。



○その他介入関連雑感

何か介入額が最初の話だと1000億円とか2000億円とか言ってましたが、いつの間にか1兆だの1兆5000億円だのという話になって(今朝の公共放送では2兆円とか言ってました)、まるで釣った魚の大きさを話をする人や、武勇伝自慢のようなテイストを醸し出しているのがお洒落なのですが、最初の話だと今までの介入とは感じが違うみたいな話でしたよね。まあ月末以降になって平衡操作実施額がどうのこうのとか出ると思ったのでそれ見てから何か感想を申し上げるかも知れません。

#何か2兆円という数字が歩き出しているのはちとマズーな悪寒がするのだが・・・

あと、昨日はまあお祭りだったから色々と一般ニュースでもネタになっていましたし、久々のネタだから何か為替方面の人はアドレナリン出まくりだったと思うのですが、昨日の夜9時の公共放送ニュースで介入での値動きを見て「20年為替を見ていますがこんな値動き(あっという間に2円動く)は始めてです」とか言ってる人(しかもどこぞの銀行の何とかストさん)がいて、食ってるメシを吹きそうになってしまいました。えーっと1990年代って介入しなくても値が飛んだり平気でしてましたし、ドル売り介入やってた時なんて一晩で為替が3円とか普通に飛んだりしてた(追記:つーか本当は一晩で7円とか飛んでたときがあったような気がするんですけどね)ような記憶があるんですけれども(^^)。いやまあアドレナリンが言わせたんでしょうとは思いますのでそんなにツッコム気は起きませんけどね(^^)。

まあそれは兎も角として。

・もうこうなったら記者会見そのものを禁止にするということで

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ail1TT1zaY30
仙谷長官:82円台が防衛線−円高の問題は看過できない(Update2)

『9月15日(ブルームバーグ):仙谷由人官房長官は15日午前の会見で、日本が同日円売りの為替市場介入に踏み切ったことについて「円高の問題は看過できない」と語った。その上で、82円が一つの防衛ラインかとの質問に対しては、「財務相のところでそういうふうにお考えになったんだろうと思う」と言明した。』

・・・・・orz

えーっとですな、どこの世界に自分から手札出してポーカーをするアホウがいるのかと小一時間問い詰めたい訳ですが、まあここまで来ると「82円が防衛ラインか」とか質問する記者も国益を損なう質問をしているのではないか(冗談ですよ)と言うところでございまして、もう記者会見とか禁止にしたほうが良いのではないかと存じます次第でございます。

とりあえず数字の話は全部ノーコメントにしておけと思うのですが、何回同じトンマなプレイをやれば学習するのかと存じます次第ですが、きっとこのあたりの人たちの脳味噌には学習機能が標準装備されていないのでしょうなあと思うと落涙を禁じ得ないところでございまする。


・このニュースはある意味凄い

まあ昨日は介入関連で色々と面白コメントや面白レポートを鑑賞したり、介入に1ミリも敬意を表しない債券市場の不思議展開を鑑賞したり(鑑賞だけかよというツッコミはしないように)という日でございましたが、爆笑のホームラン王なニュースはこちら。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aKrFIicXRz_8
日銀は月内の緊急会合を計画していない−ロイター通信

リンクはブルームバーグですが、ロイターが報道しているのをブルームバーグが報道しているので、ニュースを出しているのはまたもロイターさんでありまして、外山金融市場局長インタビュー記事で大変に素敵な報道を行っただけのクオリティではございますなあと毎度感心する次第です(最近ロイター記事からの引用が無いですねというのにはお気づきだと思いますが^^)。

以下URL先の記事から。

『9月15日(ブルームバーグ):日本銀行は月内に緊急会合を開く計画はないと、ロイター通信が報じた。日本政府・日銀は15日、外為市場での円売り介入に踏み切った。ロイターはまた、日銀が10月の会合で金融緩和する可能性があるとも報じた。日銀の考えについて知る複数の関係者の話を基に伝えた。関係者の名前は明示していない。

 ロイターはさらに、日銀は国債購入の拡大を最も可能性の高い選択肢として検討する公算があると報じている。』

「日銀の考えについて知る複数の関係者の話を基に」ってそれはまたどこぞの夕刊紙みたいなクオリティで大変に感服する次第でありますが、そもそも緊急会合を計画して開催するとか意味がさっぱり判らないニュースでございまして、あまりのハイブローぶりに記事のヘッドラインを(ブルームバーグで^^)見た瞬間に何が起きたのかさっぱりわからない状態になっておりました(^^)。

まあ皆さん祭りでアドレナリンが出まくってソイヤソイヤ状態なのかも知れませんけれども、一応市場関係のプロ向けの報道機関なんだから冷静に記事書いてくれよと思う所でございます。まあネタになるから良いけどさ。


ということで、俺様日記と悪態を書いていたら時間が無くなってしまったので、野田審議委員の講演ネタが翌日送りになってしまいました。どうもすいません。

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2010/09/15

お題「民主党代表選とか虫干しネタとか」

何かモーサテ様が「菅政権継続で円高が急速に進行」と煽っているのですが、ドルユーロとかドルスイスとか見ると単にドルが下がっているだけのように見えるのですが気のせいでちゅかねえ。

正直、菅政権で円高進行なんて精々50銭くらいの話で、それより米国で債券が買われたのが効いているんじゃねえのと思いますけど・・・「菅政権で円高」って正直日本の自意識過剰だと思うのですけど・・・・・

#海外相場レビューで「ドル円相場は不安定になっています」(高安1円以内の値動きにしか見えませんでしたが・・・)って言った直後に「今日の相場は膠着すると思われます」とか言う今日のモーサテ為替コメンテーターの発言には激しく朝から吹いてしまいましたが、為替の人たち介入イベントが欲しいんだなあとは思いましたですよ(^^)

#さっき公共放送見てたらお縄先生の残念会みたいなのでポッポ先生が「お役に立てなかったことをお詫びしたい」などと挨拶してましたが、お詫びするのは代表選挙の話じゃなくて別の件ではないかと激しく思いました(−−)


○民主党代表選挙雑談

とりあえず「党員・サポーター票」の結果が物凄い大差になった時点で(・∀・)ニヤニヤという感じでございましたが、市場ちゃんの方は党員サポーター票の結果が大差になった時点で債券市場では現物が買われるし、先物は上昇するし、為替市場ではドル円が83円10銭位までドル安になる(その直前が83円半ば)いう感じでござんした。その後戻ったのですが夕方5時過ぎにまた83円05銭くらいやっていたでござるの巻。その後は知らんですけど(汗)。

ということで、まあ菅さんに反応してご祝儀(−−)円買いだわ債券高だわという反応は中々チャーミングでございましたが、まー昨日の時点でお友達な人たちと世間話をかましておりますと、「まあそうは言っても菅さんよりも米国市場でしょ米国市場」という実にこう実も蓋も無い話をしておりましてですな、正直財政がどうのとか為替介入がどうのというよりも目先は米国様市場様次第なだけじゃネーノという所で。

ま、あたくしの妄想になりますけれども、昨日何となく書いたように、菅さんって別に財政再建に対する信念があるとは到底思えないのでして、まードル円ベースで円高になったり株価がそれ見て下がったりしたらあっさりとケツがムズムズしてくるでしょうし、別に信念ある訳じゃ無かったらやっぱり財政出しますよという話になっても別に不思議ではなかったりするのであります。

更に為替介入に関しては、お縄先生の場合は介入がどうのこうのとか言ってた訳ですが、実際にじゃあその辺の現実性を考えて打ち込めるのかという面について言えばお縄先生は代表選の冒頭で普天間問題の話をしたと思ったら具体案について突っ込まれて翌日にいきなり日和るというお洒落な展開になっていたように、現実に直面すると腰砕けになる(お縄先生だってそもそも経済政策に定見やら信念やら無いっしょ。利益誘導の発想はあるでしょうが)可能性もあり、まあ実はお遍路さんでもお縄さんでもあまり変化無かったりするような希ガス。

ただですな、民主党代表選期間中に為替介入しちゃったら「介入を代表選の対策で政治利用した」とか言われる恐れもあったんじゃねえのと思う所でもございますので、政治的に言えば介入を(欧州や米国から何か言われたりするのを気にしないという根性があるのか知らんけど)やりやすくはなったんじゃネーノという気は思いっきりするんですけどどうでしょうかねえ。


金融政策に関してはまあこんな感じになるんでしょうなあ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010091400878
日銀に一層の緩和圧力か=「期待」連発の菅氏勝利で

『菅直人首相が民主党代表選に勝利したことで、日銀に追加金融緩和を求める政府などからの圧力が一層強まりそうだ。菅氏は、8月27日に公表した円高に関する声明の中で、「日銀に対して機動的な金融政策の実施を期待する」と異例の表現で緩和を事実上要求するなど、金融政策への発言を積極化させているためだ。』

『声明の3日後、日銀は臨時の金融政策決定会合を開き、追加緩和に踏み切った。その後も緩和圧力はやまず、政府は今月10日にまとめた経済対策の中で、デフレからの脱却に向け「日銀に対しては、さらなる必要な政策対応を取ることを期待する」と表明。菅氏自身も円高に関連して、「国際的な場で明確なメッセージを出すべきだとの意見が政府や党の中にあることを日銀総裁も認識してほしい」と述べ、一層の緩和への期待をにじませた。』

『従来「金融政策は政府がいちいち指図するものではない」として日銀の独立性を尊重する姿勢を示していた小沢一郎前幹事長すら、14日の投開票前の演説では「日銀法改正やインフレ目標政策も視野に入れる」と表明。年末にかけて景気回復の鈍化が避けられない中で、日銀に対する政治からの風当たりは当面弱まりそうにない。(2010/09/14-18:37)』

・・・・記事丸引用になってどうもすいません。いやまあ「財金分離」とか言って武藤さんの総裁就任を拒否したり、「インフレターゲット論者だから」とか言って伊藤先生の副総裁就任を拒否した民主党の皆様の行動とは全く思えませんなあというような話はもう百万回位行っているのでそこはスルー致しますが(してない^^)、まー日銀もドラえもん(めもんではない^^)のポケットでも無いのにああだのこうだの言われてご苦労なこったという感じでございます。

ま、政権がとりあえず暫く持つ事が判明したので(お縄先生がどう出るか次第ではございますが)さすがに今度はちゃんとした政策対応をするという流れになってくるんじゃないかという期待を致しますが、とりあえず発言する度に円が売られるという華麗な芸風をお持ちの財務大臣様におかれましては、脳味噌を入れ替えるか人間そのものを入れ替えるかされた方が宜しいのではないかと存じます次第であります。


あと、市場メモなんですが、昨日は1年TBが0.12%に上昇したりして短い所のキャッシュは冴えなかったのに金先だけは場中からいい感じで強含みだったのは何でだったんでしょ。教えてエロイ人!!!


○ほとんど粘着質状態でバーナンキのジャクソンホール講演のネタを引っ張る

しつこくてどうもすいませんm(__)m

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20100827a.pdf

昨日は「FRBの資産買入の政策効果」の部分に関して引用致しまして、結構驚きの「ポートフォリオリバランス効果」炸裂というのが「えー」という話をしたのですが、この波及に関する量の効果に関する説明も中々素敵なので昨日の続き(本文9ページ)から引用を粘着質で続けるのだ。

『The logic of the portfolio balance channel implies that the degree of accommodation delivered by the Federal Reserve’s securities purchase program is determined primarily by the quantity and mix of securities the central bank holds or is anticipated to hold at a point in time (the “stock view”), rather than by the current pace of new purchases (the “flow view”).』

この点に関してはだいぶ前にご紹介した(http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/seisakugeneral10-01.html#seisakugeneral100414の前後に過去ログがございます)コーンFRB副議長(当時)の講演で詳細な説明がございましたが、コーンさんもそうでしたが、どうもstock viewを支持しているようで、その話が次にございます。

『In support of the stock view, the cessation of the Federal Reserve’s purchases of agency securities at the end of the first quarter of this year seems to have had only negligible effects on longer-term rates and spreads.』

買入を停止してもMBSのスプレッドがほとんど拡大しなかったのは、買入のフローが効いているのではなく、買入の相対としてのストックが効いているという話ですな。

『The Federal Reserve did not hold the size of its securities portfolio precisely constant after it ended its agency purchase program earlier this year. Instead, consistent with the Committee’s goal of ultimately returning the portfolio to one consisting primarily of Treasury securities, we adopted a policy of re-investing maturing Treasuries in similar securities while allowing agency securities to run off as payments of principal were received.』

MBSの償還分をトレジャリーに乗り換えるというこの前のFOMC議事要旨(FOMCの方が実施されたのは前ですが)にもありましたが、こちらでもしらっと「FRBのゴールは保有する資産をトレジャリーのみに持っていくこと」という話をしているのがチャーミングなのですが、MBSのポートフォリオリバランスをストックビューで考えているというのであれば、緩和継続したかったらMBSを買うべきですし、トレジャリーを買った場合にはそのストックってトレジャリー市場から見たら相対的に意味のある数字とも思えないので、そもそも意味無くないですか????というツッコミをしたくなる部分ではございます。

『To date, we have realized about $140 billion of repayments of principal on our holdings of agency debt and MBS, most of it prior to the end of the purchase program. Continued repayments at this pace, together with the policy of not re-investing the proceeds, were expected to lead to a slight reduction in policy accommodation over time.』

ここで「保有MBSの償還は金融緩和状態の若干の低下に繋がると予想」という話をしているのがストックビューに基づくものではなさそうというのがこの次に出てくる理屈。

『However, more recently, as the pace of economic growth has slowed somewhat, longer-term interest rates have fallen and mortgage refinancing activity has picked up. Increased refinancing has in turn led the Fed’s holding of agency MBS to run off more quickly than previously anticipated. Although mortgage prepayment rates are difficult to predict, under the assumption that mortgage rates remain near current levels, we estimated that an additional $400 billion or so of MBS and agency debt currently in the Fed’s portfolio could be repaid by the end of 2011.』

という市場状況(金利が下がっているから予想よりもMBSの償還が早まるという話)の状態でさてどうするのという話ですが・・・・

『At their most recent meeting, FOMC participants observed that allowing the Federal Reserve’s balance sheet to shrink in this way at a time when the outlook had weakened somewhat was inconsistent with the Committee’s intention to provide the monetary accommodation necessary to support the recovery.』

なんかいつの間にか話がマネタリーベースっぽい論点に摩り替わっているのがチャーミング。

『Moreover, a bad dynamic could come into at play: Any further weakening of the economy that resulted in lower longer-term interest rates and a still-faster pace of mortgage refinancing would likely lead in turn to an even more-rapid runoff of MBS from the Fed’s balance sheet. Thus, a weakening of the economy might act indirectly to increase the pace of passive policy tightening--a perverse outcome.』

景気悪化の見方が高まって行くと市場金利が低下して、MBSの償還ペースが更に速まるので更なるタイトニング要因になるとのことですかそうですか。

『In response to these concerns, the FOMC agreed to stabilize the quantity of securities held by the Federal Reserve by re-investing payments of principal on agency securities into longer-term Treasury securities.』

ここの理屈がさっぱり訳わからん。そもそも資産買入の目的や波及ルートについて話をする時点では「資産買入は金利低下」という話をしている訳で、「金利低下によってMBSの償還が進むことによる引き締め効果を防ぐために長期国債を買う」という話とのつながりが複雑骨折しているように思えるんですが。MBS買うのなら話は判るけど。

『In response to these concerns, the FOMC agreed to stabilize the quantity of securities held by the Federal Reserve by re-investing payments of principal on agency securities into longer-term Treasury securities.』

ストックビューの話をしていた筈なのに保有資産構成変えたらそれはそれで緩和あるいは引き締め効果になるんじゃないんでちゅかねえ、という気がするんですが・・・・・

『We decided to reinvest in Treasury securities rather than agency securities because the Federal Reserve already owns a very large share of available agency securities, suggesting that reinvestment in Treasury securities might be more effective in reducing longer-term interest rates and improving financial conditions with less chance of adverse effects on market functioning.』

『Also, as I already noted, reinvestment in Treasury securities is more consistent with the Committee’s longer-term objective of a portfolio made up principally of Treasury securities. We do not rule out changing the reinvestment strategy if circumstances warrant, however.』

で、エージェンシー債じゃなくてトレジャリー買う理由は上記のようなのですが、金利を下げるという話をここでもしてて、お前ちょっと上で「長期金利低下でMBSの償還が加速した場合にタイトニングになるのを防ぐ」という話をしているのに、こっちでは長期金利を低下させるって何かどこがどう理屈として繋がっているのかさっぱり判らんのでありますが。

『By agreeing to keep constant the size of the Federal Reserve’s securities portfolio, the Committee avoided an undesirable passive tightening of policy that might otherwise have occurred. The decision also underscored the Committee’s intent to maintain accommodative financial conditions as needed to support the recovery. We will continue to monitor economic developments closely and to evaluate whether additional monetary easing would be beneficial.』

ということで、いつの間にやら話がFEDのバランスシートの大きさの話という量的緩和チックな説明になっておりまして、この資産買入に関するバーナンキさんの説明って通して読むと一体全体どの波及ルートでどういう効果を狙っているのかがはっきり言って論理もへったくれもあったもんじゃないんじゃネーノと思うのでありまして、そういう意味からも昨日も申し上げましたように、案外資産買入拡大のハードルは高いんじゃないのかなあと思ってしまいます。ロジックの整合性的には。

『In particular, the Committee is prepared to provide additional monetary accommodation through unconventional measures if it proves necessary, especially if the outlook were to deteriorate significantly. The issue at this stage is not whether we have the tools to help support economic activity and guard against disinflation. We do. As I will discuss next, the issue is instead whether, at any given juncture, the benefits of each tool, in terms of additional stimulus, outweigh the associated costs or risks of using the tool.』

この部分はまあ講演の次の部分になります「3つの追加緩和政策オプションに関する説明」の前振りになるのですが、そっちは先般来の虫干しネタシリーズでご紹介しました通りでございまする。

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2010/09/14

○相変わらずジャクソンホールのネタで引っ張るのだが

虫干しネタでどうもすいません。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20100827a.pdf

本文8ページ以降が「金融危機前後からのFRBの政策に関する説明」部分になるのですけれども、そこで各種政策の効果について説明していて、これがまた微妙なテイストを出しています。

まずは利下げと擬似時間軸(ガイダンス文言)に関して。

『Notably, since December 2008, the FOMC has held its target for the federal funds rate in a range of 0 to 25 basis points. Moreover, since March 2009, the Committee has consistently stated its expectation that economic conditions are likely to warrant exceptionally low policy rates for an extended period. Partially in response to FOMC communications, futures markets quotes suggest that investors are not anticipating significant policy tightening by the Federal Reserve for quite some time. Market expectations for continued accommodative policy have in turn helped reduce interest rates on a range of short- and medium-term financial instruments to quite low levels, indeed not far above the zero lower bound on nominal interest rates in many cases.』

えーっと、つまり利下げと「extended period」の文言が時間軸効果(とは書いてませんが要するにそういうことよね)を出して中期などの金利の引き下げにも繋がりましたと。

で、資産買入に関しては「市場機能」と「長期金利引下げ」のパスの話をするのだ。

『The FOMC has also acted to improve market functioning and to push longer-term interest rates lower through its large-scale purchases of agency debt, agency mortgage-backed securities (MBS), and longer-term Treasury securities, of which the Federal Reserve currently holds more than $2 trillion.』

いやまあ確かに買入のアナウンスをしたときにFRBは「金融環境を改善させる為に」という説明で特攻されたのですけれども、肝心の長期金利はアナウンス時点で10年で2.5%まで低下したものの、その後4%近くまで上昇しちゃった話は完全スルーですかそうですか。

『The channels through which the Fed’s purchases affect longer-term interest rates and financial conditions more generally have been subject to debate.』

まあそらそうだわな。で、バーナンキ先生はこのように仰せです。

『I see the evidence as most favorable to the view that such purchases work primarily through the so-called portfolio balance channel, which holds that once short-term interest rates have reached zero, the Federal Reserve’s purchases of longer-term securities affect financial conditions by changing the quantity and mix of financial assets held by the public.』

ゼロ金利におけるFEDの資産買入によって、民間金融機関が他の資産を購入するようになる、というポートフォリオリバランス効果のチャネルを強調しているのですけれども、「ゼロ金利下におけるポートフォリオリバランス効果」ってのは買入単体だけでは効果はかなり怪しんじゃないかと思われる(バランスシート制約があったらリバランスは起きないでしょうし、投資するに値するものがなければ同じでしょうし)所でして、それってかつての日銀でもそんな事例があった気がするんですが。

『Specifically, the Fed’s strategy relies on the presumption that different financial assets are not perfect substitutes in investors’ portfolios, so that changes in the net supply of an asset available to investors affect its yield and those of broadly similar assets.』

うーん、その説明は怪しいと思う。

『Thus, our purchases of Treasury, agency debt, and agency MBS likely both reduced the yields on those securities and also pushed investors into holding other assets with similar characteristics, such as credit risk and duration.』

資産買入の後長期金利そのものは上昇したという件を華麗にスルーしているのが何とも。

『For example, some investors who sold MBS to the Fed may have replaced them in their portfolios with longer-term, high-quality corporate bonds, depressing the yields on those assets as well.』

という事で、「金利引下げ」「ポートフォリオリバランス効果」という話を資産買入の効果としてしているのですが、そもそもそれってちょっとどころではなくインチキっぽい感じがしますし、更に申し上げますと、今後の国債買入増額という話になった場合に、「足元でこれ以上金利を下げる効果があるのかね」(この講演でもそうですし、FOMC議事要旨にもあるのですが、30年MBS金利は歴史的な低水準にあるという認識)とか、「ポートフォリオリバランスがこれ以上起きるのかね」という論点に立った場合に、国債買入の増額を行う論理的な必然性に乏しいような気がするんですよね。

ということで、この辺りとか先日のFOMC議事要旨みてると、FRBの国債買入拡大って結構ハードル高いんじゃないの(ただしバーナンキは狸なので急に従来のロジックを放棄して買入を行う可能性はあるが)という感じは致しますです、はい。

#まだ続きがあるかもしれない(^^)

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2010/09/08

○で、サービスフレーズが入ったのは良いのですが・・・・・

決定会合結果が出た時には「ふ〜ん」でスルーしていたのですが、よくよく見ればサービスフレーズがありましたよということで、フラッシュで『追加金融緩和の可能性を示唆=日銀』(共同通信のフラッシュをブルームバーグが配信した分を引用)というのが出た辺りからユーロ円金先が戻ってきたり、債券先物とかが戻ってみたり、前場うんこ状態だった中期ゾーン(5年89回なんて先物前日比高いのに5糸甘オファーとかナンジャソリャ状態)が復帰してきたりとゆー事で、一応決定会合結果に敬意を表したような気がせんでもないという動き。

#単に中期の外しが一巡して絶対水準的に0.4%接近の5年は買いじゃろという買いが入っただけではないかというツッコミはしないように(^^)

てな訳で、債券市場は(結果的には)決定会合結果に敬意を表したような動きをしていたのですが、折角情報ベンダーが「日銀が追加緩和を示唆」と報じているというのに、為替市場では全然円安に振れず、というか円高方向になってまして、これはいかなる事ぞとゆー所ですが、例のユーロ圏ストレステストのインチキがどうのこうのという話からユーロが売られてみたり、米債が買われてみたりという動きがございまして、為替市場ちゃんの方はそっちに反応してたという次第な訳ですな。

#そう考えると今日の30年国債入札なんて為替的にはどうでもいいんじゃないのと思うのですが、日本の方は材料にしないんでしょ結局・・・・・

まあ実は円債が強くなったのも決定会合のサービスフレーズじゃなくて米債が強かったりユーロがヘロヘロだったりしてた方が要因じゃないのという気も思いっきりするのですが(^^)、まあまあそれはそれと致しまして、決定会合で折角サービスフレーズを入れたというのに肝心の為替市場が1ミリも反応しないとは残念としか申し上げようがございませんですなあ。

しかもちょうどユーロ問題がネタになってまた円高進行するという涙の出るような間の悪さに更なる残念感を覚えるものでございまする、ナムナム。

話は違いますがそういやこんなのも。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=anDz1LxIgKx0
民主・海江田氏:小沢氏は「非常に厳しい」−インタビュー(Update2)

『小沢氏が次の民主党代表になるとの観測が後退したのを受けて7日の債券相場は反発。』

・・・・いやあそれネタとしては面白いですけれども、まだまだ全然固まってないでしょうし、それに菅さんが勝っても従来の財政再建路線が頓挫するリスクはあると思うのですけどねえ(苦笑)。


○その他関連雑談

・狸への道は遠い

つーことでサービスフレーズが出たのですが、会見でサービスフレーズについて質問された白川総裁は「必要と判断される場合には、適時・適切に政策対応を行っていく方針である。これ以上でもこれ以下でもない」と発言したようで(ベンダーで見たりしましたし、今朝のモーサテでもその部分が放映されていました)して、折角サービスフレーズ入れているんだからもうちょっと威勢の良い物の言い方ちゅうのがあるだろうにと思ったあたくし。

いやまあ毎度毎度俊ちゃんを引き合いに出すのも何なんですけれども、適当にサービス発言を繰り返してなんちゃって緩和拡大を続け、まあ譲れない線は譲らなかったという俊ちゃんと比較すると、そらまあご本人のキャラクターだから仕方ないですけれども、もうちょっと工夫ができんもんかなあと思うのでありましたです、はい。


・で、追加緩和の条件ってどうなのよ

再掲する訳ですが。

『日本銀行は、先行きの経済・物価動向を注意深く点検したうえで、必要と判断される場合には、適時・適切に政策対応を行っていく方針である。』

ちなみに英語版ではこうです。

『The Bank will carefully examine the outlook for economic activity and prices, and, if judged necessary, take policy actions in a timely and appropriate manner.』

ふむふむ、ところでこの「必要と判断される場合」ですが、何がトリガーなのとか雑談してた訳ですが、この判断の部分ですけど「判断『される』」という受動態(英語も受動態)なのですから、きっとこれは誰かが判断して日銀がそれに引きずられるんだよ!!!という与太話になりまして、じゃあ誰が判断するのかというと市場なのか政治なのかという所でしょうか(^^)。

・・・という訳ではなくて、実際はこの受動態表現はいつもこういう表現になっていますし、別に日銀だけの言葉遣い方法じゃないですので誤解の無いように申し伝えます(^^)。


・これは中々

権丈先生の勿凝学問の最新版がいつもよりも量が多くて読み応え十分。
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare328.pdf

・・・・ちょうど目の前の公共放送で「お金はあるんです」と力説するトンチキが「50兆、80兆とかあるんです」とか言ってまして、国の財政赤字の話に対して「余裕があるんです」という説明を山岡なにがしがしているのですが、しまいに「日本には対外債権がたくさんあるんです」「貿易収支は黒字なんです」とか言い出す始末。それって民間の資産なんすけど。

きっと山岡なにがしさんに置かれましては、最終的には民間資産を全部強制収用して財政問題を解決しようとしているんですね!!!!オソロシス

しかも今度は国のバランスシートに関してグロスとネットの話をごちゃごちゃにして説明しているし、この山岡なにがしというのは義務教育からやり直したほうが宜しいのではないかと思うのですが、こんなのが政権与党の副代表なんですよねえ・・・・・とほほのほ。

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2010/09/07

お題「市場雑談と虫干しネタで(またまたジャクソンホール)」

モーサテの滝井キャスター、単に言わされているだけだと思うのですけれども、為替のコメンテーターに向けて「今日は日銀の政策決定会合ですが政策変更はあるでしょうか??」と質問したので朝から盛大に吹いてしまいました。ノートPCに水は禁物なので注意♪

#話は違うが「カンリョー主導」がいかんみたいだが、ど素人がテキトーに引っ掻き回した民主党様の言う「政治主導」の結果が普天間問題のテイタラクなんじゃネーノと思うのですが、そんなに官僚が悪の権化なんですかねえ・・・・・

○何か知らんが中期がコケるとな(市場メモというか俺様備忘録)

昨日の債券市場ちゃんですが、雇用統計が予想より悪くなかった(と言っても内容は悪いと思うのですが)事を受けた米債安の影響だか何だか知らんですが、まあ先物が30銭くらい弱く寄りついておったんですが、何と朝から中期が弱いという素敵な展開。

中期が弱いとゆーのはよーするに投資家の売りが出ておる訳でして、しかもドカンと売りが出ると言えばもう業態的にはあの辺のお方とゆーところでございますので、何をお考えなのかは売った人じゃないとよー判りませんけれども、エクスポージャーを落としに逝っているとか、益出しするのにこのゾーンしか無いとか、まあその手のお家の事情的な残念感溢れる展開でございまして、実に香ばしい動きに。

でもって超長期とかは割と確りしてました(結局取引終盤にはだいぶコケて言うほど強くはならなかったが)ので、そらまあ1.8%台後半になってきたし買いが来るざんしょというのと、さすがに売りの人も売るものが無くなって来た(なお、下がりすぎてしまって「売ると売却損が出るので売れない」という状態なだけの可能性はありますが^^)のでしょうなあとは思う所でして、昨日の下げは中期ゾーンと先物が引っ張っていたようで何だかなという感じで。

5年カレントが0.3%台後半になってきて2年カレントが0.15%に接近してきましたというところなのですが、それって6月の終わり頃とか7月の頭辺りの水準で、追加緩和とかいうような話はさっぱり無いけれども時間軸は効いているというような状況だと思いますので、何かそう考えますと随分時間が戻った感じですが、そこまで急に金融政策だの外部環境に変化があったのかよと思いますと微妙な気はするんですけどね。いやまあそこまでの上げがやり過ぎと言われればそれまでなんですけれども、別に親の敵のように売らなくてもという感は。

あとですな、期末というのもあるのでしょうが、同償還の5年89回と5年90回の価格形成が益々無茶になっていまして、クーポンが高い方の89回が90回対比で引値ベースで1.5毛甘く(先週末の引けは1毛スプレッド)なっていまして(実際はもっと差があると思う)、89回債は益出しだか決算調整だか何だか知りませんが売りが出る一方で90回債はアホのように買う人がいて、またスクイーズとかやっとるんかいなと実に見苦しい動きに。全くもう何だかなというところですが、下がっている相場で期末前とかになると益出ししながら新発の買いとかゆーのが目立つという毎度の動きになって誠に遺憾でございます。

まあ何ですな、話はそれますけれども、フェイル慣行の定着に向けて(なのかどうか忘れたが)チャージが導入とかされる訳ですが、こーゆーどう見ても意図的に買占めやっているとしか思えない行為(いやまあ特定の誰かが買占めしていると断言していませんので念の為^^)に関しても何とかならんのかねえと思いますけどねえ。国債市場特別参加者って流通市場に対する義務もあったと思うんですけどねえ・・・・


○超今更ですがバーナンキの追加緩和オプションに関する考察(ジャクソンホール講演)

先々週のネタですいません。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20100827a.pdf

先日(先週の金曜)に長期資産の追加買入に関しての考察部分を引用しましたが、昨日引用したFOMC議事要旨にありますように、この長期資産買入に関してはマネタリーの効果の話をしているのか金利の話をしているのかの説明が微妙で、どうも金利を下げる話をしている所が「おいおい大丈夫か」という所なのでござんしたが、他の政策オプションに関しては基本的にダメ出ししているので、そのダメ出し理由をサラサラと読んで見ませう。

・ガイダンス文言の変更は大幅な見通しの変更が行われた場合に実行という事か

本文14ページ以降。

『A second policy option for the FOMC would be to ease financial conditions through its communication, for example, by modifying its post-meeting statement.』

ガイダンス文言の変更はどうよという話になるのだ。

『As I noted, the statement currently reflects the FOMC’s anticipation that exceptionally low rates will be warranted “for an extended period,” contingent on economic conditions. A step the Committee could consider, if conditions called for it, would be to modify the language in the statement to communicate to investors that it anticipates keeping the target for the federal funds rate low for a longer period than is currently priced in markets. Such a change would presumably lower longer-term rates by an amount related to the revision in policy expectations.』

毎度おなじみのガイダンス文言の変更により、市場の金融政策に関する期待を変化させて長期金利を下げてみたり(ってここでも長期金利の話をしているのってどうなのよと思います)というような話をしています。で、その後この手の事をやっている(いた)カナダやBOEや日銀の事例を紹介していますが、FRB的には別に現状で問題ないという認識を示しています。

『A potential drawback of using the FOMC’s post-meeting statement to influence market expectations is that, at least without a more comprehensive framework in place, it may be difficult to convey the Committee’s policy intentions with sufficient precision and conditionality. The Committee will continue to actively review its communication strategy, with the goal of communicating its outlook and policy intentions as clearly as possible.』

現状のガイダンス文言が問題なくワークしており、かつ米国の現状を見た場合に、特定の経済指標などのようなものをフォーカスして条件をつけた形での金融政策の継続のようなコミットメントを行うのは難しいです。先行き見通しに大きな変化が無い限りは現状を続け、必要になった場合はまた変更する、という風に脳内意訳しましたけどどうでしょう。


・超過準備付利金利下げは「FF市場が機能不全になるのでダメ」という話

日銀歓喜、というよりは「今頃気がつきやがったかこのケチャップ野郎」というのが本音なのかもしれませんが(^^)、本文15ページから。

『A third option for further monetary policy easing is to lower the rate of interest that the Fed pays banks on the reserves they hold with the Federal Reserve System. Inside the Fed this rate is known as the IOER rate, the “interest on excess reserves” rate. The IOER rate, currently set at 25 basis points, could be reduced to, say, 10 basis points or even to zero.』

超過準備付利金利引下げで市中金利は下がるという効果がありますが、という話をしてその後がダメ出しコーナー。

『However, under current circumstances, the effect of reducing the IOER rate on financial conditions in isolation would likely be relatively small. The federal funds rate is currently averaging between 15 and 20 basis points and would almost certainly remain positive after the reduction in the IOER rate. Cutting the IOER rate even to zero would be unlikely therefore to reduce the federal funds rate by more than 10 to 15 basis points. The effect on longer-term rates would probably be even less, although that effect would depend in part on the signal that market participants took from the action about the likely future course of policy.』

実効FF金利が現状で15−20bpで、これを下げて長期金利に(またここで長期金利の話をしている)どの程度影響があるかといえば大した影響は無いという説明でございますな。

『Moreover, such an action could disrupt some key financial markets and institutions.』

更に、ということで市場機能論キタコレ。

『Importantly for the Fed’s purposes, a further reduction in very short-term interest rates could lead short-term money markets such as the federal funds market to become much less liquid, as near-zero returns might induce many participants and market-makers to exit.』

短期市場関係者歓喜の展開(^^)。

『In normal times the Fed relies heavily on a well-functioning federal funds market to implement monetary policy, so we would want to be careful not to do permanent damage to that market.』

日本の事案からやっと学んだかという感じですな、と前回のゼロ金利(量的緩和)時代に長期債方面に出稼ぎに行っていたあたくし(いや別にどっちが本籍と言うのは無いのだが^^)としては思うのでありました。


・インフレ目標数値の引き上げに関してはもうモロにダメ出し

『A rather different type of policy option, which has been proposed by a number of economists, would have the Committee increase its medium-term inflation goals above levels consistent with price stability.』

IMFのブランシャールさんのペーパーで一時話題になってまして、鬼の首を取ったようにネタになっていた時期もありましたが、バーナンキ先生華麗にダメ出し。

『I see no support for this option on the FOMC.』

これは(^^)。

『Conceivably, such a step might make sense in a situation in which a prolonged period of deflation had greatly weakened the confidence of the public in the ability of the central bank to achieve price stability, so that drastic measures were required to shift expectations. Also, in such a situation, higher inflation for a time, by compensating for the prior period of deflation, could help return the price level to what was expected by people who signed long-term contracts, such as debt contracts, before the deflation began.』

以下、そこそこ詳しく説明しているのですけれども、コーン前副議長がブランシャールさんのペーパーが出たちょっと後くらいの講演(だいぶ前にご紹介したと思いますが)で丁寧にダメ出しをしておりまして、そのロジックとほぼ同じでござんすので、引用は割愛します。


○しかしFRBの長期金利コントロールと言う説明大丈夫か

さてまあ昨日引用したFOMC議事要旨にしてもそうですし、(順序的にはこっちの方が早いのですが)ジャクソンホールでの講演もそうなのですが、足元でFRBの政策ロジックがどうみても「長期金利のコントロール」みたいな話になっているのがオソロシスなところでございます。

まあど〜せ狸のバーナンキ先生ですから、都合が悪くなったらまた別のロジックを持ち出して長期金利コントロールの話を無かった事にしてしまうのでしょうけれども(^^)、そもそも論として金融緩和効果が景気の押し上げに繋がったり、インフレ期待の引き上げに繋がったりした場合というのは長期金利なんぞ平気で上昇するのであって、そーゆー意味で金融緩和の効果だの波及ルートだのを「長期金利」に置くのは非常に危ない橋のような気がするんですよね。もしかしたらMBS買入と同じように長期国債の買入をどんどん行えば需給がタイトになるから大丈夫とか思っているのかもしれませんが、そもそもの市場規模が違いますし、長期国債の買入拡大が財政マネタイズだという話になったら長期金利は更に上昇しちゃいますので、そう話は簡単ではないと思うのですよね。

それこそ、足元ちょっと米債金利上昇(たいして上昇してないが)してますけれども、これがもうちょっと上昇して10年3%とかになったときに国債買入期待(というか催促)になってきたりしたらどうするんでしょうねえ、と今後の展開を眺めたいと思います。


そーいえば話はワープしますが、昨日引用しましたFOMC議事要旨なんですけど、引用しながらサラサラ流しましたが、この部分ってどさくさに紛れてしらっとお洒落な事を言ってるんですよね、ってゆーのを読者様から指摘されましたので再掲(^^)。

『Most members judged, in light of current conditions in the MBS market and the Committee's desire to normalize the composition of the Federal Reserve's portfolio, that it would be better to reinvest in longer-term Treasury securities than in MBS. While reinvesting in Treasury securities was seen as preferable given current market conditions, reinvesting in MBS might become desirable if conditions were to change.』(8月FOMC議事要旨より、昨日の再掲)

これね、どさくさに紛れて「Committee's desire to normalize the composition of the Federal Reserve's portfolio」などと仰せでして、よーするに信用緩和なんぞやりたくありませんなああっはっはと仰せのようでございますが(^^)、同じ趣旨の話を日銀が行ったら十字砲火を浴びて大変なことになるでしょうなあと思うと、実に味わいが深いものを感じます。とゆーか米国の緩和を見習って中小企業向け債権20兆円買って量的緩和とかいう訳のわからん提言をしておられるどこぞの方はこの部分に関してのご意見を頂きたいものでございますなあという感じで(^^)。

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2010/09/06

お題「FOMCの量的緩和が量的緩和じゃない件について/市場メモ」

まずは市場メモより。

○流動性供給入札があった訳ですが

金曜は流動性供給入札と輪番があったのですが、超長期に買いでもあったのかどうか知りませんが前場から超長期が妙に堅調。まあ水準が下がって下げ渋るとかいうのなら金利水準が上昇したからとゆーことで判らんでも無いのですが、金曜の場合は何故か超長期が前日比強い所が買われてしまうという素敵な展開に。前場引けてみたら先物1銭安に対して20年ゾーンが2毛強/1毛5糸強とか大変に素敵な状況に。まあ強いところまで買うのはそらまあ投資家さんの買いでもあったんでしょうねという事なんでしょうけれども、流動性供給入札で3000億円の供給があるのにそんなに強くするもんなんですかいなと????と思っていたわけですよ(本当)。

で、結果はこの通り。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/nyusatu/2010/resul037.htm

平均6糸甘の足切り7毛3糸甘ってどんだけ流れてるのよという所で、前場強かった超長期は華麗に大失速するわ、結果出た瞬間の債券先物は豪快に下がるわという大変にお洒落な結果になりました。

えーっとですな、確かにここ暫くの間って超長期ゾーンでそれなりのロットをマーケットインパクトを低く投資家が買おうとすると国債入札か流動性供給入札でしか無かったという状況が続いてましたので、入札が強い→投資家のニーズが強いですね→更に強含みというような感じで、「入札で投資家の強いニーズを確認して更に強くなる」という流れがあって、入札のたびに煽って行く様な動きがあったんですよね。

しかしですな、金曜の場合ってその前週からの超長期売りによって超長期の需給が悪くなっている所でありまして、そらまあ売った投資家もそのうちまた買うのかもしれませんけれども、たぶん昨日の今日でいきなり気合入った買いもあるわけ無く、まあ水準がやっと戻ってきたから押し目買いという人が買いを入れてくる状況であって、これまでの状況と背景が違うんでネーノと思っておったので、あたくし的には????だったという所なんでござんすけど、一つ覚えで煽ったこたあさすがに無いとは思いますけど何とも言い難い金曜の市場ちゃんでございました。


○FOMC議事要旨を読んでみたのですが国債買入が「金利低下」とな

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20100810.htm(HTM版)
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcminutes20100810.pdf(PDF版)

・まずはFEDスタッフの景気見通しに関して

景気見通しに関する部分に関する議論を読んでてどっかで見た事あるなあと思ったのですが、ジャクソンホールでのバーナンキ講演での経済に関する部分(って紹介してませんが、汗)と被っているなという感じであります。

『Staff Economic Outlook』ということで、FEDのスタッフによる景気見通し部分を引用しますと。

『In the economic forecast prepared for the August FOMC meeting, the staff lowered its projection for the increase in real economic activity during the second half of 2010 but continued to anticipate a moderate strengthening of the expansion in 2011. 』

ということで本年後半の見通しを下げたけれども、来年の見通しは引き続き緩やかに回復を継続すると言う事で。

『The softer tone of incoming economic data suggested that the pace of the expansion would be slower over the near term than previously projected. Financial conditions, however, became somewhat more supportive of economic growth. Interest rates on Treasury securities, corporate bonds, and mortgages moved down further over the intermeeting period; the dollar reversed its April to June appreciation; and equity prices edged higher. Over the medium term, the recovery in economic activity was expected to receive support from accommodative monetary policy, further improvement in financial conditions, and greater household and business confidence. 』

つーことで、足元の経済データが弱くて経済の拡大ペースは予想よりも弱いけれども、金融環境は幾分か景気回復の後押しになってきており、その内容としては長期金利が低下してたり、ドルが低下している事など(ユーロ圏のストレステスト結果を受けて環境が改善しているという認識になっているのでそれもあると思いますが)。今後の中期的な見通しとしては、緩和的な金融政策の継続やら、今後の更なる金融環境の改善や家計や企業のコンフィデンスが高まる事によって経済活動の拡大が予想されますと。

『Over the forecast period, the increase in real GDP was projected to be sufficient to slowly reduce economic slack, although resource slack was still anticipated to remain quite elevated at the end of 2011.』

じゃあそのresource slackの影響で物価はどうなりますかという事ですが。

『Overall inflation was projected to remain subdued over the next year and a half. The staff's forecasts for headline and core inflation in 2010 were revised up slightly in response to the higher prices of oil and other commodities and the depreciation of the dollar. Even so, the wide margin of economic slack was projected to contribute to some slowing in core inflation in 2011, though the extent of that slowing would be tempered by stable inflation expectations. 』

基本的な見方には変わりはないですな。うんうん。


・FOMCの景気見通しについて

『Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook』から。

『In their discussion of the economic situation and outlook, meeting participants generally characterized the economic information received during the intermeeting period as indicating a slowing in the pace of recovery in output and employment in recent months.』

つーことで、ここ数か月のデータは回復のペースが減速していることを示す、てな話でして以下現状認識の話が続くのですけれども、その結論の部分ですけれども。

『Thus, while they saw growth as likely to be more modest in the near term, participants continued to anticipate that growth would pick up in 2011.』

見通しは下がったものの回復は回復と。

で、更に項目別にいろいろな話をしていまして、これがまた色々と面白いのですが、引用しているとキリがないのとそもそもこの部分前座なので(汗)途中を全部端折って結論のパラグラフをば。

『Weighing the available information, participants again expected the recovery to continue and to gather strength in 2011. Nonetheless, most saw the incoming data as indicating that the economy was operating farther below its potential than they had thought, that the pace of recovery had slowed in recent months, and that growth would be more modest during the second half of 2010 than they had anticipated at the time of the Committee's June meeting.』

『Some policymakers whose forecasts for growth had been in the low end of the range of participants' earlier projections viewed the recent data as consistent with their earlier forecasts for a weak recovery. A few participants, observing that month-to-month data releases are noisy and subject to revision, did not see the recent data as clearly indicating a change in the outlook.』

『Many policymakers judged that downside risks to the U.S. recovery had become somewhat larger; a few saw the incoming data as suggesting a greater risk that private demand for goods and services might not grow enough to offset waning fiscal stimulus and a smaller impetus from inventory restocking. In contrast, most saw a reduced risk of financial turmoil in Europe and attendant spillovers to U.S. financial markets.』

ということで(だいぶ手抜き)ダウンサイドリスクが拡大という話にはなっているのですけれども、最初の所にありますように、メインの回復シナリオそのものは変えて居ない訳で、じゃあそれで追加緩和が直ぐにあるのかというとそらどうなのよという感じはしますけれどもねえ。

『Policymakers generally saw the inflation outlook as little changed. They observed that a range of measures continued to indicate subdued underlying inflation and that growth in wages and compensation remained quite moderate. Many said they expected underlying inflation to stay, for some time, below levels they judged most consistent with the dual mandate to promote maximum employment and price stability.』

で、以下ですが「デフレのリスクは極めて小さいがディスインフレのリスクは拡大」という判じ物のような話が。

『Participants viewed the risk of deflation as quite small, but a number judged that the risk of further disinflation had increased somewhat despite the stability of longer-run inflation expectations. One noted that survey measures of longer-run inflation expectations had remained positive in Japan throughout that country's bout of deflation. A few saw the continuation of exceptionally accommodative monetary policy in the United States as posing some upside risk to inflation expectations and actual inflation in the medium run.』

どさくさに紛れて「サーベイによる長期的なインフレ期待がずっとプラスになっている日本でもデフレになっとりますがな」という話が入っているのがチャーミング。


・んでもって肝心の政策決定のところですけれども

前座が長くなってしまいましたが、『Committee Policy Action』の所が今回面白かったので引用大会は更に続く。

『In their discussion of monetary policy for the period ahead, Committee members agreed that it would be appropriate to maintain the target range of 0 to 1/4 percent for the federal funds rate. Members still saw the economic expansion continuing, and most believed that inflation was likely to stabilize near recent low readings in coming quarters and then gradually rise toward levels they consider more consistent with the Committee's dual mandate for maximum employment and price stability.』

つーことで今回はメインシナリオに変化はないのよね。

『Nonetheless, members generally judged that the economic outlook had softened somewhat more than they had anticipated, particularly for the near term, and some saw increased downside risks to the outlook for both growth and inflation. Some members expressed a concern that in this context any further adverse shocks could have disproportionate effects, resulting in a significant slowing in growth going forward.』

ただまあ先行き見通しに関しては景気見通しを下げて成長とインフレに関するダウンサイドリスクの認識を引き下げたと。

『While no member saw an appreciable risk of deflation, some judged that the risk of further near-term disinflation had increased somewhat. More broadly, members generally saw both employment and inflation as likely to fall short of levels consistent with the dual mandate for longer than had been anticipated. 』

まあ物価に関する部分が下振れに関する所では注目されてくるのではないかとあたくしめは勝手に想像するのですがどうでしょう。


・国債の買入はマネーの拡大ではなくて金利政策という無理筋の議論

『Against this backdrop, the Committee discussed the implications for financial conditions and the economic outlook of continuing its policy of not reinvesting principal repayments received on MBS or maturing agency debt.』

ということでMBSの償還金を再投資しない場合のインプリケーションについてという話をしているのだが、これがどう見ても無理筋っぽい議論になっている、というのが実は本日のお題だったりします(前振りが長いですかそうですか)。

『The decline in mortgage rates since spring was generating increased mortgage refinancing activity that would accelerate repayments of principal on MBS held in the SOMA. Private investors would have to hold more longer-term securities as the Federal Reserve's holdings ran off, making longer-term interest rates somewhat higher than they would be otherwise.』

MBSの償還によって資金が吸収されるので、その分他の長期証券の買い余力がなくなり、結果として金利が上昇する、というポートフォリオリバランス効果的な話をしています。これって先日ご紹介した(途中ですが)ジャクソンホールでのバーナンキ講演でも同じネタを振っているのですが、どうもFOMC的には資産買入に関して「ポートフォリオリバランス効果」「金利の低下」的なロジックで通そうとしているのでしょうなあと思われます。

『Most members thought that the resulting tightening of financial conditions would be inappropriate, given the economic outlook.』

ふーん。

『However, members noted that the magnitude of the tightening was uncertain, and a few thought that the economic effects of reinvesting principal from agency debt and MBS likely would be quite small.』

さすがに話が無理筋なのを認識しているのか、この「引き締め効果」に関してどの程度あるのかは不確実で、数名は「この再投資に関する効果は極めて小さいんじゃネーノ」と指摘していると言う所にFOMCメンバーの良心を感じたのはあたくしだけでしょうか???

『Most members judged, in light of current conditions in the MBS market and the Committee's desire to normalize the composition of the Federal Reserve's portfolio, that it would be better to reinvest in longer-term Treasury securities than in MBS. While reinvesting in Treasury securities was seen as preferable given current market conditions, reinvesting in MBS might become desirable if conditions were to change.』

MBSの市場状況と、FRBのバランスシートの内容改善という観点からすると、MBS償還金の再投資はMBSではなく長期財務省証券で行うのが適切ということのようですな、MBSの購入はMBS市場の環境が変化した場合に行うかもと。

『A few members worried that reinvesting principal from agency debt and MBS in Treasury securities could send an inappropriate signal to investors about the Committee's readiness to resume large-scale asset purchases.』

数名のメンバーはこの決定が間違ったシグナルを市場に送る事を懸念とな。

『Another member argued that reinvesting repayments of principal from agency debt and MBS, thereby postponing a reduction in the size of the Federal Reserve's balance sheet, was likely to complicate the eventual exit from the period of exceptionally accommodative monetary policy and could have adverse macroeconomic consequences in future years.』

再投資を行う事によって将来の出口政策が困難になる事を懸念する人もいるとな。


・ということで何とマネタリーではなく金利政策で再投資の実施とな

『All but one member concluded that it would be appropriate to begin reinvesting principal received from agency debt and MBS held in the SOMA by purchasing longer-term Treasury securities in order to keep constant the face value of securities held in the SOMA and thus avoid the upward pressure on longer-term interest rates that might result if those holdings were allowed to decline.』

もうすっかり「FRBの次の一手は量的緩和」という話になっていますし、まあ長期国債の買入拡大って普通はマネタリーを拡大するというルートの話になると思うのですが、たぶん無理筋としか思えませんけれども、FOMCでは長期資産の買入に関して「長期金利への影響」を考えて実施するというロジックで突っ込んでいく模様。

ですから、FOMCの先般の措置が「量的緩和」なのか「量的中立」なのかという話もございましたが、実はFOMC的なロジックは量の維持は金利上昇を抑制するというそれってどうなのという方向、つまりマネタリーの話は兎も角として長期金利に注目という建付けにしちゃっているんですな。

いやまあそれって建付けとしてそういうロジックを出すけれども、また実際の話は別でしょという事になるのかもしれませんが、長期金利は中央銀行がコントロールしようと思って市場で買入をするということになると、それこそ無茶苦茶な量を買わないといけなくなるような気がしますので、あまりこの「金利ルート」の話をすると自分のロジックが後で首を絞めてきそうな気がするんですが。そもそも景気が回復してインフレ期待が盛り上がれば中銀が少々長期国債を買っても長期金利は平気で上昇するんですから・・・・・


と、まあマニアのあたくしは思うのですが、きっと狸のバーナンキ先生は「細けぇこたあいいんだよ!」という所なんでしょうかね。以下おまけですが更に見通しが悪化したら追加緩和しろとか、そうは言っても引き続き出口ツールの検討を続けるべきであるという意見があるのでそこまで引用するあるよ。

『Several members emphasized that in addition to continuing to develop and test instruments to facilitate an eventual exit from the period of unusually accommodative monetary policy, the Committee would need to consider steps it could take to provide additional policy stimulus if the outlook were to weaken appreciably further.』

あと、毎度のガイダンス文言は変化させる必要がないという話もあったので引用。

『Given the softer tone of recent data and the more modest near-term outlook, members agreed that some changes to the statement's characterization of the economic and financial situation were necessary.』

以下はホーニッグさんの反対理由の話ですが、まあそれはいつもの通りなので割愛。

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2010/09/03

お題「市場メモ/バーナンキの長期資産買入拡大に関する説明(今更のジャクソンホールネタ)」

○市場メモ

昨日の債券市場ですが、朝から何かまたまた超長期が弱くてあっさリ1.8%レベルになった(なんだかもう超長期があまりにも派手に動くので段々場中の居所が良く判らなくなって来ましたが)と思ったらその後謎の買いで戻りまして、ナンジャソリャと思っていたら今度は輪番オペが無かったという所でまた売られるでござるの巻。

何か昨日は前場にやたら債券先物の出合いがあったんで、それなりに売買があったんだろうなあと想像されましたが、その間に超長期の気配が結構飛んでいたような気がします。後場になると一転して静かな展開になったみたいですが、引け際また長い所がヘニャヘニャになって先物30銭安の142円21銭に対して10年新発は5毛甘の1.110%(この前までの既発債ベースだと4毛違うので1.070%になります)で20年カレントは7毛5糸甘の1.825%とこれまた香ばしい展開に。

何せ先週火曜日に入札やった時には平均落札価格100円78銭だった新発超長期120回債(1.6クーポンね)が1週間ちょっとで1.825%ということで、価格にして4円の下落ですよ4円(^^)。ちなみに水曜の引けが1.515%だったので、高値からは4円以上の下げなのですけれども、木曜以降に変わったのはお縄先生と考えますとお縄効果恐るべしと言うことになってしまいかねないのがオソロシス。まあ昨日も何となく申し上げましたが、お縄先生で超長期売りみたいなテーマで一丁やってみますか的な動きなのか、それともそもそもの負債デュレーションを勘案した場合に買う必要も無いのに、「超長期の方が値上がり幅は大きい上に、元の利回りが高いから期間収益も確保できる素晴らしい債券」とか調子に乗って買っていた人たちが相場を降り出したのが「俺も俺も」状態になっているだけなのかは存じませんが、まあ因果関係はともかくとしてお縄効果とか言われてもシャーナイですな(^^)。


ところで、短い所なんですが、GCはまあ落ち着いてきて0.105%レベルになっていますけれども、今回の流れで「ほほー」と思っているのは、この間短国のレートがろくすっぽ上昇しないことです。まあ利下げ期待(というかヘッジというか)で0.103%だのというようなレベルに金利が下がったのは良いとして、やっぱり目先利下げは無さそうですね、という状況になっても足元GCレベルでは間尺に合わない水準できっちり買いが入っていまして、GCレベルとの差で持ちにくいという人以外の買いがそこそこ増えてきているんですかねえという感じでございます。長い所から退避資金が来ている、というだけではちょっと説明できなさそうな気が。まあ良く判らんですけど、短期のところは資金余剰感が益々強まっているのではないでしょうかねえ。


○バーナンキの追加緩和オプションに関する説明(今更のジャクソンホール)

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20100827a.pdf

順序からすると前の方の話を先にしたような気もせんでもないのですが、本文12ページ以降の『Policy Options for Further Easing』の所から。

『Notwithstanding the fact that the policy rate is near its zero lower bound, the Federal Reserve retains a number of tools and strategies for providing additional stimulus. I will focus here on three that have been part of recent staff analyses and discussion at FOMC meetings: (1) conducting additional purchases of longer-term securities, (2) modifying the Committee’s communication, and (3) reducing the interest paid on excess reserves. I will also comment on a fourth strategy, proposed by several economists--namely, that the FOMC increase its inflation goals.』

つーことで、追加緩和オプションとしてFOMCで検討されているものとして、(1)長期資産の追加購入(2)政策ガイダンス文言の変更などのようなコミュニケーションの変更(3)超過準備に対する付利金利の引き下げ、というのをあげて、それに加えて(4)インフレ目標の数値引き上げ、という話をしていますというのは先日もちょっと書いたとおりで。

で、長期資産の追加購入に関しての説明を引用しようかなあという事で。

『A first option for providing additional monetary accommodation, if necessary, is to expand the Federal Reserve’s holdings of longer-term securities.』

『As I noted earlier, the evidence suggests that the Fed’s earlier program of purchases was effective in bringing down term premiums and lowering the costs of borrowing in a number of private credit markets. I regard the program (which was significantly expanded in March 2009) as having made an important contribution to the economic stabilization and recovery that began in the spring of 2009.Likewise, the FOMC’s recent decision to stabilize the Federal Reserve’s securities holdings should promote financial conditions supportive of recovery.』

ここの効果に関する説明部分は引用する前のほうにある(話の順序からして最後の部分を引用してるのだから当たり前なのですが、汗)んですけど、資産買入の目的と効果に対して「金利の引き下げ」という話をしているのですが、実際問題としてその金利の引き下げというのは、ここにもありますように「リスクプレミアム」の引き下げには繋がると思う(即ち、市場機能がおかしくなって価格発見機能が崩壊している為に余計についてしまったリスクプレミアムの引き下げによってMBSなどの金利を低下させるということ)のですが、市場機能が普通に回っているときに長期資産の買入を行っても、2009年の3月後半以降の米債相場のように、政策効果による景気回復期待などから長期金利そのものは上昇しても全くおかしくないのでありまして、追加でトレジャリーの購入をするというときに「金利ルート」での説明はロジック的に苦しいと思うのですけどね。

『I believe that additional purchases of longer-term securities, should the FOMC choose to undertake them, would be effective in further easing financial conditions.』

とは言え、金利ルートの説明だとそれは微妙に苦しいと思います。ここから先はいつの間にやら「FEDのバランスシート拡大の効果」という話に微妙に変わっているのがチャーミングで、量的緩和政策と信用緩和政策を意図的なのか意図的じゃないのか(たぶん意図的でしょう)混同させながら話をしているので、この定量的な効果に関する考察が微妙に抜けたままで話を進めているなあと思うのですよね。

『However, the expected benefits of additional stimulus from further expanding the Fed’s balance sheet would have to be weighed against potential risks and costs.』

まあ当たり前ちゃあ当たり前ですが、「このような政策には効果もあるけれども、潜在的なリスクやコストもあります」って言う話をバーナンキさんがするとは(^^)。「ケチャップを買え」だの言ってた「ヘリコプター・ベン」様とは到底思えないですなあと申しますか、まあ所詮は人の国に対する政策提言なんてそんなもんという事がヒシヒシと感じられて、実に味わいの深い(不快、とも言うが)一節でございますなあ・・・・・

で、以下リスクの説明。


『One risk of further balance sheet expansion arises from the fact that, lacking much experience with this option, we do not have very precise knowledge of the quantitative effect of changes in our holdings on financial conditions. 』

長期資産購入の定量的効果については経験が少ないので良く判らんとな。

『In particular, the impact of securities purchases may depend to some extent on the state of financial markets and the economy; for example, such purchases seem likely to have their largest effects during periods of economic and financial stress, when markets are less liquid and term premiums are unusually high. The possibility that securities purchases would be most effective at times when they are most needed can be viewed as a positive feature of this tool. However, uncertainty about the quantitative effect of securities purchases increases the difficulty of calibrating and communicating policy responses.』

ということで、ここでさっきの点を説明していますけれども、長期資産の買入効果は対象となる市場の市場機能が低下し、流動性が低下してストレスに晒されている時に大きな効果を発揮するかれども、そうじゃないときにさてどうなのよという指摘もしていますな。

『Another concern associated with additional securities purchases is that substantial further expansions of the balance sheet could reduce public confidence in the Fed’s ability to execute a smooth exit from its accommodative policies at the appropriate time.Even if unjustified, such a reduction in confidence might lead to an undesired increase in inflation expectations. (Of course, if inflation expectations were too low, or even negative, an increase in inflation expectations could become a benefit.) 』

これは以前から指摘されている話で、バランス拡大によってFEDの出口政策が困難になるという見方が広がった場合に、望ましくない結果になるでしょうという話。

『To mitigate this concern, the Federal Reserve has expended considerable effort in developing a suite of tools to ensure that the exit from highly accommodative policies can be smoothly accomplished when appropriate, and FOMC participants have spoken publicly about these tools on numerous occasions.』

それを避けるために色々なツールを用意してますし、その点は大丈夫よと。

『Indeed, by providing maximum clarity to the public about the methods by which the FOMC will exit its highly accommodative policy stance--and thereby helping to anchor inflation expectations--the Committee increases its own flexibility to use securities purchases to provide additional accommodation, should conditions warrant.』

とまあここまで丸引用したところで(手抜きにも程がありますかそうですか)時間が無くなったので他の手段に関しては週明けに。

しかし何ですな、大事なことなので2度書きますが(^^)、ケチャップを買えといっていたヘリコプター・ベン大先生が「このような政策には効果だけではなくコストとリスクがあります」とか仰せになるとは何と言うか実に味わいのあるものです事よという感じです(^^)。

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2010/09/02

お題「民主党代表選雑談とかその他少々」

ジャクソンホールはどうしたという突っ込みはしないように(汗)。

○これってお縄先生効果なのですか??

昨日の債券市場も何かまあ威勢良く動いておりまして、暫く前の何だか今日もじり高みたいな困った市場とは別の意味で困った市場になっておりまして実にアレでございます。

で昨日ですけれども、寄りから何か弱めだったのは前日が月末でインデックス長期化向けの買いにぶつける為に最後に無理無理持ち上げた節があるのでその分剥落したのかなあとか思ったのですが、まあ10年国債入札に向けて下げてましたわな。何か超長期が重そうなのがよー判らんけどあらまあって感じでしたが。

で、10年国債入札の札入れ終了して後場寄りからいきなりドカンと先物が下落。いやまあ入札が思ったよりもニーズが無くて入札がうんこになるんじゃないですかという事のようですが、ちょうど昼休みに小沢さんの政見に関する報道がありましてですな。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=auWnT05co3Jw
小沢氏:円高対策で市場介入に言及、子ども手当満額支給も(Update2)

昼休み時間に出ていたのは「子供手当て満額支給」「為替介入」とか「日米は対等の関係でどうのこうの」とかいうようなヘッドライン(ブルームバーグによります)でしたが、まあそれを受けたのかどうか知りませんが、後場に入って暫くはドル円が何となくドル高に振れて平均株価もちょっと上昇してたのでこじつけるとお縄先生効果ともいえたりします(えー)。

というかですね、昨日書き忘れましたけど、一昨日の債券市場でも小沢さんが「菅首相と(手打ちに向けて)会う予定は無い」と発言したというヘッドラインが出た瞬間先物が6銭だか7銭だか売られまして、デイチャート見るとそこだけいきなり垂直下げ(というほどの値幅ではないが)していまして、何ちゅうかここへ来て「お縄先生効果」というネタで相場を手掛けようとしている人がどこかにいるなあという感がひしひしとする今日この頃。

でまあ入札はあまり強くなかったのですが、それほど悲惨なものでも無く、1.05%レベル(償還が3か月長くなって発行日の関係もあって既発から4毛甘くなっているので10年金利の水準がずれたように見えるのは要注意^^)という所で買いも入ったようですが、引けに掛けて何かよー判りませんがまた超長期とか弱くなって終了とな。まあ何だかよー知らんけど前日のブルフラット(何か途中からブルフラットして最後に更に強くしてたのでインチキっぽい感じはあったけど)はナンダッタンダという感じっすな。

ま、本当にそうなのかはヒジョーに怪しい(昨日あたくしが悪態ついた財務副大臣じゃないですけれども、自分が矢面に立って責任もって動く気も無いのに威勢の良い事を言う(介入も選択肢とか言う暇があったら理解を求めに渡米しろとよって感じでが、ど〜せそれは事務をやるカンリョーの仕事だと思ってるんでしょうなあ)のは民主党の皆様の得意技なので、お縄先生といえどもその例外では無いと思われるのですが・・・)のですが、足元では一種のギャグだと思ってた「お縄先生でバラマキ財政復活どころかバラマキの凶悪化」というのが真面目に絵として認識されてきとるんかいなという夏の終わりに何の怪談だよというところでございますが、まあそんな感じで。


○えーっと「証券化して財源」って誰がそんな下らん知恵つけてるのよ

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=axmqYvlEe19Q
小沢氏:国の資産のうち200兆円くらいは証券化できる考え方もある

『9月1日(ブルームバーグ):民主党の小沢一郎前幹事長は1日午後、代表選立候補に伴う菅直人首相との共同会見を行い、政策実行の財源について「600兆円の国の資産のうち200兆円くらいは証券化できる考えもある」と指摘した。』(上記URLより)

えーっとすいません、それって国有資産売却と同じなのですが、国有資産を売却した分で国債の償却(やら発行減額)をしなかったら、ネットで言えば赤字国債を発行して財源にするのと同じなんですけれども、この先生は200兆円も新規赤字国債発行する気なんでしょうか???

まあ恐らくは「国有資産だって言ったって例えば国会議事堂の土地建物とか売れないでしょ」という意味で「証券化する」という話だと思うのですが、それって足元で証券化することによって資金が出るかもしれませんが、例えばそれを不動産証券化商品にした場合って、その証券化商品には利息をつけてやらないと誰も買わないのでありまして、国会議事堂の賃料の支払いが永久に発生する訳ですから結局の所「将来の賃料払いをする事によって足元でキャッシュを入れる」という事で、赤字国債発行よりも下手したらタチが悪いと思うのですが。

だったらまだストレートに売却し(て折角ですから国会議事堂と議員宿舎を竹島にでも移転させたら如何でしょうかwww)た方がまだ筋の良い話で、証券化なんかしたら仲介する業者(投資銀行か不動産金融屋なのか知りませんが)に口銭が無駄に落ちるし、その後も管理だ何だと言って口銭が落ちる話なので、まあギョーカイ人としてはウハウハな話ですが、いち国民として考えた場合にはどうもねえという感じで、入れ知恵してるのどこの誰だと申し上げたくなりますな。


しかしまあ他にも何かこうアレなヘッドラインがございまして。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a1invHOI1Ewk
小沢氏:政治家が自らの責任で予算決定できる体制つくる−共同会見

えーっとすいません、予算って国会で審議して承認されないと実際に決定しないのでして、現行法の下では「政治家が自らの責任で予算を決定している」のですけれども、これはどういう意味で仰っているのでしょうか???もしかして従来は予算審議に対して責任感も何も持っておられずに党利党略の為のみに自民党政権の予算審議の妨害をしたりしておられた。という事なのでしょうか????しかも政治主導とか言って「陳情は幹事長の所で一本化します」とか今年度予算の策定の時に話をしてましたと記憶しておりますが?????

「自らの責任で予算決定」という文言に「俺様の言う事を聞く人間に(以下自主規制)」というのを感じてしまうのはうわなにをするくぁwせdrftg

#悪態もほどほどに>自分


○6か月オペが実行されましたが

昨日のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of100901.htm

落札結果
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba100901.htm

6か月ものオペの按分比率は26.2%ですが、月曜に実施された3か月の固定金利オペの按分比率は22.2%とゆーことで3か月ものオペより6か月ものオペの方がニーズが少ないとはこれいかなる事ぞということですな(^^)。

まあ1秒で言えば「利下げの可能性も残っているからより長い期間のオペだと利下げに当たってマズーの確率が上がるから」という事なのですけれども、「より長い期間の低金利の資金供給」ということで実施した固定金利オペの皮肉っちゃあ皮肉な所。

つまりですな。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0912a.pdf

の別紙『「共通担保資金供給オペレーション基本要領」中一部改正』(PDFの2ページ目)の中にありますように、固定金利オペに関しては・・・・

『ロ.固定金利方式

貸付日における誘導目標金利(本行が金融市場調節方針において誘導目標として定める無担保コールレート(オーバーナイト物)の水準をいう。)を貸付利率とする方式。』

という事で、これって貸付日の金利で固定なのですけれども、まあこういう風にしておかないと、先行きに金利上昇が見込まれるような時に「ターム物金利の抑制効果」が発揮できないという事を勘案して決定したという事なのではないかと思われます。つまり、固定金利だけど途中で政策金利にスライドするというのだとそもそもそれって固定金利かよというツッコミもさることながら、利上げが予想されたときにメリットの無いオペになってしまうので、つまりは近い将来の利上げ観測が起きた時に、このオペに応札するメリットが無いという事になるでしょうから。

しかし、現在のように先行きの政策金利低下の可能性がある、と市場が認識する(今は目先急に下がらないでしょと思いますが)ようになった場合、貸付日のレートで固定という形になってしまいますと、利下げを本気で100%織込みに行った場合に応札が堂々の札割れになるというのが確実でありまして、これはこれで中々面白いというものです。この際折角ですから固定金利オペを1か月ものから6か月ものまで作って「市場の織り込む利下げ確率」について按分具合から逆算してみたらどうでしょうか(冗談ですので念の為^^)。

あと、更に余談になりますが、このオペの要綱があるうちはオーバーナイト金利の誘導目標水準をバンドにするのって無理ですな。固定金利オペのレートをどこに置くのかが決まらないですから(^^)。

で、そういや固定金利と言えば企業金融支援特別オペというのもありましたが、あの時には何でそういうこと考えなかったのかなあと思ったら・・・・・

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0812c.pdf

の別紙1『企業金融支援特別オペレーション基本要領』の『6.貸付利率および利息の徴収』(PDFの3ページ目)の中にありますように、

『(1)貸付利率は、本行が金融市場調節方針において誘導目標として定める無担保コールレート(オーバーナイト物)の水準の貸付期間中における平均値とする。』

と、こちらは平均値になっているのですな。いやまあオペとしての建て付けが違います(このオペは「CP市場などの金利低下」を企図したものだがら)ので違う作りになるのは当然ちゃあ当然なのですが、ふーんと思ってしまいました。


○そういやTIBORが低下してますな、とか

何か知らんがTIBORが低下。まあ「ターム物金利の低下を促す」ってったって既に債券系の金利はこれ以上低下できない所まで低下しているのでありまして(相変わらず昨日の3か月TB入札も落札結果発表後は0.105%で取引されていたみたいですしねえ)、下がる余地のある「ターム物金利」といえばTIBORさんでありまする。で、2日のTIBORちゃんですが・・・・

日本円TIBOR:0.36154%(前日0.36846%)
ユーロ円TIBOR:0.35538%(前日0.36308%)

という事で良い感じで下がっているのですが、よくよく見ますと1日とか2日とかに大手のリファレンス銀行さんが続々と0.38%→0.36%みたいな感じで威勢良く呈示レートを下げているのですが、まあやっと空気を読んだかという所でしょうか。

#まあ蒸し返すようだが、外山局長のTIBOR発言報道が無かったら正直言って逆にもっと早くTIBOR下がっていたんじゃねえのと思うのだが・・・・・

どの辺まで呈示レート下げる積りなのかは存じませんけれども、まーこの辺の動きを見てるのか見てないのか知らんですが、ユーロ円金先も堅調でございますわな、うんうん。


あと、企画局からこのようなペーパーが。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev10j13.pdf
「成長基盤強化を支援するための資金供給」について

・・・・・うーむ、何と言う美しいペーパー(棒読み)。

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2010/09/01

お題「総裁会見とかその他少々」

FOMC議事録も読みたいがさすがに今日は勘弁。ブルームバーグの記事はこちら。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a.I9q.L5icbM

どういう誤ったシグナルなのか読みたいが時間が無いので遅くても今週末には読むだよ(キリッ)。


○その前に悪態系雑談

・昨日の日経新聞

あたしゃご案内の通り日経読まないのですが、まあ普通に皆さん読んでいるので金利村の話題になっていたのは日経の1面での経済金融部長の論説のようなもの。「危機感、世界に伝わらない」というお題で「小出し対応はケシカラン」とか批判している訳なのですけれども、臨時会合実施だの何だのと散々っぱら報道で煽って日銀を散々追い込んで市場に織り込みさせたのはどこの誰だと小一時間問い詰めたい所であります。というかてめえらで煽り報道やって、その煽り報道どおりに日銀が動いても「足りない」とか言い出すとかイクラちゃんにも劣る駄々っ子かと(イクラちゃんだってカツオ君あたりが上手い説明をすると収まると言うのに^^)。

・在金分離の観点で武藤総裁に反対した党の人がこういう話をするのですね

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a3WMw4e.JuQ0
池田財務副大臣:非不胎化介入も必要、断固たる措置(Update1)

非不胎化介入の件って相変わらず理解してないんですねえ(自動的に国庫短期証券が発行されるのですけど・・・・)というのもさる事ながら。

『池田財務副大臣は、国会議員や民間エコノミスト、有識者らでつくる「デフレ脱却国民会議」の公開シンポジウムで語った。同副大臣は「与えられた権能、選択肢は排除しない」とも述べた。さらに「過去の介入がうまくいったのは、各国の容認、理解に加えて日銀の協力があったからだ」と説明した。』(上記URLより)

だからその各国の容認を取り付けてくるのが「財務副大臣」のお前の仕事でシンポジウムだか何だかで威勢の良い事ほざいている暇があったらお前は全身全霊をささげて米国や欧州の当局と協議しやがれと小一時間問い詰めたい所ですが、その小一時間も勿体無いので問い詰めはしません(^^)。しかしまあ物の見事に財務副大臣としての認識ねえだろこの(自粛)は。

それからですな、結局出来ないのなら下手なこと言わない方が良い訳で、断固とした措置がどうのこうのと言い続けて結局本当は何も出来ないのですという話になったら「この政策当局は言うだけ大将で何もできないからドンドン攻略しよう」という感じになってきますし、しかも「断固たる措置」だの折に触れて言うもんだから、適当にその度に相場がちょっとだけ戻りをつけるので、ポジションの良いガス抜きが出来てドル売り円買い相場の息が長くなっちゃうんですよね。もうどこの頭岡椎太郎さんという感じっすな。

そして「在金分離」で武藤総裁就任に反対した民主党様だけの事はあるなあと落涙を禁じえなかったのはこの続き。

『池田副大臣はさらに、円高の流れを止める手段の一つとして「ゼロ金利の選択肢の可能性もあるべきだ」と指摘、日銀の対応に注文をつけた形となった。』

えーっと、以前福井総裁時代に0.5%への利上げを行うかという時に、自民党の中川秀直さんあたりが文句言ったときにも批判していた民主党さん、そして「財金分離」とか言って武藤総裁就任に反対した民主党さんなのですが、党の人どころか「財務副大臣」というポストにある方が日銀の「具体的な政策手段」に対してご発言ですかそうですか。

野田財務大臣などが今般の追加緩和(のようなもの)に対して色々と発言をしているのと整合性が取れないというのもありますし、そもそもお前らの言ってた財金分離と全然違うし、「財務副大臣」が日銀の具体的政策手段に圧力とか意味ワカンネ。自民党政権時代もまあそれらしい発言してる人はいましたけど、それは党の人が発言しているだけで、内閣の人はそういう発言はしないという嗜みはあったんですけど、この政党はどうなっとるんだと。

まあそれ以前の問題として、この先生ジャクソンホールでのバーナンキ議長の講演で「ゼロ金利にしてFF市場(日本で言えば無担保コール市場)を壊してしまうと政策遂行上大きな問題が生じる」という話をしている事もチェックしていないのでしょうかねえ(ニヤニヤ)。

で、何回か引用していまして恐縮ですが、本石町日記さんの3年前の指摘が相変わらず見事な予言の書になっている訳で。

http://hongokucho.exblog.jp/6974947/

『民主党の経済(特に金融系)戦略は、個人的には政府系金融機関(含む郵政)などの主張(国営のまま縮小)は支持できるが、金融政策については@独自のポリシーがない(与党に抑圧された日銀という対抗戦略のみ)Aトンデモ系の利上げ論が横行−しているという印象だ。特に、日銀を与党に抑圧された存在とみなす戦略は、仮に与党になれば日銀を抑圧するのが見え見えで、薄っぺらな感じである。』(上記URLより、強調は引用者による)

以上悪態終了(^^)。


で、総裁会見ですけれども。
http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk1008b.pdf

○米国は緩和維持で日本は追加緩和だという説明はある意味そうだがやっぱり違うと思う

まあ当然なのですが、米国の追加緩和(をしているような)姿勢と、日銀の追加緩和(のようなもの)に対する(一応やっているのにやっているように見えない)姿勢の比較感に関する質疑が多うございまして。

例えば4ページ。

『FRBの追加緩和ですが、FRBの金融緩和の姿勢・方針について解説し、その上でお答えしたいと思います。FRBが8 月10 日のFOMCで行った決定は、リーマン破綻後の証券買入れにより保有することになったエージェンシー債やモーケージ証券の償還がこのところ増加しており、それを放置すると金融引き締めとなることを回避するために、償還資金見合いで長めの国債を買入れることにより、証券の保有残高を維持するというものです。金融の引き締めが生じてしまうことを回避することが目的であると、バーナンキ議長が今回の講演でも言っていますが、言い換えると、金融緩和を継続することを表明したものです。今回、ジャクソンホールでの講演では、経済が大幅に悪化した場合には追加的な緩和措置を採る用意があることを発言されました。これは、「大幅に悪化した場合には」ということです。』

明日以降ジャクソンホールの講演ネタやりますが(すいません)、まあこの話も微妙に従来のFRBの説明と整合性が取れてなくて、買入の時にはこの施策を「量的緩和ではない」と言ってて、しかも「金利を下げる」「市場機能を回復させる」というのを目的及び波及経路としている(講演でもその話をしている)のに、残高維持に当たっては「定量的な部分」に着目して緩和維持という説明をするというのもバーナンキ先生インチキじゃないのと思うのですが、まあここでは白川さんはFRBの説明を基にして話してますな。

というのは兎も角として、FRBの決定が「緩和維持」であることはその通りと言えばその通り。

『今回、8 月の決定会合と本日の臨時会合で日本銀行の採った措置についてですが、まず8 月の会合では、FRB同様、金融緩和を維持することを決定しました。それから、先々の政策について、日本銀行は、毎回の決定会合の公表文において、中央銀行として最大限の貢献を粘り強く続けていくことを明確に示しています。言い換えると、経済・物価動向や金融情勢の変化などによって、必要と判断される場合には、適時適切な対応を行っていくということであり、この点でもFRBの金融政策運営と同じと理解しています。違いは、FRBの方は現在、追加緩和の措置を採っているわけではないということです。』

っていう説明は瞬間を切り取るとその通りではあるのですが、それが激しく空しく響くのは何故かということを考えないといかんわけで。

つまりですな、米国の場合はそれまでが力強い景気回復ヤッホーで出口政策模索ですよとやっていたのが、8月FOMCで折れちゃったという「それまでの方向性とこれからの方向性」の変化があった訳でして、それに対して日銀の場合は牛の涎の如くダラダラと同じ状況が続いているという相対感がある(でまあ今回追加緩和のようなものを実施しましたけれども、その前から散々事前報道する馬鹿野郎がいて、金融政策に関して何かその勝手に期待を膨らませる他市場の人たちがいたので、ある意味今回も方向性として「あら残念」となってしまった訳で、事前に煽って肝心の政策効果を先に全部以上先食いさせる結果になったどこぞの経済(悪態につき自主規制))というのもありますし、白川総裁が毎度毎度(それはそれで正確かつ正直に話をするので一面では良い話なのですが)超原則論しか披露しないで、バーナンキ議長のような福井の俊ちゃんもビックリのインチキプレゼンをしないという面もあろうかと。

つまり「方向性が変わらない(まあ物価マイナスだから変えようが無いが)」というところと、「インチキプレゼンをしない」からという所が日米の違いであって、現象面を切り取ってみた場合にどうなのよという話をしても残念ですが空しく響くのではないかと思います。

まあでもこの点は難しい訳で、じゃあインチキプレゼンで良いのかといえば、やはり本来はインチキではなくちゃんとした話をすべきであるとあたくしもさすがに思うのですが、何せ総裁会見にやってきて福井総裁(当時)が大ファンであります所の阪神タイガースの快進撃に関して質問するアホウが報道機関にいる(今その人は国会議員だったような気がしますがorz)ような状況でありますので、まあインチキ、といいますかハッタリも必要なところではないかと。特に平時だったら兎も角、色々と経済が難しいときですので、ある種のハッタリ(インチキインチキというと何なので途中からハッタリに変更^^)もこういう状況下では必要とされるのではないかと。


○日本の方が元々先行きを下に見ていたんです(キリッ)

今回の会見では「何かしょーもないタイミングで追加緩和(のようなもの)をやらされました」という腹いせなのかどうか知りませんが、「ジャクソンホールに行ってきたらこんな話がありました(キリッ)」ってのが目立ちますな。

えーっと、人間として正直で非常によろしいのですが、どうせ追加緩和(のようなもの)を実施したのですから、こういうときにはもっと嬉々として「ほらほら追加打ち込んだですぜエッヘッヘ」みたいな会見をして「やる気」みたいなのを見せる(少なくとも俊ちゃんは当座預金残高を拡大する時には「こんな追加緩和をやっているんですよ、どうです、凄いでしょう!」ってプレゼンをしていた訳で)べきではないかと思うのですけれども、今回の(キリッ)シリーズはこんな感じですかね。

『もう1 つは、ジャクソンホールでの議論は1 年に1 回行いますので、この1 年間の変化を改めて皆が確認して、その上で今自分達がどういうことを考えているのかを深く考察するよい機会になっています。(途中長いので割愛)一方、先進国の政策金利は実質ゼロ、財政赤字も非常に高い数字で、政策対応余地も大きくはないという状況です。それだけに、本格回復軌道に乗るにはまだ時間がかかると、会議の参加者が実感していたように思います。』

『バブル崩壊後の経済調整の厳しさを身を持って体験してきた当事者である私どもとしては、こうした事態を将来予測に織り込んでいます。ただ、そうした事態を体験していない人からすると、調整には時間がかかるということを、改めて重く受け止めているように思いました。会場の内外で、日本に関する質問を改めて多く受けました。それも、先程申し上げたような問題意識を反映しているのだと思いました。』

ふーん。


○バーナンキがこんな事を言ってますよ(キリッ)

バーナンキ講演に関する話もありましてですね。

『今回、ジャクソンホールでのバーナンキ議長講演の冒頭で、現在経済が直面している様々な問題について、金融政策だけで解決するわけではないと述べられ、その上で、中央銀行として金融政策で対応できる部分について一生懸命考えていく、対応していく必要があるという趣旨のことを述べておられます。私もそういう意味では、バーナンキ議長と同じような認識を持っています。』

とかいうのがあったり、

『ジャクソンホールでのバーナンキ議長講演でも、短期金利をこれ以上引き下げると、多くの金融機関が短期金融市場から退出し、市場の流動性が大きく低下するとした上で、追加的な金利引き下げが、市場の機能を長期にわたって損ない、適切な金融政策を阻害する惧れがあると指摘されています。私は、かねてよりこうした問題の重要性について指摘していますけれども、当初はこのような問題についてあまり多くの理解があったわけではありませんので、ジャクソンホールでバーナンキ議長の講演を聴きながら、ある種の感慨を覚えました。』

感慨を覚えましたというよりも(キリッ)って感じですなあ(^^)。


○しかしこうなるなら7月時点で先行きリスクバランスに関する見方をだなあ・・・・

先日引用した日銀決定会合7月議事要旨の中で、先行きリスクバランスに関して「数名の委員はリスクはバランスしていると指摘」というのがあって「他の人はどうなの?」と思ったってえ話をしたと思うのですが、後付けになってしまいますが、こうなって見ると7月時点でもうちょっと手のうちようがあったのではないかと思うのですけどねえ。

『4 月末の展望レポート公表時に、上下のリスクは概ねバランスしていると申し上げました。その後、毎回の決定会合でリスクバランスの点検を行っていますが、概ねバランスしているけれども、その中で少しずつ下振れリスクを意識する委員が、あるいはその程度が増しているなという感じでした。今回の臨時会合では、もちろん委員によって若干ニュアンスの差はありますが、上振れリスクよりも下振れリスクについてより注意する必要があるという方向に傾きました。その結果、今回、前倒し的に金融緩和措置を行ったということです。』

「下振れリスクを意識する委員が、あるいはその程度が増しているなという感じでした。」って言いますけど、こういうのって追加緩和(のようなもの)をしてから言ってもしょーがないわけでして、その間ってずーっと白川さん「リスクはバランス」って言ってたでしょと思うのでして、結局こうなるならもっと早いうちから「リスクを警戒する必要がある」というような話をしてれば(話をするだけで何もしなくても)もうちょっと前後の反応が違ってくるんじゃないかと。今回の流れだと「市場と政府に差し込まれてポッキリ折れました」としか見られないわけで、その前から「下振れリスクを意識して」みたいな話をしておく方が(どうせやるなら)よろしいのではと。

ただまあ「下振れリスク意識」というだけで聞き分けなしモードのイクラちゃんになる人たちがそこかしこに居るというのも日本的な問題だったりするのでその辺の加減は非常に難しそうですが、少なくとも今の「途中まで原則論」→「最後にいきなりポッキリ折れる」というのは如何にも印象が悪いので何とかならんもんですかねえ。


○苦しいのう苦しいのう

何でわざわざ出張を1日短くして帰国して臨時会合したのよという質問に対しての部分から。

『もし、この臨時会合があまりに頻繁に開かれますと、金融市場参加者からみた場合、先行きの金融政策について安定的な期待形成が難しくなる可能性があります。市場が、毎日のように「今日決定会合が行われるかもしれない」と思う状況では、安定的な市場の価格形成が損なわれたり、市場に混乱を与えたりしてしまいます。そういう意味で、私どもとしてはできるだけ本会合の開催により政策決定を行いたいと思っています。』

ほうほうそうですか(棒読み)。

『その上で、臨時会合を開催すべき状況かどうかをその都度判断することになります。今回は、前回会合以降の米国の様々な経済指標、その後の円高の動き、株価の動きなどを総合的にみながら、徐々に臨時会合の必要性への認識が高まっていったということです。また、ジャクソンホールで海外の当局者と意見交換をし、その上で判断したいという思いもありました。結果として、今回の臨時会合開催は、私にとってはベストのタイミングであったと考えています。』

ほうほうそうですか(棒読み)。

いやまあ特に申し上げることはございませんがね、苦しいのう苦しいのう。

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2010/08/31

○10年1.1%に20年1.8%を瞬間上回るとはオソロシス

以下単なる自分用の備忘メモで、相場付きに関してはベンダー(ってまあ先物の数字とプライスアクション程度で一部カレントの値付きが瞬間わかる程度ですけどね)みたり戦場の第一線で狙撃兵としてご活躍のお友達に聞いたりしつつという感じで書いておりますので、本人の脳内ではそれなりにちゃんと書いている積りですが、正確性に関しては一切保証致しかねます(というか正確じゃないと思う・・・)のでその辺をご留意の上ご覧頂きたいと存じます(とヘッジクローズ^^)。

昨日の債券市場ちゃんですが、米債が何が何だか良く判らんですが豪快にベアスティープして戻ってきた事から、寄りから債券先物が15銭安とかのスタートに。と思ったらその後も先物がスコスコと下落して、寄りから5分くらいの所(だと思った)で先物が142円20銭(35銭ちょい安)割る所で超長期が何と10.5甘(1.800%)出合いとかになって、何と今日もやるのかよという事で更に相場が下がるでござるの巻。

何か結局いくらが安値なのかという感じでしたが、10年も前日比10毛甘の1.1%を抜けちゃうわ、20年も1.8%を楽勝で抜けちゃうわで、先物は9時9分に安値141円60銭と、何と95銭安(つまり寄りから9分で80銭低下ね^^)まで売られてしまいましたが、さすがに10年1.1%だの20年1.8%などとゆー水準ですので、今まで買わないで必死に耐えてきた人たちにとっては干天の慈雨というか地獄に仏というかちゅうことで買いが入り持ち直してとりあえずデルタを消す為に売られたと思われる先物にも買い戻しが入ったようですわな。

・・・・と言いましても、先物はきゅいーんと142円台回復したものの、その後も暫く10年はウダウダと7毛甘(=1.070%)だの8毛甘だのというような水準(だいたいその辺だと思う、あまり正確では無い)で推移しておりまして、また一旦142円われをやらかしていましたが、その後は徐々に復活モード。

でですな、決定会合結果はご案内の通りでござんしたが、それでどうのこうのという事も無く、後場に入ると長期、超長期ゾーンの買いが確りしまして(それから2年とかが妙に強くなったのも謎ですが・・・)後場取引の中盤以降は前場の強烈なスティープニングも緩和されて、引けは先物142円45銭(10銭安)に対して10年2毛甘(1.020%)の20年3.5毛甘(1.730%)となりまして、前場引けが先物142円22銭(33銭安)に対して大体の居場所が(何せ動いているので良く判らん)10年6毛甘近辺、20年10毛甘近辺だったようなので、まあ後場に掛けて10年、20年にはそこそこ買いが入ったんでしょうなあという感じでござりまする。


まーよく売られましたなとゆー感じですが、20年の1.8%と言えば相場がソイヤソイヤと上昇しだしたのが7月頭とかだと思いますけど、その前に結構ウダウダとやっていたレベルではございますので、そらまあ後付けで考えれば止まりどころという話になるのかも知れませんけれども、はてさてこれで落ち着くのかやっぱり落ち着かないのかはどうなんでしょうかね。

あとですね、お縄効果というのは(まあ正直それは単なるギャグネタとしての効果であって、本気で「財政拡張懸念が急に現実的になった」というのは流石に・・・・^^;単純にここまでその手の話をスルーし過ぎたので奇襲効果があったのはあったのでしょうが)これまた後付けで無理矢理こじつけると、昨日の後場途中(確か午後2時手前位でしたっけ、忘れたけど)に「菅さんと小沢さんの会談が」みたいな手打ちへの道が出て参りまして、これはお縄リスクが軽減の悪寒という事で買い戻しに拍車が掛かったとか講釈するとギャグとしては面白いですけれども(^^)、たぶんそれはあくまでもギャグの世界でしょうな、あっはっは。


以上、何の役にも立たない俺様備忘メモでしたm(__)m


○決定会合レビュー

#しまった、時間があんまり無い・・・

これが結果
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k100830.pdf

実際に行うオペに関して
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/un1008d.pdf

とりあえず駆け足であたくしめが勝手にポイントと思った事を箇条書きモードで。

・「量」ではなく「金利」とな

『1.日本銀行は、本日、臨時の政策委員会・金融政策決定会合を開催し、固定金利方式の共通担保資金供給オペレーションについて、期間6か月物を新たに導入したうえで、同オペを通じた資金供給を大幅に拡大することとした。これにより、市場金利の低下を促し、金融緩和を一段と強化していくこととした。』(声明文より)

>これにより、市場金利の低下を促し
>これにより、市場金利の低下を促し
>これにより、市場金利の低下を促し

ということで、従来のロジックの踏襲なのですが、今回の措置に関しては「金利の低下を促す」というのを目的および波及経路として考えているという事です。まあ足元勝手に市場が全部以上織り込んでしまったので、既に市場金利は下がっていますが何か?という無粋なツッコミは兎も角として(^^)、期間6か月を打ち込むことにしたのは、あくまでも「より長めの資金を供給することによって長めのターム物金利の低下を促す」という建付けにするということですな。

従いまして、仮に次に何かやらにゃあ行かんという場合には(白川さんが急にポッキリ折れれば別ですが^^)、方向性としては「より長いターム物金利の低下を促す」というのがロジックの踏襲としては普通の考え方ということになると思いますので、方向としては「今の3か月で回っているものを6か月にする」「今回っているものを1年にする」というようなオペ手直し方向、もうちょっとやる気を出せば時間軸的なコミットメントという話になりますが、時間軸のコミットメントは「展望レポートでの見通し公表と、先般更に明確化した中長期的な物価安定の理解で示しています」というのがまあ日銀の理屈だと思いますので、コミットメントをする時にはそこの所を整合性つける(まあちょっとした屁理屈で良いと思いますが^^)ちゅう所でしょうな、と思います。


・やっと下振れ意識ですかそうですか

『2.わが国の景気は緩やかに回復しつつあり、先行きも回復傾向を辿るとみられる。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、基調的にみると下落幅が縮小を続けており、先行きも下落幅が縮小していくと考えられる。この間、米国経済を中心に、先行きを巡る不確実性がこれまで以上に高まっており、為替相場や株価は不安定な動きを続けている。こうしたもとで、日本銀行としては、わが国の経済・物価見通しの下振れリスクに、より注意していくことが必要と判断した。』(声明文より)

何かまあやっと「下振れリスクにより注意」っていうのが出ましたが、その前段に「景気認識は変わってませんよ〜♪」とか「下振れするのは米国ですからね〜♪」とかわざわざ打ち込む所がチャーミングというか白川総裁意地っ張りというか何だかなあという感じではあります。詳しくは会見要旨を見つつ考えます。


・オペ供給額だけであれば期間3か月の方が早く10兆円積みあがりますが

『日本銀行では、本日の政策委員会・金融政策決定会合において示された方針を踏まえ、固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションの運用について、これまでの期間3か月の資金供給の残高20 兆円を確保したうえで、追加的に10兆円程度の期間6か月の資金供給を開始することとしました。』(実施の具体的説明文より)

ということで、従来のは3か月のままで6か月を打ち込みますよと。

『2.期間6か月の資金供給

・オファー頻度:月1〜2回
・資金供給額(1回あたり):8千億円程度』(実施の具体的説明文より)

つまりですな、3か月のオペなら10兆円になるのに3か月ですけど、6か月のオペを6か月掛けて10兆円にするのですから、まあオペ実行額という意味で言えば実は期間が短いほうが残高が先に積みあがるという実にシュールな今回の決定。何だかねえという感じですが、まあそもそも肝心の短期ゾーンの金利が(超足元のGCだけ高いですがそれは兎も角)下がりきっているので、金利的にはどっちもどっちだったりしますけどね。まあ先に来ればそらまあ6か月の方が3か月よりも効いて来るでしょうけど。


・須田さんが反対とな

『(注1) 須田委員は、本文中、固定金利オペに関し、期間6か月物を新たに導入したうえで、同オペを通じた資金供給を大幅に拡大することについて、反対した。』(声明文脚注より)

・・・・さて、この理由については今度出る(来月は間に合わなくて再来月でしょうなあ)議事要旨で反対理由をみたいものです。


#ということでバーナンキ講演はすっかりスルーでどうもすいません

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2010/08/30

お題「ほほう臨時会合/面白市場メモ/バーナンキ講演」

だからネタをいっぺんにあちこちから打ち込まないでくれと(^^)。

○ほほう臨時会合ですか

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2010082900205
日銀、30日に臨時会合=追加金融緩和決定へ

日銀は急激な円高・株安による景気悪化を防ぐため、30日に臨時の金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策を決定する。政府が追加経済対策の基本方針を31日に決めるのに合わせ、政府・日銀が一体となって円高などの課題に取り組む姿勢を鮮明にする。(上記URLより)

・・・・追加経済対策の「基本方針」を定めるのに緩和のお付き合いとはご苦労なこったと申しますか、民主党代表選挙で首も涼しくなってきた現政権の皆様におかれましては、経済無策と言われると益々マズーなのでしょうから、経済対策を打たにゃならんけどさて31日にどういう対策を打つのやら。ただまあそこに日銀がお付き合いしないと益々「無策」振りがはっきりする次第ですなあと考えますと、実はこの決定会合実施の方が「お縄効果」なのではないかという悪寒が(^^)。

まあ何ですな、ど〜せ9月定例会合では本件が打ち込まれるでしょうというのは市場のコンセンサスもコンセンサスでありまして、単にそれが1週間早くなったに過ぎないというステータスでありますので、これに対する実際の短期市場における金利形成がどうなるこうなるとかは大体コンセンサスが出来ていて、既に織り込んでしまっているとは思いますけどどうなんでしょうかね。つーか織り込みすぎているような気もするので、新型オペ拡充でこれ以上(短期ゾーンの)金利が下がってどうのこうのというのは想定しない方が良いとは思いますので、そーゆー意味での市場へのインパクトがあるのかねとは思いますが、為替だの株式だのがどういう反応するのかは正直知らん(恐らく為替を見て株が反応するものと思料)ので、金融政策に関して毎度毎度斜め上の面白い解釈をして面白い反応をする為替市場の皆様がどういう反応するのか次第でしょ、そちらの方面については影響あるでしょうな。波及経路が良く判らんけどね(^^)。


○いやあ超長期売られましたねえ

金曜の駄文で超長期が売られた(ネタとして絶妙に面白いので「お縄先生力あるわ」とか書いたけど^^)話を書いて、「さて米債が強かったのですが今日はどうなるでしょう」という風に書いたのですが・・・・・

えーっと、寄りは米債フォローで先物17銭高とかで始まっていたのですが、超長期ちゃんは朝から5糸甘とかゆーよーな中々お洒落な展開。その後も超長期の気配はドンドン甘くなり、超長期が重いことから先物も徐々に下落し、前場引け近くの10時50分ごろには先物11銭高に対して10年308回が1毛甘出合いだとなって超長期が4毛甘出合いとかになりました。ちったあ買いもあったみたいなのですが、前場引け後も業者間のビットを叩くとか中々素敵な雰囲気に。で、後場に入って益々雰囲気が悪化し、午後1時20分過ぎになると10年、20年が更に崩れて先物も一気に下落しやがりました。先物27銭安の142円55銭で10年309回が6毛5糸甘の1.00%に上昇したようですが、さすがに10年1%レベルでは買いが入り、一旦持ち直すました。でも20年ゾーンがボコボコになっていまして、引け前10分だか15分高のところでもう一発売りが出たみたいですが、今度は10年とか5年などに出たようで、引けに掛けて再度相場は下落しましたが、そこで買いが入ってまた戻るとかややこしい展開。

で、引け値ベースで言えば、先物142円55銭(27銭安)に対して10年1.000%(6毛5糸甘)、20年1.695%(13毛甘)という実にお洒落な展開。

でまあ何ですな、木曜金曜の市場って特に何か材料があったわけでも無く、おまけに金曜に至っては米債が思いっきりフォローだったのですからして、昨日書いたように「民主党代表選挙結果次第で財政再建路線の頓挫が懸念されて」という風にしちゃうと一番説明はしやすい訳ですし、まあそもそもユーロ圏の財政問題ネタ以降で金利低下のネタに使われたものの中に「菅政権の財政再建路線」というのが一応あったので、それがひっくり返るリスク(今年の最初3か月とか粛々と超長期が打たれてましたからねえ)というのを意識してどうのこうのとゆーのもあるのかも知れませんけれども、そもそも木曜の最初の売りなんて良くある「計画に則って寄りからドカンと売却」的な売り方だったと思われますし、ま〜どっちかと言えば「超長期市場が勝手に真空地帯を駆け上がって来た分を勝手に自己崩壊した」という感じジャマイカと。たまたま月末受渡のタイミングで小沢さんの代表選出馬表明が出たちゅうこってしょうな。うんうん。

もともと買ってるほうもソイヤソイヤとキャピタル狙いもあってお祭りをやっていたちゅう所もありまして、さてどこでどうケツを入れるかという事は皆さん考えていたと思いますので、そこで売りが一発出て相場が下向きになった場合に、普段だと循環取引でもやっているかのようにどっかで押し目買いが入るのですけれども、まあ先週の20年国債入札にありましたように、ちょっとその押し目買いの人の頭数が減ってきてた感がありました(一部の大口落札だけで多くの業者が珍しくドン引き状態だった)ので、買いの手が引っ込む中での売りで、「じゃあ俺も決算益固め」とか何とか言って売りが出て、俺も俺も状態になったというような自己崩壊(この程度で自己崩壊というのも大げさですが)したとゆー事ジャマイカと、よー知らんがの。

ま、何はともあれ本日は追加緩和でございますので、さて長いところはどういう反応をするんだか(ニヤニヤ)。


○バーナンキ議長の講演のどこがどう量的緩和拡大を強く示唆しているのか意味判らんのだが

注目のジャクソンホールでの講演。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20100827a.htm(HTML版)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20100827a.pdf(PDF版)

この講演、中身的には相当面白くてですね、景気認識に関する話がまずあって、その後これまでFRBが実施してきた各種政策の整理があって、この整理が珍しく政策の狙いやら波及ルートの説明をしているのがマニア的には非常に興味をそそるのですよ。それから今後の政策オプションに関する説明をしてまして、わざわざ具体的に(1)長期国債の買入拡大、(2)ガイダンス文言(extended periodね)の変更、(3)超過準備付利金利の引き下げ、に加えて自分たちでは検討をしていないけれども経済学者などからの提言(IMFのブランシャールペーパーを意識してるんでしょ)として(4)インフレ目標値の引き上げ、に関してメリットデメリットについての話をしている部分も中々オモローでありまする。


でですな、報道されているベースで言うとバーナンキ議長が「量的緩和拡大を強く示唆」というような話になっているのですが、この講演テキストを一応相当注意して読んだのですけれども、そんな話はどこにも載っていないと思うのですよ。例えば最後の「Conclusion」のところでPDF版だと(以下ページはPDF版ね)18ページになりますけれども。

『Although what I have just described is, I believe, the most plausible outcome, macroeconomic projections are inherently uncertain, and the economy remains vulnerable to unexpected developments. The Federal Reserve is already supporting the economic recovery by maintaining an extraordinarily accommodative monetary policy, using multiple tools. Should further action prove necessary, policy options are available to provide additional stimulus.』

追加的な緩和政策が必要な状況になったら我々は追加的な緩和政策を実施する用意があります(キリッ)って良く良く考えたら当たり前の話をしているに過ぎず、まあそれは政策の方向性が出口政策模索という状況から、状況が悪化したら緩和という方向性になった事なのでそれはそれで意味はありますけれども、その辺の話は既にFOMCステートメントでも出ている話でありまして、別に新たに何か追加緩和に関して踏み込んだ発言をしたとも思えませんけどねえ。

ついでに経済見通しに関する部分で7ページ目から8ページ目に掛けての最後の部分で現状の物価に関する話を引用しますとこんな感じなのですが。

『Maintaining price stability is also a central concern of policy. Recently, inflation has declined to a level that is slightly below that which FOMC participants view as most conducive to a healthy economy in the long run. With inflation expectations reasonably stable and the economy growing, inflation should remain near current readings for some time before rising slowly toward levels more consistent with the Committee’s objectives.』

現状のインフレ率がFOMCメンバーの考える長期的な望ましい水準から若干下回っているという話はしていますが、先行きの見通しについてそう悲観的な話をしているわけではありません。

『At this juncture, the risk of either an undesirable rise in inflation or of significant further disinflation seems low. Of course, the Federal Reserve will monitor price developments closely.』

望ましくないディスインフレも高インフレも、どちらへのリスク共に低いと言ってますな。

『In the remainder of my remarks I will discuss the policies the Federal Reserve is currently using to support economic recovery and price stability. I will also discuss some additional policy options that we could consider, especially if the economic outlook were to deteriorate further.』

経済の先行き見通しが更に悪化した場合には追加緩和を行いますって言うのは非常に当たり前の話をしているようにしか思えないのでして、どこをどう解釈すると「追加の量的緩和拡大を強く示唆」という話になるのかがさっぱり判りません。


で、景気認識に関する部分ですが、これまた引用していると無限コースになる(何せこの講演PDFファイルで19ページもありやがる)のであたくしが勝手に解釈したのはこんな感じですかね。

・経済成長は極めて緩やかで失業は高く、雇用所得環境の改善は非常に遅い
・金融環境は大きく改善するものの、銀行の貸出態度はややタイト
・今後の回復に関して重要な要因として挙げられる消費の拡大や住宅市場の回復に関しては、労働市場および雇用者所得の改善が重要だが、これらの改善が進んでおらず、消費者信頼感が回復しない
・最近の労働市場のデータは以前として失望的(Incoming data on the labor market have remained disappointing.)で、景気回復の弱さと先行きの不確実性が企業が
雇用の拡大や給与の引き上げをすることを抑制している

明るいネタに関しては・・・

・家計の貯蓄率が上昇している事は、先行きの不確実性に起因するものだが、一面では家計のバランスシートの改善がより速く進んでいることでもあり、家計のバランスシート改善による消費の押し上げに期待
・住宅価格の下落とモーゲージ金利の歴史的な低水準によって住宅取得がより容易になっている
・企業の設備やソフトウェア投資に関しては上半期前年比20%拡大しており、今後も健全なペースでの拡大が続くだろう
・最近になって銀行の貸出態度がやや改善している
・米国輸出先の景気拡大がサポート、足元ではやや悪化しているが一時的な要因と見られる

つー感じですか、読み間違えていたらゴメンナサイ。大体これで8ページ分なんですが(^^)。



さて、この講演ですが先ほど申し上げたように金融政策ネタが非常にオモローなのでございまして、これがどうオモローなのかと申しますと、従来実施してきた各種の政策に関する狙いや波及効果の説明に味わいが非常に深いものがあるのに加えまして、今後実施しようとする政策オプションに関する狙いやら波及効果に関する説明がその直前で話をしていた話とあんまり整合性が取れていないようにしか思えないというところであります。

時間がないので続きは明日(は決定会合レビューもあるのかorz)なのですが、今回読んでいて「えええええええ?????」と思ったのは、資産購入プログラムに関する政策の狙い及び波及効果に関して、「金利の引き下げ」と「ポートフォリオリバランス効果」を出しているのが非常にチャーミングというか何というか・・・・・

本文9ページなんですけどね。

『The FOMC has also acted to improve market functioning and to push longer-term interest rates lower through its large-scale purchases of agency debt, agency mortgage-backed securities (MBS), and longer-term Treasury securities, of which the Federal Reserve currently holds more than $2 trillion.』

暫くの間「市場機能」に絞っていたのですが、今回は思いっきり「長期金利を引き下げる」という話をしています。えーっと長期国債買入を決定して瞬間金利はさがりましたけれども、その後買入を行っていく中で長期金利って下がるどころか上昇したんですけどねえ。

『The channels through which the Fed’s purchases affect longer-term interest rates and financial conditions more generally have been subject to debate.』

まあ金利経路については今後も議論すべき問題ということのようですが。

『I see the evidence as most favorable to the view that such purchases work primarily through the so-called portfolio balance channel, which holds that once short-term interest rates have reached zero, the Federal Reserve’s purchases of longer-term securities affect financial conditions by changing the quantity and mix of financial assets held by the public.』

何とポートフォリオリバランス効果の話が。それはあまり直接的に買入の効果で効くものでは無い気がするんだが・・・・・

『Specifically, the Fed’s strategy relies on the presumption that different financial assets are not perfect substitutes in investors’ portfolios, so that changes in the net supply of an asset available to investors affect its yield and those of broadly similar assets.』

既にここで話が破綻気味なのでして、MBSの場合はこういう説明でもいけるとは思いますが、FEDによるトレジャリーの購入で「changes in the net supply of an asset」という効果が出るのかよというのは甚だ疑問があると思うのですけれども、発行額が全然違いますからねえ。

『Thus, our purchases of Treasury, agency debt, and agency MBS likely both reduced the yields on those securities and also pushed investors into holding other assets with similar characteristics, such as credit risk and duration. For example, some investors who sold MBS to the Fed may have replaced them in their portfolios with longer-term, high-quality corporate bonds, depressing the yields on those assets as well.』

まあ最後の事例紹介はともかくとして、その前の部分は「そら違いませんかねえ」という感じが思いっきりするんですよね。

そしてですな、ここまでの説明を今後の政策に敷衍するとなりますと、更なる金融緩和を行うということは金利を下げるルートとポートフォリオリバランス効果という話になるのですが、それってどっちも既に散々効いているので、何を今更という話になりゃーせんですかね、という話にもなるのですがその話は明日以降に。

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2010/08/27

○お縄先生効果で超長期金利上昇・・・・かどうかは知らんがスティープしただよ

朝の時点のニュースで「小沢前幹事長が民主党代表選出馬へ」というのは出ていましたが、寄り前に日経と時事が「どっひゃー」なニュースを配信。

で、日経電子版がそのニュースを8時半過ぎに配信したのですが、何か良く判らんがURLがクソ長い上のでしょうがないので時事通信のちょっと後の記事で勘弁。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2010082600209
鳩山氏の発言要旨=民主代表選

民主党の鳩山由紀夫前首相が26日午前、記者団に語った内容の要旨は次の通り。

−小沢一郎前幹事長が、鳩山氏の支援を受けるので代表選に出馬すると発言した。

 その通りだ。きのうの菅直人首相との会談の模様を尋ねられたので、概要を申し上げた。その結果、(小沢氏が)「民主党、旧自由党の合併の時からの同志としての協力が得られるなら出馬をしたい」という意向を述べた。(上記URLより、以下割愛)

・・・・と言うことで、まあ良く考えたら勝ち目が薄い戦いにノコノコ出てくるような小沢先生ではございませんので、こういう展開もあるのかなあとは冷静に考えたら思えるのですが、何せこちらのポッポ先生は前日だか前々日に菅さんを支えるみたいな発言をしておられた訳でして、さすが鳩ぽっぽ先生のぶれっぷりは半端無いですわとゆーところですわな。つーかこの人「総理大臣を辞めた人が影響力を残すのは良くない」とかシンキロー先生を批判してませんでしたっけと思うのですが、常人には到底理解できない方なのであまり驚かないです。

まあそれはそれとして、小沢グループと鳩山グループを単純に合計すると国会議員票だけみたらシロート目には小沢大先生大勝利のような気がする(何かその後セルサイド各社の人たちの出してるレポート見たら「菅さん優勢」とゆーのが多くて「へ〜」と思いながら見るのですが、党友はともかくとして、地方組織なんてお縄先生に楯突かないんじゃなかろうかって気がするんだが)次第でして、どちらかというと直近の火曜水曜辺りには鳩山さんの動きから「やっぱり菅さんになるのかな〜」というイメージだったのでこれはこれで不意打ちっぽかったですわな。

で、債券市場ちゃんですが、先物13銭安とかで始まったのですが、超長期ゾーンとかが妙に重くて先物下がる中で20年の4毛甘とかが叩かれたようで、いやまあ米国市場で株高債券安をやってはいましたけれども、その動きはまあ別にそんなに凄いものでもなかったので、ナンジャソリャとゆー所ではございますけれども、まあ他に材料も無いので「お縄先生さすが力あるわ(笑)」という事になるのでありました(^^)。

その後押し目買いも入って4毛甘から2.5毛甘位まで戻ったのですが、後場になってからまた長いところ売りが出たみたいで(たぶん1時半過ぎと大引け前)終わって見れば先物24銭安(142.82円)に対して10年309回が3.5毛甘(0.935%)の20年120回が5毛甘(1.565%)と華麗にベアスティープと相成りました。お縄先生恐るべし。

いやまあオモシロ連想をしようと思えば色々とオモシロ連想ができるのでありまして、小沢先生民主党代表就任→亀井先生や福島先生堂々の連立内閣再復帰で財政打ち込み路線復活、とか菅さんやら前原さんやらが怒りの離党→小沢先生の人脈を駆使してまさかの公明党連立参加で財政拡張路線、とか楽しい連想で売りが!!などとゆーと大変にネタ的にはオモローなのですけれども、ま〜話はそこまで深刻なものでは無いっしょ。そもそも小沢さんが勝つのかも判らんですしねえ。

とゆーよりは、ここまで強くなっている超長期でオリャオリャと買っているとーしかのお方もおいでのようですし、まあその辺りの方は「さてどこかで一旦少しポジション軽くしないとねえ」とタイミングを考えていた方もいるでしょうし、そろそろ中間決算に向けた着地を意識する時期でもありますので、朝イチで売った人でしたらそれこそ単純に「月内最終渡しなので計画通りに売却しましたよ♪」ってなことなのかも知れませんし、本当に小沢先生ネタでロングの外しをしたのかも知れませんし、そんなのは売った人に聞かないと判らんですわなということで(^^)。

ただまあその後売ってる人もいましたので、(同一人物なのか別人なのかも判りませんが)もし別人だったら「ああ先行き不透明ネタが出たし、ここまで散々フラットしてウハウハだし、他にも売ってる人いるみたいだし、こっちもちょっとポジション軽くしておくか」位の人がいても不思議じゃないので、まあここまで散々超長期強いのだからまあそんな事もありますわなという感じで。

つまり何を申し上げたいかと言いますと、たぶん昨日の貫禄のベアスティープって別に売りで勝負している訳じゃなくて、単にロングの人がポジションをちょっと軽くしたというのが出ましたなあって所で、前場押したところでは早速買いが入っていたような値動きをしてたみたいなので、まあ買う人もいますわなとゆー所なんじゃないっすかねえ。

ただまあキャピタルゲイン狙いでワッショイワッショイと買うようなとーしかのパターンだと「上がっているときは元気ハツラツだが下がりだすと急にムズムズしだす」という極めて人間的な(^^)動きをするのが仕様となっていると見られますので、米国株安債券高で戻ってきた本日さてどうなるんでしょとゆーのをニヤニヤしながらヲチしたいと存じますです、はい。

#と柄にも無く長いほうの相場メモを延々と書いてしまった


あとですな、短いほうでは何かGC妙に高くて、ショートファンディングはそらまあ溜まっているというのもあるのでしょうが、昨日の場合はレギュラーが末渡しという要因もあると思いますけど、何か資金の回りが良くないんじゃネーノという感じがします。オペ残やら当座預金残高はそこそこあるのですが、オペ実行の実額があまり多くなくて、一方で追加緩和騒動以来短期を含めてキャッシュのマーケットちゃんがそこそこ動いているので、債券業者の資金・債券ポジションのブレが大きくなっていて、その辺りが資金の回りの悪さに繋がっているのかなあなどと言ってみるテスト。あとは銀行さんの資金ポジションもそれなりに動いていてGCへの資金放出が悪いのかなあなどと。よー知らんがの。

#ま、2年国債入札は入札前に調整したから堅調でしたけどにゃ

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2010/08/26

お縄先生立候補キターーーーーーーーーー(・∀・)

#などどお縄お縄と言ってたら天罰でも来たのか、ちょっと朝からネット接続絡みでドタバタしてて書き物を書く時間が無くなってしまったので市場メモだけでご勘弁してつかーせ。

○市場メモ少々

昨日は3か月TBの入札があってだな。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul220825.htm

(3)募入最低価格 99円97銭3厘5毛 (募入最高利回り)(0.1063%)

(4)募入最低価格における案分比率 17.4361%

(5)募入平均価格 99円97銭3厘9毛 (募入平均利回り)(0.1047%)

昨日の3か月TB入札はご覧の通りで貫禄の0.105%割れの平均落札というのもあらあらという感じですが、0.1063%水準の足切りでの按分が17%しか入らないというのも何ですかちゅう所でありまして、えーっとファンディングして買う人的には保有しているだけでしんどい状態になりますなあという感じです。まあそうは言っても足元で追加緩和ネタで盛り上がるという状態で、昨日は朝からユーロ円金先とか堅調に推移していましたので、まー入札強くなるんでしょうなあとは思っていたのですけれども、何も0.105%割らんでもという気は(^^)。

しかもですな、巷間予想されている追加緩和策の本命って新型オペの期間延長か増額かという所になると思うのですけれども、期間延長だとしたら基本的にはオペ額は増えないのでそんなに足元のGC取引における需給に変化が起きるとも思えないですし、増額する場合もその分当座預金残高がまともに増えるわけでもないでしょうから(固定オペ30兆円打ち込んだ場合、現状のオペ残推移から考えた場合資金余剰月の当座預金残高は結構積み上がってしまう可能性は高いが)、その分が足元で急にGCを押し下げるという事には繋がらんと思うのですよ。

とは言いましても、別にまあ足元でGCレートが上がるような方向には動くわけが無く、もしかして利下げがあったら(利下げは最終兵器なのでいきなり切る訳にも行かんと思うのだが)ベースレート下がった分大勝利とゆーよーなオプション(というか宝くじ)感覚だったら買えるのかも知れませんし、ファンディングじゃなくて単純に運用資金を足元に傾けて置きたくない人とか、間違って利下げになった場合に即死するのを避ける為に買うだの、もっと単純にキャッシュを潰したいだけとか、まー色々とあるんでしょうなあとは思いますが、しかし堅調堅調。

また、これは昨日のネタですけれども、新型オペちゃんの入札における按分率も上昇しててですな。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba100824.htm

こちらの「固定金利方式」って奴ですけれども、こいつの按分比率が21.2%になっていますが、20日は20.8%、17日は19.2%、13日は18.2%という事で、追加緩和ネタが盛り上がりだす頃から徐々にこの按分比率が上昇しているのですよ。固定金利方式で0.10%の3か月を取るのは良いけれども、その間に間違って利下げがあったら困るかなあとかいう事(えーっとこのオペって途中で政策金利水準が変わった場合も最後まで固定金利という理解で良かったでしたっけ、汗)を反映しているちゅう理解で宜しいのかな、と思います。

政策金利水準が仮に変わらないとしても、「金利付の事実上の量的緩和」(たぶん従来のロジックを踏襲すると「当座預金残高目標」のような事はやらないと思われますが、新型オペを増額した結果として超過準備がよりつみあがりやすくなって当座預金残高の引き上げになるという変化は大いにアリエールな話です)となった場合、足元のコールレートなどがダダ下がりする可能性はありますから、その場合に0.10%のオペが魅力的なのかとゆー論点もあるんじゃないかなあとは思いますです、はい。


とまあ3か月入札だの足元のオペの話をしていますが、一方で2年とか3年とかのゾーンは織込み祭りに少々お疲れ感が出たのか(^^)、一昨日および昨日はちょっと売られていて、2年0.12%水準になっているようで、今日の2年国債に向けての単なる外しなのかもしれませんけど、まあこっちはちょっとクールダウン。

つーことでですな、どうもこう足元の動きって超短期のキャッシュ部分とか金先やOISなどのオフバランスの部分とか、債券市場における2年だの3年だののゾーンのそれぞれの動きが微妙にバランスが悪いのが不思議とゆーか訳判らんとゆーか。キャッシュとオフバランスの間がリンクしないというのはまあ判らんでもない(参加者がまるっきり違うから)のですけれども、キャッシュ現物での動きが片や臨戦態勢満々で片やクールダウンちゅうのもムツカシヤという所です。

恐らくは単純に大手の投資家が動いた結果として需給がどどーんと動くとか、今日の2年国債入札のように入札スケジュールに向けて(入札そのものは要するに財務省様による国債大売出しなのですから)需給がどどーんと動くとかゆーよーな所で動いているから微妙にチグハグなのかなあとも思う所でございまする、単なる妄想ですが。



ところで、白川さん今日から出張なのですがこれでまだ今日も「臨時政策決定会合のデマ」は流れるのでしょうか(苦笑)。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aTFGoKALsqUE
日銀:白川総裁が26日から30日まで米国に出張−連銀主催の会議に出席

なんかね、今朝のモーサテでは「この会議にはバーナンキ議長も出席しますので、白川総裁とバーナンキ議長の間でどのような協議がされるか注目されます」とか日経必死だなwwwwとしか申し上げようが無い報道をしていましたが、何で日経さんってそこまで必死になって日銀を追い込みに掛かっているのでしょうかと考えるとさっぱり意味判らん。報道機関だし経済報道を売りしているのに、何でそこまでバイアス掛けて報道したがるんだろう・・・・・・


○時間は超無いのですが予告メモだけ(BOEネタ)

昨日の予告ネタの続きの前に新たな予告ネタを出すとかアホですな>自分

いやですね、BOEのインフレーションレポートの冒頭説明部分とか、8月頭のMPC議事要旨とか何となく怪しい英語力で読んだですけどね、昨日の予告メモで申し上げていたセントルイス連銀ブラード総裁のペーパーでの話でいうBOEの量的緩和政策の整理とBOEの実際の整理ってちょっと違うんじゃネーノと思った次第なんですよね。

つまりですな、相変わらずなのですが、資産買入(=量的緩和政策)における効果っていうのには「緩和的な環境を作る」というのはまあ良いとして、その買入に関しての「定量的な効果」に関しては相変わらず8月MPCでの議論でもスルーしていますし、インフレ期待に関してはまあ何となく話はあるものの、インフレレポートにおけるMPCでのインフレ状態への要因分解にはこのマネタリーの量的部分を微妙にスルーしていますし(まあそうしないとターゲットを越えて上昇している物価抑制の為に量的緩和の回収をしないといけなくなるという面はあると思うけど)、ブラードさんが言うほどに「低金利継続の約束よりも量的緩和政策がデフレ均衡へ陥らないために有効」という結論にならねーんじゃネーノなどと浅学非才なあたくしは思うのであったり致しましたです、はい。

という話はまた今後追々参りますです。

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2010/08/25

○まずは今朝の公共放送より

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100825/t10013549071000.html
日銀 追加の金融緩和を検討 8月25日 4時46分

日銀は、外国為替市場で1ドル=83円台まで円高が進むなど、このところの急激な円高が緩やかに回復している日本経済を悪化させかねないとして、追加の金融緩和をする検討に入りました。(上記URLより)

一方の政府様でございますが。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100825/t10013548601000.html
追加経済対策で難しい対応に 8月25日 4時46分

政府は、追加の経済対策を来週にも取りまとめる方向で検討を進めていますが、急激な円高と株安を受けて、効果的な対策をどうとっていくのか、財源が限られる中で難しい対応を迫られています。(上記URLより)

・・・・どう見ても政府のケツ持ち状態です本当にありがとうございました。

でまあ最初の記事にありますように、追加緩和の内容に関しては新型オペの拡充で、あたしゃ当初期間延長が本命かと思ってましたが、どうも為替市場ちゃんあたりへのアピールを考えると「10兆円増額」にした方が数字として判りやすいのでそっちで実施とかいう話になるんでしょうかねえ。よー知らんが。

日銀単独でやるなら政府の経済対策とセットで行うべきだとは思いますけれども、まあ為替市場が無茶しやがって状態になった場合は単独コースになっちゃうんですかねえ。何だかなあという感じですが、株価と為替見ながら市場が暴れだしたらご対応もやむなしなんですかねえ、せめて9月定例会合まで待てるもんなら待った方が、益々「日銀がまた追い込まれて追加緩和実施」というか「日銀は追い込めば何かやってくれる」状態になって、それこそ今年の頭にありましたように、為替市場あたりの人たちが「今月何の追加策が打たれないと2か月連続で追加策なしですから市場が失望する」とかまた訳の判らない事を言い出すのが甚だ見苦しいので勘弁してほしい所ではありますけどね。

ま、ど〜なるのか判らんですけど、毎度毎度「追い込まれて何かやる」という印象を与えるのは、アラン・ブラインダー元FRB副議長の言う「自分の尾を追う犬」状態にでもあるっちゅう事ではないかと存じます次第でありまして、そーゆー意味では白川総裁におかれましてはもうちょっと「建設的曖昧さ」というのを見せておいた方が吉なのではないかと思うのですけどね。明瞭にロジック押して正論で正直に行くのは良いのですが、追い込まれてポッキリと折れてしまうと却ってそこまでの正論が空しく見えるのでありまして、それなら最初から俊ちゃん状態で言語明瞭内容不明瞭の大狸状態になっておいた方が印象が良いのではないかと思うのですよね。中々難しいとは思いますが。


○政治主導なのか何だかしらんが脇が甘すぎです(財務大臣会見悪態編)

昨日は夕方5時から野田財務大臣が会見をしたのですが・・・・・・
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aFo8YXmqYA_k
野田財務相:足元の為替の動き、明らかに一方向に偏っている(Update2)

この辺りの関連するブルームバーグのヘッドラインを並べるとこんな感じです。

JBN 16:43 野田財務相が午後5時ごろ記者会見−財務省発表
JBN 16:57 野田財務相:マーケット動向には重大な関心
JBN 16:59 野田財務相:為替相場の過度な変動は経済や金融の安定に悪影響
JBN 16:59 野田財務相:為替介入についてはコメントしない
JBN 16:59 野田財務相:日銀とは緊密な連携をとる
JBN 17:00 円は対ドルで一段と上昇、一時84円台前半
JBN 17:00 野田財務相:機動的、適切に対応していくこと大事−政府・日銀
JBN 17:01 野田財務相:今の為替の変動は明らかに一方向に偏った動き

しらっと野田財務相発言以外のものが入っていますが(^^)、まあ要するに野田財務大臣の会見を切っ掛けに円高ドル安アタックが打ち込まれたかのような格好になっておりまして実に香ばしい展開であり、誠に遺憾に存じますとしか申し上げようが無い所でございます。

えーっとですね、前回の緊急会見とやらもそうなのですが、何かやるというのであれば会見をやってもヨロシカロ(介入とかだったら本来は黙っていきなり突っ込むものだと思いますけどねえ)と思いますけれども、別にたいした話をする訳でもないのにホイホイと会見を実施するとか脇が甘すぎとしか申し上げようがございません。

しかもですよ、これが東京市場の午前中とかに出るのでしたら、まだ(見守る発言に対する耐性が最近出来ているので・・・)反応は「また見守るか」で5銭や10銭位の動きで済んでくれたかもしれないのですが、時間的にロンドンが思いっきりやっている時間で、何かネタを見つけてアタックしてやろうと手ぐすね引いて待っているガイジンどもに格好の燃料投下(しかも東京は夕方なので東京の取引は日中よりは多くないんでしょ)して円高ドル安攻撃ヒャッハー状態にするという辺り、マーケットの事わかっとるんかいなと甚だ情けないものを感じるのでありまする。

何も無いのならとりあえず黙っている方が良いのでありまして、わざわざ出張って特に何もありません発言するとかもうアホかと馬鹿かと申しますか、お前はわざわざ円高にする為に会見したのかと小一時間問い詰めたい所でございます。

ま、あたくし的にはこのグダグダ振りはアマチュアの皆さんが「政治主導」とやらで専門家であります所の官僚まる無視で無秩序無統制に動くもんだから、まあ平常時ならそれでも何とか回るものの、ちょっと情勢がややこしくなった場合に各人が無秩序無統制に動いた結果として結果的に木偶の坊状態になっておられると勝手に見立てておりますけど実際の所どうなんでしょというのは霞ヶ関の中の人に聞かないとわかりませんけどにゃ。


・・・いやね、これで例えば今日も明日も対策打たないで無為無策の振りをして、円高攻撃ヒャッハー状態にして投機筋の円ロングを散々ためさせて(その間に瞬間79円とか面白いことになって)おいてから怒涛の絶賛大介入に金融緩和をセットで打ち込んで投機筋大殲滅作戦とかをやるという大作戦の前振りであって、今はアホの振りをしているだけでしたとゆーのであればもう恐れ入りましたという所であたくしがお遍路に出掛けないといけませんが(^^)、どうも素でやっているのではないかと思われるのが如何なものかと・・・・・

つーかさ、こういう政府を持ってる国の通貨が何で安全資産への逃避で買われるという話になるのか(単にドルとユーロが暗黙の自国通貨安政策取っているのに乗っているだけだと思うのですが)という気は致しますなあ。よー判らん。



○ホームラン級の(自粛)現る(連合会長悪態編)

昨日の夕刻に市場の一部に大爆笑の発作を生起せしめたニュースはこちらです。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aMnWOpZrHhGc
連合:為替相場安定へG7開催呼び掛けを−菅首相に要望書(Update1)

関連ヘッドラインをこれまたブルームバーグさんの所から引っ張りますとこの通り。

JBN 17:36 連合会長:円高でG7開催呼び掛けを政府に求めた−記者団に

いやまあこの時点で腹筋崩壊なのですけれども・・・・・

JBN 17:36 連合:雇用悪化回避に追加対策を、速やかに補正予算実施求める
JBN 17:36 連合:急激な円高は経済・雇用に深刻な影響−要望書を首相に提出
JBN 17:36 連合:世界経済の成長鈍化・デフレ基調への国際対応が必要−要望書
JBN 17:36 連合:政府・日銀が一体で機動的、適切な経済・金融政策の実施を
JBN 17:36 連合:為替相場安定へG7で国際的取り組み呼び掛け求める−要望書

補正云々はまあ良いとしましてですな、G7開催を呼び掛けって日本以外からしたら何で円高対策でG7なんぞ実施する理由があるのと冷笑されて終了な訳でして、まあ日本のアホウ振りを世界に晒して日本売りに持っていって円安誘導とでも言うのであればそれはそれで奥が深い大作戦ですが、どう見てもこれって素で要望してるでしょ。いやもうマジでどういうセンスしてるんだかと言う所でございまして、ホームラン級の馬さん鹿さんというか馬さん鹿さんの三冠王とでも申し上げますか、実に素晴らしい要望でこれまた落涙を禁じ得ないのですが、そもそも連合の活動費は傘下の労働組合、即ち勤労者の懐から出ている訳で、一般勤労者の懐から掠め取った資金でお前らは何をやっているんだと考えた場合には怒りの感情も沸いてくるというものでもございます。

大体ですな、国際対応だの国際的取り組みだのと言いましても、現状って端的に言ってしまえば「日本さんってバランスシート調整問題が無いですし、比較的回復が順調と聞いてますし、あんたのところはデフレでも回復なんですから、ちょっとそっちで為替調整を受けてくれませんか」状態になっているとしか思えない訳でして、そんな中で「国際対応が必要」とか言われましても「???」状態ではないかと存じますがどうでしょ。

#まあしかし通貨切り下げ合戦はどうなのかと思いますけどね、すっかり中国の為替操作がどうのこうのとか欧米が言わなくなったのはさすがに後ろめたいんでしょ(笑)

いやまあ欧米が喜ぶような介入をすれば良いという論点からしますと、日本は為替介入と同時に米国のMBSとギリシャスペインアイルランドの国債を為替リスク付で買いますよと言えば喜んで受けてくれるかもしれませんが、その後回収不能になったらただの朝貢状態になるだけなんですけどね、あっはっは。


#悪態ばっかでどうもすいません

で、ブラードさんのペーパーネタの続きをしようと思ったのですが、残り時間が中途半端なので今日はただの悪態オンパレードになってしましましてどうもすいませんです。


○で終わるとあまりにも何ですので一応次回予告を

http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/SevenFacesFinalJul28.pdf
のペーパーネタなのですが、後半の7つの論点に関しては(あたくしの知能が至らないせいで)イマイチ何が何だかわからん部分が多々あるのですが、その辺りを微妙にスルーすると・・・・

第3の論点:「2003年のFOMCはステートメントを使い、インフレが上昇しても金利を上げないという期待を起こしてインフレ期待を引き上げることに成功した」という話が3番目の論点(1番目と2番目は読んだのだが何が言いたいのか良く判らんかった)なのですが、それが何で「現在のextended periodフレーズだと駄目なのか」の説明になっていない気がする

第4の論点:最初の図を改変して物価が0.5%を切ったら突如名目短期金利のラインを1.5%にするという訳判らん図にして「これなら「望ましくない均衡状態」にはならない」とか謎の話を。しかもあたくしの読解力が悪いせいなのか、文中でブラードさんは「結局短期金利が1.5%のレベルにある状態はほぼ全ての状態でアグレッシブな緩和政策として認識されるべきであろう」という15年間短期金利が1%以下の日本は何なんですかと突っ込みたくなる話もしているように思えるのですが

第5の論点:過去314年の間BOEは2%を切る政策金利を認めていなかったが、これを最初の図に当てはめてみると、低インフレの均衡状態が図表で言えば右側にシフトするので「望ましくない均衡状態」にならないで済む、というような論考をしていますわな。ということはブラードさんって「短期金利をゼロ金利よりはそれなりに高い水準に置きながら量的緩和しろ」とか言ってるのかなあと思わせる論考なのですが、そもそもBOEが国債買入による物価上昇効果に関してちゃんとした分析をしていないような気がするのに何かそれってどうよと思えるのです

第6の論点:ヨーロッパにおける財政支出の効果を金融緩和とセットにした場合どうのこうのという話をしていて、現在行っている「ソルベンシー対策としての財政出動は不十分」というような指摘をしてますけど、最後に「でも日本が財政出動しているのにデフレから脱却しないのはquestionable」とあるのがチャーミング

第7の論点:だからこそ量的緩和というまとめなのですが、そもそもその前提になっているBOEなんですが、国債買入による量的緩和に関してインフレ期待のシフトに繋がるというような論点になっていない(BOEのインフレレポートおよび先週でてたMinuteにその辺りの話があるのでいずれご紹介)のに、いきなりそこから入るかなあという感じはします。まあ「長期国債買入」→「財政マネタイズ」→「インフレ期待上昇」という話もしてて、それはまあ思いっきり直球の話だとは思うのですが、中央銀行が財政マネタイズを正面切って唱えていいもんなのか(米国はそらまあ基軸通貨国特権があるから財政マネタイズ上等とか言えるかもしれないけど、他のローカルカレンシーでそれはどうなんでしょ)という気もしますわなあと思うのですが。

てな感じで、どうも無知蒙昧のあたくし的には「???」な部分が色々とあるブラードさんのペーパーでして、金利をゼロに維持しないで量的緩和とかどうも不可解な話でよーわからんです。頭の良い人誰か教えてジェネラル!

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2010/08/24

○結局電話会談でしたがそれ単体では極端な反応も無く

昨日は昼に仙石官房長官の会見で「菅さんと白川さんが電話会談をした」ということで、15分ほどのお話だったようですが、えーっとそれって別に大仰にするもんじゃなくて普段から「で、白川さん最近どうよ」とゆー感じでホイホイ話をしても良いんじゃネーノと思うレベルの時間のような気がしますが(−−;)まあ日経さん貫禄の風雪のルルでしたなあという所でしたが、「〜の見込み」と書いておけば世間に影響を与えた挙句に飛ばしの大外しでもお詫びもしなくて良いとはマスメディアちゅうのは結構な商売ですなあと思いますがそんな悪態は兎も角。

このニュースが出た時に市場ちゃんが反応するのかどうかと思って見ておりましたが(しかも仙石さん「介入の話は無かった」とか言うし)、為替市場は10銭弱円高に振れた位で、株式も(ニュースでは「安値更新」とかうるさいですが、隣の市場から見ている感じで言えば)下がったとは言えこれまた大して動かず。債券市場も特に反応せずという拍子抜けにも程がある結果。

いやまあ追加緩和やら経済対策に関しては、「そうは言っても全く何もなしちゅう事もないでしょう」という見方も当然強いのでありまして、期待感が残るので別にせっせと叩きに行く必要も無いちゃあ無いのかもしれません(ただし、たぶん一番短絡的に反応するのが好きな為替が政府の段取りの悪さを突いてアタックしに行く可能性はあるが)ので、まだまだ様子見ちゅう所ではあるのでしょうなあとはその時には思ったのですが、はてさて米国株安の今日はどう反応するんでしょうな。

しかし何ですな、先日来悪態しつこく書いてますし昨日も悪態書きましたけれども、「政治主導」とやらがスローガンの民主党政権様ってロジ(というか段取りと言うか)が余りにもダメダメ過ぎにも程があるとしか申し上げようが無い所です。まあポッポ先生は普天間問題でそのロジの駄目さ加減を遺憾なく発揮して話をカオスにしましたけれども、今回に関しても「そもそも最終的に決まっていたわけではない(結果から逆算したらそうですよね)首相と日銀総裁の会談について政府筋の誰がメディアにホイホイと話をしたのよ」というのが激しく疑問なのでありまして、こんなイイカゲンな段取りもへったくれもないロジ不在状態を「政治主導」というのであればそんな政治主導は簀巻きにして隅田川にでも投げ込んでおけと思うのですけどねえ。全くもう。


○ブラードさんの量的緩和論ネタ

http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/SevenFacesFinalJul28.pdf
Seven Faces of "The Peril"

こちらの2ページにある線を2本引いてるグラフ(グラフは引用しないので上記URLを見てちょ)がキモというのはだいぶ前(先週の月曜くらい)にネタにした時にお話しましたが、念の為再度申し上げますと、ブラードさんの上記ペーパーでは米国と日本について、名目短期金利とコアCPIインフレ上昇率をプロットして、それにフィッシャー関数の直線とテイラールールタイプの曲線を引いて分析してみましたという話が最初にあります。

で、その結果として「望ましい均衡状態」と「望ましくない均衡状態」の2タイプの均衡状態があり、望ましくない方の均衡状態に日本が陥っており、その均衡状態というのは「名目短期金利がゼロ近辺で、コアインフレ率がマイナス」というものですよ、という話で、じゃあそれを回避するのにどうしたらよいのか、って話をしているように(一応あたくしの駄目そうな頭で読んだ限り)思えましたです。

その「望ましくない均衡状態」ですが、インフレ率が1.56%を割り込むとそこに落ち込むリスクがあり、現在の米国がFOMCステートメントで出している「extebded period」の文言が「低金利政策の継続」という意味で「望ましくない均衡状態」への遷移へのリスクを高めるので、金利政策では足りないという話をしていますわな。本文第1章の5〜6ページの辺りにその部分がござんす。

『A key problem in the Figure is that the monetary policymaker only uses nominal interest rate adjustment to implement policy. This is the meaning of the nonlinear Taylor-type policy rule continuing far to the left in the diagram. The policymaker is completely committed to interest rate adjustment as the main tool of monetary policy, even long after it ceases to make sense (long after policy becomes passive), creating a second steady state for the economy.』

金利を低位水準に置いただけだと、望ましくない方の均衡状態に陥るリスクがありますよということを仰せのようですな。

『Many of the responses to this situation described below attempt to remedy this situation by recommending a switch to some other policy in cases when infation is far below target. The regime switch required has to be sharp and credible - policymakers have to commit to the new policy and the private sector has to believe the policymaker. Unfortunately, in actual policy discussions nothing of this sort seems to be happening. Both policymakers and private sector players continue to communicate in terms of interest rate adjustment as the main tool for the implementation of monetary policy. This is increasing the risk of a Japanese-style outcome for the U.S.』

で、その「switch to some other policy」によって「regime switch」が必要と言うことで、具体的には量的緩和政策を挙げていまして、それに対して第2章で7つの論点のようなものを挙げているのですけれども、正直あたくしの知能では手に余る部分が少々あってその辺は華麗にスルーしつつ、後のほうではどうも何だかねえというツッコミどころが無い訳でも無い気がするので、そのツッコミをまた後日行う所存とか言って、今回も最初の部分で終わりかよという指摘はしないように(汗)。

でね、第1章の最後(さっきの続き)を引用して今日は終了という手抜きコースでどうもすいません。

『My view is that the Benhabib, et al., analysis is an important one for current policy, that it has garnered insufficient attention in the policy debate, and that it is indeed closely related to the current "extended period" pledge of the FOMC. Below I relate and critique seven stories concerning this analysis that I have encountered, both formal ones and informal ones. The fact that there are seven faces shows how fragmented the economics profession is on this critical issue. These stories range from reasons not to worry about the implications of Figure 1, through ways to adjust nominal interest rates to avoid the implications of Figure 1, and on to the uses of unconventional policies as a tool to avoid "the peril."』

「Benhabib, et al.」ってのはこの話の最初に出てくるのですが、2001年に「The Perils of Taylor Rules.」って有名(らしい)なペーパーが出まして、そのペーパーを書いたのがBenhabib先生達というこってす。あと「the implications of Figure 1」ってえのが先ほどから申し上げている「望ましい均衡状態と望ましくない均衡状態があり、その望ましくない均衡状態に陥る問題」という所です。

『I conclude that promises to keep the policy rate near zero may be increasing the risk of falling into the unintended steady state of Figure 1, and that an appropriate quantitative easing policy offers the best hope for avoiding such an outcome.』

ということで、「金利をゼロ近辺で維持する約束を行うと『低金利とマイナスの物価上昇率という望ましくない均衡状態』に陥るリスクを高めるので、量的緩和政策を行うことによってそのような結果に陥る事を回避できるのではないか」というのが結論なんすけど、その時点であたくし的には・・現状で量的緩和政策したら結局の所金利がゼロ近辺で長期間維持されるという期待が高まるのですから結果は同じじゃないのですか??と思ってしまうのですが、まあその辺に対するツッコミの直接の回答にはなっていませんが、関連する論点がこの先にありますので、また追々。

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2010/08/23

えーっと、今日から3日間菅さんは当選1回の議員との意見交換会をやるそうですけど、日銀総裁との会談がどうのこうのというニュースがとりあえず公共放送ではしていないのですけれどもはてさて・・・・??????

#追記すると7時の公共放送によれば「今日は野田財務大臣からの報告を受け、総裁との会談は今週中に行いたい」だそうですよ

と思ったら「早ければ今日にも会談」ってモーサテは報道しているのですが、「日銀が追加緩和策を打ち出す」とか(最初に本件報道したのが日経だからというのもありますが)随分と突っ走って報道してますなあ。これでただの根拠レス報道だったら風雪のルルですよね、ゲストコメンテーターの元金融庁長官さん。

#しかしあの番組の元金融庁長官さんのコーナーのオープニングで本人が「間違いない」「確実に言える」とか言う画面って、「断定的判断の提供」をするとお縄になる業界を監督してた人が言うってえのも何だかなあと何時も思うのですが。いやまあご本人様の今の業界はその規制範囲外なのは判るけど、規制対象業界にいる人間としては見る度に正直不愉快だと思うのはあたくしだけですかそうですか。


○金曜の最後は少しだけクールダウン(市場メモ)

金曜の市場ちゃんも朝から威勢良く5年70回台〜80回台が5糸強ビットとか思ってたらその内1毛強ビットになって銘柄によっては1毛5糸強テイクンとかしやがるし、2年は堂々の0.11%ビットとかになり、5年カレントは1毛5糸強テイクンで90回債は貫禄の0.25%割れなどとゆー事で、短期ゾーンの暗黒相場状態が続いていたのですな。何か金曜も金曜で臨時決定会合のデマを性懲りも無く為替方面から流れていたりしてたみたいですし、何だかねという所でございました。

ところが、引けに掛けてはやや相場が冷静になったのか、それとも内閣府からの報告が出た後の経済関係閣僚会議後だかに仙石さんが「首相と総裁の会談がいつかわからない」というような発言をしておりまして・・・・・

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aZKdyrqjzrqA
仙谷氏:首相と日銀総裁、いつ会うか知らない、意思は疎通(Update2)

臨戦態勢大会もいつまでもやってる訳にもいかんのか、引けに掛けては3か月が0.11%がヒットしたり(ビット残りですが)1年が0.105%ヒットしてみたり、2年は0.11%ビットだったのがオファーサイドになってみたりと多少冷静というかお祭りモードが緩和されましたなという所のようでござんすな。

と思ったらこんなニュースも金曜の深夜に出ていたのですな。これはこれは。

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_date4&k=2010082000921
菅首相と白川総裁、会談先送りの方向=電話協議案浮上、日銀の独立性考慮

まあ今日も今日とて為替市場ちゃんあたりは盛り上がるのでしょうが、そもそも経済対策の中身がある程度固まらないのに日銀が先走って緩和カード出してもしょーがないでしょという話は昨日書いたとおりですが、モーサテではさすがは日経クオリティと言うところで、「前回も会談前に緩和したから今回も」とか臆面も無く報道する短絡振りに呆れるとしか申し上げようが無いですなあ。


○この政権は皆が好き勝手言ってどこで意思決定してるのか判らんがな

金曜はこんな発言が。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a4l2PXBeVlL4
玄葉氏:円高の最大の要因はFRBと日銀の姿勢の違い−会見

多分ね、おまいらの政権がそーゆー風に閣僚たちが好き勝手に無統制に発言してて、意思決定能力も対応能力無いのが見抜かれているからアタックの格好の対象になっているんだと思いますよ。

今回の菅さんと白川さんの会談に関する話も、良く良く見たら最初の報道って「政府関係者の発言として日経英語版ニュースが伝えた」って内容でして、それってそもそも政府のどの辺から来た話なのよという事を考えますと、正直この政権(というか前の政権の時もそうなので民主党政権クオリティなのは間違いないが)に関しては誰がどこで意思決定しているのかがさっぱり判らんという非常に困った状況ではないかと思うのでございます。

まあそういう意味でもお縄先生が総理大臣になった方が意思決定が明確化するのかもしれませんが、そもそもお縄先生に経済政策に関する興味が無いような悪寒がするのが非常にこれまたマズーですわな。

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2010/08/20

お題「追加緩和ネタで昨日もバタバタでしたなあ」

読み物ネタは溜まっているものの、こーゆー面白相場はやはり備忘メモを残しておくべきものと存じまして(^^)、そもそもが俺様備忘メモであります所の当駄文は毎日相場後追い話ばかりになるのでありました。どうもサーセン。

○臨時会合のデマが流れたそうで

昨日は朝刊で産経新聞が微妙なテイストの記事を出していた訳ですが。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100819/fnc1008190131000-n1.htm
日銀、資金供給拡大へ 10兆円増視野 円安誘導図る
2010.8.19 01:30

『円高・株安に対応するため政府が20日の経済関係閣僚会議から検討に入る追加経済対策と並行して、日銀も追加の金融緩和策の検討に着手することが18日、分かった。企業の資金調達を後押しし、景気下支え効果が期待される「新型オペレーション」(新型オペ)の拡充が有力視されている。来週に予定される菅直人首相と白川方明日銀総裁との会談前に「臨時の金融政策決定会合で決めるのではないか」との声も出ている。』(上記URLより)

でまあこの記事に関しては「何かリークのような記事っぽく書いているけどただの観測記事じゃろ」と華麗にスルー(お友達から来た「産経にこんなのあるけどどうよ」という質問に対しては「産経は願望記事が多いからねえ」と回答していたのはここだけの話^^)しておりましたが、市場ちゃんの方は前場引けに掛けて債券先物が急伸(と言うほどでもないか)して堂々の143円台乗せとなりました。

これはどうした事ぞと思ったら何と為替市場方面から「本日14時から臨時金融政策決定会合が実施される」というデマが流れていたようで、それを受けて債券先物とかユーロ円金先とかも反応したのですが、当然ながら昼休みタイムになっても臨時会合実施のアナウンスは無く、後場寄り付きの債券先物は前場引けから10銭近く落ちてスタートしたのがチャーミング。

とは言ってもユーロ円金先や短期ゾーンの現物債は強いままだったのですが、この辺のインプリケーション(またの名を後付講釈)は後ほど。


○前回は会談前に臨時会合があったから今回あるとか発想が安易過ぎ

とはいえ債券市場ちゃん的には「前回10年国債入札日の前場引け後に臨時会合アナウンスをして苦情出まくりだったので、そもそも流動性供給入札のある木曜に臨時会合はねえだろ」という意見は多かったので、「為替方面から金融政策ネタのルーマーが出るときはガセ率高し」の法則が炸裂しましたねえとあまり大騒ぎにはならなかったみたいですな。

でですね、あたくしの視点から致しますと、先日来申し上げておりますように、今回日銀が何かするとなれば「政府の経済対策とのタイアップでの金融緩和(目くらましも含む)」という形での実行になる筈(そもそもその方が効果が大きい訳で、少ないカードを有効に切る為には政府とのタイアップが不可欠でしょ)であります。然るに政府のスケジュールはと申しますと、本日に内閣府が菅首相に現状分析の説明をする(ので関係閣僚会議とかやるんですよね)という段取りであって、いやまあ今日の時点でそれなりの経済対策の内容がきっちりと固まるというのであれば、そらまあ首相と日銀総裁の会談前に臨時会合実施してという話もあるとは思いますが、政府の方がそこまでの準備が出来ているとは思えない状況で日銀だけ先行してカードを切っても、政府のほうがああでもないこうでもないと言って結局何もやらなかったら玉の無駄打ちにも程がある状態になりますよね。

という事を勘案すると、普通に考えると昨日どころか今日の臨時会合というのも無いでしょという発想になるのが順当だと思う(などと書いているのを真に受けて投資判断するのは自己判断でお願いします、といきなりヘッジクローズ^^)訳で、まあ今日どの位その辺りの話が固まるか次第でしょと思われます。

それとですね、前回の場合は一応「ドバイショック」(良く考えるとあの時は大騒ぎだったのだが今にしてみたら何だったんでしょうねえ)というものがございまして、市場が急速にアヒャヒャヒャヒャ状態になったので、何はともあれ先にやりますか(そもそもその前の「決定会合終了日にいきなり何の対策も用意せずデフレ宣言」という前代未聞のアホウプレイを実施した菅さんが段取りも何も考えていない動きなのだが)という事になったちゅう面もありますが、今回そこまで緊急に動く必要があるんかいなという状況でもあろうかと思う訳でして(モーサテの報道見てると政府の経済対策は来月上旬メド、公共放送は今月中をメドとしてますね)、まあ為替市場が何か妙に期待しているのですが、もうちょっとその「スケジュール感」とかを考えて頂きたいものだと思うのであります。つーか金融政策に絡むネタになると為替市場の人達ってどうして毎度毎度短絡的というか不勉強にも程がある発想と期待をして、それが外れたからと言って日銀が悪いだのFRBが悪いだの逆切れするのでしょうかといつも疑問に思うのでありますが・・・・・


○まあそれはそれとして短期ゾーンは前日よりも織込度合いが超高まりました

で、市場メモになりますけれども、昨日も短期方面はしっかり金利が低下しやがりまして、一応引値はもうちょっと穏当にしているようですが、出合いベースだと3か月TBが0.10%だの1年が0.10%だの2年が0.11%だの3年が0.12%だのお洒落にも程がある展開。いやまあさすがに0.10%はオファーサイドなんですけど、全くもって盛り上がるにも程がある状態。

また、超足元でありますGCレートは上昇し、一方で前日は9月1日までの資金供給オペの足切りが0.11%だったのに対して、昨日は9月6日までの資金供給オペが平均0.102%まで低下するという事で、ショートファンディングに傾けて臨戦態勢になっていますなあという流れになっております。

ま、今日明日に何か無かったとしても、政府の経済対策に合わせて日銀が何か緩和(目くらましを含む)を実施するというのがコンセンサス化しているとゆー所かとは思いますが、多くの人が予想していると思われる新型オペの拡充となった場合に、GCや短国のレートなどが0.10%ギリギリに張り付く(ただし0.10%だったら日銀当座預金に放り込んだ方が手間隙掛からない分有利なのでそこまでは普通は下がらない)という形になるんでしょうなあとゆーところで。これで米国のGSEみたいな人がいるとレートがより低下する可能性はありますが、日本の場合は日銀当座預金取引先じゃない人の資金だけで現在発行されている短期国債やGCの資金ニーズを全部吸収することは出来ないので、まあそこまでの低下はよーせんじゃろと思うので、まあ3か月とかが10/105とかになるのはまあ順当ちゃあ順当ですが、オペ拡大を先取りした感はありますわな。

また、ユーロ円金先も昨日は結構反応してまして、中心限月とかも低下していましたが、昨日は朝から当限(9月限)が前日比2毛分上昇してたりとこちらも織込み度合いが上がりましたなあという感じですので、まあ債券市場は上がった後下がったりしてましたけれども、その一方で短期市場ちゃんの方は織込みというか臨戦態勢になってますなあという所かと存じます。

まあ今回に関しては臨戦態勢解除してもそんなに反動はなさそう(次の会合に向けての期待は残るし、まあ今回利下げをすれば話は別ですが、利下げしなかったら打ち止め感は出ないのですからね)ですので、そらまあ臨戦態勢を組むわなという所かと存じますです、はい。



○しかしまあ今回は(も)何だかなあ感の強い展開でありまして

えーっとですな、前回の「対策も打たないでデフレ宣言をしてケツ拭きを日銀にやらせる」というお洒落にも程がある展開にも相当呆然とした訳ですが、今回の動きにしたって、わざわざ無意味に財務大臣の緊急会見やったり、日銀総裁に総裁談話を出させてみたり、首相と日銀総裁の会談をセットしてみたりと、当局の方がドタバタして勝手に市場の期待を煽るという珍しい展開になっているようにしか見えません。

市場というまあ自分勝手に自己実現する代物を相手にする場合っていうのは、こっちがドタバタすればするほど市場の方がそれに反応してドタバタとやり、ドンドン勝手に期待を膨らませて自己実現状態になってしまい、相手を追い込んで逝くという事になる訳ですな。事前に鉦や太鼓でああでもないこうでもないと打ち鳴らすとその音に対して皆が踊ってしまい、時間が経つと皆さん踊り疲れてしまいますので、まあこういう時には黙ってスパッと手を打つのが正しい姿であって、それこそ会談だってこっそり実施したって別に問題ないと思うのですよね。全く何だかなあという感じです。

まだ慣れていないから仕方ないではないかとか言う言い訳が許されるのは義務教育まででありまして、いい加減に民主党政権の皆様に置かれましてはプロとして当然行うべき事を行っていただきたいものだと存じます。

ま、日銀も追加緩和(目くらましを含む)をするのは良いのですが、そこまで散々っぱら白川総裁が景気に対して強め(まあそんなに強い訳ではないが、市場の見方や株価動向などを勘案すると市場平均よりも強めの印象は与えるわな)の話を連発している中で(GDPという要因が出たので言い訳はまあ出来るとは思いますが)急に緩和が来たのでという動きになるっちゅうのも毎度の様式美の世界ではありますが、もうちょっと総裁様におかれましては見せ方を工夫していただきたいものだと存じます次第。今回だって「総裁が原則論を唱える」→「政治から差し込まれる」→「あっさり陥落」という様式美の印象を与えかねない(まあ今回はそこまでの差し込まれ感は無いけど、ある意味市場に差し込まれたようなもんですからねえ)訳でして、こういう不透明な状況が続くのですからもうちょっと狸成分を入れたほうが宜しいのではないかと愚考するところでございまする。


○その他政治日程に関する雑談等

まあスケジュール感とか読み筋とかは何となく想定するものはありますが、細かい読み筋の話は華麗にスルー致しましての雑談ですが。

えーっとですな、10月は決定会合が2回ある関係上、9月の決定会合って9月の前半に実施されるのですよね。6日〜7日に実施される訳ですけれども、民主党の代表選挙が9月14日に実施と言うことで、折角日銀が政府とタイアップして何か決定をしたとしても14日になるとカウンターパートがお遍路先生からお縄先生に替わっているというリスクがあるのがオソロシス。

まーなんちゅうか間が悪いとしか申し上げようが無いのですが(−−)、政府の経済対策を早いところ出して、菅さんが飛んでも次の内閣にちゃんと申し送りしてもらわないと困りますなあという感じが致しますが、微妙なこの間の悪さに様式美というものを感じるところです。


あとですね、ふと思ったのですが、お縄先生がミンス党代表選挙に出られるというお話になっているようでございますが、そもそもミンス党の支持率が下がったのって小鳩体制のせいだったと思う訳で、お遍路先生のトンチキ発言の影響もあったとは思いますが、基本的にはケツ拭き担当であの負けで済んだと評価されても良いような気がするんですが・・・・

しかし、何かお縄先生がマジで代表になると、いきなり発足時の最低支持率更新とかしそうでそれはそれで面白そうですし、何か昔に戻って超越財政支出とかばら撒きとか再開しそうですし、そうなったら(長い目で見たら碌でもない話で大変にマズーではありますが)目先だけに関してはそれこそ長期金利上昇、円安になって株も戻るんじゃネーノという気が最近するようになっておりまして、最早ヤケクソの世界になっているような気がしますが(^^)、いっその事お縄先生の内閣総理大臣姿というのも見てみたくなってきました。

その上リアルお縄先生にでもなったら日本売りとなりまして円安進行でめでたしめでたし(多分ものすごく間違っていると思う^^)。

#最後のほうで一部暴言らしきものがあったことを深く陳謝致しますが賠償は致しません(^^)

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2010/08/19

お題「今日も市場雑談その他で」

イブニングで10年309回が0.900%という債券市場だけ祭りですから。

○短期ゾーンが注目されておりましたな

昨日の債券市場ですが、まあ朝から短いゾーン強くて2年ゾーンの一部の銘柄が5糸強(0.120%水準)が出合ってみたりしていたのですけれども、輪番オペの残存1年未満の結果が平均1毛強の足切り3毛9糸強という結果(なので普通に0.10%割れの出来上がりで日銀様お買い上げの図)になりましてあららの結果。

いやまあ前場は6年が強いですなあとか20年が昨日と打って変わって弱めですなあというような話もあったのですが、輪番結果ですっかり短いところが話題でございますわよ奥様というような状態になって参りまして(というのはだいぶオーバーですので念の為^^)、その後日本円TIBOR3か月物は3行(中央三井信託、りそな、商工中金)が提示レートを0.38→0.37に下げたのでレートは低下するわ、3か月TB入札は0.1103%/0.1123%の結果だったのですが、足切りの按分比率が0.0823%という超ウルトラ極薄按分でこれまた堅調。

てな訳で、まあその雰囲気が続き2年辺りから前の現物債はオファーが出てこなくなって何だか知らんが急に利下げを見に行くような雰囲気を醸し出して参りまして「さあ盛り上がって参りました!」というような状況で、2年ゾーンの一部銘柄では0.115%とか最早訳判らんレートが出合い(えーっとちなみに昨日のGCは0.115%レベルでしたので、瞬間的な話だがGCとレート水準が変わらんのよ)となる始末で、もう何か素晴らしい盛り上がりっぷりでございましたな。


まあプライスアクションを見れば「追加緩和に対する思惑が盛り上がり」という話になってしまいますので、金融政策ネタの大好きなガイジンさんがイブニングセッションで債券をえっさえっさと買い上げたようでございまして(^^)、イブニングセッションの終値(東京18時)は143円03銭と東証引けから15銭上昇して、10年309回もBB引けの0.915%から1毛5糸買われたのですかな、いやはやなんとも。


○でも金先は上がらないのですよね〜

とまあその辺のプライスアクションだけ見ると利下げまで織り込みに逝くような楽しい相場展開なのですが、じゃあ本当に短期市場が利下げを先取りしに逝っているのかと申しますとこれがまた微妙。

つまりですな、ユーロ円金先ちゃんですけど、MAR11は日中では99.710と99.715の辺りにいた(記憶ベース)と思うのですが、これって別にここもとの水準から大きく上昇している訳でもなく、まあ確かにレベル的には0.30%割れていますから全く織り込んでいるわけでも無いですが、利下げ先取りワッショイなのであれば金先がもっと盛り上がる筈で、売買そこそこ伴いながらも金先がろくすっぽ上昇しないのは「まあそうは言っても利下げ先取りまではねえ」とゆー感じじゃないかと。ターム物の資金供給オペの落札レートだって0.11%でしたしね。

#大手銀行が利下げ先取りで盛り上がったらもっと楽しいことになりますから

じゃあ何で短い所ってこんなに強いのよという事に関してはまあ正直あたくしも知らんがなという所ですが、元々物理的にショートは振りにくい(このゾーンの現物はカレント近辺以外売買規模に対して流通玉が少ないと思われます)というのもありますけど、それよりもリスクリターンの関係で、例えば1年の0.115%って下手したらGC並とかの水準ですけれども、これを叩いて何ぼ儲かりますかという事を考えると、どう見たって1年以内に利上げなんて無いとしか思えないのですから金利上がって0.13%〜0.14%程度なのに対し、間違って5bpとか利下げされたらモロに持ち上げられてしまいますのでよー売れませんなという所でしょうか。

いやまあロングが叩きに行けばいいじゃんという意見もあるとは思いますが、短い所だけで見ればほかに買うものも無いですし、まあもっと下らぬサラリーマン的な事を言えば、間違って利下げでもあった日には「利下げ観測があるのに何でその前に売ったんじゃボケ」と後付で好き放題言われた場合にまあマズーだったりする訳でして(^^)、中々こう思い切って売るのもねえという残念な事情もあるかなあというところでしょうか、よー知らんが(^^)。

とまあそういう訳で、本気で金利が下がるような追加緩和があるというのまで織り込みは実はしてないでしょというのが冷静な話になると思いますし、この次に書きますけれども、月曜の菅さんと白川さんの会談に何か「お土産」があるのかという所を考えた場合に、政府の対応がどうもそこまで行ってなさそうな状況で日銀だけノコノコお土産を出しても無駄に消費されるだけの話ではございますからして、まあ来週の会談にぶつけて何かっていうのはどうなんでしょうかねえと思うのであります、というのが何となく平均的な見方になっているからこそ金先とかの辺りが別に大盛り上がりしない(金先は夜間取引ではMAR11で99.720位だったかなあ)という所なのではないでしょうか。



○ところで月曜って何をするんだろう・・・・・

火曜日に「会談実施」のニュースが出たので昨日はあたくし「常識的に考えれば手ぶらで何もなしってえ事はないでしょうけれども、何せ民主党は普通じゃないですから」などと書いたと思いますが、何か月曜の会談がマジでお洒落なことになるのではないかという楽しい悪寒が。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ayfhPuiTEgVk
荒井戦略相:内閣府による現状分析を20日に首相に報告へ(Update1)

・・・・えーっと、現状分析を20日に報告して23日までに本格的な対策が出るとは1ミリも思えないのですけれども。

と思ったら菅さんもこういう話になっているのね。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a20blrvexjgg
菅首相、円高対応で追加経済対策に前向きな考え示す−共同通信

前向きな考え示すですかそうですか。うーむ・・・・・

とまあそういう事で、政府が来週の会談に向けて何かスケジュール感を持ってここぞという対策をぶつけてくる訳でもなさそうですし、まあそもそもうっかりすると9月に飛ぶ可能性もある内閣がそんなに根性の入った対策打てる訳でもないでしょうとかゆー話になりますと、やはり民主党クオリティ恐るべしという所に落ち着く悪寒も漂ってくる次第。

#なのでこの際円高対策に暗黒舞踊ということで(^^)

まあ足元為替がぶっ飛んでいる訳でもないですし、株価も何気に平均株価9000円手前で持ちこたえてますし、そんなに底抜け脱線ゲームっぽい感じも無い(とか書いて変な死亡フラグを立てるのは望ましくありませんが^^)所であわてて何か出さなくてもという所なのかもしれませんが、それならそもそも無駄に会談セットしたり財務大臣が緊急会見してみたり総裁談話を出してみたりとかして雰囲気だけ盛り上げてどうするんじゃいなという所でもありまして、何かこうチグハグ感が。


ま、米国が追加緩和しちゃうと先にこっちが金利系で何かやっても吹っ飛ばされてしまいますから、米国の追加緩和の打ち止め感が出るか、それこそまた出口戦略モードになってくれないと(何せ米国金利の低下がドル円相場のネタなもんで)弾の無駄打ちになってしまうというのもありますから、政府が余程腰をすえて根性の入った施策を打ち込まない限りは日銀も中々カードを切りにくい(現実問題として切るカードが少ないですからねえ)ですわなという所でしょう。

#ただまあ追加緩和がなくても観測は残るでしょう

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2010/08/18

○そう言えばTIBORが低下している件

意図的ではなくうっかり昨日書き忘れたのですが、TIBORちゃんが今週に入ってから久々に低下をしておりまして、一部の好事家の間でネタになっております(^^)。

日本円TIBORの方でお話をしますと3か月の金利がご覧の通りで(http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/rate/entryitems/JAPANESEYENTIBOR.pdf)、今週になってから0.38%割れとなって金利低下。リファレンス銀行の提示レートを見ますと、月曜にみずほCBがそれまでの0.38%から0.37%に提示レートを下げて、昨日は三井住友銀行が同様に0.38%から0.37%に提示レートを下げましたとな。

まあだからどうしたと言われると困りますが(^^)、足元の外部環境などから「まあ下げましょか」という事になったのでしょうかねえという程度ですが、まあよく考えたら毎月月初にちょっとずつTIBORって低下してたので、その定例イベント(?)が2週間遅れて来ただけのような気もせんでもないですな。ま、提示レートの世界なので結局はレートを出している人たちの所に行って聞かないとよー判りませんがね(^^)。

TIBORが何となく低下ということもありますし、まあ日銀総裁と首相の会談がどうのこうのという話が出たり、経済対策がどうのこうのという話が出ていますので、まあ普通に何らかの追加緩和に対する期待が出てくるのが普通でして、その辺の合わせ技でユーロ円金先はちょっと堅調なのですが、よー上がりきらんというのも不完全燃焼っぽいですな。

ところで話はワープしますが、全銀協のサイトのTIBORのページって・・・
http://www.zenginkyo.or.jp/tibor/

『全国銀行協会では、日本の短期金融市場の整備・活性化に資するため、無担保コール市場の実勢を反映した「日本円TIBOR」と本邦オフショア市場の実勢を反映した「ユーロ円TIBOR」を毎営業日公表しています。』(上記URLより)

へー、TIBORって無担保コールのターム物市場の実勢なんですか(棒読み)。



○短い所の金利が益々低下というかフラットしている件

昨日は1年TBの入札が実施されました。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillnyusatu/resul220817.htm

(3)募入最低価格 99円88銭0厘
(募入最高利回り) (0.1194%)

(5)募入平均価格 99円88銭1厘
(募入平均利回り )(0.1184%)

・・・・・・orz

ということで、めでたく1年のTBまで0.12%割れとなってしまいまして、結果発表後も平均落札レベルは貫禄のビットサイド(なので日本相互証券の引けの0.120%というのは実力より甘いと思われる)で0.115%も出合う(さすがにオファーサイドのようですが)という大変に素敵な展開に。まあ実力ベースで1年の0.12%ってビットサイドじゃないのってえ感じの展開が足元の追加緩和ネタ祭り以来続いていましたが、入札でこうあからさまに出てきますと中々素敵な状態でございまする。

何せ足元GCが0.105-0.11%とかで時々0.11-0.115%とかになるという状態な訳でして、それに対して1年TBが0.115%〜0.120%という水準にあるというのは、資金運用という面で言えば「1年間を固めるリスク」というのが殆ど乗っていないという状況ですが、そらまあ足元で追加緩和で金利が下がるリスクが無い訳ではないけど、足元が上がる雰囲気も皆無(オペは比較的多目ですし)なのですから、気分はヘッジの買いって所でしょうかねえ。

そんなこんなで短い一般債市場でもモノがだいぶ買われているようですし、2年国債は堂々の0.125%ということで(2年0.125%ちゅうのも冷静に考えるとおそロシアな水準ではありますが)、まーこの辺の水準はかつての量的緩和でベースレートが0.001%の時の数字を10bpシフトして考えるともう相当の水準になったですなあという所ですが、ターム物金利をフラットさせようとした場合ってベースの金利水準がある方が(下げ余地があるからなんですけど)フラットさせやすいですなあとふと思うあたくしなのでありました。


○ところで来週会談が行われるようですが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100817-00000094-jij-pol
菅首相、23日にも日銀総裁と会談=円高などで意見交換
8月17日18時2分配信 時事通信
(第一報が出たのは昼休み時間帯でした)

まあ常識的に考えますと、まさか二人が手ぶらで会談して「意見交換はしましたが、特に何もやりませんが何か?」というような間抜けな事は起きないと思うのですが、何せ「対策も何も無いのにいきなりデフレ宣言」というトンチキにも程があるプレイをした張本人が一方の当事者ですし、GDPが出たその日に内閣府政務官と国家戦略担当相のコメントが全然整合性取れないというような素敵な政権でもありますので、とにかくこの政権は常識的な動きをしないのが仕様で、それに付き合わされる官僚の皆様などは大変ですなあと思う次第です。

で、昨日の市場の反応も中々お洒落でして、株式市場は経済対策と追加緩和という発想なのだか何だか知りませんが一応敬意を表して下げから値を戻していた(インデックス先物の話ね)のですが、債券市場はと言えば後場は先物とか長期が押し込んだ一方で超長期はクソ堅調にも程がある動き。えーっとあのその「経済対策+追加緩和」に普通に反応したら長いところって売られる筈なんですが・・・・という所でございますが、超長期買われるってどんだけ政府日銀を舐めとるんかいなという論点から考えますと大変に素敵な反応ではございます。

#債券が循環物色状態で色んな年限が買われるのですが、「循環物色」という話をしているうちに「循環取引」という言葉を思い出してしまいましたが特に意味はありません(^^)

でですな、まあ手ぶらで会談というお洒落な事もあり得ない訳でもないのが民主党クオリティなのですが(いやまあ手ぶらで会談終了して円買いアタックさせておいてからいきなり不意打ち介入のカウンターアタックを仕掛けるというような「三年鳴かず飛ばず」の故事成語みたいな事をやってくれるのならば格好良いのですけどねえ)、まあ普通は何かのお土産があるでしょうと思うのが常識的なので何があるが妄想してみる。

どうせやるなら為替介入+輪番増額くらい景気良くやっていただきたいものですが、まあそれは普通にやらないでしょうと思いますので(--;)、ある程度普通に考えて見ますと(1)固定金利オペの手直し(期間延長か30兆円に増額か)、(2)利下げ(0.10%→0.05%)、というのが一般的かなあと思います。ただまあどっちのネタもそう何発も打てないので中々難しいかなあとは思いますけど・・・・・

上記のようにターム物金利が見事に潰れて壊滅状態というか4番グリーンウェル状態というか、まあ暗黒にも程がある状態になっておりますので、固定金利オペの期間延長とかやっても実際には金利は下がりきっていますわなという所ではありますので(^^)、実際の金利に与える効果がどうのよというのもありますけれども、まー今回に関しては(というか今回だけじゃないですけれども)為替市場や株式市場へのアピール狙いでもあります(もうちょっと綺麗な言い方をすれば「期待に働きかける政策」ですね^^)ので、「別に金利が既に下がっているので打っても打たなくても同じ」とか言わんでてきとーに緩和演技をお願いいたしたく存じます。


○ところで余談ですが・・・・

昨日見てて超謎だったニュースヘッドラインですが・・・・・

ブルームバーグのニュースヘッドラインから

JBN 16:11 日銀筋:円上昇し政治圧力強まれば追加策検討も−日経英語ニュース

・・・・?????

いやあのどの日銀筋だか知らんですが、日銀の中の人が「政治圧力強まれば追加策」とか政治圧力の存在を認めたり、政治に振り回されて動きますみたいな事はよー言わんでしょうにと思うのですが、立場からして。

つーか、「中央銀行が政治圧力によって動きますよ」なんて言ったらそもそもが日銀法の精神に悖ると思いますし、大体からして通貨の信認やら物価の安定という観点からしてもダメダメにも程があると思うのですが、この「日銀筋」って日銀じゃないでしょと思うのですが・・・・・なんかこの手の「〜筋」みたいなニュースって何だかなあ感が非常に強く漂うニュースでありますな。

ちなみにたぶんこれで市場は反応していないというか時間も時間なのであまりネタにもなっていなかったと思いますけどね。

で、更に与太話になるのですが(^^)、目先為替市場のネタって相変わらず「日米金利差」ばっかりでして、デフレ懸念で金利が低下する国の通貨は相対価値が上がるのだから買いにならんのかというような話はまる無視で推移しております関係上、中々こう日本の金利がどうのこうのってったって米国の方が元々金利が高い(というかイールドカーブがスティープしてた)のですから如何ともし難し。

つまりですな、根本治療という点で言えば米国の金利が上昇してくれないとどうにもならん訳ですから、この際外準で持っている米国債を全部売却して(円転はできないので^^)NY連銀のデポにでも突っ込むとか3か月のビルを買い占めるかでもすればちったあイールドカーブが立つんじゃないでしょうか(嘘)とか、与太話にも程があるネタしか思い浮かばない今日この頃であります。

まあそれよりも来週の菅さんと白川さんの会談のあと、二人で共同記者会見を実施するにあたり、お二方が突如全身白塗りで現れて暗黒舞踊を披露するとかした方が円安になりそうな気もしますがヤケクソで一つ如何でしょうか(大嘘)。


#今日は雑談ばっかでどうもすいません、積み残しネタが溜まっていますな

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2010/08/17

まあ米国2年債0.5%割れですかそうですか。もうちょっとで時間軸ほぼ織り込み状態ですなあ。

#米国の指標が悪くてドル売られましたという事ですが、日本の指標が悪くて円が売られないとは何ででちゅかね〜

○GDPがうんこで債券強いっす

ということでたまには市場備忘メモ。

えーっとですな、昨日はそもそも週末の米債が強かったので強くなりますわなあという感じでしたが、寄り前に発表になった2QのGDPの数値がうんこ(前期比実質年率0.4%(予想2.3%)で前期比名目年率▲0.9%(予想▲0.3%)(予想数値はブルームバーグから)という大変にお洒落な内容)だったことから今日も今日とて(金曜の取引終盤からそうだったのですが)10年が強くて相場が上昇でござるの巻となりまして、先物から10年がお強い相場のようでオソロシス。

結局引けは309回債で0.945%と単利では0.9%台前半ですし、20年119回債は1.590%と単利では1.60%割れるし、5年90回債は0.270%(89回債は0.285%)ともう何が何だかという素敵な水準になっておりまして、しばらく10年1%近辺でうだうだやっておったのですが、いきなり昨日は居場所を変えてしまったでござるの巻。まあここまでの動きって円高株安はあるけど、実体経済はそこまで悪かったでしたっけ?という中でのものだったのに対して、日本のGDP数値がうんこというあっちゃーな物を見せてくれてしまったので動くのはシャーナイナイとゆー所ではあります(が、世の中には地合いという物があって、「いやそうは言っても7−9は強くなるでしょ」などと適宜いちゃもんを付けてあんまり反応しないという変化もアリエールなのですが、今回はそーゆー地合いではなかったので素直に反応したのだ)。

まあ超短いところは今更動くと言いましても(先日も申し上げたように)2年が0.13%だわ1年が0.12%(本当はもうちょっと強そう)だわということで、まあ概ねGCが0.105%〜0.110%で安定推移(最近はあまりにもレートが低いのでGCの資金出し手が減ってきて存外GCが下がりきらないようですけどね)となっている中でもう期間プレミアムが殆ど乗らないという素晴らしいレート形成になっておりまして、スプレッド物のスプレッドも潰れっぱなしという状態が継続しているのでコメントのしようが無し。

なのですが、最近思うに資金供給をホイホイ実施している(昨日のオペ残39兆円とかだったと思うのだが)のにも係わらずコールレートが比較的下がらず、GCレートも0.105-0.11水準から下がりきらずという結果になっておりまして、単に金利が低くて金の出し手が出さなくなっており、大手銀行あたりが積極的に動かないからなのかなあとは思うのですが、この調子ですともうちょっとオペ残増やして当座預金残高を積み上げてもよさそうな気がするのは気のせいですかそうですか(^^)。

てな訳で単なる俺様備忘メモのコーナーでした。


○しかし閣内の反応がチグハグとか勘弁して欲しいのだが

昨日のGDPの結果を受けての発言を見て昨日はずっこけたわけですが。

ブルームバーグのヘッドラインより。

JBN 9:09 津村政務官:既に踊り場入りしているといえるかもしれない−GDP

というのは「うんうん」と頷いて見ておったのですが、その後に出たヘッドラインで見事に腰が砕けてしまいました。

JBN 9:23 荒井戦略相:景気が着実に持ち直していることを示した−GDP
JBN 9:25 荒井戦略相:設備投資の増加、景気の自律性の高まりかを検証へ
JBN 9:28 荒井戦略相:円高が自律的回復の障害になるかもう少し見る必要
JBN 9:30 荒井戦略相:踊り場の表現当たらない、そこまでは考えてない
JBN 9:31 荒井戦略相:日銀との連携作業が必要−円高で
JBN 9:33 荒井戦略相:早急にということにはならない−新たな経済対策
JBN 9:35 荒井戦略相:円高対策については日銀と議論している
JBN 9:37 荒井戦略相:近々とは聞いていない−日銀総裁と首相の会談

・・・・・orz

当然のことですが、この一連のヘッドラインの後ドル円が円高方向に振れたことは申し上げるまでもございませんが、なんちゅうかスカポンタンな印象を与えるヘッドラインでありまして、この国家戦略大臣は何をしに会見をしたのかと小一時間問い詰めたいわけですが、まあさすが事務所経費で(以下割愛)。

そういや話は大幅にワープしますが、民主党のデフレなんちゃら議連の松原仁さんが先日ああだこうだとまた提言しているみたいですが、おまえは武藤さんと伊藤さんの総裁および副総裁就任に対して反対票を投じておいて今更何をいうのだ(金子洋一さんは当時議員じゃないので無問題ですが^^)と小一時間問い詰めたい(というか、この議連って臆面もなくというか人間として何か欠落しているとしか思えないというか、勉強会に武藤さんを呼んだんですよね〜)のであって、議連はその件に関する総括をまず最初にしろと思うのですけどね。あと介入しろというならお前が米国に行って説明してこいやという感じですがね(ニヤニヤ)。

まあいずれにせよ困ったもんですわなあ。


○それはそれとして経済対策が出るようですが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100816-00000108-jij-bus_all
政府、追加経済対策検討へ=円高、消費、雇用重点―財源1.7兆円、国債増発は慎重
8月16日21時0分配信 時事通信

あらそうですのオッホッホという感じで、荒井大臣の慧眼ぶりに目から何か水のようなものが出てくる今日この頃でございますが(−−)財源1.7兆円とはこれまたしょぼいというかこの地合いなんですからぜひ国債増発して頂きたいと思うのはレート低下で困っている市場の中の人的なポジショントークですけど(^^)まあそれは兎も角。

経済対策の規模にもよりますけれども、まあ何かこう気合の入った対策を打ってくれれば日銀が何か金融緩和(今更何を金融緩和するのかという論点はあるが、まあ効果はともあれ「緩和しましたよ」というなんちゃって緩和で宜しいのではないかと思料)するのも格好が付くというものでありまして、ここもとの日銀の金融緩和って基本的には麻生さんの頃から政府の景気対策とセットで実施というのが多かった(最近は政府があんまりろくな事しない中での実施というテイストが漂いますが)ので、そーゆー意味でもあんまり目先の付け焼刃的な対策ではないきちんとした経済対策の実施が求められますわな。

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2010/08/16

ではとりあえず何となく読んでみた(今更ネタですいませんが)セントルイス連銀総裁のJames Bullardさんによる量的緩和がどうのこうのというペーパーから少々。

http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/SevenFacesFinalJul28.pdf
Seven Faces of "The Peril"

本文が大体21ページ分あって逐語訳とかしてたら海外在住経験も長期の旅行もした事が無いあたくしのへぼ英語力では死亡確定なので、とりあえず何となく全部は読んで見ましたが、勘違いしてたらどうもすいませんと言う事で(ヘッジクローズ)。

○最初のまとめ部分から

最初にAbstractってのがありまして。

『In this paper I discuss the possibility that the U.S. economy may become enmeshed in a Japanese-style, defationary outcome within the next several years. 』

米国経済が日本のようなデフレに陥るかどうかの考察とな。

『To frame the discussion, I rely on an analysis that emphasizes two possible long-run outcomes (steady states) for the economy, one which is consistent with monetary policy as it has typically been implemented in the U.S. in recent years, and one which is consistent with the low nominal interest rate, defationary regime observed in Japan during the same period. The data I consider seem to be quite consistent with the two steady state possibilities. 』

この2種類の「安定状態」(とでも言うのか?)というのがありまして、しばらく前の米国経済はそのうち望ましい方の安定状態にあったものの、日本が現在陥っている「デフレ状態と超低金利による意図せざる安定状態」に陥る可能性が現在の米国にありますよってえ話になるそうな。

『I describe and critique seven stories that are told in monetary policy circles regarding this analysis. I emphasize two main conclusions: (1) The FOMC's extended period language may be increasing the probability of a Japanese-style outcome for the U.S., and (2) on balance, the U.S. quantitative easing program offers the best tool to avoid such an outcome.』

で、それは何ですのという話ですが、(1)FOMCのガイダンス文言の「extended period」というのが経済の「デフレ均衡」に陥るリスクを高め、(2)それを防ぐためには(後で出て来るのですが)長期財務省証券の買入拡大による量的緩和政策が必要、という結論になっているようですな。

で、その中身を延々と読んでみたのですが、何か「????」な部分も結構見受けられるペーパーにあたくしのような無知蒙昧な人間には思えるのでございまして、いやあの何でそーゆー論理展開になるのかねとか結論になるのかね的な違和感があるのですが、きっとこれはあたくしが現場の地べたを這いずり回っており、大所高所からの観点が無いから判らないからに違いないということにしておきましょう。


○とりあえずブラードさんのペーパーでは「金利は下げるな」と言ってるんだが

さてそれで本文を読みつつという話になると思うのですが、月曜なので(言い訳になっていない)本文紹介しないで読んだ結果のブラードさんが出している(あたくし的には)謎結論を勝手に解釈しますと・・・・・

まずですね、本文2ページ(PDFファイルの3ページ)にある、
『Figure 1: Short-term nominal interest rates and core infation rates in Japan and the U.S., 2002-2010. OECD data.』
というのが本論のキモになっておりまして、図を貼り付けるわけにもいきませんのでそれは本文を読んでちょという所ですけれども、「コアインフレ率」と「短期名目金利」をプロットしたグラフに対して、フィッシャー関数(関係?)とやらの直線と、テイラールールの曲線を引いたものを出しております。

で、その直線と曲線の交点が2つあって、その交点近辺が均衡状態になっているのですが、通常の均衡状態として「インフレ率2.3%で短期名目金利が2.8%」というのがあって、それは「望ましい均衡状態」なのですが、そうじゃないほうの均衡状態として「インフレ率▲0.5%で短期名目金利が0.001%」というのがあって、日本がまさにこのステージに入って安定してますわな、というのがこの話の基本的なキモなのですよ。


でね、その部分の説明とか面白いので今後紹介すると思うのですが(今週はネタもなさそうなので^^)、BOEの従来の政策および最近の量的緩和政策を評価している部分がありまして、これらの均衡状態に陥らないようにする為にかつてBOEが政策金利の下限を2%に置いていたのと伝統的政策での一つのやり方と評価してます(本文15ページ以降の『2.5 Traditional』の章)し、BOEの現在の「国債のみを購入する」という量的緩和政策に対しての評価も行っているのですよ。(その評価の中身がBOEの認識と違うんじゃネーノというような部分があって、それはまあ後日)

つまりですね、ブラードさんの提唱する量的緩和政策の導入っていうのは基本的な発想として「名目短期金利を長期間ゼロ近傍低位に置かない」が「時間軸政策のようなものを実施する」事によってインフレ期待をあげる(具体的な説明としてはテイラールールの曲線を右側にシフトさせるという効果を出す)みたいな話をしているように見えるのでありまして、どうも全部足すと「実効FFレートを現在の水準よりも若干高めに維持しつつ量的緩和政策を行ってインフレ期待を引き上げて、早いところ日本的な望ましくない均衡状態に陥るのを防ぎましょう」と言っているように見えるのですよね。

とまあ考えますと、米国の追加緩和だの量的緩和期待というのに対する米国市場のファーストリアクションというのも何か微妙な所がありまして、単純に大喜びして金利が下がって良いのでしょうか????という気がするのであります。

なお、本文に関しては中々おもろいというか、あたくしの知能では中々よー判らんものが多々あったりするので、追々ご紹介させていただきとう存じます(ネタ切れ用の在庫作りでは決してございませんので念のため^^)。

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2010/08/13

お題「今日は市場雑談で勘弁」

金融経済月報ネタは来週で勘弁してつかあせ。

○久々に為替市場でドタバタ

昨日は昼過ぎから為替に関するヘッドラインが色々と出て参りまして、そのヘッドラインで為替市場が動くもんだから債券市場ちゃんもそれを見ながらホイホイと動くとゆー展開になりまして、まあ久しぶりに介入だの何だのってな話で動いたでござるの巻でございましたわな。

ということで昨日のメモと雑感をば。

最初に出たのは多分このネタ。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aq2Kr.tb0KRI
玉木財務官:内外の金融情勢めぐり中曽日銀理事と会談

で、13時過ぎ位だったかな、まあドル円が妙にドル高方向に振れたので「これってレートチェックでも入ったんじゃネーノ」と言うような雑談をお友達としていた(本当)のですが、その後こんなニュースが。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=ayOt84scjPS8
日銀がドル・円相場のレートチェックをこの日行った−ロイター

おお、怒りのレートチェックキターーーーって感じで、まあ90年代後半の為替市場に散々振り回された年寄りのあたくし(と申しましてもプラザ合意とかは存じませんので所詮小僧ですかそうですか^^)としては懐かしい言葉ですなあとワクワクしておりましたら次はこんなものが。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aitPXQeSrkyg
野田財務相が今夕緊急会見、市場対応で−予定変更し登庁(Update1)

さあ盛り上がって参りました!と思ったら日銀からもこんなのが。

http://www.boj.or.jp/type/press/danwa/dan1008a.htm
総裁談話

『最近の金融資本市場の動きをみると、米国経済の先行き不透明感の高まりなどを背景に、為替市場や株式市場では、大きな変動がみられている。
 日本銀行としては、こうした動きやその国内経済に与える影響について、注意深くみていく。』

ちなみにこの総裁談話って一応「これは」という時にでるもんでして、過去の談話のインデックスを見ますとこの通りで、金融危機やら総会屋事件やらの時にやたら出てましたが、まあそんなに出るものでもないです。
http://www.boj.or.jp/type/press/danwa/index.htm

まあ為替に関しては(金融政策打てば別ですが)日銀は財務省のパシリとして動く実働部隊に過ぎないのでそんなに気合の入った事はいえないのかもしれませんが、もうちょっと気合入れても良かったのに〜とは思っておりましたが、まあ市場ちゃんは野田財務大臣の緊急会見待ちに。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aa4ZUruF0..Q
財務相:為替動向に重大な関心持ち見守る−介入は言及せず(Update1)

・・・・ヘッドラインが出た途端に86円ちょっと割れ水準だったドル円がいきなり85円台20銭近辺まで失速しやがりまして、なんちゅうかわざわざ緊急会見やって何も無いのかよおおおおおおおおおおお!!!!!というがっくり感満載の動きに全俺様が泣いたという所でございます。「断固たる措置を取る」とか言わないところが何だかなあというか、普通こういう会見とかやるんだったら何か介入だか何だかセットにならないと意味が無いと申しますか、単なる無策の露呈になるのでやらない方がマシというのが昔の常識だったと思うのですけれども。

#いやまあそうやって無策の振りをしてからいきなりぶつけるという高等戦術なのかも知れませんので最終的には判りませんけどね(^^)

総裁談話に関して中曾理事の会見もあったのですが。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aEW1U6nxLBwA
中曽日銀理事:政策判断変えてない−為替の総裁談話(Update1)

・・・・うーむ、微妙な内容で何かやる気があるのか無いのか良く判らん次第で、結局のところ何か政府日銀とも中途半端な感じがしますわな。


という流れだったのですが、まあ昨日の動きで一番衝撃というかどちらかと言えば爆笑の発作が起きたのは野田財務大臣の緊急会見を受けた為替市場の動きでございましたわな、という所で。



○しかし日銀の円高対応って言ってもねえ

たとえば代表的なのはこんなニュース。
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-16758120100812
日銀の危機管理能力に疑問の声、「量」拡大政策が選択肢に

金利市場やってるあたくし的には「今更円高対応で何かするとかいうよりもとっとと介入したら良いじゃん」と思いますし、まあ「日銀が今更円高対応で何かやるって言ったって碌なタマが無いのでは」というのが金利市場的な一般的な解釈ではないかと思うのですが、どうも金利市場以外の人たちは「日銀が追加緩和したらどうのこうの」という話をする傾向にありまして、まあ話をしてても温度差を感じるところでありまする。で、どう見ても世間的には金利市場の人たちの声のほうが少数派であることは間違いないので(涙)、少数派にいるのが好きなひねくれ者のあたくしが何となくその理由を説明してみる。

えーっとつまりですな、昨今の為替市場って毎度毎度某モーサテでの為替コメンテーターが抜かすように「2年債の金利差」だの「5年債の金利差」だの「LIBORの金利差」だのという話をネタにして動いている訳でして、日本のイールドカーブが米国対比で素敵に潰れている状態であって、米国が金利上昇しない限り死んでも日米金利差は開かないとゆー状況の中で日銀に何をせえちゅうねんという所ではないかと思うのですよね。それなのに「日銀何かやれ」と言われましても実際に金利が米国の金利下げペースに追いつくような下げをするのが無理(したら金利が物凄くマイナスになりますが^^)だと思うのですが、その辺を斟酌した話をしとるんかいなという気はする訳ですな。

とは言いましても、まあ米国があれだけ福井俊ちゃんスキームを発動して緩和しているような演技をしつつ追加緩和の可能性を見せると言う技を繰り出している中で、日銀におかれましては白川総裁が相変わらずサービス精神の無い雰囲気を出しているというのはちょっとねえという所でもありまして、結局相場なんて(最終的にはファンダメンタルズに収斂されるのでしょうけれども)雰囲気の世界で動くものでありますから、その雰囲気作りの為に芝居をするというのもこれまた大事じゃないかと思うのでありまして、ちょっと今の状況ではどうなのかなあというのはございますわな。

ただまあ福井の俊ちゃんスキームっていうのはありゃ中央銀行と政府のタイアップというか信頼感がちゃんと出来ていないと難しい物があると思うのですよね。つまり何か急に日銀が俊ちゃんスキームを発動している中で政府(というか民主党政権)が急に日和って梯子外しちゃったら屋上に持ち上げられて日銀置いてかれ状態になるというのがオソロシスになる訳でして、俊ちゃんスキームとか言って俊ちゃんがエライかのような言い方してますけど、あれは小泉首相さんなどの自民党政権とのきちんとしたタイアップが出来ていたからスキームがワークした訳でして、昨日のテイタラクの民主党政権相手に俊ちゃんスキームができるのかという問題もあると思いますので、まあ可及的速やかにまともな政権担当能力のある政権が出来ていただきたいというあたくしの毎度の主張になるのでございました(^^)。


まあ何かやるならあまり金利下げにならないけれども(というのは既にターム物金利が2年で0.13%(引けは135だけど出合いは13)という大変にお洒落な金利になっているので下がりようが無い)、ターム物金利を押し下げる効果がある(事になっている)固定金利オペの期間を6か月じゃセコイから思い切って1年に延長するとかでもしたらちったあ影響するんじゃないですかねえという所ですかな。



○ところで今回の積み期間では何気に資金供給量が多かった件について

さっきURL付けたロイター記事で「量の拡大がどうのこうの」とかまた何を言ってるんだこの通信社はという話をしていましたが、今回の積み期間に入って日銀の資金供給が厚めに推移してるんですよね。

積み最終が今日(本当は15日だけど営業日ベースで言えば実質的には今日が最終)になるのですが、いつものパターンだと足元ここまで準備預金残高の進捗も宜しいので、積み最終に向けて当座預金残高をそんなに積んでこないというのが流れで、今回に関しては13日に財政の大幅余剰(年金の定時払)があるので、そこで普通に資金供給オペが落ちるというのが想定されていた訳ですが、意外や意外にも13日スタートでのオペをきっちりと打ってきまして、今日は積み最終日の週末なのですが当座預金残高見込みは今の所18兆400億円と前日までの16兆円台からきっちりと積み上げて来ます。

また、オペの残高は(この積み期間は特に余剰地合いじゃないからというのもありますけれども)概ね34兆円近辺(途中で落ちた時も32兆円)で推移した後足元では36兆円近辺になっていまして、まあGCレートも0.105%〜0.11%というか殆ど0.105%で安定した状態で推移しています。

と言うことで、まあ調節に関してはGCレートを跳ねさせないような配慮をしたオペレーションになっているなあと思われるところでして、GCが跳ねたりすると短国の金利が下がりにくくなるとゆー事を勘案しますと、足元の調節に関しては短国の金利を上げにくくする→ターム物金利の上昇をしにくくする、という点に配慮しているんじゃないのかなあという気がします。まあ考え過ぎなのかも知れませんけど、金利差で為替がどうしたこうしたとか言われる昨今の為替市場にも気を使っているんじゃネーノという風に思えるのですが考えすぎでしょうかね(^^)。

#まあそのせいで3か月TBは0.11%カツカツだわ6か月TBは0.115%だわとなっておりまして短期市場やること無し子ちゃんになっているのですがorz

とまあそんな雑談でございましたとさ。

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2010/08/11

○なんじゃこの要請は??

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-16712320100810
渡辺喜美氏ら3議員、日銀に早急な公開討論を要請
2010年 08月 10日 15:11 JST

『[東京 10日 ロイター]日銀が現状の金融政策を維持することを決めたことをめぐり、中川秀直、山本幸三、渡辺喜美衆議院議員は10日、3氏の連名で、日銀の白川方明総裁に対し、早急に公開討論会を設定するよう求める文書を送付した。』

中川秀直先生と言えば幹事長やって選挙して大敗したのを日銀のせいだと主張するという大変に素敵な方として著名なのですが、公開討論とかいうような訳分からん私的な場所じゃなくて国会の閉会中審議で呼べばよいのではないかというか、そもそも9月になったら国会始まるでしょと思う次第で、またスタンドプレーですかそうですかという所ですな。というか中川先生と山本先生はみんなの党に逝けば宜しいのではないかと思いますけど、って小選挙区で負けて比例復活した先生と小選挙区公認争いに負けて比例単独当選の先生だから離党できませんねあっはっは。

という悪態は兎も角として。

『氏は、文書を通じて「物価上昇率は依然としてマイナスのままであり、デフレ脱却の気配はみえない。こうした状況を打開するためには、CPI上昇率2%程度の物価安定目標を設定し、その達成のために20兆円規模の量的緩和が必要」と主張している。』

2%の物価安定目標はまあ良いと思うのですが、具体案の「20兆円規模の量的緩和」って何ですかそれ????という感じでございます。いやね、この先生方のお話って理屈の面ではそらまあそういう考え方もありますわなと思うのですけれども、具体的にじゃあ何をするのよという話に落とし込む時点で話がグダグダになるのが仕様で、実装技術の無いメーカーみたいなもんだなあといつも思うのでありますよ。

で、20兆円の量的緩和って具体的に何なのかさっぱり分かりませんけれども・・・

国債を20兆円一発(まあ1年くらい掛けるのでしょうが)追加で買うというのがまあ従来の山本先生あたりの主張と整合的だと思うのですが、現状の金利水準&運用難で死にそうな状態になっている中で長期国債20兆円買われましてもただの民業圧迫じゃねえのという所ですし(^^)、長期金利の方は勝手に下がっているので何を今更という感じですよね。

で、もしかしてみんなの党で日銀法改正がどうのこうのとか言ってるときに出てた「中小企業債権を20兆円買入」を「20兆円の量的緩和」と言ってるのであれば、逆に山本先生の従来の主張と整合性あるんかいな(山本先生は基本的にマネタリーの話で攻めているのでそれはそれで主張に整合性があるのよね)という感が思いっきりするのでありまして、それってそもそも財政政策の世界の話でありまして、金融政策でも量的緩和でもなんでもない話でしょ、ということになりますわな。

中小企業債権を20兆円吸い上げられても、そもそも貸出先が無くて困っている状態なのであって、吸い上げて入ってきた資金は結局国債でも買いますかという悲しい状態になるだけであって、これまた貸出が伸びなくて困っている金融機関の民業圧迫になるだけではないかと存じますがねえ。いやまあ不良債権を20兆円(当然ながら額面で)お買い上げになられるのであればそれはもう銀行ウハウハ不良債務者ウハウハでございますが、それは財政に20兆円穴が開くだけの話でございますけれども、その辺に関して渡辺喜美先生におかれましてはどのようにお考えなのか小一時間問い詰めたいところでございますな。



○最初の買入時に「量的緩和ではない」と言ってた筈なのですが・・・・・(FOMC)

正直こっちのほうが注目ネタ扱いだった人挙手しなさい(^^)/~

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20100810a.htm(今回)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20100623a.htm(前回)

例によって寝起きで読んだだけなので読み間違いあったら勘弁。

・景気の現状認識部分

まずは第1パラグラフから。

『Information received since the Federal Open Market Committee met in June indicates that the pace of recovery in output and employment has slowed in recent months. 』(今回)

『Information received since the Federal Open Market Committee met in April suggests that the economic recovery is proceeding and that the labor market is improving gradually.』(前回)

まず、景気の回復に関するproceedingというのが抜け(これは後で出てきますが、この部分も下方修正されています)まして、労働市場の改善に関して下方修正しているのが何と言ってもでかく、掴みにこの文言を持ってくるのがFOMCのワーディングのテクニックだなあと思うのです。あと生産も下方修正ですね。

『Household spending is increasing gradually, but remains constrained by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit. 』(今回)

家計に関連する部分は前回と同じなので前回分の引用は割愛します。

『Business spending on equipment and software is rising; however, investment in nonresidential structures continues to be weak and employers remain reluctant to add to payrolls. 』(今回)

『Business spending on equipment and software has risen significantly; however, investment in nonresidential structures continues to be weak and employers remain reluctant to add to payrolls. 』(前回)

大体同じなのですが、significantlyが抜けているけれども、is risingだからそんなに下げてはいないという事になるのかな、よー知らんが。

『Housing starts remain at a depressed level.』(今回)

住宅着工は前回と文言同じです。


『Bank lending has continued to contract. 』(今回)
『Financial conditions have become less supportive of economic growth on balance, largely reflecting developments abroad. 』(前回)

金融環境についての表現に変化がありまして、前回は海外の状況を受けて金融環境が景気をサポートする力が弱まったという話をしていましたが、今回は単純に「銀行貸出は引き続き調整局面」という話だけのあっさり味に変化しています。

『Nonetheless, the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability, although the pace of economic recovery is likely to be more modest in the near term than had been anticipated.』(今回)

『Nonetheless, the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability, although the pace of economic recovery is likely to be moderate for a time.』(前回)

ということで、前回は「景気回復のペースは当面緩やかになるでしょう」という書き方だったのが、今回は「足元での景気回復のペースは想定よりも緩やかになっています」という書き方になっていまして、冒頭の部分での景気回復がどうのこうのという話が今回見方を変化させてますなという所です。

ということで景気認識は下げていますが、基本的には「回復のペースが弱まった」という話でして、回復は回復ですけれども時間が掛かりますなあという話になっているのでしょう。


・インフレに関して

『Measures of underlying inflation have trended lower in recent quarters and, with substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to be subdued for some time. 』(今回)

『Prices of energy and other commodities have declined somewhat in recent months, and underlying inflation has trended lower. With substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to be subdued for some time. 』(前回)

With substantial resource slack以降の部分には変化が無いですから先行き見通しはいつもの決め台詞なのですけれども、現状に関しては従来は何かの一時的要因チックなものを持ち出していたのが今回はその部分が抜けているのは「ふ〜ん」という感じです。


・いつもの文言には変化なし

『The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period. 』(今回)

変化ありませんなあ。


・で、MBS償還分を長期国債買うという話ですが

『To help support the economic recovery in a context of price stability, the Committee will keep constant the Federal Reserve's holdings of securities at their current level by reinvesting principal payments from agency debt and agency mortgage-backed securities in longer-term Treasury securities.』

『1. The Open Market Desk will issue a technical note shortly after the statement providing operational details on how it will carry out these transactions.』

MBSの償還で戻ってきた資金分長期国債を買うという話ですが、これを追加緩和とか言われましてもそれはちょっと違うんでネーノというところでして、単にこれは「出口政策に向けてMBS償還分をそのまま放置してFEDのバランスシート縮小するというのを一旦止めますよ」というお話ではないかと。

いやまあ従来市場が想定していた出口が遅れるのだからそれは緩和ですと言ってしまえば市場的に言えば緩和ちゃあ緩和なのかもしれませんけれども、別に実体に変化がある訳でもなく、そもそもこれって市場買入だったらそれなりに影響あるかも知れないですけれども、従来の流れだと償還乗換になるだけのような気がするんで、それはまあその分国債の市中消化が減るから意味はありますけれども、そんなに意味のある話なのかねという気は思いっきりします。


ただまあ実態はともあれ、景気認識を下げたというのと、出口政策を後ずれさせたという意味において意味はある訳でして、まあ綺麗に言えば象徴的な意味合いでのアナウンス効果が大きい政策ともいえますし、意地の悪い言い方をすれば「福井の俊ちゃんスキーム発動!!」という所でもあります。

『The Committee will continue to roll over the Federal Reserve's holdings of Treasury securities as they mature. 』(今回)

保有長期国債の償還乗り換えなんてこんなの昔からやってることで、わざわざ言う事でもないのですが、こういうのもわざわざアナウンスするのが俊ちゃんスキーム発動だなと思うのであります。


しかし何ですな、元々おまいら資産買入を行うときに「我々の実施しているのは量的緩和ではない」、「バランスシートの負債サイドに注目した政策ではなく、資産サイドに注目した政策である」とか言って、しかも最近だって「バランスシートの量が物価に与える影響に関しては不透明な部分がある」みたいな話をしてた筈なのにいきなり前言を撤回もしないで急に量的緩和っぽい言い方(実際は償還分の買入をするだけなので緩和が拡大される訳ではない)をしだすというビューテホーなロジック崩壊振りに関してはマーヴィンキングBOE総裁様の見解をお伺いしたいところでございますわな、という所でして、この辺りの政策ロジックだの政策効果だのに関する分析をさせられるFEDのスタッフの皆様に置かれましてはご苦労様という所でしょうかねえ。どうロジックの整合性を取るんだか・・・・・

以下の部分に関しては時間と量の都合上引用だけです。ホーニッグさんは今回も華麗に反対していまして、当然ながらfor an extended periodにも反対してますが、今回はMBSの償還分でトレジャリー買う件も反対しています。

『The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and will employ its policy tools as necessary to promote economic recovery and price stability. 』(今回ですが前回と同じです)

『Voting against the policy was Thomas M. Hoenig, who judges that the economy is recovering modestly, as projected. Accordingly, he believed that continuing to express the expectation of exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period was no longer warranted and limits the Committee's ability to adjust policy when needed. In addition, given economic and financial conditions, Mr. Hoenig did not believe that keeping constant the size of the Federal Reserve's holdings of longer-term securities at their current level was required to support a return to the Committee's policy objectives. 』(今回)

ということで引用大会で恐縮でした。

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2010/08/10

お題「日銀決定会合プレビューという名の雑談」

今日もまた雑談で恐縮至極です。なお先週の相場レビューはそのうちこっそりとアップする予定です(今更先週の10年0.995%の話を書いてもねえ)。

○日銀の追加緩和観測は直ぐにという話では無いでしょうが・・・

今日まで金融政策決定会合が実施される訳ですが、ま〜今日何かがあるというのは考えにくいでしょう。特に株価が厳しい状況にあるという訳でもなく、まあ円高は気になるところであってもまだ勢い的にどんどん円高になるという事でも無いでしょうし、そもそも今日日銀が円高対策で動いてもFOMCで何かやらかしてくれるとその分が全部相殺されてしまう可能性がありますから、折角何かやっても見事に無駄玉打ちになるリスクありと言ったところで中々やりにくいですわな。

というテクニカルな面もありますけれども、ここもとの山口副総裁や亀崎審議委員の講演などにありますように、円高の影響に関しては足元での景気回復が進んでいる分だけ影響が弱いという説明(その説明でいいのかという点はここでは措く)をしていまして、いきなりここで円高対策で金融政策(というのは表向きには行いませんが、昨年12月の新型オペなんかは明らかに為替向け対策の香りがプンプンする訳でして)を打つとは思えませんわな。宮尾審議委員が3日の朝日新聞インタビューで円高の持続的継続に関して日本景気に与える影響を懸念する旨の発言をしたようですが、足元の状態はまだ持続的継続じゃないとでも言うのでしょうなあと思われる次第でありまして、まあ直ぐに追加緩和がどうのこうのというのはちょっとねえという感じです。


一方で昨日も2年債の引値が5糸強くなって0.135%なんぞになってやがりまして、そのレートってしばらく前の1年ゾーンの金利とあんまり変わらない(もともと1年と2年の金利ってそんなに変わらんじゃろという意見はあると思いますが、ミクロの世界でやっているので1bpか2bpかというのは大きい話なのよね、とほほのほ)のでありまして、足元で2年以内の部分ってレートが只で無くさえ潰れているのですが、更に潰れているという流れでして、そこだけ見ると何か追加緩和を織り込みに行く動きにも見える所がオソロシス。

ただまあこの辺の金利が低下したのって米国追加緩和観測ネタが出た先月末辺りからですけれども、その間に金先って最初に3月限で99.70越えまで上昇したのですが、その後は微妙に頭打ちとなっていたりしまして、本気の本気で追加緩和を見ているという感じでも無かったりする訳です。では何でキャッシュの方は買い優勢なのかという点を考察しますと、間違って追加緩和が実施された場合に足元金利が下げられるとエライコッチャになるという事を勘案した動きという所で、思惑と言うよりは一種のヘッジのような動きという事でしょう。つまり1年とか2年とかいう時間で見た場合に、政策金利が上昇するという可能性は極めて低く(2年だったらもしかするともしかするかもしれませんけど、と思いたいですが・・・)まあ現値で買っても負けは限定的、勝ちは殆ど無いに等しいのですが、間違って利下げされた場合にうっかり短いものばかり買っていると再投資の際に死亡確定となりますから、まあ勝ちはしないけどヘッジしておくか、という発想になるんジャマイカと思われます。よー知らんがの。

つーことで、長いところは別として足元から1年とかの短いスパンでやっている人たち的には「間違って利下げされたときのヘッジ」的な買いがキャッシュに入る一方で、金先ちゃんの方はそこまで思惑を盛り上げるほどの自信も無いので特に大盛り上がりをする訳でもなく、という所なんでしょうなあというのが足元の状況ではないかと愚考します。


○何かあるとすれば何でしょうかねえ

正直申し上げましてここもとの金融緩和ネタに関しては理屈に関してはもう何か後付けで無理無理でっち上げている感はする(別にそれは日銀だけではなくて米国とかもそうなのですが)ので、そーゆー意味であまりロジカルに考えても仕方ないのでありますけれども(でも成長基盤強化貸出に関しては後付けで思いっきり堅牢な理屈が出来上がっているのが日銀恐るべしという所ではございます^^)、まあ一応頭の整理に愚考してみます。

基本的には追加緩和のようなものを実施するとして、今更金利を下げるというのもあまり余地の無いところですし、それこそ玉の出し尽し感が出ちゃうとマズーな所でもありますので、ただ金利を下げるというものではなく、為替市場やら株式市場への働きかけをするようなネタにしないとこれまた玉の無駄打ちになりかね無いと思われます。

とまあそんなことをつらつら考えますと本当は輪番拡大が一番金利市場的には微害有益ではないかって思うのですが、単なる長期の資金供給オペレーションである筈の輪番オペが何か知らんがやたらと意味のあるものという扱いのままになっているのが微妙にハードル高い所ですし、ここもとの輪番拡大って政府とタイアップ(は名目上はしてませんが、何となくそういう雰囲気を出していました)してやっていたと言うのもありますので、何か日銀単独で輪番拡大だけしても無駄玉の悪寒が。

後は新型オペの手直し(期間を6か月にするとかですわな、額の拡大はこれ以上は物理的に無理)をするというのもネタとしては有りだと思いますし、短期金融市場的には小害無益程度(固定オペの足を長くするとその分オファーの頻度が減るので実は使いにくくなるという面もあるのよ)の効果になるかとは思いますが、それで為替や株が反応してくれればウハウハという所でしょうか、よく分からんが。

一連の流れの継続という話で言えば成長基盤強化貸出施策の充実を行うということになるのかもしれませんが、何をやると目くらましになるのか良く分からん。金利市場的には特に影響なかろうという感じで。

となりますと、やはりまあ金利をいじるのか時間軸のコミットメントを明確化するのかという話になるのが普通の想像になると思う次第でして、金利下げるなら現在のディレクティブを0-10bpという形にしてコールレートの低下を容認するのか、それとも思いっきり0.05%に下げるという明確な形にするのかという所でしょうか。時間軸の場合はまたCPIコミットメントを入れるとして、今回は「安定してゼロ以上」という表現にもうちょっと色を付けるかどうかという所になるんじゃないっすかねえ。

で、その中で一番日銀的に痛くないのは実はコールレートの低下容認あるいは5bpの利下げというリスクを短期市場関係者の皆様におかれましては感じているので、先ほど申し上げたようなヘッジ的なキャッシュの買いが入る、という所なのではないかと思います。


#ダラダラと雑談ばかりでどうもすいません。まだPCに慣れてないもんで・・・

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2010/08/09

お題「久々ですのでFOMCプレビュー雑談で勘弁」

何かあたくしのお休みモードの間に素敵な相場になっておりまして、そのときのレビューとか、ネタが微妙に溜まっている件とかを成敗していかないといけませんです、どうもサーセン。

#と言いつつちょっとエンジンの掛かりが悪いので今日は簡単雑感で

○急に緩和期待が来たので

あたくしが書き物をお休みしている隙に米国での追加緩和期待が来ている訳ですが、それに関してあれこれと雑感を。

まあ元々は米国景気が各種財政措置の剥落から足踏み傾向になって来たというのがベースにあって、やたらそれまで明るい景気回復期待だった雨公の皆様が今度は急に二番底だの何だのと訳の分からんことを言い出してっつーのがあるのでしょうが、まあ足元で火がついたのはブラードセントルイス連銀総裁のペーパーとWSJの「FRBがMBSの償還分で国債購入を検討云々」という記事が後押しした感じだと思われますが、まあ盛り上がって参りましたという所ではございまする。

いやまあWSJがどこからどこまで状況を把握して書いているのかは全く存じませんですけれども、本当にそのあたりを真剣に(思考実験として検討するのはそらまあ少数意見だってあるのですから普通にあるでしょう)検討しているというのですと、おめーら6月のFOMCでは(先般書き物のネタにしたと思うのですけれども)FEDのバランスシートの縮小に関してああでもないこうでもないと冒頭で思いっきり議論していた訳で、それから2か月も経たないうちにいきなり量的緩和の話になってくるのかよ(ちなみにその時のFOMCではMBSを売却して国債を買うことによってバランスシートをトレジャリーのみにしていく事も検討課題という意見を出している人も居たほどで)という事はあたしゃ思うのですよね。


○追加緩和するのはいいけど理屈は相当苦しい

つまりですな、量的緩和みたいな事を行うということになりますと、では6月FOMC以降の動きの中で6月時点での議論を根本から覆すような話があったんですかという点が突っ込みどころになると思うのですけれども、経済指標そのものにそんなに悲惨なものが出た訳でもなく、経済に対する下方ショックの話が出てきた訳でもなくという状況であって、そこでいきなりちゃぶ台をひっくり返すような事が出来るのかねえというのが最初のハードルな訳ですよ。

でですな、その上にハードルがある訳でして、そもそも資産買入プログラムを再開という話になった場合、従来のロジックとの整合性を問われるんジャマイカというところがある訳ですわな。つまり、MBS買入の効果として挙げられていたのは「金利及びスプレッドの引き下げを通じて民間金融環境の改善を促す」というものでありますが、現状での金利水準、スプレッド共に別に問題があるわけでも無く、ここからもう一段下げる理由が見当たらないでしょというのがありますわな。更に言えば、国債の買入に関してはその量的な効果については現状では評価を避けている訳でして、少なくとも最初の時点における「金利引下によって民間金融環境の改善を」という言い方(このときはMBSとのセットでもあったので下げる金利が国債なのかMBSなのかというのが微妙というか敢えて曖昧にしてたのでしょうが)というのは国債に関しては評価を避けています(実際に国債金利上昇しちゃったし)わな。

と言うわけで金利下げルートでの説明での資産買入復活というのはロジックがかなり苦しいのですが、ではバランスシートを拡大する系の量的緩和的な話ではどうよという事ですが、これがまた話がややこしい事に「足元では連銀のバランスシート拡大がインフレ期待にそんなに効いておらず、それよりも経済のスラックや過剰生産力が中長期的なインフレを抑制している」という評価をここまでやって来ているので、これまた従来と違う話になってしまうんじゃネーノという所ではございまする。どうなっちゃうんでしょうなあ。

なお、その辺の話をブラード総裁がしているような気もせんでもないのですが、例のペーパーはまだ頭のほうしか読んでいない(大汗)なので教えて偉い人。


まあそれから言うまでもありませんが、市場機能不全の為の買入というルートでの説明はもっと無理がありますし、現在の0-25bpという金利ターゲットを下げる件に関しては「金利をあまりにも下げると短期金融市場の機能が阻害される」という話をバーナンキ先生がご丁寧にもしていたようですので、利下げというのもちとロジック的に難しいですわな。


○でもって米国はどうするんでしょ

などということをつらつらと考えますと、もし何かやるとすればガイダンスの文言における例の「for an extended period」をどないかするという話でなんとなく時間軸を強化というそれはどこの日銀ですかとゆー方式が今までFRBの中心的なロジックとして組み上げた絵との整合性的には一番有力(なのですけれどもブラードさんは反対みたいな気がする)じゃネーノとは思います。

ただまあガイダンス文言変更に関しても、それならば現在のFOMCにおける景気認識との整合性というのが出てくるわけでして、そんなに思いっきり景気認識を下げる程のネタってあったっけ(まあ雇用統計は一応あったけど)という話は先ほどと同様に物凄い勢いでするのでありまして、もしやるならガイダンス文言変更だとは思うのですけれども、正直理屈的にどうよというのはありまする。

そう考えますとFRB的には毎度お馴染みの「追加緩和のやるやる詐欺」で引っ張りながら何となくドル安にして、ついでに低金利と株高も共存させるというのが本命ではないかと思うのですよね。バーナンキさんはそう考えているのではないかと勝手に想像しておりますが、それが上手く行くかどうかは知らん。

良く良く考えてみると、国債の買入を行った時だってその前から延々と国債買入やるやる詐欺で引っ張りまくっていたのですが、このときは不良債権処理プログラムをどうするだの何だのという問題やらAIGへの公的資金注入がどうのこうのだのというような状態で(ちなみにこの頃のダウは7000ドルとか)しかもガイトナーさんが立往生状態になっていてしょーもないという流れの中でのヤケクソ実施だった訳でして、じゃあ今回そこまでヤケクソになる程の状況でしたっけという考察はあって然るべきだとは思うのですよねえ。

などとFOMC前に勝手な雑感を書きましたです。先週の相場レビューとか決定会合プレビューとか連銀の人たちの発言フォローとかは追々やりますです、はい。

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2010/07/28

で、本日のお題は相場ネタもイマイチさんなので、虫干し系でFOMCの6月議事要旨ネタをちょっと蒸し返すのだ。つまり俺様備忘メモでしゅ。

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20100623.htm


○購入した国債の償還乗り換えに関する議論

6月議事要旨と言えば景気の下振れリスク強調モードでございましたが、この時の議論の冒頭で国債買入の落とし前の付け方に関する議論がございまして「ほほー」という感じでありました。先般のバーナンキ議会証言でもその辺りは言及されていましたけれども。

『As background for the Committee's continuing consideration of its portfolio management policies, the Manager gave a presentation on alternative strategies for reinvesting the proceeds from maturing Treasury securities.』

ということで、事務方から長期国債買入の再投資に関するいくつかの案が示されたってえことですわな。

『Under current practice, the Desk reinvests the proceeds of maturing Treasury coupon securities in new Treasury securities that are issued on the date the older securities mature, allocating the investments across the new securities in proportion to the issuance amounts.』

いわゆる償還乗り換えの際に、現在は購入した長期国債と同じ期間の長期国債の償還乗り換えによる引受を行っていると言う風に読めますな。

『The Manager presented two alternatives to the status quo. First, the Committee could consider halting all reinvestment of the proceeds of maturing securities. Such a strategy would shrink the size of the Federal Reserve's balance sheet and reduce the quantity of reserve balances in the banking system gradually over time.』

償還乗り換えを止めるというやり方が第1案で、これを行うとFEDのバランスシートの縮小が可能になります、という事なのですが・・・・・

『Second, the Committee could reinvest the proceeds of maturing securities only in new issues of Treasury securities with relatively short maturities--bills only, or bills as well as coupon issues with terms of three years or less. This strategy would maintain the size of the Federal Reserve's balance sheet but would reduce somewhat the average maturity of the portfolio and increase its liquidity.』

第2案が償還乗り換えの際に短期国債あるいは3年以内の中期国債への引き受けを行うという方法で、こちらはFEDのバランスシートの縮小には時間が掛かりますが、とりあえずFEDのバランスシートに抱えた国債のデュレーションを短くする効果があります。ということで、バランスシートの流動性も高める効果があるという指摘をしています。

『One participant favored halting all reinvestment, and many saw benefits to eventually adopting an approach of reinvesting in bills and shorter-term coupon issues to shift the maturity composition of the portfolio toward the structure that had prevailed prior to the financial crisis.』

ということで、1名の委員が償還乗り換えの停止を支持、多くの委員は償還乗り換えでの短い期間の国債への再乗り換え方式を支持、ということになっているようです。

『However, the Committee made no change to its reinvestment policy at this meeting.』

まあ結局決定はしないのですけれども、本件は引き続きの検討課題という事のようでござんすな。


○割と軽く議論しているような気もするけれども結構重い気がする

・・・・でですな、その議論は議論でここもとずっとやっている話で、これが実際問題としてどの位の時間で具体化しようとしているのかというのがよー判らんので何とも言い難い所はあるのですけれども、保有する長期国債の削減に関してこうやってああでもないこうでもないという話をしている中で、FRBの追加緩和に対する思惑が高まる、というのも何か微妙な気がするんですよね。

いやまあFRBちゃんも結構理屈を平気で超越してくる癖があるので、こういう話をしているから追加緩和オプションの中に国債買入やバランスシート拡大は無い、という事は全く無いのですけれども、長期国債買入残高に関してどうやって減らそうという話を継続的に行っている、というのはもうちょっと注目されるべきなのではないかとは思うのでありますがどうなんしょ。いやまあ単純にテクニカルな話だと言ってしまえばそれまでなのですけれどもね。


それから、割と上記の議論の中では安直っぽく「償還乗り換えの停止」というような話をしているのですけれども、償還乗り換えを停止しちゃうとバランスシートから長期国債が落ちるのは(FED的には)いいのかもしれませんが、その分って単純に民間資金需給的には「財政要因での資金吸収要因」になる話。その分短期のオペを打てばチャラになるのですけれども、恐らくFEDが日銀並みにホイホイと資金供給オペレーションを実施しないとややこしい事になるのではないかという気がするんですが(^^)。あるいは、これまた日銀方式になりますが、長期国債買入そのものが常設オペレーション状態になって、日銀みたいに年柄年中長期国債買入を実施するわ、何故かその買入額がFOMCでの決定事項になるわとかなったらテラオモシロスという所ですわな。


○MBSは外せるものなら外したいのでしょうか・・・・

MBSをバランスから落とす方式に関してはここまでの論点は無さそうでして、ご参考までに引用しておきますが・・・・・

『Continuing a discussion from previous meetings, participants again addressed issues regarding asset sales. Participants continued to agree that gradual sales of MBS should be undertaken, at some point, to speed the return to a Treasury-securities-only portfolio.』

まあ実際にどのくらいの思い入れがあるのかはこれだけ見ててもさっぱり判らないのですけれども、MBSに関しても「減らせるものなら減らしたい」という事なのでしょうか。

『A few participants supported beginning such sales fairly soon; they noted that, given the evident demand in the market for safe, longer-term assets, modest sales of MBS might not put much, if any, upward pressure on long-term interest rates or be disruptive to the functioning of financial markets. However, many participants still saw asset sales as potentially tightening financial conditions to some extent.』

日本市場の中の人的に申し上げますと多分MBS売却の金融環境への影響って「to some extent」とかいうレベルじゃないと思うのですが(^^)、日本の場合は運用部ショックと言われるものが異常なまでのトラウマになっていて(あれって運用部のアナウンスで大暴落したのではありますが、大暴落の原因ってそもそも論として別にあって、単にトリガーになっただけではないかと思うのですけれどもね)、中央銀行やら政府部門が資産売却をした場合のインパクトを過大に見積もっているだけなのかもしれません(大汗)。まあよー判らん。

『Most participants continued to judge it appropriate to defer asset sales for some time; several noted the modest weakening in the economic outlook since the Committee's last meeting as an additional reason to do so.』

そらそうですな。

『A majority of participants continued to anticipate that asset sales would start after the Committee had begun to firm policy by increasing short-term interest rates; such an approach would postpone asset sales until the economic recovery was well established and maintain short-term interest rates as the Committee's key monetary policy tool.』

ということで、まあ結論はいつもどおりに「政策金利の引き上げを行った後に資産の売却を実施するのが適当ではないか」という話に落ち着くのではございますが。

『A few participants suggested selling MBS and using the proceeds to purchase Treasury securities of comparable duration, arguing that doing so would hasten the move toward a Treasury-securities-only portfolio without tightening financial conditions.』

これはオモシロイ論点で、MBSを売却して同じ残存期間の長期国債を買うというアプローチ。確かに「供給されるマネーの足」という意味ではこれでも同じって議論になりますけれども、そもそもMBSの購入って「金利の引き下げおよびクレジットスプレッドの縮小を促し、民間部門のクレジット環境の改善を図る」という話だったと思いますので、その「マネー」的な部分だけにフォーカスした論点というのは何かこう話が違うんじゃねえのかと思うのですけれども、まーこーゆーアプローチをして来ると言う事自体に「ふーん」というのを感じるのでした。

恐らくこれ実施したらスプレッドが再び激開きになってしまうので、実施そのものには無理があると思うのですけれども、これまた日本市場の中の人が持っている運用部ショックのトラウマのせいかもしれませんし、実際にはよー判らん。米国MBS市場を人柱にして実験やって貰いたいという気は若干しますけれども、実験失敗した時に日本も迷惑を受けると言うのが正直困る所ではありまする。

『Participants agreed that it would be important to maintain flexibility regarding the appropriate timing and pace of asset sales, given the uncertainties associated with the unprecedented size and composition of the Federal Reserve's balance sheet and its effects on financial conditions. Overall, participants emphasized that any decision to engage in asset sales would need to be communicated well in advance of the initiation of such transactions, and that sales should be conducted at a gradual pace and potentially be adjusted in response to developments in economic and financial conditions.』

まあそういうことで、最後はいつものように「そうは言いましても現状の経済環境でそうホイホイとバランスシート縮小する訳にも行きませんわな」という穏当な結論に落ち着くのではありますが、その間の議論をみておりますと、FRBは資産買入プログラムに関しての総括が大変ですなあと思うのでした。

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2010/07/27

・ストレステスト雑感

ほほう欧州市場も株高とな。

何か欧州市場での取引序盤では何となく株高で何となく債券がちょっと売られ程度のようでしたが、米国様の株高(それは米国要因)に対して反応してなお株高になったようでめでたしめでたし。

こーゆーのは昨日書けと言われそうですが(汗)、ちょっと週末はストレステストの事をどうこうやってる余裕が無かったのと、ついでに正直良く判らなくて人様のレポートでも沢山読んでやるかという安直攻撃になりましたので後付け雑感で(苦笑)。

えーっとですな、ストレステストに関してはまあどうせ予定調和の茶番劇になるというのはもうお約束みたいなもんで、米国のストレステストの時だって前提となる失業率の数字を見て(8.9%ですよ)爆笑の発作を禁じえなかった(ストレステストの結果を出した翌日の米国雇用統計で失業率がいきなり8.9%になった時には腹筋が崩壊しそうに^^)のですが、「とりあえず資本不足(でシステミックリスクになるような)先には資本突っ込むし、資金繰りの面倒も見るんじゃ」と当局がやる気満々の姿勢を出して、追加公的資本投入の姿勢を打ち出したのが好感されましたというお話ですわな、何回か書いてますけど。

ですからまあユーロ圏の場合は、このストレステスト結果を踏まえまして米国様のように「当局様の張ったセーフティーネットに文句あるかゴルア」という風になるかどうか、というのをこれから市場がウリウリと突いた場合に足並みが乱れないかというのが焦点でしょ、というごく当たり前の結論になる訳です。

でもって、まあ今回の結果を見ますと(そもそもスペインの不動産価格の下落を厳し目に見ているせいでもあると思うのですが)スペインの貯蓄金融機関をクローズアップしていまして、まあスペイン当局頑張れやという感じになっていますわな。で、そのスペイン当局は貯蓄銀行の経営問題に関して以前から問題視している(以前ちょっと紹介しましたが、スペイン中銀が出している「金融システムレポート」みたいなものでも貯蓄金融機関の問題をああだこうだと書いてありました)ので、そーゆー意味では既に着手済みの話でして、まあ流れとしては美しくも解決に向かった流れも出来てますねという所ですわな。

んな訳で目先は当局の姿勢を試すったってどう試しに行くのかもよく判らんですけれども、基本的に今回の流れを見ると、欧州当局の意識と してはスペインがマジノ線みたいなもんで、スペインさえコケなければあとは塹壕戦に持ち込めるという感じ(例えが無茶ですいません)で見てるのかなあって思います。まあマジノ線を守って安心してたらアルデンヌの森を突破されて後ろに回られたという事にならないようにお願いしたいものでありまする(益々不謹慎ですかそうですか)。

たぶん現状の「スペイン防衛」は問題にならなさそうですけれども、思わぬところでまた変な火の手が上がった場合に、当局が火消しする気が満々でもまた政治的に「何で救済をせにゃならんのよ」的な話が出てきて立ち往生という前と同じパターンになるのがリスク、というところでしょうか。


○BOEは基本的に緩和になるとは思うのですが・・・・・

7月会合の議事要旨から少々メモを。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/minutes/mpc/pdf/2010/mpc1007.pdf

まあ景気認識などに対して色々とああでもないこうでもないという話も中々興味深いのですが、今朝は時間の関係上(汗)その辺は華麗にスルーしまして足元の金融政策に関する相反する議論の部分について。

第31パラグラフから。

『The Committee considered arguments in favour of a modest easing in the stance of monetary policy. The softening in the medium-term outlook for GDP growth over recent months would put further downwards pressure on inflation, once the impact of temporary factors had waned. Pay growth had remained subdued and there was little sign of a material pickup in medium-term inflation expectations. A further modest monetary stimulus would act to offset the softening in demand prospects and make it more likely that the inflation target would be met in the medium term.』

ということですが、基本的に今回のMPCでは経済の見通しを引き下げて、一方で物価見通しを引き上げる、という内容になっていまして、その中でじゃあ金融政策の方向性はどうなるかという話ですわな。

中央銀行のお仕事として物価の安定というのがあり、更にインフレターゲットも実施している中で、経済見通しが下がる中で物価見通しが上がり、足元でもインフレターゲットを上ぶれて推移している、という事態になっている中で金融緩和するという話になった場合には中々こう理屈の付け方が難しいのですなあというのが読めるかとは思います。

つまり、「今は物価はターゲットを上振れているけれども、今後予想される景気悪化と、そもそもの生産余剰によって物価が下落するでしょう」というような話を持ち出して説明、という話になりまして中々難しいわなと。

で、更に難しいのは追加緩和を実施するのは良いとして、じゃあ量的緩和を実施できるのかという話で、マネーを増やして経済刺激というロジックで前回やっただけに、「マネーを増やしたら更にインフレが進行するではないか」という突っ込みにどう理屈を合わせるのかというのも難しいのではないかと思われる次第。どうするんでしょうなあ。

で、次のパラグラフでは利上げの論点。

『But there were also arguments in favour of a modest tightening in the stance of monetary policy. Inflation was likely to remain above target for some months and there was a risk that medium-term inflation expectations would rise. The resilience of inflation over recent months had suggested that the downward impact of spare capacity could be weaker than expected and this created uncertainty around the extent to which inflation would fall back in the future. Demand growth had bounced back internationally, although the geographical distribution remained uneven. The average growth rate of the main measures of UK nominal demand in recent quarters had been around or above historical rates.』

まあこっちはインフレの話をしているので理屈は判り易いのですが、経済見通しが悪化しているのに金融引き締めしてどうするのというそもそも論の問題がありますわな。


とまあそんな訳で、流れとしては「詫び状を書きつつ金融緩和」という事になるんでしょう(さすがに景気見通し下げているのに引き締めはないでしょ、大インフレにでもなっているのなら別ですが)と思いますけれども、今後のBOEがどういう感じでこの辺りの落とし前を付けてくるのかはマニア的には注目される所であります。

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2010/07/26

お題「バーナンキ議会証言から」

議会証言そのものはPDFファイルで8ページ分なのですが、後半にある中小企業金融対策らしき部分がやたら長いです。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20100721a.htm
http://www.federalreserve.gov/newsevents/testimony/bernanke20100721a.pdf

しかし後半は正直スルーしたので(何となく面白そうな気はするのですが)前半の部分だけで勘弁。

○実は経済見通しはあんまり変わっていないのです

冒頭の『Economic and Financial Developments』の所なのですが。

『The economic expansion that began in the middle of last year is proceeding at a moderate pace, supported by stimulative monetary and fiscal policies. Although fiscal policy and inventory restocking will likely be providing less impetus to the recovery than they have in recent quarters, rising demand from households and businesses should help sustain growth. In particular, real consumer spending appears to have expanded at about a 2-1/2 percent annual rate in the first half of this year, with purchases of durable goods increasing especially rapidly. However, the housing market remains weak, with the overhang of vacant or foreclosed houses weighing on home prices and construction.』

ということで、経済は引き続き緩やかな回復傾向を示しているってのが冒頭に来る訳ですな。んでもってここから先が個別需要項目の説明になるのですけれども、それをぜんぶ引用してたらエライコッチャですので勝手にあたくしが読んだ結果を書きますと(本人は合っている積もりですが、正確には上記URLを当たってちょ)こんな感じだと思います。

・労働市場は厳しい状態が続き、家計消費の回復はスロー
・企業の設備、ソフトウェア投資は拡大しているが更新需要主体
・建築セクターは住宅部門以外は良くない
・海外経済の拡大に伴い輸出入は拡大
・物価は引き続き低位

んでもって、先行き見通しですが(2ページになります)。

『My colleagues on the Federal Open Market Committee (FOMC) and I expect continued moderate growth, a gradual decline in the unemployment rate, and subdued inflation over the next several years. In conjunction with the June FOMC meeting, Board members and Reserve Bank presidents prepared forecasts of economic growth, unemployment, and inflation for the years 2010 through 2012 and over the longer run. The forecasts are qualitatively similar to those we released in February and May, although progress in reducing unemployment is now expected to be somewhat slower than we previously projected, and near-term inflation now looks likely to be a little lower. 』

つーことで引き続き緩やかな回復を見込み、6月FOMCでの中長期的な見通しは2月や5月の見通しと大きくは変わっていない、と言いつつも、一番重要な部分の失業と物価に関して「失業率の低下がスローで、近いタームのインフレの見通しが若干下がっている」と下げているのが実にチャーミングです。

まあ相手が議会と言う事もあるのでしょうけれども、割と「景気は引き続き回復してますし、今後も回復しますよ」というようなトーンの話をしつつも、失業と物価と言うFRBの政策目標そのものズバリに関して見通しを下げるという所を指摘して(まあ指摘するもしないも下がったのは6月FOMCで出ていますけれども^^)金融市場向けには出口政策の後退というか時間軸の延長というか、まあ緩和政策継続に向けた示唆をしているという中々器用な感じがします。

『One factor underlying the Committee’s somewhat weaker outlook is that financial conditions--though much improved since the depth of the financial crisis--have become less supportive of economic growth in recent months.』

ということで、見通し引き下げの要因の一つにギリシャ危機に端を発した金融環境の悪化を挙げています。また、金融環境という話から米国の銀行のバランスシート調整の状況に関する話もありまして、

『Like financial conditions generally, the state of the U.S. banking system has also improved significantly since the worst of the crisis. Loss rates on most types of loans seem to be peaking, and, in the aggregate, bank capital ratios have risen to new highs. However, many banks continue to have a large volume of troubled loans on their books, and bank lending standards remain tight. With credit demand weak and with banks writing down problem credits, bank loans outstanding have continued to contract. Small businesses, which depend importantly on bank credit, have been particularly hard hit.』

ということで、状況は改善しているものの、クレジット環境は特に中小企業を中心にタイトな状態が続いている、ということで、以下中小企業金融に対する取り組みのような話があって、今回の議会証言でも証言テキストの後に中小企業金融関連の話(『Addressing the Financing Needs of Small Businesses』)というのがございますが、量に圧倒されてまだ読んでいません。何か面白いような気がするとあたくしの勘は申し上げております(^^)。


○金融政策に関して

後半が『Federal Reserve Policy』になります。本文4ページ以降。

まずはFRBの行った施策に関する説明がありまして、まあ毎度の如く切り分けて説明しておりまして、

『First, in response to the periods of intense illiquidity and dysfunction in financial markets that characterized the crisis, the Federal Reserve undertook a range of measures and set up emergency programs designed to provide liquidity to financial institutions and markets in the form of fully secured, mostly short-term loans.』

まずは「金融市場の流動性欠乏と機能不全の対策」としての「担保でフルカバーされた短いタームの資金供給」という奴で、これらの施策によって金融機関が資産の投げ売りなどを行う事もなく、金融市場の機能が回復し、各種施策は納税者負担も無く施策はほぼ終了した(各国中銀とのドルスワップは復活しましたが)という話ですわな。

『A second major component of the Federal Reserve’s response to the financial crisis and recession has involved both standard and less conventional forms of monetary policy.』

「標準的および若干伝統的ではない金融政策」とは何なら?という所ですが、これは「利下げ」(これは標準的な政策)と、「時間軸政策のようなもの」を示すようですな。つまり、この部分でこのように説明をしています。

『And, as indicated in the statement released after the June meeting, the FOMC continues to anticipate that economic conditions--including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations--are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period.』

ほほう、こいつは「less conventional」なんですかそうですか(^^)。で、その次が資産買入、という切り分けになっておりまして。

『In addition to the very low federal funds rate, the FOMC has provided monetary policy stimulus through large-scale purchases of longer-term Treasury debt, federal agency debt, and agency mortgage-backed securities (MBS). A range of evidence suggests that these purchases helped improve conditions in mortgage markets and other private credit markets and put downward pressure on longer-term private borrowing rates and spreads.』

ということで、資産買入の効果として「モーゲージ金利やその他のクレジット市場の環境を改善し、民間の長いタームの借入金利やスプレッドの縮小に寄与したものと見られる」という話をしていますわな。


でですな、議会証言テキストからちょっと話がずれてあたくしの愚見になるのですけど、こーゆーロジックで各種施策の効果を説明していますと、実は追加緩和のようなものを実施すると言う段階になった場合に、次に何を実施するのかは実はロジック的には非常に難しいと思うのですよ。

つまりですね、金利に関しては今更下げられない(だから時間軸のようなものを出した)ですし、金融市場の機能不全とかは全然起きていない(一応金融環境の悪化という話はしていますが、市場機能の話では無い)ですし、モーゲージ金利やら信用スプレッドやらは改善しているので、同じ理屈だと国債やらMBSやらの買入を実施する意味は無いですわな、という事になるのですよ。

そうなりますと、米国で追加緩和を実施という話をするのはまあするのでしょうけれども、過去の施策、特に国債の買入に関する総括が微妙にエエカゲンな中ですから、ロジック的に言えば「追加緩和で国債をまた買います」と言った場合に「何を目的にしているのか」というのを説明するのに(今のままの説明だと)かなり無理があるので、従来否定していた「量的緩和政策」っぽい話をするのか「長期金利押し下げ」という中央銀行が長期金利下げというのはまあ現在のような市場規模で出来るのかいなというか多分自分の首を絞める話になるのかという流れになりそうですわな。

つーことで、実を言えば特に国債買入に関する(MBSの買入は特定市場への介入だからまあ判り易かったですし、MBS市場が現実問題として機能不全となっていたのですからまあこれはこれで説明可能)政策の総括をしないままで追加緩和をするとなりますと、次の一手が苦しくなるかロジックが更に破綻するかという事になろうかと思いますので、見物人的にはニヤニヤしながら今後の推移を眺めたいと思うのでありました。



と余計な雑感を入れましたが議会証言テキストの続きはFEDのバランスシート問題という議会の場であまり開き直ると地雷になるので注意する案件。バランスシートが量、デュレーション共に拡大しているという説明の後、バランスシート正常化に関するアプローチの話を。

『One approach is for the Committee to adjust its reinvestment policy--that is, its policy for handling repayments of principal on the securities--to gradually normalize the portfolio over time.』

で、この話は(引用し忘れてますが)6月のFOMC議事要旨の冒頭部分でも議論になっていて中々興味深いのですが、基本的にはこんな感じ。

・MBSに関しては償還および市場金利低下に伴う借換で徐々に残高が減るでしょう・国債に関しては償還時の再乗換において、従来は「償還になったものと同じ期間の国債を引き受ける」という形だったが、これを「より短い期間の国債を引き受ける」という形にしてバランスシートの短期化を行う事を検討

この辺りに関しては先程申し上げたように、6月FOMC議事要旨の冒頭部分にありますので読んでつかーせという所でございまする。

で、売却するアプローチについての指摘もありますが、売却を行う場合は金融環境に対して影響を与えるので、事前に十分に告知して、ゆっくりとしたペースでの売却を行うべきだという話をしています。引用は割愛。


んでもって出口政策に関する説明は更に続きまして本文7ページ。

『As I noted earlier, the FOMC continues to anticipate that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period. At some point, however, the Committee will need to begin to remove monetary policy accommodation to prevent the buildup of inflationary pressures. When that time comes, the Federal Reserve will act to increase short-term interest rates by raising the interest rate it pays on reserve balances that depository institutions hold at Federal Reserve Banks. 』

ということで、一応出口政策への言及もあって、リバースレポとターム預金ファシリティに関する説明をしていますが、その前に一々「FOMCは引き続き経済の環境は異例の低金利政策を長期にわたって継続する事を正当化していると想定します」という毎度お馴染みの文言を入れているのがチャーミング、つーかまあ慎重さをアピールするという所なのでしょうか。

で、市場でやたら話題になった「異例な不透明さ」というのはこの金融政策に関する最後の最後となる部分にございましたです。ここばっかりやたらと強調されて報道されていますけれども、まあ冷静に読んでみるとそんなにベースラインの見通しを下げずという証言でもあります。ただし、先程も申し上げたように、肝心の部分である物価と失業率に関する見通しを下げているのが政策インプリケーションとしては大きい、という所ではないでしょうか。

『Of course, even as the Federal Reserve continues prudent planning for the ultimate withdrawal of extraordinary monetary policy accommodation, we also recognize that the economic outlook remains unusually uncertain.』

FRBは異例の金融緩和政策からの脱却を慎重に計画していますが、私たちは同時に、経済の見通しに関して依然として「unusually uncertain」であると認識しています、っつーことですわな。

『We will continue to carefully assess ongoing financial and economic developments, and we remain prepared to take further policy actions as needed to foster a return to full utilization of our nation’s productive potential in a context of price stability.』

私たちは今後の金融環境や経済状況を注意深く確認し、必要があれば物価安定の見地から、潜在的な生産力の十分な活用を促進するような更なる政策を実施する準備があります、という話をしているのですが、ここには「引き締め」とも「緩和」とも書かない所がまあ良く練られたテキストですなあと思うのでありました。

ま、確かにこれじゃあ追加緩和示唆とは言えませんですな、と言う所です。


あと、最後の部分は金融改革法案関連の話なのですが、まあそちらに関しては引用およびご紹介を割愛しちゃいますです(最終の8ページになります)。


#ということで月曜の為虫干し系のネタでどうもすいません

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2010/07/21

○FOMC議事要旨(これまた多分続きあり)

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20100623.htm

まあ色々と面白いのですが、とりあえず俺様メモなので既に皆様が指摘しているFOMCメンバーの景気認識および先行き見通しに関する「これは」という部分の引用をば。「Participants' Views of Current Conditions and the Economic Outlook」以下の所で、まずはそこの第2パラグラフ。

まずは現状の全体観。

『In their discussion of the economic situation and outlook, meeting participants generally saw the incoming data and information received from business contacts as consistent with a continued, moderate recovery in economic activity.』

個別展開。

『Participants noted that the labor market was improving gradually, household spending was increasing, and business spending on equipment and software had risen significantly. With private final demand having strengthened, inventory adjustments and fiscal stimulus were no longer the main factors supporting economic expansion.』

と、まあここまでは強めの話なのですが、次の物価の辺りからトーンが変わる。

物価に関して。

『In light of stable inflation expectations and incoming data indicating low rates of inflation, policymakers continued to anticipate that both overall and core inflation would remain subdued through 2012.』

ここで2012年の間コアインフレが抑制されているというのが(中期的見通しも同時に出ていましてそっちにもありますが)チャーミングでして、そうなりますと政策金利は当面据え置きになるでしょという話になりますわな。

金融環境に関して。

『However, financial markets were generally seen as recently having become less supportive of economic growth, largely reflecting international spillovers from European fiscal strains.』

さあキタキタ、ということでその影響に関して。

『In part as a result of the change in financial conditions, most participants revised down slightly their outlook for economic growth, and about one-half of the participants judged the balance of risks to growth as having moved to the downside.』

金融環境の悪化の影響もあって殆どのメンバーは経済成長の見通しを若干下げ、約半数のメンバーはリスクバランスをダウンサイドに引き下げたとな。

『Most participants continued to see the risks to inflation as balanced. A number of participants expressed the view that, over the next several years, both employment and inflation would likely be below levels they consider to be consistent with their dual mandate, but they anticipated that, with appropriate monetary policy, both would rise over time to levels consistent with the Federal Reserve's objectives. 』

ということで、向こう数年間に渡って、雇用とインフレはFRBに与えられた目標として考えられるものに沿ったレベルよりも低い状態が続くという想定をしているメンバーが多いというのがこれまたお洒落ですわな。

んでもって3パラ目からは各項目に関する話で、これまた中々オモロイのですが一々引用していると飛んでもない量になるので割愛して、このコーナーの最終パラグラフに参ります。こちらも市場の注目ネタになった部分ですので既にご存知とは思いますが俺様メモの為引用しておくだよ。


最終パラグラフはインフレに関する話です。

『Some participants judged the risks to the outlook for inflation as tilted to the downside, particularly in the near term, in light of the large amount of resource slack already prevailing in the economy, the significant downside risks to the outlook for real activity, and the possibility that inflation expectations could begin to decline in response to low actual inflation.』

複数のメンバーは特に近いタームに関してインフレ見通しに関するリスクをダウンサイドに傾けましたと。で、その要因として、経済のスラックはいつもの話ですが、それに加えて実際の経済活動に関する下振れリスクや、足元でのインフレ数値の低下による期待インフレ率の低下を指摘していますな。

『A few participants cited some risk of deflation.』

数名のメンバー(日本語にするとややこしいですが、さっきの方が頭数多いという認識で良い筈)はデフレのリスクを指摘とな。

『Other participants, however, thought that inflation was unlikely to fall appreciably further given the stability of inflation expectations in recent years and very accommodative monetary policy.』

とは言えまあ残りの人はまだそこまで見ていないようで。

『Over the medium term, participants saw both upside and downside risks to inflation. Several participants noted that a continuation of lower-than-expected inflation and high unemployment could eventually lead to a downward movement in inflation expectations that would reinforce disinflationary pressures. By contrast, a few participants noted the possibility that a potentially unsustainable fiscal position and the size of the Federal Reserve's balance sheet could boost inflation expectations and actual inflation over time.』

ということで、まあインフレ下振れリスクの指摘の他にも、いつものように財政の赤字とFEDのバランスシート欠くぢあによるインフレ期待の上振れを指摘する人もありますなという所ですが、前半のダウンサイドリスクに関する指摘が出ているのが、先日(FOMC議事要旨出た朝)ご紹介した「Committee Policy Action」部分での「必要があれば緩和の検討も」と相まって米債堅調だわ気の早いメリケンどもは早速の追加緩和政策炸裂まで期待しに行くわという話になっている、という所なのでしょうな。

実は資産買入に関する話も中々味わいがあるのですが(冒頭にあります)、時間と量の関係で明日以降に続くということでご勘弁ありたし。

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2010/07/16

○ということで間の悪さは日銀の伝統芸能ですなあという雑感

さっきも書きましたように、今回はちょうど前日に6月FOMC議事要旨が出て、FOMCの景気認識がやや下方シフトした所でしたが、そんなタイミングで日銀の景気認識が足元引き上げ、リスク認識も特に変わらず(とゆーかもしかしたら上かよという気までする位)というのが堂々と出てくるのが実にこう日銀様の伝統芸能を感じさせる素晴らしいもので、予想通りとは言え大変に心温まる物を感じるのであります。

足元上げるんだからせめてリスク認識をもうちょっと厳し目にしておけばバランス良いんじゃねえのと思うのですけれども、そういう微妙な匙加減をしないのが白川日銀の良い所と言えば良い所なのかもしれませんが、日銀を取り巻く外部環境が悪化する中でそう来るのかねというのは外野から見てると残念感が漂います。

いやね、金利正常化だの何だのを早期にやりたいという強い意志でもあるのでしたらどんどん突っ込んで行って頂いても宜しいのかとは存じますが(まあかつての量的緩和解除に向けた俊ちゃんスキームみたいなもんね)、物価見通しをみても別に早期どころか向こう2年近くは利上げもへったくれも無いという状況になっている中で、何もこのタイミングでそんなに強い見通しの印象出さんでもええんちゃうのと存じますけど、何でそうなるんじゃろうかのうと不思議ちゃんな所です。

と言う事で、またぞろ渡辺善美喜美(また間違えてしまいました、汗)先生や山本幸三先生あたりが「国際的にも景気先行きの懸念が高まっている中で、日銀は危機意識が完全に欠如している」と思いっきり批判するに1万バーナンキとしておきましょう(^^)。

#まあ政策的なインプリケーションは特になかろうという感じです



○みんなの党の日銀法改正案の意味がさっぱり判らない件について

実はこんなのがあったのね。
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_82339

『ウォール・ストリート・ジャーナルは14日、みんなの党が国会提出を予定している日銀法改正案の概要を入手した。政府・日銀の政策協定や、金融機関が保有する中小企業向け債権を日銀が買い取る措置などを規定している。』

ということで案が出ているのですが、これがまたさっぱり意味判らんですわな。いやまあ意図も意味も判るのですけれども、日銀法をわざわざ改正する意味が判らないし、従来から「ばらまき批判」「小さな政府」って言ってる話との整合性もさっぱり判らんという意味なんですけどにゃ。

『1 経済政策の目標に係る協定の締結

(1)政府及び日本銀行は、協力して達成すべき経済政策の目標に係る協定(以下「政策協定」という。)を締結するものとする。 』

まあこれは「物価目標」とか言うとインフレ嫌いの一般ピープルに受けないから飲みやすくする為のオブラートみたいなもんだと理解できますが、何でストレートに物価安定目標の設定とか書かないのかなあと思いますが、まあこっちは置いといて。

『2 中小企業者に対する事業資金の貸付けに係る債権の買取りに係る臨時措置

(1) 政府は、中小企業者に対する金融の円滑化を図る必要があると認めるときは、日本銀行に対して、金融機関の有する中小企業者に対する事業資金の貸付けに係る債権の買取りを要請することができる。

(2) 日本銀行は、(1)の債権の買取りの要請があったときは、(3)により当該要請を拒否する場合を除き、当該要請に係る債権の買取りを行うものとする。

(3) 日本銀行は、(1)の債権の買取りの要請を拒否するときは、その旨及びその理由を政府に通知しなければならない。

(4) (1)及び(2)の債権の買取りの要請及びこれに基づく当該債権の買取りは、この法律(日本銀行法の一部を改正する法律)の施行の日から起算して二年を経過する日までの間、行うことができる。

(5) 政府は、(2)の債権の買取りにより日本銀行に損失が生じたときは、当該損失の額として政令で定めるところにより計算した金額の範囲内において、当該損失の補てんを行うものとする。 』

・・・・・・はてさてさっぱり訳が判らんですが。

ってまあ以前に渡辺善美喜美(また間違えてしまいました、汗)センセイが「日銀は民間金融機関の中小企業貸出債権を20兆円買い取れ」という話をしていたので予想はしていたのですが、マジでこういう話になるとは思いませんでした。

えーっとですな、まずそもそも論として実務上の問題があるのですが、日銀に中小企業貸出債権を買い取らせるとして、その管理はどうやるのでしょうか。通常の回収は金融機関経由でやらせるのかもしれませんが、業務が死ぬほど煩雑な事になるでしょうし、延滞した場合の管理回収は誰がどうやって実施するのでしょうか。日銀にそんなノウハウも人的資源も無いと思いますが。

#もしやらされる破目になったら信用機構局あたりで人が足りないでしょうから不肖もと金貸しの手先のあたくしでも雇用していただければ(笑)

そもそも中小企業金融でしたらば、昔の名前で言えば中小企業金融公庫とか国民生活金融公庫とかがある訳で、現在でも日本政策金融公庫として業務を行っている訳ですから、予算措置を行って政策金融公庫に債権買取枠を設けさせて、中小企業貸出債権の買取を実施させれば、現行法の範囲内で普通に運用できる話で、そんなもんの為にわざわざ日銀法を改正する意味が全く感じられません。

#もうちょっと細かい話をすると、中小企業向け貸出債権は一般的には証書貸付形式だと思われますので、買取に応じると言いましても現行法のもとでは債務者への承諾が必要じゃないかと思われまして、仮にそうなら実務上超面倒な事という問題もあるんですけどね


まあ何ですな、みんなの党のブレーンと言われる高橋洋一さんが日本政策投資銀行のCP買取の時に「財務省の権益拡大の陰謀」とか意味不明の理由で批判していたので、どうしても政府系金融機関を使いたくないというのがまず前提としてあるんでしょうなあというのは何となく想像がつくのですけれども、別に機能として使えるものがあるのに使わないというのは全くもって意味が判らんですし、日銀に政策金融やらせてどうすんのという所であります。

あとですな、これって要するに「政府が日銀を代理店にして中小企業向け政策金融を実施します」と言ってるのと同じなのですけれども(損が出たら最終的に政府が被るのだがら)、それってかつての悪名高い「信用保証協会特別保証枠」とかとどこがどう(実質的に)違うのかと小一時間問い詰めたい訳でして、以前渡辺善美喜美(また間違えてしまいました、汗)さんが言ってた「20兆円」とかって(そらまあ全部焦げ付く訳は無いから最終的に必要な金は判らないですけれども)額を実施するとなるとこれはもう素晴らしいバラマキであって、大きな政府にも程があるという話だと思うのですけれども、選挙で「ばらまき反対」「小さな政府」と言っていた話との整合性がさっぱり判らないという大変に素晴らしい案でございますなあ。

と思っているだけでございますけれども、どうもあたくしの頭が悪いせいかただの政策金融大炸裂以外の何物にも見えず、ただのバラマキとの区別が良く判らんのでありますが、頭のよろしい方にこの辺りの説明を是非お願いいたしたく存じます次第です。

まあそんなところで。

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2010/07/15

お題「決定会合プレビュー/FOMC議事要旨をほんのちょっとだけ」

と言う訳で昨日今日は決定会合でして、まあ別に今回何か決定があるかと言えば何もないのですけれども、今後の展開についてつらつらと考えている事をまずは並べてみます。

○各種経済データからは上方修正になるんでしょうけれども

今回は展望レポートの中間レビューがありまして、景気に関しては4月の展望レポートで示した見通し通りに進んでおり、恐らくは足元でやや上振れして推移しているという話になるんでしょう。

あとは見通しをどうするかですけれども、まあこれも上方修正になるのでしょうなあとは思う次第で、足元のデータからしてそれはそれで当然の結論になるのですが、はてさて海外経済の減速懸念とかもある中でリスク認識の方をどうするのかが気になる所です。

・・・・ま、あたくしが勝手に予想すると別にリスク認識にも変化がなくて、新興国経済の上振れリスクとか普通に出してきて「リスクはバランス」という話になるのでしょうけれども、丁度また良い(というか悪い)タイミングで後でちょっとだけ触れる予定のFOMC議事要旨が出ておりまして、これがまた「米国経済の下振れリスクが高まる」だの「下振れリスク顕在化では再度の緩和を行うべき」というのが示されるという中々楽しい状態なのでして、そんな中で日本が普通に上方修正ですかそうですかというのが何とも微妙なテイストを醸し出すと言いますか。

いやね、日本経済が堂々の自律回復で他の主要国と違ってバランスシート調整の必要が少ないのでその分だけ回復力が強いと言う説明になるのかもしれませんが、後者はともかくとして、日本経済って結局の所外需様次第で最近だとアジア様の経済拡大が無事に進むか次第というのが特に変わっていないと思われる訳でして、そこで堂々の上方修正しながらリスクプロファイルも変化無いというのもそうなのかいなという話になりそうな気がするんだが。


○政治圧力はまあかかるでしょうなあという雑談

日銀法改正をすると何で失業者が100万人減るのかどうもさっぱり判らんのですが(日銀に財政政策でもさせるんでしょうかねえ)、まあ中央銀行様がそんなお力があるんでしたっけ(金は刷れても需要は作れないのでは、いやまあ財政政策をやるのなら別ですが)と当方無学にして中々理解致しかねるのでございますけれども、まあ日銀法改正が何だかしらんがみんなの党様の連立参加の要件らしいので、本質的に何でもありの菅首相がそれに乗って政権維持を図るという筋は有り得ない話では無い所がオモシロス。

でまあそっちの法案についてはどうせこれから出てくる話でしょうが、CPIターゲットをするのは良いんですけど、それこそ昨日引用したBOEのマーケット担当のエグゼクティブディレクターでありますフィッシャーさんの講演にありますように、足元の一時的な要因でぶれる分に対してどういう扱いにするのやらとか(一時的要因でぶれるのに対して一々総裁を首にできないでしょ)、CPI1点張りで金融面から来る資産価格などのCPIとはまた別の部分での変動をどうすんのとか、ではまあその辺りも総合的に勘案しつつ、足元の一時的な要因でぶれる分はまあ良しということでという話になった場合に今の「中長期的な物価安定の理解」とどう違うのかという話とかをどう論点整理するのやら。

なんかね、結局のところ単純に「現在日銀が出している中長期的な物価安定の理解における数値が低いんじゃないですか」というだけの話をするのに、何も日銀法改正を持ち出さなくても良いと思うのでして、いやまあ今回日銀法改正の話がマジに出てきても実際にはその程度の変化にしかならないという事であっても、こういうのって所謂「蟻の一穴」的なものを感じるのですけどねえ。

と言う話は兎も角として。

まあどう見てもそんな感じで微妙にアレな政治状況になっている今日この頃に見えてまいりますが、ここで俊ちゃんだったら果敢にインチキ緩和攻撃をしてきてもおかしくないのですけれども、そこは白川総裁ですので、別にまあ何もしないでしょうなあ(で、益々政治方面から叩かれやすくなる)というのは見え見えなのですが、さて追加緩和って話になった時にどういうネタがあるのかというのを考えてみると・・・・

・時間軸の強化あるいは明確化

えーっとですな、正直言って債券市場では2年国債利回りが0.14%という事で堂々の時間軸2年確約という感じで価格が推移しているので、今更何の時間軸なんだかという話なのですけれども、またしょうがないからCPIターゲットみたいなのを出す(ただし前回の「安定的にゼロ以上」だと政治方面がブー垂れると思うのでそれでは多分足りない)ことによって目くらまし。

・・・・時間軸が2年確約から例えば3年確約になってじゃあ何がどう違ってくるのかさっぱり判らんが、何か単に中短期の金利が下がって貸出金利も下げざるを得なくなって銀行涙目になるだけのような気がせんでもない(--)。


・当座預金付利を残しながらヤケクソで量的緩和

いやまあ既に超過準備があって量的緩和と言えなくも無いのですが、当座預金付利を残して当座預金ターゲットをするという訳の判らん事をやると、コールの金利が下がって短国の金利は0.10%までしか下がらない(短国買入をバンバンやって吸い上げられるとまた話が変わるのかもしれませんが)とか中々意味の判らん事になるのでしょうか。


・しょうがないので0.05%利下げ

最早その0.05%に何の意味があるのか判らんですが、ゼロ金利政策になると短期市場が無くなってしまいまして、それはそれで中々寒いものがありますので、とりあえずゼロは回避ということで(^^)。

ここで当座預金付利を残しつつ「コールレートを0-0.1%」という手もあるのでしょうけれども、そうなると益々ワケワカラン感じになるでしょうなあ。単にさっき書いた「当座預金付利を残しながら量的緩和」というのとあまり変わらないのですけれども、変に当座預金ターゲットを作るよりはマシかもしれません。


・堂々の国債買入拡大

国債の購入余地的にどうよという話もありますが、例えば国債買入拡大をするのを最初から時限的(例えば1年間とか)にして、その間のテンポラリーな買入総額をどどーんと出すという目くらましはどうっすかね。

別に米国様だって英国様だって国債の買入をやりましたが、買入は時限的にやってこっそりとフェードアウトしている訳でして、まあ理屈をつけるのが死ぬほど難しいですけれども、それを言い出したら新型オペだって似たようなもんですから(^^)、何か適当な理屈をでっちあげて「期間限定で追加的国債買入を実施」なんてえのはできませんかねえ。


・・・・などと色々と考えたのですが、正直言って思いつかんですなあというところでございます。(じゃあ書くなよというツッコミはしないでちょ)



○FOMC議事要旨からほんのちょっとだけ

http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20100623.htm

とりあえずポイントを見たければ最後の「Committee Policy Action」を読むのが吉。

『In their discussion of monetary policy for the period ahead, members agreed that it would be appropriate to maintain the target range of 0 to 1/4 percent for the federal funds rate.』

まあこれはいつもの話。

『The economic outlook had softened somewhat and a number of members saw the risks to the outlook as having shifted to the downside.』

経済見通しがやや弱まって、多くのメンバーがリスクが下方にシフトしたと。

『Nonetheless, all saw the economic expansion as likely to be strong enough to continue raising resource utilization, albeit more slowly than they had previously anticipated.』

経済は資源の活用を引き上げ続ける程に強い拡大をしているものの、従来の見通しよりも減速しているとな。

『In addition, they saw inflation as likely to stabilize near recent low readings in coming quarters and then gradually rise toward more desirable levels. 』

インフレも安定しており、先行きも望ましい水準内での緩やかな上昇に留まるとな。

『In sum, the changes to the outlook were viewed as relatively modest and as not warranting policy accommodation beyond that already in place. However, members noted that in addition to continuing to develop and test instruments to exit from the period of unusually accommodative monetary policy, the Committee would need to consider whether further policy stimulus might become appropriate if the outlook were to worsen appreciably.』

だんだんヘタクソな訳文もどきを書くのが恥ずかしくなってきたので(−−)急に端折り出しますが(^^;要するに経済見通しが回復基調ではあっても引き下げになったという話と、一部の委員からは悪化が顕在化した場合には追加緩和措置が必要になるでしょうという話ですな。

でですね、別に「経済の悪化が顕在化したら追加緩和が必要になる」というのは普通に当たり前の話ではあるのですが、その部分がこういう風に載るというのに意味があるっつーことでして、別に書いていないからそういう論点が無かったという話では無いので(最終的にはずっと後に出てくる議事録公開を待たないといけませんからね)その辺はつい勘違いしちゃいますが注意しないといけませんわな。

『Given the slightly softer cast of recent data and the shift to less accommodative financial conditions, members agreed that some changes to the statement's characterization of the economic and financial situation were necessary.』

とうことで、景気認識が下方にシフトしたので、金融環境の緩和的な状況もそれに伴い若干弱くなったということで、経済や金融環境の文言を変更しましょうという話ですかそうですか。

『Nearly all members judged that it was appropriate to reiterate the expectation that economic conditions--including low levels of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations--were likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period.』

『One member, however, believed that continuing to communicate an expectation in the Committee's statement that the federal funds rate would remain at an exceptionally low level for an extended period would create conditions that could lead to macroeconomic and financial imbalances. 』

というのは声明文の所でありましたわな。

つーことで、景気見通しに関しては「景気回復は継続しているものの、その速度がやや落ちて、リスクバランスとして下方リスクが高まっている」という話になっていて、その辺りがまあここの文章だけ見ると結構アピールされている感じではございます。

とは言っても、そもそも政策効果が切れる夏に向けて景気が踊り場ってえのは織り込み済みの話じゃ無かったのかなあという気もせんでもないですけど、まあとりあえず寝起きで斜め読みした(といってもここだけしか斜め読みしてませんが)結果はそんな感じで。

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2010/07/14

お題「ちょっと前のペーパーからのネタですが(しかもBOE)」

こんなのがあったので読んでみました。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/speeches/2010/speech438.pdf
"Why is CPI Inflation so high?" Remarks by PAUL FISHER

ということで、以下日本に関係ないわ足元の金融政策にそんなにインプリケーションは無いわ(英国の金融政策へのインプリケーしょんはありますが)という代物でありますので、まあお暇な方向けの駄文でございます、っていつもそうですかすいませんすいません。


ちなみに10ページ(しかも1ページ目は表紙)だしグラフは13個もあるので「これは丁度良い」と思って読んだのですが、実際にこのスピーチが出てから書きものになるのに1か月掛かっているというのはここだけの話。

あとですな、説明文の中にグラフがありまして、それがポイントになっているのでまあ実を言えば本文をみた方がよろしいかとは存じます(汗)。


○英国での最近のインフレ傾向を過去と比較

『Annual CPI Inflation reached 3.7% in April (Chart 1). Given the Monetary Policy Committee’s remit to target CPI inflation of 2%, you might well want to ask “how has inflation got so high and what is the MPC going to do about it?” I intend to tackle those questions head on this morning and, in the process, illustrate some of the challenges the Committee faces in setting monetary policy.』

ということで、足元の英国でのインフレ傾向に関する件がお題で、まずは現状の説明をしているんですけれども、「最近のインフレはボラタイルに上下しているが、より長い目(説明では1956年以降のチャートを出しています)ではインフレはまだそんなにボラタイルではないですよという話をしております。

ただし、2009年中盤のインフレ上昇に関しては「リセッションの中でインフレの上昇が起きている」というのがサプライズで、しかもその間に生産が大きく落ち込んでおり(というのは図表で説明されてます、3ページ目)、従来の考えでは物価がマイナスになってもおかしくない筈なのですが、そのようにならなかったのはどうなんでしょうという話が講演前半のネタになっています。

『One might have expected a recession of this depth to exert considerable downwards pressure on inflation - such that the current CPI inflation rate could easily have been negative. The recovery in inflation seems to reflect two factors. First, given the scale of the fall in demand, the downwards pressure from the recession doesn’t appear to have been as strong as it might have been. Second, there have been a number of temporary factors pushing upwards.』


○リセッションにおける企業行動、家計状況に関して

まずフィッシャーさんが指摘しているのは、過去のリセッションと今回のリセッションにおける企業行動や失業率の推移などでござんす。

過去のリセッションと比較した場合、今回は企業倒産の増加があまり著しくなく、かつリセッションの途中で倒産件数が減少傾向になっているそうです。それから失業率に関しては、失業率の上昇傾向はあるものの、その数値自体は過去のリセッション時の10%近い数値までは届かず、しかも従来だとリセッション終了後にも失業率の上昇傾向が続くという動きでしたが、今回は失業率の上昇が既に頭打ちになっているというのが違うようです。

でもって、その理由に企業行動が挙げられるらしいのですが、関連のサプライヤーをもつ大手企業(下請けを持つってことだと思うのだが)がその企業を維持しようとしたり、企業が人を減らすよりも賃金の削減で対応したという行動を指摘していますな。本文4ページのあたり。

『It has been clear that there has been an unusual response from companies and their employees. Many firms have sought to retain staff wherever possible, rather than shed them as in previous downturns - hours have been shortened and wages frozen or even cut where possible, rather than making people redundant. Large firms with smaller suppliers have tried to work with suppliers to keep their supply chains intact, which has helped smaller firms to survive. Many employees - at least in the private sector - have been willing to forgo income in order to retain their jobs.』

というような状況があり、生産の急激な落ち込みが企業倒産の急激な増加や、大規模な失業の発生に繋がらず、また需給ギャップのマイナスが生産の落ち込みほど拡大しなかったと見られる事がインフレの押し下げに繋がらなかった原因だというお話になるようですな。本文5ページより。

『Overall, the fall in output does not appear to have done as much damage to employment and firm survival as one might have expected. At the same time, the implication of business surveys is that the degree of spare capacity in firms is rather less than implied by the fall in output. So estimates of the gap between overall demand and the economy’s capacity to produce goods and services - an indicator of inflationary pressure known as the ‘output gap’- are extremely uncertain at the current juncture. The ‘output gap’ appears to be much smaller than the fall in demand alone would have suggested, but there is little evidence of widespread destruction of supply capacity.』


○企業の価格設定行動に関して

これは最近のMPC議事要旨でも指摘されている話なのですが、このポイントはいつ見ても興味深い。上記引用部分の続きから。

『Whatever the balance between demand and supply, it seems that many firms have maintained prices, not cut them, in the face of weak demand. That may have been a rational response. In order to survive they needed to maximise their present cash flow and they would only have cut prices if the demand response was likely to outweigh the lost revenue.』

企業がキャッシュフロー維持の為に価格を維持するという話なのですが、日本のケースで考えると何でそうなるの???という疑問という事になってしまいますわな。その点に関しての考察は当然ない(日本の事は別に関係ないっすからね)のですけれども、英国の場合はそもそもベースのインフレが高いとか、日本の場合はここ10年以上のゼロインフレあるいはデフレ状況によって、価格維持という行動が困難になっているのか・・・・とか悩む訳ですな、うーむ。

または銀行に対して不良債権の先送り延命をさせたり、公的金融で不良債権を先送り延命をさせたりすると、企業の価格設定行動におけるキャッシュフロー維持へのインセンティブを失わせて物価下落圧力になるとか、考えているうちに妙な事も想像しちゃいました(^^)。何かシバキアゲみたいな話ですな。


○低金利政策の維持と資産買入プログラムの効果

ここで資産買入プログラムの話が出てますが。

『The explanations for these changes in behaviour and their inflationary consequences are likely to be many and varied. And it may be some time before we can be sure which of many hypotheses are correct. But one factor we know is that interest rates have been at an all-time historic low during this recession (Chart 7). And Bank Rate started to fall well before the trough in output. The effect of this on, for example, firms’ cash flow, has been very significant and was reinforced by the effects of the asset purchase programme reducing corporate borrowing costs.』

ということで、企業の借入コストをBOEの資産買入プログラムによって引き下げる事が出来ましたという話をしている訳ですが、量的緩和政策を実施した時には「信用緩和ではありません」というような説明をしていたのですけれども、すっかりBOEも量的緩和政策の効果を「量」のルートではなく「金利」のルートでの説明になっているのがチャーミング。

つまりまあ量を出して効くのかどうかという話に関しては、そらまあ出さないと効かないのは効かないでしょうけれども、結局の所はその「量」が定量的に効果を出してどうのこうのというのではなく、基本的に「金利」ルートでの話になるんじゃないですかね、という事なのではないでしょうか。


○落ち込みの際にデフレ圧力が高まらないと言う事は・・・・・

これもMPC議事要旨での論議にありますけれども。

『It seems a reasonable starting assumption that behaviour during the recession should be broadly symmetric during the recovery. When demand growth strengthens, output could be flexibly ratcheted up, reversing the processes seen during the downturn.』

落ち込み時の流れと回復時の流れが対象的だとすると、落ち込み時にそれほどの落ち込みを示さなかった場合には回復時も徐々に回復するのではないかという話ですな。

『If so, then it is unlikely that substantial inflationary pressure would be generated as the result of a recovery in demand: there will be plenty of capacity within firms and a ready supply of labour, both of which should help to keep costs subdued. But this is clearly a major uncertainty and hence a risk in our projections of future inflation. Not only has the UK economy behaved differently from its previous experience, it has also behaved differently from other countries. In the United States for example, the fall in employment relative to output has been larger than in the United Kingdom (Chart 8).』

で、そこのチャートを見ると、英国と米国のリセッションにおける動きからすると、回復に向けた生産や雇用の動きは米国が英国に対してちょっと先行しているという感じのようです。


○足元の一時的なインフレ要因と中長期的なインフレ見通しに関して

『Weak downwards pressure on inflation from the recession can only go so far in helping understand recent movements in inflation. It cannot explain why inflation has been rising recently. For that we need to look at a series of shocks to relative prices that have put temporary upwards pressure on CPI inflation. These shocks include the change in the VAT rate; changes in oil (and hence petrol) prices and changes in the prices of imports relative to domestic goods and services.』

まあこれは毎度話が出ているのでこの先の説明は一々引用しませんが、足元の一時的要因として挙げられるのはVAT(付加価値税)の変更(景気対策による一時的な引き下げ)要因と原油およびガソリン価格の上昇という話ですな。

で、その説明から話は発展して、中期的なインフレ見通しと足元のインフレ見通しの話になります。つまり、足元の一時的な要因でのインフレ率の上下に対して一々金融政策対応をすると却って経済をボラタイルにしてしまうというまあ当然の指摘をしていまして、重要なのは「一時的な要因がどの程度で剥落するのか」という点と、「足元のインフレ上昇が人々の中長期的なインフレ期待を引き上げているか」という点で、そのあたりをチェックするのが重要という話をしてますが引用割愛。


○利上げに関しては否定的ですな

ただまあMPC議事要旨にもありましたように、利上げを主張するMPCメンバーもいるというのは事実としてありますが、フィッシャーさんは思いっきり早期引き締めを否定しています。本文9ページ。

『The recent high rate of CPI inflation can be largely attributed to a number of temporary factors, combined with weak downwards pressure on inflation from the subdued level of demand. Nevertheless, given the expected degree of spare capacity in the economy over the next few years, and that the temporary factors should wear off, the most likely outcome is that inflation falls back to below target over the next couple of years as shown in the May Inflation Report (Chart 12). On that basis it was sensible not to try and offset the recent rise in inflation by tightening policy.』

ということで、5月のインフレーションレポートで示しているBOEの見通しに即して言えば、足元でのインフレ上昇に対して金融引き締めで対処することには慎重であるべき、という話をしていますわな。


○リスクをどうやってチェックするのかと

で、その続きで本文10ページ。

『But let me be clear about the risks. Our central expectations could be wrong. Certainly the inflation data have tended to consistently surprise on the upside, month-by-month. What if spare capacity continues to exert much less restraint on inflation than anticipated? Or perhaps current data estimates have significantly underestimated demand and output growth? Or the exchange rate effect is bigger than incorporated in the projections? We could also be wrong in the other direction: downside pressures on UK output growth (Chart 13) could yet lead to an even bigger fall in inflation than the central case. And, of course, there could be further shocks in either direction.』

ということで、我々の物価見通しは上にも下にも間違える可能性がありますという話をしているのは当然なのかもしれませんが良いですな。

『So it is important to use whatever cross-checks on our projections that we can. One way to do that is to look for any nominal indicators that might signal risks of persistently above target inflation in the medium term, such as money or wage growth.』

ということで、物価の動きに関しては、名目のマネーの動向と、賃金の動向をモニターするのが一つの有力なチェック方法という指摘を。

『Underlying money growth is currently just over 1% on an annual basis. And underlying wage growth is around 2%. There are some tentative signs that money and wage growth are rising, but neither of these figures are even close to being consistent with above-target inflation in the medium term.』

マネーの伸びが年率1%程度で、賃金の伸びが年率2%程度という状態で、まあのびているにはのびていますけれども、その程度であれば中期的にインフレがターゲット(2%)を上回る要因にはならないでしょうという事のようですな。

『Taking these indicators together with the degree of slack in the economy ? and given some of the factors likely to restrain growth in the UK and in Europe ? the economics of the situation does suggest that inflation should fall back from its current high point. But there are risks on both sides.』

英国やヨーロッパで経済のスラックが生じている事もインフレが高止まり
しない事を示しているという事のようですな。


○でまたまた早期引き締めの警戒を

『On the one hand we need to be sensitive to the risk of tightening policy
prematurely, stifling the nascent recovery.』

早期引き締めは現在の初期の回復を窒息させると仰せです。

『In that case, some of the flexible response to the recession could be swept away, delivering higher unemployment, more company failures and the risk of inflation significantly undershooting the target. The risk of deflation - which prompted the start of the MPC’s asset purchases in 2009 - may have faded, but it hasn’t gone away and would require greater efforts to deal with, if it materialised now.』

ということで、早期引き締めで碌な事が起きません上に、デフレのリスクも復活しちゃいますよということですな。


○インフレ高進時の対策が何かオソロシスなのですが

で、最後の最後に微妙にオソロシスな話をしているのが何だかなあという感じです。

『On the other hand, should it appear likely that inflationary pressure is sustained at a higher level into the medium term, then it is clear what our mandate would require us to do. The MPC has the tools at its disposal to tighten monetary conditions, both in the form of raising Bank Rate and by selling the assets that we bought in 2009 as part of the quantitative easing programme.』

インフレ圧力が高いレベルで中期的に継続した場合には引き締めを行う必要があるのですが、さてその場合に「BOEにはツールがある」という話をしてますけど、その中で何気に「利上げ」のほかに「資産買入プログラムで購入した証券の売却を行う」というのがしれっと入っているのがちとオソロシスな感じはします。

まあ英国の場合は、この一時的要因がそのままインフレ期待の上昇に繋がって景気回復初期なのに物価の方がジャンジャン上昇しちゃった場合にさてどうしましょというのが最大のリスクなので、今後の動向はまあ興味本位というと不謹慎にも程がありますが、注目しておこうかなと思います。


#ということでごく一部の人にしか興味の無さそうな話だわ引用で延々と増量になるわでどうもすいませんでしたm(__)m

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2010/07/12

○床屋政談コーナー

・比例代表でだいぶ負けているのに比較第一党改選第一党とな

まあ自民党改選分比較第一党であたくし的にはメシウマなのですけれども、比例代表で随分と民主党に水を開けられてるし(16対12とは何事ぞ)、東京ではレンホーさん絶賛大量得票(170万って凄いんですけれども)で2議席。愛知でも2議席獲得とかしているのに民主党は絶賛負け負けというのも実に不思議な結果ではございます。小選挙区制度ってやっぱり制度的に問題があるんじゃねえのという気はします。

#まあ民主が複数区で2名出したり、レンホーさん効果とかでの比例上積みがあるのかなあとも思いますけどね。


・消費税論議が否定されたような報道が多いのだが

そうは言っても最初から「消費税10%」の話をしていた自民党が比較第一党改選第一党になっているのに、すっかり「消費税のせい」で民主党が負けた事になっているのが意味判らん。単に「急に話をした後にブレブレになる」という細川内閣の国民福祉税騒動と同じやらかしをしたからの負けであって、消費税10%ネタが否定された訳でも無いと思うのですけれどもねえ。いやまあ必ずしも増税万歳論者な訳じゃないけれども(タイミングは今では無いと思うという意味で)、直間比率とかもうちょっと何とかならんのかなあとは思うのでありまして。


・予想された事だがみんなの党が躍進ねえ

まあ予想された通りではありますけれども、相変わらず埋蔵金が何十兆とか、公務員改革については乱暴にも程がある話だわ、消費税に関しては地方の独自財源にして地方行政サービスの質によって税率決めるとか、要するに自分たちでは消費税増税とは言わないけれども結局増税でしょ(それに地方で勝手に決めるったって大消費地を控える都市部と人口が比較的希薄な地方での差とかどうすんのよ)とか、まあ何と言いますか「言ってる事は口当たり良いけれども、現実の施策に落とした場合に無理があるんじゃないですか(どころか飛んでも無いカオスになるだけじゃねえの)」という政党だと思うのですわな、この政党。

で、そーゆー政党が躍進するのって、小泉首相後から政権取るまでの民主党に引き続きの現象で、「まだやってないからうまく行くかもしれない」っていう気持ちはよーく判るのですけれども、無茶な公約しまくった揚句に鳩ぽっぽの絶賛大迷走でいい加減学習効果っつーもんが出ないのかと東京神奈川千葉の結果を見て思うのであります。

#沖縄はまともに大迷走の被害者だったので今回の結果に出ているとも言えるのですけどね、全く持って残念な話ではありますが

実際はそんな事は言って無いらしいのですが、チャーチルの言葉として時々ネタにされる「二十歳までに共産主義にかぶれない者は情熱が足りないが(以下自粛)」ってえのがありますが、何かもう「新しければ何か期待できる」っていう風潮は何とかならんもんかいなとは存じますがね。まあ結果は結果ですからそれはそれなんですけどね。


・その他雑談

個別の候補者についてああでもないこうでも無いという話をするのも何ですけれども、まずは「野党自民党から脱出した連中」が涙目状態(与謝野さんの所は涙目なのか涙目じゃないのか良く判らんが)になっているのはざまあとしか言いようが無い次第でして、どこぞの口だけハゲが乗り込んだ政党とか、どうも比例で落選しそうな奇抜なファッションの自称金融経済のエキスパートとか実にこうメシウマとしか申し上げようがございません。

#みんなの党については上でボロクソに書いておりますが、与党状態からいきなり離党した渡辺善美喜美代表の行動はその点では大したもんです。強力地盤あってこその行動とは言え・・・・

あと、国民新党議席ゼロもあたくし的にはメシウマですが、某日に都内某所で亀井代表が最後のお願いとやらをやっている時に通りがかった割と若いにーちゃんたちが「ゆうパックの件について話がねえなあ(笑)」などと言いながら歩いていたのはウケましたですよ(^^)。

そうそうそれから大門実紀史先生3回目の当選おめでとうございます。国会での充実した論戦を今後ともお願いいたしたく存じます。



○では市場的にどうなのかという雑談ですが

まあ可能性は直前では消えていましたけれども、民主党が単独過半数になって強力政権になった場合には(国内での話は兎も角)ガイジン的には「小泉首相の郵政解散」と同じイメージになり、しかも鳩ぽっぽと違ってまあ現実的な話をする(財政再建とか日米関係を基本軸にするとか)内閣でしたから、恐らくは海外投資家的には株買いになるんじゃないのとゆー感じでしたわな。

で、民主党が思いっきりコケたという結果はとりあえず株は売りで反応する(これで「自民党勝利で株買い」だったらかなり笑えますけれども)のかなあと思いますが、じゃあ債券が買いなのかどうかは訳判らん。財政再建路線(実際にやるかどうかは兎も角としてその姿勢ね)の頓挫という発想になると株が売られても債券の長い所は買われないかもしれませんねというお話になっても不思議では無し。

ただまあ今回の選挙結果だと連立の組み替え(組み替えないで参議院少数与党のままになるかもしれませんけれども)を行った場合に、財政再建路線と相容れない国民新党を外してみたり、お縄先生が得意の分裂攻撃をして(まあこの議席がある与党をそう簡単に割らないとは思いますが)かつての社会党と自民党の連立政権みたいなパターンでまさかの半分大連立(その場合は菅さんの方が政策軸が谷垣自民党と合っていると思うのだが)とか言う話になってみるとそれはそれでまた話は別という事になりますかな。

#つまり、ここまで負けると政界再編の目が出てもおかしくないのではという考えなのですが、やっぱり現実的じゃないですかねえ・・・・


ところで、さすがに今の所そういう話は出てないようですが、日銀が悪いから経済が良くならなくて民主党が負けたとかいう面白い総括をする人が出てきたりしてまた政治的に日銀に圧力が掛かったりする可能性も否定できない訳でして(^^)、まあ政治情勢が微妙になっている所で今週の決定会合を迎えるのですけれども、そこで空気を読まずに景気に超楽観っぽい発言をしそうなのが白川総裁クオリティなので甚だ不安がございますな(苦笑)。

まあどちらにしても債券市場さん的には「財政再建路線(のようなもの)が頓挫するのかしないのか」という話と、日銀に対する追加緩和圧力(みんなの党が連立に加わるという事になると圧力は無茶苦茶高まるでしょうなあ)およびその内容(量的緩和とか国債買入とか利下げとか物価目標導入とかパターンによって話が変わってきそう)がどうなるかという話が軸になるんでしょうな。よー知らんが。


てな事を考えますと、あたくし的にはここでどどーんと政界再編して頂いて、もうちょっとマシな政策軸での政界組み換えが行われる事を期待したいのでありますけれども、恐らくは残念ながらグダグダ状態が次の衆議院選挙まで続いてひたすらグダグダしますので、精々世界経済が無事に回復して日本もそのおこぼれに預かれるとラッキーですなという残念感溢れる展開になり、その間に日銀には(自分たちの所でやるパワーが無いから)緩和圧力が掛かりまくるので、時間軸は更に長くならざるを得ないという所になるんじゃないですかねえ、よー知らんけどさ。


と言う訳で、本日は選挙特別編集(大嘘)によってしょうもない雑談になってしまい誠に申し訳ございませんでした。

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2010/07/07

昨日の駄文に関しましてはご感想など色々と頂きまして誠に恐縮至極でございます。

あと、昨日の駄文でユーロLIBORの話を書いたのですが、書いてる本人も何か0.4%という金利に微妙に違和感があったのですが、案の定改めてちゃんと調べてみたら3か月のユーロLIBORは0.73%水準でした。モーサテのコメンテーターさんったら1週間のLIBOR推移のグラフを出しながら3か月LTROの話をするなんてお洒落な説明するんじゃねえよおおお、と文句を言うのは逆切れですねすいませんすいません(本文は追記してあります)。

さて、本日もまずは地雷原を足元に注意しながら(^^)お散歩してみようかと思います。まあ関係者じゃないと判らないような書きっぷりがあるかも知れませんがそれはそれということでご寛恕ありたし。


○圧力に耐えて良く頑張った!

昨日は11時50分にはメシも終えて物凄い勢いで席に戻ってTIBORをチェックするあたくし(^^)。で、その3か月物金利でございますが・・・・・

日本円:0.38000%(前日0.38000%)
ユーロ円:0.37615%0.37642%(前日0.37692%)
(追記:転記ミスで最後の2ケタの数字を間違えていました。小幅低下は小幅低下ですが数字の違いは訂正します。どうもすいませんでした)

・・・・・圧力に耐えて良く頑張った!!感動した!!!!

という訳でも無いとは思いますが(^^)、日本円が下がらないでユーロ円がちょっと下がってますなあとか、リファレンス行の呈示レートを見ますと中々味わいが深い物を感じるのですが、まあ感想を書くと色々と微妙にアレでございますのでその辺りはブルース・リー(歳がバレますかそうですか)ばりに「考えるな、感じろ」と言う事で一つ宜しくお願いします(謎)。

しかしこの結果を受けて後場の寄り付きにユーロ円金先が叩かれたのが中々チャーミングではございましたが、まあ下がったと言ってもあたくしが最後に見た時点(昨日の夕方)で12月限とか3月限のレートが0.320%とか0.310%とかですから、例によって例の如くユーロ円金利先物は足元よりもレート的には低い(呼び値ベースでは高い)んですけどね。

まあ現状で貸出は伸びない(どころか減ってねえか)ですし、まあ何の要因と言われると困りますが債券市場は良い感じで金利低下モードですし、別に長期金利低下に義理を立てる必要はございませんけどTIBORちゃんが別に上昇する要素も無いですから、流れはまあ低下は低下なんでしょうけれども、7月に入って匍匐前進ながらも微妙に低下していた金利低下が外山局長発言報道一発で足踏みというのが実にチャーミングにも程がある展開でありまして、もう何と申しますか「いいもん見せて貰いましたわ」とか言うと微妙にアレですが(^^)、まあそういうことで(どういうことだ)。

という市場メモもさることながら、昨日の論点に加えてまあ更にああでもないこうでもないという話をしたのでそんな話を地雷に注意しつつ更にお散歩。


○相対取引のテイストが強い市場の実勢金利指標っていうのは難しいのよ

例えばですな、現在の国内短期金融市場で3か月物の取引で一番市場規模が大きくて流動性があるものと言えば、誰がどう見ても「3か月物短期国債(正式には国庫短期証券)」であって指標金利はその利回りだと思うのですよね。何せ現状で毎週4.8兆円の新規発行があるという素敵な巨大市場でございますし、しかも国債ですからリスクフリーレートのようなもんですからね。

では時代を遡るとどうだったのかと言いますと、かつては国内短期3か月物の金利と言えばCD3か月物金利だった時代もありますし、まあその時の市場環境とか取引慣行とかは変わる(以前は無担保取引が主流でしたが、現在は普通に担保付の取引が主流ですよね)訳でして、そーゆー意味ではISDAとかが(契約として作っているから仕方ないけれども)昔から今まで後生大事にスワップの変動金利部分をLIBORレートで設定して、市場慣行が変化して銀行間の無担保ターム取引自体が形骸化していく中でそのままで良いのかというような話になるんですよね。

長期金利だって最近は新発10年国債利回りを指標にしてますけれども、以前は国債指標銘柄の利回りだったし、もっと昔を遡れば長期金利の指標って加入者利付電電債流通利回りだった訳ですから(さすがにその時代は知らんが、加入者利付電電債なら現物を見た事ありますが何か?)、実勢金利指標とか言われましても実はそれって瞬間的に指標として使えるモノはその場その場でありますけれども、永続的に同じものが使えるのかというのは微妙なのよね。特に取引所取引じゃなくて相対の世界になりますと。


まあ市場実勢金利というものがそもそも銀行間の無担保3か月物取引に存在しない幻の金利な所にリファレンスレートを出せとか言う所に話が無理があるのですが(ちなみに、もっと金利が高かった時代だったらそれはそれでターム物取引が成立していましたけど、取引が消滅したのは低金利長期化によるものなのか、取引自体の有担保化が進展したからなのかは良く判らんです)、一旦制度として指標金利を設定しちゃうとそれを変える訳にもいかない(例えばスワップの変動金利がいきなり3か月物TB金利になったら大変な事になってしまいますわな)のが難しい所ですわな。


○ユーロ円金利先物雑感

そういえば昨日はどこぞのレポートで「ユーロ円金先のレートと比べてTIBORレートが高い」という面白コメントを見掛けた訳ですが、このユーロ円金利先物というのも不思議ちゃんな商品でございまして、当限以外は原資産であるユーロ円TIBORと常に乖離した状態にあるという面白商品でございます。

何でそういう話になるかと言いますと、この商品って原資産であるユーロ円TIBORのヘッジに使われるという訳でも何でもなく、まあ短期モノで流動性のある先物ってこれしかないので、短期物の先物でのトレードに使うトレーダー(あるいはヘッジファンド)とか、スワップを打ちこまれたりした時のヘッジ(って単にエクスポージャー減らしに行くのに使う訳ですかな)に使ってみたりとか、バンキングALMのどんぶりヘッジ(と言う名の持ち切りポジション)に使ってみたり、はては中期ゾーンの債券の売買のヘッジに使われたりという中々こう謎の商品で、まあ売買してる人達にとっては「流動性があってデュレーションが3か月の5ケタの数字」だったりするんですよね(^^)。

なのですけれども、時々「ユーロ円金先の価格形成から見た短期市場が予想する金利を見る」みたいな面白レポートを拝読したりして、短期金融市場で現物の債券とか実弾の資金取引をやっている人達に爆笑の発作を起こさせるのでありまして、ここまで書いて判るように、実はユーロ円金先って短期の実弾取引と関係あるようでイマイチ関係が怪しかったりする代物だったりします。

もちろん当限になりますとSQが近付けばユーロ円TIBORのレートに収斂されますし、最近は割と原資産を意識したような値段になっているような気もせんでもない(昔は全然違いましたからねえ)ですが、そもそも論としてユーロ円金利先物というのも中々不思議ちゃんな商品(あたしゃ短期の実弾系やってる時に実は「こんな訳判らんものでリスク取れねえよ」と殆ど触ったことがない、というのも中々無茶やるのですがまあそうでしたな)ではございます所です。奥が深いんだか浅いんだか良く判らない謎商品、それが金先。

#まあ金利が動くようになったらまた変わるのでしょうけれどもね


○しかしまあ何ですな(まあ余談)

段々と余談成分が増えているのは仕様です(^^)

もしかしたら外山さんの発言って為替市場の円高を止めることが念頭にあったのかもしれないなあとは思ったのですが、TIBOR下げてもLIBORが下がらなかったら為替市場の人には伝わってくれなさそうですし、為替市場の方がモーサテとかでコメントしてるの見てると最近はLIBOR金利差か2年国債金利差をネタにするというのが多いようで、2年国債金利なんて今更下がりようがない(上がりもしないでしょうけれども)水準になっている所で為替市場の期待に働きかける政策って金利ルートでは難しいんじゃネーノと思うのですよ。

それよりもTIBORちゃんが下がると他の方面に影響して(影響のパスについては考えはあるが敢えてスルー^^)結果として債券の買い圧力に化ける、というルートはあるかもしれませんけれども、それは迂遠にも程があるし、どっちかというと2003年アゲインとかいう楽しいヒャッハー状態になる方がリスクだと思うのですけどね。

いずれにせよ、特定の金利水準、しかも市場での取引金利じゃなくてリファレンス銀行が提示している金利について言及した(かのような報道になっている)というのは異例にも程がある訳でして、しかもそれが中央銀行の局長級から特定の情報ベンダーのインタビューとして出るというのはもうビックリな訳でして、最初の報道ベースで市場が受け止める時には「余程TIBORを下げさせたいんですね」となってしまいますので、まあちょっと内容の是非以前にその辺りは不用意というか脇が甘かったとは思います。

あとね、まあ相対の世界もそうですし、評価をどう置くかという話もこれまた難しい問題でして、ちなみに、これは偶々ネタ用に使うだけで他意はないんですけれども、パナソニックさんの長期格付けって外資系格付け会社の中でも、Moody'sだとAa3なんですけれども、FitchだとBBB+という凄まじい差があるのですが、これを捕まえて「実勢を反映していない可能性があるので是正しろ」とか言ったら物凄く面白い事になりますでしょうし、「リファレンス提示レートが実勢を云々で是正しろ」みたいな話になりますと、それこそ売買参考統計値だとか、どこぞの証券系の研究所さんとかが出している何とかプライスとか、おまいらそのレートは本当に時価だと思っているのかと小一時間問い詰めたいというような事案は物凄い勢いでゴロゴロしているのでありますが、多分壮大な地雷原になるので踏まないでおきましょう(笑)。

どうも頭の良い人は市場の適正価格というものは「一物一価」だと思っておられる所があるのですが、そもそも皆が同じ価格を適正価格だと思っていたら市場での価格変動が起きない訳でありまして、「実勢価格」なんて言葉を良く使いますけれども、あたくしの自戒も込めて申し上げますと、「偶々その瞬間に売り手と買い手の意見が一致した瞬間のプライス」なのであって、実勢価格だの適正価格だのというのは実は夢幻のモノなのではないでしょうかね。

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2010/07/06

さて、話は変わりまして本日は昨日申し上げた予定を変更しまして、本来平和で特に何も無い筈だった昨日の市場で物議を醸しまくった日銀の外山金融市場局長のロイターインタビューからつらつらと。


○驚きのヘッドライン

世間様的にはネットのURLを使うということでロイター日本語版のサイトを置いておきますけれども。

第一報はこちら
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK040664920100705
TIBORは実勢レートに比べると相応のかい離、適切に形成されること期待=外山・日銀金融市場局長
2010年 07月 5日 13:52 JST

『[東京 5日 ロイター] 日銀の外山晴之・金融市場局長は5日、ロイターのインタビューに応じ、東京銀行間取引金利(TIBOR)について「実勢レートに比べると、相応のかい離がある」との認識を示した。その上で「かい離していると、他市場のレート形成にもゆがみをもたらしかねない。市場機能の観点からすれば、TIBORが適切に形成されることを期待したい」と語った。

外山局長はTIBORについて「市場からサンプル的に聴取しているユーロ円の実勢レートに比べると、相応のかい離がある」と指摘。「市場のいろいろなレートに影響を与え得るというものであるとすれば、TIBORあるいはLIBORが実勢の取引レートからかい離していると、他の市場のレート形成にもゆがみをもたらしかねない。市場機能の観点からすればTIBORが適切に形成されることを期待したい」と語った。』(上記URLより)

で、インタビュー詳報はこちら。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-16139720100705
インタビュー:TIBORの適切な形成を期待=日銀金融市場局長
2010年 07月 5日 17:24 JST

で、まあ第一報およびその記事(詳報だと文脈も判りますが、最初に出た時点ですと発言の文脈が良く判りませんよね)を見ますと、どこからどう見ても「日銀の金融市場局長がTIBORのリファレンス銀行に向けて「呈示レートを引き下げろ」と発言した」としか読めない内容(実際問題として、本件を報道したブルームバーグの英語版などでは外山さんの発言をロイターによれば「Tokyo interbank offered rate is deviating subsutantially from appropriate levels.」(ブルームバーグ英語版の15時01分配信記事より)である、と報道していましたわな。

ということでどう見ても特定市場への口先介入です本当にありがとうございました。

えーっと、まあ詳報を見ると、TIBORを下げろというのが真意なのかどうかは微妙(一般論に見えなくもないし、やはりヘッドライン通りなのかもしれないし)と言う所ですし、そもそもインタビューの本来の趣旨からするとTIBORネタはおまけみたいな話に見えるのですが、本人の真意はどうあれ報道の内容および市場の受け止め方は「金融市場局長がTIBORを下げるように特定のいちベンダーとのインタビューで発言した」でありまして、市場の方は見事に反応して、ユーロ円金利先物は東京15時近辺では12月限で99.685(0.315%)まで買われ、ナイトセッションでは99.690(0.310%)とかになってましたし、3月限は99.700(0.300%)になっておりました。債券市場も反応して先物とか戻ってましたし、まあ市場を思いっきり動かしてしまいましたわな。

ご本人の真意はどこにあるのか知りませんが、少なくとも市場は「金融市場局長が特定の金利への介入を行いました」と取りましたよというのは大事なことなので2度申し上げておきましょう(^^)。で、本件ってまあ実は色々と論点がありまして、不用意に踏むと色々な地雷的な論点も転がっているので扱いが中々難しい問題でもあるのですが、何かロイターと外山局長が意図してるのかしてないのか存じませんが、いい感じで地雷を盛大に踏んで下さいましたので、ちょっとだけその地雷原をお散歩してみましょう。というのが本日のネタになりますが、一部悪態成分が混入してくるかも知れませんのでその点は宜しゅうに。


○そもそも銀行間の無担保3か月物に実勢金利なんて無いでしょ

さっきの記事でまず最初に気になったのはこの部分。

「市場からサンプル的に聴取しているユーロ円の実勢レートに比べると、相応のかい離がある」(さっきの記事にあった外山局長の発言とされるもの)

えーっとですな、実際問題として例えば銀行間でのコール取引の3か月でもユーロ円デポの3か月でも良いですけれども、その取引が500とか1000とかのオーダーでバカスカ出合っていて、その金利がTIBORと思いっきり乖離しているというのであれば、そらまあおかしいでしょというのは正論なのですけれども、そもそも論として銀行間の無担保3か月物取引なんて実態が無いに等しいですし、まあ市場に出ている金利だってビットで0.20%とかいうのが申し訳程度に気配がある程度の物であり、そんなに沢山市場で出合っているというのであればとっくの昔に市場参加者が気がついてレートは是正されている筈なのですけれども、この「ユーロ円の実勢レート」とやらは一体全体何の金利なのかと小一時間問い詰めたい訳でございます。

カウンターパーティーリスクがどうのこうのという話が出るようになって以降はこれはまあ日本だけじゃなくて世界的にそうですけれども、そもそも論として銀行間での無担保取引で3か月もあるようなターム取引っていうのは成立しに(投資家が銀行のCPやCDを買うというのは別問題)くくなりますので、これは世界的に考えてもそもそも実勢金利とは何ぞやという問題があるのですよ。

然るに、「市場からサンプル的に聴取している実勢レート」って話をしちゃう所が何ともいい感じで地雷を盛大に踏んだでござるのテイストを醸し出している所でございまして、そもそもリファレンスレートとは何ぞやという問題にも繋がる話でございまする。


○リファレンスレートとトレーダブルレート

さっき目の前のモーサテ様が丁度ユーロ市場のユーロLIBOR(ややこしいね)がここもと上昇してますねって話をしてまして、この数週間でユーロLIBOR(追記@7月6日夜:この金利は1週間物の金利だったようです)が0.3台前半から0.40%近辺に上昇しましたって話の中で、コメンテーターの人(は為替の人)が「一方でECBのオペでは市場実勢よりもはるかに高い1%での資金調達も多く見られます」という話をしてましたわな。(追記&訂正@7月6日夜、実はユーロLIBORのレートでモーサテでやってたのは1週間物の金利でして、3か月物の金利は7月5日の水準で0.73063%でした。1週間物金利のグラフを出しながら3か月物LTROの話をするなよモーサテの某コメンテーターさんよと思うのですが、まあ短期市場の人じゃなくて為替市場の人だから仕方無い面はありますけど、ちょっと勘弁して欲しい)

ご案内の通り、先般のECBの3か月LTROでは1年LTROの折り返し程ではないものの、多くの参加者がECBの資金供給オペに参加した訳ですが、これは担保付の取引でして、担保付であっても1%の3か月を纏まって取れる(前回のLTROはフルアロットメントで応札したら落札確約)ので資金をガッツリ取りたい人は絶賛参加した訳ですよね。と考えると、実はこのユーロLIBOR3か月金利ってどうなのよという意見もある所でございますが、結局の所リファレンスレートってどうしてもこういう問題が発生するのですよね。(追記:最初の記述ですと3か月物ユーロLIBOR3か月金利が0.4%のように読めますが、上記追記のように実際のユーロLIBOR3か月レートは7月5日のフィクシングで0.73063%となっています。まあいずれにせよ、LTROの1%よりは25bp以上低い金利であるので「どっちが実勢やねん」というのは変わらないのですが、訂正も兼ねて追記致します@7月6日夜)


例えば昨日のTIBOR金利も下がっていたのですけれども。

日本円:0.38000%(前日0.38308%)
ユーロ円:0.37615%(前日0.37692%)

一方で(時差の関係上前週末のレートになりますが)ロンドンのLIBOR金利は、

2日のLIBORリファレンス:0.24500%

そらまあこの金利見たらどっちが正しいねんとツッコミを入れたくなるのは判らんでもないのですが(つーかロンドンだと外銀向け放出成分が入るからロンドンの方がレート高くてもいいんじゃねえのとか東京ドメスティックなあたくしは思わんでもないのだが)、結局の所は実勢取引らしきものが無い(強いて言えば他行発行CPレートをおまいら幾らで買うんじゃいという所なのでしょうけれども)中で、色々な物に使われている(銀行の一般向けのスプレッド貸出の基準に使われてみたり、スワップの変動金利部分に使われてみたり、為替ディーラーの売買のネタに使われてみたり^^)という事情の中で、市場金利的なものとしてのレートにトレーダブルではなくリファレンスレートを使うという所に色々とややこしい話になるざますわなという論点なのですな。

で、この論点をあまり深掘りすると信管付の不発弾が発掘(LIBORとかTIBORとかだけではなくてそれこそ売買参考統計値とかの問題になりますによって・・・)されたりするので(汗)、勢いで書くのではなく、もうちょっと色々な事を考えながら書かないといけない訳でございますが(^^)、いずれにせよ歴史的にリファレンスレートを「市場レート」として使っていた物が、短期金融市場における無担保取引の縮小および金融機関そのもののカウンターパーティーリスク意識の高まりおよび取引先の選別という状況の拡大に伴い、その「市場レート」とやらの「実勢金利」というものは何ぞやという問題がある中でいつまでもリファレンスレートで良いのかという話にも繋がる問題ではございますわな。


○TIBOR下げさせたいなら成長支援オペ沢山打てばいいじゃないのよ

深淵なネタはこの辺にしておいて別のルートからツッコミ。

えーっとですな、先般の成長基盤支援貸出制度の導入に際しては「金利の押し下げを狙った物では無い」という趣旨の話を白川総裁が延々と行っていた訳ですが、TIBORを下げるという事になりますと、結果として銀行の貸出金利が下がるという話になる(「TIBORが下がったけれども貸出スプレッドが変わりまして出来上がりの貸出金利は下がらないですよ」などという理屈で物事が進めば誰も苦労しないが、そんな事は無理です)訳でございまして、それではこの前の成長基盤支援貸出であれだけ「金利に働きかける政策では無い」という話をしていた事との整合性はどこに行ったのやらという所でございます。

つまりですな、そんなにTIBOR下げさせたいというのであれば、それなりの政策を決定会合で打つような形にすればヨロシと思う訳でございまして、まあ下らないテクニック的な話をすれば、これも緩和カードの1枚として使えるネタだと思われる(正直為替とかには全然効かないと思うけれども、連中はLIBORしか見てないから)のでありまして、金融市場局長がベンダーとのインタビューで切ってしまうようなカードでは無い筈なのですよね。勿体ないというか不用意というか・・・・

もちろん外山さんが「TIBOR下げろ」と言った訳ではないというのが真意かもしれませんけれども、仮にそうであっても市場がそう受け止めている(大事な事なので3回言いました^^)のでありますので、真意は違うと言うのであれば「あれは一般論の話をしたのであって、特定の金利の金利水準に対して言及したものではない」というような火消しを行わないとよろしくはないでしょうな。

で、そうじゃなくて真意として下げたいというのであれば、それはそれで結構なのでございますが、であれば特定のベンダーとのインタビュー如きで表明するものではなく、然るべき公開の場で然るべき手順を踏んで見解を表明すべきものではないでしょうか。



○しかし特定の市場を捕まえて金利水準が適正とか言うものですかねえ

ま、あたくしが最初にビックリしたのはその点でして、恐らく市場関係者のほとんどがこの点にビックリしたと思うのですが、ビックリした事を最初に書くとあたくしも感情的に悪態大会になりそうだったので自制して3番目に書くのだ(^^)。

えーっとですな、菅さんが財務大臣になった時の面白発言ですら大笑いの的になった訳ですけれども、今般は市場金利というよりは「各リファレンス銀行が各行の名前で呈示している金利」の水準に対して発言したというのが実にこう斬新な所でありまして、どうみても圧力です本当にありがとうございましたというのも凄いですけれども、民間金融機関が各行の判断で行う取引レート(実際問題としてのTIBORの使われ方の問題は一旦スルーね)に対して中央銀行様の一局長様が介入するとは何ですかという所が実にお洒落な所でございます。

いやね、そんなに気に食わないんでしたら日銀がリファレンス銀行になって3か月の無担保資金を0.15%でも0.25%でも結構ですけれども資金供給して頂ければよろしいんですけれどもねえと悪態の一つも申し上げたくなるお話でありまして、例えばCPなどの金利が異常に上昇した時には日銀はCPや社債の買入オペレーションを実施しました(当然ながらこれは実質無担保与信)訳ですから、銀行が発行するCPでも買入オペレーションでもやればTIBORとかも下がるんじゃないですかねえ(ニヤニヤ)。

もちろん外山さんが「TIBOR下げろ」と言った訳ではないというのが真意かもしれませんけれども(以下同文)。


○順調に下がり気味だったのにねえ

ところで、さっき書きましたように、TIBORレートって7月に入ってから徐々に匍匐前進ですけれども低下していた訳ですが、いきなりこんな発言をして騒ぎにせんでもヨロシカロと思うのでありまして、いやまあ下げが足りないですと言いたかったのかもしれませんが、どちらにしてもこういう風にわざわざつついて話をややこしくせんでもよかろうにと言うのはテクニカルな問題ではありますが、まあ宜しく無いですわなあと思いますけどどうでしょうかね。


○しかしまあ市場機能論とかいうのも幻みたいなもんですなあ

でですな、よく日銀総裁様が市場機能がどうのこうのとかいう有難いお話をされる事が多々あるのでございますが、こーゆー発言を拝見いたしますと皆様のお考えの市場機能って何ですかという話でして、日銀様の思惑通りに動く市場が市場機能であって、そうではないものは悪い市場機能だとでもお思いなのでしょうなあとでも申し上げたくなる次第でございます。

つまり、これはさっきの話の繰り返しになりますが、そもそも実勢レートとは何ぞやという話でもありまして、特に店頭での相対取引で行われている金利物の取引やら、更に言えば銀行貸出やらっていう物に対して「市場」だの「実勢金利」だのというものが「一物一価的な唯一の物」として存在するのかというのはまた別問題ではないかと思うのですよ。何か「市場」っていうのが有難い護摩札または錦の御旗みたいな扱いになりがちなのですが、店頭での相対取引ってそれだけでは割り切れない所があると思うのですよね。

然るに、そのあたりに関していきなり「実勢はこうなのだから是正すべき」みたいな話が出てくるというのは、例えが適切かどうか判りませんけれども、町の八百屋さんに向かって「向こうの大型スーパーで幾らで売っているのだからお前もこの値段で売るべき」というのを公的権力で介入するかの如きテイストを感じるものでございまして、何と言いますか誠にアレなものを感じ無い訳でもないのでありまする。

もちろん外山さんが「TIBOR下げろ」と言った訳ではないというのが真意かもしれませんけれども(以下同文^^)。



○まあしかしこれは色々と波及する話ですなあ

と思うのですが、色々と書くと微妙に生煮えの部分があって(昨日は色々とああでもないこうでもないと論議はしたのだが)、あたくしが昨日色々と考えた事の論点をまだ網羅できていないですし、そもそもその論点もちゃんと深堀りできていない部分が多々あるのでありまして(超大汗)、また色々と考えつつそのうち続編を書きたいと思います。

まあいずれにせよちょっと不用意な発言であったと思われますので、一般論なのかそれとも報道通りなのかに関しては、(少なくとも真意が報道および市場の受け止めと違うのであれば)何らかのアナウンスをした方が良さそうな気がするんですけどねえ・・・

#今日は纏まりのない雑談ですいませんでした

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2010/07/02

○期初の買いがピラニアに食い尽くされたでござるの巻

昨日は四半期頭だったのですが、NY堂々の株安にも関わらず短観の現状判断DIが大企業製造業で+1という事で、というのは後講釈でして、こういう時って恐らくは「期初の益固め」なので短観が強くても弱くても無関係に売って来るというのが正しい解釈かと思われますが、まあどう見ても10年に売りが出ましたと言わんばかりの気配に。一方で5年とか中短期無茶苦茶確りしてたので益固めして短期化したのか短期買ったのは別人さんなのかは知らんですけれども、まあそんなこんなで2毛甘位まで売られた訳ですな。

と思ったらその後はピラニア満載の川に餌を投げ込んだというか、観光釣堀園で釣り糸を垂れた状態と言いますか、オバハンの群れの中にヨン様を投げ込んだ状態と言いますか(^^)、まあそんな感じで押し目買い軍団(前日比安けりゃ押し目かよ!という意見はありますけれども^^)絶賛登場となり、期初の売りが綺麗に踏み潰されて相場様はまたまたブルフラットとか何かもう凄いですな。

先物で言えば141円台がこんなにあっさり駆け上がるとはという感じでございますが、まあそれよりもこんなに買い需要があったんですねえという所でございまして、ただただすげええええというメモなのでございました。しかし20年が1.760%とかいやもう何ですかそりゃという所ですわな。


○TIBORが昨日も何気に低下している件について

鉛筆なめなめレートを捕まえてあまり注目注目というのも何ですが、まあ仕方ないと言う事で今日もTIBORネタで恐縮至極。

昨日のTIBOR3か月リファレンスレート

日本円:0.38615%(前日0.38846%)
ユーロ円:0.37923%(前日0.38077%)

またリファレンス銀行さんの中で下げた所がございましたようで(ってまあ全銀協が公表してるからベンダー見りゃ内訳は判りますので念の為^^)レートが下がった訳ですが、ニワトリが先か卵が先か判りませんけれども、今週頭くらいまで足踏み状態(月末前に妙に下がったりした)だったユーロ円金先が昨日も続伸してみたり、2年カレントが地味に強くなって気がつけば0.140%になっていたり(えーっとちなみに3か月が0.115%なんですけど・・・・)5年カレントは益々華麗に強くなって0.325%に低下と中短期の現物国債も強くなっておりますわな。

まあ何か中短期も今更ここから何ぼ買うんじゃいという所なのですれども、こちらもまた強いでござるの巻ということでこれまた中々おそロシアでございますが、まあどうなる事やら。

あと、TIBORとは関係ないですけれども、GCレートちゃんは案の定6月末を通過したら無事に低下して0.11/0.115レベル(0.11の方に近いと思う)となりました。ここから先は資金不足地合い(さっそく今日は財政揚げ超2兆6000億円です)になりますので、普通に資金供給オペが増えると思われますのでGCレートもそんなに跳ねるこたあねえでしょという所かと存じますがどうでしょうかね。

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2010/07/01

お題「まあ今日も今日とて市場メモ等」

低所得者に消費税還付とか実務的に無理としか申し上げようが無いと思うのですがねえ、それなら単純に低所得者に何か給付すれば良いだけの事だと思うのですが・・・・・

ところで短観ですが、最近の足元は需給要因と海外要因で動いてやがるので、よっぱど変てこな数字が出ないと反応しないんでしょうなあ、と言ってみる。

○TIBOR低下ですかそうですか

昨日のTIBOR3か月物金利ですけど。

日本円:0.38846%(前日0.39000%)
ユーロ円:0.38077%(前日0.38385%)

・・・・ということで、期末越えで上がるどころか下がって参りましたが、別に5年の金利が下がってきたからレート下げなくてもヨロシカロとは思うのですが(違うか^^)、こ〜やってまた鉛筆なめなめのTIBORちゃんが低下してくると足元の株安と円高をネタに「追加緩和への思惑がどうしたこうした」という報道が出て来るに1万ドラクマ。

まあ何だか知らんが今週前半妙に頭が重かったユーロ円金先も確りしてきましたし、選挙が終わっても株安だの円高だのという話になるとまたまた「困った時の日銀叩き」というお馴染みの芸風が炸裂しそうな昨今でもあるなどと考えますと、まー追加緩和がどうのこうのとか市場がネタにしてもおかしくは無いのですが、一応今日の短観が余程予想より下振れしない限りは現状は「景気回復が政策効果剥落して一旦踊り場入り」というメインシナリオの中にいますよってえ理解に(少なくとも白川総裁は)なっているのではないかと思われますので、そう簡単にカードが出てくるとも思えませんけどね。


○短国の発行が減額になっている訳だが

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/tbill/tbillauct/auct220630.htm
国庫短期証券(第120回)の発行予定額等

4. 発行予定額
額面金額で4.8兆円程度

足元で税収が上振れした事が影響しているのかどうか知りませんが、ここもと3か月TBの発行がいい感じで減額になっております。来週入札の行われる120回債ですけれども、この発行に対応する償還額は5.7兆円ございまして、何と9000億円の減額折り返しになります。

ちなみに、3か月TBの発行額ですけれども、4月23日入札の104回債までが5.7兆円の発行額になってまして、104回債の償還日が8月2日でございますので、今月は3か月TB発行が(払い込みベースで)5日は6000億円、12日〜8月2日までの週初は9000億円(今後の発行が4.8兆円とした場合)減額となるという計算に。ちなみに、従来の5.7兆円から5月以降毎月3000億円ずつ減額になっておりまする。

ということで、これって短期国債の需給要因的には発行減額によってレートが更に上がり難くなりますなあという話(とは言えGCレートが一頃の平均0.11%レベルから目線的にはもうちょっと上がっていると思われるので、そっちの方が効く分はあると思いますけどね)になるのですけれども、資金需給的には毎週月曜日に「3か月の資金がネットで9000億円供給超になる」という事でもありまして、そ〜考えますと益々足元の供給オペが減る(7月はこの分を差っ引いても財政要因で資金不足になるので実際問題としては6月と違ってオペそのものは増える)という事になりますにゃ。

だからどうしたと言われても困りますが、まあ流れ的に「ターム物の資金供給をしますよ」と丁度平仄が合っているのが何となくチャーミングですなあという事で。別にそんな事考えている訳ではないでしょうけれどもね。


○ECBの資金供給

http://www.ecb.int/mopo/implement/omo/html/index.en.html

昨日の3か月物LTRO(Longer Term Refinancing Operation)は固定金利1%のフルアロットメント方式で実施された訳ですが。

http://www.ecb.int/mopo/implement/omo/html/20100053_all.en.html

Fixed Rate: 1 %
% of All. at Fixed Rate: 100
Tot Amount Allotted: 131933.19 mn
Tot Bid Amount: 131933.19 mn
Tot Number of Bidders: 171

と言う事ですが、解説記事があったので付けておく。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-16082220100630?sp=true
ECB3カ月物オペ供給額、予想下回る
2010年 07月 1日 01:22 JST

ということで、まあ額は少なくて良かったですねという話のようですな。

ただまあいちゃもんをつけるとすれば、ユーロの短期金融市場の足元での問題ってドルのファンディングと無担保のファンディング(CP発行とか)であって、特に問題になりそうなのは無担保の方(CP発行がロールしてくれなくなって徐々に首が絞まるとか)なんじゃネーノという気はするのでありんす。つまり、カウンターパーティーリスクで味噌も糞も出さないという状況なのではなく、もうちょっと問題が1年前とは違っているのではないかと言う気もする訳でして、確かにまあ応札殺到するよりは話としては良い話ですが、だから安心かというとそれは別問題だと思う。

国債買入プログラムが突っ込まれた事もありますし、ユーロ圏でのユーロのファンディングに関しては、担保さえあればどうとでもなる状態になっているのではないかとは思うのですが、日本の経験からすると(って全部日本の経験を当てはめるのもどうかと思いますが)一度銀行間の無担保取引が干上がってしまうと中々復活しなくなり、その間に短期市場での資金供給オペが至れり尽くせりだったりすると益々中央銀行のオペレーションに依存する構造ができてしまうのでありまして、その辺りが今後どうなって行くのか次第じゃないかとは思います。ただまあECBの場合はかなーりぶっきらぼうな資金供給オペしかしないので、そーゆー意味で市場で調整せざるを得ないという面もあるのかも知れませんな。

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